2009年7月11日 (土)

核兵器持ち込み外務省「密約」文書

ここのところ、外務省OBの一部が核兵器持ち込みの密約文書について、外務省内で行われていた「申し送り」について証言していることが記事になっている。

森田のコメント3つ。まず、これは憶測かつ焦点とは関係ないかも知れないけれども、文書隠しのからくりの一つに「これは役所の文書のファイルへ、これは個人持ちの文書なので別のファイル(情報公開法の対象外)へ」という仕分けが、情報公開法を骨抜きにするテクニックとして恣意的に行われているのではないか、という以前にも書いたこと。2000年の夏頃、外務省の新入り事務官から雑談の中で聞いた話からの推測。

これは、長い過去の経緯との関係ではサイドストーリーだが、「10年前の廃棄」ということでは今度の話と直結する可能性もゼロではない=「紙」は廃棄されても、外務省の持つデータのうち、個人持ち資料と偽装されてパソコンの中にあるのではないか=と言うのが森田の推理。再発防止という点からは、中心テーマの一つと言える。今度出来た文書管理法、10年になる情報公開法に抜け穴はないか。今日と明日の問題として重要だ。

森田のコメントの二つめは、間もなくできる民主党政権の外相人事は重要だということだ。「密約」の検証のためには、岡田克也、菅直人、長妻某氏のような調査能力のある人々を投入する必要があるが、こうした人々は政権全体を考えてもっとカナメのポストに就けるべきかもしれない。さりとて、役人やアメリカ軍部のいいなりになるような者ではダメだ。田中真紀子氏など、希望者は多いのだろうが、かきまわすだけで論理的な説明が出来ない人はこの問題についてだけ考えても弊害が多い‥

コメント3つ。いろいろ発言する外務省OBの思惑はそれぞれだろうが、ストーリー仕立てにすれば「政権交替のどさくさまぎれに、不都合な過去を精算してしまいたい。そうして、北朝鮮をにらんでの核兵器をしっかり日本国内・周辺に配備するよう求めるなど、アメリカとの軍事協力をもっと大手を振って前に進めたい」というOB・幹部のムラ社会内部のあうんの呼吸による連係プレーが展開しているようにも見える。

そんなバカなことを進めさせてはいけない。直接の話題としては、一世代前の日本外交の話だが、本質的に日本の今日と明日に関わる話題である。注視し、方向性を誤らないようにしたい。

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2009年6月20日 (土)

読売、蓮池薫氏のインタビュー記事掲載

たまには、各紙のネット版のページがどんな様子か眺めてみようと思って読売トップページを開けてみたら、蓮池さんのインタビューが出ていた。

日頃は読売の紙面を読む環境になく、今日のグーグルのニュースにもピックアップされていなかったので、全くの偶然なのだが、ギターを手にイムジン河を歌ったくだりなど心に訴えかけるインタビュー記事だ。

北が起こした拉致事件。正直言って、産経新聞やネット右翼、安倍晋三といった人々が騒ぎ、NHKの朝のニュースがキチガイのように叫んでいる時には、ついつい引いてしまう森田だが、こうして被害者の肉声を聞かされれば、党派的なことを離れて、被害者の方々のためにできることは何か、ちゃんと考えなければならないという気持ちが強くなる。

北の問題も、焦ってはうまくいかないだろう。ただ、被害者にも人生の持ち時間がある。「自民党政権は、ずっと基本的には家族の会の言う通りの線でやっているのだから、それでいいじゃないか」と言っているだけでいいかなと言う気持ちが強くなる。

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2009年6月18日 (木)

小泉純一郎氏を日本郵政の社長に

臓器移植法「A案」衆院通過。家族が「脳死判定」を拒否できることが確保されている一方で、脳死移植の年齢制限が撤廃され、また大人の移植も増えることが期待できる法改正であり、良かったと思う。

メディア報道が「子どもの移植」の話題に偏り、しかも他の案について「児童虐待でないか厳しいチェックを盛り込む」と取り上げるなど、国会外の空気はA案に厳しいような気がしていた。A案以外では「大人の脳死移植」は増えない。

これに関連する各種記事を見ていたら、沖縄選出の下地幹郎代議士(国民新党)が、ブログで「引退する小泉純一郎元総理を日本郵政の社長に起用すべし」という奇抜な提案をしていた。

これは名案だと思う。竹中平蔵氏は、大きな権力がなく、言っていたことの実現に骨を折らなければならない参議院議員の職を、金儲けに都合が悪いということもあってか辞めてしまったが、「命をかけてもいい」と言っていた小泉さんなら、まさか断らないでしょう。

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2009年6月16日 (火)

金正男氏、中国亡命も?

昼過ぎにNHK-BS1で放送していた韓国KBSのニュースの最後のところで、中国の消息筋からの情報として、プリンス金正雲(三男)の側近グループによる、プリンスの異母兄でマカオ滞在中の金正男氏(長男)の暗殺計画が中国に察知され、中国は北朝鮮に対し「支援見直し」も示唆して計画の中止を強く警告するとともに、金正男氏の身柄を保護。正男氏は将来、中国に亡命するかもしれないという。

韓国の報道は、日本のメディアに比べフライングを恐れない傾向があるので割り引いて考えなければならないかもしれないが、仮にトンデモ情報だったにしても、いろいろ考えさせられる。

今朝は朝日新聞にプリンスが少し前に父の名代として北京を訪問し、胡錦涛主席と会談していたと報じていた。どれくらいクギを差したのかが興味深いわけだが、少し間を置いて「正男暗殺計画」のリークないし創作である。

真偽のほどがわからないことをいろいろ考えてもしょうがないが、ホントなら報道の字面とは別に、中国が「おマエらの首根っこは押さえている。正男は人質に頂いておく。核のことなど、どうしても言うこと聞かなければ、こちらには政権転覆、正男政権樹立という道もある」と強烈なプレッシャーをかけているようにも見えるのだ。

一方、正男氏はヨーロッパでもフジテレビのクルーに気軽に日本語で応答する様子や、例の家族をディズニーランドに連れて行きたかったという田中真紀子外相時代の偽パスポートによる密入国事件など、不思議な軽さを漂わせる。

彼はこれから、シアヌーク殿下のような長い旅をするのだろうか。島田雅彦氏の連載小説をなんとなく思い出すが、徳仁親王といい、北東アジア儒教世界の長男はいろいろたいへんだ。

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2009年6月15日 (月)

厚労省現職局長逮捕

日曜は午後から仕事関係の記事コピー探し夜までかかる。テレビのニュース速報で自称・福祉団体が郵便割引を受けられるよう公文書を偽造した疑いで厚労省の村木厚子局長が大阪地検に逮捕されたと知る。

事情、背景全く知らぬが、家人は「政治家からうるさく言われたので、こんな大規模な不正につながると思わずに軽い気持ちでやっちゃったんじゃないの」と言う。検察もいろいろ批判を浴びているので余程のことがあるのか、それとも再びのトンチンカンなのか見極めなければ。

片付けしながらNHKの大河ドラマだの教育テレビだのつけていたが、N響アワーでネルソン・ゲルナーという人がブーラームスの第2協奏曲を弾くのを見て、尾高忠明さんの指揮とN響の演奏ともども、その落ち着いた音楽に感心する。3楽章のチェロのソロも含め、しみじみ美しい演奏でした。

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2009年6月10日 (水)

辻井伸行さん、ヴァン・クライバーン氏

全盲のピアニスト、辻井伸行さんがヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝という嬉しいニュースがあった。

親御さんが大事に育てられ、才能に恵まれたとはいえ、本人も常人では考えられない頑張りでの国際コンクール優勝だ。

コンクールに優勝するばかりが大事だというわけではないけれども、わが家の発達障害の息子も、自分たちなりに頑張って育ててきたという気持ちがあるだけに、辻井さんのご両親に心から拍手を送りたい。

ところで、ヴァン・クライバーン氏(70歳代で健在)がチャイコフスキーコンクールで優勝し、大ブームになったのは旧ソ連はフルシチョフ政権、アメリカはケネディ政権誕生前夜で、後のキューバ危機を挟んで「デタント」が模索された時期である。

わが家にあるクライバーンが弾いてフリッツライナー指揮シカゴ交響楽団がサポートしたベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番のジャケットの写真を見ると、実に若々しい美男、その演奏と同様に爽やかイメージの人だったようだ。

クライバーンのチャイコフスキーコンクール優勝はソ連共産党のデタントに向けたサインか?

そういう要素は否定できないかもしれないけれども、アメリカ国民の反応はソ連側の計算を超えたものだったかもしれない。

余談だが、森田の中学の英語の教科書は三省堂の「クラウン」で、主人公のジョンはギターも弾くけれどもピアニストを目指していて、ソ連でピアニストを目指しているスタニスラフと文通していた。このストーリーもクライバーンのエピソードが投影していたのではないか。

辻井君の優勝に政治的な背景はないだろう。でも、ひょっとしたら「カネ儲けを考えて中国ばかりに注目してきたけど、落ち着いて考えると日本人もつきあう甲斐があるかも」という空気がアメリカの一部にあって、それが反映したこともあり得るか、などと空想する。

それはともかく、こうした嬉しいニュースが、福祉に目がいき、文化や教育の大切さが改めて意識され、全ての子どもたちが大切に育てられることにつながるといいなあと思う。

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2009年5月25日 (月)

ミサイルも発射

短距離ミサイルも発射したという。これも「有言実行」。

さて、政局・選挙への影響。

民主党も、「コリン・パウエルの原則」ではないが、まずしっかり「怒る」ことが大切。途中で笑っちゃダメですよ、鳩山さん。

次に、冷静に。これは騒ぎが大きくなれば自民党に有利。韓国の例で見ても、「北風」は結局「右」を利する。

投票日直前でなくて良かった。

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北朝鮮が2度目の核実験

昼のニュースで地下核実験の報を聞く。朝日の田岡元編集委員が言うように、北朝鮮は「有言実行」の国だけに予想していたが気分が重い。

それでも、われわれは雲南の山賊の親玉を何度も何度も許した諸葛孔明の忍耐をもって「国交正常化」というステップを踏んで北朝鮮の国際社会への安定的なメンバーとしての復帰(参加)を図り、北東アジアの平和と安定、ひいては日本の安全保障と国益の確保をめざすという方向性を見失ってはならない。

それでも北朝鮮の指導部に言わなければならないのは、日本国内で北朝鮮と関係を結んでいくことに積極的な人々の多くは、同時に北朝鮮を含む世界の国々が例えば核不拡散条約(NPT)体制の維持・強化に努めることも切望しているということだ。

計算づくで動いているつもりかもしれないが、このようなことを繰り返していては、北朝鮮の現体制が北朝鮮の人民の最低限のニーズを満たし、国際社会から責任ある国家と認められる日が遠のいていくことは間違いないと思う。

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2009年5月19日 (火)

オバマ大統領より日本共産党の書簡に返事

少し前に日本共産党がオバマ米大統領に宛てて、核廃絶をめざすと明確に述べた「プラハ演説」を評価するという書簡を送ったというベタ記事に興味を引かれた。

オバマブームに便乗というところもあるのかもしれないが、それはそれとして「米軍基地をなくす」(=日米安保条約を廃棄ないし改訂する)という主張を明確に持ったまま、アメリカとも良い関係を結ぶつもりはあるし、少なくとも「良いことをしたり言ったりすれば評価する」という是々非々の姿勢を示したものだ。

なんと、この点では日本共産党は森田敬一郎と同じラインか。いやいや、プラハ演説のような世界政治の転換点ともなり得る良いメッセージが出たときには=現にNPT再検討会議の準備会合は外務省的には「予想外」の順調な議題設定となったと報じられている=ハッキリとメッセージを出すということがなければならないので、高く評価すべきだと思う。

総選挙では、民主党が比較第1党となる蓋然性がある程度ある。今後の政治の流れによっては単独過半数ということもあるかもしれないが、参議院のこともあるので「民主」「社民」「国民新党」による鳩山首相指名というところが、予想される範囲のベストということになるだろう。

ただ、確率的には小さいかもしれないが、こんなケースがあると思う。衆院の首班指名だが、「自民プラス公明」と、「民主プラス社民、国民新党」が拮抗し、「日本共産党が棄権すれば麻生内閣継続」、「日本共産党が政権には参加しない前提で鳩山に投票すれば、民主党プラス社民、国民新党による3党連立による鳩山内閣成立」というケースだ。

レアケースだろうが、自民党は「非武装中立」の村山さんをかついで政権奪取した実績がある。対共産党工作も誰も考えつかないような作戦を繰り出してくるだろう。

民主党を中心とした勢力には、必要ないかもしれないけれども「共産党対策」を念頭に置いておくことを薦めたい(そういえば、鳩山一郎氏は「日ソ正常化をやる」ということで、たしか左派社会党の投票も得て首相になったのではなかったか)。

日本共産党には、そういう場面になればここは政権交代を期待する人々の声に応えてほしい。情けは人のためならずというが、そうして功徳を積んでおけば、いつか共産党が中心になる政権の実現が近づくだろう。

逆に「民主主要打撃論」のような挙に出るならば、全く微力ではあるけれども「森田敬一郎の発言」は共産党と戦わなければならない。

それにしても、オバマ大統領はどうして日本共産党に返事をよこしたのだろう。深い意味はないかもしれないし、情報もないので勝手な憶測をするだけだが、ひよっとしたらオバマ周辺の日本分析者の間に「日本共産党は政権に参加する心配はないし、極右の安倍晋三などよりは本質的に自分たちの考えに近い」という空気があるのだろうか。

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2009年5月13日 (水)

「ふまじめ」麻生への対抗馬には、「きまじめ」岡田がいい。

民主党代表には、政策面では横路孝弘氏がいちばんいいと思う。副議長なんかやっている場合かな?

菅さんの不出馬表明も残念だ。

保守系の候補では岡田さんがベターだと思う。鳩山さんのふにゃふにゃして何を言っているかわからないところは、女性たちに根強い支持があるらしいが、「ふまじめ」人気だとすれば麻生氏のキャラクターとかぶる。

全体状況がこのような中だから、「ふまじめ麻生」に「きまじめ岡田」をぶつけるのが良いのではないか。財界二世に期待しすぎるのは、近衛文麿に期待した祖父の世代の失敗を繰り返すことになりはしないかという心配がないではないが。

「きまじめ岡田の再挑戦」。一陣の爽やかな風が吹き込むような気がするのは、私がナイーブすぎるのだろうか。

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小沢一郎氏の「説明責任」より、麻生総理の「任命責任」

まあ、語呂合わせですが。

きっこのブログを読んで、そうだ、そうだと思う。

「説明責任」なら、「大量破壊兵器が発見できないから存在しないというのは、サダム・フセインが見つからないから存在しないというのと同じだ」と国際紛争解決の手段としての先制攻撃「支持」を強弁する小泉純一郎首相の国会答弁、年金について「最後の一人までお支払いする」と言った安倍晋三首相などの方が先だ。

とりあえず、民放テレビはこういった話題をまとめて掘り返す『ザ・説明責任!』とでもいうタイトルの60分番組をしばらくの間、週1回、ゴールデンタイムに編成して放送したらどうか。結構視聴率はとれると思うよ。

そして麻生氏の「任命責任」。右翼偏向の中山国土交通相、国益を大きく損なったアル中醜態の中川昭一財務相、ケチな不正株取引の何とか言う財務副大臣‥。

批判を一過性に終わらせてはならないと思う。

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2009年5月11日 (月)

小沢民主党代表辞任の報を聞いて

月曜の事務所、15時に視聴中のNHK・BS1の速報テロップで知る。政権交代実現のために良かったと思う。

民主党に期待すること二つ。

ひとつ。事態収拾は速やかに、鮮やかに。

ふたつ。衆院で審議中の補正予算案。霞が関と天下り団体にやさしく、場当たり的なものである問題点はかなり明らかで、民主党も予算委員会で明確に突いているにもかかわらず、テレビで視聴する国会審議をめぐる二ュース原稿のレベルなどでは「中味」が見えないまま「採決して欲しい」「もっと審議を」という、ただ引き延ばしているという印象を与える話になってしまっている。

国民が求めるのは小泉・竹中路線の「転換」だが、さりとて、麻生内閣がやっているようなかつての政官財癒着の場当たりバラマキと、天下り官僚のための予算無駄使いを復活してほしいわけでは全くないのだ。

提出されている補正予算のどこがダメか、徹底整理したメモを各議員が頭にたたき込み、有権者やプレスと接触する度に繰り返し、やがて国民各層も「だから自民党はダメなのか」とわかるように徹底的な広報を行うべきだ。

親鳥は小鳥に鳴き声を100回聞かせて鳴き方を教えるというのは俗説だろう。ゲッペルスを引き合いに出すのは適当ではないかもしれない。

しかし、時は今だ。

「補正予算」の「中味」を題材に、民主党は自民党に徹底した攻撃を繰り返し、繰り返し、その辺の小学生が歩きながら独り言で言うようになるのまで行うべきだ。反転攻勢の時である。

チャンスなのだ。世襲さえ止めたくないと言っているのだから。

(自民党はバカだなあ。麻生氏がワシントンのG20から帰国した羽田で、補正の規模だけ言って小沢氏が決断できないうちに解散を表明していれば、政権維持の可能性もあったのに‥)

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2009年5月 4日 (月)

映画「メトロポリス」(1927年) 感想

1927年といえば昭和2年。芥川龍之介が死去したり、田中義一内閣が成立したりといった頃に、ワイマール時代のドイツで作られたモノクロの無声映画だ。息子が大学の授業で「なぜマリアは女性でなければならなかったか」という教授の問いかけに対する答えを探すために借りてきたVHSテープ。

たいへん興味深く見た。群衆シーンなど、それでも経費節約のために実際よりも多く見せる工夫があるというが、最近の特撮ものよりうんと人の数のヴォリューム感のあるもので、また複数の労働者たちが機械に向かう様子などもリズミカルで設計された動きであり、ヒップホップのようでもあるし、バレエ化も可能な作品ではないかとさえ思った。

ここでも忍耐と平和を説く清純なマリアと、陰謀により労働者のたちのところに送られるマリアとうり二つに作られたアンドロイドの下品な性悪ぶりを一人の女優が無声映画時代特有のオーバーアクションとはいえ、見事に演じ分けているのが印象的。最近、映画を見るたびに「ダークサイド」ということばが思い浮かぶ。

資本家階級と労働者階級は、資本家階級の譲歩と労働者階級の忍耐によって協調が可能というメッセージを、当時の革命機運に冷水を浴びせるものと見るか、理想主義と見るかは意見が分かれるかも知れないが、二つの階級が手を取り合うには仲介者の役割を果たす人物が必要で、そこにジークフリートのように現実に気づき、父に自制を促す「資本家の息子」が登場し、心ひかれた労働者の娘・マリアと協力して状況に立ち向かうといったところはお約束と言えばお約束、普遍性のあるストーリーといえばその通り。

しかし、土地バブルに踊った80年代半ばから90年代はじめ、また米英が作り出した世界金融バブルによってなんとなく救われていた小泉・竹中時代なら、この映画のメッセージは「資本対労働という時代じゃないよね」と切り捨てられただろうが、リーマンショック後のいま現実に起こっていることは、この映画の現代性を印象づけることばかりだというのも何か皮肉な感じがする。

どうすれば強欲な人々に自制と負担を受け入れさせ、全体のシステムをもう少し落ち着いた、持続可能なものとして運営していくのか。労働運動の現状や、何でも自分個人のせいにしてしまい、政治や行政、あるいは資産家や企業の責任を問うことの少ない若い人々を思い浮かべると「力を持つが責任を果たしていない人々」をどのように動かしたら良いのだろうか。この映画を見て、またそんなことを考えさせられた。

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2009年5月 2日 (土)

映画「スラムドッグ$ミリオネア」(感想)

昨日は出勤だったが、映画1000円の日だったので新宿バルト9で待ち合わせ、家族で「スラムドッグ$ミリオネア」の19時10分の回を鑑賞。満席だった。

素晴らしい映画だと思う。

映画は「人生」と「世界」を描いて見せるものだと思う。この映画の主人公の兄弟も、例えば「ダークナイト」のバットマンとジョーカー同様、人間誰しも持つ二つの側面を象徴し、見るものの心を揺さぶり、単純な「勧善懲悪」を見た時とは違う深い共感を呼び起こす。

そして「ダークナイト」においては引退も考えるバットマンと、バットマンが後事を託そうと考える正義派の若手地方検事との立場の違い、「スラムドッグ$ミリオネア」においては成長していく主人公の少年少女の成長と、巨大スラムが高層ビル群に変化した大都市ムンバイの変化の描写が人生における「時間」の流れについて考えさせ、感情を揺さぶる。

しかし、心を揺さぶる点で両作品は共通するが、のっけからの巨大スラムの臭いが沸き立つような生々しい描写から、宗教に関わる激しい衝突の場面、そして建築中のビルの高層から見るムンバイの建築ラッシュのパノラマなどで、「世界」の「いま」を表現の背景に強烈に描き込んでいる点で、「スラムドッグ$ミリオネア」の方が世界規模の視野とジャーナリスティックな視点をより多く含んでいると言えるだろう。

「インドが初めてハリウッド映画で描かれた」という言い方がされるが、確かに途上国の貧困に正面からふれた作品がアカデミー賞を総なめにしたことに、時代の変化を感じる。それ以上に主人公がイスラム教徒という欧米の映画(ハリウッドも資本参加した英国人監督の英国映画)というのはたいへん珍しいことなのではないか。

(やはり、「9・11で世界は変わった」というのは間違いで、「9・11で一時的に起こった逆流もようやく収まり、世界は再び望ましい方向への変化を静かに進めつつある」というのが出しい時代の読み方だ。「小泉政権」「安部政権」などによって、逆流に適合していた自民党政権に変わり、この映画で描かれたような「世界の問題」に真剣に取り組むような、フレッシュな日本の政権が誕生することが望まれる。)

そして主人公の子ども時代に、彼らの集落がヒンズー教徒過激派らしき集団に襲撃される場面が出てくるなど、「宗教」をかなりはっきり描いている部分があるが、今のところこの映画が「イスラム教組織」「イスラム教国」などから何らかの批判や攻撃にさらされているという話は聞かない。

恐らく、脚本・演出などを通じてイスラム教について高度な理解が示されていることが、そのような結果につながっているのではないかと推測する。

しかし、映画の本筋は「一人の女性への一途な思い」を抱き続ける青年が、自身のダークサイドを象徴するとも言える兄との「戦い」の中で成長し、その過激な人生経験がクイズ番組での正答に結びついて‥という展開。わが息子も「いろいろな体験が、クイズの解答に役立っていた」と、学校への往復とパソコンだけと向き合う人生についてちょっと反省。

ワルの兄とが時々決定的な場面で例外的に見せる弟への思いが、映画全体のメッセージを圧倒的に前向きなものにしていると言えるだろう。

世界と、人生と、「時の流れ」についての見事な表現を見せてくれる作品。その面で期待していたわけではないので、かえって得した気分になるエンディングのインド映画風の楽しくエネルギッシュな群舞シーンも良かった。

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2009年4月30日 (木)

「小泉・竹中構造改革」ばかりでなく、「中曽根臨調路線」との明確な決別、チェンジが必要である。

はじめに
1.世界経済に起こっていること
2.日本経済の状況
3.経済対策の評価
4.今後の見通しと論点
しめくくり

はじめに

今後時々、経済についての見方を披瀝したい。まず、総論として現在の経済状況をもたらしている原因と打開の方向性について巨視的に捉えることを試みたい。

1.世界経済に起こっていること
                                                                  
「100年に一度」と言われる危機の核心は、アメリカの住宅バブルが崩壊する中で低所得者を対象とした「サブプライムローン」にもともと問題債権が多いことが露見し、さらにそれがデリバティブなど「一部危険な債権が分割され組み合わされることで、危険性が見えにくい高利回りの金融商品」として世界中の金融機関に保有されていたため、2008年9月の「リーマンショック」がさらなる引き金となって欧米を中心とした世界に起こった金融パニックである。

さらに金融機関の経営悪化は信用収縮を引き起こし、実体経済に深刻な影響を及ぼしている。端的に言えば、アメリカの消費者がこれまで何の問題もなく組んでいたローンが金融機関によって提供されなくなってしまったために、例えば自動車の販売が落ち込み、ディーラーをはじめ電機など関連する内外の産業全ての経営が悪化するといった具合である。そうして実体経済が落ち込めば、金融機関の業績はさらに悪化して貸し渋りが起こり‥と事態は悪循環に陥っている。

国際通貨基金(IMF)は4月22日、世界全体の2009年国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを、1月の前回予測時の0・5%から1・8ポイント引き下げ、マイナス1・3%と大幅に下方修正している。世界のマイナス成長予測は、第二次世界大戦後では初めてのことだ【記事1】。

2.日本経済の状況

当初、わが国の金融機関はサブプライムローン関連の金融商品をあまり買っていないので「経済の落ち込みは欧米より小さい」と予測され、リーマンブラザースが破綻した際に財政経済担当相が「ハチに刺された程度」と形容していたが、先に掲げたIMFの最近の世界経済見通しでは1月の予測時より3・6ポイント引き下げてマイナス6・2%と予測され、見通しを示した対象国の中では引き下げ幅が最も大きかった【同】。

日本政府も最近、昨年12月に発表した2009年度をゼロ%成長としていた経済見通しを大幅に下方修正して、マイナス3パーセント超とする発表を行っている【記事2】。

日本経済の落ち込みが諸外国よりも大きいのは、輸出依存度高いためである。アメリカ向け輸出が経済の大きな柱であることは中国も同様であるが、中国には巨大な内需があり、それもまだまだ成長余地が大きい。わが国の経済がより成熟したものである=多くの人がモノをすでに持っている=ことは内需が伸びない背景の一つとなっている。

しかし、内需の低迷にはこれまでの政策の累積が原因になっているという側面も看過できない。まず、1980年代の中曽根内閣当時からのわが国の経済政策は、繰り返された「内需拡大」のキャッチフレーズと裏腹に、一部のグローバルな輸出企業の「競争力強化」に偏ってきた。中曽根内閣の「臨調路線」は福祉国家の建設よりも財政均衡のかけ声を優先したもので、高い為替レートの設定により、貿易摩擦を回避して一部の超優良の輸出企業のための良好な貿易環境の確保に努めたことは事実だが、そのことが結果として全国の地場産業や多様な中小企業の存在をより難かしい立場に追いやったことも否めない。

1990年代の土地・金融バブルの崩壊も「天から降ってきた災難」のように言われるが、実際には通貨供給政策の失敗(=第二次石油ショック後の不況、プラザ合意後の円高不況に対し、「臨調路線」の呪縛で財政出動をせず、過度の金融緩和にしわ寄せした)と、資産保有における土地の有利性、都心部再開発の推進など不動産バブルには「政権が政策の結果として作り出したもの」という側面があり、さらにバブル崩壊後の不況長期化の原因の一つは先に述べたように、バブル崩壊以前の「臨調路線」が「内需拡大」のかけ声とは裏腹に、外需依存体質を改める効果的な手だてを怠ったことにある。

回復軌道に乗りかけると拙速な緊縮政策で腰折れをもたらし、税収も減らすなどジグザグコースをたどった日本経済も、90年代の宮沢政権、小渕政権などの大規模な財政出動によりようやく安定軌道に戻りつつあったが、2000年代初頭の小泉内閣における「小泉・竹中構造改革路線」は再度日本経済を「一部優良企業による輸出への過度な依存」「金融バブル指向」「福祉軽視」の誤った方向にリードした。一時的には世界経済のバブル的な好況に乗り、また労働規制の緩和=実質的な賃下げ=によって見かけ上の企業業績は絶好調という一時期があったが、いま現実となっていることは「世界で一番の経済落ち込み」「金融立国の幻想崩壊」「将来不安による内需萎縮」だ。

小泉・竹中路線は「格差拡大」「非正規雇用の増大」といった点から批判されることが多い。それもその通りだが、そもそも英サッチャー政権による「金融ビックバン」や、米経済のITバブルや住宅バブル、さらには複雑な金融商品の生み出す金融バブルに幻惑されて「金融立国」などという誤ったキャッチフレーズが踊り、また「規制緩和」の大合唱の下、中曽根臨調路線時代からの「大規模な優良輸出産業の競争力強化に過度に偏った政策」を継承することで、地方の疲弊、中小企業の衰退をもたらしたことをも批判されるべきである。小泉・竹中政権が現実にもたらしたものは「経済の落ち込み=税収減および経済対策の必要」による「財政赤字の大幅な拡大と日本経済の脆弱化」なのだ。

3.経済対策の評価

麻生内閣の2009年度予算の補正予算における15兆円とも言われる財政出動についての評価はさまざまだが、何もしなければマイナス6パーセントとも言われる今年度の経済成長をマイナス4パーセントにまで、2パーセント程度引き上げる効果があると期待できる。数字としては2パーセントに過ぎないが、いわば金魚鉢の水位が下がって多くの金魚が息もできないような状況になっているところに、水を注いでやるという作業であり、一面では理にかなった政策である【記事3および4】。

ただし、仮に10兆円の国債増発となれば、その分、国民の借金が増えることになることは念頭に置いておかなければならない。「国民全体としては、国に対して10兆円の債権を新たに持つことにもなるのでトントンだ」という見方もできるが、それでも「10兆円分の国債の利子は、国民全体が負担して支払い、受け取るのは直接間接に国債を保有する高額所得層」という所得の逆方向への再配分という問題が拡大する。

さらに15兆円の使い道についても指摘されるとおり、賢明なものであるかどうか吟味することが本来必要だ。「乗数効果(=カネを注ぎ込めば何倍にもなって帰ってくる)」の大きい、成熟度の低い経済であればケインズが指摘したとおり「労働者を雇って穴を掘らせ、さらにそれを埋め戻させることに給料を払うことだっていい」ということなのだが、借金を上回る効果が期待しにくいとなれば、将来の経済成長にプラスになるような使い方を工夫しなければならない。

わが国の内需拡大のためには、社会保障・福祉を充実し国民の将来不安をやわらげることが必要であり、効果も大きいと思われる。環境問題への世界大の関心の高まりに応えること、将来の競争力強化のために教育予算を欧米並みに引き上げる努力が必要だ。今日の状況をもたらした「元凶」とも言えるアメリカでは、オバマ政権の誕生後、このような指向性を持った「チェンジ」が推進されつつある。こういった点から今回の補正予算案を見渡せば、「ハイブリッド車購入への支援」などは同分野のわが国の競争力強化にもつながる政策として期待できる。しかし例えば「介護」従事者の報酬アップは単年度の措置に限られており、教育への予算シフトはないなど、充分な未来志向、充分なチェンジが含まれていると評価することはできない。

さらに政策推進のための「新たな基金を設ける」という手法が目立つ。これは「直ちに支出するわけではない」という点で景気対策の規模を大きく見せる水増しであり、「官僚の裁量に任せる」「天下り団体の活躍の場を広げる」という要素が大きい点で、政官財癒着構造への逆行だ。

4.今後の見通しと論点

まず世界の金融がいつ立ち直るかどうかといった点については「かなり時間がかかる」と予測せざるを得ない。焦点のアメリカ銀行政策は「一時国有化、不良債権の切り離しによる再生」という手段をとらず、結局のところ「官民で基金を作り、不良債権を買い取る」という方式を採用することになった。

これは、当初「日本の失われた10年は繰り返さない」と言っていたオバマ政権が、実際にはかつての日本と同様、ドラスティックな政策はとらず、いわば兵力の漸次投入のようなよく言えば穏健な、悪く言えば中途半端な対策を採用したことになり、時間を空費する恐れが大きくなったと言える。「来年度からの回復」「それを織り込んで、この夏から株価回復」という声も聞かれるが、無理なのではなかろうか。

日本経済も「財政出動」は必要だが、それが問題の解決になるということではない。むしろ「中曽根内閣の臨調路線」、「小泉内閣の構造改革路線」から明確に決別し、「多少税負担が増えても安心できる福祉を構築することを通じて内需拡大を図り、また日本の未来を切り開ける公立学校教育の再建をする」といった方向への「明確なチェンジ」が行われるかどうかが、日本経済が力強く再生できるかどうかの決定的な分かれ目だ。

もしそのようなチェンジが行われるとすれば、どのような分野でどのような変化が、どのようなスピードで起こるかをいかに見極めていくことが投資家や事業家にとっての勝負所となる。一方で、そのような明確なチェンジがなければ、今と同様な状況がだらだらと続き、わが国の経済回復は主要国の中で一番遅れると判断して良いだろう。

しめくくり

次の機会には、今回のレポートのような問題意識を根底に置きつつ、世界の森羅万象に目配りしながら、日本経済・首都圏経済の動向と見通しについての意見を述べていきたい。

                                                                   
【 記事1】                                                                  
                                                                   
IMF:世界経済見通し 戦後初、マイナス1.3%成長 日本も6.2%--09年

 【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は22日、最新の世界経済見通しを発表した。昨年秋の金融危機以降、世界規模で急激な景気悪化が続いていることを受けて、世界全体の09年国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを、1月の前回予測時の0・5%から1・8ポイント引き下げ、マイナス1・3%と大幅に下方修正した。
 世界のマイナス成長予測は、第二次世界大戦後では初めて。日本については3・6ポイント引き下げてマイナス6・2%と予測し、見通しを示した対象国の中では引き下げ幅が最も大きかった。
 日本以外にドイツもマイナス5・6%とマイナスの幅が大きく、不況による世界的な生産・貿易の急縮小の影響が、輸出依存型の経済大国を直撃した形となった。
 米国はマイナス2・8%、ユーロ圏もマイナス4・2%とそれぞれ大幅なマイナス成長を予想。先進国全体では前回のマイナス2・0%から1・8ポイント引き下げられマイナス3・8%と予測された。
 一方、高成長で世界経済をけん引すると期待されていた新興国も、ロシアが5・3ポイントの大幅引き下げでマイナス6・0%と日本並みに落ち込むとされ、中国が6・5%、インドも4・5%とそれぞれ成長率が鈍化する見通しとなった。
 IMFは、10年については世界全体で1・9%、日本は0・5%とプラス成長への回復を予測しているが「見通しは前例がないほど不透明であり、大幅な下振れリスクが存在する」との危機感も表明。さらに「金融市場の安定化には想定よりはるかに長い時間がかかる」と明記し、金融機関への公的資金の投入や大規模な財政出動を伴う景気対策の実施を加盟各国に促した。

毎日新聞 2009年4月23日 東京朝刊

                                                                   
【 記事2】                                                                   
                                                                   
GDP、2年連続で3%超減に 内閣府見通し下方修正 朝日新聞2009年4月27日

 内閣府は27日、08年度と09年度の国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを公表した。08年度は前年度比3.1%減、09年度は3.3%減と、昨年12月にまとめた政府経済見通しを大幅に下方修正。世界的な景気悪化を受け、2年連続で戦後最悪のマイナス成長となる。
 見通しは与謝野経済財政相が同日午前の臨時閣議で報告した。昨年12月の政府経済見通しでは、08年度の実質成長率を前年度比0.8%減、09年度をゼロ%としていた。

 08年度については、09年1~3月期の実質成長率が年率換算で14%程度のマイナスになるとして、マイナス幅を拡大。09年度も、過去最大規模となる15兆円の経済対策が成長率を1.9%程度押し上げるが、それでも過去最悪だった98年度の1.5%減を超える落ち込みとなる。
 景気を引っ張った自動車などの輸出産業は08年秋から急速に業績が悪化し、経済全体に波及。09年度は輸出が前年度比27.6%減、民間設備投資は14.1%減と、比較できる55年度以降で最悪のマイナスだ。
 09年度のその他の指標は、完全失業率が5.2%と過去最悪だった02年度の5.4%に迫り、雇用者数も前年度比0.9%減と悪化する見通し。消費者物価指数はマイナス1.3%と05年度以来のマイナスで、物価下落が景気悪化を加速させる「デフレ」が懸念されている。

                                                                   
【 記事3】                                                                  
                                                                   
政府、09年度補正予算案を閣議決定 一般会計13兆9256億円  日本経済新聞

 政府は27日午前の臨時閣議で追加経済対策の裏付けとなる一般会計の歳出規模で13兆9256億円に上る2009年度補正予算案を決定した。ただちに国会提出し、午後の衆参両院の本会議で与謝野馨財務・金融・経済財政相が財政演説を行い、審議入りする。麻生太郎首相は補正予算案への野党の対応によっては衆院解散・総選挙に踏み切る構えをみせており、補正審議は政局含みだ。
 補正予算案の歳出規模は過去最大。当初予算と合わせた09年度の一般会計総額は102兆4736億円に達し、2度にわたる大型景気対策を実施した1998年度の89兆円を大きく上回る。4月中に補正予算案を国会提出するのは初めて。
 補正予算案の歳出として追加対策の関連経費14兆6987億円を計上。財源の一部に当初予算で設けた1兆円の経済緊急対応予備費のうち8500億円を取り崩したことから歳出規模は差し引き13兆円台となった。(09:13)
                                                      
【記事4】                                                                   
                                                                   
追加経済対策に一定の評価、需要喚起は今のところ限定 朝日新聞2009年4月24日

 政府が「不況脱出の4段ロケット」と呼ぶ過去最大の追加経済対策が決まった。住宅購入者にとっては、09年度予算と関連法の成立ですでに実行段階に入っている過去最大規模の住宅ローン減税とならんで贈与税の非課税枠拡大や住宅金融支援機構の長期固定型住宅ローン「フラット35」の10割融資などが追い風になる。
 住宅・不動産業界からは「若年層の住宅取得をバックアップすることになる」(岩沙弘道・不動産協会理事長)などと、政府による追加経済対策の早期実現に期待を寄せているが、足元の住宅マーケットは分譲住宅の供給抑制傾向や戸建て住宅の受注不振などが継続し、政策効果がまだはっきりと表れていないのが現状だ。
 予算と関連法の成立で、10年間で最大500万円(一般住宅)の税額を所得税・住民税から控除できる住宅ローン減税について、ある大手不動産の幹部は「販売現場で具体的にセールストークができるようになったことは大きい」と一連の景気対策を評価する。また、今回の追加経済対策で盛り込まれた贈与税の減税(住宅の購入や増改築が条件で、非課税枠を現在の年110万円から610万円に拡大)にも一定の評価を与えているが、「いかんせん親世帯のマインドは厳しく財布のひもは固い」と見ている。
 足元の住宅マーケットだが、首都圏の分譲マンションは3月の契約率が7カ月ぶりに70%台に回復し、販売在庫も昨年末の1万2427戸から8846戸に減少してきた。価格の下落などが奏功したためだが、その一方で新規供給の抑制傾向は今年に入ってからも収まらず、3カ月連続で前年同月比2ケタの減少が続いている。
 一方、戸建て住宅の受注も低迷が続く。大手住宅メーカーの受注状況をみると、昨年の“リーマンショック以降”、10月から2ケタの減少が続いており、例年だと受注が大きく伸びる年度末の3月期も同じように2ケタ減という状況になっている。
 家計への影響が大きい住宅ローン減税だが、分譲マンションの新規供給や住宅受注の現状を見ると、本格的な回復にはほど遠く、一連の政策効果もまだ限定的といえそうだ。
 元々大きな借金を抱えることになる住宅の購入や建設にとっては、将来不安に対するウエートが相当重く出る傾向がある。企業の業績悪化からボーナスだけでなく、ベースアップも期待できない景気の現状では、先行きに対する確信が持てないということだろうか。 いずれにしても、大型連休に向けてディベロッパー各社や住宅メーカーは販売攻勢をかけることにしている。野村不動産は首都圏で約500戸のマンション販売を予定しているほか、三井不動産など他の大手各社も軒並み新規物件を投入する。
 一方、住宅メーカー各社も太陽光発電システムを搭載した住宅など、政府や自治体の補助金などを追い風に“環境系”を切り口にキャンペーン活動を本格化させる。また、長期優良住宅普及促進法が6月4日に施行されることから、こうした施策もテコに受注活動を強化し、集約につなげる。
 今回の追加経済対策については、住宅・不動産業界だけでなく、電機・自動車といった産業界の反応もいい。住宅需要は景況感にリンクするといわれているだけに、今のところ政策効果は限定的だが、プラス材料であることは間違いない。

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2009年4月29日 (水)

平田オリザ氏の寄稿「政治家を演じる」(朝日新聞4月29日付)に共感

平田オリザ氏の寄稿「政治家を演じる」(朝日新聞2009年4月29日付19面オピニオン欄)を、たいへん共感しながら読む。

今日はちょっと忙しいので後日にするが、「世襲制」について森田が思うところを、こんな感じで書いてみたいものだと思う。

それにしても、こういう、ゆったりした感じで、本当に話すべきことを話すものを読むのは気分がいいものだ。

日頃紙の新聞を買わなくなった人にも読む価値があるので、コンビニで買うとか、明日勤めに出る人は切り抜くなりコピーするなりをお勧めする。

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2009年4月23日 (木)

草なぎ剛君逮捕のニュースを聞いて(感想)

驚きのニュースだったが、ます思ったのはとにかく日本の場合は警察が出てきた場合「ご迷惑をかけて申し訳ありません」と権威を認めたふりをして低姿勢で出るか、反抗的な態度をとるかどうかで扱いが全く異なると聞くので、恐らく後者の方だったのではということ。

ついで思ったのは、草なぎ君は韓国通で韓国語も得意なので、

▼もし酔っての叫び声に韓国語が混じっていたことが逮捕に関係しているとすれば、関東大震災時の官憲がからんでの朝鮮人虐殺という過去もあるので、その時の警察官とのやりとりは詳細にフォローする必要がある。

ということだ。帰宅して娘に聞くと、案の定酔って一部は韓国語で叫んだり、歌うったりしていたという。

さらに、ワイドショーなどを見ていた娘によると、

▼鳩山邦夫総務大臣が激怒して「人間として最低だ」といった趣旨のことを吐き捨てるようにコメントしていたという。そうかな。確かにご近所に迷惑というのは反省しなければいけないけれども、若い人が酔っぱらってハダカになったことで、国務大臣が「人間として最低」などと断じるのは、むしろ品格に欠けた、思い上がった発言ではないか。

「地デジ」のPRキャラクターということがあるのもしれない。しかし、それを言うなら、総務省の役人の天下りや接待、蓄財に都合がいいからだかなんだか知らないけれども、この国民生活厳しき折に、不要不急の「地デジ」に血道を上げている自分たちの方が「最低」なんじゃないか。

▼この際、草なぎ君の「地デジ」関連のコマーシャル出演料なども国民の前に明らかにし、総務省だの、それに連なるいろいろな機関や企業が「国民の税金」をどれくらい無駄遣いしているのか、していないかも徹底解明すべきだ。

鳩山邦夫氏の「かんぽの宿」がらみの仕事などはいい仕事だ。まあ、今回の大臣コメントでお里が知れたことで、「かんぽの宿」が自民党の支持率アップにつながる効果が減殺されたとすれば良かったが。

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2009年4月22日 (水)

国益に反する安倍晋三氏の危険な「先制攻撃」論

公務員は当然、憲法を遵守する義務がある。日本国憲法の前文と第9条を読んで、そこに軍事力による先制攻撃を容認する内容があると思う人はいないはずだ。つまり、安倍氏の言っていることは「憲法違反」なのだ。

法律以前の話としても、こんどのような発射台がわかっていて、何日もかけてのんびり液体燃料を詰めるようなタイプの「ミサイル」なら、米海軍配備のトマホーク(ロケット式の弾道ミサイルではなく、飛行機と同様な飛び方をする精密誘導の「巡航ミサイル」)1発あればいいが、すでに大量に配備されている移動式でどこにあるかわからず、発射にそれほど時間がかからないタイプの中距離ミサイルを全部叩くことは物理的にほぼ不可能で、仮に技術的に可能だとしてもそのようなシステムを実際に配備・稼働させるにカネがいくらあっても足りないではないか。

安倍氏や仲間の「従軍慰安婦はなかった」論の、例えばワシントンポスト全面広告が米下院の日本非難決議可決を誘発したように、このような議論はアメリカ政府にも「日本はやっぱりズレている。現実が見えていない」という受け止め方をされ、日本の政治的な信頼度を損なっている。国益に反する言動なのだ。

そもそも、日米安保条約は「日本の米軍への基地提供」と、「アメリカの日本防衛」を交換条件とする条約で、そこに「同盟」なんてことばは一言も書いていない。日米の緊密な協力はとてもいいことだが、自民党政権や外務省が「同盟」などと言いつのるものだから、アメリカの普通の人々はアメリカ軍が攻撃されれは、日本は「同盟国」なのだから敵に反撃する義務があると信じてしまっている。これも国益を大きく損なってきた言動だ。

北朝鮮ミサイル発射で敵地攻撃力の検討必要 安倍氏  NIKKEI NETより

 自民党の安倍晋三元首相は21日、党本部で開かれた中堅・若手議員がつくる「北朝鮮に対する抑止力強化を考える会」で講演し、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、敵基地攻撃能力の保持に向けた議論を進めていくべきだとの考えを示した。

 山本一太参院議員ら出席者によると、安倍氏は「日米同盟を機能させるためにも集団的自衛権や敵基地攻撃について議論の整理をしっかりしていくことが大事だ」と指摘。「(将来的に)今後の脅威に備える議論が必要だ」と語った。(23:01)

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2009年4月21日 (火)

国益に反する麻生総理の供物奉納=野党、メディアは「東条英機ら合祀」の靖国神社への供物奉納を厳しく問い糾すべき

靖国神社は、神社の意思として東条英機らいわゆる「A級戦犯」を合祀し、境内に「遊就館」という侵略と軍国主義を美化する博物館を整備している。

そのため天皇は参拝せず、中国や韓国に配慮して主要閣僚をはじめほとんどの現職閣僚は参拝を見合わせている。

細かい論点を措くとして「東条英機らの合祀を続けるなら、首相らの参拝はない」。「靖国神社側がその点を改めれば、参拝の道は開かれる」という事実上のコンセンサスが変な右翼を除けば出来ているといって良いだろう。

その「東条英機らの合祀を続ける靖国神社」に内閣総理大臣として供物を奉納するような総理大臣、そうした人を総裁に頂いて何の批判も起こらない自民党に、日本外交の「地元」である北東アジア近隣諸国との良い関係が築いていけるか大いに疑問だ。国益に反する行為だ。

首相が靖国に供物奉納

2009年4月21日(火)13時20分配信 共同通信

 麻生太郎首相が21日から始まった靖国神社の春季例大祭に合わせて「内閣総理大臣」名で「真榊」と呼ばれる供物を奉納していたことが同日、分かった。現職首相の靖国への供物奉納は、07年4月当時の安倍晋三首相が行って以来。首相は29、30日に中国訪問し首脳会談を予定しており、訪中直前に発覚したことで中国側が反発することも予想される。韓国も懸念を表明する可能性がある。

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2009年4月17日 (金)

映画「ダークナイト」(2008年)

最近、新設された「映画館スタッフが、観客に勧めたい映画」というコンセプトの「映画館大賞」では邦画の「ぐるりのこと」「おくりびと」「歩いても 歩いても」「トウキョウソナタ」などが上位を占めたが、大賞はアメリカで興行成績を次々塗り替えたハリウッドのバットマン映画「ダークナイト」だった。

レンタルビデオ屋の並ぶ空き箱に1本だけ「貸し出し可」のDVD。さすがの出来映え。バットマンが後事を託すに足ると考えた正義派地方検事のデントと彼の道行きを描いていく中で、ダークサイドのない存在などあり得ないことを抉り出していく。

大ヒットの原動力が、遺作となったヒース・レジャーによるバットマンの反対存在・ジョーカーの突き抜けた力演・怪演であることは言うまでもないが、森田が大ヒットのカギとして注目したのは二隻のフェリーボートに満員の乗船客同士が、ジョーカーに「先にスイッチを入れ相手を皆殺しにした方だけ助けてやる」と恐怖のゲームを仕掛けられた場面だ。

チェイニー前副大統領、ラムズフェルド前国防長官なら、迷わず起爆スイッチを入れただろう。しかし、丁寧に心理劇が描かれた結果、市民、あの局面に置かれたアメリカ国民は‥

かなり肯定的なメッセージ。ダークサイドに力点があると言われる作品だが、アメリカの一般市民の倫理性に対する絶対の信頼感、あるいは「希望」が謳われていることがアメリカ人の心を打ったのではないか。

それにしても、ここまでの興行成績ということは「ダーククナイト」が人類の歴史の中で繰り返し語られてきた神話と同じ構造を持っていることを疑うべきなのだろう。

例えばひと昔前の「タイタニック」のストーリーは、神話学者・故ジョーゼフ・キャンベルが言う「オリに閉じこめられ、内面的には自分で自分をオリに閉じこめているヒロインのところに、旅の途上の若き英雄が現れて彼女をくびきから解き放つ。しかし、若き英雄は戦いの中で死ぬ」という、世界中に共通して存在する神話そのものだと思う。

「ダークナイト」も絵解きしてみたいものだ。もっとも、それ以前に「暗い夜」じゃなくて「暗黒の騎士」だったのか、と今頃気がついているわけなのだが。

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«一部スペイン語になった「ウェストサイド・ストーリー」