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2005年9月18日 (日)

前原氏の海外武力行使容認発言に反対

 共同通信によると、民主党の前原新代表は「イラク南部サマワで活動する自衛隊の武力行使について『自衛隊を守ってくれている国が攻撃されても反撃できないという形でいいのか、タブー視せず議論していく』と指摘した。NHKとテレビ朝日の報道番組で語った」そうです。

 さらに「前原氏は『戦力の不保持』を規定している憲法9条2項を削除し、新たに明記する自衛権には個別的自衛権と集団的自衛権の双方が当然含まれるとの認識を示した。その上で集団的自衛権について『米国に助けてもらうこともあれば、米国を助けることもある。それ(行使の在り方)を判断するのは日本の主体性だ』として、限定的な行使を容認する考えを明らかにした」とのことです。

 森田は、仮に日本が侵略され、米軍が日米安全保障条約に基づいて日本防衛にあたっている時に、例えば米軍の艦船等が日本の領域内で攻撃を受けたとすれば、自衛隊がその防御のための行動をするのは当然のことであると思います。それは「集団的自衛権」の行使ではなく、日本の「正当防衛」ないし「自衛権行使」の範囲であり、日本国憲法の禁じるところではないと考えるからです。

 「集団的自衛権」というのは、その一面を噛み砕いて言えば「同盟国による第三国への軍事攻撃に参加する権利」ということで、私は現在の憲法はこの行使を禁じており、将来もわが国が憲法を改正してこのような権利を持つ必要はないと考えますが、前原氏が「集団的自衛権」行使には憲法改正が必要であるという立場に近いらしいことは評価できると思います。

 問題は、サマワの自衛隊が、協力関係にある国の部隊のために武力行使することを認めるべきだという趣旨の部分です。私は「日本国憲法は海外における武力行使を認めていない」というのが、これまでの政府の立場、国会での論議の積み重ねから定着している合意の線であると考えます。

 従って、海外での武力行使をしたいという立場の人が憲法改正を主張するのは、私は賛成はできないけれどもひとつのロジカルな立場であるとは思います。

 しかし、法律解釈の変更だけで「イラクに出している自衛隊が協力関係にある国の部隊のために武力行使する」というのは、私は「憲法違反」であると考えます。そうしなければいけない必然性があると言うのなら、そもそも派遣が間違いであると考えるべきでしょう。

 満州事変を起こした関東軍は、日露戦争の結果日本がロシアから獲得した「南満州鉄道」を警備するために配備が認められた部隊でしたが、その趣旨を大きく逸脱して1931年に自作自演の列車爆破事件をきっかけに中国東北部を軍事占領して傀儡国家を樹立しました。1937年に中国軍と北京郊外で小競り合いを起こし日中戦争の発端を作ってしまった部隊は、義和団事件後に各国に認められた居留民保護のための部隊でした。

 そこにいたこと、そこで一定の武力行使を行うことの権利は国際法上認められていたのかもしれません。しかし、そこにいて武力を行使したことが、やがて国民に計り知れない大損害を与える結果を引き起こしました。ほんの一世代前にわが国の軍、政府が起こした行動の実績を考えれば、前原氏の「タブー」を破ろうとする意気込みは、悪しき結果を招くような気がしてなりません。

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コメント

前原氏と軍産複合体との不透明な関係は前から噂されています。MDA構想推進に一枚噛んで、抜き差しならない関係だ、という話も聞きます。そこが古典的な民族主義・憲法改正ワンセットの右派と違うところで、古典的な左翼的反発では通じない、小泉氏と似た危険性を感じています。小泉に前原、この国で子育てすることはとても危険な感じがしています。

投稿: きょうも歩く | 2005年9月18日 (日) 23時39分

わたしは今まで交通事故に遭っていない、だから今後も交通事故に遭わないだろう・・・なんて考える人がいるでしょうか。しかし、こと国防に関しては、そのように考える人がいるようですね。アメリカの傘下にいれば大丈夫と考えているひとがいるとしたら、いったん戦争になったら、条約も法律もなにもない、という史実をどう説明するのでしょうか。
現行憲法の拡大解釈では、もはや持ちこたえられなくなっています。改憲論者はそこを指摘していると思います。

投稿: masasan | 2005年9月23日 (金) 11時35分

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