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2006年3月23日 (木)

海軍美化の元凶、阿川弘之の文化勲章は取り消すべき

4月に高校生になる息子に、春休みの課題として保坂正康氏の『あの戦争とは何だったのか』(新潮新書)を与え「何が書いてあった?」と聞いてみたところ「戦争を始めた責任は陸軍にあると一般には言われているが、海軍の責任も実は重大だったということが書いてあった」と言う。本全体の要約にはなっていないけれども、この本の特徴的な部分ではある。

確かに海軍にはワシントン軍縮条約などを支持し、日独伊三国同盟に反対した鈴木貫太郎、米内光政、山本五十六といった人々がいたことは事実であり、彼らの事績は海軍出身の作家・阿川弘之の作品などで広く知られた。海軍は戦争に責任がないかのような錯覚が広まったとも言える。

実際には長老・東郷平八郎のまわりに条約反対派の海軍幹部が集まって、野党政友会の鳩山一郎らと一緒に「統帥権干犯」などと内閣の国際協調路線を妨害していた。戦犯容疑に問われた永野修身軍令部総長は対英米開戦を支持したわけだし、保坂氏の本では複数の氏名を挙げて軍令部の若手幹部が対米開戦を推進したこと、陸軍は対英米開戦には必ずしも積極的だったわけではないので、海軍のこの姿勢がなければ対英米開戦はなかったことを具体的に指摘している。

アフガン戦争で米空母が横須賀から出航する際に、海上自衛隊のイージス艦が護衛して見送ったのは、防衛庁や官邸の関与のないまま海上自衛隊の制服組が直接米海軍に売り込んだことが知られているが、今の憲法の下でさえ制服組が勝手に状況を動かすというのは困ったことだ。

ところで海軍の和平派(正確には現実主義派と言うべきか)の提督たちを小説に取り上げ、あたかも自分も立派な人間であるかのようなイメージを作り上げることに成功した阿川弘之は、あいかわらず下手くそな文章で日本と近隣諸国の良好な関係維持を危うくするような言辞を繰り返している。このような者に「文化勲章」を与えたのは誤った判断だった。トンチンカンな発言を続けるなら授与を取り消した方がいい。

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