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2006年5月11日 (木)

岡倉天心『茶の本』(岩波文庫)読了

岡倉天心の『茶の本』が出版されて100年だそうだ。NHK教育テレビの『岡倉天心アジア100年の旅』でも紹介していたが、日露戦争直後に書かれたこの本書き出しで天心は「西洋人は日本が平和な文芸にふけっていた間は、野蛮国とみなしていたものである。しかるに満州の戦場に大々的殺戮を行いはじめてから文明国と呼んでいる」「もしわれわれが文明国たるためには、血なまぐさい戦争の名誉によらなければならないとするならば、むしろいつまでも野蛮国に甘んじよう」と言っている。

いいセリフではないか。自衛隊の海外派遣や日米安保のガイドライン変更といった話しにもそのままあてはまるし、あるいは「経済競争力」に遅れをとっては世界の中での存在が否定されるかのような脅迫観念をいったん離れて、天心の説く、道教や禅といったアジアに源のある思想を受容し、育まれた日本文化の中にこそ、ほんらいわが国が誇るべきものがあるのではないかといったことを考えさせる。

ある人が「この魚は心から楽しんでいる」と言ったら、もう一人の人が「おまえは魚ではないのに、そんなことがわかるわけがないではないか」と混ぜ返したのに対し、初めの人が「お前は私ではないのに、私が魚の気持ちをわかっているのかわかっていないのか、わかるわけがないではないか」と言い返したという話しの紹介には、大喜利を連想して笑ってしまった。もっとも、笑点のやりとりにも「禅」がベースにあると解釈することができるかもしれない。

「美」を知ろうとするものは、姿や振る舞いも美しくあるよう心がけるべきだといった話しには、そういったことに頓着しない自分を反省した。

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