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2006年5月13日 (土)

小泉総理の訪米議会演説画策にハイド外交委員長の物言い

6月に予定されている小泉総理の訪米は、アメリカ一辺倒の無責任な外交運営と、懸案先送りによって難しいことは逃げ、権力の座の快楽だけを享受しようとする小泉内閣の精神面での腐敗を象徴するイベントだ。

小泉総理が訪米時に日本の総理としてはじめての米議会上下両院合同会議での演説を行うことを画策しているのに対し、米下院外交委のハイド委員長から「靖国参拝せずの確約を条件にすべき」という意見が示されているとの報道があった(『朝日新聞』2006年5月13日付夕刊1面)

今回の訪米は「国賓」の扱いの公式訪問で、公式晩餐会など最大限のもてなしが行われる。存在しない大量破壊兵器開発を理由に、国連安保理の支持をとりつけることもせずに開戦したイラク戦争に支持を表明し、親米タカ派政権だったスペイン、ポーランド、イタリアが撤退したイラクに自衛隊を派遣し続けている小泉政権、米軍再編に数兆円の巨額の血税を差し出そうとしている小泉純一郎氏をアメリカが歓待しようとするのは当然だ。

大歓迎を受けるのが楽しみでしょうがない小泉氏は、訪米を前に国会が大きく混乱することを恐れ、米軍再編への日本政府による負担の具体的な作業を「消費税増税」と共にポスト小泉政権に先送りし、国会の「会期延長せず」という方針を繰り返して「共謀罪」や「教育基本法改正」の強行突破のムードを煽っている。

こんな小泉政権が、アメリカで日本の政権でも最高の栄誉をもって迎えられるとすれば、日本国民にとっていい面の皮であるばかりでなく、アメリカ政府の名誉にとっても問題であることを今度のハイド委員長の問題提起は示している。

冷戦期に、米政権は「反共」であれば何でもいいと言わんばかりにアジアでも、中南米でも、人権無視の腐敗した軍事政権などを支持し続けた。日本でも戦犯容疑者だった岸信介政権を容認したばかりでなく、反共政権として歓迎した。冷戦終焉前後より途上国の政権民主化も進んできたわけだが、「A級戦犯の合祀される靖国神社」に参拝を繰り返す小泉総理を最大限に歓迎するということになっては、また「アメリカの外交安保に追随するなら、アメリカの自由や民主主義にかかわる歩みを否定してもかまわない」ということになってしまいかねないことに目がいきつつあるのか。こんな時に、岸信介の孫である安倍晋三氏が次期総理候補として浮上しているのも因縁を感じる。

アメリカも多数派は、自国の安全やカネ儲けのことばかり考えているわけだろう。しかし、仮にも「自由」や「民主主義」で世界に教訓を垂れようとするのであれば、その面で歴史を踏みにじろうという日本の政権を持ち上げすぎることは自己矛盾になることに気がついたのだろう。

6月の小泉訪米には、各メディアも多数の同行記者団を出すだろう。記者たちは官邸や外務省から下にも置かない接待を受けるのだろうが、少しはパフォーマンスばかりをおうのではなく、歴史の視点をもったまともな報道をしてもらいたい。

(なお、同じ『朝日新聞』2006年5月13日付夕刊5面によれば「放送人グランプリ2006」の特別賞に「NHKスペシャル・靖国神社~占領下の知られざる攻防」が選ばれたそうだ。以前にコメントした通り、これは良い仕事だったと思う。賛意と祝意を表したい。)

【以下は記事の貼り付け】

「靖国不参拝、表明を」
首相の米議会演説に向け 下院委員長、議長に書簡
2006年05月13日15時37分

 6月末に予定される小泉首相の訪米をめぐり、米下院のハイド外交委員長(82)=共和党=が、日本が模索している米議会での首相演説を実現するには「靖国神社を参拝しないことを自ら進んで表明する必要がある」とする趣旨の書簡を同党のハスタート下院議長に出していたことが12日わかった。8月の終戦記念日前後の首相の靖国神社参拝を強く牽制(けん・せい)する内容だ。

 米議会筋によると、書簡は4月下旬に出された。まず、イラクやアフガニスタンで米国を支援した強固な同盟の代表として首相の議会演説は基本的に歓迎する意向を表明。そのうえで、首相が演説の数週間後に靖国神社を参拝することへの懸念を示した。真珠湾攻撃に踏み切った東条英機元首相ら同神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯に首相が敬意を示せば、フランクリン・ルーズベルト大統領が攻撃の直後に演説した場である米議会のメンツをつぶすことになるとしている。

 さらに、真珠湾攻撃を記憶している世代にとっては、首相の議会演説と靖国参拝が連続することは懸念を感じるにとどまらず、侮辱されたとすら思うだろう、と指摘。「演説後に靖国参拝はしないと議会側が理解し、納得できるような何らかの措置をとってほしい」と求めているという。

 日本側は良好な日米関係をアピールする狙いから、首相訪米時に上下両院の合同会議で演説することを模索している。米議会の資料によると、実現すれば日本の首相としては初めて。合同会議での演説は上下両院の同意が必要とされており、上院側では首相演説に懸念を表明する動きは出ていない。書簡に対するハスタート下院議長からの返答はまだないという。

 ハイド氏は第2次世界大戦当時、フィリピン海戦などに参戦した経験のあるベテラン議員。昨年秋にも小泉首相の靖国神社参拝をめぐって「(アジアの)対話が阻害されるとしたら残念だ」などと懸念を示す書簡を加藤良三駐米大使に送っている。

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コメント

ハイド議員のブレーンは事実上韓国人だってね。

投稿: ハイド議員のブレーン | 2006年5月31日 (水) 19時18分

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