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2006年6月 6日 (火)

憲法改正を論ずる衆院本会議のあきれた状況

自民党の議員たちは、世間の常識とかけ離れて「憲法改正」で盛り上がっているらしいが、それでは国会ではまじめに、落ち着いて議論しているかというと全然そうではないらしい。今日付の『朝日新聞』の根本清樹編集委員の署名コラム(2006年6月6日付朝刊13面オピニオン欄「政態拝見」)は6月1日の衆院本会議で、国民投票法案の趣旨説明と質疑の際の自民党議員のヤジのひどさは、議場の記者席では発言が聴き取れないほどひどいものだったという。

あまりのヤジのひどさに業を煮やした民主党案の提案者である枝野氏は、社民党の辻元議員の質問に答え「(自民党憲法)草案は、憲法の定義を全く理解していない、論外のものであると強く申し上げる」「歴史的常識、世界的常識」に反しており「堂々と公党が提起しているだなんてことは全く信じられない」「イロハからしっかり勉強していただきたい」と発言したという。

民主党議員からまともな発言が聞けたのは良かったが、この本会議の状況は困ったものだ。通常国会は、訪米を快適に行いたい、また安倍官房長官を後継候補としてもり立てたい小泉総理の私的な都合で、教育基本法や国民投票法はごり押し成立を図らない方向と報じられているが、それでも自民党の「数」と、本会議に見られる自民党1年生議員の低レベルぶりを考えると、秋の臨時国会では極右反動法案が次々に成立する恐れは充分にある。

こうした本会議の様子なども、もっと広く報道されるべきである。根本記者の取り組みは良かった。ぜひ英訳を英語版ネットページに掲載すべきだ。

【以下は、上記『朝日新聞』記事の貼付です】

発行日 =2006年6月6日  ソース =朝刊
面 名 =オピニオン1  ページ =13
発行社 =東京  文字数

=1455   

(政態拝見)ヤジと怒号 「国家」を論じる作法とは 根本清樹

 傍聴に訪れていた人たちも、びっくりしたのではないか。
 1日の衆院本会議で、憲法改正の手続きを定める国民投票法案の審議が始まった。しかし、その「歴史的な法案」(自民党の保岡興治氏)をめぐる初めての論戦の一部は、ヤジと怒号によってかき消された。
 自民党席の前列に陣取る若手議員が、とりわけやかましい。民主党案の要点を述べようとする同党の枝野幸男氏に向かい、「いいよ」。趣旨説明など要らないとは、いかにも無礼だ。
 業を煮やした枝野氏が「うるさい! 黙らせて下さい、議長」と叫ぶ。さらに場内騒然。
 議場の記者席にいたのでは、発言が聞き取れない。やむをえず退散し、国会テレビで見ることにする。
 ヤジ騒ぎは副産物をもたらした。
 本会議は質疑に移り、社民党の辻元清美氏が民主党にただした。自民党が昨年10月に決めた「新憲法草案」をどう評価するのか。枝野氏が答弁した。
 「草案は、憲法の定義をまったく理解していない、論外のものであると強く申し上げる」
 「歴史的常識、世界的常識」にそれは反しており、そんな草案を「堂々と公党が提起しているだなんてことは、まったく信じられない」。自民党は「まず憲法のイロハをしっかり勉強してきていただきたい」。
 もう、けちょんけちょんである。
     *
 もともと自民党の憲法観と、民主党など他党の憲法観との間には深い溝があった。それが、ここまでめりはりの効いた表現で議事録に残されることには、少なからぬ意味がある。
 国会が3分の2の多数を形成し憲法改正を発議することが、いかに難事業であるか。
 民主党などは、憲法とは「国民が公権力に発する命令」だとする。
 これに対し自民党は、「公権力が国民に発する命令」という側面を付け足したい。国民は義務を果たせ、公の秩序に従え、というわけである。
 自民党草案について、民主党はこれまで「他党のことでもあり、深入りは避けたいと思っていた」(枝野氏)。しかし、ヤジ議員の「真摯(しんし)でない」態度を見て、遠慮を捨てたという。
     *
 小泉政権最後の通常国会も、会期末が迫ってきた。
 耐震強度偽装やライブドア事件など「4点セット」が今国会の焦点だと言われていたころ、もう一つの重要な4点セットが存在すると力説していたのは、公明党の赤松正雄氏だ。
 憲法改正国民投票法案であり、教育基本法の改正であり、皇室典範の改正であり、防衛庁の「省」昇格法案である。
 現在は厚生労働副大臣だが、憲法や安全保障問題を専門とする赤松氏らしい着眼だった。
 民主党の「偽メール」問題で、本来の4点セットは後景に退いた。赤松版4点セットも、軒並み先延ばしになりそうである。
 赤松氏はいま、「いずれも簡単に片付けていい話ではない。じっくり腰を落ち着けて議論すべきだ」と話す。
 毎年の予算や、時々の政策課題を、政治は日常的に処理していかなければならない。
 しかし、憲法など「国家のありようそのものに関する問題」については、別途、「恒常的に議論していく場」が必要だという発想である。
 こうしたテーマを扱う場合には、少数政党の意見によく耳を傾けていくべきだとも言う。「この点、私は共産、社民びいきだ」
 そのような議論の進め方に、日本の政治が習熟しているとは言いがたいが、赤松氏は「ここ数年にわたる憲法論議がひとつのトレーニングになった」と、希望を語る。
 当選1回が中心とおぼしきヤジ議員たちのトレーニングは、これからか。
 (編集委員 column@asahi.com)
 <イラスト・郭溢>

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