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2006年8月24日 (木)

安倍晋三「美しい国へ」批判③~「その時代に生きた国民の視点」で過去を正当化?

安倍氏は『美しい国へ』の第一章で「軍部の独走は事実であり、もっとも大きな責任は時の指導者にある」と認めながら、「マスコミを含め民意の多くは軍部を支持していた」と指摘している。

この指摘は大事なところだが、安倍氏はそこから「歴史は善悪で割り切れる単純なものではない」、「私はこの国に自信を持って生きていきたい」といった、あまりに一般的すぎて何も言っていないに等しいことを言ってみたり、自らの主観のみを語って「その時代に生きた国民の視点で歴史を見るべきだ」とし、軍部や指導層のお先棒をかついで好戦論を煽った当時のマスコミや一般国民を弁護している。

しかし「その時代の視点」を持ち出して判断を停止してしまっては、「どうして中国(清国)の独立を守り、中国の門戸開放のために戦ったはずの日露戦争後に、中国で帝国主義路線に転じてしまったのか」、「なぜアメリカ、イギリス、ソ連、中国を一度に敵に回してしまう対米開戦に踏み切ったのか」「なぜ東京が大空襲にさらされた後も、沖縄戦やソ連参戦、原爆投下が行われる前に、また南方で何十万人もの将兵が餓死するような中にあっても終戦することができなかったのか」についての厳しい検証がなおざりにされる。

安倍氏は狡猾にも、軍部や指導者を直接弁護するのではなく、軍部を支持したメディアや一般国民を「いかにも愚かだと切って捨てていいのか」と甘い言葉で抱擁する。自民党総裁選の選挙向けには、その方が支持を集めるのに有利なことはわかっている。しかし、こういう論の展開は、まさしくポピュリズムと言わざるを得ない。

「その当時」の視点に立とうが、「今の時点」に立とうが、泥棒は泥棒であり、殺人は殺人だ。愚かな判断を賢明な判断と言いくるめることはできない。そこを「曖昧にする」のが、安倍氏の基本的な姿勢、論法のようである。

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コメント

神風特攻隊員を賞賛するようでは幼稚である。「国に一命を捧げよ」と、当時の指導者も言っていた。それで、250万人の兵が死んだ。120万人の国民が死んだ。なかでも、広島の原爆では、14万人が死んだ。安倍氏には、帝国日本が敗戦した理由が解からないようだ。「精神主義では、科学には勝てない」と、山下奉文大将が、モンテンルパで行われた処刑前の、「なぜ負けたか?」に対する回答だ。アメリカでは、時代おくれの発言を、「アナクロ二ズム」という。

 元借りホルにア読売支局研究員

尾崎信義(65歳)   ルイジアナ

投稿: nobuyoshi ozaki | 2006年9月 7日 (木) 12時07分

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