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2006年8月23日 (水)

安倍晋三「美しい国へ」批判②~60年安保改訂騒動の焦点は条約案の中味ではなく強権政治手法

安倍氏は「美しい国へ」の第一章で、60年(昭和35年)の日米安保条約改定をめぐる混乱に触れて、改訂によって経済条項を盛り込み、アメリカの日本防衛義務を書き込み、「事前協議」条項も設けることで、最初の条約よりも日米を対等な立場に近づけたという趣旨のことを述べている。

「事前協議」は、ベトナム戦争や最近の湾岸戦争、イラク戦争でわが国の基地が後方支援基地としてフル稼働するにあたって、何の事前協議もなされていないという点で事実上空文だが、全体として安保条約の「中味」が、改訂によりましなものになったという点で、安倍氏の主張は部分的に正しい。当時の岸政権も強調していたし、国際法を学んだ人にとっては常識かもしれないが、岸信介総理の孫として、この機会に改めてアピールしたかったのだろう。

気になるのは、安倍氏が「改訂安保」の条文が改定前のものより良いという点を強調するばかりで、なぜ安保改訂が連日の大デモを引き起こし、死者まで出して岸内閣が退陣せざる得なくなったのかという原因について全く関心を示していないことだ。

60年安保改訂政局を一言で言えば、「条約改定案」は安倍氏も書いているように反対派が言うほど悪いものではなかったのに、経済ではなく憲法に関わる安保問題を政治課題の中心にしようとした岸信介首相の「国権」路線と、国民合意を慎重にとりつけることを軽視した、強権的な政治手法が引き起こした騒動ということに尽きると思う。

そのことに全然気づいていないようなこの部分を読み、安倍氏も同じ轍を踏む危険性が高いのではないかと思った。

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