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2006年10月20日 (金)

アジア・アフリカについて思い浮かぶことのノート

1. 安倍訪中、訪韓については、前の政権でどうにもならなかった、またアメリカも心配したり不都合だと思っていた日本と両国との関係を、ようやく本来の軌道に戻す上で役に立った。
 何か素晴らしいことのような錯覚にとらわれるが、前の政権で作り出されていた状況があまりにひどいものであったこと、また政権に就く前の安倍氏の発言があまりにひどいものだったことの反動である。
 しかし、よい方向に軌道修正が行われたという結果については評価せざるを得ない。

2. 北朝鮮の核実験については、最初の段階で「重大な脅威」と表明するのはあまりに過剰反応だったが、わが国の安全保障にとって、これがやがて実験を重ねることでミサイルに搭載できるような小型化につながっていくということであれば、ほんとうに「脅威」となり得る。
 そのような事態をどうプラグマチックに回避していくかが政治の仕事であり、ただただ「制裁、制裁」と騒いでいればいいという問題ではない。
 ましてや、わが国は「国際紛争解決の手段としての武力行使」を放棄し、その中には広く捉えれば「臨検」という名の海上封鎖も含まれるのが本来なのに、国連の非難決議追求の場などで「7章」を強調する姿勢を示したのは先走りだ。
 外務省や官邸が突出して、わが国外交の根幹をゆがめるのは遺憾である。
 北が「核実験継続」など、国際秩序に対決姿勢で歩みを進めようとするならば「出てきた分だけは押し戻」さなければならない。一方で、こちらから体制崩壊といったことを仕掛けるべきではない。それが正しい「封じ込め」だ。
 「対話と圧力」のうち「圧力」一辺倒の状況であり、あくまでも「対話」による北朝鮮の国際秩序への軟着陸を目指すという筋論で状況に対処すべきである。

3. 中国については、胡錦濤政権が内外共に「均衡」ということをテーマに政策を推進しようとしている。北朝鮮の「核実験」に対する対応などにもそれは見受けられる。
 中国がそのような「均衡のとれた」路線を内外で追求しようとしていることは、中国自身に安定感をもたらすことを通じ、わが国にとっても良い状況につながることと思う。
 中国は内政面で、これから貧富の差、地域格差、地方政府などで権力を持つ人々と貧しく権利を認められていない農民といった問題に取り組んでいかなければならない。これは大きな摩擦も生じるだろう。
 環境、エネルギーといった面での協力に加え、「均衡ある発展」という面でも、わが国が隣人として、あるいはある程度の成功を経験した先達として、対話を通じて協力できればいいと思う。
 また、昨年の「反日デモ」のような摩擦を想起すれば、「政治」「経済」の関係も大事だけれども、「文化交流」を含めた人と人との出会いといったものが、実に重要であることがわかってくる。
 お互いに反感を持つ人が、相手国について得ている情報はテレビなど大手メディアを経由したものに限られることが多い。タテマエの「友好」ではなく、また「東京-北京」だけではない交流を深めるべきだ、例えば「南京虐殺」で日中関係の負のシンボルになっている「南京」は、もともと気候風土や人情、文化の面で北方よりもより日本にとって近しい江南地方に属している。こことの交流に力を入れて正負を一挙に逆転するといった取り組みも必要ではないか。 

4.韓国については、あまり大きな声では言えないが「振幅」が日本以上に激しいことが特徴だ。盧武鉉大統領の対日批判、あるいはアメリカや日本との調整を度外視したかのような韓国単独での「太陽政策」推進など、これまでのあり方がすでに軌道修正されたり、あるいは次期大統領選挙でそのことが、ますますはっきりすることが予想される。
 むしろ、心配なのは「軌道修正」のいきすぎだ。北東アジアの平和と安定のためにはアメリカ、日本、中国などと調整し、協力してもらうことが重要であり、「北」との対話、北が誠意を見せれば「協力」にも力を入れるという韓国のこれまでの「基本線」については「これからも重要」というメッセージをはっきり出すべきだ。

5.中東については、イラクの現状にせよ、パレスチナ問題にせよ、イスラエルのレバノン侵攻、それにイランの核開発問題など「大混乱」と言える。
 これについては、より根本的で緊急度の高い問題は「パレスチナ問題」だ。日本も、引き続き知恵も出し、汗もかくべきである。P5ブラスドイツといった形で取り組まれることが多いが、日本政府は外されているのか、引っ込んでいるのか。
 なお、「歴史問題でベタ折れ」などともいわれる安倍内閣の国会答弁でいちばん問題なのは「イラクに対する開戦の支持」について検証も反省もしないことだ。こういうことでは誤った政策判断を繰り返す恐れが大きい。国会に9・11から今日までの内閣、行政府の活動を総括する調査会を設けて検討すべきではないか。

6.アフリカについて、ひと言だけ言えば、エイズ問題、あるいはマラリアといった伝染病についても、わが国から見ればわずかな支出で、多くの人々を苦しみから救うことができるということだ。
 世界の現実から目をそらしてはいけないということについて言えば、いちばん悲惨な人々を直接助ける。そういうわが国や先進国の市民的な取り組みをサポートすると言うことが大事だ。
 国連安保理の選挙も、一般の選挙と同じで「そういう時期になってから」というのはダメで、日頃から陰徳を積まなければならない。

7. インドの躍進は間違いなく、またインドの多元的な深い文化は魅力的だ。日本文化の基底は、ひとつには中国の古典文明ということがあるが、いまの文化に強い影響のある「禅」の属する仏教はインドがルーツだ。
 インドとの本当の交流を深めるべきだが、「中国牽制の手段」などと見るのは不毛だ。インドは中国と急速に関係が改善し、貿易相手国としても中国がトップになる勢いである。インド接近が中国牽制になるというのは現実離れしているし、そういう気持ちでは相手にとっても迷惑だろう。
 それよりも、日本で仕事をしようというインドの人々に敬意を払って接し、彼らの文化や歴史に関心を持つことから始めるべきだと思う。
 そういう意味では私はインドとの交流の強化論者である。

8.アメリカとの関係では、安倍政権がホワイトハウスと官邸の直接の結びつきを強めると言っている。一般的には悪いことではないかもしれないが、実際の国際政治情勢の中で考えた場合、現在のホワイトハウスはアメリカ国内においても、国際的にも偏った人々だという見方もあるだろう。
 「外務省-国務省」「ホワイトハウス-官邸」という関係の強化と平行して「日本の国会-米国議会」の関係強化も必要である。野党や与党内のハト派はアメリカ議会内の国際協調派といった人々との関係を強化する必要がある。中間選挙の帰趨はまだ予断を許さないが、官邸がホワイトハウスとの連携を強めるならば、われわれは米民主党の要路と連絡と意見交換を密にして、役割分担することが国益にかなうだろう。
                                                                        以上 

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