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2007年2月19日 (月)

北の核放棄へ「日米韓」「日米韓中ロ」の結束が重要-聖学院大総研のシンポジウム

先週末の16日(土)午後、池袋で開かれた聖学院大学総合研究所主催のシンポジウム「東アジアの平和と民主主義」を聴講しました。「六者協議」妥結以前に計画されたものだけに、発言者はあらかじめ印刷配布された冊子に書いたことと離れて、合意をめぐっての評価などについて発言しました。

17日(日)のNHK「日曜討論」にも出た伊豆見元静岡県立大教授は、「アメリカでも保守派は『核の完全廃棄ではないのに与えるものが多すぎる』と批判しているが、彼らが強硬論を唱えて取引を拒否している間に、北朝鮮が持つプルトニウムは生産が続いて5倍に増えた。これからが大変だが、『初期段階』でプルトニゥム増産を止めるだけでも、これまでの何の歯止めもない状態よりよほど良い」と評価し、「重油5万トンプラス95万トンというのも、北朝鮮が94年の枠組み合意で目論んでいた重油総量の5分の一以下で、金額の面から見てもアメリカにとって安い合意だ。それでも合意したのは、北朝鮮にとってアメリカとの関係が前進する可能性に魅力があるということだ」と指摘しました。

さらに伊豆見氏は、合意が成立した原因は、アメリカ政府が北朝鮮の核実験後、国連決議の草稿に「六者協議復帰を」と書き込んだことでわかるように、北の核の脅威を本物と考えるようになって「取引をしよう」と政策を変えたことが大きいと述べました。この点でパネラーの朝日新聞記者の渡辺勉氏はイラク戦争の現状により軍の人員配置が厳しくなっていること、さらに中間選挙の敗北が政策転換の背景であると強調しました。

日曜午前の各局テレビ出演者の顔ぶれがアメリカ、日本の視点にほとんど限られていたのに対し、このシンポジウムは韓国、中国からのパネラーの発言が興味深かったです。

韓国からの康仁徳・韓国極東問題研究所長(中央情報部出身、金大中政権の初代統一相)は、合意を一応評価しつつも「金正日氏の言うことは『十分の一くらい信じられる』という実感を持っているが、大事なことはアメリカ、韓国、日本の3国が結束を固め、その結束に基づいて中国に共同歩調を求めていくこと。現在の韓国の政権はアメリカや日本と歩調を合わせることよりも、単独で北支援にのめり込んでおり、これは良くない」と強調しました。

中国の金熙徳・中国社会科学院日本研究所副所長(延辺生まれ)は、中国の見方は幅広いが「北が核を持つことは認めない」ということは一致している。中国は本音では認めるつもりだという見方は間違っていると強調しました。

金副所長は関連した背景説明として「中国社会科学院などの中国の研究機関では、部内の議論における発言は全く自由。しかし、刊行物などでは一定の範囲に収まるよう編集部が執筆者に協力を求める。北朝鮮についても、以前から厳しい意見はあったが、核実験前は外に出さなかった。実験後、そう言う意見も外に出すことになり、見かけ上中国の北に対する厳しい意見が急に出てきているように見えるかもしれない」と述べました。

さらに、興味深い話しとして「(第三国の)外交官などには『北を崩壊させても、中国が後を支配下に収めれば問題ないではないか』といった粗雑な話しを持ちかけてくる人がいるが、中国は自らの現実的な利害に基づいた戦略に従って行動するので、そのようには動かない」「中国人に北朝鮮と韓国のどちらが好きかと言えば、10人中10人が『韓国』と言うだろう。しかし、北を崩壊させるか、守るかと言えば、全員が『守る』と言う。それは戦略上の判断だ」。

さらにパネルディスカッションで北の将来像について意見交換がありましたが、金熙徳副所長は「北朝鮮以外の社会主義国は、全て改革開放に踏み切るか、崩壊した。私たちは崩壊を望んでおらず、改革開放に導きたい」とし、次期指導者についての質問に「個人的には、次も世襲することは難しいと思う」と発言。その点は韓国の康仁徳氏も「世襲は難しい。集団指導体制で安定するのが良い。韓国の大多数も一挙の統一を望んでいない」と展望を示しました。

さらに、金熙徳副所長が「私は北の非核化には6カ国協議の他の5カ国が結束を維持することが肝要だと思う」と述べたのに対し、渡辺記者は「中国、韓国が戦略観を持ってこの問題に対処しているのに対し、日本政府の戦略がなかなか見えないのは残念」という趣旨のコメントをしました。

安倍政権は『拉致問題』という、自国のというよりも、自らの政権の利害に汲汲としてしているように見え、大きな戦略を打ち出すということがありません。これは無いものねだりというものですが。

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