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2007年6月13日 (水)

安倍首相の「私的懇談会」-報道ぶりで事実上の提灯記事に

たとえば昨日、2007年6月12日付『毎日新聞』朝刊2面の左肩に、「集団的自衛権 公使容認論が大勢 安保法制懇 公海上の米艦護衛で」という古本陽荘記者の署名記事が出ている。

「私的懇談会」は都合のよい人々を集め、権威を装い国会の民主的なコントロールを形骸化するための装置であるという批判は、中曽根内閣の臨調だの、防衛費対GNP比1パーセント枠撤廃のための私的懇談会の頃には、広く共有されるようになっていたと思う。

毎日新聞も、日頃はその点について批判的視点をもって報道している。ところが、先に掲げた記事を読むと、「私的懇談会」であることは明記しているが、しかし基本的には「かくかくの議論が大勢を占めた」といったことを、恐らくブリーフィングされたまま書いている。

例えばこれを高校生が読んだとすると、「とにかく大勢を占めた」ならそうするのがいいのだろうと誤解しかねない。

「公海上で米艦が攻撃された時の護衛」というのを、「集団的自衛権」についての憲法解釈変更の突破口にしたいという安倍氏とか岡崎氏の意図についてはよく伝わってくる。

これについては「日本防衛のアメリカ艦船の護衛は正当防衛、個別的自衛権の範囲内のこと」という指摘が以前からあり、久間防衛相もそのような持論であることにふれつつも「しかし委員からは『それでは限定的なことしかできない』と、解釈変更を支持する意見が相次いだ」などと書いているのは、事実上の提灯記事になってしまうのではないか。

言うまでもなく、集団的自衛権とは「自衛」ということばを使っているけれども、集団的「攻撃」権のことであり、国連のお墨付きがないことでも、アメリカの手先になって軍事力を使えるようにしようという話しで、仮にこのようなストレートな記事であっても、私的懇談会でこんなことをやっていること自体に批判があるということも書き込んでいくべきだ。取材対象といい関係を結んでいたいとということばかりが先に立つようでは困る。

と文句を書こうと昨日から思っていたら、今日の紙面のコラム「発信箱」で元村有希子記者が、この記事に直接触れたわけではないが、有識者会議について「身内だけで国の方針を決められてはたまらない」と書いていた。その通りだ。

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