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2007年10月17日 (水)

ヒラリー・クリントン候補のCTBT(全面核実験禁止条約)批准公約を熱烈歓迎する

来年の米大統領選に出馬を表明しているヒラリー・クリントン上院議員が、「フォーリンアフェアーズ」誌電子版に初めて包括的な外交政策を発表したそうだ。そこに毎日新聞の及川ワシントン特派員による記事によると、「全面核実験禁止条約の批准」も公約にすると書かれているという。大歓迎だ。

ゴア副大統領(当時)をブッシュ大統領が僅差で破り、さらに9・11からイラク戦争までの世界政治の「大逆流」が発生し=そのことを一部アメリカ人や尻馬に乗る日本のメディアは「世界は変わった」などと言っていたが=、「ゴア氏が京都に乗り込んで決めた温暖化対策」や、「ビル・クリントン大統領が世界の首脳に先駆けて署名した全面核実験禁止条約」が皆ホゴにされていたのが、昨年秋の米議会中間選までのアメリカと世界の大きな流れだった。

「温暖化」の方は、バイオエネルギーが票やカネになるのだろう、今年になってブッシュ大統領以下アメリカ政府が「6年間」の無視から一転して積極的になり、日本の外務省や安倍首相もそれまでは全く本気の関心を示さなかったのに、アメリカ様がご意向を変えたので、慌てて来年日本で開催のG8サミットの主要議題だ、日本がリーダーシップをとるなどと騒ぎ出している。

2005年春にニューヨークで開かれた核拡散防止条約再検討会議は、一方では「核開発の権利」ばかり言い募るイランやエジプト、他方はCTBTなどに見向きもしないアメリカの対立で、何の成果も生まずに終わってしまった。

もう開発されてから60年にもなる「核兵器」という古くて巨大な破壊力について、人類の政府組織は安定感のある管理を実現していない。通常兵器の命中精度の向上などにより、やろうとすることに比べて「核爆発」など「何の意味もない」という声は、アメリカの安全保障専門家の間にも聞こえるのである。

北朝鮮やイランは、核不拡散体制を尊重し核兵器やその開発は放棄すべきだが、ブッシュ政権のように「お前たちは核を持つな」という一方で、核不拡散条約で約束した核軍縮に向けての努力については知らんぷりということでは、話しに説得力がない。

アメリカがクリントン政権時代に立ち戻って、包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准するというのであれば、それは正しい方向への明確な転換になる。アメリカの次期大統領には、ぜひこのような考え方の人になってほしい。日本政府も、ブッシュ様が「苦しうない」と言う温暖化問題だけでなく、広島・長崎で核攻撃を体験した国家として、再び核軍縮に向けて力を注ぐべきだ。

漏れ聞くところでは、G8サミットの同じ年の秋に、同じ国で開かれることが恒例になっている「G8下院議長会議」について、河野洋平衆院議長は広島開催を関係各国などに打診しているという。成否は定かではないし、来年秋までには総選挙で議長も交代している可能性が高いが、次期議長もこのアイデアは継承してほしいと思う。また、9月のベルリンでの会談で広島開催に賛意を示したというペロシ米下院議長は、実際には11月の大統領選を控えて来日が難しいかもしれないが、その場合は、別の時期に単独で来てもらって、日本の議長が広島、長崎に案内するのがいいと思う。

それを「初の女性大統領誕生」→「アメリカ大統領初の広島・長崎訪問」につなげることができれば、日米の本当の絆を強め、核兵器のない北東アジアに向けての強いメッセージを発信することができるだろう。

【以下は毎日新聞記事のコピー】

アメリカの選択:’08大統領選 ヒラリー氏「就任後60日以内にイラク撤退開始」
◇CTBT批准も--ヒラリー氏、就任後公約

 【ワシントン及川正也】08年米大統領選で民主党有力候補のヒラリー・クリントン上院議員は、外交誌「フォーリン・アフェアーズ」11・12月号(電子版)に包括的な外交政策を発表した。当選を果たせば、就任後60日以内にイラク駐留米軍の撤退を開始する方針を表明。また、核不拡散政策の柱として核実験全面禁止条約(CTBT)への批准も公約とした。

 クリントン氏は「イラク戦争は米軍の能力を弱め、装備を消耗させた。アフガニスタンへの注意をそらし、同盟国を遠ざけ、米国民を分断した。戦争終結が米国の指導力を回復する第一歩になる」とブッシュ政権のイラク政策を批判した。

 現在16万人規模のイラク駐留米軍のうち、対テロ戦で緊急展開が可能な特殊部隊を除き、戦闘部隊(陸軍旅団)と支援部隊のほとんどを段階的に撤退させる方針で、これに代わってイランやシリアを含めた外交的手段による地域安定化を進める。また、アフガニスタンでの国際テロ組織アルカイダや旧支配勢力タリバンに対する軍事作戦を強化する意向を表明した。

 イランについてはウラン濃縮活動停止を求め、「国際社会の意思に従わなければ、すべての選択肢を俎上(そじょう)に載せる」として、武力行使を否定しなかった。北朝鮮問題では「国務省の外交的努力で遅ればせながら進展を見せている」と言及した。

 また「中国との関係は今世紀、世界で最も重要な2国間関係になるだろう」とし、米国が中国の経済的台頭に備える一方、将来の協力関係構築を目指すべきだと指摘した。インドとの関係強化の必要性も強調し「オーストラリア、インド、日本と対テロ戦争や地球温暖化などの問題で新たな協力関係を構築しなければならない」としている。

毎日新聞 2007年10月16日 東京夕刊

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