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2007年10月18日 (木)

「教職員増」を求める概算要求を「悪のり」と批判する財界人・西室泰三氏の見識

文部科学省が来年度予算の概算要求で「7000人以上の教員増」を求めているのに対し、財政制度審議会(財務相の諮問機関)の西室泰三会長が先週12日の記者会見で「教育3法を利用して悪のりした」と批判している。

「財務省の、財務省による、財務省のため」の組織であり、憲法に明確な根拠のない機関のトップが言うことにいちいち目くじら立てていても仕方がないが、これには全く賛成できない。

先月OECDが発表した04年調査の結果でも、わが国の教育に関する公的支出の対GDP比は最下位のギリシャに次いで下から二番目の25位。OECDは「少ない支出で効果を挙げている」と評価しているようだが、日本には「人」しか資源が無く、グローバルな競争の時代にここに力を入れなくてどうするかと思う。

「私的負担分」を加えると、もう少し順位が上がるようだが、これは簡単に言えば、所得の高い人が子どもを塾にやったり、家庭教師を雇ったりする費用であったり、大都市の居住者が子どもを私立学校に通わせたりする費用のことだろう。

「格差」ということが問題になっているが、特にその「固定化」ということに対する対処法がもしあるとすれば、公立学校の教育を充実し、どんな家庭に生まれた子どもでも、学習意欲を持つ機会を得て、頑張れば勉強ができるようになる環境を準備するということ以外に何か具体的な方法があるだろうか。

ヨーロッパなどと比べても、何でもかんでも教職員にやらせている日本のやり方がいいかどうかは考えるべきで、構内の見回りなどはもっと一般の職員に任せるべきだ。給食費の徴収などもそうだろう。クラブ活動などにももっと地域のパワーを導入する工夫が必要だろう。だから、文部科学省が今のやり方のまま「教職員増」だけを言うのは充分ではないかも知れない。

しかし、「いじめ」「学力低下」などが話題になるたびにメディアが知らせる公立学校の現状は、教師が「忙しすぎる」ことが問題の一端であることを明らかに示している。小学校低学年の問題など、クラスの定員を半分にすればかなりの程度改善できることは誰が考えてもわかることだ。政治の都合で行われる「改革」のたびごとに教師のやることが増え、子どものために使う時間が少なくなっているというのはブラックユーモアだ。「教員増」が問題の全てを解決するわけではないが、森田は問題の半分まではそれで解決できると踏んでいる。

小泉元首相が就任当時「米百俵」のエピソードを述べて人気を博した。臨時収入の米百俵を、山分けしてしまわないで、共同体の未来のために使おうというのは確かにいい話だ。ただ、あの話しは米百俵を「借金の返済に充てました」ということではなく、「子供たちの教育のために役立てました」という話しなのだ。

西室氏は経団連の新旧会長(御手洗会長と奥田碩トヨタ自動車取締役相談役)とともに安倍晋三前首相を囲む「晋福会」に参加しているそうだ。もらう勲章の等級を考えると、推薦してくれる財務省に目一杯サービスしておきたいという気持はわかるが、いま日本の教育に必要なのは極右イデオロギー偏向ではなく、「公立学校の教育をしっかり立て直すこと」であるという認識はしっかり持っておいてもらいたい。

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