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2007年10月26日 (金)

対イラン開戦を決して「支持」してはならない

アメリカが対イラン単独制裁を打ち出し、アメリカ国内にも対イラン開戦を危惧する声が高まっているという。結論から先に言うが、もしアメリカが対イラン開戦に踏み切るとしても、日本政府は決してこれに「支持表明」をすべきでないと思う。

先日、『硫黄島からの手紙』の脚本家、アイリス・ヤマシタ氏が発言したパネルディスカッションを見に行った話しを書いたが、そこで元CNNのアンカー・パーソンで、PR会社を経営しているサチ・コト氏が、近年のアメリカメディアにおける対日イメージを良くした事例の一つとして、小泉首相(当時)が対イラク開戦に直ちに支持表明したことを挙げ「本当に素晴らしかった」と言っていたが、あれは結局アメリカの誤った政策を後押ししただけのことであり、日本はこれまで中東においてなんとか守ってきた「平和国家」のイメージを失った。

そうした政治的資源の損耗と引き替えに何を得たのか? 対北朝鮮政策で「拉致問題解決なくしてテロ国家指定を解除すべきでない」という日本の立場を尊重してもらえたのか? 結局は小泉氏が個人的にご褒美としてエアフォースワンでプレスリーの屋敷に連れて行ってもらってチャラにされてしまっているのではないか。

冗談はともかく、わが国は国際紛争解決の手段としての戦争を自ら禁じており、それは「良くないこと」だからそうしているのだから、日本国憲法が他国を制約するものではないけれども、自分は良くないこととして自ら禁じていることを、他国が行うことだからと言って「支持」するというのは、ロジカルでない。

それでは日米関係が危うくなる? いや、それは小泉内閣や安倍内閣、あるいは谷地事務次官や加藤駐米大使が、憲法や平和を大切にしようという気持を持つ多くの日本国民の気持ちを無視して「もっとやります」「私の力でもっとお手伝いするようにします」と対米忠誠競争を繰り広げた結果である。彼らが、現実離れした「期待感」をアメリカに植え付けてしまったのが原因なのだ。

最近、正体を現してきたシーファー大使や、アーミテージ氏はキーキー言ってくるだろう。民主党政権で日米関係を仕切ろうとしているキャンベル氏も、アメリカ政界で自分の日本に対するコントロール力を誇示するために、ハードラインで来るだろう。日本国内にも中曽根康弘氏や外務省、防衛省のある種の連中、自民党の中谷元、民主党の前原元代表らのようにそれに呼応する人々も出るだろう。

「過剰な忠誠競争」でなく、「リアリズム」に基づいて日米関係を考えれば、ベトナム戦争やイラク戦争同様、日本の基地を事実上の後方基地として、ほとんど無制限に使わせるということについて、将来はともかく、今回から急に安保条約に基づく事前協議を求めるといったことが適当かどうかは、慎重に考慮していいだろう。イランとの間で、新たなビジネスを進めるといったことは、凍結も検討すべきかもしれない。

しかし、そこまででいい。「戦争で国際紛争を解決するのを手伝うのは、わが国の原則と違う」と言うべきだし、実際問題として考えても「アフガニスタンでもイラクでも、お店だけ広げてしまって収拾つかなくなっているじゃないですか」と言うべきだ。

日本の「筋」を通す上でそうだし、アメリカ国民にもいろいろな人がいるのだから、チェイニーやアーミテージといった人々だけにシッポを振っていては、この先困ったことになるかもしれないというリアリズムも持つべきだ。

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