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2007年10月 4日 (木)

プーチン大統領、退任後は首相就任?

10月1日のロシア与党「統一ロシア」党大会に際し、プーチン大統領が12月の総選挙に与党名簿一位で出馬し、来年五月の大統領退任後は首相に就任するという考え方について「現実的」と発言したそうだ。

帝政時代のロシアは「皇位継承順位」について明確な原則が無かったため、結果として血で血を洗う歴史が綴られることになった。ソ連崩壊後の新生ロシアも、高齢・病身のエリツィン氏からプーチン氏への円滑な権力委譲がうまくいったことには、関係者の政治的判断力・能力が高かったこともあるが、偶然に助けられたこともあると思う。

憲法の規定で大統領を続けることができないプーチン氏が、政治上圧倒的に大きな存在であり、国内をまとめていくには同氏の存在が不可欠だという見方は強いのだろう。そのことと憲法上の規定が矛盾する現実iにより「強権的な憲法改正による独裁制の復活」「新しい権力者と、引退したはずのプーチン氏の権力闘争」といった状況が起こることを心配させる。

12月の総選挙に出馬、後継大統領には自らの意のままになる人物を指名し、5月までの大統領任期を最後まで務めた後は首相に就任して実権を握る。このシナリオは、プーチン氏が権力を握り続けることで政治の安定を確保するとともに、手続き的にも合法的、民主的な手段をとることになる。「狡猾」という人がいるかも知れないが、賢明な行き方だ。

「プーチン与党が圧倒的多数の議会」という現状の下では、プーチン独裁のバリエーションと見られても仕方がないが、将来、ロシアの民主主義が成熟すれば、プーチン氏がそんなことを考えているかどうかは別としても、「多元的な議会による議院内閣制」が次第に確立し、幅広い国民の声を汲見上げる民主的なロシアに進む可能性を開くものとも言えるだろう。

もっとも、そうなるにしてもそれはずっと遠い未来のことだ。「ロシアが欧米並みの人権重視の国になり、また外交面でも柔軟な国になってほしい」「なるといいな」という願望を持つのは自由だが、「民主的な手続きを最低限満たしながら、内実は強権的で、外交面でも強硬なロシア」の存在は「現実」であり、日本の対ロシア外交もそれを織り込んだものとしなければならないだろう。「領土問題が解決しないのは、全てロシアがこちらが望むような理想の国になってくれないのが原因だ」というのでは、非現実的な理想主義と言わなければならない。「価値観外交」だの、「平和と繁栄の弧」などと言っている場合ではないのだ。

政治も外交も結果だ。橋本・エリツィン当時のやり方で問題を解決できず、領土が戻ってきていないことについて、それを主導した丹波元大使ら外務省の人々は責任を負わなければならない。タフだがある程度合理性を重んじるプーチン大統領の時代に、だだただ時間を空費した小泉純一郎元首相、田中真紀子元外相といった人々の罪は一段と重い。

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