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2007年11月 9日 (金)

ひろいもののテレビドラマ「ジュリアス・シーザー」(2002年、米など)

世界史を勉強中の高2の息子と、NHKスペシャル「ローマ」3回、同ハイビジョンスペシャル「ローマ皇帝の歩いた道」2回のうち前編を見たところ、息子が「シーザーの扱いが軽いな」と言うので、たしか正月にTBSが放送した米伊など合作のテレビドラマで未見だった『ジュリアス・シーザー』の録画テープを引っ張り出して見た。これが拾いものだった。夜中の放送で、見た人も少ないだろうから、NHK-BSでも放送した方がいいのではないだろうか。

スッラのクーデターで生命の危機にさらされ、逃亡途中で海賊に捕まるエピソードのあたりから、暗殺までを描いているが、ジェレミー・シストという線の細めな俳優がシーザーを演じていることもあり、塩野七海さんの『ローマ人物語』によって語っている、型どおりの英雄豪傑ではなくちょっとインチキ臭い、しかし人間的な魅力と胆力のあるシーザー像と一致している。

ブルガリアでロケしたというガリア遠征の合戦シーンもなかなかの迫力で、エジプトの宰相がポンペイウスを暗殺する場面のおどろおどろしさ、自決するカトーと、葬儀の主催を申し出るシーザーに対しカトーの息子が示した威厳ある態度もよい。一方、シーザーの娘ジュリアとギリシァ人奴隷家庭教師の心の触れあい、その家庭教師が奴隷反乱に参加して捕らわれ、ジュリアの救済を断って仲間と共に処刑されることを選ぶ場面など、なかなか心を打つ。

シーザー暗殺の場面で終わるので、シェークスピア劇では見せ場であるアントニーのシーザー追悼演説、あの「ブルータスは高潔な人物である」で始まり、表面上はブルータスらを持ち上げながら、演説を聴いたローマ市民が「シーザー暗殺は間違いではなかったか?」と局面を転換するに至る弁舌の場面はない。しかし、脚本がよく工夫していて、男前の若手俳優が演じるアントニーが、ルビコンを渡る前のシーザーから元老院に先乗りを命じられ、公衆にシーザーの立場を代弁する演説をして喝采を受ける場面が描かれていた。

アメリカの脚本家組合が大規模なストライキをやっているというニュースが伝えられているが、このドラマを見て、アメリカの脚本家の力もたいしたものだと改めて思った。

それにしても、日本政治にはシーザーのような人間力、アントニーのような弁舌力をもって局面を転換するような人材が「平民派」の方から出ないものか。右の方は「小泉マジック」を繰り出して、後継の安倍氏が凡庸すぎた故に今は後遺症に悩んでいるわけだが。

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