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2007年11月19日 (月)

ダメな政治リーダーって(『朝日新聞』2007年11月15日付33面「もっと知りたい」赤田康和記者署名)

《ネット版に出ていない記事を一点切り抜き。新聞記事チェックはインターネットで済ませる人も多いと聞くが、コラムの充実した『毎日新聞』、経済記事や経済論説は「新自由主義」に偏っているものの、比較的リベラルな『朝日新聞』などは、購読する価値がある新聞だと思いますがね。》

ダメな政治リーダーって(『朝日新聞』2007年11月15日付33面「もっと知りたい」赤田康和記者署名)

 突然辞任した安倍前首相に続き、民主党の小沢代表も「プッツン」して辞任騒ぎを起こした。私たちも日々、上司の予測つかぬ行動に振り回されたり裏切られた思いをしたりする。そこで専門家に聞いた。ダメなリーダーの条件とは。あらかじめ見分ける方法はないのか。

石田英敬氏 記号論】駄目なリーダーとは、論理的な言語能力が低い人だ。政策や演説、説得など民主主義を支える基本は言語能力だからだ。
 だが、日本の政治風土では論理による対話より「情によるインターフェイス(接続)」が重視された。政治家は地方に公共事業をばらまき、有権者とつながってきた。
 90年代以降は、テレビが接続の窓口になった。小泉元首相はぶらさがり取材で素顔を見せ、視聴者と擬似的に「接触」した。つじつまのあわない発言もかえって人気を呼び、論理は軽視された。安倍氏も祖父の話など私的な領域を語った。
 小沢氏は密室のパワーゲームを中途半端にメディアに吐露して失敗した。公の場で論理を積み重ねて説明する能力が低い点は3氏に共通する。
 駄目リーダーにだまされないためには指導者について家族や友人と語り合い、免疫を高めることだ。仏大統領選では国民100人が候補者に次々質問する番組が人気を集めた。日本でも同様に指導者の論理的な言語能力を試すのはどうか。

長谷川真理子氏 進化生物学】サルの群れでは、肉体的に強く、えさの分配や毛繕いで他のオスと巧みに連合関係を作れるオスが最上位になり、欲しいものを食べられる。
 人間の指導者にも似た側面はある。お金を使って配下を増やし、集団のトップに立つ。だが、そんな能力だけでは困る。
 人間は目先の利益でなく将来の目標のために生きられる。リーダーは対話と想像力で他者の痛みを感じられなければダメだ。生を賭しても成し遂げようとするテーマへの執着も人間固有の能力だ。揺るがぬ信条、譲れない大切なものが無ければ指導者として失格だ。
 小沢さんにはそれが見えない。権力を奪取したいのはわかるが、そのためには自分の考えをも変えてしまう人に見える。
 安倍さんは私たちの世代には「本当に強い敵と対決すると、自分を出せない自信がない顔」に見えた。だが、若い世代にはかっこ良く映った。
 言葉に耳を傾けよう。一つのことを強調してわかりやすい言説には注意したい。一面的で、短絡的でないか、見極めたい。

御厨貴氏 政治学】出処進退がきちんとできない人。これは駄目リーダーだ。安倍前首相がそうだった。状況判断能力が的確でない人、意思決定がぶれる人もダメ。
 世論やマスコミを味方にできないのもダメ。小泉さんは世論を友達にした。安倍さんは説明は誠実だが、冗長で面白くない。アピール力がなかった。小沢さんも密室で限られた人を説得するのは得意でも、不特定多数の人に語りかけ、世論を味方にするのは下手だ。
 駄目なリーダーを生まないためには、リーダー候補を早めに皆で選び、切磋琢磨させ、政策論争をさせるのが大事だ。佐藤栄作は田中角栄と福田赳夫に不得意な分野を経験させ、苦労させた。
 駄目指導者を見分けるには一瞬の判断力をみる質問をすることだ。全能力が問われる質問。たとえば「あなたは突然、キレた人に出会いました。どう対処しますか」と尋ねる。SPの陰に隠れるのか、その人物を一喝するのか。答えそのものをうそでごまかすのか。人格が見えてくるはずだ。

今井舞氏 テレビ批評家】最も分かりやすい駄目リーダーは、キャラ(個性)が立っていなく政策も空疎な人。典型は安倍前首相。毎日ぶらさがり取材に応じていたのに、メディアにいじってもらえず言葉の中身もスカスカだった。
 次に駄目なのは、言葉になぜか説得力があっても能力には疑いがある人たち。たとえば、田中真紀子氏。拝聴するほどの意見でもないのに、耳を傾けてしまう「和田アキ子」的存在。でも内実が伴わないカリスマは、いつか破綻する。
 能力はあっても、好感度の低い指導者も駄目リーダー。たとえば小沢氏。いつも不機嫌そうで「理解されなくてもいい」というイジけた感じも漂う。「離婚したい男ナンバー1」の雰囲気。ついていく人がいるのかと不安になる。
 ただ、人気があればいいのか。政治家がタレントと同列に大喜利のネタを求められるような状況は異常だ。「麻生(太郎氏)って面白いよね?」などとノリで評価せず、ブームの理由を冷静に考えないといけない。

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