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2008年3月18日 (火)

それにしても「読売」の社説は困ったものだ

 このブログを読んでいただけるような方々に、読売新聞の社説なんか読んで喜んでいる方はおられないと思うけれども、久しぶりに見てみると、あいかわらずひどい。若い人は社説なんか読んでいないと言っても、とにかく一番読者が多い新聞だし、少年ジャンプなどよりは発行部数も多いのだろうから、あまり呑気に見逃しているわけにもいかない。

 17日付のイラク戦争5年の社説などその代表例のひとつ。前半は、開戦時に「イラク戦争」を支持した自らの不明を恥じることもなく、へ理屈の強弁を重ねて見苦しく、「見通しが甘かった」という部分についても総括が全く甘いだけでなく、関係ない中国海軍軍人の「太平洋を中米で二分しよう」という横着な話を持ってきて、読者の関心をわざと肝心なことからそらしている。

 結論は「とにかく日米同盟強化」一辺倒だ。どんなに大ざ゛っぱに見ても、アメリカの半分の人は今の政権の「力の外交」がいいと思っていない。一方で、国務省の世界人権白書は「中国を著しく人権が侵害されている国」から外して、アル・ジャジーラに揶揄されているように、現ブッシュ政権も対中関係はビジネス優先だ。

 読売新聞の言うように、アメリカの虎の威を借るキツネとなって威張ろうなどと考えているだけでは、「日米同盟」のうち中国に備え、米軍産複合体を潤すための軍事支出拡大についての部分だけ押しつけられて、中国とよい関係を構築してビジネスもうまくやるというところはアメリカに全部持って行かれるということになるんじゃないか。

 アメリカや中国のことを置いておくとしても、とにかく不安を煽って軍事力強化を訴えるこのような社説の延長線上には、バランスのとれた、身の丈にあった国家像は想像できない。そうして、このような社説を垂れ流して国を誤らせても、戦前の新聞のように責任を問われることはないということだろう。

 ナベツネの意に沿う社説を書いていないと出世がおぼつかないというのはそうだろう。しかし、小さくはない影響力を考えると、森田としては文句のひとつも言っておかなければならない。

 必要なのは「軍拡、軍事同盟強化」ではなく、「賢明な外交」だ。朝起きたらおはようと言い、お正月が来たらおめでとうというのと同じくらいのあたりまえすぎることだが、「読売新聞の社説」は長いものに巻かれろの事大主義で、バカだと思われたくない人は、恥ずかしげもなく活動を再開した安倍晋三氏の主張や、こんな社説を受け売りしていては絶対にだめだ、ということを声を大にして言いたい。

【以下は言及した「社説」のコピー】

イラク戦争5年 米国の力の低下が心配だ(3月17日付・読売社説)

 開戦から5年。混迷が続くイラク情勢は、米国の重荷となっている。

 こうした状況が東アジアの安全保障に対する米国の役割、責任の低下につながってはいないか。日本にとっても重要な問題だ。

 米英が開戦の理由とした大量破壊兵器は、結局存在しなかった。米軍の死者数は約4000人にのぼる。イラク人の死者は、推計で10万人とも15万人とも言われる。それでもまだ、イラクで平和定着の確かな光明は見えない。

 ◆フセインが招いた戦争◆

 こうしたことから、イラク戦争を「大義なき戦争」とする批判がある。だが、開戦に至るまでの長い前段を忘れては、問題の本質を見誤る。

 2001年9月11日の米同時テロ後、米国は、大量破壊兵器の開発と拡散の疑惑がある「ならず者国家」への警戒を強めた。

 国連安全保障理事会の諸決議に違反し、湾岸戦争後10年以上も大量破壊兵器の廃棄検証義務を果たさないイラクのフセイン政権に疑いの目を向けたのは当然だ。

 国連査察の拒否という義務違反をこれ以上続ければ「深刻な結果に直面する」とした安保理決議1441で、イラクはようやく受け入れに転じた。

 だが、その後も、査察には限定的な協力しかしなかった。米英の兵力増強という圧力がなければ、それすら実行しなかったろう。

 大量破壊兵器が存在しないのであれば、それを挙証して戦争を回避できたはずである。それをしなかったフセイン政権の側に、戦争を招いた非がある。

 世界中が、イラクは大量破壊兵器を保有していると考えていた。現に、イランや国内クルド人に化学兵器を使用した前歴があった。日本では、開戦後、イラクは化学兵器を使うな、といった社説を掲げた有力紙もあった。

 イラク戦争では、米英と仏露独との対立で、安保理が機能不全に陥った。当時の状況では、米英が武力行使に踏み切り、日本がそれを支持したのは、やむを得ない選択だったと言える。

 ブッシュ米大統領はイラクを攻撃する米国の目的について、「イラクの脅威を取り除き、統治を国民の手に戻す」ことをあげた。

 5年後の今、イラク民主化はもくろみ通りに進んでいない。戦後統治の準備が万全であれば、今日ほどの混迷はなかっただろう。

 ◆甘かった戦後の見通し◆

 ブッシュ米政権は、異なる宗派、民族によるイラク国内の歴史的な確執を軽視し、すべてを軍事力で解決できると過信していた。

 昨年の米軍増派によって、治安悪化にはひとまず歯止めがかかった形だ。だが、14万人の駐留米軍の存在が依然として治安の要である状況に変わりはない。米軍駐留は長期化する可能性が高い。

 問題は、イラクの混迷が、国際社会における米国の指導力低下を招き、世界の安定に影を落としている点にある。

 米国は、イラクの安定化へ、本格政権の自立支援だけでなく、中東全体の安定に向けた外交の成果をあげる必要がある。それが次期政権の最優先課題でもあろう。

 イラクの安定は、原油の9割を中東からの輸入に頼る日本にとっても重要だ。人的貢献と復興支援は続けねばならない。

 イラク特措法の延長で、航空自衛隊の輸送業務活動が続いている。その内容や意義への国民の理解を深めることも大切だ。

 イラク戦争の影響は、東アジアの安全保障にも及んでいる。日本にとっては深刻な問題だ。

 イラク戦争と並行して、北朝鮮は核兵器開発を公然と再開し、ミサイル発射や核実験を強行した。北朝鮮は、イラクは核兵器を持たなかったために攻撃された、と自らの核保有を正当化している。

 日本の安全保障環境は北朝鮮の核実験で劇的に悪化した。

 東アジアでは、台頭する中国の軍事的な膨張も目立つ。中国軍の幹部が、米軍幹部に太平洋を分割しようと提案したという。そんなことが現実になれば、日本は中国の軍事的圧力にさらされ、国家としての存立も危うくなる。

 ◆日米同盟強化が大事だ◆

 米国がイラク情勢に足をとられ、東アジアでの影響力が減退していく状況は、日本として看過できない。米国の軍事力を背景にした圧力が、北朝鮮に核廃棄の決断を迫る重要なテコとなる。米国の力が弱まれば、北朝鮮は核廃棄に動くわけがない。

 日本は、東アジアの安定と繁栄をどう確保していくのか。そのためには緊密な日米関係を維持すべきだ。この地域での米国の力の弱体化は、日本の国益を損なう。

 東アジアの重要性について米国と認識を共有し、日米の連携が地域の発展に役立つことを確認していかなければならない。

(2008年3月17日01時30分  読売新聞)

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