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2008年4月 5日 (土)

キャンディーズ解散30周年イベントを目撃して

キャンディーズの解散コンサート30周年の「同窓会」に出かけてきた。当日朝の「天声人語」(後掲)に取り上げられたのにも驚いたが、後半登場して往時の映像と共演したバンドMMPの演奏ご機嫌で、楽しいイベントだった。

大里さんという方が構成を担当されたということだが、前半に30年前のコンサートの前半に洋楽が連続して歌われた場面(多くが未放送)をあまり加工せずに流していき、そのコーナーのしめくくり近くにアースウィンドアンドファイアーの「ファンタジー」が歌われたところで、はじめてパックステージのキャンディーズが仲良く楽しげにしている思い出の映像が映し出されるといったように、とてもセンスよく、本当の意味で「構成」されたイベントだった。

どうして解散30年後に、こうしたことが成り立つのか不思議の感に打たれた。大里氏自身がアミューズの会長を退く区切りのイベントと考えられたとのことで、「キャンディーズ」という人をハッピーにさせる、罪のないメモリーで音楽、映像、放送、イベントといった分野で力のある大人たちが、思いっきりのお遊びをしたというところだろう。大里さんの謝辞に大手広告代理店、放送局、芸能プロダクションなどの名が次々に上がったのを聞きながら「この世界も偉い人が多いんだな」などとも思った。

今、こんなイベントが成り立たせることができた、3つの条件といったものを考えてみた。ひとつは、キャンディーズそのものの性格だ。そもそも可愛くて面白い。映像出演の伊東四朗氏や小松政夫氏は3人が本当に仲が良かったこと、「ズンズンチャッチャ、ズンズンチャ」という毎週のギャグ的な振り付けも自分たちで考えて一生懸命に練習するなど、いつもまじめに全力投球という姿勢を絶賛、また吉田照美氏とともに特別MCを務めた大橋照子さんはキャンディーズのメンバーは「品が良かった」とコメント。昨今のタレントを思い浮かべながらなるほどと思った。

3人がファンを前に、また記者会見で語る場面を見て、さすがにミキちゃんの「変な大人になるよりは」というのには参ってしまったけれども、基本的にキャンディーズのメンバーは自分たちのことをよく知っていた、賢い人たちだったと言えるだろう。分をわきまえたミューズたちが、可愛くて面白いのだから、当時からまわりのおじさんたちは「一肌も二肌も脱いじゃうぜ」ということだったのだろう。つまり「神話」の核心部分に「真実」があった。それが昨夜のイベントを成り立たせた3要素の一つだ。

二つめは、全国キャンディーズ連盟や、それと同世代の人々が「何かを待っている」、自分を奮い立たせる何かがほしい。時に青春時代を振り返りたいという空気が存在するということだろう。

上は全共闘世代。これには正直言ってついていけない。でも、例えば政界でも「現場」はこの世代に牛耳られている。下は、「個」と「過剰同調」のないまぜになった世代。なんだか元気が出ない。

30年前。韓国はまだ光州事件より2年も前の朴大統領の暗い軍事政権の時代だった。中国は毛沢東主席が死去して文化大革命が終わる、改革開放がようやくはじまる貧しい時代だった。アメリカはベトナム戦後のリベラルに勢いがある時代だが、わが国はなにしろすでに「全国キャーンディーズ連盟」の時代だったのだ。

豊かに育った世代が、退廃に陥ることなく、キャンディーズや全国キャンディーズ連盟の無垢な心で、どんな時代を創ることができるのか。これは日本が先に直面している東アジアの新しいチャレンジであるのかもしれないし、昨夜のお祭りは、その現場に帰る前に「穢れ」(「気」の枯れ)を落とす「禊ぎ」だったような気がしてきた。

昨夜のイベントを成り立たせた3要素の最後のひとつは、「やろうと言い始めた人の『本気』」にあったのだと思う。

石黒謙吾さんとは、いつもやりとりがあるわけではないけれども、ほとんど初対面の四半世紀前から堂々と「キャンディーズの元追っかけです」と名乗っておられた。昨日、会場の様子を見て「これは、本当の、ホンモノだったのだ」と遅ればせながら痛感した。

思い立ち、まず大里さんという人に会いに行く。この面談先の選択は、石黒氏の素晴らしい政治的センスを示しているが、同時に、石黒さんのキャーンディーズおよび全国キャンディーズ連盟に対する「思い」がホンモノだったからこそ、大里さんに火がついたのだと思う。

 「人をハッピーにさせるホンモノ、キャンディーズ」、それに「本当にのめり込んでいるホンモノのファンで、同時に組織力、行動力のある石黒氏の存在」、「大里氏をはじめ、いまキャンディーズをもとめる空気の存在がホンモノであること」。この三拍子がそろって、昨夜のお祭りが成立した。

石黒氏は、最後にステージで「キャンデイーズは『私たちは幸せでした』と言って終わりましたが、僕たちは『僕たちは幸せです』と、未来形で語っていきたい」といった話をされた。一夜の夢を見せてくれ、また「ホンモノ」でなければ人は動かないよと暗に教えてくれたた石黒さんに心より感謝。

【以下は、『朝日新聞』2008年4月4日付コラム「天声人語」の貼り付けです】

 時代と切り離せない音や像がある。その端っこに、若くて熱かった自分がいる。落ち込んだ日など、私たちは時の引き出しから熱い記憶を取り出し、少しだけ元気になる▼70年代に青春が重なる方なら、耳目にキャンディーズを呼び出せるかもしれない。私事になるが、上京の春は「年下の男の子」、下宿を移った2年後には「やさしい悪魔」。どちらの旋律も、引っ越しのホコリの中で流れていた。彼女たちの解散から、きょうで30年になる▼旧後楽園球場での解散公演は5万人を集めた。紙テープで埋まったステージ。3人は最後の曲の中で「本当に、私たちは、幸せでした」と叫び、高く手を振り、抱き合って泣き、肩を組んだまま奈落に消えた▼ほぼ同じ場所で今夜、当時のファン組織、全国キャンディーズ連盟の有志らが企画した「大同窓会」が開かれる。約1万円の参加費には紙テープ10本が含まれ、2千人の働き盛りがあの日の映像に放つはずだ▼発起人に名を連ねる大手電機メーカー社員(52)が言う。「皆でアイドルを超えた存在にしようと燃えた4年間は、人生のベースになりました。それぞれ成長した全キャン連の仲間と集い、次のステップへの手がかりにしたい」▼解散宣言の「普通の女の子に戻りたい」は流行語になった。伊藤蘭(53)、田中好子(51)のお二人は今も芸能界に、藤村美樹さん(52)は家庭にいる。いずれも参加の予定はない。されどこよい、普通のおじさんたちが同時代の引き出しを合鍵で開け、少し元気になる。そしてたぶん、明日の日本も。

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» [Event]キャンディーズ解散30周年! [Soulful Days 五月野亭日乗]
4日の金曜日、キャンディーズ解散コンサートの同窓会に行ってきた。取材という名目だったんだけど、ほとんど自分の楽しみ優先になっちゃったね。  実はオレは高校生のころ、結構熱心なキャンディーズファンでありました。レコードも全部とは言わないけどかなり持ってるし... [続きを読む]

受信: 2008年4月13日 (日) 19時42分

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