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2008年4月16日 (水)

「問責決議可決は参議院の存在価値をなくすだけ」=小泉発言=を支持する

小泉純一郎氏は「外交」もダメ、「マクロ経済政策」もダメな政治家だが、多くの人が知るところでは「大衆操作」を最も得意とし、さらに森田の評価としては「政局」を極めて得意にする人だと思っている。

その小泉氏が後掲のNHK原稿のように「問責決議可決は参議院の存在価値をなくすだけだ」と野党を牽制しているという。小泉氏のねらいは、福田康夫総理を援護射撃することで派閥に貢献する姿勢を示しつつ、彼が元々持っていた「派閥を通じて政治的基盤を作り出す」という、「改革派政治家」とは違う「もう一つの顔」を発揮しているのだと思う。

冷徹な小泉氏のこと、予想もつかない展開となる場合を除き「歳入法案を衆院3分の2により再議決」 → 「問責決議が提出されて可決されようと、衆院解散はしない」 → 「問責決議可決なら、参院は完全に無視し、衆院3分の2で2ヶ月ごとの『再議決』を繰り返して国政を独裁運営する」と腹を固めているということだろう。現に報道された発言の中で「もし問責決議案が可決されれば、福田総理大臣や大臣も参議院に出て行く必要はなくなる」と言っている。本来は「出たいのに出席させてもらえない」というのを、開き直って「出なくていいなら結構」と切り捨てるつもりだ。

そんなことは許されない?いやいや、掟破りの「地頭力」が小泉氏の本領である。これは半分以上本気だ。ただ、単にそうすることを決めているというだけなら、何も報道されるように公言する必要はない。小泉氏の狙いは、NHK原稿の言うように「問責決議提出」への牽制だ。つまり、小泉氏は自民党にとっての政局対処ということだけではなく、「福田首相を援護する」という姿勢を明確にしているのだ。

もちろん、小泉氏の「福田援護」は自分のためである。この動きを通じて、自らの権力のリソースを強化しようとしているのだ。「牽制」なぞすれば、民主党の「問責決議」提出の方向は強まるとも考えられるけれども、とにかく「自民党としては強行突破」、そして小泉氏自身としては「安倍再登板」や「麻生太郎政権」ではなく、「できるだけ福田を守りたい」ということだろう。

このブログで語ってきたことの多くは小泉氏に対する批判だった。しかし、ここは森田としても浅井の裏切りで北陸から大返しする織田軍のしんがり、羽柴秀吉に明智光秀や徳川家康が加勢した故事に習って、「小泉発言支持」を表明したい。

もちろん、森田の狙いは小泉とは別だ。森田の観点からすれば、ここで福田が総辞職に追い込まれれば、次の政権は麻生太郎政権だろう。麻生氏については、中国ばかりでなく韓国政府ですら強いアレルギーを示しているが、森田が知る限り、麻生氏は実はかなりバランス感覚、常識のある人だ。

ただ、この場面で福田から麻生にチェンジするということは、中川昭一、安倍晋三といった人々がもれなく付いてくるということを意味している。小泉・安倍時代にボロボロになった近隣外交がようやく落ち着いて来ているときに、また「極右」の政権を作るのは災厄ではないか。前にも書いたが、あの連中がまた衆院3分の2の権力を握って、来年の通常国会でもやった日には、とりかえしのつかないことになりはしないか。

だから、民主党にとって賢明な策は、自民党内の「右」や「道路族」が福田に後ろから斬りつける口実を与えないために、特定財源問題では自民党と折り合い、少なくとも参院採決で否決して両院協議会に持ち込み、参院の問責は出さないのがいちばんいい。そのことで福田と取引し、「7月解散」「9月解散」などがもし確実に勝ち取れればいいではないか。

森田好みのカードとしては、「福田首相VS岡田民主党首」が政権交代の可能性が大きいと思う。「麻生太郎首相VS小沢一郎党首」では、「まさかの政権交代逸機」ということになるのではないか。

【以下はNHKのホームページより】

小泉氏 問責決議案でけん制

4月16日 19時43分
自民党の小泉元総理大臣は16日、大阪市で講演し、税制関連法案の取り扱いに関連して、民主党が参議院に福田総理大臣に対する問責決議案の提出を目指していることについて、「問責決議案に法的拘束力はなく、参議院の存在価値をなくすだけだ」と述べ、けん制しました。

この中で小泉元総理大臣は、与党が税制関連法案を衆議院で再可決した場合に、民主党が参議院に福田総理大臣に対する問責決議案の提出を目指していることについて、「問責決議案には法的拘束力はないし、もし問責決議案が可決されれば、福田総理大臣や大臣も参議院に出て行く必要はなくなる。そんなことになれば参議院は存在価値をなくすだけだ」と述べました。そのうえで、小泉氏は「気にいらないからと言って問責決議案を出すというのは、権力の使い方を知らない。たまたま参議院選挙で勝って権力を使いたい気持ちもわかるが、問責決議案を出せば、国民から問責を受けるのは民主党だ」と述べ、民主党をけん制しました。さらに、小泉氏は「こういうときに突っ張り合っていてもどうにもならない。今は、話し合い、譲り合い、妥協し合ってよいものを作っていこうという時代だ」と述べ、与野党がよく話し合うべきだという考えを示しました。

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