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2008年4月22日 (火)

「高齢者医療新制度」=保険料で徴収するか、消費税で集めるか、累進税を充てるか=

年金からの天引きが始まったことも引き金か、という親子心中事件も起きて、高齢者対象の新医療制度への反発が厳しさを増している。

この制度設計の根底には「小泉・竹中」構造改革路線がある。高齢化で構造的に増える社会保障歳出についても他の政策経費と横並びで歳出カットが課され、厚生労働省はとにかく全分野での収支を改善するために「扶養家族になっている人にも保険料を課そう」「とりはぐれのないように年金天引きだ」と「小泉歳出削減路線」になんとか従おうとした結果出てきたのがこの制度である。

そして、この動きの背景にある考え方は「どんどん削れ。もうこれ以上削減されたらかないませんから、どうぞ消費税を引き上げて(社会保障費を確保して)くださいというところまで削れ」というのが小泉首相が言っていたと伝えられるところだ。これは森田がやや得意とする「翻訳」ではなく、本当にそう言っていたらしい。

そんな、死人まで出して社会保障の手当の必要な人々を恫喝し、増税を受け入れさせようというのが、小泉・竹中路線、またそれに同調する財務官僚たちの考え方だ。その一方で、ミサイル防衛システムという、やがて無用になり巨額経費を消費するだけの軍備競争はやっていこうと言うのだから、なんともはや、「軍備拡張、弱者切り捨て、愚民政策」の「右」全開の路線である。

困った状況に陥った人々が安心できるシステムを維持し、あるいは作り直していくことは必要だ。イデオロギー的に「小さな政府」を言うのではなく、本当に必要なシステムはどのようなものかを検討し、そのための財源について合意作りに努めるというのが本筋だろう。森田自身は、「インチキ小さな政府論」よりも、政府サービスの適正規模をしっかり検討し、その上で財源の確保についても国民合意の形成に努めるということが大事だと思う。端的に言って国民負担の上昇は説明でき、納得が得られる範囲なら選択肢から排除すべきではないと思っている。

ただし、国民負担には単純化すれば

①ひとり頭いくらと決まっていて、貧しい人ほど負担が重くのしかかる「保険料」、 ②消費に比例するので、低所得の人に負担が重いが、たくさん使う人がたくさん払うという面もある消費税、 ③税金は払う力のある人がたくさん払う所得税や法人税などの累進税

という三つの集め方がある。金持ちの味方の政府・与党から出てくるのは「保険料を上げるのが無理なら、消費税引き上げしかない」という、二者択一の選択肢だけだが、官庁と族議員が結託して設けている種々の特例措置撤廃、資産課税などの適正化といった方法も組み合わせるべきで、それらも含めてしっかり見直すというということが必要だろう。

2年前の制度改正時は、マスコミも「小泉改革支持」一辺倒でこの問題をわざと見過ごしていた。福田さんは「今になって騒ぐとは」という気分だろう。しかし、安倍政権ですら参院選の結果に恐れをなして半年導入を延期し、結局実施は難しいとも言われた制度変更を、強い反発を予想できずに導入してしまった福田さんの目測力は批判されても仕方がないだろう。

民主党は「ふざけるな」という高齢者の声に唱和していれば、当面の選挙にはいいのだろう。しかし、国の将来を考えるとそれだけでは十分ではない。社会保障、あるいは財政について「このように転換する」という原理、プログラムをぜひ整理して打ち出してほしい。

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