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2008年8月26日 (火)

NHK・BS1の『今日の世界』『おはよう世界』を採点する-ロシア・グルジア問題

 北京オリンピックが終わり、NHK・BS1のレギュラー報道番組も帰ってきた。南オセチアを巡るロシアのグルジア本土侵攻に関するニュースも、久しぶりに「特集」のような形でまとめられた。
 
 同じNHK・BS1でも番組による論調の違いがずいぶんある。『今日の世界』(22:15~)は袴田茂樹氏をゲストに迎え、ロシア側から見れば①NATOのグルジアやウクライナへの拡大はロシアにとって脅威、②90年代は経済低迷でアメリカに対して自己主張できなかったがエネルギーの輸出価格の上昇などで大国意識が出てきた、③メドべージェフは権力維持のために国内タカに向け強硬姿勢を示す必要があるという分析を紹介していて参考になる。

 さらに市瀬卓キャスターは、メドベージェフ大統領が休暇中で、プーチン首相がオリンピック開会式で北京にいる時を狙って南オセチアに軍事侵攻すれば、南オセチアを簡単に「解放」(実効支配回復)できると考えたとすれば、その判断は甘く、双方に大きな犠牲を生じた責任が問われるのではないかという視点を示していた。番組全体として、この問題を俯瞰する上で参考になる特集だった。

 他方、同じNHK・BS1『おはよう世界』(6:15~など)の高橋弘行キャスターは25日、26日ともこの問題について市瀬キャスターとは対照的な、浅薄な見方を語っていた。25日に同じ「判断が甘い」ということばを使いながら高橋氏が示唆したのは、今回の事態を招いたのはアメリカやヨーロッパ諸国の「ロシアの本気度」についての認識の甘さにあったのではないかという趣旨の見方だ。
                                             
 さらに26日に高橋キャスターは今回の事態を通じてロシアが得たものは、南オセチアをグルジアから切り離すことであり、さらに、そうではないかもしれないけれどもとしつつ、ロシアの次の狙いは「ロシアを通らずに、カスピ海の原油を黒海に運ぶグルジア領内のパイプライン」を手に入れることかもしれないと強く示唆した。

 『今日の世界』を見た人は、軍事力で問題を解決しようとしたことにそもそもの発端がある。複雑な問題であり、多くの要素に目配りしながら解決を探らなければならないと考えるだろう。『おはよう世界』のみ見た人は「ロシアは信用できない。われわれは甘く見られないように、アメリカを先頭にもっと強硬姿勢を強めなければ」と思うのではないだろうか。 

 『今日の世界』は英BBC、米PBSレベルの視聴価値のある番組、『おはよう世界』は米CNN、米FOXクラス、あるいは産経新聞、小泉・安倍レベルの有害番組であるというのいうのが、この二日間の番組を見ての森田の評価だ。

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