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2009年1月26日 (月)

【切抜・貼付】ジェラルド・カーチス氏の提示するオバマ政権への視点

先週水曜のNHK「視点・論点」より(NHK解説委員室のページから)。知日派で米政治地図でははっきりリベラル派のカーチス氏も、アメリカが戦争を始めるとたいてい「戦争支持」なのでいつも信用できるわけではないが、ここでは日本政治も視野に入れながらオバマ政権のどこに注目していくべきか極めてコンパクトに、過不足無く提示している。

日米関係において「継続」がキーワードであるということは、基地負担の軽減などで目覚ましい進展は期待できそうにないということで残念だが、日本も本格的な政権交代を準備すべき時期なので、相手の出方がある程度読みやすいということはメリットだろう。

「国民との対話」というところは大事で、民主党の若手は「オバマはインターネットの利用が巧みだ」などと微妙にずれたことを言っていないで、ここでカーチス氏が言うことを拳々服膺すべきであろう。

【以下、NHKページより切抜・貼付】

2009年01月21日 (水)
視点・論点 「オバマ大統領に期待するもの」
コロンビア大学教授 ジェラルド・カーティス

 オバマ新大統領、その就任にあたって、この番組の短い時間の間に、5つのテーマについて、お話をしたいと思います。

 今、言うまでもないことなんですが、オバマさんがアメリカの初めての黒人大統領であるということは、アメリカの歴史のもう劇的な出来事であります。ただですね、彼が大統領になったより重要な意義があります。それは、オバマさんは他のほとんどの政治家に見られない魅力と強さがあるということであります。

 感情的にならない、ナショナリズムを煽ることもなく、国民に絶えず顔を向けて、冷静に丁寧にわかりやすく厳しい現状を説明して、どういう政策が今アメリカにとって、必要であるかということを、納得させる努力をして、説得をする。その才能を持っているのは、彼のリーダーとしての素晴らしさであると思います。

 オバマさんがインターネットを使いこなしている。このことに大変関心を持って、これは日本の政治家にとっての、重要なモデルであると思う日本の政治家は結構多いですが、これは言ってみれば、二の次の問題であります。

 一番参考にすべきことは、難しい話をわかりやすくしゃべって、自分が官僚以上の知識があるということを見せる必要がなくて、国民と直接に対話をして、国民に大きな希望、期待、それを持たせるのがオバマさんに見習うというか、参考にするべきところであると思います。

 いずれにしても、オバマ大統領は説得する政治の名人であります。日本にもそういう政治家が望まれていると思います。

 2番目の点です。オバマ大統領が成功するかしないか、それを決めるひとつの大きな要因は、どれほど、議会対策がうまくいくかということであります。アメリカの上院議員は100人います。オバマ大統領の民主党がその過半数を持っています。ですが、まあ日本でいう安定過半数、それを持っていません。安定過半数になるためには、60人の議員が必要なんです。民主党は今のところ、57名、1人か2人まだ決まってないんですが、60人になれません。そうしたら、野党の共和党が、いわゆる審議妨害、フィリバスターって言いますが、それができるのであります。

 オバマさんは共和党との妥協をして、支持を得ざるを得ない。それに日本とか、他の議会制の国々と違って、アメリカの三権分離は非常に極度にはっきりしています。民主党が過半数を持っても、それでオバマ大統領の望むとおりには、必ずしもなりません。

 先日、上院議員、民主党のリーダー、リード院内総務は、わざわざ“I don’t Work for Barack Obama.” オバマ大統領の下で働いてません。要するに上院議員のリーダーとして対等な立場で協力をする。

 大統領が議会を説得する、その必要があるので、オバマさんはこの対議会政策、まあ議会の対策、これの重要性を十分わかっているので、議会での経験のある人を多く、たくさん閣僚、アドバイザーにしています。

 バイデン副大統領、クリントン国務長官、ダシュル厚生大臣などが、エマニュエル・チーフスタッフ、ホワイトハウスの一番上の人が、みんな議会での経験を持っている人たちであります。いずれにしても、これからのアメリカの政治をご覧になった場合、オバマさんが議会とどのぐらいうまくやってるかということを注目すべきことであると思います。

 3番目の点です。政府を小さくすれば、官僚の人数を少なくすれば、経済はよくなる、金持ちがより金持ちになれるような政策をとれば、国全体はよくなる。いわゆるトリクルダウン理論で考えたレーガン、サッチャー、そのイデオロギーの時代が終わったと言えると思います。

 今後は小さな政府か大きな政府、そういう議論ではなくて、適切な仕事、必要な仕事をする政府をどういうふうに構築するか、それが21世紀の行政改革のポイントであると思います。昨日のオバマさんの就任演説の中にも、大きな政府は求めていない、ただ、必要なことをする政府、これを作らなければならない。政府にしかできない役割があるということを、オバマ大統領が肯定的に考えているということであります。

 4番目の点です。8000億ドル、1兆ドルに近い財政出動、やりますけれども、それがどんなに国家的になっても、アメリカの経済が再生をしても、この金融危機、実体経済の大不況に陥ったアメリカの政治・経済・文化、そのものが大きく変わるということです。

 アメリカ人の過剰消費の上に立っている、世界の経済構造を大きく変えないといけません。その過程において、世界が保護主義的な方向に動かないように,新たな国際協調、国際協力が必要であります。

 最後ですが、オバマさんにおいての日米関係のキーワードは継続であります。大きな変化はない。日本との関係の重要性を十分認識しています。問題は、日本のほうからどれほど積極的な日米関係、あるいは、世界のいろんな問題について、提案や新しい新鮮なアイディアが出てくるかということであります。オバマ政権が日本に対して何を求めているのかと考えるよりも、オバマ政権に対して、日本が何を望むべきか、そういう議論がもっとあっていいと、私は思ってます。

 説得する政治、議会対策、適切な仕事をする政府、経済構造の改革、日米関係の強化、これらがオバマ政権のテーマであると同時に、日本のテーマでもあります。

 アメリカ人が今、大変な希望と期待を抱いて、オバマ政権を歓迎しています。
 1日も早く、日本も有権者がこのような希望と期待を持てるようになってほしいと,私は思います。

【切抜・貼付ここまで】

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