« ”The party's over, and now the hard part” | トップページ | 「民主は早期に政権構想を示せ」-19日付『毎日新聞』社説に同感 »

2009年1月22日 (木)

【切り抜き】凍てつくデラウエア河畔にて-オバマ大統領就任演説の絵解き(毎日新聞コラム「余録」より)

オバマ大統領の就任演説の中で、建国の父たちが独立戦争時にピンチに立ったときの話が出てきたが、アメリカの故事に詳しくないので知らない話だった。『毎日新聞』の今日付1面のコラム「余録」にその紹介があったので切り抜き・貼り付け。

岩見隆夫氏が、イージス艦の事故の際に「どの新聞のコラムも、イージスの語源であるギリシア神話に触れていた」と無個性化を嘆いていたが、あの時も「余録」の取り上げ方は他紙と比べて深かったと思う。現在の各紙のコラムの中では、歴史、古典についての知識、引用の適切さにおいて『毎日』の「余録」子が断然優れていると思う。

【以下、2009年1月22日付『毎日新聞』より切り抜き、貼り付け】

余録:厳寒の中の希望

 ドイツ人はクリスマスにはビールを飲んでバカ騒ぎするだろう--こんな見通しなしには米国は独立できなかったかもしれない。独立戦争で英軍に圧迫されたワシントン率いる大陸(たいりく)軍は、英軍のドイツ人傭兵(ようへい)部隊をクリスマスに急襲して形勢挽回(ばんかい)した

▲直前の大陸軍は相次ぐ敗軍で数千まで兵を減らし、凍りつくデラウェア川の岸で野営した兵の中には靴すらない者もいた。歴史的奇襲の2日前、そこにいたある男はたき火の光の中でこう記した。「今こそ人間の魂にとっての試練の時だ」

▲男は「コモン・センス」の著者トマス・ペイン、この時に書かれた「危機」という文章は大陸軍将兵を鼓舞し、独立戦争の勝利に貢献した。米独立革命史の泣かせどころといえるこの場面は、米国の苦難の時代には繰り返し思い起こされる

▲だからオバマ新大統領が、その「危機」を引用して国民を鼓舞したのは、困難な時代の米国リーダーの正道だろう。「未来の世界で語られるようにしよう--厳寒の中、希望と美徳しか生き残れなかった時、共通の脅威にさらされた都市や地方は進み出て、共に立ち上がったと」

▲華麗な言葉のアクロバットを期待する声もあった就任演説である。だが耳に残ったのは国民に正面から現状の厳しさを説き、米国再生への「責任」を共に担うよう求める堅実な言葉だ。そこには過熱気味だった期待を冷却する狙いもあろう

▲仏思想家トクビルは建国間もない米国人を見て「欠点を自ら矯正する力」を見抜いた。行き詰まった政治の大胆な路線転換も、建国の理想を再活性化することで可能となる米国の文明だ。その21世紀版は今、黒人大統領が扉を開いた。

|

« ”The party's over, and now the hard part” | トップページ | 「民主は早期に政権構想を示せ」-19日付『毎日新聞』社説に同感 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/136601/43819141

この記事へのトラックバック一覧です: 【切り抜き】凍てつくデラウエア河畔にて-オバマ大統領就任演説の絵解き(毎日新聞コラム「余録」より):

« ”The party's over, and now the hard part” | トップページ | 「民主は早期に政権構想を示せ」-19日付『毎日新聞』社説に同感 »