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2009年2月27日 (金)

それでは、小沢一郎氏の「第7艦隊で充分」発言に反撃する自民党議員たちに任せておけるのか

小沢氏の発言について、自民党側から「日米安保を損なう」「自主防衛力強化で社民党などとやっていけるのか」とオニの首をとったような批判が寄せられている。

しかし、国民は例えば年金について、ずっと自民党政権と厚生労働省、社会保険庁に「お任せ」でやってきてどういうことになったのかを思い出さないわけにはいかない。

年金についてはお粗末だったけれども、外交・安全保障は自民党政権と外務省、防衛省のやり方については絶対大丈夫だから任せて欲しいと言われても、マユにツバをつけて考えた方がいいだろう。

「アメリカが日本を守っている。日本とアメリカは自由と民主主義という価値観を共有している。だからいまのやり方が正しい」という刷り込みをボーッと信じてしまっていると、いつか年金がボロボロになっていて衝撃を受けたように、日本の外交・安全保障がとんでもないことになつていたことに驚くことになる。

すでに小泉政権の時に、国連がオーソライズしないイラク戦争に憲法の趣旨を踏みにじって支持表明し、陸上自衛隊をイラクに派遣したり、周辺国に航空自衛隊を派遣したりしていることは、そのことの証左とも言えるだろう。

民主党、あるいは小沢一郎氏の外交・安保政策については、かつて小沢一郎氏と横路孝弘氏ら旧社会党グループの間に基本的な合意ができており、自民党や一部メディアの「全くバラバラ」という批判は当たらない。

フジテレビ「とくダネ」の小倉さんも、小沢発言は国民が本当のことを考えるキッカケになるかもしれないと言っていたが、民主党もこの際は、前原前党首が麻生総理に「尖閣も日米安保の対象であることを認めるよう求めろ」といったような、これまでの路線をさらに進めるような方向ではなく、むしろ自民党政権の外交安全保障政策の基本的な考え方について厳しく再検討を求めていくという姿勢が必要だろう。

アメリカから見れば、特にアメリカ軍部から見れば、美辞麗句はともかくとして「日本は戦争に打ち負かした国であり、そこに置く基地はアメリカの既得権益であり、しかも太平洋の西側にあって東アジアから中東にかけて大兵力を動かすときに米本土やハワイを起点にするよりずっと便利。しかも基地の地代は日本政府が払っているし、『思いやり予算』もある。横須賀のドックは第七艦隊の空母をメンテナンスする能力が特に優れており、そして何より『自民党政権』は、『アメリカが日本を守る』。『アジア太平洋の平和と安定に協力しよう』と言ってやれば、何でも言うことを聞く」ということなのだ。

アメリカとの関係は、引き続き日本にとって最も重要な国際関係の一つであることは言をまたない。しかし、そのことと相手の言いなりになることは別のことであり、当然、日本は日本の利益を冷静かつ慎重に考え、その上でアメリカと良い関係を結んでいくということが必要だ。

小沢さんには横路グループとの合意を尊重していって欲しいが、やっぱり心配なのは小沢発言を受けて興奮して「俺たちでなければ日米安保は運営できない」とうっとりしている自民党幹部の政治家たちだ。玉置浩二と石原真理子のルンルンぶりを見るのと同じような、この人たちこそ現実離れしたファンタジーに浸っているのではないかという危惧を持つのは森田だけだろうか。

【以下、毎日新聞、共同通信より切貼】

自民:小沢代表批判相次ぐ 在日米軍削減論で

民主党の小沢代表=盛岡市内で2009年1月31日、狩野智彦撮影 在日米軍削減論を掲げた小沢一郎・民主党代表の発言をめぐって26日、政府・自民党から批判が相次いだ。麻生太郎首相は26日夜、首相官邸で記者団に対し、一般論と断りつつも「防衛に少なからぬ知識がある人は、そういう発言はされないんじゃないか」と強調。小沢発言を引き合いに、民主党の政権担当能力に疑問を投げ掛ける戦術に出た。

 小沢氏は25日、大阪市内で記者団に対し「米国のプレゼンスは必要だが、おおむね(米海軍横須賀基地に拠点を置く)第7艦隊の存在で十分だ。日本の防衛に関することは日本が責任を果たせばいい」と発言した。これに対し、河村建夫官房長官は26日の記者会見で「非現実的だ。政権交代を標ぼうする民主党代表の考えとしてはいかがか」と皮肉った。

 一方、自民党の町村信孝前官房長官も26日の町村派総会で「暴論以外の何物でもない」と厳しく批判。党内からは「日本の軍事増強でカバーする発想なら、共産党や社民党がよく一緒に行動している」(伊吹文明元幹事長)、「民主党はもう政権を取ったような気分で、言いたい放題言っている」(安倍晋三元首相)など、疑問を呈する声が続いた。【三沢耕平、坂口裕彦】

毎日新聞 2009年2月26日 20時59分(最終更新 2月26日 23時01分)

小沢代表の発言要旨     2009/02/26 16:18   【共同通信】

 在日米軍再編に関する小沢一郎民主党代表の発言要旨は次の通り。

 ただ米国の言う通り唯々諾々と従っていくということでなく、私たちもきちんとした世界戦略を持ち、どういう役割を果たしていくか。少なくとも日本に関係する事柄は、もっと日本自身が役割を分担すべきだ。そうすれば米国の役割は減る。この時代に前線に部隊を置いておく意味はあまりない。軍事戦略的に(米海軍)第7艦隊が今いるから、それで米国の極東におけるプレゼンス(存在)は十分だ。あとは日本が極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思っている。(24日、奈良県香芝市で記者団に)

 (米空軍は)いらないと言っているのではなく、日本もきちんとグローバル戦略を米国と話し合って役割分担し、その責任を今まで以上に果たしていかなければいけないという意味で言っている。日本も米国におんぶに抱っこになっているから。自分たちのことは自分たちでやるという決意を持てば、米軍が出動部隊を日本に置いておく必要はない。ただ、どうしても東南アジアは不安定要因が大きいので、米国のプレゼンスは必要だ。おおむね第7艦隊の存在。あとは日本の安全保障、防衛に関連することは日本が、自分のことなんだから果たしていく、そういうことだ。(25日、大阪市で記者団に)

2009/02/26 16:18   【共同通信】

【以上、切貼】

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2009年2月26日 (木)

「商品券(地域振興券)は効果が無かった」というのも本当か

きまぐれな日々」で森永卓郎氏の定額給付金は本当に意味のない政策かを知って読み、全く同意見であると共感する。テキストファイルにしておいて、いろいろ説明するときに使わせていただきたいと思う。

関連してだが、森田はテレビでこうした問題を解説したり、コメントを述べる人々の大半が「定額給付金」構想を批判するときに「小渕内閣の時に商品券(地域振興券)を配ったが、これもGDPを押し上げる効果はほとんどなかったことが政府自身の統計で明らかになっている」というセリフを異口同音に語っていることについても、ちょっと待って欲しいと思っている。

たとえ話だが、「かぜをひいて、風邪薬を飲んで、直った」としよう。さてこの場合、風邪薬を飲んだから直ったのか、それともひょっとして飲まなくても直ったのか、どっちだろうか。

もしある程度確からしい実証をしたければ、同じような症状の人に「かぜを飲ませたケース」「かぜ薬を飲ませなかったケース」、それと心理的効果を測るために「風邪薬と同じ形状の、例えば小麦粉を加工したものを飲ませたケース」などについてデータをとり、それぞれのケースを比較しなければ本当のところは判らないと思う。

小渕内閣の「商品券」の経済効果があったか、なかったかについては、同様に本当は「商品券を配った場合のデータ」「配らなかった場合のデータ」を比較しなければ、効果があったのか、なかったのかはわからないはずだ。たしかにあの規模では焼け石に水だっただろうが、そうした裏付けなしに「経済持ち上がらなかったですよね」「やっぱり効果なかったんですかね」というような話であれば、その辺のおじさん、おばさんのおしゃべりと変わらない。

それを、役所のブリーフィングを鵜呑みにしてか、竹中平蔵さんがスマステーションに出て「鮮やかに」説明して若いタレントやスタジオ参加者を感心させている姿に感動してか、それとも「みんなが言っているから」という理由からか、壊れたレコードのように「かつての商品券も全く効果がありませんでした」としたり顔で繰り返すのは愚かなことだと思う。

「商品券」。実行したのはかつての自民党首班内閣で、強く求めたのは連立与党の公明党だった。しかし、この人々を批判して政権与党の座から引きずり下ろすということと、個々の政策の実証的な評価は峻別して考えるべきだろう。

「給付金」も、麻生内閣が提案しているとはいえ、マクロ政策としても、あるいは結果として消費税の逆累進性を緩和する手段の一つとしても正しいと思う。

問題は、森永氏のいうように今回の措置としては規模が小さすぎることと、毎日新聞2009年2月22日付朝刊1面の記事が報じたように、ワーキングプアーとなって住民票を置いていた場所から移動して住所不定になったような最も困窮した人々に対し、給付をゆき渡らせるための手だてを事務を丸投げされた自治体の大半は行っておらず、麻生自公連立政権の側からその問題についての責任ある対応が打ち出されていないことだ。

リーマンショックから5ヶ月。成果はともかく、欧米の政権や、自民党政権の多くの連中が馬鹿にしている中国も大規模な政策をとっくに実施に移している。オバマ政権と米民主党議会指導部は法案成立に必要な3票のために、たった3人の共和党上院議員の提案を丸呑みにして2週間で法案を成立させている。結果を出せない政治家、政権はダメだ。

自民党、公明党は「野党の抵抗」というが、「どう野党の言い分を飲み、法案や予算を必要なスピードで成立させるか」は、政権与党の責任であり、能力のバロメーターだ。

【以下、上記毎日新聞記事の切貼】

定額給付金:ネットカフェ難民らへ届かない 自治体9割、対策なし

 ◇3億円宙に? 総務省「仕方ない」
 生活困窮者支援を目的の一つとする定額給付金について、給付窓口となる全国の市区町村の9割が、住まいを失った非正規社員やホームレスなど、住民登録の困難な人に対する通知方法を検討していないことが毎日新聞の調査で分かった。厚生労働省の統計では、「住居喪失者」は2万4000人以上いるとされ、景気の悪化でさらに増えると予想される。3億円規模の給付金が生活困窮者に届かない恐れが強まっている。【まとめ・篠原成行】

 総務省が1月28日付で通知した「定額給付金給付事業費補助金交付要綱」では、「市区町村は受給申請に必要な書類を、2月1日までに住民登録を完了した住民に配布する」としているが、住居喪失者への通知義務は定めておらず、通知方法も示していない。

 今回の調査は要綱通知後の2月初旬、各都道府県を通じて実態を調べた。その結果、住居喪失者への配布方法について「何らかの対応を検討中」としたのは全国1804市区町村のうち横浜市、千葉県船橋市、神戸市、岐阜県多治見市など12市にとどまり、少なくとも1573市町村(87%)は検討していなかった。東京、茨城、山形、兵庫、奈良の5都県は「各自治体の方針は把握していない」と回答した。

 検討中と答えた12市のうち、具体的な通知方針を示したのは埼玉県蕨市と大分県国東市の2市。蕨市は「ネットカフェに1カ月以上滞在している人には、店舗を住所として給付する」、国東市は「住民登録のない人に対しても、指定した地区の全戸に郵便物が届くタウンメールを使う」と回答した。

 岐阜市の担当者は「住民登録してない人への対応まで手が回らないのが実情」、広島県福山市の担当者は「住居喪失者を確認しようとすると市の負担が増える」と話した。

 総務省定額給付金室は「給付金は住民登録に基づく事業なので、通知は自治体に任せている。住民登録がなければ給付できなくても仕方ない」としている。

 ◇混乱予想できた--政治アナリストの伊藤惇夫さんの話
 実施までの過程をすべて地方に丸投げした施策で、自治体が混乱するのは最初から予想できた。国の政策なのだから、「住民登録に基づく事業で、通知は自治体に任せる」という言い方には、自治体も納得しないだろう。

毎日新聞 2009年2月22日 東京朝刊

【以上、切貼】

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2009年2月25日 (水)

オバマ大統領議会演説(2009年2月24日)

オバマ大統領の議会演説をNHK・BS1の中継で見る。普通は新大統領就任の年は「一般教書演説」やそれに当たる演説は行われないと思うが、経済情勢がこういう時でありメッセージを発することが重要だという考えから行われたのだろう。

演説が始まって45分ほどして、日本時間の正午少し前から安全保障や退役軍人支援の話しが始まったが、演説の大半は経済の話しで、しかもその肝は未来への投資、「再生可能エネルギー」、「医療保険改革」、「教育」の三つの話題に焦点をしっかり絞っていた。

指導者によって、語るべき時に、語られるべきことが語られる。うらやましいことだ。

週明けの米ABCテレビは「今週はオバマ大統領の就任以来、最も重要な週になるかも知れない」とし、月曜日のホワイトハウスでの予算案にかかわる議会指導者らとの会合、火曜日夜(現地時間)のこの議会演説、翌水曜日の予算案提示というスケジュールを紹介していた。

火曜日の日米首脳会談が「昼食会もなし」などとけなしていた報道があったが、この、ものすごく大事で忙しい時期に時間が割かれたという事情を無視した意見だ。このような時に日本の首相のために時間を割くことを決断したオバマ大統領とスタッフの日本重視のサインを見落としてはならない。あるいはここに割り込んだ日本外務省、駐ワシントン大使館の腕力はたいしたものなのかもしれない。

でも、中味まで評価に加えてタイムリーな訪問だったと言えるか。「語るべき時に、語るべきことが語られた」会談となったのか。‥‥まあ、いいや。

それにしても、ブッシュ大統領の後ろに控えるチェイニー副大統領(上院議長)という「絵」が、2年前から下院議長の椅子に座っているナンシー・ペローシ女史に加え、バイデン副大統領(上院副議長)を従えたオバマ大統領にチェンジした。この極寒の冬が過ぎ去って春がやって来たような景色はなんと素敵なことでしょう。

日本のリベラル派は、この「好機」をみすみす逃してはいけないと思う。

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2009年2月24日 (火)

鳩山幹事長の「閣僚官邸常駐」構想は良い点を突いている

内閣の性格には複数の要素があり、内閣を構成する「大臣」にはいくつかの顔があるが、これまでの政権では、内閣は「各省庁の大臣の寄せ集め」、大臣は「各省庁の代表者として、各省庁の役人のコントロールの下に内閣の一角を占めている人」という要素が強すぎる。

日本の国政の中枢機能を強めるには、内閣は「『行政権』の中枢機能」としての性格を本義として、大臣は各省の代弁人としてではなく、まず「内閣の一員である国務大臣」としての自覚をもって政権の運営に参画することが重要だ。

森田自身は、事務方抜きの「閣僚懇談会」を夜な夜な開き、それを次第にイギリスの閣議のように「閣僚が討論して国の方向を決め、各省庁をリードするセンターにし、次第に現在『閣議』と呼ばれる『花押書きのセレモニー』ではなく、こちらを『閣議』にしていく」という方策を民主党幹部に提言しようと思っていた。

イギリスでは閣僚のオフィスは議会内にあるという。だれが、どこで会合しているかということは、よく考えて設計しなければならない。鳩山構想の下では、自民党が党本部でやっている部会のような会合は官邸でやったらいい。いま自民党がやっている、「政府」と「党」の二本立てのような責任の所在を不明確にし、腐敗の温床となるようなやり方は止めるべきだ。

書き方が行き当たりばったりになってしまったが、とにかく鳩山構想は「官僚支配打破」という観点から、実に大事なところを話題にしていると思う。

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2009年2月23日 (月)

「おくりびと」アカデミー外国語映画賞受賞をよろこぶ =やっぱりニッポンはたいしたもの。ダメなのは政官財中枢だけ=

とてもよい映画だったこと、ここ1~2ヶ月の『朝日』や『毎日』の予想記事が中東の戦争を扱ったものなどライバルが強力でむずかしいのでは、という感じだったこともありたいへん嬉しい。

この映画、本木雅弘さんが映画化を思い立ち、関係者に働きかけたことからはじまったと聞く。表現者がテーマを発見し、作品に結実させていく。なんだか嬉しいプロセスだ。

冷泉彰彦氏がメールマガジンで、最近の情勢も踏まえてアメリカ各界の日本に対する「期待」「再評価」のようなものが高まっていることを「おくりびと」も話題の一つとして語っていた。クリントン国務長官の就任後初の外国訪問が日本だったこともその「期待の高まり」と関係があるかもしれない。中川前財務相のG7泥酔会見事件などは、それに冷水を浴びせるものだが‥

「ダメなのは政官財界の中枢部だけ、それも特に右寄りの連中。表現の世界を見よ。『おくりびと』『つみきのいえ』ダブル受賞を見よ。日本人が培ってきた底力はたいしたものなのだ。政官財界の中枢神経をしっかり入れ替えて『チェンジ』すれば、また明るい時代を切りひらくことができる」。

そんなふうに考えることにしよう。

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内橋克人氏インタビュー全文(『朝日新聞』2009年2月23日付朝刊オピニオン欄掲載)

【以下は、『朝日新聞』2009年2月23日付13面オピニオン欄掲載の経済評論家・内橋克人氏のインタビュー記事の全文写しです】

資本主義はどこへ
協同考え新たな基幹産業を

競争と共生

内橋克人さん 経済評論家

  内橋さんは市場万能主義、競争至上の新自由主義経済に異議を唱え、90年代から「このままでは雇用が破壊される」「社会のきずなが断たれる」と警鐘を鳴らしてきました。現状をどう見ますか。
 「今の日本は一番大事なものを失いました。それは、人間の尊厳と景気の自律的回復力です。これまでは景気が悪くなっても設備投資が動き出し、やがて働く人びとの所得が増えて好況になった。しかし、日本はいびつな不均衡国家になってしまった。過剰な外需依存と格差拡大、簡単に職を奪われ、安心して消費もできず、景気変動に耐える大事な力を失ってしまったのです」
    なぜ極端な不均衡国家に。
 「日本はグローバル化に『対応する』べきところを『適応する』ことばかり考えてきました。外資を稼いでもらおうとトヨタやソニーなど『グローバルズ』(日本型多国籍企業)に政策支援を集中させ、同時に国内ではリストラが進んだ。小泉構造改革の下で始まったいわゆる『いざなみ景気』の中で、製造業への派遣労働が自由化され、海外に進出していた工場が『日本回帰』と絶賛されて帰ってきた。つまり、国内でも低賃金で雇用できるようになり、輸出によって海外で稼ぎまくった。一方、多くの派遣労働者は社会保障の枠外に置かれ、クビを切られている。賃金、社会保障、地方、農業、あらゆる面で格差が拡大した。グローバルズが稼いだ外貨は十分還元されず、米国の浪費にすがることもできなくなって操業停止です」
    雇用問題は深刻です。
 「市場万能システムでは人間は単なる労働力であり、経営者も景気の条件反射のように労働力を切る。もともと雇用を減らすのは最後の選択だから、例えば雇われている人の数を示す雇用指数は、足元の景気よりやや遅れて動く『遅行指数』とされています。それが今や、景気の先行きを示す『先行指数』のような状況です」
                      
 ■企業化した「公共」

    内橋さんたちの異議は、しかし市場主義の潮流の中では力を持たなかった。
 「過去30年に及ぶ新自由主義政策は周到につくられています。時の権力者たちは、一つの思潮を広めるのに必ず学問とマスコミを動員します。アメリカでは『シカゴ学派』を、日本では規制緩和の諮問会議などを通して、『官から民へ』『働き方の多様化』『努力した者が報われる社会を』などとあおった。私は、こう問うてきました。『民』は民間巨大資本の民ではないか。働き方の多様化ではなく、働かせ方の多様化ではないか。努力が報われる社会は結構だが、競争社会では最終的に一人勝ち、敗者は努力不足だからあきらめろというのか、と」
 「日本人は、時流に乗る熱狂的等質化の傾向が強く、強い者に弱く、弱い者には強いという特性があって、少数の異議申し立てが排除されやすい。これは危険だと思います。『公共』という意識も弱く、公共の企業化という流れの本質もなかなか見抜けなかった」
    現在の資本主義は破綻しかけている、との見方があります処方箋はありますか
 「世界の国内総生産(GDP)の合計は54兆ドル(約5千兆円)ほどなのに、金融市場を暴走するホットマネーは最大で約540兆ドルともいわれます。利が利を生む虚のマネーが巨大化して実体経済を振り回してきた。もはや制御不能です。ホットマネーはいずれ自滅すると思いますが、実体経済を救うためにも、国境を越えて本当の専門家を集め、真剣に国際協調に取り組む必要があります」

 ■分断から連帯へ

    内橋さんは「共生経済」、具体的には「F(食料)E(エネルギー)C(ケア)自給圏(権)」を提唱しています。
 「競争の原理は分断です。分断して対立させ、競争させる。切磋琢磨は結構ですが、共生は連帯と参加と協同を原理として食料、エネルギー、介護など人間の基本的な生存権を大事にする。FとEとCを自給し、消費するだけでなく、そこに雇用を作り出す。その価値観の下で新たな基幹産業を創出し持続可能な社会に変える。経済効果は大きいはずです」
  「オバマ大統領は『無保険者に保険を』と公約し、財源として富裕層優遇減税を見直す考えです。所得再配分政策の復活です。FEC自給圏に通じます」
  国内経済優遇は保護主義につながるという意見や、逆に江戸時代のような自給経済に戻ろう、といった声も出てます。
 「とんでもない。FEC自給圏は人間の安全保障です。私は古き良き日本がいいなどとは思いません。差別や身売りがあり、基本的な生存権が奪われていた時代ではなく、人間を第一義とする共生経済をめざしているのです。それは小さな地域や若者たちの間で、すでに始まっている未来です」
                               
(聞き手 都丸修一)

内橋克人(うちはし・かつと)
 32年生まれ。神戸新聞記者を経て67年から経済ジャーナリスト、評論家として活躍。日本の技術者たちを描いた「匠の時代」シリーズをはじめ、「規制緩和という悪夢」「経済学は誰のためにあるのか」「共生の大地」「悪魔のサイクル」など、現場主義と実証に力を入れた著書多数。

【以上、写し】                                 

※森田コメント:『朝日新聞』経済部は、一貫して新自由主義路線=小泉・竹中路線=を支持し煽ってきた。リーマンブラザース破綻と世界経済変調という事態を経て、昨年10月に突然、サミュエルソン氏の新自由主義批判の寄稿を掲載して総括なき部分的方向修正を示している。 小泉・竹中時代に内橋氏の大型インタビューなどを掲載してきたのは朝日ではなく、読売だった。今回のインタビューもWEB版には不掲載。
 ところで、森田が期待する政権交代後の内閣像は「内橋克人財政経済担当大臣」「財政経済諮問会議の民間委員の一人は神野直彦氏」といった姿だ。「チェンジ」しかも「明確なチェンジ」が必要なのだ。

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ファインスタイン上院議員らがクラスター爆弾禁止法案を提出

『毎日新聞』2009年2月23日付記事によれば、米上院のダイアン・ファインスタイン上院議員らが、アメリカ議会でオスロ条約締結後初めてとなるクラスター爆弾使用禁止法案を米議会に提出したという。歓迎したい。

先日のオバマ大統領の就任式典で進行役を務めたカリフォルニア州選出の民主党、元サンフランシスコ市長の女性議員であるファインスタイン氏は銃器規制論などでも有名なリベラル派で、ブッシュ政権が地下施設への攻撃を想定した新型核爆弾の開発を企図した際には、本会議場にヒロシマ・ナガサキの核被害を示す写真パネルを持ち込んで関連予算の成立阻止の先頭に立ち、同構想を事実上葬った中心人物だ。

民主党大会で大統領候補がオバマ氏に一本化された直後、オバマ候補とヒラリー・クリントン上院議員の二人だけの会談に自宅を提供したことでも知られるが、バネッタCIA長官の指名について報道があった際には上院情報委員長として「聞いてない」と発言、これは「中道」のオバマ側近グループに比べリベラル色が際だっていることの反映かも知れない。

オバマ政権については、その布陣から言っても例えば沖縄の基地負担軽減などを念頭に辻本清美代議士(社民)らから「期待できないものもあることを銘記しておく必要がある」という趣旨の発言がある。それはそれで正確かつ良い指摘だが、同時に民主党リベラル派や社民党、日本共産党の人々、あるいは平和指向の市民団体の人々は、「自民党追随」が基本の自民党議員たちや外務省の連携の対象からこぼれているに違いないファインスタイン議員のような議員や、そのスタッフたちとの交流、連携を積極的に図っていくべきだと思う。

【以下、上記記事の切貼】

STOPクラスター米議会議員団上下両院に使用禁止案を提出

 【ワシントン大治朋子】不発弾が市民を殺傷しているクラスター爆弾について、米議会の上下両院の議員団がこのほど、米軍による同爆弾の使用禁止を定める法案を両院に提出した。昨年12月のクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)締結後、米国で同爆弾の使用を規制する法案が提出されるのは初めて。米国防総省は禁止に反対しているがオバマ大統領は積極的で、議会でどこまで支持が集まるかが焦点となる。

 カリフォルニア州選出のファインスタイン民主党議員ら上院議員19人は11日、同爆弾の使用禁止などを求める法案を上院に提出した。下院でもマサチューセッツ州選出のマクガバン民主党議員ら民主、共和両党の7人が同日、同様の法案を下院に出した。その後同院ではさらに支持が集まり、共同提案者は17人(22日現在)にまで増えている。

 法案は不発率が1%超のクラスター爆弾の使用を即時全面禁止。さらに使用が認められる対象も「軍事的目標に限り、一般市民が存在するか、もしくは通常居住するとされる地域では使わない」と厳しく限定し、事実上の全面禁止に近い内容となっている。

 米議会ではクラスター爆弾について、一部議員が断続的に規制法案を提出していたが、大半は採決にも至らず継続審議などになった。06年夏の第2次レバノン戦争で不発率の高い米国製クラスター爆弾が多数使われたのを機に、上院は同年9月、国防予算案の審議で市民が密集する地区での使用禁止を求める一部修正案を審議した。反対多数で否決されたが、当時上院議員だったオバマ氏は賛成した。

 法案審議に先がけ、同爆弾の禁止を求める国際平和団体「国政立法フレンド派委員会(FCNL)」(本部・ワシントン)など67の市民団体はオバマ大統領に対し、オスロ条約に署名するよう求めた。

 米国では国防総省が国際世論に押される形で昨年7月、「新方針」を発表。2018年以降は不発率1%超の爆弾の使用を禁じる方針を定めた。しかし事実上、今後10年間の使用を認める内容だと批判されている。

毎日新聞 2009年2月23日 東京朝刊

【切貼以上】

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2009年2月22日 (日)

「日本の財務相がバチカンのラオコーン像によじ登って警報鳴らす」-爆笑と言ってはいられない

今週末も新聞切り抜きなどしながら、羽根木公園・梅まつりの川場村の売店に飲むヨーグルトを買いに出た以外は在宅の週末。

あいかわらずのテレビ。森田敬一郎の発言に続いて(笑)、小倉さんがとくダネの「週間エンタマイスター」で取り上げた幸田浩子さん。月末の津田ホールのチケットは売り切れのようだが、昨年四月の紀尾井ホールでのN響メンバーによるアンサンブルをバックにしたコンサート(NHK・BS)の放送録画を見る。

「とくダネ」で紹介していたドンギアという作曲家が彼女に捧げたという「新しい色の祝祭にて カリヨン」は、そこで紹介されていたイタリアのアンサンブルをバックにしたものより少しテンポが速めのよう。モーツァルトのコンサートアリア『あなたに明かしたい、おお神よ』K.418がとりわけ素晴らしい歌唱だった。

もうひとつは日本映画専門チャンネルで放送された映画『長州ファイブ』(2006年)。幕末の井上、伊藤らの密航は教科書にも出ているかも知れないが、高校生などがイメージをつかむのに良い映画だと思う。

長州は、明治後の軍国主義と政官財癒着を先導したグルーブだけに手放しで礼賛する気にはなれないが、井上が後に条約改正交渉で「鹿鳴館」など軟弱と批判された漸進路線をとったり、日露戦争後に米ハリマンの「南満州鉄道の日米共同経営」提案に前向きの姿勢を示したこと、あるいは伊藤が日露戦争前後にロシアに対して宥和的と言われたハト派的な姿勢の根底に、命がけで体得した国際政治の現実感覚があったことを想起させる。

ところで、録画で見た先週火曜日放送のNHK『爆笑問題のニッポンの教養』は美術解剖学の布施英利さんの話でとても面白かったが、番組のはじめの方でいくつかの美術の映像が流された時に「あれ、これどこかで見たな」という彫刻。

今朝、朝日新聞2009年2月21日付社会面で見たバチカン博物館蔵「ラオコーン」像だ(!)

Laokoongruppe03

中川昭一前財務相兼金融相があの泥酔会見のあと、バチカン観光で柵を乗り越えて警報を鳴らして恥をさらした時に、よじ登ったやつらしい。

まあ、いつ世でも猪武者のように威勢のいいことを主張するのは、たいてい現実を知らない愚かな人々であり、「国家、国家」と声高に叫ぶ連中にかぎって、「ローマのレロレロ」のように国益を大きく損ねるのが関の山なのだ。

威勢がいいのは自民党ばかりではないかもしれないが、『長州ファイブ』でも見て、先人の苦労を学ぶべきだろう。

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2009年2月20日 (金)

サンサーンス『動物の謝肉祭』の標題はダジャレ?

サンサーンスの「白鳥」といえば、知らぬ人はいないチェロ独奏の名曲だが、これが含まれている組曲『動物の謝肉祭』はパロディー満載の珍曲集だ。

NHK・BSの『名曲探偵アマデウス』(BSハイビジョン2月14日放送など)がこの曲を取り上げていたが、なかなか楽しかった。

最初に出てくる「百獣の王」から、「空虚5度」という音程を使って「権威」、「空威張り」をからかっているといった知識が増えるのも楽しいが、しかもからかいの対象には、当時フランス楽壇の権威だが作風が保守的と批判されていたサン・サーンス自身がどうも含まれていたという背景説明を聞くと、漱石の『坊ちゃん』の悪役・赤シャツには漱石自身が投影されているといったことが思い起こされたりする。

のっそりした「亀」のメロディーは文明堂のコマーシャルソング、オッフェンバックの『天国と地獄』の有名なメロディーを4分の一のスピードに引き延ばしたお遊びだが、4倍のスピードで再生して俳優たちがソファーの周りを走ってみせるなどは、本当にテレビ的で面白い。

「化石」の引用もとである、サンサーンス自身の交響詩『死の舞踏』が直ちに聞こえてくるのも楽しく、やはり2曲のフランス民謡を特定したアナリーゼも目からウロコだが、ここでも自身の作品が保守的であることを自虐的に描いているように見えて、実は同時に「自分の作品は古典として残る」という自信も投影しているという分析が興味深い。

それにしても、ドイツを旅行中にワーグナーを批判して演奏会ができなくなり、この組曲をウィーンで初演したというのだから、サン・サーンスという人はホントにおかしな人だ。そういえば、中学生の頃にカール・ベーム指揮ウィーンフィル、俳優をしているベームの子息がナレーションを担当(カップリングの『ピーターと狼』の方だけかな?)というLPが売り出され、演奏者と曲がミスマッチという印象受けたけれども、ウィーン初演の曲だったんですか。

「名曲探偵アマデウス」、この日のオーケストラはN響ではなく日フィル。チェロのソロの人は儲け役で、親戚や友だちに電話しただろうな。

一緒に見ていた息子は、各曲をテーマに絵を描き始めた。一枚は登場する動物が全部集まって、全体は象の形に集合しているという躍動的な優れもの(親バカ)。実は森田自身、子ども時代にすり切れるほど聴いたLPがアーサー・フィードラー指揮ボストンポップスのこの曲で、そこではヒュー・ダウンズという人のナレーションが聞かれるが、子ども時代には一言もわからず聞き流したものを大人になって聞き返すとこれもダジャレ満載のようで、そもそも「アーニマール、カーニバール」という標題からして韻を踏んでいるように聞こえる。

そうこうしているうちに、今月28日にティアラこうとうで開催される東京シティフィルの公演で「動物の謝肉祭」が演奏されるということを知った。たまたま2台のピアノのうち一人は、昨年熱海のMOA美術館でとてもセンスの良いプーランクの「ナゼールの夜会」を聴かせてくれた森田由子さん(親戚ではない)だ。メインはドビュッシーが北斎の『富嶽三十六景』の「神奈川沖浪裏」にインスパイアーされて作曲した交響詩『海』。わが家の画の巨匠を誘って出かけることにしよう。

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2009年2月19日 (木)

田母神前空幕長が石破氏批判「偏っているのはあなただ」西日本新聞 =自民党は、「侵略」と「軍国主義」に反省の足りない政党だ=

田母神前空幕長の主張の問題の核心は、(1)近隣諸国侵略を正当化していること (2)軍国主義についての反省がない-の2点だ。

そのような田母神氏の講演が自民党本部で開催され、同調の声が上がったということは、自民党も、(1)近隣諸国侵略を正当化していること (2)軍国主義についての反省がない-という2点について田母神氏と同じであるということだ。

【以下、切貼】、

田母神前空幕長が石破氏批判 「偏っているのはあなただ」 西日本新聞 2009年2月19日 12:26

 政府見解と異なる歴史認識の論文を発表して更迭された田母神俊雄前航空幕僚長は19日、自民党本部で講演し、自らの正当性を重ねて主張した上で「石破茂元防衛相は『空幕長ともあろう人があんな偏った歴史観では困る』と言ったが、偏っているのはあなただと言いたい」と批判した。

 講演は自民党有志でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)が主催。田母神氏は、更迭されたことに関して「辞表を書かなかったのは『ごめんなさい』と言いたくなかったからだ。一部調査では6、7割が私を支持しており、もう少し頑張った方が良かったかもしれない」と強調した。

 会場からは「そうだ」「興味深い話を聞いた」と同調する声が上がった。

【以上、切貼】

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毒蝮三太夫氏が「クローズアップ現代」ゲスト出演(2009年2月18日、NHK総合)

先日、たまたまかぜで寝込んだ昼前にTBSラジオで毒蝮三太夫さんの声を聞いたことを書いたが、昨日の「クローズアップ現代」にスタジオゲストとして出てきたので驚いた。

いきなり国谷裕子キャスターに「いやあホントに綺麗だなあ、こうしてお目にかかると。昔から番組では拝見してるけど‥」とたぶん打ち合わせにない発言で、さすがの国谷さんも一瞬あっけにとられてしまったものの、「冗談はともかく」と笑顔で応じていた。

下町育ちの子ども時代のこと、ラジオで「悪口」を言うようになったきっかけなども興味ぶかかったが、大学で福祉を教えているということも初めて知った。

学生に、お年寄りとコミュニケーションをとるコツとして「三つのかける」を紹介していた。

(1)笑顔で話しかける。

(2)肩に手をかけて話す。

(3)気にかける。

と教えているそうだ。笑顔でというのは「あなたの味方ですよ」ということ。肩に手をかけるというのはスキンシップをとるということ。気にかけるというのは「かぜ直ったか」とか、相手の心配を気にかけるということだそうだ。日本が世界とコミュニケーションをとる心がけとしてもそのまま当てはまると思う。

森田は番組のはじめの方の綾小路きみまろの「冷え切った夫婦関係」のギャグで大笑いしていたら、「笑いすぎ」と叱られてしまったが。

【以下、NHKのページより切貼】

2月18日(水)放送
変わる老いの“常識”

「1つ覚えて3つ忘れる中高年」「日本はジジババの養殖場」。中高年をネタにした毒舌漫談で綾小路きみまろさんが人気だ。ファンの多くはギャグにされる中高年。CDは記録的ミリオンセラー、ライブはいつも超満員になる。"介護界のきみまろ"、理学療法士・三好春樹さんが介護従事者を対象に行う講演も大人気。「人は老いると頑固さを増し、スケベさを増す」として、肩の力を抜いた介護の実践を説いている。さらに、若者主体のファーストフード店では若者と同じシフトで働く老人が活躍。また、長寿には体の健康より脳の活性化が大きく影響するという研究結果も出ている。変わりつつある"老い"への向き合い方。中高年のカリスマたちの人気の秘密を追いながら、超高齢化社会を生き抜くヒントを探る。
(NO.2700)

スタジオゲスト : 毒蝮 三太夫さん
    (聖徳大学客員教授・タレント)

【以上、切貼】

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NHK総合「地域発!どうする日本『危機の自治体』」(2009年2月13日放送)

先週金曜日放送の「地域発!どうする日本『危機の自治体』」はなかなかよい番組だった。

春に「自治体財政健全化法」が施行されるに向けて、地域社会でどんなことが起きているかが紹介され、その背景、問題点をわかりやすく紹介していた。

早い話、法律を作った趣旨は「第三セクターなどの隠れ借金をあぶり出すため、自治体に公営事業なども含めた連結決算の公表を義務づけ、それについて総務省が作る判定基準に基づいてイエローカード、レッドカードを出していく」というものだ。

それでは現実にどういうことが起こっているか。例えば、仙台近郊の自治体で児童館による就学前の子どもを預かる事業が今年度限りで廃止されるということが一方的に保護者に通知された事例や、去年の地震で一部破損しているような公立中学の耐震補強工事もできないといったことが紹介されていたが、もともと財政が厳しい自治体の福祉・教育関係の予算の切り詰めが起こっている。

こうしたこともきっかけとなってか、住民の委員会による財政の洗い直しが行われ、町役場の職員のボーナスに当たる手当が地域の民間企業よりうんと高いことが明らかにされたといったプラス効果もあるようだ。

しかし、起こっていることをマクロ的に見れば以下のような流れになるということだ。

「90年代の景気対策において中央から『どんどん公共事業をやってほしい。あとで地方交付税で穴埋めする』という話があったので、銀行からたくさん借金をした」

「ところが小泉内閣の『三位一体の改革』で地方交付税が削減され、財政がひどく悪化してしまった」

「ここで『連結決算』という話で、赤字を小さくすることが迫られる。そうすると、とにかく銀行への返済は優先し、また歳出の切り詰められるものは切り詰めることになる。そのような中で、医療・福祉・教育など、人々がいちばん重要な公的なサービスが切り詰められる」

もちろん、出演した片山善博前鳥取県知事が言うように「借金まみれのおじさん(霞ヶ関)が『どんどん借金しなさい。あとで穴埋めするから』というのを信用してしまった」と言う問題があるわけだが、無駄なハコモノなどのために自治体に貸し込んだ銀行にはとりはぐれがおこらないのに、福祉など人間存在にとっての「聖域」(内橋克人氏)はどんどん切っていくことを迫る、この小泉改革が作り出したワク組みには大きな問題がある。

生活者目線で踏み込んで意見を言う星野知子さん、片山善博氏、内橋克人氏、松本和也アナウンサーという顔ぶれもとても良かった。

※「自公連立政権・麻生内閣」のこの問題に対する回答は、「1兆円を自治体に配るが8割は道路、残りも道路関連に限定」だ。民主党はじめ野党の、明確なオールタナティブをぜひ聞きたい。

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2009年2月18日 (水)

「閉店」に感じる時の流れ-溜池・ラーメン大将、下北沢・代一元‥

たまたま近くに行ったので、溜池交差点の小松ビル地下の「ラーメン大将」に行って豚のバラ肉の唐揚げを載せたラーメンを食べようと思った。階段を降りるときには、食券を買うイメージ、スープに口をつけたイメージが膨らみ‥

閉店でした。学生時代に近くに務めていた先輩に連れて行かれたのがはじめで、太麺だし、年食って肥満が気になりだしてからはあまり足を運ぶことがなかったものの‥

関連情報検索してみると2003年に目撃情報があり、2006年に閉店情報がある。森田が何年か東京離れていた間に閉店していたようだ。

飲食店にも人生のようなものがあり、中年まで生きてくる間にも変化がある。

最近、小池栄子さんが出演した「私がこどもだったころ」(NHK)の再放送が総合テレビであったが、たしか去年放送されたあの番組の中に出てきた下北沢の「宮川カメラ」さんも閉店してしまったし、夫婦がアップで出てきたコロッケが安かった肉屋さんは、いまは綺麗なファッションの店に変わってしまった。

もっと言うと、小池栄子さんが以前、トンネルズの食わず嫌いにたしか手みやげにカレーパンを持参されたが、そのパン屋さんマルジュウ(丸十)さん、ここのあんパンは日本一うまいと思っていたのに数年前に閉店。

さらに小池さんがその番組のトークで「ワンタン麺」を紹介した下北沢南口駅前のマクドナルド地下にあった「代一元」も何年か前に閉店。店主だった半田さんが「頼まれちゃって」と近くの店を元気で手伝っておられるのを発見したのは嬉しかったけれど‥

この前、豪徳寺の「代一元」という同名の店にはじめて行ってみたら、味に共通点。奥さんに聞いてみたら「下北沢のお店も、もともとは同じお店で修行した間柄。笹塚のも閉店してしまったし、どこも後継者のこととかたいへんみたいで」とのこと。

流れゆく時に懐旧の情忍びがたく‥。これが人生というものだろう。せめて、語ること、なすこと「良いところもあった」と思い出してもらえるように、少しは心がけたい。

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2009年2月16日 (月)

村上春樹氏の「エルサレム訪問、そして発言」を支持する。

村上春樹氏が文学賞受賞でエルサレムに招待され、ガザ侵攻直後という状況から訪問すべきでないという声もあった。

村上氏は「訪問する。そして予定されていた講演の中で批判する」という選択をした。森田はこの選択を支持する。

世界の人々は、狭い地球の上で、お互い関わり合って生きていかなければならない。体の一部が病気なのに、それを放っておいて他の部分が健康を保つことが出来ないのと同じで、この世界で起こっていることで、僕たち一人一人と関係のないことなど一つもない。

村上さんは「文学者は自分の目で見たものしか信じない」という趣旨のことを述べたそうだ。そして僕は思う。世界の問題に関わっていこうとするなら、できることなら当事者と会って話をすべきだ。

「対話」こそが、明日を開く。

1980年のモスクワオリンピックを、日本もアメリカもボイコットすべきではなかった。モスクワに出かけ、ソ連のアフガニスタン侵攻について市民と対話すべきだったのだ。いま、NATO諸国がアフガニスタンに駐留するロジックが、当時のソ連のロジック=部族対立や山賊行為に対する中央政府の統治の確立を手助けする=とほとんど同じことが、ついでに想起されるが。

チベット問題について、本当に問題解決を手助けしたいなら、聖火リレーを暴力で襲うのではなく、北京を訪れて老若男女、あるいは自分の同業者や同好の士と語り合うべきなのだ。

村上さんがとった態度は、われわれに世界市民としての範を示したものだと森田は思う。

【以下、2月20日、共同通信のこのページから切貼】

【日本語全訳】村上春樹さん「エルサレム賞」授賞式講演全文

 こんばんは。わたしは今日、小説家として、つまり嘘を紡ぐプロという立場でエルサレムに来ました。 

 もちろん、小説家だけが嘘をつくわけではありません。よく知られているように政治家も嘘をつきます。車のセールスマン、肉屋、大工のように、外交官や軍幹部らもそれぞれがそれぞれの嘘をつきます。しかし、小説家の嘘は他の人たちの嘘とは違います。小説家が嘘を言っても非道徳的と批判されることはありません。それどころか、その嘘が大きければ大きいほど、うまい嘘であればいっそう、一般市民や批評家からの称賛が大きくなります。なぜ、そうなのでしょうか?

 それに対する私の答えはこうです。すなわち、上手な嘘をつく、いってみれば、作り話を現実にすることによって、小説家は真実を暴き、新たな光でそれを照らすことができるのです。多くの場合、真実の本来の姿を把握し、正確に表現することは事実上不可能です。だからこそ、私たちは真実を隠れた場所からおびき出し、架空の場所へと運び、小説の形に置き換えるのです。しかしながら、これを成功させるには、私たちの中のどこに真実が存在するのかを明確にしなければなりません。このことは、よい嘘をでっち上げるのに必要な資質なのです。

 そうは言いながらも、今日は嘘をつくつもりはありません。できる限り正直になります。嘘をつかない日は年にほんのわずかしかないのですが、今日がちょうどその日に当たったようです。

 真実をお話しします。日本で、かなりの数の人たちから、エルサレム賞授賞式に出席しないように、と言われました。出席すれば、私の本の不買運動(ボイコット)を起こすと警告する人さえいました。これはもちろん、ガザ地区での激しい戦闘のためでした。国連の報告では、封鎖されたガザ市で1000人以上が命を落とし、彼らの大部分は非武装の市民、つまり子どもやお年寄りであったとのことです。

 受賞の知らせを受けた後、私は何度も自問自答しました。このような時期にイスラエルへ来て、文学賞を受けることが果たして正しい行為なのか、授賞式に出席することが戦闘している一方だけを支持しているという印象を与えないか、圧倒的な軍事力の行使を行った国家の政策を是認することにならないか、と。私はもちろん、このような印象を与えたくありません。私は戦争に反対ですし、どの国家も支持しません。もちろん、私の本がボイコットされるのも見たくはありません。

 しかしながら、慎重に考慮した結果、最終的に出席の判断をしました。この判断の理由の一つは、実に多くの人が行かないようにと私にアドバイスをしたことです。おそらく、他の多くの小説家と同じように、私は人に言われたことと正反対のことをする傾向があるのです。「行ってはいけない」「そんなことはやめなさい」と言われると、特に「警告」を受けると、そこに行きたくなるし、やってみたくなるのです。これは小説家としての私の「気質」かもしれません。小説家は特別な集団なのです。私たちは自分自身の目で見たことや、自分の手で触れたことしかすんなりとは信じないのです。

 というわけで、私はここにやって参りました。遠く離れているより、ここに来ることを選びました。自分自身を見つめないことより、見つめることを選びました。皆さんに何も話さないより、話すことを選んだのです。
 ここで、非常に個人的なメッセージをお話しすることをお許しください。それは小説を書いているときにいつも心に留めていることなのです。紙に書いて壁に貼ろうとまで思ったことはないのですが、私の心の壁に刻まれているものなのです。それはこういうことです。

 「高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」ということです。

 そうなんです。その壁がいくら正しく、卵が正しくないとしても、私は卵サイドに立ちます。他の誰かが、何が正しく、正しくないかを決めることになるでしょう。おそらく時や歴史というものが。しかし、もしどのような理由であれ、壁側に立って作品を書く小説家がいたら、その作品にいかなる価値を見い出せるのでしょうか?

 この暗喩が何を意味するのでしょうか?いくつかの場合、それはあまりに単純で明白です。爆弾、戦車、ロケット弾、白リン弾は高い壁です。これらによって押しつぶされ、焼かれ、銃撃を受ける非武装の市民たちが卵です。これがこの暗喩の一つの解釈です。

 しかし、それだけではありません。もっと深い意味があります。こう考えてください。私たちは皆、多かれ少なかれ、卵なのです。私たちはそれぞれ、壊れやすい殻の中に入った個性的でかけがえのない心を持っているのです。わたしもそうですし、皆さんもそうなのです。そして、私たちは皆、程度の差こそあれ、高く、堅固な壁に直面しています。その壁の名前は「システム」です。「システム」は私たちを守る存在と思われていますが、時に自己増殖し、私たちを殺し、さらに私たちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させ始めるのです。

 私が小説を書く目的はただ一つです。個々の精神が持つ威厳さを表出し、それに光を当てることです。小説を書く目的は、「システム」の網の目に私たちの魂がからめ捕られ、傷つけられることを防ぐために、「システム」に対する警戒警報を鳴らし、注意を向けさせることです。私は、生死を扱った物語、愛の物語、人を泣かせ、怖がらせ、笑わせる物語などの小説を書くことで、個々の精神の個性を明確にすることが小説家の仕事であると心から信じています。というわけで、私たちは日々、本当に真剣に作り話を紡ぎ上げていくのです。

 私の父は昨年、90歳で亡くなりました。父は元教師で、時折、僧侶をしていました。京都の大学院生だったとき、徴兵され、中国の戦場に送られました。戦後に生まれた私は、父が朝食前に毎日、長く深いお経を上げているのを見るのが日常でした。ある時、私は父になぜそういったことをするのかを尋ねました。父の答えは、戦場に散った人たちのために祈っているとのことでした。父は、敵であろうが味方であろうが区別なく、「すべて」の戦死者のために祈っているとのことでした。父が仏壇の前で正座している輝くような後ろ姿を見たとき、父の周りに死の影を感じたような気がしました。

 父は亡くなりました。父は私が決して知り得ない記憶も一緒に持っていってしまいました。しかし、父の周辺に潜んでいた死という存在が記憶に残っています。以上のことは父のことでわずかにお話しできることですが、最も重要なことの一つです。

 今日、皆さんにお話ししたいことは一つだけです。私たちは、国籍、人種を超越した人間であり、個々の存在なのです。「システム」と言われる堅固な壁に直面している壊れやすい卵なのです。どこからみても、勝ち目はみえてきません。壁はあまりに高く、強固で、冷たい存在です。もし、私たちに勝利への希望がみえることがあるとしたら、私たち自身や他者の独自性やかけがえのなさを、さらに魂を互いに交わらせることで得ることのできる温かみを強く信じることから生じるものでなければならないでしょう。

 このことを考えてみてください。私たちは皆、実際の、生きた精神を持っているのです。「システム」はそういったものではありません。「システム」がわれわれを食い物にすることを許してはいけません。「システム」に自己増殖を許してはなりません。「システム」が私たちをつくったのではなく、私たちが「組織」をつくったのです。
 これが、私がお話ししたいすべてです。

 「エルサレム賞」、本当にありがとうございました。私の本が世界の多くの国々で読まれていることはとてもうれしいことです。イスラエルの読者の方々にお礼申し上げます。私がここに来たもっとも大きな理由は皆さんの存在です。私たちが何か意義のあることを共有できたらと願っています。今日、ここでお話しする機会を与えてくださったことに感謝します。ありがとうございました。(仮訳=47NEWS編集部)

 【英語全文】村上春樹さん「エルサレム賞」授賞式講演全文

 以下の英文は村上春樹さんが講演を終えたあと共同通信エルサレム支局の長谷川健司特派員(支局長)がエルサレム賞主催者から入手したテキストが基になっています。しかし、実際の講演はこれに少し修正が加えられていました。当日、長谷川特派員が授賞式会場の取材で録音したレコーダーを聞きなおし、実際に村上さんが話した通りに再現したものです。

“Jerusalem Prize” Remarks

Good evening. I have come to Jerusalem today as a novelist, which is to say as a professional spinner of lies.
Of course, novelists are not the only ones who tell lies. Politicians do it, too, as we all know. Diplomats and generals tell their own kinds of lies on occasion, as do used car salesmen, butchers and builders. The lies of novelists differ from others, however, in that no one criticizes the novelist as immoral for telling lies. Indeed, the bigger and better his lies and the more ingeniously he creates them, the more he is likely to be praised by the public and the critics. Why should that be?

My answer would be this: namely, that by telling skilful lies--which is to say, by making up fictions that appear to be true--the novelist can bring a truth out to a new place and shine a new light on it. In most cases, it is virtually impossible to grasp a truth in its original form and depict it accurately. This is why we try to grab its tail by luring the truth from its hiding place, transferring it to a fictional location, and replacing it with a fictional form. In order to accomplish this, however, we first have to clarify where the truth-lies within us, within ourselves. This is an important qualification for making up good lies.

Today, however, I have no intention of lying. I will try to be as honest as I can. There are only a few days in the year when I do not engage in telling lies, and today happens to be one of them.
So let me tell you the truth. In Japan a fair number of people advised me not to come here to accept the Jerusalem Prize. Some even warned me they would instigate a boycott of my books if I came. The reason for this, of course, was the fierce fighting that was raging in Gaza. The U.N. reported that more than a thousand people had lost their lives in the blockaded city of Gaza, many of them unarmed citizens--children and old people.

Any number of times after receiving notice of the award, I asked myself whether traveling to Israel at a time like this and accepting a literary prize was the proper thing to do, whether this would create the impression that I supported one side in the conflict, that I endorsed the policies of a nation that chose to unleash its overwhelming military power. Neither, of course, do I wish to see my books subjected to a boycott.
Finally, however, after careful consideration, I made up my mind to come here. One reason for my decision was that all too many people advised me not to do it. Perhaps, like many other novelists, I tend to do the exact opposite of what I am told. If people are telling me-- and especially if they are warning me-- “Don’t go there,” “Don’t do that,” I tend to want to “go there” and “do that”. It’s in my nature, you might say, as a novelist. Novelists are a special breed. They cannot genuinely trust anything they have not seen with their own eyes or touched with their own hands.
And that is why I am here. I chose to come here rather than stay away. I chose to see for myself rather than not to see. I chose to speak to you rather than to say nothing.

Please do allow me to deliver a message, one very personal message. It is something that I always keep in mind while I am writing fiction. I have never gone so far as to write it on a piece of paper and paste it to the wall: rather, it is carved into the wall of my mind, and it goes something like this:

“Between a high, solid wall and an egg that breaks against it, I will always stand on the side of the egg.”

Yes, no matter how right the wall may be and how wrong the egg, I will stand with the egg. Someone else will have to decide what is right and what is wrong; perhaps time or history will do it. But if there were a novelist who, for whatever reason, wrote works standing with the wall, of what value would such works be?
What is the meaning of this metaphor? In some cases, it is all too simple and clear. Bombers and tanks and rockets and white phosphorus shells are that high wall. The eggs are the unarmed civilians who are crushed and burned and shot by them. This is one meaning of the metaphor.

But this is not all. It carries a deeper meaning. Think of it this way. Each of us is, more or less, an egg. Each of us is a unique, irreplaceable soul enclosed in a fragile shell. This is true of me, and it is true of each of you. And each of us, to a greater or lesser degree, is confronting a high, solid wall. The wall has a name: it is “The System.” The System is supposed to protect us, but sometimes it takes on a life of its own, and then it begins to kill us and cause us to kill others--coldly, efficiently, systematically.

I have only one reason to write novels, and that is to bring the dignity of the individual soul to the surface and shine a light upon it. The purpose of a story is to sound an alarm, to keep a light trained on the System in order to prevent it from tangling our souls in its web and demeaning them. I truly believe it is the novelist’s job to keep trying to clarify the uniqueness of each individual soul by writing stories--stories of life and death, stories of love, stories that make people cry and quake with fear and shake with laughter. This is why we go on, day after day, concocting fictions with utter seriousness.

My father passed away last year at the age of ninety. He was a retired teacher and a part-time Buddhist priest. When he was in graduate school in Kyoto, he was drafted into the army and sent to fight in China. As a child born after the war, I used to see him every morning before breakfast offering up long, deeply-felt prayers at the small Buddhist altar in our house. One time I asked him why he did this, and he told me he was praying for the people who had died in the battlefield. He was praying for all the people who died, he said, both ally and enemy alike. Staring at his back as he knelt at the altar, I seemed to feel the shadow of death hovering around him.
My father died, and with him he took his memories, memories that I can never know. But the presence of death that lurked about him remains in my own memory. It is one of the few things I carry on from him, and one of the most important.

I have only one thing I hope to convey to you today. We are all human beings, individuals transcending nationality and race and religion, and we are all fragile eggs faced with a solid wall called The System. To all appearances, we have no hope of winning. The wall is too high, too strong--and too cold. If we have any hope of victory at all, it will have to come from our believing in the utter uniqueness and irreplaceability of our own and others’ souls and from our believing in the warmth we gain by joining souls together.
Take a moment to think about this. Each of us possesses a tangible, living soul. The System has no such thing. We must not allow the System to exploit us. We must not allow the System to take on a life of its own. The System did not make us: we made the System.
That is all I have to say to you.

I am grateful to have been awarded the Jerusalem Prize. I am grateful that my books are being read by people in many parts of the world. And I would like to express my gratitude to the readers in Israel. You are the biggest reason why I am here. And I hope we are sharing something, something very meaningful. And I am glad to have had the opportunity to speak to you here today. Thank you very much.

【以上、切貼】

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「GDP、年率換算マイナス12.7%」-騒ぐより、プログラムを出せ

与謝野財経担当相も、就任当初言っていたことの不明を恥じるのは結構だが、この際は渋面作って俯いているよりも、日本経済の未来をどうするのかプログラムを出して欲しい。

政治家も、政党も、官庁も、学者も、メディアも、銭形平次の八五郎じゃあるまいし「たいへんだ、たいへんだ」と言っているだけではダメだ。

特に、自民党では次の財務相を担うつもりのある政治家とその仲間たち、そしてもちろん、次期民主党連立政権の中枢を担うべき人々とそのアドバイザーたちの時代に負う責任は大きい。

だいじょうぶ。なんと言っても、我々は日本人なんだから、きっといい知恵を出して切り抜けることができるさ。

イメージだが「原資は100兆の無利子国債の日銀引き受け、それで現在38万人分不足しているという特別養護老人ホームを一挙に建設し、看護師や介護ヘルパーの給料を倍にする。国立大学と公立高校の学費を5年間無料にし、福祉・環境・教育分野の職業教育・人材育成を徹底する」といったことをやったらどうか。5年とか10年の時限で農業や林業の「人民公社」を作って雇用を作り出すと共に食糧自給率や木材の自給率も一気に引き上げるという意見が出てきてもいい。

「かんぽの宿」の話などは徹底して解明することが必要だが、マクロ的には与野党とも、小泉純一郎ごときに振り回されてコップの中の嵐のような政局ごっこをやっている暇はないはずだ。

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本当は「アル中不祥事で辞めるか、辞めないか」より、「就任前に言っていた財政出動をするのか、財務省の役人の言いなりで結局できないか」が問題だ。=中川昭一財務相=

表題以上に何も付け加えることなし。

森田とはイデオロギー的に真逆の人だが、麻生さんと組んで、財務省を抑え込んで適切な財政政策を実施するのではないかという一点で密かに「期待」したのだが。

結局、かつて歴史教科書問題で騒いだり、NHKに圧力をかけて「従軍慰安婦」に関する番組をトーンダウンさせた右翼の政治家ということ以外に何も実績なしで終わるのか。

いつか、週刊誌のインタビューのあとがきで、林真理子女史が中川昭一氏を持ち上げまくっていたが、彼女の眼力も知れたものだな。

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2009年2月15日 (日)

朝日ニュースターの週末

かぜ気が抜けきらず、花粉症も始まって‥、となるといきおい在宅・テレビの週末。

森田のごひいきはケーブルで見られるCS局「朝日ニュースター」。土曜日は昼前の11時から、愛川欣也さんが司会の「パックインジャーナル」。

先週末の地上派テレビ局は、みんな「小泉発言」に踊らされて大騒ぎだったが、この2時間の座談番組は司会の愛川さんはじめ、森田と同じような視点から最近の麻生総理の言動と都合のいい小泉発言の両方を断じ、特にメディアが「小泉劇場」再来のように騒く゜ことは自民党の思うツボであることを厳しく指摘していた。

元日刊ゲンダイの二木啓孝氏の「町村派内部の対立が、政局全体に波及という側面がある」という分析は、かつての旧田中派と政局の関係を思い出させなるほどと思う。田岡俊次氏の軍事関係のコメントも参考になる。

夕食後の7時半からはNHK総合の時代劇『浪花の華』。はじめ栗山千明さんのりりしい女侍姿がお目当てだったが、息子が欠かさず見ている『ケータイ捜査官7』の窪田正孝君が実にいい感じで頑張っている。

遅い時間は朝日ニュースターに戻って『葉千栄のNIPPONぶった斬り』。この日は五人の日本の経済事情にも詳しい外国人が日本経済の現状についてラウンドテーブル。

ウェルザーメスト指揮クリーブランドオーケストラのブルックナー7番の中継番組を見ていたので、前半を実際に見たのは翌日曜夕方の再放送だが、皆まず「景気は『気』から」という点を指摘し、日本は実力に比べ気分が縮こまりすぎという指摘は共通するものの、議論全体の方向性としては「改革の継続」といった紋切り型ではなく、「福祉国家建設という方向に新しい需要がある」「格差・貧困問題への取り組み、これまで製造業が稼ぎ出した資金を次代のビジネス創造に活かすことなど課題ははっきりしており、政治がそれに責任感をもって取り組むことが大事」といったところか。

やはり民主党が、総選挙後の新政権のビジョンを明確に打ち出すことが、景気対策にもなるのではないかと思う。小沢党首も菅義偉氏あたりの発言にケチをつけることより、有権者に「こういう方向なら」と納得、安心、期待してもらえるような考えを、わかりやすく述べた方がいい。

日曜午後も、時代劇専門チャンネルで朝録画した「新・平家物語 義仲をめぐる三人の女」。吉川英治の原作でも、この部分は一ノ谷で捕縛された平重衡のその後と最期を描いた部分と並んで心ひかれた部分なので‥。

この時代の日本映画の重厚な描写に流石と思い、また山本富士子さんの新人時代はこんなだったのかという驚きも‥

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2009年2月13日 (金)

また「小泉劇場」か‥

麻生首相の軽率な「郵政」にかかわる発言に小泉純一郎元総理が噛みつき、NHKのニュースもそれを足かけ二日ずっと放送していた。

また「小泉劇場」か‥。

テレビ、新聞各社とも計算ずくでプレスオープンにした小泉氏の発言を垂れ流すばかりで、任期一杯を事実上無駄に過ごして、世界政治の行き詰まりと今日の経済惨状を働く人々にとって一段と深刻なものにしたことの責任について、森田が小泉氏に問い糾してほしいことをちゃんと訊いて、報道した社は1社もない。

「とくダネ」も、せっかくカントリー好きのおじさんが(麻生総理も,小泉元総理も)「どっちもどっち」とコメントしているのに、小倉智昭氏はまだ「郵政解散」の時に小泉マジックにひっかかって煽る方にまわった時の呪縛が解けていないみたいで、あくまでもあの時に「郵政改革」を支持した有権者、そしてご自身の判断は絶対正しかったという観点からの発言に終始したことに一段とあきれる。

有権者だって、時には間違うこともあるし、そのことを反省することも必要なのだ。

まあ、自民党政権がどうなろうと、自分の息子の選挙が有利になり、引退後の評論家活動にとっても、ここでひと吠えしておいた方がいいというだけのことだろう。

やっぱり、メディアの問題だな‥

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2009年2月12日 (木)

「イスラエル総選挙 右派が過半数」-たしかに痛手だが

イスラエルの総選挙で、ネタニヤフ元首相が率いる伝統的な右派政党「リクード」や、新興政党で排外主義を唱え「極右」と表現されるリーバーマン党首の「イスラエルの家」など右の獲得議席の総計が過半数を越えた。毎日新聞一面の見出しには「中東和平停滞か」と添えられ、3面には「オバマ戦略に痛手」とある。

強硬派の勢力増大はたしかに痛手だが、この結果には累積してきた原因があるので、政権発足3週間のオバマ政権も予測された結果と受け止めているだろう。

第1党は確保すると見られるカディマも、中道と表記され、日本の外交官もブッシュ政権べったりの連中や自民党の一部政治家は絶賛していたけれども、この党はもともとリクード党の党首(野党時代)やリクード党政権の首相を務めたシャロン前首相が創設した政党であり、晩年は和平派を演じていた故シャロン氏といえば、もともとはクリントン政権時代にイスラエル労働党のラビン政権とバラク政権の下で成立直前までいったパレスチナ和平の機運を「聖地訪問強行」などでぶち壊した人物だ。今回の選挙目当てとも言われるガザ侵攻を待たなくとも、森田はもともとあまりスジのいい党であるとは見ていなかった。

今回の選挙結果は困った結果だ。しかし、この原因はブッシュ政権がパレスチナ問題を事実上放置したままイラク戦争に熱中したり、イランを「悪の枢軸」呼ばわりして中東の政治地図でイスラエルをかえって不利にしたり、あるいはブッシュ政権が、パレスチナのアッバス議長が「総選挙の実施は待って欲しい」というのを押し切って当初のスケジュール通りの選挙を強要した結果、ハマスの勝利を招くといった失策を重ねてきたことの反動なのだ。

つまり、今回の選挙結果にはブッシュ・チェイニー政権の政策の累積が招いたという面があり、オバマ政権が正しい方向に政策転換し、粘り強く中東外交を進めるならば、将来のイスラエル総選挙の結果は違ったものになる可能性がある。

もちろん、イスラエルの国内の社会開発の問題、例えば建国当初からの移民ではなく、最近旧ソ連から移住したような人々の所得水準や教育水準が低いといった格差問題や、そうしたことの反映としての若者の失業やごく一部にはネオナチ(!)の流行が見られるなどといった問題があるらしい。極右や極左の台頭を防ぐにはこうした問題に地道に取り組む必要があることを忘れてはいけない。

それにしても、毎日新聞3面の見出しは「オバマ戦略に痛手」ではなく、「ブッシュ政権の負の遺産」とか、せめて「オバマ戦略に課題」くらいがいいんじゃないか、というのが森田の感想。

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米議会民主党指導部の「目測力」と、日本の自公連立政権指導部の「学習能力欠如」

11日、米議会の上下両院指導部が、これまでの例から見て全く異例のたったの一日で、両院が異なる内容で可決していた経済対策法案の一本化に合意した。

オバマ大統領が作り出したモメンタムということもあるが、要は下院民主党指導部が「上院で、討論打ち切り動議に賛成してくれた野党・共和党の『3人』の議員の言うことを丸呑みしなければ早期決着はない」と腹をくくった決断が決め手だった。

オバマ政権「与党」の民主党は、下院では安定多数を占めているものの、上院では総議席数100の半数である50を上回る議席を抑えているとはいえ、議事妨害を封じることのできる60議席には足りないため、与野党で意見のはっきり分かれる法案については共和党からの賛成票が3票程度いつも最低限必要なのだ。

計画されている経済対策が実施されたところで、どれくらい経済回復に役立つかどうかはわからない、ということではアメリカも日本も状況は同じである。与党が議会両院の絶対多数を占めてはいないということも共通である。

しかし、決定的に違うのは、アメリカ民主党議会指導部が、日本の右の連中が中曽根康弘氏が持っていると賞賛してやまない「目測力」のようなものを持ち合わせていてさっさと法案を通して経済危機下の国民に対して負っている最低限の責任を果たしているのに対して、わが国の自公連立政権は、衆議院で再議決可能な大きすぎる議席を持っていることが災いしてか、そのような「目測力」「決断力」「結果に対する責任感」の欠如を示し、いたずらに大切な時間を空費していることだ。

参院選の結果が出た後、安倍政権が対処できなかったのは政権の能力という点から予想通りだったが、福田康夫政権、麻生太郎政権と学習効果なく同じことを繰り返しているのは残念だ。

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2009年2月10日 (火)

マレーシアのヤティム外相も「ガザ攻撃を国際刑事裁判所は訴追すべき」

最近NHK-BS1で見たシンガポールCNAが、マレーシアのヤティム外相がイスラエルのガザ攻撃は人道に対する罪であり、国際刑事裁判所は訴追に動くべきであるとし、集められた署名をもって同裁判所に強く働きかけるとまくし立てる映像を流していた。怒りを露わにした映像だった。

ダボス会議ではトルコのエルドアン首相が、出席したパネル討論の司会者がイスラエルのペレス大統領が20分以上にわたって延々と「ロケット攻撃するハマスが悪い」という演説をすることを認めながら、「時間が来たから」と自らの反論を封じられたことに激怒して「2度と来ない!」と啖呵を切ってペレス大統領の前を横切って退席する様子は方々で紹介されている。

イスラエルの非人道的な攻撃、しかも与党の選挙目当てという要素の強い攻撃には、イスラム教徒ならずとも怒りを禁じ得ないが、同時にイスラム圏の人々の怒りが「アラブ」の枠を越えてEUに加盟したいと言っているトルコ人、東南アジアのイスラム国家にも共鳴していることを軽視してはならないと思う。

やはり、ヒラリー・クリントン国務長官の初外遊となる東アジア訪問に日中韓に加えてインドネシアがセットされているのは、こうした戦略上の配慮だろう。

われわれは、イスラム系の過激派の活動を抑えることについてはイスラム圏内における穏健な人々との連携、協力を強めるべきだ。外から力で押さえ込むには限度がある。やはりイスラム世界内部の自制にこれまで以上の期待をしなければならないし、協力を得るために必要な手は打たなければならない。イスラームについて理解を深め、敬意を払うことはそのための第一歩であると思う。

一方で、日本政府などにとってはガザの問題を含む中東問題の核心であるパレスチナ問題について、イスラエルやアメリカ、あるいは歴史的に一番責任の重いイギリスに対して言うべきことをちゃんと言うことが必要だ。あちら様に対して「うちうちのことはしっかり頼みますよ」という以上、「こちら側」(?)の不始末には、こちら側で落とし前をつけさせていただくのが仁義ってもんでしょう。

自民党のごく一部や、外務省に多くの中東問題をまじめに考え、パレスチナ支援などでもそれなりの実績を挙げてきた人々がいることは認めるが、やはり総体としての「自公連立政権」や外務省の首脳部は、あまりにアメリカ(それもブッシュ・チェイニー路線のようなアメリカ)一辺倒であり、そのアメリカに引きずられて、イスラエルに対してあまりに遠慮しいしいだ。

次期政権をめざす民主党などの野党には、こういった問題についても新機軸を明確に打ち出し、日本外交の「チェンジ」を図って欲しい。

【以下、関連記事切貼】

ガザ攻撃で訴追の可能性も=本格捜査には前提条件-国際刑事裁

時事通信2009年2月5日

 1300人以上の死者を出したイスラエルのパレスチナ自治区ガザへの軍事行動が、大量虐殺や人道に対する罪を犯した個人を裁く国際刑事裁判所(ICC)の「捜査対象」となるかどうかが注目されている。パレスチナ当局は1月、ICCにイスラエルの関係者らの訴追を申請し、既に「予備段階の分析」が始まった。だが、本格捜査には制度上の問題点など幾つものハードルがある。

 来日中のICC書記局トップのアルビア書記は5日までに、都内で時事通信の取材に応じ、イスラエル軍関係者の訴追について「進む可能性も進まない可能性もある」と指摘。捜査までに複数の前提条件をクリアする必要があるとの見解を示した。(2009/02/05-14:47)

【以上切貼】

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2009年2月 9日 (月)

カナダ大使館が「留学希望者に8万円を給付」だって

うちの大学受験一浪女子、なんとか滑り止め確保し奮闘中だが、その母親が食卓の席に新聞記事切り抜きを置いてやっていた。

カナダに留学する学生に「8万円給付」という募集記事。8万円では費用のごくごく一部にしかならず、この「給付」は目玉で、カナダが留学生募集に熱心で「文化的にも開かれた国よ、よろしくネ」と売り込む広報戦術なんだろう。

たとえ8万円でも、ニンジンをぶら下げれば森田家のようなさもしい一家は大注目。しかし、記事をよく読んでみると学校への出前授業などの方がむしろ実質的で、カナダ外交官の、カナダを愛する仕事ぶりが目に浮かぶ。

日本の外務省も負けずに頑張れよ。自公政権や民主党の一部みたいに、「武器使用緩和してくれなきゃ」なんてもったいぶって権勢拡大の火事場泥棒を狙う海上自衛隊にお願いしてソマリアに出てもらうよりも、こういう文化交流に頭を使う方が、手間はかかるけれども日本の存在を示す外交PRとしてよっぽど気が利いている。

【以下、切貼】

カナダ大使館 留学希望者に8万円を給付  朝日新聞 2009年2月9日
      
 カナダ大使館は6日、日本との修好80周年を記念した様々な事業を発表した。

 目玉事業の一つは、カナダへ留学する人への8万円の給付。2週間以上の留学を希望する80人を対象とし、日本在住で日本国籍を持ち、来年3月までに出発できることが条件だ。「あなたの将来を想像して下さい。イノベーションがあなたとカナダを結びます」というテーマのエッセーを、日本語で2千字以内、英語、フランス語なら1千ワード以内で提出し、審査のうえ決定する。応募締め切りは4月30日。

 また、同大使館は4月から1年間、大使館員が全国80の小中学校を訪問し、「多文化主義の国、カナダへようこそ!」という題名で、カナダの地理、歴史、社会、文化などについて出前授業をする。要望があれば高校、大学にも対応する。基本的に日本語の講演だが、英語やフランス語でも可能。募集期間は5月29日まで。

 同大使館は、東京に来る修学旅行生向けに、ガイドを付けた大使館内のツアーも実施する。所要時間は30~40分で、先着80校に対応するという。

 申し込み、問い合わせは同大使館(03・5412・6268)。

【切貼以上】

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2009年2月 8日 (日)

イラン大統領選-改革派・ハタミ氏再登板への期待

東京外大が作っているページでペルシャ語の新聞記事の一部を日本語で読むことが出来る(他にアラビア語,トルコ語)が、イランの大統領選挙にハタミ前大統領が出馬する可能性が濃厚なようだ。

ハタミ氏は9・11同時多発テロが起きる2年ほど前に、ハンチントン教授の「文明の衝突」という考え方を危惧し、国連演説で現職大統領として「文明間の対話」を打ち出し、国内でも自由化政策を進めた。

ハタミ氏とて「核開発の権利」を明言しており、大統領在任中の後半は国の最高指導層であるイスラム教指導者たちによりリベラルな政策志向を封じられてしまっていたわけで、過大な期待を抱くわけにはいかないが、それにしてもブッシュ&チェイニー政権がイランを「悪の枢軸」呼ばわりし、アフマディネジャド大統領が「イスラエル殲滅」を公言する、良くない共鳴からの脱却となれば良い方向への大きな変化だ。

毎年テヘランに出かける日本人研究者の方から聞いた話だが、民衆レベルでのアフマディネジャドはもうかんべんしてほしいという底流には根強いものがあるという。

21世紀初頭の世界政治におけるイランの占める位置には、1930年代の世界政治における日本が占めた位置と似ているところがあり、現在ハタミ前大統領がイラン国内政治において占める位置と、かつての日本国内政局における米内光政氏や山本五十六氏の占めた位置には共通する点があるように思える。その意味でも、ハタミ前大統領に過大な期待を抱いてはならないとも思うが、もし再び「ハタミ大統領」ということになれば、彼との連携を真剣に考えるべきであるし、発せられるサインを見落としてイランの改革派や、国際社会とイランの平和共存の芽のようなものを「見殺し」にすることは避けなければならないだろう。

カーター政権時のテヘラン大使館人質事件はアメリカ外交のトラウマの一つで、クリントン政権の時は例えば事件当時の国務副長官だったクリストファー氏が、クリントン政権の国務長官になっていたこともあって、なかなかうまくいかなかった面がある。

民主党はアメリカ国内のユダヤ系との結びつきが強く、オバマ政権もその流れの中にあるわけで、そう言う意味でもあまり楽観はできないわけだが、なんとか世代交代でフレッシュな対イラン外交を打ち出してもらいたいものだ。

日本外交も「伝統的なイランとの良好な関係」というお題目も、最近の極端な対米追従で色あせているとはいえ、人間いつでも改心して出直すことはできるわけだから、わが国におけるイランとの交流の蓄積を活かしながら、オバマ政権の新外交を助けることを通じて世界平和に貢献し、ひいては日本の国益を実現するという、これまでの自民党政権時代と違った新機軸を打ち出すべきだ。

【以下、東京外大のページより切貼】

次期大統領選、ハータミーとアフマディーネジャードを軸に展開
2009年01月25日付 Jam-e Jam紙

改革・原理両派はともに、第10期大統領選の最終候補者ないし補欠候補者の擁立へ向けた内部の話し合いを依然として進めている。

 改革派陣営からハータミー〔前大統領〕ないしはミール・ホセイン・ムーサヴィー〔元首相〕出馬の可能性が伝えられる中、一部政治関係者は原理派の候補者の一人であるマフムード・アフマディーネジャードの対抗馬として、ハータミーが出馬するのは確実だとして、この二人が立候補した場合、次期大統領選は二人による一騎打ちになるだろうと強調している。

 ハータミーないしはミール・ホセインの第10期大統領選への出馬が確定した場合、以前から出馬が取り沙汰されてきた一部の候補者たちが出馬を辞退するのは間違いない、というのが政治アナリストらの見方だ。

 ある匿名希望の原理派所属の国会議員は、改革派から〔ハータミーとミール・ホセイン・ムーサヴィーの〕二人〔のいずれか〕が出馬した場合には、大統領選への出馬が確実視されていたモハンマド・バーゲル・ガーリーバーフ〔現テヘラン市長〕の出馬は微妙なものになるだろうと指摘し、次のように強調している。「ガーリーバーフや、出馬の可能性のあるとされるアリー・アクバル・ヴェラーヤティーのような人物が辞退を表明すれば、間違いなくアフマディーネジャード一人に原理派の意見が一本化されるだろう」。

 このような中、一部の原理派関係者はハータミーないしはミール・ホセイン・ムーサヴィーが出馬すれば原理派内部の団結はより容易になり、候補者の一本化もより迅速に進むだろうとの見方を示している。

 テヘラン選出のパルヴィーズ・サルヴァリー議員(原理派所属)はジャーメ・ジャム紙とのインタビューの中で、ミール・ホセインないしはハータミーが改革派から出馬すれば、原理派の課題も明確になると指摘した上で、第10期大統領選がハータミーとアフマディーネジャードの一騎打ちになるのは確実だと分析している。

 同議員は、ハータミーではなくミール・ホセインが出馬する可能性についても指摘し、その場合もアフマディーネジャードとミール・ホセインの争いになると言う。結局ミール・ホセインはハータミーの支持を受けることになるからだ。

 サルヴァリー議員は、ハータミーとムーサヴィーに違いはなく、両者いずれかが出馬すれば原理派戦線の団結はより強固なものになり、アフマディーネジャードの擁立で意見の統一が確実なものになるはずだと強調している。

 このような分析が原理派内で強まる中、イラン・イスラーム発展公正党は原理派候補者の選定に向けた仕組みはいまだ固まっていないとの認識を示している。
〔※「イラン・イスラーム発展公正党」は第8期国会選挙で主流派の「原理派統一戦線」に対して、「原理派包括連合」を主導した反主流派のグループで、反アフマディーネジャード色が強い〕

 イラン・イスラーム発展公正党のレザー・タラーイーニーク総書記はジャーメ・ジャム紙とのインタビューの中で、全ての原理派グループや有力者たちが参加する評議会を通じて、原理派が擁立する候補者を決めるべきだといった提案がなされていることに触れ、「原理派関係者の多くは、改革派と同じような選挙態勢の確立を考えている」と指摘している。

 他方、「イマームと最高指導者の路線を支持する戦線」のスポークスマンは、次期大統領選でもっとも有力な原理派の候補者はアフマディーネジャードであるとして、「その他の候補者たちは、自らの意向を明確に述べているわけではない」と強調する。

 キャマール・サッジャーディー氏はイラン国営通信とのインタビューで、次期大統領選に出馬する可能性があるといわれている原理派のその他の人物は出馬を正式に表明しているわけではなく、それとなく周辺の人々を通じて原理派にシグナルを送っているに過ぎず、そのようなシグナルを「アテ」にすることはできないと述べている。

 その一方で、技術者イスラーム協会のゴラーム・ホセイン・アミーリー代行は原理派が擁立する候補者について、同協会は大統領選用に主たる候補者を一人、及び予備の候補者を一人選出することを主張していると話す。同代行は、誰を主たる候補者にし、誰を副候補者にするか、近く、恐らくは今年のエスファンド月〔2009年2月19日〜〕にも決めることになるだろうと述べた。

 同代行はまた、ミール・ホセインあるいはハータミー、さらにはキャッルービーといった改革派の人物が選挙に出馬することになれば、原理派はこれに関して必要な対策を講ずることになるだろうと強調した。

【切貼、以上】

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注目記事-共同通信のムシャラフ前大統領インタビュー

パキスタンの内政・経済の安定がアフガニスタンを含む中東の東側ひいては世界の平和と安定の焦点であること、また核不拡散・核廃絶の問題においてパキスタンが重要なカギを握っている点から、注目せざるを得ないインタビュー。

退陣した軍人出身の前大統領とはいえ、現在の民主派政権の政権担当能力には不安が残り、ムシャラフ氏は批判を浴びつつも出してきた結果に着目すれば有能な政治家だったという点もあり、インタビューを実現した共同通信はいい仕事をしたと思う。

日本政府としては第一義的には現政権を支え、パキスタンの民生向上への協力に力を尽くすべきだが、水面下でムシャラフ氏とも接触を保ち情報取得、意見交換をしていくべきだろう。

【以下、切貼】

ムシャラフ前大統領が単独会見  「被爆国日本に全部話す」 2009/02/07 21:37

 【イスラマバード7日共同】パキスタンのムシャラフ前大統領は7日、首都近郊ラワルピンディの旧大統領公邸で共同通信の単独会見に応じ、同国からの核拡散問題について「唯一の被爆国である日本政府に対し、聞かれればすべてを話す義務がある」と表明した。また、核拡散を主導したとして在任中に軟禁下に置いた科学者カーン博士が6日に軟禁を解除されたことについては「彼が拡散した明確な証拠がある」と述べ、博士の「個人的な犯行」との見方を強調した。

 昨年8月の辞任以降、ムシャラフ氏が会見に応じるのは極めて異例。核拡散の詳細を明らかにしてこなかったムシャラフ氏が今後、日本政府に対し核拡散の経緯などを説明する可能性を示唆した。ただ実際に何を明らかにするかについては言及を避けており、実態解明にはなお時間がかかりそうだ。

 核関連技術や資機材を北朝鮮やイランに拡散させたとして2004年に軟禁下に置かれたカーン博士は軍の核拡散への関与を指摘しており、ムシャラフ氏は「彼はうそつきだ」と強く非難。軟禁解除後も双方の主張は食い違っている。

 在任中に進めた核ミサイルや核施設開発については「他国の支援はもう必要ない」と表明、現在は自力開発が可能になったことを明らかにした。カーン博士は昨年、共同通信に対し、1970-80年代に日本やドイツなどから核兵器開発に必要な「重要な部品」を入手したと証言していた。

2009/02/07 21:37   【共同通信】

【切貼、以上】

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そもそも「国債発行」には「貧乏人から金持ちへの所得移転」の側面

「無利子国債」の名の下に、相続税がかからない国債を発行しようという話が出ているという。やはりお金持ち優遇の自民党や財務省はたいしたもので、こうした経済危機の中にあっても、どさくさ紛れに「資産・所得格差」を次世代にまで持ち越す政策を新たに導入するつもりらしい。

もっとも、国債の大量発行にはもともと「貧乏人から金持ちへの所得移転」という要素がある。

30年ほど前に森田が私大の「経済原論」の講義をとった頃は、ケインジアンも半分近い勢力を保っていて、講師で来ておられた故長谷田彰彦・学芸大教授などは「国債は、借り手も貸し手も国民なので、外債に頼らない限り何の問題もない。大蔵省が国債をいやがるのは、銀行に頭を下げなければならないからというだけだ」といった具合だった。政府が借金して公共投資を行えば、ある程度の乗数効果が望めた時代には、必ずしもトンチンカンな議論ではなかったのである。

経済の成熟化で、いまは「投資は効果の大きい分野に」という点に議論を集中しなければならないわけだが、さらに、無利子国債という名の「相続税のかからない国債」の議論を聞いて、森田がずっと考えていて世間ではあまり言われない論点にここで触れておきたいと思った。

素人だけに雑ぱくな議論になるが、以下のようなことだ。ある時期までのケインジアンたちが言っていたように「国債の借り手」も「貸し手」も共に国民だ。ただし、森田が強調したいのは、貸し手と借り手は同じ人ではないということだ。

端的に言えば「国から国債を買って利子を受け取る人」は裕福な人であり、「税金を払って、国債の買い手に払う利子を負担するのは国民全体」なのである。

もちろん、お金持ちの方が税負担は重いのだが、近年までお金持ちの税負担をどんどん軽くしてきたのがわが国において歴史的な流れであり、巨額な財政赤字を作り出しておいて、「新たな負担増は(比例税の)消費税で」というのが、財務省・財界・自民党と、そこにへつらう学界、大手メディアが流してきた話だ。

巨額な国債を発行すると、巨額な利払いが発生する。その利子を受け取るのはお金持ちであり、利子を払うのは国民全体。しかも、低所得者の負担割合を高める「税制改革」が着々と進行している。

そうして格差を拡大していく中で、こんどは「相続税免税」という「格差固定」の知恵を出す。われわれがボーッとしていると、税制はどんどん格差拡大・固定の方向に歪められていく。

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2009年2月 7日 (土)

「欧州MDは対イランで保持、ただしロシアと協議」-バイデン米副大統領のミュンヘン演説

バイデン副大統領はミュンヘン演説で、東欧配備のミサイル防衛構想(MD)はイランに対する抑止として維持する、ただしロシアと協議するという線で発言したらしい。

イランのこととなると、アフマディネジャド大統領がイスラエル殲滅を公言している関係上、「イスラエルの生存」がかかわるということで、アメリカの既成政治家にとっては日本の最近の「拉致問題」どころではない、パプロフの犬のようなと言っては失礼かも知れないが、棒を飲んだような反応になってしまうということは織り込んで観察しなければならない。

「ロシアと協議する」というのは、ブッシュ政権の姿勢とは全く異なりかなり含蓄がある。オバマ政権は、少なくともロシアと軍縮交渉を進めるつもりがあり、MDもカードとして使うということだ。

ミサイルをミサイルで撃ち落とす-それも核ミサイルが相手であれば100パーセントでなければ意味がない-というMD構想が現実的でコストに見合うシステムなのか疑問であり、相互核抑止を不安定にするもではないかという疑問は払拭されていないが、それをさておくとしても、本当に「対イランの核ミサイル脅威」というなら、本質的にはアメリカとロシアがミサイル防システムを共同開発し、共同配備することがベストなはずだだ。

日本の防衛大臣も初めて出席したらしいが、全く存在感がない。「対イランというなら、アメリカとロシアはMDを共同開発、共同配備したらどうか」と、知らないふりをして「王様は裸だ!」に類する演出の発言くらいしたらどうか。これくらい言えば、全体の対話を前に進める触媒くらいの役には立つ。

知ったような顔をして、ずっと黙っていて結局はひたすらにアメリカ追随を続けるだけというのでは、アメリカにとっても、お手伝いないし子分としてはともかく、国際政治上のパートナーとしては、引き続きいてもいなくても同じ存在ということになってしまうだろう。

【以下、毎日新聞記事の切貼】

ミュンヘン会議:米副大統領演説 「協力と協調」よびかけ    毎日新聞 2009年2月7日

 【ミュンヘン(独南部)小谷守彦】バイデン米副大統領は7日、ミュンヘンでの安保政策会議で演説した。オバマ政権発足後、首脳級が国際会議に出席するのは初めてで、オバマ外交が本格スタートした。副大統領はテロの脅威や金融危機、地球温暖化など共通の課題に対処するため「あなたの助けが必要だ」と欧州など各国の協力と協調を求めた。一方、イランの脅威を挙げ東欧ミサイル防衛(MD)計画継続を強調するなど、強い外交姿勢にこだわりも見せた。

 副大統領は「米国は(世界に)関与し、その声を聞き、相談する。世界が米国を必要としているように米国は世界を必要としている」と述べ、イラク戦争開戦をはじめとしたブッシュ前政権の単独行動主義から脱却、協調と責任分担を重視する外交への転換を鮮明にした。

 その一方「米国はより行動するが、パートナーにもより多くを求める」「脅威には一国だけでは対処できない」とアフガニスタンへの軍事・復興支援を念頭に各国に責任分担も求めた。

 対話路線も強調し、「イランとの直接対話を望む」「核開発を放棄すれば報奨がある」と呼びかけた。

 ただ、「軍事力が我々の自由を守ってきた。これは不変だ」と述べ、軍事力行使も排除しない姿勢を明確にした。東欧のMD計画については効果的であるという前提付きで「イランのミサイル能力増強に対抗するため」継続を表明した。これに反発するロシアに配慮し、「ロシアと協議する」と述べた。

 米露間で滞ってきた核兵器削減交渉について「米露で削減のイニシアチブを取らなければならない」と交渉再開への意欲を示した。

 会議には浜田靖一防衛相が初めて出席、駐日米大使に有力視されるジョセフ・ナイ元国防次官補と会談する。

 ◇7日のミュンヘン安保政策会議での、バイデン米副大統領演説要旨は以下の通り。
 オバマ新政権は、他国との新しい基調の構築を望む。過激主義に対し、共通の枠組みでの協力継続を追求していく。私たち米国には、あなたたちの助けが必要だ。キューバ・グアンタナモの(テロ容疑者)収容所の拘束者受け入れを、他国にもお願いしたい。

 米国はイランとの直接対話を望んでおり、その用意がある。イランは圧力、孤立を選ぶのか。核開発を放棄し、テロ支援を中止すれば、意味ある報奨があるだろう。

 私たちは気候変動に対し、積極的にリードしていく用意がある。

 北大西洋条約機構(NATO)とロシアの間に横たわる危険なわだかまりを捨てるために、リセットボタンを押す時だ。もちろん、ロシアの勢力圏拡大など、全てを容認することはしない。MD(ミサイル防衛)についても、ロシアとNATO加盟国との同意の上で決定されるだろう。大幅な核軍縮も目指す。NATOもロシアも、国際テロ組織アルカイダやアフガニスタンの旧支配勢力タリバンを打倒するため、協力していくべきだ。

毎日新聞 2009年2月7日 21時04分(最終更新 2月7日 21時57分)

【以上、切貼】

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【切貼】核軍縮交渉の推進を=米政権に呼び掛け-ロ副首相  時事通信2009年2月7日付

ロシア側からも、現段階では前向きな発言。

【以下、切貼】

核軍縮交渉の推進を=米政権に呼び掛け-ロ副首相   時事通信2009年2月7日付

 【ミュンヘン6日時事】ロシアのイワノフ副首相は6日、独ミュンヘンで開かれている安全保障会議で演説し、第1次戦略兵器削減条約(START1)が年末に失効することを指摘し、「われわれが歩を進める時だ」と述べ、米国に後継条約交渉の推進を呼び掛けた。

 同副首相は「われわれの提案に対し、米新政権の建設的な反応を期待する」と指摘。一方で、米国によるミサイル防衛(MD)東欧配備計画については、「緊張を高める結果にならざるを得ない」と警告し、ブッシュ前政権の核戦略からの転換を求めた。(2009/02/07-06:32)

【切貼ここまで】

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2009年2月 6日 (金)

日本も「宗教地域協力事務所」設置しては

「年越し派遣村」がクローズアップされた時期に、朝日新聞の「声」欄に二度にわたって「お寺は何をやっている。こういう時は本堂を開放して、困っている人を助けるのが宗教の役割ではないか」という投書が載り、フジテレビの「トクだね」でもコメンテーターの一人が同様の言及をしていた。

お寺をはじめ宗教には、こうした面での役割をぜひ果たしてほしい。また、わが国が国際社会において果たすべき役割の一つに、しばしば紛争やテロの温床ともなる途上国の貧困や社会問題への取り組みがある。そうした面でも宗教が果たし得る役割は大きい。

アフガニスタン、ソマリアなどの問題について、危険は伴い、自衛隊派遣云々よりかえって大変なことは事実だが、文官や民間による農漁業支援や教育、保健衛生支援などの方がよほど問題の根本的な解決に役に立ち、わが国に向いている。

政府にとってNGOなどとの協力、NGO活動に対する支援が重要だが、その際に「宗教」という点に着目することは意義がある。モチはモチ屋ということばがあるが、例えばアフガニスタン支援を考えるときに、日本ムスリム協会の知恵と力を借りるという発想は大事なのではないか。

日本の伝統宗教、新興宗教にも「世界宗教者平和会議」といった平和に貢献しようという志向は存在する。「他宗教と協力するより、うちのボスにノーベル平和賞を」というところはあるかもしれないが、ブログで葬儀屋のようなことしかやっていないではないかと言われているよりは、世界平和に直接に貢献したいという志を持つ信仰者も多いのではないか。

政府がコーディネーターの役をやり、対象地域によって適切なグループが前面に立ち、政府と他の宗教は後方支援に全力を挙げる=例えばアフガニスタンにキリスト教団体を派遣すれば、韓国のキリスト教団体の事件があったようにテロの標的になってしまうだろうから、そうしたことは避けなければならない=。

国内のムスリムの力だけでは足りないというのなら、インドネシアやマレーシアの支援団体に資金や後方支援で協力するという考え方もあっていいのではないか。ヒラリー・クリントン国務長官の東アジア訪問にインドネシアが含まれるのにはそういう要素があるのかも知れない。

自民党や民主党の右派も、伊勢神宮参拝ばかり熱心にやっていないで、考えるべきことがある。神社だって「総理の靖国参拝実現」などと内向きのことばかり言っていないで、若い人々が世界の中で誇りを持って生きていけることの助けになるような、神社自身の国家に対する積極的な貢献を考えてほしいものだ。

【以下、毎日新聞2009年2月6日付記事の切貼】

オバマ米大統領:宗教事務所新設 「特定宗派こだわらず」

 【ワシントン大治朋子】オバマ大統領は5日、地域の経済活性化や貧困、教育対策を目指す「宗教地域協力事務所」をホワイトハウスに新設するよう命じる大統領令に署名した。同様の組織はブッシュ前大統領も設置したが、大統領を支持する一部キリスト教右派らが活動の中心となり、「政教分離」を求める批判が絶えなかった。

 AP通信などによると、各種宗教団体のリーダーら25人が同事務所の顧問を務める。地域の宗教団体や非営利法人の活動を支援し、貧困対策や就職支援などに取り組む。また、海外の宗教団体とも連携し、異教派間の対話促進に努めるという。

 オバマ大統領は設置にあたり、特定の宗派にこだわらない方針を強調。「米国が求めている変化は政府だけではなしえない」と述べ、宗教界の協力の必要性を訴えた。

 ブッシュ前大統領が設置した組織も公費で運営されたが、スタッフが特定の宗派に限られ、オバマ大統領は選挙中「政教分離」の必要性を訴えた。

【切貼終わり】

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毒蝮三太夫、幸田浩子、星野知子-かぜで静養・ラジオで過ごす

かぜで静養。いつもは昼間聴くことのないラジオなど。昼前のTBSラジオの毒蝮三太夫さんの話芸はあいかわらず。72歳だそうだ。夕方遅くのNHK第一では星野知子さんがインドの話をしたり、インド映画のサントラをかけたりしていた。

午後のNHK・FMでは、ソプラノ歌手の幸田浩子さんが笑福亭笑瓶さんと、ずっと前に渡辺徹・熊本マリのコンビで始まったクラシックとおしやべりの番組で、時に関西弁のイントネーションを交えながら話していた。落ち着いた話しぶりと、なかなかのユーモアのセンスに好感。新春オペラコンサートでの『ホフマン物語』のオランピアやN響のモーツァルトのハ短調「大ミサ」を聞いたとき、ひょっとしたら日本でいちばんきれいな声のソプラノではと思っていたけれども、大阪府ご出身と知り少し驚く。

佐藤しのぶさんも大阪出身だそうで、笑瓶氏が「この番組にお呼びしたら、大阪弁でお話になるかな」と‥

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2009年2月 5日 (木)

【切貼】過去に来広 米大統領補佐官 '09/1/21広島の地方紙 『中国新聞』

やはり少し前の、広島の地方紙『中国新聞』より。記憶にとどめておきたい。

【以下、切貼】

過去に来広 米大統領補佐官 '09/1/21 『中国新聞』

 オバマ政権の大統領補佐官(科学技術担当)ジョン・ホルドレン氏(64)が、ヒロシマを訪れていた。科学者の立場から核兵器の廃絶を目指すパグウォッシュ会議が1995年と2005年に被爆地で開いた年次大会に参加し、講演や、原爆資料館で記帳もしていた。補佐官登用は、核軍縮に前向きなオバマ新大統領の考えの表れといえ、政策形成にも重要な役割を担うとみられている。

 ホルドレン氏は就任前は米ハーバード大教授で環境政策が専門。パグウォッシュ会議(本部英国ロンドン)のサイトによると73年から会議に参加し、87年から10年間評議委員長を務めた。

 被爆地で初めて開いた95年の大会では、「核兵器と戦争の廃絶を訴える」広島宣言をまとめた。この年に会議がノーベル平和賞を受賞すると代表して、「冷戦終結後の軍縮と平和構築」をテーマに受賞記念講演もした。

 さらに05年の被爆地での年次大会で「核“ゼロ”への道」と題した講演を行い、米国が包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准やロシアとの核兵器削減を推し進め、非核保有国の日本とドイツ、ブラジルの国連常任理事国入りなどを提唱。「核兵器禁止の目標を定めるべきであり、それには米国の指導力と世論の支持が不可欠だ」と訴えた。

【写真説明】<左>1995年7月に原爆資料館を見学して「心揺さぶられ、核兵器をさらに自らの問題として考えていきたい」と記帳していた <右>広島国際会議場であったパグウォッシュ会議で講演するホルドレン氏(2005年7月23日、撮影・松元潮)                                

                                     '09/1/21 『中国新聞』
【切貼、以上】

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【切貼】「核兵器 テロに効かず」英退役高官の発言相次ぐ 2009年2月5日(木)「しんぶん赤旗」

『しんぶん赤旗』から。わが国では、田母神空幕長(当時)という現役の自衛隊最高首脳が侵略と軍国主義の時代の日本を指して「いい国」と表明する事件があったが、わが国においても、よい内容であるなら現役自衛官、退役自衛官の発言も大歓迎だ。

【以下、切貼】

「核兵器 テロに効かず」英退役高官の発言相次ぐ  2009年2月5日付「しんぶん赤旗」

 【ロンドン=小玉純一】「核兵器は脅威克服に役に立たない」と英国の核兵器政策変更を期待する退役軍高官の発言が相次ぎ、注目されています。英外務省も4日、「核の影を取り除く 核兵器廃絶への条件づくり」と題する政策を発表します。

 北大西洋条約機構(NATO)大西洋軍元最高司令官のジャック・シーハン米海兵隊大将はBBCラジオ4のインタビューで、「英国は、核兵器を捨てる最初の国連常任理事国となると近く発言すると思う。英国政府はそうする十分な理由があり、世界の先鞭(せんべん)となるだろう」(一月二十九日、BBC電子版)と発言しました。同氏はさらに、「そうなれば、なぜフランスが核兵器システムを持っているのかが問題になる」と述べ、英国の核兵器廃棄宣言は大きな国際的影響力を持つと予測しています。

 英紙タイムズには、ブラモール元英陸軍元帥ら三人の元将軍が、「英国に核抑止力は必要ない」(一月十六日付)と題して寄稿。「英国がテログループなどから核脅迫を受けた場合、英国の核兵器を、誰にどんな方法で使用するのか、また脅迫に使うのかが問われなければならない。われわれが現在直面している脅威、とくに国際テロに対する抑止力として核兵器はまったく役に立たない」と断言しました。

 英国政府は、核抑止力を維持するとしながらも、核兵器のない世界をめざす立場を表明しています。ミリバンド外相は昨年十二月八日、英紙ガーディアンに「核兵器のない世界」と題して寄稿。「核兵器のない世界という構想だけでなく、それを実現する方法も共有する地球的連合をつくる必要がある」と強調しています。 

2009年2月5日付「しんぶん赤旗」

【切貼、以上】

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【切貼】中国「新型核兵器の研究を中止」  韓国『中央日報』2009年1月22日付

少し前になるが、中国の国防白書に関する韓国『中央日報』記事から。新型核兵器の研究を「一時的に」中止ということに何ほどの意味があるかとも思うが、日本の防衛省や外務省の記者クラブ所属記者へのブリーフィングにこういう観点からのコメントがなかったせいか、日本国内の報道に見かけなかったポイント。

【以下、切貼】

中国「新型核兵器の研究を中止」  韓国『中央日報』2009年1月22日付

  中国が新型核兵器の開発に向けた研究を中断したと明らかにした。

  核兵器で先進技術を有することから、持続的に研究する必要がないということだ。中国が核兵器開発の状況についての立場を公式に表明したのは初めて。「2050年までは世界のいかなる国からの攻撃も防御、撃退できる軍の現代化計画を終える」という方針も明らかにした。こうした内容は中国の国防省が20日に発表した「2008年国防白書」で公開されたものだ。中国は98年から国防白書を発表しており、今回で6回目となる。

  ◇「核兵器の製造、反撃能力は十分」=白書は「新型核兵器の開発を中断した」としている。もちろん「しばらくの間」という前提の下だ。理由は「外部からの核兵器による脅威が減少した」ということだ。

  しかし軍事専門家の見方は異なる。マカオ国際軍事学会の黄東会長は香港紙「苹果日報」とのインタビューで「中国軍が新型核兵器の開発をしばらくの間中断したのは、強力な核兵器製造の能力に自信を示したものだ。中国は核弾頭搭載の技術や核反撃能力の正確度を向上させるための研究を続けるだろう」という認識を表した。また「中国はすでに約2000基の核弾頭を保有し、核による自衛能力が十分だと判断している」と述べた。

  白書はしかし「核兵器の先制使用はしない」という点を明らかにした。中国は64年に核実験に成功して以来、先制攻撃をしないという原則を固守している。

  ◇陸海空軍の戦術変化=白書は「今後、中国軍は旅団や大隊級の戦闘体制に変化する」と明らかにした。大規模な作戦より強力な小規模の部隊を中心にした戦闘が現代戦の中核となるというのが、中国軍の指導者らの認識だ。各軍の変化の方向も公開された。陸軍は「地域防衛」の概念から脱却し、「全地域への機動型防衛」と攻撃の概念に変化している。

  「全地域」の概念が、北東アジアやアジアなど特定の地域を含めたものかは定かでない。海軍の主要任務は沿岸の警戒と防衛だが、公海上の作戦能力を向上させ、「非伝統的な安保脅威」に備える作戦も並行する計画だ。また昨年7月に海軍専門大学を開校し▽関連戦略の研究▽人材の養成▽新たな訓練システムの開発--に乗り出した。

  空軍は従来の「領空防衛」の概念から「反撃と攻撃」に作戦の概念を変えた。攻撃能力を強化するということだ。このために空軍は▽偵察や早期警報のシステム▽ミサイル防衛(MD)や戦略兵器を活用する能力--を強化するという立場を明らかにした。

  ◇「軍事力は不透明」=中国軍は07年から航空母艦の建造を直接かつ間接的に認めてきたが、白書は空母建造には言及していない。また軍別の兵力数や基本兵器の現況も公開しなかった。カナダの軍事専門紙「カンワ・ディフェンス・レビュー」の編集長アンドレ・チャン氏は、香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストとのインタビューで「台湾やベトナムなどといった国でもこれ以上秘密ではなくなった陸海空軍の兵力、パイロット、戦闘機の数などについて、白書は公開していない」とし「中国の軍事力は依然不透明だ」と指摘した。                    韓国『中央日報』2009年1月22日付   

【以上、切貼】

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2009年2月 4日 (水)

「オバマ政権が野心的な米ロ核兵器削減交渉提案へ」-歓迎すべきニュース

オバマ政権が「核弾頭80パーセント削減」を目指す米ロ核兵器削減交渉開始を提案するという報道があった。

大歓迎である。広島・長崎に投下された一発の核爆弾の威力をわれわれは些か知っているわけだが、現在の世界の核兵器庫にはその数十万発分という、全人類を何度も絶滅させる核兵器が蓄積されているのである。

これを放置することは、危険なことであり、資源や財源の無駄遣いであり、米ロにとっては核拡散防止条約の「核保有国の軍縮努力」の違反であり、イランや北朝鮮、あるいはイスラエル、インドやパキスタンに「核を持つな」と言うことばの説得力を著しく損なう行為だ。

レーガン政権時代、高齢でタカ派と見られたポール・ニッツェ氏が旧ソ連との交渉でよい仕事をしたように、米政府代表に超党派の人材起用のオバマ政権としては父ブッシュ政権の国家安全保障担当補佐官を務めたスコウクロフト氏などを考えてはどうか。高齢で無理ということでであれば、ロシアをよく知る弟子のライス・ブッシュ政権国務長官の起用だっていいかもしれない。

さて、こうした時に自公連立政権や、次期政権党を狙う野党がどういうメッセージを発信するかにも注目したい。

「われわれは核の傘に守ってもらっているのだから」と無気力、無関心をさらし続けるのか、広島・長崎の被爆体験を持ち、核兵器廃絶を願う国民の意思を体してオバマ政権のイニシアチブや、もしそれにロシアが応えようとするならロシアに対しても、強い、明確な支持のメッセージを出すのか。大いに注目したい。

【以下、時事通信記事の切貼】

米ロ、核弾頭の大幅削減交渉へ=英紙  時事通信 2009年2月4日

 【ロンドン4日時事】4日付の英紙タイムズ(電子版)は、オバマ米大統領がロシアとの間で過去20~30年間で最も野心的な核兵器削減交渉を行う見通しで、両国の核弾頭を80%削減することを目標にしていると報じた。
 同紙が得た情報によると、この交渉が首尾よく妥結すれば、核弾頭はそれぞれ1000個にまで削減されるという。(2009/02/04-09:49)

【以上、切貼】

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ダッシェル氏の厚生長官指名辞退、残念

昨日はテレビでステファノプロス記者の「恐らく指名辞退にはならないでしょう。だだし、仮に指名が承認されてもオバマ大統領は代償を払うことになる」という解説を聞いて少し安心していたけれども、結局辞退ということになった。

「閣僚候補の指名辞退」という事実だけでも政権にダメージだが、ダッシェル氏の厚生長官起用はオバマ政権の「肝」の一つだと思っていたのでたいへん残念だ。

オバマ政権の当面の課題は「金融経済危機」への対処であり、「アフガニスタン」だが、アメリカの本格的な「チェンジ」の中心課題は医療保険制度改革であることは誰の目にも明らかだ。日本などと異なり、多くの低所得層が無保険の状態にあることが、アメリカが貧しい人々にとって過酷な社会であることの大きな原因だからだ。

クリントン政権も発足当初、ヒラリー夫人を先頭に改革に取り組もうとしたが、議会の協力をとりつけることができずに失敗。その後、中間選挙の大敗で政権の中心課題から外れてしまった。

ダッシェル氏は、オバマ氏が上院議員に当選した2004年の上院選で、現職の民主党・上院院内総務として出馬していて接戦で落選した人だが、なにしろ野党時代には上院・下院の院内総務は所属政党の最高幹部であり、そのようなポストにあったこと自体が会派内での力、人望を示している。

さらに、当選が入れ替わりだったこともあり、オバマ上院議員の事務所には落選したダッシェル院内総務の中心的なスタッフが雇用され、ダッシェル氏自身も当時のオバマ上院議員に親切にアドバイスしてきたという関係にある。

つまりダッシェル氏は、ベテランとしての「安心感」で若い大統領が率いるオバマ政権の信頼感を高めることが期待でき、大統領自身と非常に信頼できる関係がすでにできあがっていて、「皆保険」の方向への熱意において人後に落ちず、そしていちばん肝心な「議会対策」において頼りになるという、オバマ政権にとってキーパーソンになるべき人物だったのだ。

たいへん残念だが、オバマ大統領は選挙戦においても何度も窮地からカムバックしてきた。今度もダッシェル氏辞退をどうカバーするかに注目したい。

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2009年2月 3日 (火)

【切抜貼付】バイオ燃料:新潮流 環境破壊を教訓に 毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

研究者をはじめとする関係者の努力に期待したい。木造家屋が多いわが国では、建築廃材にも原料として注目すべきだと思う。

【以下、切抜貼付】

バイオ燃料:新潮流 環境破壊を教訓に  毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

 地球温暖化防止にも貢献する次世代燃料の原料として、生物由来の資源(バイオマス)が注目されている。世界で起きたバイオマス燃料(バイオ燃料)ブームは、原料のサトウキビやトウモロコシ価格を引き上げ、それらの栽培面積を拡大するため環境破壊を招いた。これを教訓に間伐材や稲わらをシロアリの消化酵素で分解したり、目に見えないほど小さな藻類に石油を作らせる研究が進んでいる。【元村有希子】

 ◆シロアリに着目

 顕微鏡をのぞくと、無数の微生物がさかんに動き回っていた。理化学研究所分子情報生命科学特別研究ユニット(横浜市鶴見区)の守屋繁春ユニットリーダーは、シロアリの腸内にすむこの生物を研究している。シロアリが食べた木を分解する単細胞の原生生物で、これを利用して木からバイオ燃料を作るのだ。

 木などの植物は、セルロースでできた繊維質の細胞壁を持つ。セルロースをくるんでいるリグニンは分解しづらく、木から燃料を作る際には「前処理」として希硫酸を入れて加熱しなければならない。ところがシロアリは難なく消化する。

 シロアリの腸内にすむ多種多様な原生生物は、パラバサリアとオキシモナスの2種類に分類されるが、人工培養で増やすことができない。守屋さんらは、これらがDNAからたんぱく質を作る際に「型紙」として働くメッセンジャーRNAをまとめて取り出し、消化に働く未知の酵素を特定した。

 ◆省エネ、高効率

 理研、東京大、農業生物資源研究所、琉球大による共同プロジェクトが進む。農生研・琉球大チームは、宿主のシロアリそのものを調べ、東大のチームは麹(こうじ)菌に酵素を大量に生産させる技術を開発中だ。3年後までに、酵素を使って試験管の中で繊維を分解する段階にもっていくのが目標だ。

 手法を確立できれば、前処理も廃液処理も不要になる。間伐材などが使えるため、食料との競合を避けられる。獲得エネルギーを投入エネルギーで割った「エネルギー収支」でみても、サトウキビの最大2・7倍の高い効率が期待できるという。

 ◆石油を作る藻類

 筑波大学(茨城県つくば市)では、石油を生み出す微細藻類「ボトリオコッカス」の培養実験が進む。ボトリオコッカスは温帯から熱帯の淡水に最大0・5ミリ程度のコロニー(群れ)を作って生息し、光合成で石油成分の炭化水素を合成する。

 渡辺信教授(構造生物科学)は、ボトリオコッカスが作る油を1ヘクタールあたり年間118トンと見積もっている。トウモロコシの0・2トン、菜種の1・2トン、油ヤシの6トンに比べ格段に多い。

 渡辺さんらは全国で集めた144株のうち生産効率が高い沖縄の株を選んだ。生産ラインに乗せると仮定すると、1リットル155円かかり高すぎるため、効率を10倍に上げる必要がある。家庭や工場から出るアルカリ性の廃水中で生産性が上がることも分かった。二酸化炭素を吸収するだけでなく、廃水を浄化し油も作ってくれるというわけだ。

 昨秋から科学技術振興機構の支援で総額3億5000万円のプロジェクトが始まった。「廃水処理を兼ねた小型プラントを火力発電所や下水処理場などに作るほか、耕作放棄地を活用すれば大量生産も可能」と渡辺さんは意気込む。

 ◆バイオマス戦略--コスト面に課題

 政府の「バイオマス・ニッポン総合戦略」(06年3月に閣議決定)はバイオマスを「再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義。2030年に日本がバイオマスを活用した社会になることを目指し、生ごみの堆肥(たいひ)化や、植物を発酵させてバイオ燃料を作ることなどを提案している。

 バイオ燃料も燃やせば二酸化炭素が発生する。しかし、原料の植物は光合成を通して空気中の二酸化炭素を吸収しており、地球上の二酸化炭素量は増えないと見なされるため、地球温暖化防止に有効と考えられている。

 トウモロコシなどに続く「第2世代」の原料として注目されるのが、間伐材や農作物の食べられない部分だ。農林水産省の07年の統計によると、稲わらなどの農作物非食用部は1400万トン発生しているが7割が利用されていない。森林から出る不要木材は350万トンで、わずか2%が製紙などに利用されているだけだ。

 しかしバイオマスは広く分布するため、効率的に集める工夫が必要だ。投入するエネルギーが、得られるエネルギーに比べて大きく、コスト面の課題もある。

毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

【以上、切抜貼付】

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【切抜貼付】増える離職者を介護職に。国の支援策の内容は。=毎日新聞より=

大量失業発生と、介護の人手不足。自民党政権の施策を【切抜貼付】。実際の動向、改善が必要な点などフォーローしていく必要ありと思う。記事中にもあるが、食べていくことができなければ人材が定着するわけがない。

【以下、切抜貼付】

働くナビ:増える離職者を介護職に。国の支援策の内容は。

 ◆増える離職者を介護職に。国の支援策の内容は。

 ◇職業訓練を充実 返還免除設け月10万円貸し付けも
 ◇現場の待遇改善も不可欠

 派遣労働者の契約の中途解除による離職者の増加など非正規労働者の雇用が社会問題化する中、さまざまな雇用対策が講じられている。中でも介護・医療分野は人手不足感もあり、厚生労働省は、この分野の雇用拡大プロジェクトチームを設置した。介護職への誘導では特に手厚い支援が準備された。支援の内容を報告する。

 介護職に携わる労働者は、00年の約55万人から06年には約117万人と2倍以上に増えているが、試算によると高齢化の進行で14年には160万人が必要になるとみられる。また、介護職の有効求人倍率は04年度の1・14倍から、07年度には2・10倍に伸びており、人手不足が深刻化している。

 そこで、厚労省は雇用問題と人手不足の同時解消を目指し、離職者の職業訓練を充実して介護職への誘導を進めることにした。離職者の訓練で、即戦力としての3カ月訓練(ヘルパー2級)を拡充し、より高度な技能を養成する6カ月訓練(ヘルパー1級)と2年訓練(介護福祉士)を新設。訓練の受講は、ハローワークの福祉人材コーナーであっせんする。

 より高度な訓練を受けられることは望ましいが、その間の生活費が問題となる。これまで、フリーターや非正規労働者の職業訓練では、訓練を受けている間、収入が途絶えて生活できなくなるため、受講する人がなかなか増えなかった。新制度は、離職者が訓練期間中、生活費として月10万円(扶養家族がある場合は12万円)の貸し付けを受けられる。貸し付けを受けられるのは、年収200万円以下。雇用保険給付を受けている人は、給付期間が延長される。

 さらに、貸し付けには返還免除制度を設けた。年長のフリーター、雇い止めや解雇で職を失った派遣労働者、母子家庭の母親などは、介護職に就職した場合は全額、求職活動を行っていれば約8割が免除される。失職した派遣労働者で雇用保険の受給資格のない人でも、10万円の貸し付けを受けながら、介護の資格を取得できる。

 雇う側にも、未経験者を雇用した場合、1人当たり50万円を支給する。希望者を受け入れやすくすることで、就職を後押しする。

 東京介護福祉労働組合の清沢聖子書記長は、「介護労働者を計画的に、地域にバランス良く配置できれば、地域の宝になる」と語る。だが、「過去の不況の時も、離職者は介護職に誘導された。だが入り口を広くしても、低賃金・重労働など労働条件が悪いために、多くの人が離職した。同時に、仕事の安定にも取り組むべきだ」と注文を付ける。

 介護職の離職率(仕事を辞める割合)は07年度で21・6%と、全産業平均の16・2%を上回り、勤続1年未満で退職する割合は約4割に上る。昨年末には、待遇改善のため介護報酬の3%アップが決まったが、どの程度、労働者の賃金上昇につながるのかは不明だ。

 厚労省は支援の実施で約2万人の介護労働者の就職につなげたいとしている。担当者は「離職者と、人材が不足している所へマッチングするため、支援制度の内容に配慮した。介護の仕事の在り方も見直しつつ、人材養成を進めたい」と話している。【東海林智】

毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

【以上、切抜貼付】

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「もっと自由にカネ儲けできる社会」より、「誰もが生きやすい社会」=ひとつの指標・発達障害支援=

今日付の毎日新聞2面の連載「生徒指導はいま」に発達障害支援の話が出ている。ようやく世間に認識が広がりつつあるが、施策という点ではようやく緒についたばかりだ。

とにかく、ブッシュ=小泉・竹中時代の自民党政治は「カネ持ちがもっとカネ持ちになれる政策」と、「福祉・教育も予算は切り詰め」の組み合わせだ。

世界と日本の現状がようやく「転換」の必要性を皆に知らせている。ここで取り上げている「発達障害支援」にどう取り組むかなどは、よいリトマス試験紙である。

ちなみに、以下に貼り付ける毎日記事に「通級」という話が出ている。世田谷区でもそうした制度があり、うちの子も週に二日ほどだったか別の学校に通った。制度が無いよりうんとましだが、そこに通う日は在籍校の授業が受けられず勉強が遅れる。

ハンディを負う子が苦労する一方で、帰国子女学級というのも設けられていて、生徒は二つの学校を往復するといったことなく在籍校で母国語の習得などの特別支援を受けられる。しかし、この子たちは将来「英語が得意」などの有利な点があり、民放の女子アナはじめ就職も有利ないわば強者ではないか。

こういった森田に言わせれば「本末転倒」が起こるのは、帰国子女の親たちが官僚や大企業の社員など社会的強者であることと関係があると思う。

公立学校教育においてさえこの有様だ。放っておけば、政策は格差拡大、強者がますます太る方に流れる。良心的な政治家、良心的なメディアの奮起が望まれる。

それにつけても、最近の週刊誌『AERA』などは教育関連の記事といえば「どうやってうちの子をブランド校に進学させられるか」といった下らない記事ばかりである。社会的強者のカネ持ち記者で、実のところは頭が悪く、ジャーナリストとしての使命感も欠如した連中の仕事ということなのだろうが、そんなことやってて朝日新聞は本当に生き残れると思っているのだろうか?

【以下は2009年2月4日付・毎日新聞朝刊2面記事の切抜貼付】

先生:生徒指導は今/5 発達障害児の特別支援教育

 ◇無理解・手不足、壁に

 母親の反応はいつも同じだ。「家では普通なんですけど」。そんなことないでしょう、というせりふをのみ込む。

 東京都内の小学校教諭(54)のクラスには、落ち着かない男児がいる。授業中座らない。給食中、皿の上の野菜を床に投げる。朝礼で前の子のズボンを下ろしてしまう。発達障害の可能性があることをにおわせ、母親に専門医受診を勧めるが、応じてもらえない。

 数人の男児が同調し学級崩壊した。一部保護者から区議に「担任を代えて」と陳情が出た。酒量が増え、クラス替えを待つ日々だ。

 対人関係が苦手だったり、衝動的な行動をとったりする発達障害。文部科学省の初の調査(02年)で、発達障害の傾向を示す小中学生は68万人(6・3%)に上り、1クラスに約2人と推定される。ケアが必要なら、専門の指導をする通級学級や特別支援学級に通う。しかし一昨年5月現在、通級学級に通うのは約4万5000人。肢体不自由児らも対象とした特別支援学級などに通う約17万人を足しても、68万人には及ばない。

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 大阪府内の公立小。授業中はだしで駆け回り、時には机に伏していた小2男児に、特別支援学級の男性教諭(58)が声をかけた。「先生の所に来いへんか」。2年前のことだ。5、6時間目だけ顔を出した男児は翌朝、自分から特別支援学級に顔を見せ、約1カ月通い続けた。

 翌月の保護者懇談会。教諭は悩みながらも、机に向かう男児を母親に見せた。「うちの子が勉強してる」。母親は声を震わせた。専門医にかかり、集団に適応しない高機能広汎性発達障害の傾向があるとわかった。

 男児は1けたの繰り上げ算が苦手だ。集中力も続かない。特別支援学級は全部で7人。友達のおもちゃを取り上げたり、奇声をあげ泣き続ける子もいる。「ほかに居場所がないから、ここでしかいら立ちをぶつけられない」。男性教諭は、子どもたちが落ち着くのをゆっくりと待つ。

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 多くの発達障害児は普通のクラスで過ごす。東京都内の小学校のあるクラスには、34人中、発達障害とみられる子が6人いる。うち1人は感情が行動に表れやすく、壁をけり友達につかみかかる。担任男性(29)は男児を後ろから抱きかかえ、騒然とする教室で「みんな落ち着いて」と呼びかける。

 障害の特性を学んだ。声のかけ方には気を配る。「どのくらい我慢した?」。両手を広げ我慢の度合いを聞く。1時間座っていると「よくできた」とほめる。隣で耳をすます級友たちにも、男児の努力を認めてほしい。

 学校には、特別支援学校教諭の免許を持つ元教員や心理学を学ぶ大学生ら外部スタッフ約20人が通う。今年度から特別支援の研究開発校になったからだ。机の横で学習を手伝い、パニック時には別室に連れ出す。去年、教室外に飛び出すことの多かった男児は、席に座っていられるようになった。

 こんな態勢の学校はわずかだ。退職教員らによる特別支援教育支援員は現在2万6000人で、1校1人に満たない。=つづく

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【ここまで切抜貼付】

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2009年2月 2日 (月)

「21世紀に日本が必要とするものは何か」 答案メモ

米ABC『ジスウィーク』のラウンドテーブル。ウッドワード氏含むジャーナリストたち、アフガニスタンの現状やオバマ政権の増派計画について極めて厳しい見方をしている。

さて、あるところでいただいたお題の一部【3.今後に向けて ①21世紀に日本が必要とするものは何か ②政治家の資質 ③国際社会における日本の役割】について、思いつくままにメモ。

21世紀に日本が必要とするものは何か

 「21世紀」に、「日本」が必要とするものという発問だが、いつの世紀でも、どの国でも、必要とするものは同じである。

 それはその時、その国が与えられた条件の中で、また予測できる未来の条件の中で、どうすれば「安全」「自由」「経済的繁栄」といったものを確保できるかについてしっかりと現実的に考え、それを着実に実現していくということに尽きるのではないか。その際「現実的に」というところがいちばん重要であると思う。

 例えば、今から半世紀前には、日本も当時のソ連や中国のような社会主義体制になるのが良いと考える人々がけっこうたくさんいたわけだが、次第にそうした国々の実態が知られ、20年前にベルリンの壁崩壊、米ソ冷戦の終焉という段階になると、そうした考えは非現実的なものであることが誰の目にもハッキリした。

 一方で、社会主義計画経済が敗北したことは明らかになったので「これからは自由市場経済をどんどん推し進めていくことこそ、われわれが追求すべき価値観だ」と考える人々が世界中に増えて、わが国でもそれに追随する人が多かった。ところがこうした考えがイデオロギー的に追求された結果が招いたのが、今日の世界経済の現実だ。

 ソ連が崩壊したことで、「これからはアメリカの一人天下だ」と考えた人々もいる。中東などでブッシュ・ドクトリンがどういう結果を招き、ブッシュ氏がいかに寂しくホワイトハウスを去らねばならなかったか、その現実を冷静に見つめる必要がある。外交安保でも、必要なのは「悪の枢軸」などといったレトリックを振り回すことではなく、安全保障を確保するためにどのような方策が効果があるかを現実に考えることだ。

 もう社会党や共産党の時代じゃないのだから「日本の誇りを回復し、歴史の正義を取り戻すために、総理は社共が反対する靖国参拝をすべきだ」という人々がいて、現にそうした総理もいるわけだけれども、そのことが現実に招いた結果は何だったのか。

 必要なのは現実主義の回復である。「小さな政府」論、「構造改革路線」が現実にもたらしたのは、戦後最長と言われた景気回復局面で、一人あたりの国民所得が他の先進諸国よりも伸びず、貧困率(平均所得の半分以下で生活する人々の割合)が急増した現実だ。

 めざすべき政策の方向性は、例えば最低賃金をうんと引き上げて、また社会保障支出を増やし「タクシー運転手なら一家五人養えるけれども、介護従事ではムリ」といった現在の構造を変えて雇用のミスマッチを解消していく。そのために必要な増税は、政治家が国民に説得する。そういった努力で正規雇用の割合を増やし、内需拡大につなげていく‥、そういったサイクルではなかろうか。

 もちろん、めざすべき政策の方向性についてはいろいろな意見があるだろうし、自分の意見を押しつけるつもりはないが、しかし、こうした大きな「方向性」について、政治家同士、また政治と国民の間でしっかりと「対話」することが大切だと思う。

政治家の資質

 前のところで述べた「方向性をしっかり考える」「それを政治の世界で、また国民に説得する」というのが、わが国に求められていることであるとするならば、そういう作業をしっかり行う能力があるということが、これから求められる「政治家の資質」ということになるだろう。

 これはカーティス教授がいろいろなところで言っていることの受け売りになるが、アメリカのオバマ大統領はこれまでのところこうした資質をもった政治家であるように見受けられる。オバマ大統領は何よりも、国民に率直に語りかけるという能力に恵まれているように見受けられるからだ。

 わが国は、基礎的な教育も比較的しっかりしている。産業や官僚組織も国際的に比較して決して劣っていない。ところが、日本社会の「中枢神経」に当たる部分がちょっと弱いような気がする。よい政治家を育てることがその処方箋の一つだろう。

国際社会における日本の役割

 世界の、特に途上国の人々が生存を確保するために、また自由や文化的で最低限度の生活のために必要としているもので不足しているものがあるときに、そこに援助の手を差し伸べること。これは他のいわゆる先進国と共通する、わが国が国際社会の中で果たすべき役割である。

 あわせて、わが国は欧米以外の国でありながら、真っ先に近代的な民主主義、近代産業を発展させてきた経験を持ち、また「キリスト教、イスラム教、ユダヤ教」といった「一神教」の国々とは違った宗教的・文化的伝統を持ちつつ、一神教の神の下にある人々とも良好な関係を結んできた経験があり、なおかつ60年以上海外で武力行使をしていないという特殊な経験を持っている。こうした特徴を、国際社会の発展のために活かすことが出来ればなおいいと思う。

以上

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2009年2月 1日 (日)

「007/慰めの報酬」-ブレゲンツも舞台に

「笑いが一番」のポカスカジャンの出番を見てから新宿バルト9へ。『007/慰めの報酬』を見る。流石の出来映えを楽しんだ。

「イギリスで007ブーム再燃」という話題を聞いていて、どんな具合なのだろうという関心から出かけたが、海・陸・空全部を舞台に戦うドライな感じのアクションも、中南米の政治情勢や環境・資源問題を織り込んだ舞台設定もなかなかよくできている。左翼政権に対しクーデターを企図する将軍に悪の組織が渡す資金は「ドルが下がっているのでユーロで用意した」と時事的なセリフも織り込んでいる。女性たちも、義に感じて引退先のイタリアからボリビア(ロケ地はチリなど)に同行する三国連太郎と佐藤浩市の中間のような俳優も魅力的。

一番の悪役はまあ、国際環境NGOのリーダーを偽装した秘密結社の構成員だが、米CIAもほとんど悪役。秘密結社の正体について、どうもボンドは映画の最後のほうで掴んだらしいのだけれども、観客にはわからないところが「消化不良感」という批評もあったが、森田としてはむしろ、思い返せば秘密結社の正体が「イスラム」「アラブ」といったものに連なることを示唆するような表現が不自然なほど徹底して排除されていたことに、「良心」とまではいかないにしても制作サイドの明確な意思を感じた。

英国首相に近い政治家やロシアの資源マフィアなど国境を越える悪い奴らの接触の舞台としてオーストリア西部「ブレゲンツ」の湖上オペラ公演が設定されていて、ゴージャスな感じを出している。『トスカ』という演目もシリアスな流れにマッチしていた。その後、イギリスの警護官が墜落死する場面が来る‥

ストーリーの嵐が去った後、本作のボンドガールとの別れ際のセリフは「死者は報復など望んでいない」。エンドロールの最後は「ジェームズボンドはまた戻ってくる」。また見に行くな。これはきっと。

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2010年-改訂日米安保条約50周年/APEC日本開催は長崎がいいのでは

先週1月25日放送のNHK『日曜討論』は、オバマ政権と日米関係などがテーマになっていたが、その中で米議会に勤務歴のある中林美恵子氏が2010年は安保条約50周年なので、それを契機にオバマ政権との間で日米安保関係を新たに構築する作業をすべきだという趣旨の発言をしていた。またチャールズ・レイク氏からは「APEC日本開催も決まっている」と指摘があった。

吉田総理が結んだ旧安保、岸総理が改訂に執念を燃やした現在の日米安保条約はいずも「米ソ冷戦」を前提としていたものであり、本来なら米ソ冷戦が終焉した20年前に「冷戦も終わったのだし、米軍の日本駐留はおしまいにしたら?」という議論が高まっても良かったはずだが、実際には「現状維持」ないし「米軍への協力強化」に理屈をつけるため、橋本内閣とクリントン政権との間で「日米安保はアジア太平洋の平和に大きな役割を果たす」という日米安保の再定義として「共同宣言」がまとめられた。

周年行事など、本質的には意味があるわけではないが、「ブッシュ=小泉」時代のさまざまな逸脱を本来の軌道に戻し、またオバマ政権の国際協調路線の中での日米関係を再定義するきっかけとして「50周年」の節目を使うのは悪いことではないと思う。

まあ、森田としては日本政府に「日本は基地を提供、アメリカは日本防衛を約束というのが日米安保の約束。基地はうんと役立っているでしょう。周辺住民は大きなコストを負っているのです。まさか『ただ乗り』だの、もっと負担しろといったことは仰らないでしょうね」という基本路線でいってほしい。安保条約に「同盟」といったことばが使われていない以上、日米を「同盟国」などと気安く言ってほしくない。ネブラスカの商店のおやじさんや、フロリダのお母さんたちは、テレビやラジオで日本の政府高官が「日本とアメリカは同盟国」などと何度も叫ぶのを聞けば「アメリカが攻撃されれば、日本が参戦するのはあたりまえ」と考えるのは当然ということに思い至らなければ「現実感覚」が欠如しているとしか言いようがない。

APECの開催地はどこがいいか。長崎は歴史的に日本のアジアと世界の窓口だった。ここなどどうだろうか。オバマ大統領の原爆被爆地、広島・長崎の訪問が実現すれば日米関係、世界の核軍縮・不拡散にもプラスが大きいと思う。

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