中南米

2009年2月 1日 (日)

「007/慰めの報酬」-ブレゲンツも舞台に

「笑いが一番」のポカスカジャンの出番を見てから新宿バルト9へ。『007/慰めの報酬』を見る。流石の出来映えを楽しんだ。

「イギリスで007ブーム再燃」という話題を聞いていて、どんな具合なのだろうという関心から出かけたが、海・陸・空全部を舞台に戦うドライな感じのアクションも、中南米の政治情勢や環境・資源問題を織り込んだ舞台設定もなかなかよくできている。左翼政権に対しクーデターを企図する将軍に悪の組織が渡す資金は「ドルが下がっているのでユーロで用意した」と時事的なセリフも織り込んでいる。女性たちも、義に感じて引退先のイタリアからボリビア(ロケ地はチリなど)に同行する三国連太郎と佐藤浩市の中間のような俳優も魅力的。

一番の悪役はまあ、国際環境NGOのリーダーを偽装した秘密結社の構成員だが、米CIAもほとんど悪役。秘密結社の正体について、どうもボンドは映画の最後のほうで掴んだらしいのだけれども、観客にはわからないところが「消化不良感」という批評もあったが、森田としてはむしろ、思い返せば秘密結社の正体が「イスラム」「アラブ」といったものに連なることを示唆するような表現が不自然なほど徹底して排除されていたことに、「良心」とまではいかないにしても制作サイドの明確な意思を感じた。

英国首相に近い政治家やロシアの資源マフィアなど国境を越える悪い奴らの接触の舞台としてオーストリア西部「ブレゲンツ」の湖上オペラ公演が設定されていて、ゴージャスな感じを出している。『トスカ』という演目もシリアスな流れにマッチしていた。その後、イギリスの警護官が墜落死する場面が来る‥

ストーリーの嵐が去った後、本作のボンドガールとの別れ際のセリフは「死者は報復など望んでいない」。エンドロールの最後は「ジェームズボンドはまた戻ってくる」。また見に行くな。これはきっと。

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2009年1月30日 (金)

ラウル・カストロ議長のモスクワ訪問-日本政府の中南米戦略は?

朝のニュースでキューバのカストロ前議長の後継者で、弟のラウル・カストロ議長がモスクワを訪問している映像が紹介されていた。「冷戦終結後はじめて」と聞くと、「キューバ危機」などかつてのソ連とキューバの結びつきを考えると意外な感じがした。

ソ連崩壊で、G8のメンバーに遇されたようにいわば「西側」になったロシアが「後戻りしている証拠ではないか」という見方もあろうが、そういった歴史的な文脈とは切り離した、新しい時代のロシアのグローバルな積極外交という面もあるような気がする。

チャベス政権のべネゼエラへの初の艦隊派遣というのはちょっと極端な例としても、例えば少し前にカトリックの国・ブラジルに本国のテコ入れもあってロシア正教の寺院が建てられ、ロシア系の移民が喜んでいるといったニュースがあった。中南米でもロシア、中国などの資源や貿易をにらんだ外交が活発に展開されているということだ。

わが国の中南米外交は最近どうなのだろう。「新自由主義」で経済が破綻した先輩地域でもあるが、かつては日本からの移民の歴史があり、多くの中南米社会に「日系」という窓が開いている。これはわが国にとって財産だ。

ところが、最近の不況で日本国内各地で日系人労働者が真っ先にクビ切りされ、苦境に喘いでいるという。こういうたいへんな時に思いやりのある振る舞いができるかどうかは、日本政府にとって人道問題であると同時に外交戦略の問題だ。

政治の取り組みに注視したい。

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