保守派

2009年4月30日 (木)

「小泉・竹中構造改革」ばかりでなく、「中曽根臨調路線」との明確な決別、チェンジが必要である。

はじめに
1.世界経済に起こっていること
2.日本経済の状況
3.経済対策の評価
4.今後の見通しと論点
しめくくり

はじめに

今後時々、経済についての見方を披瀝したい。まず、総論として現在の経済状況をもたらしている原因と打開の方向性について巨視的に捉えることを試みたい。

1.世界経済に起こっていること
                                                                  
「100年に一度」と言われる危機の核心は、アメリカの住宅バブルが崩壊する中で低所得者を対象とした「サブプライムローン」にもともと問題債権が多いことが露見し、さらにそれがデリバティブなど「一部危険な債権が分割され組み合わされることで、危険性が見えにくい高利回りの金融商品」として世界中の金融機関に保有されていたため、2008年9月の「リーマンショック」がさらなる引き金となって欧米を中心とした世界に起こった金融パニックである。

さらに金融機関の経営悪化は信用収縮を引き起こし、実体経済に深刻な影響を及ぼしている。端的に言えば、アメリカの消費者がこれまで何の問題もなく組んでいたローンが金融機関によって提供されなくなってしまったために、例えば自動車の販売が落ち込み、ディーラーをはじめ電機など関連する内外の産業全ての経営が悪化するといった具合である。そうして実体経済が落ち込めば、金融機関の業績はさらに悪化して貸し渋りが起こり‥と事態は悪循環に陥っている。

国際通貨基金(IMF)は4月22日、世界全体の2009年国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを、1月の前回予測時の0・5%から1・8ポイント引き下げ、マイナス1・3%と大幅に下方修正している。世界のマイナス成長予測は、第二次世界大戦後では初めてのことだ【記事1】。

2.日本経済の状況

当初、わが国の金融機関はサブプライムローン関連の金融商品をあまり買っていないので「経済の落ち込みは欧米より小さい」と予測され、リーマンブラザースが破綻した際に財政経済担当相が「ハチに刺された程度」と形容していたが、先に掲げたIMFの最近の世界経済見通しでは1月の予測時より3・6ポイント引き下げてマイナス6・2%と予測され、見通しを示した対象国の中では引き下げ幅が最も大きかった【同】。

日本政府も最近、昨年12月に発表した2009年度をゼロ%成長としていた経済見通しを大幅に下方修正して、マイナス3パーセント超とする発表を行っている【記事2】。

日本経済の落ち込みが諸外国よりも大きいのは、輸出依存度高いためである。アメリカ向け輸出が経済の大きな柱であることは中国も同様であるが、中国には巨大な内需があり、それもまだまだ成長余地が大きい。わが国の経済がより成熟したものである=多くの人がモノをすでに持っている=ことは内需が伸びない背景の一つとなっている。

しかし、内需の低迷にはこれまでの政策の累積が原因になっているという側面も看過できない。まず、1980年代の中曽根内閣当時からのわが国の経済政策は、繰り返された「内需拡大」のキャッチフレーズと裏腹に、一部のグローバルな輸出企業の「競争力強化」に偏ってきた。中曽根内閣の「臨調路線」は福祉国家の建設よりも財政均衡のかけ声を優先したもので、高い為替レートの設定により、貿易摩擦を回避して一部の超優良の輸出企業のための良好な貿易環境の確保に努めたことは事実だが、そのことが結果として全国の地場産業や多様な中小企業の存在をより難かしい立場に追いやったことも否めない。

1990年代の土地・金融バブルの崩壊も「天から降ってきた災難」のように言われるが、実際には通貨供給政策の失敗(=第二次石油ショック後の不況、プラザ合意後の円高不況に対し、「臨調路線」の呪縛で財政出動をせず、過度の金融緩和にしわ寄せした)と、資産保有における土地の有利性、都心部再開発の推進など不動産バブルには「政権が政策の結果として作り出したもの」という側面があり、さらにバブル崩壊後の不況長期化の原因の一つは先に述べたように、バブル崩壊以前の「臨調路線」が「内需拡大」のかけ声とは裏腹に、外需依存体質を改める効果的な手だてを怠ったことにある。

回復軌道に乗りかけると拙速な緊縮政策で腰折れをもたらし、税収も減らすなどジグザグコースをたどった日本経済も、90年代の宮沢政権、小渕政権などの大規模な財政出動によりようやく安定軌道に戻りつつあったが、2000年代初頭の小泉内閣における「小泉・竹中構造改革路線」は再度日本経済を「一部優良企業による輸出への過度な依存」「金融バブル指向」「福祉軽視」の誤った方向にリードした。一時的には世界経済のバブル的な好況に乗り、また労働規制の緩和=実質的な賃下げ=によって見かけ上の企業業績は絶好調という一時期があったが、いま現実となっていることは「世界で一番の経済落ち込み」「金融立国の幻想崩壊」「将来不安による内需萎縮」だ。

小泉・竹中路線は「格差拡大」「非正規雇用の増大」といった点から批判されることが多い。それもその通りだが、そもそも英サッチャー政権による「金融ビックバン」や、米経済のITバブルや住宅バブル、さらには複雑な金融商品の生み出す金融バブルに幻惑されて「金融立国」などという誤ったキャッチフレーズが踊り、また「規制緩和」の大合唱の下、中曽根臨調路線時代からの「大規模な優良輸出産業の競争力強化に過度に偏った政策」を継承することで、地方の疲弊、中小企業の衰退をもたらしたことをも批判されるべきである。小泉・竹中政権が現実にもたらしたものは「経済の落ち込み=税収減および経済対策の必要」による「財政赤字の大幅な拡大と日本経済の脆弱化」なのだ。

3.経済対策の評価

麻生内閣の2009年度予算の補正予算における15兆円とも言われる財政出動についての評価はさまざまだが、何もしなければマイナス6パーセントとも言われる今年度の経済成長をマイナス4パーセントにまで、2パーセント程度引き上げる効果があると期待できる。数字としては2パーセントに過ぎないが、いわば金魚鉢の水位が下がって多くの金魚が息もできないような状況になっているところに、水を注いでやるという作業であり、一面では理にかなった政策である【記事3および4】。

ただし、仮に10兆円の国債増発となれば、その分、国民の借金が増えることになることは念頭に置いておかなければならない。「国民全体としては、国に対して10兆円の債権を新たに持つことにもなるのでトントンだ」という見方もできるが、それでも「10兆円分の国債の利子は、国民全体が負担して支払い、受け取るのは直接間接に国債を保有する高額所得層」という所得の逆方向への再配分という問題が拡大する。

さらに15兆円の使い道についても指摘されるとおり、賢明なものであるかどうか吟味することが本来必要だ。「乗数効果(=カネを注ぎ込めば何倍にもなって帰ってくる)」の大きい、成熟度の低い経済であればケインズが指摘したとおり「労働者を雇って穴を掘らせ、さらにそれを埋め戻させることに給料を払うことだっていい」ということなのだが、借金を上回る効果が期待しにくいとなれば、将来の経済成長にプラスになるような使い方を工夫しなければならない。

わが国の内需拡大のためには、社会保障・福祉を充実し国民の将来不安をやわらげることが必要であり、効果も大きいと思われる。環境問題への世界大の関心の高まりに応えること、将来の競争力強化のために教育予算を欧米並みに引き上げる努力が必要だ。今日の状況をもたらした「元凶」とも言えるアメリカでは、オバマ政権の誕生後、このような指向性を持った「チェンジ」が推進されつつある。こういった点から今回の補正予算案を見渡せば、「ハイブリッド車購入への支援」などは同分野のわが国の競争力強化にもつながる政策として期待できる。しかし例えば「介護」従事者の報酬アップは単年度の措置に限られており、教育への予算シフトはないなど、充分な未来志向、充分なチェンジが含まれていると評価することはできない。

さらに政策推進のための「新たな基金を設ける」という手法が目立つ。これは「直ちに支出するわけではない」という点で景気対策の規模を大きく見せる水増しであり、「官僚の裁量に任せる」「天下り団体の活躍の場を広げる」という要素が大きい点で、政官財癒着構造への逆行だ。

4.今後の見通しと論点

まず世界の金融がいつ立ち直るかどうかといった点については「かなり時間がかかる」と予測せざるを得ない。焦点のアメリカ銀行政策は「一時国有化、不良債権の切り離しによる再生」という手段をとらず、結局のところ「官民で基金を作り、不良債権を買い取る」という方式を採用することになった。

これは、当初「日本の失われた10年は繰り返さない」と言っていたオバマ政権が、実際にはかつての日本と同様、ドラスティックな政策はとらず、いわば兵力の漸次投入のようなよく言えば穏健な、悪く言えば中途半端な対策を採用したことになり、時間を空費する恐れが大きくなったと言える。「来年度からの回復」「それを織り込んで、この夏から株価回復」という声も聞かれるが、無理なのではなかろうか。

日本経済も「財政出動」は必要だが、それが問題の解決になるということではない。むしろ「中曽根内閣の臨調路線」、「小泉内閣の構造改革路線」から明確に決別し、「多少税負担が増えても安心できる福祉を構築することを通じて内需拡大を図り、また日本の未来を切り開ける公立学校教育の再建をする」といった方向への「明確なチェンジ」が行われるかどうかが、日本経済が力強く再生できるかどうかの決定的な分かれ目だ。

もしそのようなチェンジが行われるとすれば、どのような分野でどのような変化が、どのようなスピードで起こるかをいかに見極めていくことが投資家や事業家にとっての勝負所となる。一方で、そのような明確なチェンジがなければ、今と同様な状況がだらだらと続き、わが国の経済回復は主要国の中で一番遅れると判断して良いだろう。

しめくくり

次の機会には、今回のレポートのような問題意識を根底に置きつつ、世界の森羅万象に目配りしながら、日本経済・首都圏経済の動向と見通しについての意見を述べていきたい。

                                                                   
【 記事1】                                                                  
                                                                   
IMF:世界経済見通し 戦後初、マイナス1.3%成長 日本も6.2%--09年

 【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は22日、最新の世界経済見通しを発表した。昨年秋の金融危機以降、世界規模で急激な景気悪化が続いていることを受けて、世界全体の09年国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを、1月の前回予測時の0・5%から1・8ポイント引き下げ、マイナス1・3%と大幅に下方修正した。
 世界のマイナス成長予測は、第二次世界大戦後では初めて。日本については3・6ポイント引き下げてマイナス6・2%と予測し、見通しを示した対象国の中では引き下げ幅が最も大きかった。
 日本以外にドイツもマイナス5・6%とマイナスの幅が大きく、不況による世界的な生産・貿易の急縮小の影響が、輸出依存型の経済大国を直撃した形となった。
 米国はマイナス2・8%、ユーロ圏もマイナス4・2%とそれぞれ大幅なマイナス成長を予想。先進国全体では前回のマイナス2・0%から1・8ポイント引き下げられマイナス3・8%と予測された。
 一方、高成長で世界経済をけん引すると期待されていた新興国も、ロシアが5・3ポイントの大幅引き下げでマイナス6・0%と日本並みに落ち込むとされ、中国が6・5%、インドも4・5%とそれぞれ成長率が鈍化する見通しとなった。
 IMFは、10年については世界全体で1・9%、日本は0・5%とプラス成長への回復を予測しているが「見通しは前例がないほど不透明であり、大幅な下振れリスクが存在する」との危機感も表明。さらに「金融市場の安定化には想定よりはるかに長い時間がかかる」と明記し、金融機関への公的資金の投入や大規模な財政出動を伴う景気対策の実施を加盟各国に促した。

毎日新聞 2009年4月23日 東京朝刊

                                                                   
【 記事2】                                                                   
                                                                   
GDP、2年連続で3%超減に 内閣府見通し下方修正 朝日新聞2009年4月27日

 内閣府は27日、08年度と09年度の国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを公表した。08年度は前年度比3.1%減、09年度は3.3%減と、昨年12月にまとめた政府経済見通しを大幅に下方修正。世界的な景気悪化を受け、2年連続で戦後最悪のマイナス成長となる。
 見通しは与謝野経済財政相が同日午前の臨時閣議で報告した。昨年12月の政府経済見通しでは、08年度の実質成長率を前年度比0.8%減、09年度をゼロ%としていた。

 08年度については、09年1~3月期の実質成長率が年率換算で14%程度のマイナスになるとして、マイナス幅を拡大。09年度も、過去最大規模となる15兆円の経済対策が成長率を1.9%程度押し上げるが、それでも過去最悪だった98年度の1.5%減を超える落ち込みとなる。
 景気を引っ張った自動車などの輸出産業は08年秋から急速に業績が悪化し、経済全体に波及。09年度は輸出が前年度比27.6%減、民間設備投資は14.1%減と、比較できる55年度以降で最悪のマイナスだ。
 09年度のその他の指標は、完全失業率が5.2%と過去最悪だった02年度の5.4%に迫り、雇用者数も前年度比0.9%減と悪化する見通し。消費者物価指数はマイナス1.3%と05年度以来のマイナスで、物価下落が景気悪化を加速させる「デフレ」が懸念されている。

                                                                   
【 記事3】                                                                  
                                                                   
政府、09年度補正予算案を閣議決定 一般会計13兆9256億円  日本経済新聞

 政府は27日午前の臨時閣議で追加経済対策の裏付けとなる一般会計の歳出規模で13兆9256億円に上る2009年度補正予算案を決定した。ただちに国会提出し、午後の衆参両院の本会議で与謝野馨財務・金融・経済財政相が財政演説を行い、審議入りする。麻生太郎首相は補正予算案への野党の対応によっては衆院解散・総選挙に踏み切る構えをみせており、補正審議は政局含みだ。
 補正予算案の歳出規模は過去最大。当初予算と合わせた09年度の一般会計総額は102兆4736億円に達し、2度にわたる大型景気対策を実施した1998年度の89兆円を大きく上回る。4月中に補正予算案を国会提出するのは初めて。
 補正予算案の歳出として追加対策の関連経費14兆6987億円を計上。財源の一部に当初予算で設けた1兆円の経済緊急対応予備費のうち8500億円を取り崩したことから歳出規模は差し引き13兆円台となった。(09:13)
                                                      
【記事4】                                                                   
                                                                   
追加経済対策に一定の評価、需要喚起は今のところ限定 朝日新聞2009年4月24日

 政府が「不況脱出の4段ロケット」と呼ぶ過去最大の追加経済対策が決まった。住宅購入者にとっては、09年度予算と関連法の成立ですでに実行段階に入っている過去最大規模の住宅ローン減税とならんで贈与税の非課税枠拡大や住宅金融支援機構の長期固定型住宅ローン「フラット35」の10割融資などが追い風になる。
 住宅・不動産業界からは「若年層の住宅取得をバックアップすることになる」(岩沙弘道・不動産協会理事長)などと、政府による追加経済対策の早期実現に期待を寄せているが、足元の住宅マーケットは分譲住宅の供給抑制傾向や戸建て住宅の受注不振などが継続し、政策効果がまだはっきりと表れていないのが現状だ。
 予算と関連法の成立で、10年間で最大500万円(一般住宅)の税額を所得税・住民税から控除できる住宅ローン減税について、ある大手不動産の幹部は「販売現場で具体的にセールストークができるようになったことは大きい」と一連の景気対策を評価する。また、今回の追加経済対策で盛り込まれた贈与税の減税(住宅の購入や増改築が条件で、非課税枠を現在の年110万円から610万円に拡大)にも一定の評価を与えているが、「いかんせん親世帯のマインドは厳しく財布のひもは固い」と見ている。
 足元の住宅マーケットだが、首都圏の分譲マンションは3月の契約率が7カ月ぶりに70%台に回復し、販売在庫も昨年末の1万2427戸から8846戸に減少してきた。価格の下落などが奏功したためだが、その一方で新規供給の抑制傾向は今年に入ってからも収まらず、3カ月連続で前年同月比2ケタの減少が続いている。
 一方、戸建て住宅の受注も低迷が続く。大手住宅メーカーの受注状況をみると、昨年の“リーマンショック以降”、10月から2ケタの減少が続いており、例年だと受注が大きく伸びる年度末の3月期も同じように2ケタ減という状況になっている。
 家計への影響が大きい住宅ローン減税だが、分譲マンションの新規供給や住宅受注の現状を見ると、本格的な回復にはほど遠く、一連の政策効果もまだ限定的といえそうだ。
 元々大きな借金を抱えることになる住宅の購入や建設にとっては、将来不安に対するウエートが相当重く出る傾向がある。企業の業績悪化からボーナスだけでなく、ベースアップも期待できない景気の現状では、先行きに対する確信が持てないということだろうか。 いずれにしても、大型連休に向けてディベロッパー各社や住宅メーカーは販売攻勢をかけることにしている。野村不動産は首都圏で約500戸のマンション販売を予定しているほか、三井不動産など他の大手各社も軒並み新規物件を投入する。
 一方、住宅メーカー各社も太陽光発電システムを搭載した住宅など、政府や自治体の補助金などを追い風に“環境系”を切り口にキャンペーン活動を本格化させる。また、長期優良住宅普及促進法が6月4日に施行されることから、こうした施策もテコに受注活動を強化し、集約につなげる。
 今回の追加経済対策については、住宅・不動産業界だけでなく、電機・自動車といった産業界の反応もいい。住宅需要は景況感にリンクするといわれているだけに、今のところ政策効果は限定的だが、プラス材料であることは間違いない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月22日 (水)

国益に反する安倍晋三氏の危険な「先制攻撃」論

公務員は当然、憲法を遵守する義務がある。日本国憲法の前文と第9条を読んで、そこに軍事力による先制攻撃を容認する内容があると思う人はいないはずだ。つまり、安倍氏の言っていることは「憲法違反」なのだ。

法律以前の話としても、こんどのような発射台がわかっていて、何日もかけてのんびり液体燃料を詰めるようなタイプの「ミサイル」なら、米海軍配備のトマホーク(ロケット式の弾道ミサイルではなく、飛行機と同様な飛び方をする精密誘導の「巡航ミサイル」)1発あればいいが、すでに大量に配備されている移動式でどこにあるかわからず、発射にそれほど時間がかからないタイプの中距離ミサイルを全部叩くことは物理的にほぼ不可能で、仮に技術的に可能だとしてもそのようなシステムを実際に配備・稼働させるにカネがいくらあっても足りないではないか。

安倍氏や仲間の「従軍慰安婦はなかった」論の、例えばワシントンポスト全面広告が米下院の日本非難決議可決を誘発したように、このような議論はアメリカ政府にも「日本はやっぱりズレている。現実が見えていない」という受け止め方をされ、日本の政治的な信頼度を損なっている。国益に反する言動なのだ。

そもそも、日米安保条約は「日本の米軍への基地提供」と、「アメリカの日本防衛」を交換条件とする条約で、そこに「同盟」なんてことばは一言も書いていない。日米の緊密な協力はとてもいいことだが、自民党政権や外務省が「同盟」などと言いつのるものだから、アメリカの普通の人々はアメリカ軍が攻撃されれは、日本は「同盟国」なのだから敵に反撃する義務があると信じてしまっている。これも国益を大きく損なってきた言動だ。

北朝鮮ミサイル発射で敵地攻撃力の検討必要 安倍氏  NIKKEI NETより

 自民党の安倍晋三元首相は21日、党本部で開かれた中堅・若手議員がつくる「北朝鮮に対する抑止力強化を考える会」で講演し、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、敵基地攻撃能力の保持に向けた議論を進めていくべきだとの考えを示した。

 山本一太参院議員ら出席者によると、安倍氏は「日米同盟を機能させるためにも集団的自衛権や敵基地攻撃について議論の整理をしっかりしていくことが大事だ」と指摘。「(将来的に)今後の脅威に備える議論が必要だ」と語った。(23:01)

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年4月21日 (火)

国益に反する麻生総理の供物奉納=野党、メディアは「東条英機ら合祀」の靖国神社への供物奉納を厳しく問い糾すべき

靖国神社は、神社の意思として東条英機らいわゆる「A級戦犯」を合祀し、境内に「遊就館」という侵略と軍国主義を美化する博物館を整備している。

そのため天皇は参拝せず、中国や韓国に配慮して主要閣僚をはじめほとんどの現職閣僚は参拝を見合わせている。

細かい論点を措くとして「東条英機らの合祀を続けるなら、首相らの参拝はない」。「靖国神社側がその点を改めれば、参拝の道は開かれる」という事実上のコンセンサスが変な右翼を除けば出来ているといって良いだろう。

その「東条英機らの合祀を続ける靖国神社」に内閣総理大臣として供物を奉納するような総理大臣、そうした人を総裁に頂いて何の批判も起こらない自民党に、日本外交の「地元」である北東アジア近隣諸国との良い関係が築いていけるか大いに疑問だ。国益に反する行為だ。

首相が靖国に供物奉納

2009年4月21日(火)13時20分配信 共同通信

 麻生太郎首相が21日から始まった靖国神社の春季例大祭に合わせて「内閣総理大臣」名で「真榊」と呼ばれる供物を奉納していたことが同日、分かった。現職首相の靖国への供物奉納は、07年4月当時の安倍晋三首相が行って以来。首相は29、30日に中国訪問し首脳会談を予定しており、訪中直前に発覚したことで中国側が反発することも予想される。韓国も懸念を表明する可能性がある。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年4月14日 (火)

安倍晋三元首相「核軍縮特使」のブラックユーモア

安倍晋三元首相が、オバマ大統領の「核のない世界をめざす」というプラハ演説への支持と協力を表明する麻生首相による親書を携えて訪米し、バイデン副大統領と会談するという。「チョロチョロするな」と思うのは森田だけではないだろう。

提灯持ちは谷地元外務次官だという。無責任な辞め方をして国益を損なった核武装論者で、アメリカの対北朝鮮対話政策を批判して「孤立を恐れず」と騒いでいる元総理が、小泉内閣時にブッシュ・チェイニー路線に完全に追随し、憲法を逸脱した戦争支持、自衛隊の戦地派遣をリードした当時の内閣官房副長官補(のち外務次官)の案内で、二人してオバマ政権に取り入ろうというわけだ。

恐らく、大統領補佐官などにアポを入れておいて、先方の配慮によるオバマ大統領との「思いがけない会談」の実現などを請い願っていることだろう。

「風見鶏」ということばもあるが、われわれにとってオバマ政権成立の意義の一面は、本来、小泉・安倍・谷地といった人々による、ブッシュ・チェイニー路線追随による憲法破壊に歯止めがかかる「チェンジ」の実現ということなのだが。

どうせ二人のことだから、表向きの理由は別にして「民主党では日米関係がダメだ。われわれは、少なくとも憲法の集団的自衛権の解釈を変え、オバマ政権の世界戦略に全面的に協力する」といった話をしにいくのだろう。

相手が変わっても、営業に困らないようにということか。調子の良いことだ。

いつも言うことだが、民主党リベラル派や社民党は、こんなやつらばかりチョロチョロさせておかないで、オバマ政権でも軍産複合体の手先という要素の少ない人々ともっと積極的に会い、意見交換を重ねて欲しい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月13日 (月)

NHKスペシャル「象徴天皇」感想

日曜午後、BS2のアンコール再放送で両陛下の50年を回顧するNHKスペシャルを見る。

皇太子時代に広島の原爆式典に出席して「誓いのことば」を述べられた映像や、沖縄初訪問の際に火炎瓶を投げられた前後の「何があっても受け入れる」ということば、直ちに現場に戻り、説明にあたっていたひめゆり同窓生に気遣うことばをかける様子、さらには2005年の終戦60周年に自らの強いイニシアチブでサイパン訪問を決めたいきさつなど、今上天皇の平和への思いが心からのものであることが実感された。政治的な発言はされないわけだが、日本でいちばんの護憲派でいらっしゃる。

4つの決して忘れてはならない日として、沖縄、東京大空襲、広島、長崎の慰霊の日を挙げておられるということについては、昭和天皇の終戦の決断があと半年早ければ避けることが出来た巨大な犠牲であるという面から、陛下としては当然のこととと思いつつ、毎年その式典の時には御所で微動だにせず黙祷されていると側聞するとやはり心打たれる。

天皇として、国民に対して決して忘れてはならない日はその4つかもしれないが、日本人総体として忘れてはならない日を4つ挙げるとすれば、満州事変を始めた日、日中戦争を始めた日、真珠湾攻撃の日、そして日韓併合の累次のステップを(反対側から)象徴する日として例えば「三一」ということではないかとも思う。

今年、天皇が真珠湾を訪問するかもしれないという報道があったが、森田はたいへん良いことであると考えている。バルト三国さえ訪問されたのだから、韓国初訪問も遠くない将来に実現できれば素晴らしいと思うが、こればかりは友人の元ソウル特派員の「天皇が一つくらい訪問できない国がある方が(国民の反省のため)良いのだ」という声も耳に残る。まあ、反動右翼が多い自民党を政権から引きずり下ろせば、障害は一つ取り除けるが。

皇后陛下のお人柄については、今更であるが、前例を改め夫妻で子育てに当たったことに関わっていまの皇太子が生まれて何ヶ月かで行われた記者会見の映像で、記者が「なるちゃんなどとお呼びかけになるのですか」というのに皇太子(当時)が「ええまあ。まだあんまりわかりませんけどね」と言われのに、絶妙の間合いで「わかりますよ」と美智子妃が突っ込みを入れられた様子など、ただ言いなりでない、夫をカバーするよき助言者の面目躍如の場面だった。そして全編通じて感じるのは美智子皇后の「まず陛下」「まず国民」の自己犠牲の精神だ。

われわれは、この代においては本当によい天皇、皇后に恵まれたと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2009年3月29日 (日)

森田健作氏、千葉県知事選当選=タレント選好の有権者の意識をどう変えるか=

簡単に言ってしまえば、教育問題などに変な公約を掲げた右翼のタレント候補がまた当選したということだ。そのままんま東とか、森田健作とか、いいかげんにしてほしいと思う。本人が出るのは自由だが、当選させる有権者には本当にがっかりする。

ただ、その昔に塩野七生さんがエッセイで、ヨーロッパのリベラル派の政治家たちを取り上げてこんなことを言っていたのを思い出す。彼女に言わせれば、右翼の政治家や左翼の政治家に比べ、しばしば小党であるリベラルの派の政治家たちは、政策的には一番正しい政策を掲げ、個人的につきあっても洗練されて魅力的な人物が多い。

それでは、なぜ彼らが政治的に大きな力を持つことができないのか。塩野氏はそこで「彼らには共通して、自分たちが支持されないとすれば有権者が悪い」と有権者を見下したところがあるというのだ。

だから、ここでリベラル派が考えるべきことは「どうやったらリベラル派が支持を集めることが出来るか」という戦略・戦術だ。

ある問題を「部屋の中の象」ということで別とすれば、3つのことが思い浮かぶ。

まずは戦術レベルの話だが、いわばリベラル派のタレントにも選挙に出てもらうための環境作りもすべきであろうということだ。いま、野党の勢力が政権をとったら、ある程度の批判は覚悟の上で吉永小百合とか、壇ふみといった「平和を大事にする」と公言しているビックネームを「軍縮担当大臣」とか、「文化政策担当の文部科学副大臣」といったポストに起用し、近い将来の選挙におけるこちら側のタマになってもらうといったことを考えるべきだ。

二つめに、「きょうも歩く」の黒川氏が指摘する「選挙プランナー」も重要だ。三浦某氏が人気があり、能力がある人だそうだが、「丸川珠代参議院議員」とか、「石原慎太郎知事三選」、「森田千葉県知事当選」といったことにその優秀な能力を使って、国民や国家のためにいいことが何かあっただろうか。

三浦氏がピジネスの都合で「どの党派の人でも、気に入れば応援する」などと言っているけれども、同氏は自民党時代の椎名素夫代議士の元秘書であり、出発点から「右」であることはハッキリしている。ここで言いたいのは、リベラルの方でも同じような人材を育てる必要があるということだ。セクト時代の雰囲気を引きずる斉藤まさしさんでは「古い」ということであるなら、若い人材の育成・起用が必要だ。

もうひとつは、リベラルを横断する複数の支援組織を作り、育てていくことの必要だ。全く思いつきだが、例えば「9条の会」を母体として、西松建設が作っていたようなというと例えが悪いかもしれないけれども、市民からの献金を集める「政治団体」を作り、プロ「平和と人権」の候補者に資金提供していくといったことを、多元的に展開すべきではないか。

個人レベルでも、坂本龍馬のようにコーディネーターとして動く人々がたくさん出るべきだ。武村正義とか、田中秀征といった人々も、老成ばかりしていないで少し動いてほしいものだ。森田敬一郎もここで口ばっかりで騒いでいるのではなく、行動を起こさなければならないかと考えたりしている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月17日 (火)

ペイリン元副大統領候補の娘、婚約破棄=右翼政治家の粉飾がまた一つ露見=

昨年の米共和党大会で、家族の価値だの何だのと保守的な価値観を強調してブームになっていたペイリン副大統領候補の10代の未婚の娘、ブリストルさんの妊娠について、相手の10代の青年が壇上に上げられ「二人は結婚する」と発表があり、大いに盛り上がった。

それが、実のところ子どもは無事生まれたけれども、二人は婚約を解消し、ABCテレビが求職中の青年にインタビューすると「いつでも子どもに会える」と言うものの、持っている子どもの写真は胎内にいたときのX線写真だけだった。

二人は生き方をそれぞれ、よく話し合った上で自由に決めればいいことだ。とても嫌な感じがするのは「私たちはなんて立派な家族でしょう」といった演出によって有権者に対して自分たちの姿を粉飾したペイリン元候補(現アラスカ州知事)のことだ。

だいたい、ご立派なご宣託で右寄り、保守的、「愛国」的な価値を並べるような連中に限って、いざというときは無責任で、何の反省もないのが普通なので、あまり驚かないが。

| | コメント (1) | トラックバック (0)