外務省

2009年7月11日 (土)

核兵器持ち込み外務省「密約」文書

ここのところ、外務省OBの一部が核兵器持ち込みの密約文書について、外務省内で行われていた「申し送り」について証言していることが記事になっている。

森田のコメント3つ。まず、これは憶測かつ焦点とは関係ないかも知れないけれども、文書隠しのからくりの一つに「これは役所の文書のファイルへ、これは個人持ちの文書なので別のファイル(情報公開法の対象外)へ」という仕分けが、情報公開法を骨抜きにするテクニックとして恣意的に行われているのではないか、という以前にも書いたこと。2000年の夏頃、外務省の新入り事務官から雑談の中で聞いた話からの推測。

これは、長い過去の経緯との関係ではサイドストーリーだが、「10年前の廃棄」ということでは今度の話と直結する可能性もゼロではない=「紙」は廃棄されても、外務省の持つデータのうち、個人持ち資料と偽装されてパソコンの中にあるのではないか=と言うのが森田の推理。再発防止という点からは、中心テーマの一つと言える。今度出来た文書管理法、10年になる情報公開法に抜け穴はないか。今日と明日の問題として重要だ。

森田のコメントの二つめは、間もなくできる民主党政権の外相人事は重要だということだ。「密約」の検証のためには、岡田克也、菅直人、長妻某氏のような調査能力のある人々を投入する必要があるが、こうした人々は政権全体を考えてもっとカナメのポストに就けるべきかもしれない。さりとて、役人やアメリカ軍部のいいなりになるような者ではダメだ。田中真紀子氏など、希望者は多いのだろうが、かきまわすだけで論理的な説明が出来ない人はこの問題についてだけ考えても弊害が多い‥

コメント3つ。いろいろ発言する外務省OBの思惑はそれぞれだろうが、ストーリー仕立てにすれば「政権交替のどさくさまぎれに、不都合な過去を精算してしまいたい。そうして、北朝鮮をにらんでの核兵器をしっかり日本国内・周辺に配備するよう求めるなど、アメリカとの軍事協力をもっと大手を振って前に進めたい」というOB・幹部のムラ社会内部のあうんの呼吸による連係プレーが展開しているようにも見える。

そんなバカなことを進めさせてはいけない。直接の話題としては、一世代前の日本外交の話だが、本質的に日本の今日と明日に関わる話題である。注視し、方向性を誤らないようにしたい。

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2009年3月29日 (日)

オバマ大統領、核軍縮・核不拡散で動く=自公政権は何を発信したか=

米オバマ政権はアフガニスタン、パキスタンにかかわる包括的な政策を発表したことに続いて、4月はじめにロシアとの間の核軍縮、さらに世界大の核不拡散にかかわる動きを見せるようだ。

このことについて麻生内閣や自公連立与党から何か有益な発信があったか?。全く何もない。

核軍縮については「既存の条約が今年で期限切れになることについて、わが国はかくかくの所感を持ち、これこれの内容を含む条約の締結を求めたい」とか、「核軍縮にはずみをつけるため、アメリカを含む全ての核兵器国に『先制不使用』の宣言を求める」といった程度の発信があって然るべきだ。

今のような音無では、麻生政権も、自公連立与党も、外務省も「核軍縮などには全く関心がない」と言っているに等しい。やっていることは、北朝鮮の「『人工衛星発射』はミサイルで迎撃する」といった話ばかりなのに、「唯一の被爆国だからIAEAの事務局長のポストをよこせ」など図々しい話だと受け止められるだろう。

核不拡散については、自国の安全に直結する「北朝鮮の核放棄の実現」が最初の関門だ。ところが、6カ国協議においてアメリカ、韓国、中国、ロシアが駆け引きで北朝鮮に対するエネルギー供与をすると言うときに「俺はやらない」と足を引っ張っているのである。

次期総選挙において、民主党を中心とする野党勢力には、これまでの政権の核軍縮・核不拡散への無関心、無責任を払拭する、平和憲法を持つ国にふさわしい外交・安保政策を打ち出してほしい。

オバマ政権は、ブッシュ前政権よりはるかにましな政権だ。しかし、アフガン支援で「軍民一体」を打ち出しているのは、わが国の実績を上げてきた民間支援の当事者の実感とかけはなれた政策だ。「同盟国」などといいながら、日本政府はアメリカにしっかり情報を提供し、親切な助言をするといった努力すらせず、ただ後をついていくつもりらしい。

核軍縮で声明採択へ=来月の米ロ首脳会談で

 【モスクワ28日時事】ロシアのプリホチコ大統領補佐官は28日、主要20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会合)に合わせて4月1日にロンドンで行われるメドベージェフ大統領とオバマ米大統領の会談で、核軍縮条約と米ロ関係全般に関する2つの共同声明が採択される見通しであることを明らかにした。
 米ロの主要な核軍縮条約である第一次戦略兵器削減条約(START1)は今年12月に失効する予定。両大統領の声明は、これに代わる新たな条約の交渉本格化をうたう内容になるとみられる。
 米ロ関係は昨年8月のグルジア紛争などを受けて、冷戦後最悪の水準にまで冷え込んだが、オバマ政権の登場で改善に向かうとの期待が高まっている。(2009/03/28-21:40)

核不拡散で新構想表明へ  オバマ氏、4月5日プラハで

 【ワシントン28日共同】マクドノー米大統領次席補佐官(国家安全保障問題担当)は28日の記者会見で、31日から欧州・トルコ歴訪に出発するオバマ大統領がチェコの首都プラハで4月5日、核不拡散問題に関する重要演説を行うと明らかにした。新たな核政策構想を表明するとみられる。
 次席補佐官は演説内容を明らかにしなかった。ブッシュ前政権はチェコとポーランドにミサイル防衛(MD)配備を計画、ロシアが反発し、米ロ関係悪化の原因となっていたことから、MDに関する新政権の立場や、米側がMD配備の理由としているイランの弾道ミサイル開発に言及するとみられる。
 オバマ大統領は4月1日、金融サミットが開かれるロンドンでロシアのメドベージェフ大統領と初会談し、米ロの核軍縮問題を協議する予定。「核兵器なき世界」を追求すると公約しているオバマ大統領が米ロ会談を踏まえ、核兵器削減に触れる可能性もある。
 次席補佐官によると、オバマ大統領は2日にサウジアラビアのアブドラ国王、3日にフランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相とも会談する。【共同通信】

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2009年3月27日 (金)

IAEA事務局長選、日本候補も落選=自民党と外務省は核軍縮問題への取り組みとブッシュ政権追随をちゃんと反省しなければ話が始まらない=

核不拡散と平和利用の確保にあたる国際機関・IAEAの事務局長選で、日本が擁立し「唯一の被爆国出身者にふさわしいポスト」と訴えたキャリア外交官出身の天野氏が3分の2の得票を得られず落選したそうだ。

外務省は「ODAを削減してきたからだ」などと言い訳するだろうが、森田が見るところ、多くの国にとって日本の外交姿勢に「唯一の被爆国としての使命感、魂」といったものが全く感じられなかったということだろう。「ユネスコの事務局長も退任なので」といった役人の天下り枠確保のような話が聞こえてきたあたりからおかしいのだ。

そもそも、最近の核軍縮・不拡散の状況を悪化させてきた犯人の一角は、北朝鮮やイランばかりでなく、核軍縮に背を向け、議会に阻止されたとはいえ「新型核兵器」さえ開発しようとしていた日本の「同盟国」アメリカのブッシュ・チェイニー前政権だ。そして自民党と外務省が主導してきた日本外交はアメリカの「忠実な飼い犬」にすぎないと多くの国が見ている。

その日本は、国連の核廃絶決議案の提出など「ことば」だけは先行するものの、実際は2003年にイラク戦争の開戦が迫った段階で、IAEAのエルバラダイ事務局長も、前IAEA事務局長で国連査察チームのブリクス氏も国連安保理において「さらに査察を続けるべきだ」と主張し、フランスやドイツも開戦に反対していたにもかかわらず、小泉政権はブッシュ政権の開戦に対して「支持」を表明し、森田の理解では、主要国でただ一つ、今日に至るまでその過ちを認めることをしていない。

森田は、広島・長崎における核兵器使用がもたらした熱線・衝撃波・放射線が市民にもたらした巨大かつ深刻な被害について、その実相を世界の新しい世代の人々に伝え続けることはわが国の人類史的使命であると考えているが、自民党政権も外務省も、これまで大平内閣、中曽根内閣、宮沢内閣、福田康夫内閣と何度もサミットを開催してきたけれども、一度たりとも広島や長崎での開催を提案したことすらなく、こうした使命を果たす機会を逃してきた。

昨年は9月に河野衆院議長のイニシアチブでG8議長会議を広島で開催し、ペロシ米下院議長の被爆地訪問が実現したが、これは河野氏の個人的な信念と働きかけに基づくもので、外務省や与党内にこれを後押しする動きが当初からあったわけではない。

北朝鮮の非核化などは、日本の安全保障という面から見ても最優先の課題であるにもかからず、日本政府は「拉致問題」を非核化の問題と切り離すことに失敗し、結果として各国の努力の足を引っ張っている。

「唯一の被爆国」。自民党政権や外務省が言うなといいたい気分だ。少なくとも、顔を洗って出直せ。

【以下、時事通信より】

日本外交に大きな痛手=信任されず「失格」の烙印-IAEA事務局長選

 【ウィーン27日時事】日本政府は、新たな主要国際機関トップのポスト獲得を悲願としてきた。国際原子力機関(IAEA)事務局長選に当たっては、麻生太郎首相自らが昨年9月の国連総会で天野之弥ウィーン国際機関代表部大使の擁立を発表。外務省に中曽根弘文外相を本部長とする選挙対策本部を設置し、全力で天野氏の当選を目指した。それだけに、IAEA特別理事会で天野氏が選出されなかったのは日本外交にとって面目丸つぶれで、大きな痛手となった。

 日本がIAEA事務局長選にこだわった背景には、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長が今秋退任の予定で、主要な国際機関のトップを務める日本人が国際エネルギー機関(IEA)の田中信男事務局長だけになってしまうという事情がある。国際社会での存在感を高めるには、地球温暖化対策が新たな課題として浮上し、原子力の平和利用支援の重要性が高まる中、「核の番人」と呼ばれるIAEAの事務局長はうってつけの役職だった。

 ただ、信任投票でも当選を決められなかったことで、天野氏も南アフリカ共和国のミンティIAEA担当大使も「失格」の烙印(らくいん)を押された。やり直し選挙への出馬は可能とはいえ、実際に再挑戦するのは困難になった。

 こうした事態を予想し、関係者の間では特別理事会が始まる前から「第3の候補」として、セディジョ元メキシコ大統領や経済協力開発機構(OECD)原子力機関のエチャバリ事務局長(スペイン)らの名前が挙がっていた。(了)
天野之弥(あまの・ゆきや)
(2009/03/27-21:23)

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訪米でジム・レーラーにインタビューされる豪ラッド首相、お呼びじゃなかった麻生首相

NHK・BS1で昨日放送された、アメリカの公共テレビPBSの「ニューズアワー」で、訪米して米豪首脳会談を終えたオーストラリアのラッド首相インタビューを放映していた。

PBSは内容が中立的でFOXやCNN、あるいは3大ネットほど見られていない。戸田奈津子さんの映画字幕じゃ「教育テレビ」とされていたくらいだが、そのレベルの高さは知る人ぞ知る。聞き手は大統領選挙の公開討論会司会の常連・エースのジム・レーラー。

ラッド首相が聞かれていたのは、ひとつにはG20に向けての世界金融・経済問題の解決に向けての考え方で、オバマ政権やオーストラリア政府の積極財政と、それに慎重なヨーロッパの比較などで、ラッド氏は何もしない新自由主義的な行き方と、政府が動いてショックを緩和して次のステップをめざすやり方を対比させて後の方が望ましいということを説いていた。

さらにラッド首相はアフガニスタン問題についてのオバマ大統領とのやりとりについて応える中で「すでに10人の死者を出した自国の厭戦気分」と、「9・11の原因は、この地域のテロリストを野放しにしたことにある」といった話の両方をしていた。

さらにジム・レーラー氏は「あなたは外交官出身で、中国語にも堪能なので伺いたいが、アメリカは中国とどう関わっていったよいと思うか。ご自身のことばで語っていただければ」と聞いた。

ラッド氏は予想通り、自分としては「関与」を求めていく立場で、IMFに出資を求めるとともにオランダやデンマークと同程度の発言権を、果たす役割に見合ったものに見直し、いわば中国を「良い大株主」になるように導くべきだ。そうなるかどうかは中国の出方を見なければいけないといった意見を述べていた。

このインタビューを聞いていて思ったのは、現状においてはアメリカの良質なメディアが世界経済、アフガニスタンでの国際協力、しまいには「アメリカは中国とどう関わっていったらいいか」ということを聞く相手は、日本の首相ではなくオーストラリアの首相なのだなということだ。ちょっとガッカリだが現状を考えれば仕方がないか。

もちろん、ラッド政権の政策指向がオバマ政権の政策指向と重なる部分が多いこと、総選挙で選ばれた正統性と勢いのある政権であること、ラッド氏が中国専門家であるという条件もある。しかし、「ジャパンパッシング」などと騒ぐ日本のこれまでの首相たちは、ジム・レーラーのニューズアワーが呼びたいと思う程度の、独自の中国理解や対中政策論を持っていただろうか。

自民党政権のここ15年ほどの首相は皆失格だろう。山本一太ならいいかと言えば、かえって日本が馬鹿にされることになるだろう。次期、民主党主導政権の首班指名候補についても、まずは内容だけれども、ついで外国語能力はともかくとしても、日本語においても口が重い人はちょっとなあと思う。こういった場面でも、日本の存在感が損なわれるリスクがあるのだ。

なお、在米日本大使館も3大ネットばかりでなく、PBSともコンタクトを密にすべきだと思う。いろいろな国の大使が出てくるが、日本大使で印象に残るのは、ずっと前に斉藤大使がアイリス・チャンと対決した時のことくらいだ。

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