映画「プライド」-楽しい映画です
18日(日)新宿バルト9へ出かけ「プライド」を観る。満島ひかりさんは期待どおり。ステファニーさんとのデュエットは小倉智昭さんが「ハマった」というだけのことはある。
むかし故オーマンディーがコンチェルトの指揮の名人と言われたり、あるいは指揮者のサバリッシュ氏がリートの伴奏を好み、その映像に触れるとなるほどと思わせたことでもわかるように、「合わせもの」には音楽全体を見通す力、相手を引き立てる呼吸、引き立てることでワザを見せるという要素があり、なかなか誰にでもというわけにはいかない。満島さんは才能の片鱗を見せていた。
まあ、音楽にはもともとかなりの程度「対話」の要素があるわけだ。
オペラアリアの口バクも、ステファニーさんより満島さんの方がずっと良かった。『ジヤンニスキッキ』の「私のお父さん」など、少なくともイタリア語のテキストの発音をしっかり練習していた感じがしたし、『のだめカンタービレ』で必ずしもクラシックファンでない人にもいちだんと広く親しまれるようになった『魔笛』の夜の女王のアリアも、振り付けになかなか工夫があった。
これは小柄な満島さんが歌うには「堂々、迫力」という振り付けより、感情を強く出しながらも神経質な感じといういきかたが成功で、声を当てている歌手の方もいい意味で軽めの歌唱-例えばナタリー・デッセーが歌ったときのような感じでよく俳優・演技とあっていた。ここにも座布団一枚。
さて、キムラ緑子さん演じる鬼母の迫力はさすが素晴らしく、これと対決する満島さんも演技力では大人と子どもだったかもしれないけれども、肝が座って一歩も引かないところはやはり「小さな大器」。沖縄アクターズスクールのメソッド・一対一の「ダンス対決」から築き上げてきたものなのだろう。
それにしてもジョン・カビラさんが出てきたのには驚いた。敬愛の気持ちを込めて「下手くそ!」と声をかけたかったけれども、しかしさすがに「声」だけに耳を傾けていると「ラジオドラマ」としては完璧だった。もっとも、素晴らしいんだけれどもいつ映画を見に行っても由紀さおりさんや高島礼子さんが出ているなあというのも困りものなので、最近はコンピューター化されているらしいキャスティングは、データベースからもっと幅を広げたり、深めたりする必要があるのか。ジョンさん起用もそういう努力の一環なんでしょうか
若き作曲家を演じる青年がとてもよい感じで、渡辺謙さんを30若くしたようだなと思って観ていたら渡辺大さんという謙さんの倅さんだそうだ。これは成長株。エンディングロールに黒川智花さんの名を見つけ「どこに出ていたかなあ?」とよく考えようやく思い至って吹き出してしまった。なかなかやるなあ。


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