経済・政治・国際

2009年7月11日 (土)

核兵器持ち込み外務省「密約」文書

ここのところ、外務省OBの一部が核兵器持ち込みの密約文書について、外務省内で行われていた「申し送り」について証言していることが記事になっている。

森田のコメント3つ。まず、これは憶測かつ焦点とは関係ないかも知れないけれども、文書隠しのからくりの一つに「これは役所の文書のファイルへ、これは個人持ちの文書なので別のファイル(情報公開法の対象外)へ」という仕分けが、情報公開法を骨抜きにするテクニックとして恣意的に行われているのではないか、という以前にも書いたこと。2000年の夏頃、外務省の新入り事務官から雑談の中で聞いた話からの推測。

これは、長い過去の経緯との関係ではサイドストーリーだが、「10年前の廃棄」ということでは今度の話と直結する可能性もゼロではない=「紙」は廃棄されても、外務省の持つデータのうち、個人持ち資料と偽装されてパソコンの中にあるのではないか=と言うのが森田の推理。再発防止という点からは、中心テーマの一つと言える。今度出来た文書管理法、10年になる情報公開法に抜け穴はないか。今日と明日の問題として重要だ。

森田のコメントの二つめは、間もなくできる民主党政権の外相人事は重要だということだ。「密約」の検証のためには、岡田克也、菅直人、長妻某氏のような調査能力のある人々を投入する必要があるが、こうした人々は政権全体を考えてもっとカナメのポストに就けるべきかもしれない。さりとて、役人やアメリカ軍部のいいなりになるような者ではダメだ。田中真紀子氏など、希望者は多いのだろうが、かきまわすだけで論理的な説明が出来ない人はこの問題についてだけ考えても弊害が多い‥

コメント3つ。いろいろ発言する外務省OBの思惑はそれぞれだろうが、ストーリー仕立てにすれば「政権交替のどさくさまぎれに、不都合な過去を精算してしまいたい。そうして、北朝鮮をにらんでの核兵器をしっかり日本国内・周辺に配備するよう求めるなど、アメリカとの軍事協力をもっと大手を振って前に進めたい」というOB・幹部のムラ社会内部のあうんの呼吸による連係プレーが展開しているようにも見える。

そんなバカなことを進めさせてはいけない。直接の話題としては、一世代前の日本外交の話だが、本質的に日本の今日と明日に関わる話題である。注視し、方向性を誤らないようにしたい。

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2009年6月20日 (土)

読売、蓮池薫氏のインタビュー記事掲載

たまには、各紙のネット版のページがどんな様子か眺めてみようと思って読売トップページを開けてみたら、蓮池さんのインタビューが出ていた。

日頃は読売の紙面を読む環境になく、今日のグーグルのニュースにもピックアップされていなかったので、全くの偶然なのだが、ギターを手にイムジン河を歌ったくだりなど心に訴えかけるインタビュー記事だ。

北が起こした拉致事件。正直言って、産経新聞やネット右翼、安倍晋三といった人々が騒ぎ、NHKの朝のニュースがキチガイのように叫んでいる時には、ついつい引いてしまう森田だが、こうして被害者の肉声を聞かされれば、党派的なことを離れて、被害者の方々のためにできることは何か、ちゃんと考えなければならないという気持ちが強くなる。

北の問題も、焦ってはうまくいかないだろう。ただ、被害者にも人生の持ち時間がある。「自民党政権は、ずっと基本的には家族の会の言う通りの線でやっているのだから、それでいいじゃないか」と言っているだけでいいかなと言う気持ちが強くなる。

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2009年6月18日 (木)

小泉純一郎氏を日本郵政の社長に

臓器移植法「A案」衆院通過。家族が「脳死判定」を拒否できることが確保されている一方で、脳死移植の年齢制限が撤廃され、また大人の移植も増えることが期待できる法改正であり、良かったと思う。

メディア報道が「子どもの移植」の話題に偏り、しかも他の案について「児童虐待でないか厳しいチェックを盛り込む」と取り上げるなど、国会外の空気はA案に厳しいような気がしていた。A案以外では「大人の脳死移植」は増えない。

これに関連する各種記事を見ていたら、沖縄選出の下地幹郎代議士(国民新党)が、ブログで「引退する小泉純一郎元総理を日本郵政の社長に起用すべし」という奇抜な提案をしていた。

これは名案だと思う。竹中平蔵氏は、大きな権力がなく、言っていたことの実現に骨を折らなければならない参議院議員の職を、金儲けに都合が悪いということもあってか辞めてしまったが、「命をかけてもいい」と言っていた小泉さんなら、まさか断らないでしょう。

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2009年6月16日 (火)

金正男氏、中国亡命も?

昼過ぎにNHK-BS1で放送していた韓国KBSのニュースの最後のところで、中国の消息筋からの情報として、プリンス金正雲(三男)の側近グループによる、プリンスの異母兄でマカオ滞在中の金正男氏(長男)の暗殺計画が中国に察知され、中国は北朝鮮に対し「支援見直し」も示唆して計画の中止を強く警告するとともに、金正男氏の身柄を保護。正男氏は将来、中国に亡命するかもしれないという。

韓国の報道は、日本のメディアに比べフライングを恐れない傾向があるので割り引いて考えなければならないかもしれないが、仮にトンデモ情報だったにしても、いろいろ考えさせられる。

今朝は朝日新聞にプリンスが少し前に父の名代として北京を訪問し、胡錦涛主席と会談していたと報じていた。どれくらいクギを差したのかが興味深いわけだが、少し間を置いて「正男暗殺計画」のリークないし創作である。

真偽のほどがわからないことをいろいろ考えてもしょうがないが、ホントなら報道の字面とは別に、中国が「おマエらの首根っこは押さえている。正男は人質に頂いておく。核のことなど、どうしても言うこと聞かなければ、こちらには政権転覆、正男政権樹立という道もある」と強烈なプレッシャーをかけているようにも見えるのだ。

一方、正男氏はヨーロッパでもフジテレビのクルーに気軽に日本語で応答する様子や、例の家族をディズニーランドに連れて行きたかったという田中真紀子外相時代の偽パスポートによる密入国事件など、不思議な軽さを漂わせる。

彼はこれから、シアヌーク殿下のような長い旅をするのだろうか。島田雅彦氏の連載小説をなんとなく思い出すが、徳仁親王といい、北東アジア儒教世界の長男はいろいろたいへんだ。

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2009年6月15日 (月)

厚労省現職局長逮捕

日曜は午後から仕事関係の記事コピー探し夜までかかる。テレビのニュース速報で自称・福祉団体が郵便割引を受けられるよう公文書を偽造した疑いで厚労省の村木厚子局長が大阪地検に逮捕されたと知る。

事情、背景全く知らぬが、家人は「政治家からうるさく言われたので、こんな大規模な不正につながると思わずに軽い気持ちでやっちゃったんじゃないの」と言う。検察もいろいろ批判を浴びているので余程のことがあるのか、それとも再びのトンチンカンなのか見極めなければ。

片付けしながらNHKの大河ドラマだの教育テレビだのつけていたが、N響アワーでネルソン・ゲルナーという人がブーラームスの第2協奏曲を弾くのを見て、尾高忠明さんの指揮とN響の演奏ともども、その落ち着いた音楽に感心する。3楽章のチェロのソロも含め、しみじみ美しい演奏でした。

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2009年6月10日 (水)

辻井伸行さん、ヴァン・クライバーン氏

全盲のピアニスト、辻井伸行さんがヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝という嬉しいニュースがあった。

親御さんが大事に育てられ、才能に恵まれたとはいえ、本人も常人では考えられない頑張りでの国際コンクール優勝だ。

コンクールに優勝するばかりが大事だというわけではないけれども、わが家の発達障害の息子も、自分たちなりに頑張って育ててきたという気持ちがあるだけに、辻井さんのご両親に心から拍手を送りたい。

ところで、ヴァン・クライバーン氏(70歳代で健在)がチャイコフスキーコンクールで優勝し、大ブームになったのは旧ソ連はフルシチョフ政権、アメリカはケネディ政権誕生前夜で、後のキューバ危機を挟んで「デタント」が模索された時期である。

わが家にあるクライバーンが弾いてフリッツライナー指揮シカゴ交響楽団がサポートしたベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番のジャケットの写真を見ると、実に若々しい美男、その演奏と同様に爽やかイメージの人だったようだ。

クライバーンのチャイコフスキーコンクール優勝はソ連共産党のデタントに向けたサインか?

そういう要素は否定できないかもしれないけれども、アメリカ国民の反応はソ連側の計算を超えたものだったかもしれない。

余談だが、森田の中学の英語の教科書は三省堂の「クラウン」で、主人公のジョンはギターも弾くけれどもピアニストを目指していて、ソ連でピアニストを目指しているスタニスラフと文通していた。このストーリーもクライバーンのエピソードが投影していたのではないか。

辻井君の優勝に政治的な背景はないだろう。でも、ひょっとしたら「カネ儲けを考えて中国ばかりに注目してきたけど、落ち着いて考えると日本人もつきあう甲斐があるかも」という空気がアメリカの一部にあって、それが反映したこともあり得るか、などと空想する。

それはともかく、こうした嬉しいニュースが、福祉に目がいき、文化や教育の大切さが改めて意識され、全ての子どもたちが大切に育てられることにつながるといいなあと思う。

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2009年5月25日 (月)

北朝鮮が2度目の核実験

昼のニュースで地下核実験の報を聞く。朝日の田岡元編集委員が言うように、北朝鮮は「有言実行」の国だけに予想していたが気分が重い。

それでも、われわれは雲南の山賊の親玉を何度も何度も許した諸葛孔明の忍耐をもって「国交正常化」というステップを踏んで北朝鮮の国際社会への安定的なメンバーとしての復帰(参加)を図り、北東アジアの平和と安定、ひいては日本の安全保障と国益の確保をめざすという方向性を見失ってはならない。

それでも北朝鮮の指導部に言わなければならないのは、日本国内で北朝鮮と関係を結んでいくことに積極的な人々の多くは、同時に北朝鮮を含む世界の国々が例えば核不拡散条約(NPT)体制の維持・強化に努めることも切望しているということだ。

計算づくで動いているつもりかもしれないが、このようなことを繰り返していては、北朝鮮の現体制が北朝鮮の人民の最低限のニーズを満たし、国際社会から責任ある国家と認められる日が遠のいていくことは間違いないと思う。

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2009年5月19日 (火)

オバマ大統領より日本共産党の書簡に返事

少し前に日本共産党がオバマ米大統領に宛てて、核廃絶をめざすと明確に述べた「プラハ演説」を評価するという書簡を送ったというベタ記事に興味を引かれた。

オバマブームに便乗というところもあるのかもしれないが、それはそれとして「米軍基地をなくす」(=日米安保条約を廃棄ないし改訂する)という主張を明確に持ったまま、アメリカとも良い関係を結ぶつもりはあるし、少なくとも「良いことをしたり言ったりすれば評価する」という是々非々の姿勢を示したものだ。

なんと、この点では日本共産党は森田敬一郎と同じラインか。いやいや、プラハ演説のような世界政治の転換点ともなり得る良いメッセージが出たときには=現にNPT再検討会議の準備会合は外務省的には「予想外」の順調な議題設定となったと報じられている=ハッキリとメッセージを出すということがなければならないので、高く評価すべきだと思う。

総選挙では、民主党が比較第1党となる蓋然性がある程度ある。今後の政治の流れによっては単独過半数ということもあるかもしれないが、参議院のこともあるので「民主」「社民」「国民新党」による鳩山首相指名というところが、予想される範囲のベストということになるだろう。

ただ、確率的には小さいかもしれないが、こんなケースがあると思う。衆院の首班指名だが、「自民プラス公明」と、「民主プラス社民、国民新党」が拮抗し、「日本共産党が棄権すれば麻生内閣継続」、「日本共産党が政権には参加しない前提で鳩山に投票すれば、民主党プラス社民、国民新党による3党連立による鳩山内閣成立」というケースだ。

レアケースだろうが、自民党は「非武装中立」の村山さんをかついで政権奪取した実績がある。対共産党工作も誰も考えつかないような作戦を繰り出してくるだろう。

民主党を中心とした勢力には、必要ないかもしれないけれども「共産党対策」を念頭に置いておくことを薦めたい(そういえば、鳩山一郎氏は「日ソ正常化をやる」ということで、たしか左派社会党の投票も得て首相になったのではなかったか)。

日本共産党には、そういう場面になればここは政権交代を期待する人々の声に応えてほしい。情けは人のためならずというが、そうして功徳を積んでおけば、いつか共産党が中心になる政権の実現が近づくだろう。

逆に「民主主要打撃論」のような挙に出るならば、全く微力ではあるけれども「森田敬一郎の発言」は共産党と戦わなければならない。

それにしても、オバマ大統領はどうして日本共産党に返事をよこしたのだろう。深い意味はないかもしれないし、情報もないので勝手な憶測をするだけだが、ひよっとしたらオバマ周辺の日本分析者の間に「日本共産党は政権に参加する心配はないし、極右の安倍晋三などよりは本質的に自分たちの考えに近い」という空気があるのだろうか。

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2009年5月13日 (水)

「ふまじめ」麻生への対抗馬には、「きまじめ」岡田がいい。

民主党代表には、政策面では横路孝弘氏がいちばんいいと思う。副議長なんかやっている場合かな?

菅さんの不出馬表明も残念だ。

保守系の候補では岡田さんがベターだと思う。鳩山さんのふにゃふにゃして何を言っているかわからないところは、女性たちに根強い支持があるらしいが、「ふまじめ」人気だとすれば麻生氏のキャラクターとかぶる。

全体状況がこのような中だから、「ふまじめ麻生」に「きまじめ岡田」をぶつけるのが良いのではないか。財界二世に期待しすぎるのは、近衛文麿に期待した祖父の世代の失敗を繰り返すことになりはしないかという心配がないではないが。

「きまじめ岡田の再挑戦」。一陣の爽やかな風が吹き込むような気がするのは、私がナイーブすぎるのだろうか。

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小沢一郎氏の「説明責任」より、麻生総理の「任命責任」

まあ、語呂合わせですが。

きっこのブログを読んで、そうだ、そうだと思う。

「説明責任」なら、「大量破壊兵器が発見できないから存在しないというのは、サダム・フセインが見つからないから存在しないというのと同じだ」と国際紛争解決の手段としての先制攻撃「支持」を強弁する小泉純一郎首相の国会答弁、年金について「最後の一人までお支払いする」と言った安倍晋三首相などの方が先だ。

とりあえず、民放テレビはこういった話題をまとめて掘り返す『ザ・説明責任!』とでもいうタイトルの60分番組をしばらくの間、週1回、ゴールデンタイムに編成して放送したらどうか。結構視聴率はとれると思うよ。

そして麻生氏の「任命責任」。右翼偏向の中山国土交通相、国益を大きく損なったアル中醜態の中川昭一財務相、ケチな不正株取引の何とか言う財務副大臣‥。

批判を一過性に終わらせてはならないと思う。

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2009年5月11日 (月)

小沢民主党代表辞任の報を聞いて

月曜の事務所、15時に視聴中のNHK・BS1の速報テロップで知る。政権交代実現のために良かったと思う。

民主党に期待すること二つ。

ひとつ。事態収拾は速やかに、鮮やかに。

ふたつ。衆院で審議中の補正予算案。霞が関と天下り団体にやさしく、場当たり的なものである問題点はかなり明らかで、民主党も予算委員会で明確に突いているにもかかわらず、テレビで視聴する国会審議をめぐる二ュース原稿のレベルなどでは「中味」が見えないまま「採決して欲しい」「もっと審議を」という、ただ引き延ばしているという印象を与える話になってしまっている。

国民が求めるのは小泉・竹中路線の「転換」だが、さりとて、麻生内閣がやっているようなかつての政官財癒着の場当たりバラマキと、天下り官僚のための予算無駄使いを復活してほしいわけでは全くないのだ。

提出されている補正予算のどこがダメか、徹底整理したメモを各議員が頭にたたき込み、有権者やプレスと接触する度に繰り返し、やがて国民各層も「だから自民党はダメなのか」とわかるように徹底的な広報を行うべきだ。

親鳥は小鳥に鳴き声を100回聞かせて鳴き方を教えるというのは俗説だろう。ゲッペルスを引き合いに出すのは適当ではないかもしれない。

しかし、時は今だ。

「補正予算」の「中味」を題材に、民主党は自民党に徹底した攻撃を繰り返し、繰り返し、その辺の小学生が歩きながら独り言で言うようになるのまで行うべきだ。反転攻勢の時である。

チャンスなのだ。世襲さえ止めたくないと言っているのだから。

(自民党はバカだなあ。麻生氏がワシントンのG20から帰国した羽田で、補正の規模だけ言って小沢氏が決断できないうちに解散を表明していれば、政権維持の可能性もあったのに‥)

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2009年5月 2日 (土)

映画「スラムドッグ$ミリオネア」(感想)

昨日は出勤だったが、映画1000円の日だったので新宿バルト9で待ち合わせ、家族で「スラムドッグ$ミリオネア」の19時10分の回を鑑賞。満席だった。

素晴らしい映画だと思う。

映画は「人生」と「世界」を描いて見せるものだと思う。この映画の主人公の兄弟も、例えば「ダークナイト」のバットマンとジョーカー同様、人間誰しも持つ二つの側面を象徴し、見るものの心を揺さぶり、単純な「勧善懲悪」を見た時とは違う深い共感を呼び起こす。

そして「ダークナイト」においては引退も考えるバットマンと、バットマンが後事を託そうと考える正義派の若手地方検事との立場の違い、「スラムドッグ$ミリオネア」においては成長していく主人公の少年少女の成長と、巨大スラムが高層ビル群に変化した大都市ムンバイの変化の描写が人生における「時間」の流れについて考えさせ、感情を揺さぶる。

しかし、心を揺さぶる点で両作品は共通するが、のっけからの巨大スラムの臭いが沸き立つような生々しい描写から、宗教に関わる激しい衝突の場面、そして建築中のビルの高層から見るムンバイの建築ラッシュのパノラマなどで、「世界」の「いま」を表現の背景に強烈に描き込んでいる点で、「スラムドッグ$ミリオネア」の方が世界規模の視野とジャーナリスティックな視点をより多く含んでいると言えるだろう。

「インドが初めてハリウッド映画で描かれた」という言い方がされるが、確かに途上国の貧困に正面からふれた作品がアカデミー賞を総なめにしたことに、時代の変化を感じる。それ以上に主人公がイスラム教徒という欧米の映画(ハリウッドも資本参加した英国人監督の英国映画)というのはたいへん珍しいことなのではないか。

(やはり、「9・11で世界は変わった」というのは間違いで、「9・11で一時的に起こった逆流もようやく収まり、世界は再び望ましい方向への変化を静かに進めつつある」というのが出しい時代の読み方だ。「小泉政権」「安部政権」などによって、逆流に適合していた自民党政権に変わり、この映画で描かれたような「世界の問題」に真剣に取り組むような、フレッシュな日本の政権が誕生することが望まれる。)

そして主人公の子ども時代に、彼らの集落がヒンズー教徒過激派らしき集団に襲撃される場面が出てくるなど、「宗教」をかなりはっきり描いている部分があるが、今のところこの映画が「イスラム教組織」「イスラム教国」などから何らかの批判や攻撃にさらされているという話は聞かない。

恐らく、脚本・演出などを通じてイスラム教について高度な理解が示されていることが、そのような結果につながっているのではないかと推測する。

しかし、映画の本筋は「一人の女性への一途な思い」を抱き続ける青年が、自身のダークサイドを象徴するとも言える兄との「戦い」の中で成長し、その過激な人生経験がクイズ番組での正答に結びついて‥という展開。わが息子も「いろいろな体験が、クイズの解答に役立っていた」と、学校への往復とパソコンだけと向き合う人生についてちょっと反省。

ワルの兄とが時々決定的な場面で例外的に見せる弟への思いが、映画全体のメッセージを圧倒的に前向きなものにしていると言えるだろう。

世界と、人生と、「時の流れ」についての見事な表現を見せてくれる作品。その面で期待していたわけではないので、かえって得した気分になるエンディングのインド映画風の楽しくエネルギッシュな群舞シーンも良かった。

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2009年4月30日 (木)

「小泉・竹中構造改革」ばかりでなく、「中曽根臨調路線」との明確な決別、チェンジが必要である。

はじめに
1.世界経済に起こっていること
2.日本経済の状況
3.経済対策の評価
4.今後の見通しと論点
しめくくり

はじめに

今後時々、経済についての見方を披瀝したい。まず、総論として現在の経済状況をもたらしている原因と打開の方向性について巨視的に捉えることを試みたい。

1.世界経済に起こっていること
                                                                  
「100年に一度」と言われる危機の核心は、アメリカの住宅バブルが崩壊する中で低所得者を対象とした「サブプライムローン」にもともと問題債権が多いことが露見し、さらにそれがデリバティブなど「一部危険な債権が分割され組み合わされることで、危険性が見えにくい高利回りの金融商品」として世界中の金融機関に保有されていたため、2008年9月の「リーマンショック」がさらなる引き金となって欧米を中心とした世界に起こった金融パニックである。

さらに金融機関の経営悪化は信用収縮を引き起こし、実体経済に深刻な影響を及ぼしている。端的に言えば、アメリカの消費者がこれまで何の問題もなく組んでいたローンが金融機関によって提供されなくなってしまったために、例えば自動車の販売が落ち込み、ディーラーをはじめ電機など関連する内外の産業全ての経営が悪化するといった具合である。そうして実体経済が落ち込めば、金融機関の業績はさらに悪化して貸し渋りが起こり‥と事態は悪循環に陥っている。

国際通貨基金(IMF)は4月22日、世界全体の2009年国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを、1月の前回予測時の0・5%から1・8ポイント引き下げ、マイナス1・3%と大幅に下方修正している。世界のマイナス成長予測は、第二次世界大戦後では初めてのことだ【記事1】。

2.日本経済の状況

当初、わが国の金融機関はサブプライムローン関連の金融商品をあまり買っていないので「経済の落ち込みは欧米より小さい」と予測され、リーマンブラザースが破綻した際に財政経済担当相が「ハチに刺された程度」と形容していたが、先に掲げたIMFの最近の世界経済見通しでは1月の予測時より3・6ポイント引き下げてマイナス6・2%と予測され、見通しを示した対象国の中では引き下げ幅が最も大きかった【同】。

日本政府も最近、昨年12月に発表した2009年度をゼロ%成長としていた経済見通しを大幅に下方修正して、マイナス3パーセント超とする発表を行っている【記事2】。

日本経済の落ち込みが諸外国よりも大きいのは、輸出依存度高いためである。アメリカ向け輸出が経済の大きな柱であることは中国も同様であるが、中国には巨大な内需があり、それもまだまだ成長余地が大きい。わが国の経済がより成熟したものである=多くの人がモノをすでに持っている=ことは内需が伸びない背景の一つとなっている。

しかし、内需の低迷にはこれまでの政策の累積が原因になっているという側面も看過できない。まず、1980年代の中曽根内閣当時からのわが国の経済政策は、繰り返された「内需拡大」のキャッチフレーズと裏腹に、一部のグローバルな輸出企業の「競争力強化」に偏ってきた。中曽根内閣の「臨調路線」は福祉国家の建設よりも財政均衡のかけ声を優先したもので、高い為替レートの設定により、貿易摩擦を回避して一部の超優良の輸出企業のための良好な貿易環境の確保に努めたことは事実だが、そのことが結果として全国の地場産業や多様な中小企業の存在をより難かしい立場に追いやったことも否めない。

1990年代の土地・金融バブルの崩壊も「天から降ってきた災難」のように言われるが、実際には通貨供給政策の失敗(=第二次石油ショック後の不況、プラザ合意後の円高不況に対し、「臨調路線」の呪縛で財政出動をせず、過度の金融緩和にしわ寄せした)と、資産保有における土地の有利性、都心部再開発の推進など不動産バブルには「政権が政策の結果として作り出したもの」という側面があり、さらにバブル崩壊後の不況長期化の原因の一つは先に述べたように、バブル崩壊以前の「臨調路線」が「内需拡大」のかけ声とは裏腹に、外需依存体質を改める効果的な手だてを怠ったことにある。

回復軌道に乗りかけると拙速な緊縮政策で腰折れをもたらし、税収も減らすなどジグザグコースをたどった日本経済も、90年代の宮沢政権、小渕政権などの大規模な財政出動によりようやく安定軌道に戻りつつあったが、2000年代初頭の小泉内閣における「小泉・竹中構造改革路線」は再度日本経済を「一部優良企業による輸出への過度な依存」「金融バブル指向」「福祉軽視」の誤った方向にリードした。一時的には世界経済のバブル的な好況に乗り、また労働規制の緩和=実質的な賃下げ=によって見かけ上の企業業績は絶好調という一時期があったが、いま現実となっていることは「世界で一番の経済落ち込み」「金融立国の幻想崩壊」「将来不安による内需萎縮」だ。

小泉・竹中路線は「格差拡大」「非正規雇用の増大」といった点から批判されることが多い。それもその通りだが、そもそも英サッチャー政権による「金融ビックバン」や、米経済のITバブルや住宅バブル、さらには複雑な金融商品の生み出す金融バブルに幻惑されて「金融立国」などという誤ったキャッチフレーズが踊り、また「規制緩和」の大合唱の下、中曽根臨調路線時代からの「大規模な優良輸出産業の競争力強化に過度に偏った政策」を継承することで、地方の疲弊、中小企業の衰退をもたらしたことをも批判されるべきである。小泉・竹中政権が現実にもたらしたものは「経済の落ち込み=税収減および経済対策の必要」による「財政赤字の大幅な拡大と日本経済の脆弱化」なのだ。

3.経済対策の評価

麻生内閣の2009年度予算の補正予算における15兆円とも言われる財政出動についての評価はさまざまだが、何もしなければマイナス6パーセントとも言われる今年度の経済成長をマイナス4パーセントにまで、2パーセント程度引き上げる効果があると期待できる。数字としては2パーセントに過ぎないが、いわば金魚鉢の水位が下がって多くの金魚が息もできないような状況になっているところに、水を注いでやるという作業であり、一面では理にかなった政策である【記事3および4】。

ただし、仮に10兆円の国債増発となれば、その分、国民の借金が増えることになることは念頭に置いておかなければならない。「国民全体としては、国に対して10兆円の債権を新たに持つことにもなるのでトントンだ」という見方もできるが、それでも「10兆円分の国債の利子は、国民全体が負担して支払い、受け取るのは直接間接に国債を保有する高額所得層」という所得の逆方向への再配分という問題が拡大する。

さらに15兆円の使い道についても指摘されるとおり、賢明なものであるかどうか吟味することが本来必要だ。「乗数効果(=カネを注ぎ込めば何倍にもなって帰ってくる)」の大きい、成熟度の低い経済であればケインズが指摘したとおり「労働者を雇って穴を掘らせ、さらにそれを埋め戻させることに給料を払うことだっていい」ということなのだが、借金を上回る効果が期待しにくいとなれば、将来の経済成長にプラスになるような使い方を工夫しなければならない。

わが国の内需拡大のためには、社会保障・福祉を充実し国民の将来不安をやわらげることが必要であり、効果も大きいと思われる。環境問題への世界大の関心の高まりに応えること、将来の競争力強化のために教育予算を欧米並みに引き上げる努力が必要だ。今日の状況をもたらした「元凶」とも言えるアメリカでは、オバマ政権の誕生後、このような指向性を持った「チェンジ」が推進されつつある。こういった点から今回の補正予算案を見渡せば、「ハイブリッド車購入への支援」などは同分野のわが国の競争力強化にもつながる政策として期待できる。しかし例えば「介護」従事者の報酬アップは単年度の措置に限られており、教育への予算シフトはないなど、充分な未来志向、充分なチェンジが含まれていると評価することはできない。

さらに政策推進のための「新たな基金を設ける」という手法が目立つ。これは「直ちに支出するわけではない」という点で景気対策の規模を大きく見せる水増しであり、「官僚の裁量に任せる」「天下り団体の活躍の場を広げる」という要素が大きい点で、政官財癒着構造への逆行だ。

4.今後の見通しと論点

まず世界の金融がいつ立ち直るかどうかといった点については「かなり時間がかかる」と予測せざるを得ない。焦点のアメリカ銀行政策は「一時国有化、不良債権の切り離しによる再生」という手段をとらず、結局のところ「官民で基金を作り、不良債権を買い取る」という方式を採用することになった。

これは、当初「日本の失われた10年は繰り返さない」と言っていたオバマ政権が、実際にはかつての日本と同様、ドラスティックな政策はとらず、いわば兵力の漸次投入のようなよく言えば穏健な、悪く言えば中途半端な対策を採用したことになり、時間を空費する恐れが大きくなったと言える。「来年度からの回復」「それを織り込んで、この夏から株価回復」という声も聞かれるが、無理なのではなかろうか。

日本経済も「財政出動」は必要だが、それが問題の解決になるということではない。むしろ「中曽根内閣の臨調路線」、「小泉内閣の構造改革路線」から明確に決別し、「多少税負担が増えても安心できる福祉を構築することを通じて内需拡大を図り、また日本の未来を切り開ける公立学校教育の再建をする」といった方向への「明確なチェンジ」が行われるかどうかが、日本経済が力強く再生できるかどうかの決定的な分かれ目だ。

もしそのようなチェンジが行われるとすれば、どのような分野でどのような変化が、どのようなスピードで起こるかをいかに見極めていくことが投資家や事業家にとっての勝負所となる。一方で、そのような明確なチェンジがなければ、今と同様な状況がだらだらと続き、わが国の経済回復は主要国の中で一番遅れると判断して良いだろう。

しめくくり

次の機会には、今回のレポートのような問題意識を根底に置きつつ、世界の森羅万象に目配りしながら、日本経済・首都圏経済の動向と見通しについての意見を述べていきたい。

                                                                   
【 記事1】                                                                  
                                                                   
IMF:世界経済見通し 戦後初、マイナス1.3%成長 日本も6.2%--09年

 【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は22日、最新の世界経済見通しを発表した。昨年秋の金融危機以降、世界規模で急激な景気悪化が続いていることを受けて、世界全体の09年国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを、1月の前回予測時の0・5%から1・8ポイント引き下げ、マイナス1・3%と大幅に下方修正した。
 世界のマイナス成長予測は、第二次世界大戦後では初めて。日本については3・6ポイント引き下げてマイナス6・2%と予測し、見通しを示した対象国の中では引き下げ幅が最も大きかった。
 日本以外にドイツもマイナス5・6%とマイナスの幅が大きく、不況による世界的な生産・貿易の急縮小の影響が、輸出依存型の経済大国を直撃した形となった。
 米国はマイナス2・8%、ユーロ圏もマイナス4・2%とそれぞれ大幅なマイナス成長を予想。先進国全体では前回のマイナス2・0%から1・8ポイント引き下げられマイナス3・8%と予測された。
 一方、高成長で世界経済をけん引すると期待されていた新興国も、ロシアが5・3ポイントの大幅引き下げでマイナス6・0%と日本並みに落ち込むとされ、中国が6・5%、インドも4・5%とそれぞれ成長率が鈍化する見通しとなった。
 IMFは、10年については世界全体で1・9%、日本は0・5%とプラス成長への回復を予測しているが「見通しは前例がないほど不透明であり、大幅な下振れリスクが存在する」との危機感も表明。さらに「金融市場の安定化には想定よりはるかに長い時間がかかる」と明記し、金融機関への公的資金の投入や大規模な財政出動を伴う景気対策の実施を加盟各国に促した。

毎日新聞 2009年4月23日 東京朝刊

                                                                   
【 記事2】                                                                   
                                                                   
GDP、2年連続で3%超減に 内閣府見通し下方修正 朝日新聞2009年4月27日

 内閣府は27日、08年度と09年度の国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを公表した。08年度は前年度比3.1%減、09年度は3.3%減と、昨年12月にまとめた政府経済見通しを大幅に下方修正。世界的な景気悪化を受け、2年連続で戦後最悪のマイナス成長となる。
 見通しは与謝野経済財政相が同日午前の臨時閣議で報告した。昨年12月の政府経済見通しでは、08年度の実質成長率を前年度比0.8%減、09年度をゼロ%としていた。

 08年度については、09年1~3月期の実質成長率が年率換算で14%程度のマイナスになるとして、マイナス幅を拡大。09年度も、過去最大規模となる15兆円の経済対策が成長率を1.9%程度押し上げるが、それでも過去最悪だった98年度の1.5%減を超える落ち込みとなる。
 景気を引っ張った自動車などの輸出産業は08年秋から急速に業績が悪化し、経済全体に波及。09年度は輸出が前年度比27.6%減、民間設備投資は14.1%減と、比較できる55年度以降で最悪のマイナスだ。
 09年度のその他の指標は、完全失業率が5.2%と過去最悪だった02年度の5.4%に迫り、雇用者数も前年度比0.9%減と悪化する見通し。消費者物価指数はマイナス1.3%と05年度以来のマイナスで、物価下落が景気悪化を加速させる「デフレ」が懸念されている。

                                                                   
【 記事3】                                                                  
                                                                   
政府、09年度補正予算案を閣議決定 一般会計13兆9256億円  日本経済新聞

 政府は27日午前の臨時閣議で追加経済対策の裏付けとなる一般会計の歳出規模で13兆9256億円に上る2009年度補正予算案を決定した。ただちに国会提出し、午後の衆参両院の本会議で与謝野馨財務・金融・経済財政相が財政演説を行い、審議入りする。麻生太郎首相は補正予算案への野党の対応によっては衆院解散・総選挙に踏み切る構えをみせており、補正審議は政局含みだ。
 補正予算案の歳出規模は過去最大。当初予算と合わせた09年度の一般会計総額は102兆4736億円に達し、2度にわたる大型景気対策を実施した1998年度の89兆円を大きく上回る。4月中に補正予算案を国会提出するのは初めて。
 補正予算案の歳出として追加対策の関連経費14兆6987億円を計上。財源の一部に当初予算で設けた1兆円の経済緊急対応予備費のうち8500億円を取り崩したことから歳出規模は差し引き13兆円台となった。(09:13)
                                                      
【記事4】                                                                   
                                                                   
追加経済対策に一定の評価、需要喚起は今のところ限定 朝日新聞2009年4月24日

 政府が「不況脱出の4段ロケット」と呼ぶ過去最大の追加経済対策が決まった。住宅購入者にとっては、09年度予算と関連法の成立ですでに実行段階に入っている過去最大規模の住宅ローン減税とならんで贈与税の非課税枠拡大や住宅金融支援機構の長期固定型住宅ローン「フラット35」の10割融資などが追い風になる。
 住宅・不動産業界からは「若年層の住宅取得をバックアップすることになる」(岩沙弘道・不動産協会理事長)などと、政府による追加経済対策の早期実現に期待を寄せているが、足元の住宅マーケットは分譲住宅の供給抑制傾向や戸建て住宅の受注不振などが継続し、政策効果がまだはっきりと表れていないのが現状だ。
 予算と関連法の成立で、10年間で最大500万円(一般住宅)の税額を所得税・住民税から控除できる住宅ローン減税について、ある大手不動産の幹部は「販売現場で具体的にセールストークができるようになったことは大きい」と一連の景気対策を評価する。また、今回の追加経済対策で盛り込まれた贈与税の減税(住宅の購入や増改築が条件で、非課税枠を現在の年110万円から610万円に拡大)にも一定の評価を与えているが、「いかんせん親世帯のマインドは厳しく財布のひもは固い」と見ている。
 足元の住宅マーケットだが、首都圏の分譲マンションは3月の契約率が7カ月ぶりに70%台に回復し、販売在庫も昨年末の1万2427戸から8846戸に減少してきた。価格の下落などが奏功したためだが、その一方で新規供給の抑制傾向は今年に入ってからも収まらず、3カ月連続で前年同月比2ケタの減少が続いている。
 一方、戸建て住宅の受注も低迷が続く。大手住宅メーカーの受注状況をみると、昨年の“リーマンショック以降”、10月から2ケタの減少が続いており、例年だと受注が大きく伸びる年度末の3月期も同じように2ケタ減という状況になっている。
 家計への影響が大きい住宅ローン減税だが、分譲マンションの新規供給や住宅受注の現状を見ると、本格的な回復にはほど遠く、一連の政策効果もまだ限定的といえそうだ。
 元々大きな借金を抱えることになる住宅の購入や建設にとっては、将来不安に対するウエートが相当重く出る傾向がある。企業の業績悪化からボーナスだけでなく、ベースアップも期待できない景気の現状では、先行きに対する確信が持てないということだろうか。 いずれにしても、大型連休に向けてディベロッパー各社や住宅メーカーは販売攻勢をかけることにしている。野村不動産は首都圏で約500戸のマンション販売を予定しているほか、三井不動産など他の大手各社も軒並み新規物件を投入する。
 一方、住宅メーカー各社も太陽光発電システムを搭載した住宅など、政府や自治体の補助金などを追い風に“環境系”を切り口にキャンペーン活動を本格化させる。また、長期優良住宅普及促進法が6月4日に施行されることから、こうした施策もテコに受注活動を強化し、集約につなげる。
 今回の追加経済対策については、住宅・不動産業界だけでなく、電機・自動車といった産業界の反応もいい。住宅需要は景況感にリンクするといわれているだけに、今のところ政策効果は限定的だが、プラス材料であることは間違いない。

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2009年4月29日 (水)

平田オリザ氏の寄稿「政治家を演じる」(朝日新聞4月29日付)に共感

平田オリザ氏の寄稿「政治家を演じる」(朝日新聞2009年4月29日付19面オピニオン欄)を、たいへん共感しながら読む。

今日はちょっと忙しいので後日にするが、「世襲制」について森田が思うところを、こんな感じで書いてみたいものだと思う。

それにしても、こういう、ゆったりした感じで、本当に話すべきことを話すものを読むのは気分がいいものだ。

日頃紙の新聞を買わなくなった人にも読む価値があるので、コンビニで買うとか、明日勤めに出る人は切り抜くなりコピーするなりをお勧めする。

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2009年4月22日 (水)

国益に反する安倍晋三氏の危険な「先制攻撃」論

公務員は当然、憲法を遵守する義務がある。日本国憲法の前文と第9条を読んで、そこに軍事力による先制攻撃を容認する内容があると思う人はいないはずだ。つまり、安倍氏の言っていることは「憲法違反」なのだ。

法律以前の話としても、こんどのような発射台がわかっていて、何日もかけてのんびり液体燃料を詰めるようなタイプの「ミサイル」なら、米海軍配備のトマホーク(ロケット式の弾道ミサイルではなく、飛行機と同様な飛び方をする精密誘導の「巡航ミサイル」)1発あればいいが、すでに大量に配備されている移動式でどこにあるかわからず、発射にそれほど時間がかからないタイプの中距離ミサイルを全部叩くことは物理的にほぼ不可能で、仮に技術的に可能だとしてもそのようなシステムを実際に配備・稼働させるにカネがいくらあっても足りないではないか。

安倍氏や仲間の「従軍慰安婦はなかった」論の、例えばワシントンポスト全面広告が米下院の日本非難決議可決を誘発したように、このような議論はアメリカ政府にも「日本はやっぱりズレている。現実が見えていない」という受け止め方をされ、日本の政治的な信頼度を損なっている。国益に反する言動なのだ。

そもそも、日米安保条約は「日本の米軍への基地提供」と、「アメリカの日本防衛」を交換条件とする条約で、そこに「同盟」なんてことばは一言も書いていない。日米の緊密な協力はとてもいいことだが、自民党政権や外務省が「同盟」などと言いつのるものだから、アメリカの普通の人々はアメリカ軍が攻撃されれは、日本は「同盟国」なのだから敵に反撃する義務があると信じてしまっている。これも国益を大きく損なってきた言動だ。

北朝鮮ミサイル発射で敵地攻撃力の検討必要 安倍氏  NIKKEI NETより

 自民党の安倍晋三元首相は21日、党本部で開かれた中堅・若手議員がつくる「北朝鮮に対する抑止力強化を考える会」で講演し、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、敵基地攻撃能力の保持に向けた議論を進めていくべきだとの考えを示した。

 山本一太参院議員ら出席者によると、安倍氏は「日米同盟を機能させるためにも集団的自衛権や敵基地攻撃について議論の整理をしっかりしていくことが大事だ」と指摘。「(将来的に)今後の脅威に備える議論が必要だ」と語った。(23:01)

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2009年4月21日 (火)

国益に反する麻生総理の供物奉納=野党、メディアは「東条英機ら合祀」の靖国神社への供物奉納を厳しく問い糾すべき

靖国神社は、神社の意思として東条英機らいわゆる「A級戦犯」を合祀し、境内に「遊就館」という侵略と軍国主義を美化する博物館を整備している。

そのため天皇は参拝せず、中国や韓国に配慮して主要閣僚をはじめほとんどの現職閣僚は参拝を見合わせている。

細かい論点を措くとして「東条英機らの合祀を続けるなら、首相らの参拝はない」。「靖国神社側がその点を改めれば、参拝の道は開かれる」という事実上のコンセンサスが変な右翼を除けば出来ているといって良いだろう。

その「東条英機らの合祀を続ける靖国神社」に内閣総理大臣として供物を奉納するような総理大臣、そうした人を総裁に頂いて何の批判も起こらない自民党に、日本外交の「地元」である北東アジア近隣諸国との良い関係が築いていけるか大いに疑問だ。国益に反する行為だ。

首相が靖国に供物奉納

2009年4月21日(火)13時20分配信 共同通信

 麻生太郎首相が21日から始まった靖国神社の春季例大祭に合わせて「内閣総理大臣」名で「真榊」と呼ばれる供物を奉納していたことが同日、分かった。現職首相の靖国への供物奉納は、07年4月当時の安倍晋三首相が行って以来。首相は29、30日に中国訪問し首脳会談を予定しており、訪中直前に発覚したことで中国側が反発することも予想される。韓国も懸念を表明する可能性がある。

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2009年4月16日 (木)

一部スペイン語になった「ウェストサイド・ストーリー」

2週間ほど前だろうか、NHKの朝ニュースで、こんどのNYブロードウェーでのミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」はセリフや歌詞の一部がスペイン語に変更され、ヒロインはアルゼンチンでスカウトされた女優が務めると現地レポートで紹介していた。

「ロメオとジュリエット」の本歌取りで、マンハッタンのさびれた西の外れを舞台に、イタリア系のジェット団とプエルトリコ系のシャーク団という、ニューヨークの最下層を象徴する二つの10代のチンピラグループの縄張り争いと、愛し合う二人の犠牲を描いたミュージカルは半世紀前に大ヒットし、チャキリスが大人気となり、ナタリー・ウッドがヒロイン(歌唱は「口パク」。北京オリンピックで騒いだ人たちはハリウッドの伝統を知らない)を演じた映画はわが国でも大ヒットした。

ピンとくる人が多いだろうが、カリブ海の米領プエル・トリコの人々はスペイン語がネイティブの今でいえばヒスパニックで、彼らがたむろしたり、歌う場面が全部英語という方がリアリティーに欠けていたと言える。

今の興行主や演出家による勝手な変更か?-作曲のレナード・バーンスタインも、振り付けのエイモリー・ロビンスもすでに亡く‥、と思って見ていたら、オリジナルの脚本家が存命で、彼自身が当時からスペイン語の採用を希望していて、今回それが実現したのだという。

いっとき「戦争と愛国主義」にすっかり傾斜してしまっていたアメリカが、多文化に寛容な方向に少し振り子が戻っていることを感じさせる興味深いレポートだった。

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2009年4月14日 (火)

安倍晋三元首相「核軍縮特使」のブラックユーモア

安倍晋三元首相が、オバマ大統領の「核のない世界をめざす」というプラハ演説への支持と協力を表明する麻生首相による親書を携えて訪米し、バイデン副大統領と会談するという。「チョロチョロするな」と思うのは森田だけではないだろう。

提灯持ちは谷地元外務次官だという。無責任な辞め方をして国益を損なった核武装論者で、アメリカの対北朝鮮対話政策を批判して「孤立を恐れず」と騒いでいる元総理が、小泉内閣時にブッシュ・チェイニー路線に完全に追随し、憲法を逸脱した戦争支持、自衛隊の戦地派遣をリードした当時の内閣官房副長官補(のち外務次官)の案内で、二人してオバマ政権に取り入ろうというわけだ。

恐らく、大統領補佐官などにアポを入れておいて、先方の配慮によるオバマ大統領との「思いがけない会談」の実現などを請い願っていることだろう。

「風見鶏」ということばもあるが、われわれにとってオバマ政権成立の意義の一面は、本来、小泉・安倍・谷地といった人々による、ブッシュ・チェイニー路線追随による憲法破壊に歯止めがかかる「チェンジ」の実現ということなのだが。

どうせ二人のことだから、表向きの理由は別にして「民主党では日米関係がダメだ。われわれは、少なくとも憲法の集団的自衛権の解釈を変え、オバマ政権の世界戦略に全面的に協力する」といった話をしにいくのだろう。

相手が変わっても、営業に困らないようにということか。調子の良いことだ。

いつも言うことだが、民主党リベラル派や社民党は、こんなやつらばかりチョロチョロさせておかないで、オバマ政権でも軍産複合体の手先という要素の少ない人々ともっと積極的に会い、意見交換を重ねて欲しい。

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2009年4月13日 (月)

NHKスペシャル「象徴天皇」感想

日曜午後、BS2のアンコール再放送で両陛下の50年を回顧するNHKスペシャルを見る。

皇太子時代に広島の原爆式典に出席して「誓いのことば」を述べられた映像や、沖縄初訪問の際に火炎瓶を投げられた前後の「何があっても受け入れる」ということば、直ちに現場に戻り、説明にあたっていたひめゆり同窓生に気遣うことばをかける様子、さらには2005年の終戦60周年に自らの強いイニシアチブでサイパン訪問を決めたいきさつなど、今上天皇の平和への思いが心からのものであることが実感された。政治的な発言はされないわけだが、日本でいちばんの護憲派でいらっしゃる。

4つの決して忘れてはならない日として、沖縄、東京大空襲、広島、長崎の慰霊の日を挙げておられるということについては、昭和天皇の終戦の決断があと半年早ければ避けることが出来た巨大な犠牲であるという面から、陛下としては当然のこととと思いつつ、毎年その式典の時には御所で微動だにせず黙祷されていると側聞するとやはり心打たれる。

天皇として、国民に対して決して忘れてはならない日はその4つかもしれないが、日本人総体として忘れてはならない日を4つ挙げるとすれば、満州事変を始めた日、日中戦争を始めた日、真珠湾攻撃の日、そして日韓併合の累次のステップを(反対側から)象徴する日として例えば「三一」ということではないかとも思う。

今年、天皇が真珠湾を訪問するかもしれないという報道があったが、森田はたいへん良いことであると考えている。バルト三国さえ訪問されたのだから、韓国初訪問も遠くない将来に実現できれば素晴らしいと思うが、こればかりは友人の元ソウル特派員の「天皇が一つくらい訪問できない国がある方が(国民の反省のため)良いのだ」という声も耳に残る。まあ、反動右翼が多い自民党を政権から引きずり下ろせば、障害は一つ取り除けるが。

皇后陛下のお人柄については、今更であるが、前例を改め夫妻で子育てに当たったことに関わっていまの皇太子が生まれて何ヶ月かで行われた記者会見の映像で、記者が「なるちゃんなどとお呼びかけになるのですか」というのに皇太子(当時)が「ええまあ。まだあんまりわかりませんけどね」と言われのに、絶妙の間合いで「わかりますよ」と美智子妃が突っ込みを入れられた様子など、ただ言いなりでない、夫をカバーするよき助言者の面目躍如の場面だった。そして全編通じて感じるのは美智子皇后の「まず陛下」「まず国民」の自己犠牲の精神だ。

われわれは、この代においては本当によい天皇、皇后に恵まれたと思う。

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2009年4月12日 (日)

大学の履修・時間割づくりに悩む息子

大学新入生は履修科目を選ぶ時期。M大情報コミュニケーション学部に入った要領のいい娘は、そんなことよりヒップホップなどのダンスサークルの新歓行事などで忙しい。勧誘の飲み会が新入生無料かどうかなどが主要関心事。

浪人しなかったので姉と同じ年に大学生になった、早稲田ではないW大芸術学科の息子は、心配性もあって履修について悩んでいる。

最大の悩みは、高校生の時にオープンキャンパスで知り合い、この人がいる大学ならと選んだ言ってみればサブカルチャーが専門のU教授の授業が、自分には合っていないのではないかということ。

要は「ただマンガ、アニメが好きだという人にはこの講義は向いていません。その背景にあるものを分析していくことに関心がある人でないと‥」という教授の発言。題材となる連載マンガなども、自分の好みとは違う傾向だというわけだ。

風呂で二つのことを話した。まず、父親である僕自身、大学1年の時にとれる読書会のようなゼミでK教授が早々に「僕は憲法第9条は改正すべきだと思う。戦争放棄はいいが、軍備は持たずと言いながら自衛隊を持つというのはロジカルでない。かくかくしかじかの実力組織を持つ。ただしこういう縛りをかけるという内容にすべきだ」と話されるのを聞いてショックを受けたという話をした。

岡義武とか、広く言えば丸山真男とか言う人々の系譜に属するといっていい教授であり、一方僕自身は息子も知っているとおり、9条は改正すべきでないという意見なのだ。

しかし、息子に言って聞かせたのは、その発言を聞いて受講を止めてしまわなくて良かったということだ。実に多くのことを学び、自らかいかぶって言えば随分可愛がっていただいた。

さらに思い出したのは、その大学の政治学科で「優」をとることがほとんど(片方は「可」さえ)困難と言われた、国際問題研究所の右派と言っていい某ソ連研究者が担当する「ソビエト・ロシアの政治・特講」と、社会主義協会の労働法の教授が持っていた「教育法・特講」という、左右両極の科目にチャレンジして両方「優」をとった思い出だ。

大学は、答えを聞いて覚えるところではない。教授の議論は議論として寄り添ってよく理解しようとし、関連の本を読んだり、君の場合は映画やアニメを見たり、ストライクゾーンを広げていく。テストには点をとれることを書いておき、そのことで自信をつけるとともに、自分の考えは考えとして、しっかり持っておく。

それでいいのだ!

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2009年4月 9日 (木)

安倍晋三元首相発言ノート(09年4月6日、NHK「クローズアップ現代」)

安倍晋三氏と言えば、つい最近、政権を無責任に投げ出して国益に甚大な損失をもたらし、そのことについて少なくとも森田は国民の一人として、ちゃんとした説明ないし釈明を聞いていない。

そんな安倍氏の発言をNHK「クローズアップ現代」が放映していた。安倍シンパの仕業か、いつか脅された時のトラウマからか、北朝鮮がらみともなると目一杯こうした議論に寄り添ってしまうNHK。

安倍晋三元首相(自民党らち特命委・委員長) 国家意思としての制裁という意義、そして、さらには相手をですね、ある意味においてはプレッシャーを与えて追い詰めて、そして正しい方向に導いていく。外交においてですね、孤立するということは良くないんですよ。しかし、常に孤立を恐れていては(笑い)、だめですね。ここ一番、これは主張しなければ何もなし得ることはできない(放送音声より)。

‥‥。

北朝鮮がらちを認めた結果、日本国内の反北朝鮮感情が高まったこと、安倍氏が高い人気を誇った小泉政権の枢要ポストにとりたてられていたこともあり、対北朝鮮政策はずっと安倍氏の主張する線に則ってきた。その結果はゼロである。

番組全体としては「まずは核を放棄させることに集中すべき」「米朝が動く時期を見計らって、『正常化』をテコに核、ミサイルの問題を動かすという発想を持つべき」というゲストの小此木政夫教授のコメントもあったが、国谷さんはあわてて「らち」を付け加え、「戦略的に考えるしかないのか」と不満顔。森田に言わせれば、世論と政府・与党に阿りすぎだ。

自民党役員会のメンバー坂本某による「核武装」「国連脱退」発言、週末の田原総一郎の番組への中川昭一の無反省な出演など、面白くないことが多すぎる。

この空気、「チェンジ!」。

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2009年4月 8日 (水)

マケイン米上院議員来日へ-米議会の「全面核実験禁止条約(CTBT)批准承認」のカギを握る政治家の来日

先の米大統領選で、オバマ大統領のライバル候補だった共和党のマケイン上院議員がベトナムを訪問した後日本に立ち寄る。

このマケイン議員、実は元ライバルのオバマ大統領が掲げる「核兵器のない世界」へのプログラムの最初の段階の一つである「全面核実験禁止条約」が批准承認権を持つ上院に認められるかどうかのカギを握る一人だ。

米民主党は、かろうじて上院100議席の過半数を制しているが、予算や法案の採決で野党・共和党のフィルバスター(議事妨害)を封じることが出来る60には数議席届かない。

そこで、3人程度の穏健派の共和党議員と取り引きし、それらの議員の意向を大幅に取り入れることでオバマ大統領の考えに近い法案・予算の成立を図ってきた。

地下核実験も禁止するCTBTは、各国に先駆けてクリントン大統領(当時)が署名した条約だが、共和党支配の上院で批准承認が得られず、新型核兵器の開発さえ企図していたブッシュ政権は、発足早々に批准承認を求めることもやめてしまっていた。

こうした態度は「核兵器保有は核軍縮を約束し、核武装を放棄した国には平和利用を後押しする」という核不拡散条約(NPT)体制の正統性を損なってきた。つまり、簡単に言えば間接的にイランや北朝鮮の核開発に口実を与える結果を招いてきた。

オバマ大統領の「核のない世界を目指す」とするプラハ演説を現実化するためには、まず米上院でこの条約の批准承認を得ることが具体的な目標となるのだ。

民主党プラス共和党穏健派で60票確保していると考えても、「3分の2」には、単純に計算しても7議席程度が必要ということになる。これは最近の上院の民主・共和両党の激突の状況を見ると、たいへん困難な目標といっても過言ではない。

軍事問題に精通したマケイン上院議員は、現在はCTBT反対派だが、この多数派引き抜き工作の優先目標「4議員」の一人だそうだ。

わが国の軍縮推進派はマケイン議員来日の好機を逃すべきではない。会談などの機会を通じ、元ライバルの提唱だけに持ち出し方に工夫はいるだろうが、アメリカ政府の「核のない世界」という目標への熱い支持を伝え、マケイン議員の投票態度変更による米上院のCTBT批准承認への期待を強く働きかけるべきだ。

民主党の小沢代表との会談も計画されていると聞く。民主党のスタッフと軍縮派議員は、この問題で代表に行き届いたブリーフィングを行うべきだ。

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「オレは政権が獲れる‥‥たぶん獲れると思う‥‥獲れるんじゃないかな。まチョッと(うまくいかない)覚悟はしておけ‥」=「小沢氏一転強気に」の見出しを見てこんなフレーズが浮かぶ=

‥‥‥。

「小沢氏一転強気に」という見出しを見て、30年ほども前の歌ということになるだろうか、さだまさしのヒット曲『関白宣言』の一節が替え歌として思い浮かんだ。

政権交代逸機の原因とならないことを祈るばかりだ。ただ、「獲れなかったけれども、それはオレは正しいのに、理解しなかった有権者が悪い」という言い訳をすることだけは、認めるわけにはいかない。

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2009年4月 7日 (火)

「北の発射で軍事費アップの声にちょっと疑問」-とくダネ!小倉氏の健全な反応

ちょっと忙しかったので、いま先週末からのテレビ番組の録画を何本かザッピングしたが、昨日月曜日のフジテレビ『とくダネ!』オープニングトークで、発射後に「軍事費増やすべきという意見が7割」といった数字が出ていたらしいことを紹介していたことに驚く。

小倉氏は「無事にやりすごしたのに、なんでこうなっちゃうのかなとちょっと疑問に感じましたけど」と、まともなコメント。

ピーコさんの言うとおり、軍拡派のプロパガンダが成功したということだが、いつも言うとおり、メディアの人々の無責任さも結局は100年あまり前から進歩がないということだ。もう少し、恥ずかしいという気持ちを持ってもらいたい。

小倉さんにはたびたび文句をつけているけれども、実は年の功で、これからも「ちょっと疑問に思いました」と言う話をどんどんしてほしいと期待している。いまや、小倉さんはわが国のテレビの良心だよ。

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2009年4月 5日 (日)

オバマ大統領の「核なき世界をめざす」政策を支持する=日本政府は核軍縮サミットの広島誘致を=

オバマ大統領が、大統領選挙期間中に主張していた「核なき世界」という政策目標を大統領として明確に打ち出したことを歓迎したい。

道は遠いが、合衆国大統領がこのような目標を明確に持つか、そうでないかは根本的に重要な分かれ道だ。

自民党政権下で、ただただ「核の傘」を有り難がり、核軍縮に具体的な貢献のない日本政府も、この際、オバマ大統領が提唱する「核なき世界を目ざすサミット」を広島に誘致し、わが国自身が核なき世界の実現に向け、心を入れ替えて挺身する決意を新たにすべきであると思う。

民主党以下の野党も、このオバマ大統領の方針をどのようにサポートするのか。政権獲得後の積極的なシナリオをぜひ打ち出してほしい。

【以下、毎日新聞の切貼】

米大統領:核廃絶へ包括戦略 「安保サミット」提案

 【プラハ草野和彦】欧州歴訪中のオバマ米大統領は5日、プラハで演説し、「核兵器のない平和で安全な世界」を追求する戦略を公表した。核テロなどの脅威が高まる中、自ら核軍縮に乗り出すほか、核拡散防止条約(NPT)の強化、核の安全保障を巡る国際サミット開催、4年以内の核物質管理体制の構築--などの政策に取り組む。米国が核廃絶を目指す包括的戦略を示すのは初めて。今後、核保有国をはじめ国際社会の対応が問われる。

 大統領は演説で、核兵器を「冷戦時代の最も危険な遺産」と位置付け、地球規模の核戦争の脅威はなくなったものの、テロ組織などによる「核攻撃の危険性は高まった」と警告した。米国は核兵器を使った唯一の国として「(核廃絶に向け)行動する道義的責任がある」とした。

 大統領は「明確に確信を持って核兵器のない平和で安全な世界の追求に米国が関与することを宣言する」と断言した。

 戦略は、核無き世界を目指す▽NPTを強化する▽テロリストから核兵器と核物質を守る--の3本柱。

 まず「冷戦思考を終わらせる」として、米国が、自ら安全保障戦略の中で核兵器の役割を後退させ、他国にも同様の行動を求める。

 また、核実験全面禁止条約(CTBT)の批准を議会に働きかけ、兵器用核分裂性物質の生産禁止を定めた新条約(カットオフ条約)作りも提案した。

 このほかNPTの形骸(けいがい)化が言われていることから、核開発を進める北朝鮮やイランを念頭に、条約違反の行為に対する罰則強化や、国際的な査察官の権限強化を訴えた。

 米政府筋によると、核テロを防止するための核安全保障サミットは来年4月までに開催するという。

 ◇オバマ大統領の演説内容
 全面核戦争の危機は去ったが、(核拡散により)核攻撃の危険性は高まった。米国は、核兵器を使った世界で唯一の核大国として、行動する道義的な責務がある。核兵器のない平和で安全な世界を目指す米国の決意を宣言する。時間はかかるが、世界を変革できることを信じる。そう、私たちにはできる。

 核廃絶に向け確実に行動する。ただ、世界に核兵器が存在するうちは米国は安全な方法で核兵器を維持する。敵を抑止し同盟国に安全を保障するためだ。

 核弾頭の配備・保有数を削減するため、今年末までにロシアとの新しい軍縮条約の締結を目指し、交渉する。

 核実験全面禁止条約(CTBT)発効に向け、(発効条件の一つである米国の)批准を強く求める。

 核兵器用の核分裂物質の生産を、検証可能な方法で禁止する新しい国際条約(カットオフ条約)を求める。

 核拡散防止条約(NPT)体制の強化に努める。査察を強化するため資源や権限が必要だ。核拡散を防ぎながら各国が核を平和利用できるよう国際的な枠組み「核燃料バンク」を創設すべきだ。

 一方、違反国には相応の処罰が必要だ。今朝、北朝鮮は長距離ミサイルに使えるロケットを発射し再度、ルールに違反した。違反は罰せられなければならない。国際的に強い態度を示すべきだ。

 イランが厳格な査察を受けるなら、核を平和利用する権利は認める。しかしイランの核・弾道ミサイル計画が脅威である限り、チェコとポーランドでのミサイル防衛(MD)計画を進める。脅威でなくなれば、欧州でのMD計画は実施しない。

 テロリストによる核兵器入手を防がねばならない。これが国際的安全保障への最も差し迫った最大の脅威だ。

 拡散の恐れがある核関連物質をすべて管理できる体制を4年以内に築く。そのためロシアと協力を強化する。

 核安全保障を巡る国際サミットを米国が来年までに主催する。

 平和の追求をやめれば平和は来ない。チェコの人々は一発も銃弾を撃たず核武装した帝国(ソ連)を崩壊させた。

 ◇地域問題の解決を含め前途に難題

 【プラハ草野和彦】オバマ米大統領は5日、核軍縮・不拡散に関する包括的な戦略で「核兵器のない世界」という遠大な目標を打ち出した。ロシアとの核軍縮交渉の開始を宣言した今回の欧州歴訪は、最初の一歩だ。だが前途には、核兵器を生み出した世界各地の地域問題の解決を含む難題が待つ。世界的な協力態勢の構築に向けて、「米国のリーダーシップの再生」を掲げるオバマ大統領の真価が問われる。

 オバマ大統領が核兵器廃絶を目指すのは、「冷戦構造の遺物」である核兵器の存在が、「核武装したテロ組織」という21世紀型の脅威の出現を生み出す可能性があるためだ。

 オバマ大統領は二つの布石を打った。その一つが、今年12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新核軍縮条約の本格交渉の開始。米露は世界の核兵器の9割以上を保有し、米政府高官は「核開発を進めるイランや北朝鮮に圧力をかけるためにも、米露が率先する必要がある」と語る。

 もう一つは、北大西洋条約機構(NATO)とロシアの関係正常化で、欧州での核兵器の意義の低下につながる可能性がある。二つの成果をもとにプラハでの演説に臨んだところに、戦略的意図が感じられる。

 だがむしろ困難なのは、核拡散防止条約(NPT)で核兵器所有を認められた米英仏中露以外の国々との交渉だ。インドとパキスタンのケースがその典型。オバマ大統領は演説で、査察体制の強化や、原子力の平和利用などを掲げたが、両国間の歴史的な対立の解消はアフガニスタン情勢も絡み、粘り強い説得が求められる。

 イランの核開発を阻止するには、潜在的核保有国であり、米国の同盟国であるイスラエルへの働きかけを欠くことができない。

 NPTの形骸(けいがい)化は「核兵器を持つ国」に対する「核兵器を持たざる国」の不満から始まっており、これを乗り越えるだけの論理も構築する必要がある。

 核兵器のない世界について、オバマ大統領自身も「私が生きている間は達成できないだろう」と険しさを認めている。だが同時に「私たちはできる」と希望も語った。今後いかに戦略を具体化するか実行力が問われる。

 ◇黒沢満・大阪女学院大学大学院教授(軍縮国際法)の話
 大統領選中の“夢物語”だった核関連の公約を、包括的かつ具体的に世界に向け宣言した。核廃絶を目標と打ち出し、NPTで義務づけられた核軍縮努力を認め、CTBTの批准や、カットオフ条約の推進、、ロシアとの協力や他国の意見を集約するサミット開催など、ブッシュ前政権からは180度の転換だ。唯一の核兵器使用国としての道義的責任を認めたのも、歴代大統領になかった。いずれも簡単には実現できないが、米国の核に頼ってきた日本政府は、演説を受け止め、核廃絶に向けて協力すべきだ。

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NHK昼ニュース「(北朝鮮は)やな国ねえ」という中年女性の町の声を垂れ流す

北朝鮮が国際法的には「人工衛星打ち上げ」の形式を整えたように見える、事実上の長距離ミサイル打ち上げ実験が行われた。

昨日の「誤探知」騒ぎ-「オタンチン」と言っていた人がいたが-で、世界の報道は「北朝鮮の無道」ではなく、「日本の過剰反応」ということになったそうだ。

今日、NHKの昼のニュースの後半で、秋田県や東京都の「町の声」として「本当に撃つとは思わなかった」という感想をはじめ、明らかに事実についての認識、理解が欠けるものを含むコメントを次々に流していた。

NHKニュースをはじめとするメディアが麻生政権・自公与党のミスリードを増幅した結果として、国民レベルではそのような状況が起こっているわけだが、極めつけは中年のご婦人が「(北朝鮮は)やな国ねえ」と嫌悪感を露わにしたコメントを垂れ流していたことだった。森田はこれは煽りだと思う。

「そうした声が町にあるという事実を伝えた」「国民が共有する感情だと思う」ということなのだろう。そういう面があることは否定しないが、これは全体として「大衆が共有する感情に阿る」ばかりで「冷静に、客観的な事実を知らせるという報道の使命を逸脱」するものだと思う。

NHKのニュースは「報道」ではなく、受けを狙った情報ショーであるということなのかもしれないが、そうは思っていない人もいる。いずれにせよ、その影響力は大きい。

20世紀前半には、国民と新聞が「排外感情」と「軍国主義礼賛」をお互いに増幅させて、世の中を変な方向に流していき、大きな悲劇を招いた。ほんの何十年かで国民性が大きく変化したと考えるのはやはりリアリティーに欠けると考えるべきなのだろうか。

巻き返しが必要だ。森田も「この空気、チェンジ」と言いたい。

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2009年4月 4日 (土)

電車の中の女子小学生(?)の会話

(小田急線下り、午前9時過ぎ)

A:北朝鮮のあれ、今日だよね。

B:テポドン「に」だよね。

A:テポドン「ツー」じゃないの?

C:お父さんが「調布に落ちたら火の海だって言ってた(笑)」

A:この子(Bを指し)、「パックツー」知らないんだよ。

B:何それ。

A:撃ち落とすんだよ。

C:でどうなるの?

B:中国もロシアも協力してくれないんでしょ。ロシアは日露戦争とかあったし、北方領土問題もあるし。

C:韓国は?

A:韓国は協力してくれるみたいだよ。アメリカは協力してくれる。アメリカ、ロシア、中国、韓国。六カ国協議が基本だから。

B:アメリカが協力してくれて、良かったね(他の二人うなずく)。ねえねえ、水嶋ヒロと絢香ってさあ‥

(中学受験頑張った新中1の子たちなのか、時事「単語」にとっても強いのに感心する。でも、自民党など権力マシーンがNHKを使い、民放テレビも乗せられての軍備増強、対米軍事協力キャンペーンが、草の根若年層にしっかり浸透していることも実感。強力な巻き返しが必要だ)。

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2009年4月 3日 (金)

イスラエルのリーベルマン外相、汚職疑惑で捜査

司法の公正を確保するためには、それが政治ときちんと切り離されていなければならないことは言うまでもない。その意味で、小沢一郎民主党代表の秘書を、この時期に逮捕した東京地検特捜部の動きに多くの人々から疑義が呈されている。それには森田も同感である。

それはイスラエルにもあてはまり、いくら日本のネット右翼と同じ程度の知能程度と横着さで知られ、パレスチナ和平をすっかりぶち壊しかねない極右政党出身のリーベルマン外相についても同様だ。

ここまでは公式見解。イスラエルについては、中東と人類の未来のために、リーベルマンのような男は逮捕でも何でもして失脚させ、ネタニヤフ政権が崩壊することがパレスチナの未来と世界の平和のために必要だ。イスラエル警察頑張れ。

というのはやっぱりまずいか。「二重基準」。

【以下、切貼】

汚職疑惑で外相を聴取  イスラエル警察

 【エルサレム2日共同】イスラエル警察は2日、贈収賄やマネーロンダリング(資金洗浄)などの疑いがあるとして、ネタニヤフ新政権のリーベルマン外相から約7時間にわたって事情聴取した。警察の報道官が明らかにした。

 警察は数年前からリーベルマン氏の捜査を続けているが、事情聴取するのは外相就任後初めて。同氏は旧ソ連からの移民で、ロシア系、ユダヤ系実業家との関係が深いことで知られる。1999年に国会に初当選し、これまで国家基盤相、運輸相などを務めた。

 ことし2月の総選挙の運動期間中には同氏の娘も事情聴取された。リーベルマン氏はネタニヤフ政権で法相就任にも意欲を示したが、捜査対象となっていることから外された。

 同氏は疑惑を否定し、左派寄りの司法当局による「政治的捜査」だと批判している。

 リーベルマン氏は、極右政党「わが家イスラエル」の党首で、3月31日に発足した右派連立政権の外相に就任したばかり。

2009/04/03 01:23   【共同通信】

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2009年4月 2日 (木)

米ロ首脳、はじめて「核兵器の最終的な除去」に合意

世界金融・経済問題に対処するためロンドンG20首脳会合を契機に、各国の首脳会談が開かれているが、ブッシュ・プーチン時代に本質的な前進がなかった米ロの核兵器削減問題で、「期限を迎えるSTARTⅠについて今年中に後継条約を締結する。夏までにだいたいの成案を得て、首脳会談を行う」という具体的な進展が見られた。

米ロのあらゆる対立点に触れた会談だったようで、米ロ関係の世界政治に占める相対的な位置はかつてのように巨大なものではないけれども、こと核不拡散問題と表裏一体の核軍縮問題については、米ロ関係に左右される要素は大きい。

メドベージェフ大統領は、昨年の南オセチア・グルジア問題などに際しては強硬姿勢に終始し、やはりプーチン前大統領(現首相)の傀儡かと見られていたものの、最近は司法問題などでリベラル色を覗かせているので注目したい。

朝、NHK-BS1でやっていた米ABCの「ワールドニュース」では、ホワイトハウス担当のジェイク・タッパー記者に続いて、ジム・シュートー記者が軍縮交渉のエキスパートとしてコメントしていたが「はじめて両国首脳が核兵器を究極的に廃絶する(eventual  eliminate)ことに触れた」と興奮気味に話していたのが印象に残った。

メディアによっては、ロシアが新たな軍縮条約締結の条件と主張しているアメリカのミサイル防衛(MD)システムの東欧配備の中止について、具体的な成果がなかったのではないかと言われているが、アメリカはこれを「イランの核の脅威に対抗するため」と主張してきたいきさつがあり、おそらく今後、イランの非核化ということとこれをリンクさせた、米ロのせめぎあいが展開するのだろう。

米政権がイランの核開発の問題を決して容認できないのは、実はイスラエルとの抜き差しならない関係ということが背景にある。余計なことだが、近々予定されている北朝鮮の「人工衛星打ち上げ」など、順調に成功する方が良いとも言える。

一部に北朝鮮の核保有は容認するのではないかと言われている米政権が「やっぱり、北が核を持つことは認めてはならない。イスラエルどころか米本土が危険だ」と真剣に考えるようになるからだ。

気象情報の提供とか、協力してやったらいいんじゃないか。落下物がそんなに大騒ぎするほど危ないというのなら、日本を飛び越えずに発射できる種子島の発射場を提供してやったらいいんじゃないかといった発言は、やはり不謹慎だろうか。

米露首脳会談:新核軍縮交渉、開始で合意 北朝鮮に自制求める

 【ロンドン草野和彦】欧州歴訪中のオバマ米大統領は1日、ロンドンでロシアのメドベージェフ大統領と会談した。両大統領は、今年12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継となる新たな核軍縮条約の交渉を直ちに開始することで合意。新条約は、12年までに双方の配備核弾頭を1700~2200発まで削減するとしたモスクワ条約(02年)を下回るレベルを目指すとしている。北朝鮮のミサイル発射については「地域の平和と安定を損なう」と憂慮を表明、北朝鮮に発射自制と国連安保理決議順守を求めることで一致した。(7面に関連記事と共同声明要旨)

 両首脳は共同声明で「我々は冷戦思考を乗り越え、新たな米露関係を開始する」とし、ブッシュ前政権時代に悪化した関係の「リセット」を宣言。大量破壊兵器拡散防止やテロ対策などでの協力を打ち出した。オバマ大統領が7月にモスクワを訪問することも合意した。

 新たな核軍縮条約に関する共同声明では、「記録的な削減を目指す」とし、効果的な検証方法の導入や、年内の交渉妥結に向け進展状況を7月までに報告させることを盛り込んでいる。現在の核弾頭の実戦配備数は米国が約4100発、ロシアが約5200発といわれ、新条約が実現すれば画期的な核削減に道が開ける。

 首脳会談では、米露関係を悪化させる要因となった米国の東欧ミサイル防衛(MD)計画や、昨年8月のグルジア紛争についても協議されたが、双方の見解の相違は解消されなかった。ただ、ミサイル脅威に対処するためMD分野での相互協力の可能性を協議した。

 このほか両大統領は、アフガニスタン復興やイランの核開発問題などで協調する方針を確認した。

毎日新聞 2009年4月2日 東京朝刊

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2009年3月31日 (火)

究極の格差固定政策である「贈与税減免」が、どうして「景気対策」なのか。全部カネ持ちの子の世代の貯金になって、相続税分だけ財政に穴が開くだけではないのか。

麻生政権や自民党の「経済対策」の中には、お年寄りの資産が貯蓄されたままになっているので、贈与税を減免することで「相続税でとられるよりは」と子の世代への資産移転を促し、景気回復につなげようという話が出ているらしい。

これこそ、どさくさまぎれの「格差固定」政策だ。金持ち親子の財産の合計は、記帳する通帳が変わるというだけの話で、結局は蓄財だろう。どこが消費拡大になるというのだろうか。

マスメディアも相対的に所得の低い人々に手厚いと言える「定額給付金」を「ほとんど貯蓄にまわる」と騒いでいるのに、相続税がかかるような大金持ちの相続税を負けるだけの話を「景気対策」と強弁するような話しになぜ文句を言わないのか。メディア関係者も相続税減免で利益を受けるような金持ちが多いからか?

08年度2次補正の「史上最大規模の住宅ローン減税」だって、巨大な別荘を建てれば税金で1割近く(?)を割り戻そうという金持ち優遇そのもので、庶民とは無関係なものだ。

「バラまきより、的を絞った支出を」というのは正論だが、低所得者にも行き渡る「定額給付」を批判し、「的を絞った金持ち優遇」である数々の施策を見逃しているのでは本末転倒だ。

それにしても、09年度補正とか、2010年度予算編成をまた自民党中心の政権、お金持ちの麻生総理がやる可能性があるかと思うとぞっとする。

【以下、切貼】

首相、贈与税の大幅減免表明  追加経済対策で

 麻生太郎首相は28日午後、追加経済対策の一環として、高齢者が持つ金融資産を消費拡大に振り向けるため、住宅などの購入資金を生前に援助する際の贈与税を期限付きで大幅に減免する考えを表明した。

 高知市内で記者団の質問に「高齢者が息子や孫に(お金を)渡して家や車を買ってくれたら贈与税を安くする、ゼロにすることは、年数を区切って検討する値打ちがある」と答えた。

 首相は31日、2009年度補正予算編成を念頭に追加経済対策の策定を与謝野馨財務相に指示する方針だが、贈与税減免を追加対策の目玉政策にしたい意向とみられる。ただ、贈与税を減免しても恩恵は富裕層にとどまり、景気刺激効果は限定的との指摘もある。

 首相は、日本の家計の金融資産総額が1400兆円に上るとし「そのまま置いておいたら景気と何ら関係ない。お金は使わないと値打ちがない」と指摘。住宅建設や自動車購入を例に挙げて「ちゃんと消費したと証明できるものは(減免の)対象になる」と述べた。

 首相はこれに先立つ自民党高知県連の講演でも「家を建てるなら贈与税をただにすると言えば家を建て、景気が良くなるのではないか」と述べ、贈与税減免の有効性を強調した。

2009/03/28 22:20   【共同通信】。

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「ペイリン候補への質問は、バイデン候補への質問と同じもの」 米ABCチャールズ・ギブソン氏インタビュー

NHK・BS1「おはよう世界」で、高橋キャスターが米ABCのニューススタジオを訪ねインタビューした映像を流していた。

ペイリン副大統領候補が「ブッシュドクトリンについてどう思うか」と問われて答えられず、大統領選の転換点の一つになったと言われたインタビューのインタビュアーだが、「われわれの役割は、候補者を批判したり、困らせたりすることではない。人となりを伝えること」とし、ブッシュドクトリンについて尋ねたのは「民主党のバイデン副大統領候補への質問と全く同じことを聞いたに過ぎない」と言っていた。

信頼性確保のため「客観的に伝える」ことの重要性を強調するギブソン氏。高橋キャスターも指摘するとおり、9・11を朝番組のキャスターとしてナマで伝えたときも、大統領にインタビューするときも、NHKのインタビューに答えるときも、いつもほとんど声のトーンも話し方も一定だ。興奮して騒いだり、威張ったり、馬鹿にしたりの日本のキャスターたちにも見習ってもらいたいものだ。

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2009年3月30日 (月)

「『ミサイル』の鮮明な画像」=NHK昼ニュースの原稿、字幕は煽りだ=

NHKの昼のニュースのトップは「米シンクタンクが、北朝鮮が発射を準備しているミサイルの鮮明な映像を‥」というもので、映像に添えた説明字幕に「ミサイル‥」とある。続いて、東北への地対空ミサイル移送の映像、市町村の緊急通報システムについての鴻池官房副長官の説明‥

何度も言うが、偽装であるにせよ「人工衛星打ち上げ」と公表されている「ロケット」であり、人工衛星の軌道投入と、ミサイルの弾頭を目標に命中させる技術は同じであるとはいえ、わが国のH2Aロケットの打ち上げをミサイル発射と言わないのと同様、いま北朝鮮が準備していることを「ミサイル発射」とNHK昼ニュースが繰り返して言うことは、国民をミスリードするものだ。

簡単に「ミサイル」と言わずに、「北朝鮮が人工衛星打ち上げ用と主張しているロケット」とわずらわしくともより正確な表現にする。センセーショナリズムに走ることを避けるため、その程度の配慮をすることがどうしてNHKにできないのか。煽りたい麻生内閣、自公連立政権との関係なのか、ジャーナリズムの矜持の問題か。

とにかくおかしいぞ。

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2009年3月29日 (日)

森田健作氏、千葉県知事選当選=タレント選好の有権者の意識をどう変えるか=

簡単に言ってしまえば、教育問題などに変な公約を掲げた右翼のタレント候補がまた当選したということだ。そのままんま東とか、森田健作とか、いいかげんにしてほしいと思う。本人が出るのは自由だが、当選させる有権者には本当にがっかりする。

ただ、その昔に塩野七生さんがエッセイで、ヨーロッパのリベラル派の政治家たちを取り上げてこんなことを言っていたのを思い出す。彼女に言わせれば、右翼の政治家や左翼の政治家に比べ、しばしば小党であるリベラルの派の政治家たちは、政策的には一番正しい政策を掲げ、個人的につきあっても洗練されて魅力的な人物が多い。

それでは、なぜ彼らが政治的に大きな力を持つことができないのか。塩野氏はそこで「彼らには共通して、自分たちが支持されないとすれば有権者が悪い」と有権者を見下したところがあるというのだ。

だから、ここでリベラル派が考えるべきことは「どうやったらリベラル派が支持を集めることが出来るか」という戦略・戦術だ。

ある問題を「部屋の中の象」ということで別とすれば、3つのことが思い浮かぶ。

まずは戦術レベルの話だが、いわばリベラル派のタレントにも選挙に出てもらうための環境作りもすべきであろうということだ。いま、野党の勢力が政権をとったら、ある程度の批判は覚悟の上で吉永小百合とか、壇ふみといった「平和を大事にする」と公言しているビックネームを「軍縮担当大臣」とか、「文化政策担当の文部科学副大臣」といったポストに起用し、近い将来の選挙におけるこちら側のタマになってもらうといったことを考えるべきだ。

二つめに、「きょうも歩く」の黒川氏が指摘する「選挙プランナー」も重要だ。三浦某氏が人気があり、能力がある人だそうだが、「丸川珠代参議院議員」とか、「石原慎太郎知事三選」、「森田千葉県知事当選」といったことにその優秀な能力を使って、国民や国家のためにいいことが何かあっただろうか。

三浦氏がピジネスの都合で「どの党派の人でも、気に入れば応援する」などと言っているけれども、同氏は自民党時代の椎名素夫代議士の元秘書であり、出発点から「右」であることはハッキリしている。ここで言いたいのは、リベラルの方でも同じような人材を育てる必要があるということだ。セクト時代の雰囲気を引きずる斉藤まさしさんでは「古い」ということであるなら、若い人材の育成・起用が必要だ。

もうひとつは、リベラルを横断する複数の支援組織を作り、育てていくことの必要だ。全く思いつきだが、例えば「9条の会」を母体として、西松建設が作っていたようなというと例えが悪いかもしれないけれども、市民からの献金を集める「政治団体」を作り、プロ「平和と人権」の候補者に資金提供していくといったことを、多元的に展開すべきではないか。

個人レベルでも、坂本龍馬のようにコーディネーターとして動く人々がたくさん出るべきだ。武村正義とか、田中秀征といった人々も、老成ばかりしていないで少し動いてほしいものだ。森田敬一郎もここで口ばっかりで騒いでいるのではなく、行動を起こさなければならないかと考えたりしている。

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オバマ大統領、核軍縮・核不拡散で動く=自公政権は何を発信したか=

米オバマ政権はアフガニスタン、パキスタンにかかわる包括的な政策を発表したことに続いて、4月はじめにロシアとの間の核軍縮、さらに世界大の核不拡散にかかわる動きを見せるようだ。

このことについて麻生内閣や自公連立与党から何か有益な発信があったか?。全く何もない。

核軍縮については「既存の条約が今年で期限切れになることについて、わが国はかくかくの所感を持ち、これこれの内容を含む条約の締結を求めたい」とか、「核軍縮にはずみをつけるため、アメリカを含む全ての核兵器国に『先制不使用』の宣言を求める」といった程度の発信があって然るべきだ。

今のような音無では、麻生政権も、自公連立与党も、外務省も「核軍縮などには全く関心がない」と言っているに等しい。やっていることは、北朝鮮の「『人工衛星発射』はミサイルで迎撃する」といった話ばかりなのに、「唯一の被爆国だからIAEAの事務局長のポストをよこせ」など図々しい話だと受け止められるだろう。

核不拡散については、自国の安全に直結する「北朝鮮の核放棄の実現」が最初の関門だ。ところが、6カ国協議においてアメリカ、韓国、中国、ロシアが駆け引きで北朝鮮に対するエネルギー供与をすると言うときに「俺はやらない」と足を引っ張っているのである。

次期総選挙において、民主党を中心とする野党勢力には、これまでの政権の核軍縮・核不拡散への無関心、無責任を払拭する、平和憲法を持つ国にふさわしい外交・安保政策を打ち出してほしい。

オバマ政権は、ブッシュ前政権よりはるかにましな政権だ。しかし、アフガン支援で「軍民一体」を打ち出しているのは、わが国の実績を上げてきた民間支援の当事者の実感とかけはなれた政策だ。「同盟国」などといいながら、日本政府はアメリカにしっかり情報を提供し、親切な助言をするといった努力すらせず、ただ後をついていくつもりらしい。

核軍縮で声明採択へ=来月の米ロ首脳会談で

 【モスクワ28日時事】ロシアのプリホチコ大統領補佐官は28日、主要20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会合)に合わせて4月1日にロンドンで行われるメドベージェフ大統領とオバマ米大統領の会談で、核軍縮条約と米ロ関係全般に関する2つの共同声明が採択される見通しであることを明らかにした。
 米ロの主要な核軍縮条約である第一次戦略兵器削減条約(START1)は今年12月に失効する予定。両大統領の声明は、これに代わる新たな条約の交渉本格化をうたう内容になるとみられる。
 米ロ関係は昨年8月のグルジア紛争などを受けて、冷戦後最悪の水準にまで冷え込んだが、オバマ政権の登場で改善に向かうとの期待が高まっている。(2009/03/28-21:40)

核不拡散で新構想表明へ  オバマ氏、4月5日プラハで

 【ワシントン28日共同】マクドノー米大統領次席補佐官(国家安全保障問題担当)は28日の記者会見で、31日から欧州・トルコ歴訪に出発するオバマ大統領がチェコの首都プラハで4月5日、核不拡散問題に関する重要演説を行うと明らかにした。新たな核政策構想を表明するとみられる。
 次席補佐官は演説内容を明らかにしなかった。ブッシュ前政権はチェコとポーランドにミサイル防衛(MD)配備を計画、ロシアが反発し、米ロ関係悪化の原因となっていたことから、MDに関する新政権の立場や、米側がMD配備の理由としているイランの弾道ミサイル開発に言及するとみられる。
 オバマ大統領は4月1日、金融サミットが開かれるロンドンでロシアのメドベージェフ大統領と初会談し、米ロの核軍縮問題を協議する予定。「核兵器なき世界」を追求すると公約しているオバマ大統領が米ロ会談を踏まえ、核兵器削減に触れる可能性もある。
 次席補佐官によると、オバマ大統領は2日にサウジアラビアのアブドラ国王、3日にフランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相とも会談する。【共同通信】

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2009年3月27日 (金)

IAEA事務局長選、日本候補も落選=自民党と外務省は核軍縮問題への取り組みとブッシュ政権追随をちゃんと反省しなければ話が始まらない=

核不拡散と平和利用の確保にあたる国際機関・IAEAの事務局長選で、日本が擁立し「唯一の被爆国出身者にふさわしいポスト」と訴えたキャリア外交官出身の天野氏が3分の2の得票を得られず落選したそうだ。

外務省は「ODAを削減してきたからだ」などと言い訳するだろうが、森田が見るところ、多くの国にとって日本の外交姿勢に「唯一の被爆国としての使命感、魂」といったものが全く感じられなかったということだろう。「ユネスコの事務局長も退任なので」といった役人の天下り枠確保のような話が聞こえてきたあたりからおかしいのだ。

そもそも、最近の核軍縮・不拡散の状況を悪化させてきた犯人の一角は、北朝鮮やイランばかりでなく、核軍縮に背を向け、議会に阻止されたとはいえ「新型核兵器」さえ開発しようとしていた日本の「同盟国」アメリカのブッシュ・チェイニー前政権だ。そして自民党と外務省が主導してきた日本外交はアメリカの「忠実な飼い犬」にすぎないと多くの国が見ている。

その日本は、国連の核廃絶決議案の提出など「ことば」だけは先行するものの、実際は2003年にイラク戦争の開戦が迫った段階で、IAEAのエルバラダイ事務局長も、前IAEA事務局長で国連査察チームのブリクス氏も国連安保理において「さらに査察を続けるべきだ」と主張し、フランスやドイツも開戦に反対していたにもかかわらず、小泉政権はブッシュ政権の開戦に対して「支持」を表明し、森田の理解では、主要国でただ一つ、今日に至るまでその過ちを認めることをしていない。

森田は、広島・長崎における核兵器使用がもたらした熱線・衝撃波・放射線が市民にもたらした巨大かつ深刻な被害について、その実相を世界の新しい世代の人々に伝え続けることはわが国の人類史的使命であると考えているが、自民党政権も外務省も、これまで大平内閣、中曽根内閣、宮沢内閣、福田康夫内閣と何度もサミットを開催してきたけれども、一度たりとも広島や長崎での開催を提案したことすらなく、こうした使命を果たす機会を逃してきた。

昨年は9月に河野衆院議長のイニシアチブでG8議長会議を広島で開催し、ペロシ米下院議長の被爆地訪問が実現したが、これは河野氏の個人的な信念と働きかけに基づくもので、外務省や与党内にこれを後押しする動きが当初からあったわけではない。

北朝鮮の非核化などは、日本の安全保障という面から見ても最優先の課題であるにもかからず、日本政府は「拉致問題」を非核化の問題と切り離すことに失敗し、結果として各国の努力の足を引っ張っている。

「唯一の被爆国」。自民党政権や外務省が言うなといいたい気分だ。少なくとも、顔を洗って出直せ。

【以下、時事通信より】

日本外交に大きな痛手=信任されず「失格」の烙印-IAEA事務局長選

 【ウィーン27日時事】日本政府は、新たな主要国際機関トップのポスト獲得を悲願としてきた。国際原子力機関(IAEA)事務局長選に当たっては、麻生太郎首相自らが昨年9月の国連総会で天野之弥ウィーン国際機関代表部大使の擁立を発表。外務省に中曽根弘文外相を本部長とする選挙対策本部を設置し、全力で天野氏の当選を目指した。それだけに、IAEA特別理事会で天野氏が選出されなかったのは日本外交にとって面目丸つぶれで、大きな痛手となった。

 日本がIAEA事務局長選にこだわった背景には、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長が今秋退任の予定で、主要な国際機関のトップを務める日本人が国際エネルギー機関(IEA)の田中信男事務局長だけになってしまうという事情がある。国際社会での存在感を高めるには、地球温暖化対策が新たな課題として浮上し、原子力の平和利用支援の重要性が高まる中、「核の番人」と呼ばれるIAEAの事務局長はうってつけの役職だった。

 ただ、信任投票でも当選を決められなかったことで、天野氏も南アフリカ共和国のミンティIAEA担当大使も「失格」の烙印(らくいん)を押された。やり直し選挙への出馬は可能とはいえ、実際に再挑戦するのは困難になった。

 こうした事態を予想し、関係者の間では特別理事会が始まる前から「第3の候補」として、セディジョ元メキシコ大統領や経済協力開発機構(OECD)原子力機関のエチャバリ事務局長(スペイン)らの名前が挙がっていた。(了)
天野之弥(あまの・ゆきや)
(2009/03/27-21:23)

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訪米でジム・レーラーにインタビューされる豪ラッド首相、お呼びじゃなかった麻生首相

NHK・BS1で昨日放送された、アメリカの公共テレビPBSの「ニューズアワー」で、訪米して米豪首脳会談を終えたオーストラリアのラッド首相インタビューを放映していた。

PBSは内容が中立的でFOXやCNN、あるいは3大ネットほど見られていない。戸田奈津子さんの映画字幕じゃ「教育テレビ」とされていたくらいだが、そのレベルの高さは知る人ぞ知る。聞き手は大統領選挙の公開討論会司会の常連・エースのジム・レーラー。

ラッド首相が聞かれていたのは、ひとつにはG20に向けての世界金融・経済問題の解決に向けての考え方で、オバマ政権やオーストラリア政府の積極財政と、それに慎重なヨーロッパの比較などで、ラッド氏は何もしない新自由主義的な行き方と、政府が動いてショックを緩和して次のステップをめざすやり方を対比させて後の方が望ましいということを説いていた。

さらにラッド首相はアフガニスタン問題についてのオバマ大統領とのやりとりについて応える中で「すでに10人の死者を出した自国の厭戦気分」と、「9・11の原因は、この地域のテロリストを野放しにしたことにある」といった話の両方をしていた。

さらにジム・レーラー氏は「あなたは外交官出身で、中国語にも堪能なので伺いたいが、アメリカは中国とどう関わっていったよいと思うか。ご自身のことばで語っていただければ」と聞いた。

ラッド氏は予想通り、自分としては「関与」を求めていく立場で、IMFに出資を求めるとともにオランダやデンマークと同程度の発言権を、果たす役割に見合ったものに見直し、いわば中国を「良い大株主」になるように導くべきだ。そうなるかどうかは中国の出方を見なければいけないといった意見を述べていた。

このインタビューを聞いていて思ったのは、現状においてはアメリカの良質なメディアが世界経済、アフガニスタンでの国際協力、しまいには「アメリカは中国とどう関わっていったらいいか」ということを聞く相手は、日本の首相ではなくオーストラリアの首相なのだなということだ。ちょっとガッカリだが現状を考えれば仕方がないか。

もちろん、ラッド政権の政策指向がオバマ政権の政策指向と重なる部分が多いこと、総選挙で選ばれた正統性と勢いのある政権であること、ラッド氏が中国専門家であるという条件もある。しかし、「ジャパンパッシング」などと騒ぐ日本のこれまでの首相たちは、ジム・レーラーのニューズアワーが呼びたいと思う程度の、独自の中国理解や対中政策論を持っていただろうか。

自民党政権のここ15年ほどの首相は皆失格だろう。山本一太ならいいかと言えば、かえって日本が馬鹿にされることになるだろう。次期、民主党主導政権の首班指名候補についても、まずは内容だけれども、ついで外国語能力はともかくとしても、日本語においても口が重い人はちょっとなあと思う。こういった場面でも、日本の存在感が損なわれるリスクがあるのだ。

なお、在米日本大使館も3大ネットばかりでなく、PBSともコンタクトを密にすべきだと思う。いろいろな国の大使が出てくるが、日本大使で印象に残るのは、ずっと前に斉藤大使がアイリス・チャンと対決した時のことくらいだ。

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最近の中国、日中関係についての感想

先の全人代では、最近の世界経済の状況とそれが中国経済に与えている影響に焦点が当てられたため「政治改革は棚上げ」という批判報道もあったが、これは問題の緊急性と中国の国際的責任という面からはやむを得ないと思う。

世界の金融において中国の占める位置には大きなものがあり、IMFへの拠出を増やすなら中国は発言権を強めるべきべきであるという中国の主張には当然であるいうという側面がある。日本外交は、もし国連安保理でのポジションを強めたいと考えるならば「国連の安保理改革についてのわが国の主張などと合わせ、お互いの立場をサポートできれば良いと思う」と働きかけたらどうか。

全人代では呉邦国常務委員長から、年金や失業、医療保険などの内容を含む「社会保険法」を年内に成立させるという提案があったことも注目に値する。わが国も同様だが、経済が難しい時期においては、こうした分野の施策が充実していることが社会の安定に有益だからだ。

そもそも中国は「改革開放」「市場経済導入」以前においては、退職労働者の生活保障などは所属した「国営企業」の仕事だったのであり、「市場経済」に転換したなら、いわゆる西側の国々で導入している公的な社会保障制度を整備しなければ、「社会主義」の看板をかかげながら、資本主義国より社会保障で遅れをとるという逆転現象を招く。

全人代閉幕後の会見で温家宝総理が、将来台湾に「這ってでもいきたい」と発言したことは印象に残った。もっとも私は、最近の中国本土と台湾の関係のよい方向への変化を見るにつけ、また、同じ会見で温家宝総理は「われわれは積極的に政治体制改革を推進しなければならない。特に重要なのは社会主義民主政治を発展させ、人民の自由と権利を保障すること、司法体制改革により社会の公平と正義を実現することだ」と述べたが、こうした方向で着実な前進が図られるなら、おのずから問題は多くの人が予想するよりも早く解決に向かうのではないかと思っている。

それにしても、呉邦国常務委員長が全人代での発言で「西側の制度をまねることはない」「三権分立はやらない」という保守色丸出しの発言をする一方で、温家宝総理が会見でこうした政治改革重視を表明する発言をすることには指導部の中にも「色合い」の違いがあることを感じさせる。

中国指導部においても「温かみ」を強く感じさせる人物はかつては周恩来総理ということだと思うが、近年では大工さん出身で歯に衣着せぬ発言で人気のあった引退した李瑞環・元全国政治協商会議主席、それた温家宝総理だろう。昨年、四川省で流された涙は、自分のためではない、人民のために流した涙であることが我々にも伝わった。

日中関係は昨年の胡錦涛主席の来日の際に「戦略互恵」という高いレベルに引き上げられているが、70項目の共同コミュニケといっても、例えば環境の分野などは必ずしも具体的に進んでいないといった不満が中国側にあるようであり、着実な前進を図る必要がある。ショーのような外交より中味が重要だ。

なお、いまわが国の参議院との交流で来日している全人代の代表団=衆参両院が1年交代で交流=が沖縄を訪問することが産経新聞などに「米軍基地の情報を狙った領事館設置の布石」として注目されている。

沖縄は琉球王朝の時代、日本の室町時代・戦国時代、中国の明代に「日本、明国、東南アジア」と等距離にある貿易拠点として栄え、室町幕府が明と交易する方便として「朝貢」の形を整えたのと同様に明に朝貢する形式をとっていたため、形式的には日本と中国の両方をいわば宗主国としていたため、産経新聞が神経質になるのは理解できるが、ここは「沖縄は気候も人柄も暖かく、食べ物や美術工芸、地方色の強い音楽や舞踊など実に魅力的なところでありゆっくりしていって下さい。中国の方が台湾を『宝の島』と言われるのと同様、私たち日本人にとっての宝の島であると考えています」と軽く受け流すのがいいだろう。

そして、産経新聞にとっても、日本政府にとっても、あるいは本土の人間にとっても、先の戦争の終戦の遅れにより筆舌に尽くしがたい惨禍に見まわれ、現在も基地負担に喘ぐ沖縄を本当に大切にすることを真っ先に、真剣に考えなければならないる。中国に「手を出すな」などと言っている暇があるなら、そちらを先にすべきなのだ。
                                                                       
それにしても、産経新聞は佐々某の「北朝鮮のミサイルは、絶対に迎撃しなければならない」などという愚かな議論を大々的に掲載している。警察官僚あがりの石原慎太郎の選対本部長らしい意見だが、これは言ってみれば北朝鮮の「日中」「日米」離間策に乗せられる議論だ。

「戦争だ、という恫喝に屈するな」というが、前にも書いたが発射に「成功」した場合は、国際法上の多数説によるわが領空のはるか上を飛んでいくわけであり、偽装であるにせよ「人工衛星打ち上げ」の国際法的な手続きもとっており、これを「とにかく迎撃ミサイルを発射しよう」などというのは愚論中の愚論。麻生内閣の迎撃命令も「失敗して落ちてきた時」と言っているではないか。こんな頭も性格も悪い爺さんが、たまたま部下だったことがあるというだけで、故後藤田正晴氏の名前を出して自分に箔をつけようとしているのにはいつもあきれかえる。

北朝鮮の「人工衛星打ち上げ」は、そのやり方からして日本政府として容認できるものではないというのはわかる。一方、北朝鮮の農村や都市に暮らすごく一般の人々の窮状を思いやれば、ただただ「迎撃ミサイル発射」といきり立つのではなく、関係各国が種々の問題を乗り越え協力を強化することが必要と考えるべきだ。

こうした問題を考えても、中国と日頃から意見交換を密にし、協力を強化していくことが重要であると思う。
 

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2009年3月24日 (火)

小沢代表続投-衆院選、勝ちすぎないのもいいかもしれない

小沢代表が続投するそうだ。これでは民主党が一党で安定多数を確保して政権をとることは難しいだろう。

しかし、考えてみれば「社民党と連立組まなければ政権とれない」「法案を通すには日本共産党の協力も視野に入れなければならない」くらいの議席数の方が、日本の現状において何をどう転換しなければならないかということとの関係で言えばいいことなのかもしれない。負け惜しみのようだけれども。

この際、大事なのは小沢氏の一身のことではない。小沢氏の「夢」などどうだっていい。肝心なのは、これまでの「自民党政権下のどうしょうもない政治・行政・財界のありよう」を「どう転換するのか」を再度明確に示し、それを現実のものにすることだ。

誰かも言っていたが、野党が多数を握っている参議院の民主党などおとなしすぎる。日本の現状、例えば経済の落ち込みが欧米より深刻なのは、全て小泉・竹中時代にもてはやされた政策の結果である。田母神氏を野放しにして日本の平和と民主主義を危機にさらしているのも自公連立政権だ。

北朝鮮の拉致被害者の問題も、安倍晋三氏や中川昭一氏をはじめとする威勢のいい「ことば」が聞かれるだけで、小泉氏が日中関係、日韓関係を破壊したこと、安倍政権の時に安倍シンパのグループが河野談話批判の広告をアメリカの新聞に出して米議会を敵に回したことなどの影響もあって、実際には一歩も前に進んでいない。中山恭子といった人が何度も要職を占め、大臣までやったのに、何か具体的に成果を挙げたことが一つでもあるのか。現実を見れば、何の実績もないではないか。

小泉純一郎、竹中平蔵、安倍晋三、中川昭一、田母神元空幕長、偽装請負や派遣切りのキャノンの会長(経団連会長)や日教組の教研集会の予約を一方的にキャンセルしたプリンスホテルの幹部など、何度でも参考人招致でも証人喚問でもして、国民の前で問題点をはっきりさせるといったことに力強く取り組んでほしい。

小沢代表も、民主党所属の国会議員たちにも、こうしたことなども通じながら、次期政権のビジョンを明確に打ち出すということのみに焦点を当てて奮起してほしい。良くも悪くも、あなたたちが気張ってくれなければ、歴史の扉がしっかりと開くことがないからだ。

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2009年3月23日 (月)

ハタミ氏の不出馬表明、小沢氏の続投観測

ハタミ氏は、改革派3候補の得票が分散して現職のアフマディネジャド大統領を利することのないよう出馬を取りやめたそうだ。

小沢一郎氏は、逮捕された秘書が起訴されても、嫌疑がそれ以上に広がらないようなら党首を続投するという観測が強いようだ。

ハタミ氏の一本化の判断が、ハタミ氏の思惑通り実を結ぶかどうかは結果を見なければわからない。ハタミ氏の改革派若年層への人気を活かさずして、改革派の勝利があるかなという疑問も残る。

小沢氏が続投するという判断をするとすれば、秘書が逮捕されたというマイナスイメージよりも、続投して小沢氏の「束ねる力」を維持した方が、総選挙勝利や政権運営にプラスという判断を優先するということだろう。しかし、これも思惑通りいくかどうかは結果を見なければわからない。森田自身はやはり「交代」の方が勝利につながると思うが‥

いずれにせよ、政治は「結果」が全てだ。よい結果がもたらされるよう、ベストの選択が当事者たちによってなされることを祈る。

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2009年3月22日 (日)

「竹中氏の持論 現実離れでは」(朝日「声」欄投書)

少し前に朝日新聞が内橋克人さんのインタビューを掲載し、朝日も反省声明なき方向転換かといったことを書いたが、その後、竹中平蔵氏が正反対の持論を全開する大型インタビューが掲載されていた。

ここでは触れずにいたが、17日付「声」欄に、そうだ、と思う一文を発見したので以下ご紹介。朝日の学芸部にも経済部にはあきれている向きもあるのか。

竹中氏の持論 現実離れでは

会社員 古屋 喜基 (山梨県笛吹市 57)

 「資本主義はどこへ」(9日朝刊)で、竹中平蔵氏はグローバル資本主義や構造改革が格差拡大などの副作用をもたらしたとの指摘を一蹴する発言をしていた。世界大不況に突入した時期だけに、私は気になった。

 構造改革に着手のころ、皆が貧乏になるのか、一部の人が金持ちになり経済の底上げをするかのいずれかとすれば選択肢は一つ、との趣旨の竹中氏の発言を記憶している。確かに一部の人たちは金持ちになった。他方、日本が先進国の中では米国に次ぐ貧困大国になるほどの格差を生んだ。そして、経済の底上げは実現されていないのではないか。

 竹中氏は一人ひとりが勉強して稼ぐ力を身につければ解決するとしている。しかし、頑張って働いても収入が伸びないのが現実だ。こんな閉塞感が、不可解な犯罪や自殺者の増加を招いているのではないか、と思う。

 地方の郵便局を効率優先で廃止した件でも、過疎地の老人には困難な自立生活を強いる言及をしており、暗然たる思いを禁じ得なかった。

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西松建設は戦中の中国人強制労働問題にも誠意ある態度を

毎日新聞の広岩近広記者が書いていたが(3月22日付「発信箱」)、例の西松建設は戦前・戦中に連行された中国人を強制労働に従事させていた企業であり、現在もそのことで問題ある対応をしているそうだ。

一昨年に最高裁判決が出て「日中共同声明で賠償請求は放棄」と強制労働の謝罪と補償を求めていた原告側の訴えが棄却された際に、最高裁は異例の付言で西松建設が「中国人労働者らを強制労働に従事させ相応の利益を受けている」と認定し「被害者らの救済に向けた努力をすることが期待される」と道義的責任にもとづく救済を促したけれども、西松建設は「単に裁判官個人の意見」としてこれを無視しているという。

こうした品性下劣な振る舞いによって、中国の人々の対日観に影響があると考えると本当に頭にくる。西松建設は、世間にご迷惑をかけていて申し訳ないという気持ちがあるなら、心ある社員の声を糾合してこういう問題についても是正してもらいたい。

自民党の議員たちにも「返す先がわからない」という多額の献金があるらしいが、こうした被害者の救済基金でも作ったらどうか。

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2009年3月20日 (金)

中国の胡錦涛主席、訪中した北朝鮮首相にクギを差す。

中国の胡錦涛主席が訪中した金英逸(キムヨンイル)首相に対して19日、「6カ国協議を再開させることは、関係国の共通の課題だ」と述べ、ミサイル発射なども念頭に自制を促したという報道がなされている。

中国の北朝鮮に対する働きかけは、水面下で行われることが多く、このような報道に接するのは珍しいことだ。これはどのような「変化」を反映することなのだろうか。

言うまでもなく、1950年に始まった朝鮮戦争の時に、米軍の反撃で敗北の危機にあった北朝鮮に対し、建国間もない共産党政権の中国が鴨緑江を渡河して加勢し大きな犠牲を払いながら米軍を押し返して以来、中朝両国は「血で固められた同盟」という関係を誇ってきた。

今では北朝鮮は、中国からの食料、エネルギーなどの支援がなければ存立できないということは誰の目にも明らかなのだが、中朝関係は中国が北朝鮮のプライドをとても尊重する関係を結んできた関係があり、いまのキムジョンイル国防委員長の父親である金日成主席の時代から、日本側から中国側に対し「北朝鮮に対して影響力を行使してください」と働きかけても「ちょっと大きな声では言えませんが、全然言うこと聞いてくれないんですよ」という関係が続いてきた。

今回、公開の席で中国のトップから、かなりはっきりと例えばアメリカや日本も歓迎するような立場からの話が北朝鮮側に行われた。

この真意はどこにあるのか。中国として、米新政権が6カ国協議から米朝二国間に舞台を移すことのないよう、六カ国協議を本気で動かそうとしているのか。それとも、アメリカなどに一定のありばいを作ろうとしたのか。それとも、異例なトップによる半ば公開の場での発言ということは、さすがの中国も現在の北朝鮮のやり方にしびれを切らしかけているのか。

このトップからの注意喚起が、結果として北朝鮮のメンツを立てることになって、全体がいい方向に動くことに期待したい。しかし、逆にこのような明白な「助言」に対し、かつて毛沢東の中国がスターリンのソ連に反発したような過激な反応に出ないかちょっと心配がないわけではない。

しかし、いずれにせよ北朝鮮に関わることで日本の国益を実現したければ、「日米韓」をしっかり固めることとともに、中国の協力をいかに引き出すが決定的に重要だ。その点について現実が全く判っていなかった小泉政権に象徴される自民党政権、かつての外務省首脳部のあり方に対し、次期政権における「明確な転換」が強く求められる。

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2009年3月19日 (木)

「ミサイル技術=衛星打ち上げ技術」、「イランの核開発は、日本と同程度の核技術を持ちたいということ」といった視点を持つことの重要性

少し前だが3月7日のNHK・BS1『土曜解説』で、NHKの秋元千明解説委員が「ミサイルを打ち上げて、ある目標に弾頭を誘導する技術」と、「ロケットで人工衛星を打ち上げて、目標の軌道に投入する技術」は、技術としては同じ技術であるとあたりまえの発言をしたときに、「北朝鮮はなんてひどいことをしようとしているのか」と勢い込んでいるかに見えた女性アナウンサーは反応示さず話題を変えてしまった。

言うまでもなく、秋元氏はここで北朝鮮の肩を持っているのではなく、むしろ「衛星と主張したとしても、ミサイルだ」とファクトを指摘しているに過ぎない。ところが、こうした事実は「北朝鮮は悪いやつだ」と騒いで肝心なことから目をそらせたい人々、あるいは乗せられて騒いでいる頭の悪い人々にとっては「不都合な真実」だろう。

ところが、浅井基文氏も指摘するとおり(毎日新聞2009年3月10日付「新聞時評」)、朝日や毎日の社説すら、こうしたファクトを脇に置いて、とにかく「フテー野郎だ、勘弁ならない」というトーンだ。そうでなきゃ、「右」のブログにもたたかれるし、読売との部数差がもっと開いてしまうということなのだろう。

森田自身も、北朝鮮は「人工衛星打ち上げ」などより地域の平和のためにも、自国民が安心して生きていけるようにするためにも、他にやることがあるだろうと思う。「発射は当然だ。批判はおかしい」などと言うつもりは毛頭ない。

ただ、メディアや自公政権、外務省などが「国連安保理決議だ」「いや単独制裁だ」など、ここぞとばかりに騒ぎを煽るような姿勢を示していることに強い疑問を感じているのだ。

安保理決議と言うなら、中国やロシアへの根回しが必要だが、出来ているのか。麻生総理が民主党タカ派の前原副代表の挑発に乗って「尖閣に日米安保適用」などとわざわざ国会答弁し、訪中が延期になったというではないか。

アメリカでは、議会公聴会証言でブレジンスキー氏(カーター政権の国家安全保障担当補佐官、国務長官)が、「イランが行っている核開発は、言ってみれば日本が持っている程度の核技術を持ちたいということだろう」と発言したそうだ。ブレジンスキー氏は大使館人質事件で煮え湯を飲まされたご本人だが、ここでは対イラン強硬論をクールダウンさせることを狙っての発言だと思う。

イランと並べられると不快に思う人がいるかもれないが、外から見た日本の姿を時々想像してみることは大事だろう。

「北のミサイル発射はけしからん」「イランの核開発ばダメだ」という話は単純だが、「他人のふり見てわがふり直せ」ではないが、実は「わが国のH2A打ち上げと衛星軌道投入技術は、その気になれば直ちにミサイルに転用できる技術である」こと、「日本の核技術も、国際的な約束を反故にすれば兵器への転用ができる」ものであることを思い出しておくことは意味のないことではない。

それではなぜ、北朝鮮やイランについては騒ぎになることが、日本については問題にならないのか。いちばん簡単に言えば「日本国憲法」の裏打ちがあるからだ。アメリカがうるさく言わないのは、日米安保条約ということもあるだろう。

いずれにせよ、憲法9条というベースがあり、「福田ドクトリン」「村山談話」「河野談話」などの積み重ねがあって、わが国は「北朝鮮やイランとは違うよね」という一定の「信用」を得ているのだ。

注意しなければならないのは、田母神元空幕長の主張、あるいは安倍晋三、中川昭一、桜井良子といった人々の日頃からの主張は、こうした信用の基盤を根底から崩しかねないということだ。「日本はまた大日本帝国をやるつもりなのか。それじゃあ、北朝鮮やイランより危ないじゃないか」ということになりかねない。

わが国にとって北のミサイル発射や、イランの核開発より、こうした人々の威勢のいい発言や、一部の国民がこうした意見をおもしろがってはやしたてることの方が、国益を損なうところ大と言うべきだろう。

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2009年3月18日 (水)

米AIG巨額ボーナス、新規課税で取り戻せるかに注目

巨額の損失を出し、世界経済への影響を回避するためにアメリカ国民の巨額の税金を使った支援を受けて事実上の公的管理の下にある保険・金融会社AIGが、一部幹部社員に多額のボーナスを支給したことで、オバマ大統領はじめ民主、共和両党の政治家たち、また多くの国民が激しく怒っている問題についてだが、政治家たち怒っているのは選挙民向けのポーズという面が大きく、実際には取り戻せないのではないかと思っていた。

ガイトナー財務長官は「AIGはボーナス分を国に返却を」と求めているようだが、それではもらった人はもらい得だ。

しかし、報道を聞いているとボーナスを受け取った人から「税率100パーセント」などの課税によって取り戻そうとする動きもあるらしい。

ABCテレビのレポーターは、「議会でそのような法案が成立する可能性がある。ただし、それが法律的に正しいことかはっきりしていない」ということのようだ。

自民党政権下のわが国でもこのような場合、結局は力のある者のもらい得でうやむやになることがほとんどであるように思うので、貪欲な金融業者を野放しにしてきたアメリカが、ちょっとはましな対応をすることになるのか注目したい。

本当は、「公共事業を受注する業者の政治献金を禁止すべきだ」といった考え方と同様に、「税金の支援を受けた金融機関の職員の給与は、返済まで公的機関の許可制の下に置く」といった、一般的な制度を整えておくのがいいのではないか。

日頃から「高給をとりながらいい加減な仕事で自分の会社や内外の経済に損失を与えても、税金で穴埋めしてもらえて、何のペナルティーもない」というのは、公正さに欠けるように思う。次期政権にはぜひ考えて欲しい。

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2009年3月17日 (火)

「いまや自民も民主もない」という俗論

先週水曜、2009年3月11日付『朝日新聞』の声の欄に、千葉県船橋市の79歳男性による「若手を中心に政治家結集を」という投書と、山口県防府市の68歳男性による「党派を超えて難局に当たれ」という投書が並べて掲載され「民主党には、多くの良質な若手がいる」だの、「民主党政権で今までできなかったことができるのか」「国会の紛糾はもってのほか。大連立を」などという意見が開陳され、編集部はこの二つの投書に「いまや自民も民主もない」という見出しを付けている。

選挙の結果によっては大連立も選択肢の一つになるというのは現実だ。しかし、本来いま何より必要なのは自民党主導、官僚主導、財界主導の新自由主義、軍事優先の政治から、福祉国家建設、平和指向の複眼的外交への明確な「転換」なのである。

朝日新聞が、「いつでも与党の支持者でいたい」ご老人の投書を取り上げて、「いまや自民も民主もない」などという俗論を見出しにするとは。

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ペイリン元副大統領候補の娘、婚約破棄=右翼政治家の粉飾がまた一つ露見=

昨年の米共和党大会で、家族の価値だの何だのと保守的な価値観を強調してブームになっていたペイリン副大統領候補の10代の未婚の娘、ブリストルさんの妊娠について、相手の10代の青年が壇上に上げられ「二人は結婚する」と発表があり、大いに盛り上がった。

それが、実のところ子どもは無事生まれたけれども、二人は婚約を解消し、ABCテレビが求職中の青年にインタビューすると「いつでも子どもに会える」と言うものの、持っている子どもの写真は胎内にいたときのX線写真だけだった。

二人は生き方をそれぞれ、よく話し合った上で自由に決めればいいことだ。とても嫌な感じがするのは「私たちはなんて立派な家族でしょう」といった演出によって有権者に対して自分たちの姿を粉飾したペイリン元候補(現アラスカ州知事)のことだ。

だいたい、ご立派なご宣託で右寄り、保守的、「愛国」的な価値を並べるような連中に限って、いざというときは無責任で、何の反省もないのが普通なので、あまり驚かないが。

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日本テレビ社長辞任

虚偽報道で日本テレビ社長辞任と聞き、報道がこうしたことでケジメをつけるのは結構なことと思う反面、政局にクビを突っ込んで「麻生を辞めさせた後は石原伸晃がいい」とか言っている人などの方が実権を握っていて、痛くもかゆくもないんだろうと思う。

本当は、実権持っている方が責任問われなきゃ、おかしいんじゃないか?

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解散は「G20首脳会議・補正予算案の骨子提示直後」(森田敬一郎予想)

これまで、解散時期の予想については常に多数説より遅いタイミングを言ってきたが、今朝のNHKニュースで「自民党内に任期満了近くにという声が高い」といったことを言っているのを聞きながら、はじめて「もっと早いこと想定すべき」という思いを強く持った。選択肢は限られるとはいえ、解散時期でだまし討ちをかけるのは自民党のお家芸みたいなものだ。

首相はこう考えるのではないか。「もうどうしても『衆院3分の2』を使わねばならないものはない。『海賊対策』に便乗して、自衛隊が海外で自由に武力行使できるようにする恒久法制定をやりたい気持ちもあるが、自民党内各派の意向に乗っかって呑気にしていると『麻生おろし、総裁選』を仕掛けられる。せっかく体制側の『システム』が小沢ショックを作り出したのだから、一刻もはやく解散した方がいい。リーズナブルなタイミングは4月のG20直後に、補正予算の骨子を明らかにして抜き打ち解散することだ」。

民主党の候補者は悩ましい。早期解散を想定しても、事務所やアルバイトの確保は費用の面からムリすることはないと思う。しかし、本人、家族や限られた側近はいよいよ「何時でも」という覚悟を決め、1980年6月に菅直人氏が初めて当選した予想外の解散で、雨の中(たしか)真っ先に街頭に立ったことが報じられたような「常在戦場」の気合いと演出を考えておくことが大事だと思う。

特に、今後は「やっぱり解散はもっと先」と上手に思わせる操作的な情報が出てくるから要注意。

外れたらごめんなさい。

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2009年3月16日 (月)

広島原爆資料館について(つづき)

森田が考えることぐらい、たいてい他の人がすでに考えたり、行動に移しているという例の一つで、少し検索してみると「再検討」が実際に行われているという(例えば『中国新聞』の記事=後掲=)。

展示替えの構想も、森田が昨夜書いたものとほとんど同じで、誰が考えてもそういうことになるということだろう。

原爆資料館の出入り口東館に

'09/3/12

 原爆資料館(広島市中区)の展示見直しを考える市の基本計画検討委員会は11日、整備計画の中間案を大筋で了承した。出入り口とも東館とし、メーンの本館展示は人間的な視点で被爆の実情を伝える構成とする。

 管内を「導入展示」「人間の視点からの被爆の実相」「核兵器の危険性と広島の歩み」の3ゾーンで結ぶ。見学後、気持ちを整理するための場所も館内2カ所に設ける。

 順路は東館で導入展示を5―10分見る▽本館に移り、原爆の威力、人的被害などで「8月6日」に触れ、被爆者が描いた絵や遺品、証言映像からいまも続く被害の実情を知る▽東館に戻り、核開発の現状と被害、広島の復興の歩みと平和への取り組みを学ぶ―を想定する。

 学識経験者、被爆者たちで構成する検討委の会合には、19人が出席。昨年4月以降の検討委と「建物・展示整備部会」の議論を踏まえ、事務局が中間案を説明した。今後は「被爆体験証言活動部会」でも検討を進め、市は2009年度中に基本計画を策定する。           【中国新聞 2009年3月12日】

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広島の原爆資料館(平和祈念資料館)は構成に工夫の必要あり

最近、子ども二人が広島の原爆資料館を訪問していないことに気づき、これはいけないとこの週末出かける。一浪、高3で、4月から大学生になる二人だが、それぞれの印象を受けたようだ。

森田自身、大学生だった30年近く前、「本館」も展示場になってからの数年前と訪問経験があったので、本館は被爆前の爆心地と、被爆直後の爆心地をそれぞれ再現したジオラマにほぼ絞り、東館の被爆の実相を伝える展示の見学に重点をおいて案内・説明することで、初訪問の二人にある程度フォーカスした見学を体験してもらえたと思う。

本館の展示のうち、被爆以前の広島の歴史を描いた部分、その2階の核兵器のメカニズムや軍拡競争の問題、広島市の平和運動などについて紹介する部分は、問題を深く理解し、あるいは「現代の問題である」ことを印象づける部分としてとても大事だと思うが、森田は、それらの部分は展示全体の流れ・順序の中では、東館の展示内容を見た上で、それに続くものとして取り上げられる方がよいのではないかと思う。

収蔵品の収集に始まり、同資料館の活動の果たしている役割にはたいへん大きなものがあるので、森田のような者が意見を申し上げるのは誠に僭越なのだが、例えば井上ひさし氏とか、平田オリザ氏といった、「表現」の面で達者な人々に「構成」について助言を求めるといったことを考えられたらいいのではないだろうか。

もっとも、現地でもそういう話が出ているとガイドさんも話していたし、秋葉市長、リーパー理事長などの人々はPR面でもたいへん優れた能力のある方々なので、きっと将来、こうした点も改善されることと思う。

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2009年3月12日 (木)

「あらゆることが流動的」-日本語を褒められた =後任は岡田さんでしょう=

英語国の外交官が電話してきて「日本の政治どうなりますか」と言うので、日本語で以下のような話をした。

「新聞に書いてあることとだいたい同じだが、小沢さんは民主党を選挙に勝たせるために辞めるだろう。(後はだれになりますか?民主党の中はグチャグチャになるんじゃないですか)40歳代の人たちも支持するということを考えると岡田さんだろう。現執行部の菅さん、鳩山さんということもあるだろう。多少つきあいのある自民党の長老は、今回の事件のずっと前から『あそこは結局、鳩山なんだろう』と言っている。

 岡田さんになれば、イメージもいいし、かえって無事に民主党政権ができるんじゃないかな。ただし、交代が早いタイミングになると、自民党内でも総裁選挙ということになっていくかもしれない。みんな言っているけれども、どっちの党も、いま自分が動くと、それがはねかえって自分の当選に不利な状況が起こるかも知れないと動かずにいるということでしょう。どうなるかわからないというのが本当で、ひょっとしたら何週間か後には、河野太郎政権なんていうのができているかもしれない」。

そんな話をしたら、「森田さんが最後に言った『あらゆることが流動的』という表現が、いまの日本の政局にとても合っていると思います」と日本語を褒められた。

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李明博・韓国大統領の対北朝鮮政策-今こそ日韓協力強化に動くべきとき

午後、有楽町の東京国際フォーラムで開催された韓国大使館と毎日新聞社主催のシンポジウムを聴講した。

基調講演者の一人、権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日大使は、さすがに政治家出身の大使らしく、また軍事政権時代に国を追われるような形で筑波大学に留学して社会学博士号をとったという日本経験の基盤の堅さから、大きな視野の、しかし足が地に着いた感じの話しだった。

森田は初めての参加だったが、何年かに一度開かれるこうした催しに毎回参加しているという元韓国紙記者で大学講師の李ホンチョン氏に聞くと、歴史問題がほとんど取り上げられなかったことが数年前と様変わりということだった。

権大使は、たしかに李明博大統領の実用主義の外交が、昨年の文部省の指導書での独島(竹島)問題への言及の問題で一挙に台無しになりかけた危機について触れたけれども、日帰り参加の朴チョリ・ソウル大国際大学院副教授や、経済面での日韓協力の必然性を説いた金ジョンシク延世大教授、浦田秀次郎早大教授の発言は皆、前向きの話ばかりだった。

森田にとっていちばんの収穫は、今までいまひとつ明確に像を結んでいなかった李明博政権の対北朝鮮政策について、道下徳成・政策研究大学院大学助教授のよく整理した話しを聞き、またコーディネーターの金子秀敏編集委員の突っ込みを含めたパネラーのコメントを聞くことによって、少し見通しが良くなったことだ。

道下助教授、朴チョリ副教授らによれば、李明博政権の対北政策は「核兵器開発阻止」に明確にフォーカスされている。まずは政権発足当初から「非核開放3000」として提唱された、「北が核を放棄すれば北の一人あたりGDPを3000ドルのレベルまで引き上げることを支援する」という内容だ。

しかし、北は前政権が言わば見返りを求めることなく行っていた支援の一部が停止されたことに激怒したことが報じられ、「非核開放3000」もその発動が「北の核開発停止が完全に確認された後」ということでは、これまでと180度違う話になってしまうのではないかと漠然と思っていた。

この点について道下助教授によれば昨年夏、構想3000はさらに内容が練られ、「共生共栄政策」といった名前がつけられたそのロードマップは柔軟なもののようだ。

①北の核無能力化の方向性がはっきりしたところで、「非核開放3000」を直ちに実行に移せるよう準備に着手する。

②核廃棄のプロセスが明確になった段階で、教育分野や生活水準の向上などの支援を始める。

③核廃棄実現により、全ての分野で400億ドル規模の支援を実施する。

こういった内容らしい。さらに道下助教授は「韓国が一人、太陽政策でどんどん援助を送る政策から、現在の比較的厳しい線になったことで、対北朝鮮政策の基本線において日本と韓国の差はなくなった」「ただし、韓国と日本の違いは、韓国は北が核放棄を進めれば、わが方はこのような援助を進めるというロードマップを持っているのに対し、日本にはそのようなものが準備されていないことだ」。

今日のシンポジウムでは触れられなかったけれども、「拉致問題」が日本のロードマップに含まれるのは良いことかもしれない。「拉致問題が完全に解決しなければ一歩も動かない」「支援は核が完全に放棄されてからだ」というのでは、原理原則には忠実かもしれないけれども、目的を達成するのに合理的なロードマップとは言えないだろう。韓国からも「友達がいが無いじゃないか」と言われることになる。

ここ何日か、NHKテレビのニュースでも拉致被害者の家族が釜山で金賢姫・元死刑囚と面会するというニュースばかり目立っていた。原理・原則から考えればその通りで、国民感情に寄り添うということではそうなのかもしれないが、わが国の現実の安全保障から考えても、韓国を初めとする北東アジア各国の関心の順位から考えても、拉致問題の東アジアの国際政治における優先度は「北の核兵器開発阻止」よりも低いという現実を知っておくことも必要だろう。

経済協力では、発言者は一様に「日韓FTA」の重要性を強調した。締結した場合、その経済効果は農業分野での損失よりはるかに大きいこと、そしてこの問題は政治の決断にかかっていることが強調された。森田としては、最近の世界経済の現状を反省し、「人、モノ、カネの自由な移動」のメリットを強調するだけでなく、共通の金融監視体制の構築、社会保障や雇用制度の共同研究などについても協力の対象として取りあげてほしいところだが。

経済といえば、もう一人の基調講演者である東レの榊原定征社長が紹介した、自社に例をとっての韓国への技術協力や投資の成功の秘密の話しも参考になった。70年代に次々に韓国に進出した同業の大手日本企業は、ほぼ80年代、90年代までに全部撤退してしまったそうで、現地の関係7社の活動が継続している東レが一人踏ん張っているようだ。

権大使も、朴チョリ副教授も、「大阪生まれの大統領」「日韓議連会長が国会議長」「外相は元日本大使」「日本大使も日本留学経験のある政治家出身」という韓国側の布陣は、日韓関係にとってこれ以上は考えられないもののようだ。

一方、他のところで聞いた話だが、最近の麻生総理の訪韓も韓国メディアは厳しかったものの、一般の印象はとても良かったというし、北東アジア課の人の話しを間接的に聞いたが、中曽根外相も報道されているわけではないが、方々に知り合いがたくさんいてたいへん歓迎された様子で、北東アジア課にとっては役に立つ存在であるらしい。

ここは一つ、民主党はじめ次期政権を担う方々には対韓国政策も良く練っておいていただきたい。やはり「北東アジア」が日本の地元であり、選挙も外交も、地元が肝心というのが真実なのではないだろうか。

【以下、毎日新聞記事切貼】

日韓シンポジウム:駐日韓国大使が「A2で協力を」

 韓国の李明博(イミョンバク)政権発足1周年を記念し、日韓の専門家を招いたシンポジウム「今後100年の日韓関係のために」(毎日新聞社、駐日韓国大使館主催)が11日、東京都千代田区で開かれた。米国のオバマ政権誕生や世界的な金融・経済危機という状況下で日韓両国がどう協力すべきかについて意見が交わされ、参加した約200人が耳を傾けた。

 基調講演では権哲賢(クォンチョルヒョン)・駐日韓国大使が「李明博大統領は昨年1年間で57回の首脳会談を持ったが、最も多いのが6回の日本だった」と紹介。「アジアを代表する先進的な市場経済国家である韓国と日本がA2(アジアの2カ国)として諸問題に共同で対処し、中国を加えたA3(同3カ国)に発展させるべきだ」と提言した。

 また、榊原定征(さだゆき)・東レ社長(日本経団連副会長)は、韓国での事業展開に触れながら、日韓の産業・技術面での協力や経済連携協定(EPA)推進の必要性を訴えた。【成沢健一】

毎日新聞 2009年3月12日 東京朝刊

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2009年3月10日 (火)

オバマ政権がES細胞研究への助成解禁-「ひとりよがりのキリスト教原理主義」から「科学を尊重する政治」へのチェンジ

オバマ大統領がES細胞研究への連邦助成を解禁する大統領令に署名した(毎日新聞記事を後掲)という。アメリカ政治がブッシュ時代の「ひとりよがりのキリスト教原理主義」路線から、「科学尊重の現実重視」の路線へのチェンジを進めていることの証左だ。

これについて、朝からNHKのニュースを聞いていて気になったのは「キリスト教原理主義」への言及が無かったことだ。毎日の記事も「保守派」としているが同様だ。

【NHKのページより】

米大統領 ES細胞研究を助成  NHK 3月10日 6時52分

アメリカのオバマ大統領は、人の受精卵が分裂する過程で取り出すことができる特殊な細胞「ES細胞」を使った医療研究を助成する大統領令に署名し、「生命倫理の一線を越える」として拒否権を発動したブッシュ前政権との違いを鮮明にしました。

受精卵が分裂する過程の「胚(はい)」から取り出すことのできる「ES細胞」は、人体のさまざまな組織を作り出し、難病の治療への応用が注目されています。これについてオバマ大統領は9日、ホワイトハウスで演説し、「多くの研究者や医師、難病患者やその家族が待ち望んできた『変革』をもたらすときがきた。ES細胞の研究への助成を解禁する」と宣言しました。そのうえでオバマ大統領は「これまでの政権は健全な科学と道徳的価値観を取り違えてきた。この2つは両立できる」と述べ、研究を助成するための大統領令に署名しました。この研究をめぐっては、「初期の生命を破壊するものだ」という反対論が強いことから、オバマ大統領は厳しいガイドラインを設けるなどの配慮を示しましたが、議会が可決した法案に対し、「生命倫理の一線を越える」として、2度にわたって拒否権を発動したブッシュ前政権との違いを鮮明にした形となりました。

ブッシュ大統領による連邦予算支出禁止が、ブッシュ氏個人のキリスト教右派のイデオロギーや、選挙で共和党の強力な基盤になっているキリスト教原理主義勢力に対するサービスとして「歪められた政策」であったことは自明のことであるのに、容疑者がイスラム圏の人物による事件の際にはすぐに「イスラム教徒」「イスラム原理主義」とあげつらうのに対して、アメリカのキリスト教原理主義勢力に対しては遠慮するというのはダブルスタンダードであり、メディア全般に見られるバイアスだ。

もちろん、イスラムを名乗る過激派に対して「イスラム過激派」と表記することは適切だが、こんどのようなES細胞に関わるニュースで「キリスト教」に触れないなら、ただ単に「過激派」とすることが適当だろう。

いずれにせよ、シリアとかパレスチナの地に起こったユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、唯一絶対神を信仰するいわば兄弟宗教で、世界中の紛争の大半はこのいずれかが関わるということは、まことに迷惑な話なのだが、日本人がこの中で、とりたててキリスト教の肩を持ついわれは無いはずなのだ。いくら自民党政権が盲目的なアメリカ追従を続けたとはいえ、アメリカが「宗主国」というわけではないのだから。

ちなみに板垣雄三氏によれば、「原理主義」ということばはキリスト教内部の概念で、「イスラム原理主義」という言い方は、キリスト教圏の人がそれを当てはめて使っているに過ぎないそうだ。

BS1の「おはよう世界」の税所玲子キャスターは「キリスト教の右派」ということばを使って解説していたが、ブッシュ大統領の連邦予算支出禁止は「こうした声に配慮して」という表現にとどまり突っ込み不足の印象だった。

【以下、切貼】

ES細胞:米、研究へ助成解禁 オバマ氏、大統領令に署名

 【ワシントン及川正也】オバマ米大統領は9日、ヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究への連邦予算支出を解禁する大統領令に署名した。受精卵を利用するES細胞研究について、保守派のブッシュ前大統領は01年8月、「生命の破壊につながる」として連邦政府の助成対象を既に作られているES細胞に限定し、新たな研究への支出を禁止していた。

 オバマ大統領は「研究に取り組む科学者を積極的に支援する」と表明。保守派の反対論に対し「健全な科学と道徳的価値観は矛盾しない」と反論する一方、実施にあたり「厳格な指針」を策定する考えを示した。

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 ■解説

 ◇米の研究、より加速--日本・厳しい指針、「遅れ」批判も
 オバマ米大統領がさまざまな細胞や臓器になるES細胞研究支援に踏み切り、米国の研究は加速しそうだ。日本発の人工多能性幹細胞(iPS細胞)研究も技術の基礎はES細胞にある。この分野で米国が「独走」すれば、再生医療の競争で日本は厳しい状況になるが、受精卵を扱うだけに歯止めをどうかけるのかが改めて問われる。

 ヒトES細胞規制は各国で差がある。独は作成を禁止、仏は06年に作成を認めた。英は不妊治療で余った受精卵だけでなく、ES細胞作成のために受精卵を作ることが可能だ。日本は余剰の受精卵から作成を認めている。

 ブッシュ政権下では州の予算や民間の資金で連邦予算を補った。00~06年発表の関連論文453本の40%が米国発。英国10%、韓国8%などと続き、日本は2%、10位だ。

 背景には日本の厳しい指針がある。当初は細胞を実験室で使うだけでも、国が全研究員の適性審査を行った。研究者の批判を受けて、見直しが進められているが、中辻憲夫・京都大教授は「研究推進を掲げつつ、実際はブレーキをかけている。遅れは取り返しがつかないほどだ」と話す。

 遅れは、人工的に作ったES細胞であるiPS細胞の研究にも響く。米国の決断は日本の研究態勢にも波及しそうだ。【奥野敦史】

毎日新聞 2009年3月10日 東京朝刊

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漆間官房副長官「自分からは辞めぬ」は、「総理が、警察敵に回してクビにできるわけないだろう」という意味

漆間官房副長官゛が、「総理が辞めろと言えば辞めるけれども、自分からは辞めぬ」という意味は、「総理が、警察敵に回してクビにできるわけないだろう」という意味であると森田は思う。

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2009年3月 9日 (月)

【切貼】中谷巌氏、転向の弁(2009年3月9日付「毎日新聞」朝刊)

「何をいまさら」「今度は転向で本を売って儲けるつもりか」というご批判もあるかと思うが、そこは雲南の山賊の親玉を何度も許した諸葛孔明の寛容を見習って、いよいよわが陣営の陣容を厚くすることが賢明だろう。

以下、毎日新聞2009年3月9日付の記事の切り貼り。

語る:中谷巌さん 『資本主義はなぜ自壊したのか』を刊行

 ◇改革の副作用を懺悔した後に
 経済学者、中谷巌さんの『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル、1785円)が話題だ。アメリカ流の経済学を武器に構造改革を推進した中谷さんによる「懺悔(ざんげ)の書」。格差拡大など改革の副作用を分析して、日本経済再建の方向性をも示している。【鈴木英生】

 新自由主義=市場原理主義は今、金融危機、あるいは格差拡大や地球環境破壊の元凶として批判されている。本書も、新自由主義を放置すれば日本社会が棄損されると警告している。だが中谷さんは元々、新自由主義を日本に持ち込もうとした一人でもあった。

 1969年から米ハーバード大に留学した。<第一印象は「素晴らしい」の一語だった>。新古典派と呼ばれる経済学に心酔し、同国の豊かさをその理論の結果と信じた。

 「米国経済学の世界観は『マーケット』と『民主的政府』の2本の柱でできている。マーケットは資源配分を参加者の民主的なお金による『投票』で決める仕組み。他方、環境や格差拡大などマーケットで解決できない問題は、民主的投票で選ばれた政治家が政府を動かし、問題解決にあたる。経済と政治の両面で民主主義が貫徹すれば、社会は進歩してゆくとされています」

 帰国後、この考え方に基づいて日本社会の既得権打破、規制撤廃、市場の活性化を訴え続けた。90年代に入って細川内閣、小渕内閣で首相諮問機関の委員になり、小渕内閣の「経済戦略会議」の提言は小泉内閣に引き継がれた。だが、本人が米国流経済学から距離を置くきっかけは、このころの首相官邸通いにあった。

 「現場で、政治家や官僚の猛烈な利害調整のせめぎ合いに直面しました。米国経済学の世界観とは相いれない世界が、ここには厳然と存在していました。米国の経済学は、完ぺきに自己完結する世界を作っています。しかし、その外に広がる現実の社会は、しばしば合理的には説明できない不条理な世界であり、経済学の論理だけでは論じ切れないと思うようになりました。歴史や文化、宗教などもきちんと勉強したいと思い始めました」

 こうした勉強を続けるうちに、「やはり、経済学的世界観だけで政策を作るのは危ないと改めて思うようになりました。なぜなら、マーケットと民主政治に任せれば自然に良い社会が作られるという考え方では、日本社会がおかしくなってゆくと感じるようになったからです」。<人心の荒廃や、貧富の差の拡大は、(略)グローバル資本主義やマーケット至上主義そのものにビルト・インされたものではないか>という疑問が生まれたのだ。

 この疑問は、市場経済を限定的にしか導入していないキューバやブータンを訪れて再確認した。「両国とも貧乏ですが、人々は非常に穏やかで明るく見えた。もっと高所得国でも、貧困層は多くの場合、心が荒(すさ)んでいる。これは市場経済の副作用ではないのか」

 もちろん、日本が両国のようになれるわけもなく、市場経済を全面的に拒否すべきでもない。ただ、「日本がどんな国で日本人はどんな生活をしてきたかを考え、その価値観に合った市場の使い方をすべき」だと考えるようになった。

 本書は、日本の特徴を<世界でも類を見ない平等主義的な社会>だったことに見る。だから、目先の金融危機克服以上に<貧困層の底上げ、所得格差の是正によって、日本という「国のかたち」を整え直すこと>の必要性が導かれる。

 ここから、経済学者としての面目躍如の議論を展開する。「還付金付き消費税」の提言だ。まず、福祉目的で消費税を20%まで引き上げる。この時、年間消費200万円の世帯の消費税負担は40万円となるが、貧困世帯には、<毎年四〇万円ずつ還付する>仕組み。こうすれば、この世帯の実質税負担はゼロとなり、それ以下の年収の世帯は、むしろ還付金の方が多くなる。「日本の平等的な社会が欧米のように階級的に分断されたら、この国にはなんの強さも残らない」

 「改革のすべてが悪かったとは思いません。ただし、マーケットは万能ではない。使い方を間違えれば副作用が噴出する。私の主張は、配慮が足りなかったと認めざるを得ないのです」

 ◇マルクスの分析を評価
 <人間は仕事から疎外されたのである。資本主義社会における「人心の荒廃」はこのあたりに根源的な原因がある(略)><エリートたちが上手に一般大衆を支配し、搾取することが可能な、もっともらしい制度や仕組み、ルールを作ること、それこそ階級社会におけるエリートたちの暗黙の思惑(略)>。本書には、初期マルクスやレーニンが書きそうな言葉がある。経済学の中で最もマルクスと遠いはずの新古典派だが、「マルクスの資本主義分析には、正直なところ、学ぶべきものがあります」と中谷さん。最近、貧困問題に絡んでマルクス経済学の入門書が次々に刊行されている。この事実と合わせて考えると、中谷さんの発言は、更に重く感じられる。=「語る」は随時掲載します。

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 ■人物略歴

 ◇なかたに・いわお
 三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長。1942年生まれ。米ハーバード大博士号取得。一橋大教授など歴任。細川内閣で経済改革研究会委員、小渕内閣で経済戦略会議議長代理。著書に『入門マクロ経済学』など。

毎日新聞 2009年3月9日 東京朝刊

【以上、切貼】

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2009年3月 8日 (日)

N響神田さんのフルートはアメリカ製

今週の愛川欣也「パックインジャーナル」(朝日ニュースター)は小沢秘書逮捕「陰謀論」に重点があったらしいが、本放送は息子の高校の卒業式、当日の再放送はゲルギエフ~サンクトペテルブルグ・マリーンスキー劇場のストラビンスキー「火の鳥」「春の祭典」などのオリジナルに近い形でのバレエ公演の放送を受信するのを優先して、今後の再放送を見ることに。

世田谷区にある「科学技術学園高校」の卒業式は、どちらかというと勉強の苦手な生徒が集まる学校だが、校長や理事長の挨拶もよく練られた短いもので、吹奏楽バンドもテクニックは別として心のこもった演奏。なかなかテキバキとした気持ちのいい卒業式だった。

春の祭典のあの振り付けや衣装の版は、テレビでも通しで見たのは初めてで、とても興味深く良かった。それにしても、容姿ひとつとってもロシアのバレエはまだまだ層が厚いと感じた。

ところで、日曜に2年前だかのアシュケナージ指揮・N響ロサンゼルス公演のドビュッシー『海』のビデオを取り出して観たが、前の曲との間に現地レストランで寛ぐ団員たちの様子が流れ、フルートの神田さんが「私のフルートはアメリカ製で、私自身アメリカは初めてなので、楽器も初めての里帰り」という話をされていた。

神田さんの演奏は音楽性も豊か、音がとても美しい。あの黒い木管であろうフルートも名器に違いないと思っていたが「アメリカ製」と聞きちょっと意外な感じ。フルートの事情など全然知らないが、てっきりヨーロッパ製か日本製と思っていた。

もちろん、「アメリカ製」であろうといいものはいいのは日本国憲法も同じだ。

そういえば最近、左派系ブログでは森田敬一郎の親米色が少し浮いているような気がしている。

「右」の方にも、ちょっと前の産経論壇内に「親米右翼」と「民族派右翼」の二色の違いが目立ったけれども、森田の場合は「左派だけれども、相手がブッシュ&チェイニーでは全くダメだが、アメリカのリベラルとの積極連携なら志向する親米ハト」という第4の路線なのかなあとも思う。まあ、こうした分類やレッテル貼りよりも、肝心なことは中身だと思うけれども。

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船橋市議会休日開催

NHKのニュースで、船橋市議会の休日開催の話を紹介していた。

平日の昼間の開催では、働いている世代や学校に通っている世代はなかなか傍聴も難しいのが実情なので、よい試みだと思う。

これは学校の保護者会やPTAなどにも言えることだが、形骸化させないための一つの工夫だと思う。

「自民党時代のお任せ政治」から、「民主党時代の参加の政治」に向け、民主党の政策にこうしたことの推進をぜひ盛り込んでほしい。

【以下、NHKのページより切貼】

給付金支給めぐり日曜に議会   2009年3月8日 NHK

3月8日 19時44分

定額給付金の支給をめぐって、千葉県船橋市では日曜日の8日、市議会が開かれ、多くの市民が傍聴に訪れました。休日の開催は16年ぶりだということです。

これは、船橋市の市議会が、関心の高い定額給付金の支給方法などについて審議の課程を多くの市民に知ってもらおうと実施したもので、休日の開催は16年ぶりだということです。議員が給付金の支給時期や、支給にあわせた地域商品券の発行など、地元経済の活性化策について市の対応をただしました。これに対して、市は「来月中旬から申請書を送付し、5月中旬ごろに支給される見通しで、商店街がイベントなどを企画している」などと答弁していました。船橋市で定額給付金の対象となる人はおよそ60万人で、89億円が支給される見込みです。傍聴席にはおよそ80人が訪れて、熱心にメモを取りながら聴いていました。小学生の子どもを連れた会社員の男性は「定額給付金の支給は決まったことですが、自分の住む街でどのようなやりとりがされるか関心があります」と話していました。船橋市議会の村田一郎議長は「これほど傍聴者が多いのは初めてで、市民の関心に応えられたと思う」と話していました。

【以上切貼】

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2009年3月 6日 (金)

「献金返却」という自民党議員-証拠を見せろ。

加納時男議員とか、二階派とか、西松関係の献金を「返却する」と表明している自民党の議員たちがいて、それをメディアは大きく報道している。

これは、本当に返却したかちゃんと見届けないと怪しい話だ。検察が偽装とリークしている政治団体は解散しているというのだから、いまのところ「誰」に返したらいいのかハッキリしていないなどと言うではないか。

「そのうちハッキリしたら」などと言っているうちに、メディアの関心は他の方に移ってしまい、結局は逃げ切ろうという魂胆の議員もいるのではないか。

「ここに返しました。これがその領収書や振り込みの記録です」というものが提出されない限り、森田は「返却」を信じない。

メディアには社会部というものがあるのだから、検察リークばかり報じていないで、また政治部に遠慮ばかりしていないで、この辺でもちゃんと報道の使命を果たして欲しい。

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「田母神氏年収1億」-あなたの所属組織で田母神講演会の企画が持ち上がったら‥

地下鉄の週刊誌吊り広告を眺めていたら「田母神氏年収1億」という見出しを目にした。恐らく、講演料何十万円とかの講演会などに引っ張りだこなのだろう。

いろいろな団体で講演を企画する人は、聞きに来る人のウケを狙って、面白い人、話題の人を呼びたいと考える。そうしたの中には、軽い考えで「田母神はやっているらしい」「ちょっとツッパってて面白い」と思う人がいるかも知れない。

もちろん、産経新聞や小学館の『SAPIO』の愛読者の確信犯的な保守反動で、この機に乗じてと「田母神講師」を提案する人がいるかもしれない。

仮にあなたが、講演会の企画に関わる仕事をしていて、どこからか「田母神を呼ぼう」という声が出たら、あなたはどうするべきか。

何か言うとカドが立つから黙っている?

右翼の連中はうるさいし、ちょっと怖いし、頭が悪くて話が通じないから好きなようにさせる?

‥‥お願いですから、ほんの小さな勇気を振るって「でもちょっと引いちゃう人がいるかもしれませんね」とか、「話題としては、もうちょっと古いですね」とか、理由はなんでもいいので、賛成ではないという意思表示、あるいは提案の勢いをくじく一言を発してください。

田母神氏の主張の焦点は「日本はいい国だ」ということだそうですが、その中味は直接的には【(1)この前の戦争が日本が悪かったのではない】ということであり、言外に【(2)軍部が政治を壟断した戦前の政治体制が悪かったのではない】ということだ。

これは日本外交の「地元」である韓国や中国との関係、またアメリカとの関係すら破壊する考え方です。また、やがて国民の自由を窒息させ、人権保障を危うくする方向につながる主張です。ツッパリというよりは、反社会的な言辞であり、このような主張を航空自衛隊のトップとして主張したということは、わが国の平和と民主主義、また憲法を危うくするものと言わなければなりません。

「でも、私一人が反対しても‥」と思われるかも知れません。

しかし、考えていただきたいのです。日露戦争の後に韓国を併合し、中国を侵略し、そのことで対立したアメリカに重大な結果を招くことになった先制攻撃をしかける。戦争が終わった後、一般の人々は「私は戦争には反対だった」「騙された」と言いました。軍部や政府の軍国主義者の仕業だったというのです。

それは「嘘」です。愚かな歴史の選択をしたのは、ポーツマス条約が弱腰だといって日比谷焼き討ち事件を起こした一般の東京市民(横須賀の小泉純一郎氏の祖父も参加していたらしい)、5・15事件の軍事法廷に「心の清らかな決起将校を死刑にしないで下さい」と助命嘆願や多数の署名を提出したごく一般の年配女性たち、中国各都市の軍事占領を祝った提灯行列に参加した人たち。そういった人々だったとも言えるのです。

要するに、興奮して戦争を煽る方にまわった多くの一般国民がいて、それ以上に「私一人が反対しても」「みんなこう言ってるから」「空気読め(そういうことばがあったかどうかは別として)」と流された人々がいて、さらに、そうした世論の圧力を軍部内の派閥抗争や、議会での政友会・民政党の対立に利用しようとする輩がいて、システムが悪い方向に動いた結果‥‥

だから、小さなことのようで「いま、うちの会に田母神さんを呼ぶのはちょっとどうかと思います」と、勇気を振るってあなたがひとこと言うことは、とても大事なことだと思います。

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2009年3月 5日 (木)

長谷川憲正議員の「竹中参考人招致」要求を支持する

午後の参院予算委質疑の最後は、国民新党の長谷川憲正議員だった。朝日の記事も紹介しているが、長谷川議員は竹中平蔵氏が鳩山邦夫総務相によるかんぽの宿払い下げ問題に関連して「与野党の郵政族議員が結託して」などの非難を繰り返していることについて、竹中氏を参考人招致して見解をただすことを要求し、北沢委員長も「理事会で協議する」と引き取った。

聞いていてなるほどと思ったのは、政府が100パーセント株を持っているのだから、あまり日本郵政がおかしなことやっているならば、臨時の株主総会を開かせて、役員全部入れ替えてもいいのだし、外国にはういう前例もあるという話しだった。

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イミョンバク大統領の多国間軍縮交渉の提案

NHK・BS1で見た韓国KBSのニュースによると、オーストラリア訪問中のイミョンバク韓国大統領はオーストラリアの新聞に寄稿し、東アジアにおいても「多国間の交渉の枠組みを推進することで、北東アジアの軍備競争を抑制していくべきだ」との見解を示しているそうだ。

わが国の自公連立政権や外務省、防衛省から聞こえてくるのは「中国は軍事力を強化している」という話ばかりだ。せめてイミョンバク大統領の今回の発言程度の建設的な発信はできないものだろうか。

ただ騒いでいるだけでは、現実を変えることはできない。

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タックスヘイブン

昨日のNHK・BS1「今日の世界」後半の特集は、BBCがタックスヘイブンを取り上げたレポート番組の紹介だった。

リヒテンシュタインやジャージー島がケースとして取り上げられていたが、アメリカでもイギリスでも金融機関や大企業救済のために巨額な税金が使われている一方で、救済を求める企業の巨大な資産が「税率が低い」「当局の監視の目が届かない」タックスヘイブンに置かれて課税逃れ、資産隠しが行われているということに怒りが集まっているという内容だ。

国境を越える「多国籍企業」ということが言われるようになって30年にもなると思うが、労働者は「グローバルな競争」を口実に権利を削減され、賃金を引き下げられる一方で、カネ持ちは「監督・規制」には「グローバル化」が及んでいないことを良いことに、濡れ手で粟の大儲けに走るばかりでなく、今日の世界的規模のバブル崩壊、金融恐慌・景気後退を引き起こした。

4月のG20サミットでもこの問題が取り上げられる見通しだというが、日本政府からこの問題で、あるべき姿について何かいいアイデアが発信されたという話を聞かない。自公連立政権も、財務省や金融庁も、タックスヘイブンを規制することよりも、これを個人的にどう利用するかを考えたりとか、ワインを飲んだりとかで忙しいのだろうか。

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田中康夫議員の質問

国会中継をつけっぱなしにしていたら、田中康夫元長野県知事が出てきた。民主党の枠内、40分という限られた枠内だが、なかなか聴かせる質問だった。

前半はグリーンニューディールに関することで、間伐推進が一石何鳥にもなるという聞き慣れたはなしだが、組み立て方、話し方もあって引き込む。テレビの画面で見ると麻生総理も含め、斉藤環境相、二階経産相、石破農水相なども「その話は知ってるよ」と思ってはいるのだろうが、本気で聞き入っているような様子に見えた。

委員会質問はこういう感じであってほしい。野党議員や、これから野党になる議員にはビデオを見て勉強して欲しい。

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米ロ関係、ミサイル防衛(MD)に注目

アメリカで政権交代があれば、核軍縮やMDにも良い方向への変化があり得るということをここでずっと言ってきたが、いよいよ実際に動きが出てくることになる。

予定される米ロ外相会談では期限が切れるSTARTⅠに変わる戦略核兵器削減交渉の枠組みについて話し合われるということだし、オバマ大統領がメドベージェフ大統領に「イランの核開発を阻止できれば、アメリカのMD東欧配備は不要になる」という趣旨を含んだ書簡を送ったことが報じられたりしている。

これも世界が正しい軌道に戻るために必要な作業であり、大いに注目したい。これに関わって世界の政策潮流も変化しつつあり、わが国も安倍政権の時にMD開発・配備を決めているわけだが、各党の国防族以外の政治家たちにも(国防族以外だからこそ)、大きな視点から再検討をしてもらいたい。

なお、メドベージェフ大統領の反応についてNHK・BS1の今朝の「おはよう世界」は「MDについて話し合おうというのは評価するが、イランの核開発については取引しない」と要約したが、昨夜の「今日の世界」は「イランの核開発については取引しないが、MDについて話し合おうというのは評価する」と要約していた。前後を入れ替えただけだが、後者の方が米ロ関係全般に前向きな姿勢に聞こえる。

ちなみに、番組で紹介されたロシアRTRのインタビュー映像は「イランの核開発については取引しないが、MDについて話し合おうというのは評価する」という順に言及していた。

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ブラウン英首相は「議会演説」も

麻生訪米での日米首脳会談は「昼食会なし」「共同会見すらない」と言われたが、ブラウン英首相の場合は会談後に記者の質問を受け、昼食会もやり、「議会演説」も行った(切貼後掲)そうだ。

イギリスの首相としても5人目だったという議会演説は儀礼的なものだが、希望すれば誰でもできるわけではない。最近では安倍首相が訪米の際の議会演説を画策したものの、従軍慰安婦問題についての安倍首相の姿勢から認めるわけにはいかないというハイド下院外交委員長(当時、共和党)のホワイトハウス充ての書簡もあって実現できなかったという例もあった。

今回はムリムリ突っ込んだ日程だったため、イギリスと格差がついてしまったが、麻生政権がいつまで続きそうかということを外務省が考えたということもあるのだろうか。

もっとも、どの首相であれ「さすがに日本の首相はいい演説をするね」ということならいいのだけれど、そこはかなり心配だ。将来、もし日本首相の米議会演説という日が来るなら、村上春樹さんに原稿添削してもらうといい。

【以下、切貼】

英首相、新たな欧州観構築を  米議会で演説

 【ワシントン4日共同】ブラウン英首相は4日、米議会の上下両院合同会議で「『古い欧州』や『新しい欧州』など存在しない。あるのは米国の友人である欧州だけだ」と演説、4月5日にプラハで首脳会議を開く米国と欧州連合(EU)が協力し、経済危機を克服しようと呼び掛けた。

 ブッシュ前米政権でイラク戦争を推進したラムズフェルド国防長官(当時)は、開戦を支持したポーランドなどを「新しい欧州」と称賛する一方、反対したフランスやドイツを「古い欧州」と批判した。首相はこうした欧州観をいさめ、オバマ政権下で米欧関係を再構築する必要性を訴えた。

 4月2日にロンドンで開かれる20カ国・地域(G20)の第2回首脳会合(金融サミット)を主催するブラウン首相は、今回の危機を「『経済のハリケーン』が世界中に吹き荒れた」と形容。危機克服には各国の政策協調が必要と力説した。

2009/03/05 09:11   【共同通信】

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政治的判断が稚拙に見える「バシル大統領訴追」だが、世界の人道と人権の歴史にとっては必要な蛮勇かもしれない

「国際刑事裁判所(ICC)がスーダンのバシル大統領を起訴」というニュース(後掲)があった。

ある国の国家元首による残虐な行為に対し、国際社会が法に基づいて人権を守るための措置を執行するという、大きくはこれからの世界が進むべき方向に則ったことである。

もちろん、執行にあたっては実際には難しい問題がある。「スーダンの主権の独立」との関係で、誰がどうやってバシル大統領を逮捕できるのかという問題がある。ダルフール紛争には大きく言ってイスラム教徒のアラブ人勢力による、キリスト教徒の黒人勢力の弾圧という構図があり、また中国がバシル政権に肩入れしてきたという側面もあるため、他の同様な問題よりも欧米のメディアなどの注目を集めているという見方もある。

さらに言えば、今回の訴追により国連や各国のダルフールの難民支援活動がバシル政権側により脅威にさらされることにつながるといった問題もある。

ダルフールのいままさに迫害されている人々の状況が実際に良くなることと、新しい国際刑事機関により、普遍的な正義が実現される手だてが整えられること。一度に両立することが難しい問題にも見えるが、世の中のことで簡単に解決できることなどない。関係者の努力と知恵により人道と人権を守る国際機関が成長するステップとなってほしい。手をこまねいていては歴史は前に進まない。

【以下、切貼】

スーダン大統領に逮捕状  ダルフール紛争でICC  共同通信 2009年3月4日

 【ブリュッセル4日共同】スーダン西部ダルフール紛争をめぐり、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)は4日、戦争犯罪と人道に対する罪などで、スーダンのバシル大統領(65)に対する逮捕状を発付した。2002年に設立条約が発効したICCにとって現職の国家元首に対する初の逮捕状。同法廷のモレノオカンポ主任検察官が昨年7月に請求していた。

 ダルフール地方では03年2月、アラブ系の中央政府に対する黒人系勢力の反政府活動が激化、政府軍はアラブ系民兵と協力して、黒人系住民の村などを無差別に襲撃した。国連によると、約30万人が死亡した恐れがある。

 検察官は、大統領が軍などを指揮して少なくとも3万5000人の市民を殺害したほか、約250万人を難民キャンプに送り、無差別に強姦したなどと主張している。

 ICCは自前の警察力を持たないため、逮捕状執行は外遊先の国が身柄を確保した場合などに限られる見通しだ。ICCは07年5月にもスーダン政府高官ら2人に対する逮捕状を出したが、政府は引き渡しを拒否した。

【以上、切貼】

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2009年3月 4日 (水)

もっとイスラム圏に関心を=見あたらない世界イスラム経済会議の報道=

NHK・BS1で見た、たしか昨日未明放送分シンガポールCNAのニュースで、ジャカルタで「世界イスラム経済フォーラム」なるものが開催されていて、インドネシアのユドヨノ大統領が「こうした世界経済情勢の中ではイスラム圏内の助け合いが大事だ。世界の最貧国50カ国の半分はイスラム諸国なので、産油国を中心にイスラム銀行に拠出金を出し合い、相互扶助を進めるべきだ」といった趣旨の演説をしたことが紹介されていた。

これは、世界情勢を左右するようなニュースではないと思うが、テレビ視聴者が世界の姿を知る上では報じる価値のあるニュースだろう。

しかし、グーグルのニュース検索で「ユドヨノ」「イスラム銀行」などの語であたってみたところ、わが国でこれを報じたものは見あたらなかった。

念のため英語版で当たってみるとこれくらいの検索結果(一例だけ後掲)が出ていた。

もっとイスラム圏のニュースは増やしていいと思う。東南アジアについての報道で、欧米に負けていて良いのか?

【以下、BBCの原稿切貼】

Islamic banks 'better in crisis'

By Lucy Williamson
BBC News, Jakarta

Indonesian President Susilo Bambang Yudhoyono has called on Islamic banks to take a leadership role in the global economy, amid the financial crisis.

He was speaking at the opening of the World Islamic Economic Forum in the Indonesian capital, Jakarta.

The forum has brought together political and business leaders from 38 countries to discuss the global economic slowdown.

They will also discuss ways to achieve energy and food security.

Mr Yudhoyono said it was time for Islamic banks to do some missionary work in the West.

Islamic financial institutions, he said, had not been hit as hard as their western counterparts because they did not invest in toxic assets.

Banks run in accordance with Muslims laws on interest payments and the sharing of credit risks are seen by many as fairer than traditional banks, less focused on profit and kinder to the communities they work in.

Demand for Islamic financial products has been growing in the Muslim world for years but Mr Yudhoyono said that many in the West were now ready to learn from them.

Islamic law prohibits the payment and collection of interest, which is seen as a form of gambling.

Transactions must be backed by real assets, and because risk is shared between the bank and the depositor, there is added incentive for the institutions to ensure deals are sound.

【以上、切貼】

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2009年3月 3日 (火)

「小沢民主党代表の公設秘書逮捕」-民主党指導部の危機管理能力が問われる

党首が当事者の問題であり、ここは鳩山幹事長、菅代表代行をはじめとする党首を除いた党首脳部の正念場だ。

鳩山幹事長の当初のコメントは、ダメージを弱めて様子を見るために致し方ないと思う。戦術的には適切な対応だったかもしれない。

「企業が政治家に献金はダメ。ただし、政治家個人ごとに設けられている政党支部あてにはOK。パーティー券の購入は良し。しかも1回20万円以内なら名前出さなくて良い」

こんなところが基本ルールだと思う。このルールを聞いたとたんに、回転のいい人なら「何回もパーティーを開いて、各回20万円以内の購入を繰り返してもらえば、いくらでも透明性のない献金をしてもらえる」など、いくつもの抜け穴を考えつくだろう。

西松建設が考えた抜け穴は、「企業の献金」ではなくて、「社員たちの個人の献金」ですよという形式を整え、あとで個人が献金した分を会社がボーナスなどで穴埋めしていたということらしい。

「いいや、個人献金として集めた団体から、上限などの制限も含めすべて適法に受け取ったもので、形式も全て整い、届け出も適正だ。小沢事務所側に何の手落ちもない」というのが、小沢氏や民主党の立場だ。

東京地検特捜部は「形式はそうだが、それは偽装で企業献金だ」と言っているわけだ。

小沢氏側にも言い分があるわけで、法律的には最高裁で有罪が確定するまでは「無罪」を推定すべきだ。ただ、それはあくまで「法律的には」という話で、法律的に正しいということと、政治的に賢明ということは食い違うことがあり得る。

スピード違反で走っている車は多いし、酒気帯び運転も根絶されているわけではない。検挙されるのはほんの一部に過ぎない。-だからといって、検挙されたことをなかったことにすることはできない。

秘書逮捕が不当ないし間違いだったことを証明することは可能だろうし、そう信じたい。しかし、目前の、世界政治の転換点に行われる、日本の政治史にとって重要な選挙には間に合わないだろう。

ここは民主党指導部のギリギリの判断を見守りたい。

ただ、こう書いてきて、やはり「民主党がさわやかに政権をとる」というイメージにより、新しい政権への国民の支持、求心力を作り出すためには、小沢さんが「ここは一度、黙って身を引かせていただきます」と言うことは意味のないことではないという気持ちが強くなってきた。

小沢氏がそう言ったときに、森田は「無責任だ」「敵前逃亡だ」というつもりはない。

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東京に赴任2度めのオーストラリアの友人へ

AR様

 まずは2月の山火事のお見舞いを申し上げます。それにしてもこの前は六本木ヒルズが無かったというのだから、久しぶりの東京赴任ということになりますね。僕の英語はあいかわらずなので、日本語で書きます。難しいところは秘書の方に聞いてください。

 僕は最近ブログなるものを書いているので、この手紙はそこに「東京に赴任2度めのオーストラリアの友人へ」という題で写しを載せるつもりで、今日はオーストラリアと聞いて思い浮かぶ感想を書き連ねてみようと思います。

 21世紀に入り日豪の協力は前に進んだと言えるでしょう。アメリカがブッシュ・チェイニー時代だったときに、ハワード政権、小泉・安倍政権などは世界の中にあってもアメリカと足並みが揃い、イラクでの協力などはその象徴だったと思います。

 しかし、イラク問題の推移からアメリカの「単独行動主義」への批判が強まり、山火事や干ばつとなると二酸化炭素排出問題にも注目せざる得ず、さらにリーマンショック以来の世界経済の変調を考えるとオーストラリア、日本とも政策の転換が求められました。米オバマ政権の誕生は決定打でした。

 この状況の中で、オーストラリアはオバマ政権誕生に先駆けてラッド政権を誕生させて対中国積極外交などマルチ外交を推進し、京都議定書に復帰するなど「転換」の先取りに成功しています。それに対して日本は自民党も政策の中味を静かに転換させつつあるけれども、野党は政権の座を奪うことによって転換を図ると主張して激しく争っているわけです。僕はすっきり政権交代した方が、いろいろな意味でいいと思うのですが、選挙でどちらが勝つにせよ、オーストラリア政治のようなハッキリした転換が必要な場面だと思います。                                                   

 僕は核軍縮の重要性を長年主張してきたので、ラッド首相が昨年初来日に際してまず広島を訪問されたことを高く評価しています。ウラン輸出国であるオーストラリアの動向は、世界の核不拡散体制の行方に大きな影響を与えますが、現在「NPTに加盟しないインドにウランを輸出することはしない」としておられることを高く評価しています。

 一方、日本の戦後の教育は自国の忌まわしい歴史をしっかり教えることが充分でなかった面があり、例えば日本の若い人々の多くが、先の大戦でわが国がオーストラリアを空爆したり、ニューギニアの密林で死闘でオーストラリア兵と白兵戦を繰り広げ、多くの捕虜に苦難を与え死に至らしめたことを知らないという問題がある。こうしたことには、わが国自身がしっかり取り組んでいかなければならないと思います。

 オーストラリアが「ニュージーランドとの協力を前に進める」という報道を見ました。一般の日本人から見ると、地理的に同じ方角にあり国旗も似ているオーストラリアとニュージーランドはほとんど同じに見えるわけですが、以前、ニュージーランドの女子高生がわが家に短期滞在したことがあるんだけれども、話しを聞くと、どうもオーストラリアのことが好きではないらしい。お隣どおしは例えば「日本と韓国」の関係を思わせるような難しい面もあるのかもしれないと感じました。

 韓国と言えば、安倍首相(当時)が安全保障の「日本、アメリカ、オーストラリア、インド」の四カ国の連携構想を提唱したことがありますが、私自身はあの構想は「中国排除」の意図が明白だということもさることながら、日本が提唱する地域提携構想に「韓国」が含まれないことが一番の問題点だと思っていました。私自身は韓国との実質的な連携がまだまだ足りない。むしろこれからは「まず韓国と話す」といったことが世界政治の中で足場を固める上でいちばん重要だとすら思っているからです。
  
 日本は東アジアの伝統と、欧米型の民主的な体制の「ハイブリッド国家」であり、一方、オーストラリアは生まれは欧米の民主主義国家だけれども、80年代からは白豪主義を捨て、いわば東アジアの国として生きていくことを決意した、日本とは裏返しの東西ハイブリット国家であるということができると思います。

 その意味で、ソマリア沖の海賊の問題などでは、安倍構想とは組み合わせが異なるけれども「日本・韓国・オーストラリア」といった常設の救難・犯罪取り締まりの協力関係といったやり方を模索することは意味があると思います。アメリカや中国に対してもオープンにしておくことはいいけれども、中くらいの国同士がマルチの関係を造ることには意味があると思います。また、日本と韓国が二人だけで向き合ってしまうと、ちょっとお互い緊張してしまうこともあります。この前は、韓国からソマリア派遣の給油の打診があったけれども断ったという記事が出ていて、僕は派遣自体にあまり賛成ではないけれども、派遣するなら韓国からの申し出は無碍にしない方がいいのになと思いました。

 ところで、オーストラリアでも経済対策としての国民一人一人への給付金が今月から支給されるという話しを耳にしたが、金額や規模はどれくらいのものですかか。国民やメディアの評判は?参考までに教えてください。

 バズ・ラーマン監督の豪映画『オーストラリア』が東京では今週から上映が始まっているわけです。日本の明るい話題の一つは『おくりびと』のアカデミー外国語映画賞の受賞です。時代劇ではないけれども、それがかえって日本の文化の根底にあるものを紹介する結果になっていると思う。一見をお勧めしたい。

 オーストラリアは「外国語映画賞」を狙えないのはお気の毒ですね。もっとも、司会者を輸出している(ヒュー・ジャックマン)わけですが。

 全く思いつくままのに書き連ねてしまいました。また10年(?)前のように、時々話しましょう。それでは。

【以下、切貼】

オーストラリア:NZと経済緊密化協定の発展で合意     共同通信2009年3月2日

 オーストラリアのラッド首相は2日、同国を初訪問したニュージーランドのキー首相と会談、両国間の自由貿易協定(FTA)である経済緊密化協定を発展させ、モノの貿易だけでなく投資なども自由化して「単一市場」づくりを目指すことで合意した。
 1年以内に入管・税関手続きなどの規制緩和で合意を目指す。(共同)

李大統領、6泊7日の日程で海外訪問    韓国中央日報 2009年3月2日

  李明博大統領がニュージーランド、オーストラリア、インドネシア訪問に向けて2日午後、出国する。6泊7日間の日程で8日、帰国の予定だ。
  青瓦台関係者は「新しい成長動力創出及び経済回復に寄与するための経済・エネルギー・資源外交が中心だ」と説明した。ジョン・キー・ニュージーランド首相(3日)、ケビン・ラッド・オーストラリア首相(5日)との首脳会談で李大統領は、韓・ニュージーランド、韓豪自由貿易協定(FTA)交渉開始を公式宣言する。
  最後にインドネシアを訪問する李大統領は6日、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領との首脳会談でインドネシア内造林地追加確保と地下資源開発プロジェクトをはじめ、エネルギー・資源・森林協力増進を模索する予定だ。
  李大統領は出国に先立ち、韓昇洙(ハン・スンス)国務総理と関連部処長官が出席する外交・安保関係大臣会議を主宰し、最近、北朝鮮のミサイル発射などの懸案を点検した。

東アジア首脳会議、4月開催=ASEAN+3も-タイ    時事通信 2009年2月27日

 【ホアヒン27日時事】東南アジア諸国連合(ASEAN)は27日、タイの政情混乱で昨年12月から延期されていたASEANと日本、中国、韓国(ASEANプラス3)首脳会議と、この会議参加国にオーストラリア、ニュージーランド、インドを加えた東アジア首脳会議を4月10日から12日までの間、タイ国内で開くことを決めた。開催場所は未定という。タイ政府当局者が明らかにした。(了)
(2009/02/27-22:46)

WHO「アジア全体で統一対策を」 03/03 12:10 

 発生が懸念されている新型インフルエンザについて、アジア・太平洋地域の担当者が一堂に集まる世界保健機関=WHOの国際会議が、きょうから福岡市で始まりました。福岡市のホテルできょうから始まったWHO主催の会議には、アジア各国やオーストラリアなど16か国の新型インフルエンザ担当者ら、およそ60人が参加しています。
 ヒトが免疫を持たない新型のインフルエンザが発生して、爆発的な感染=パンデミックが起きれば、死亡者は世界で1億5000万人に達すると国連は試算しています。感染の広がりを最小限に封じ込めるため、国境を越えた対策が求められています。
 この会議は6日まで4日間の日程で開催され、各国のガイドラインをもとに、アジア・西太平洋地域全体の行動指針の策定を目指します。

女性の社会進出度、日本の指数が大幅低下 マスターカード調査 日経 2009年3月2日

 米マスターカードは「女性の社会進出度」に関してアジア・太平洋地域を対象にした調査結果をまとめた。それによると日本の総合指数は54.53となり2008年の前回調査から8.84も低下した。調査対象の14の国・地域のなかでは、前回に引き続きインド、韓国に次ぐ3番目に低い水準となり、女性の社会進出が進んでいないことを示す結果となった。指数が最高だったのはオーストラリアの96.1だった。
 同調査は「雇用市場への参加」「学歴」「管理職」「平均収入」の4項目について各国の男女差を指数化したもの。指数が100だと「男女平等」を示し、100未満は男性優位の男女不平等を示す。日本では今回、平均を超える年収を得ていると感じる人数の男女差が拡大し、指数が低下した。
 指数の上位はオーストラリアに次ぐ2位はタイで91.5、3位はニュージーランドで90.5だった。(10:35)

オーストラリアの山火事と広島、そして核問題(3)   ブログ「萬晩報」より
                                                        2009年02月16日(月)
異文化コミュニケーション財団 引地 達也

 1941年12月8日に日本軍がハワイの真珠湾を攻撃して始まった太平洋戦争は約1年の間、日本軍は快進撃で南方へ進出、1942年2月から43年11月までにオーストラリア北部の都市や基地などを空爆、機銃掃射するなどの攻撃を加えた。特に42年2月19日のダーウィン空爆で死者は約250人を数え、同3月3日には西オーストラリア州ブルームで9機の戦闘機が機銃掃射し88人が死亡し、作戦機二十四機を破壊したた。42年5月31日にはシドニー沖の潜水艦から発進した特殊潜航艇4隻がシドニー湾に侵入、うち1隻が停泊中の巡洋艦などを魚雷で攻撃した。

 これらの攻撃はオーストラリアの本土が危機にさらされた初めてのケースであり、国防姿勢を根底から練り直さなければならない事態となり、人々の間に戦争への恐怖が実感として認識された。

 日本軍はオーストラリアを孤立させるために米国との海上航路を封鎖しようとフィジーとサモアを攻略するFS作戦を実施する。この過程で42年1月23日ににラバウル、同5月3日にはソロモン諸島のツラギを攻略した。そして8月にパプアニューギニアのジャングルで日本兵とオーストラリア兵が壮絶な戦いを繰り広げる「ココダの戦い」に至る。劣悪な環境で敵兵と対峙し、この戦いでの勝利が攻勢への足がかりの一つにもなったとされ、オーストラリアでは対日戦争の象徴となり、後に本や映画などで語り継がれている。

 一方、東南アジアではマレーシア全土を掌握した日本軍は1942年に英国軍の東南アジア最大拠点であるシンガポール基地を攻略し約1万5000人のオーストラリア兵を含む13万人以上を捕虜にするなど捕らえられた計約2万2000人のオーストラリア兵のうち3分の1が収容所で死亡したという。日本との戦争で死亡したのは計1万7501人に上る。

 この太平洋戦争を含む第二次世界大戦で勝利した連合国のうちオーストラリアの貢献は大きく、戦後の国際的地位も飛躍的に高まった。ただしその痛みも大きい。戦争に送った90万以上の兵士は18-35歳までの男子の10人中7人が出征する数である。比率は当然、連合国中最高だった。空爆、ジャングルでの戦い、そして捕虜収容所での扱い。この三点がオーストラリアの対日戦争への印象であり、これを処罰という形で具体化するのが極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判の裁判長を務めたオーストラリア人のウェッブ判事である。連合国司令官マッカーサーに指名された米、英、ソ連、中華民国、フランス、カナダ、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド(後にインド、フィリピンも加わる)の裁判官のうちウェッブ判事は最もラディカルで日本に厳しく天皇までも追求していたとされる。各裁判官の意見が合わないまま裁判は進行し、結局28人が起訴され東条英機ら7人が絞首刑、16人が無期禁固刑、2人が禁固刑、2人が公判中に病死、1人が精神障害のため免訴された。さらに49年9月に他の連合国が一斉に終了した日本戦犯裁判をオーストラリアだけは50年6月から51年4月にかけて実施、5人の死刑を執行したのも他国との対日観の温度差を強調している。

 さらに付け加えれば現代でもオーストラリアは日本の戦時下における従軍慰安婦をめぐる問題でも厳しい目をそそぐ。時にそれは被害者の多い中国、韓国をしのぐほどである。2007年 3月13日に安倍晋三首相とハワード首相は東京で会談し両国の「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に署名した。二国間の相互安全保障と協力強化をうたう宣言は日本にとって米国との安全保障条約に次ぐ二国間の安全保障協力、オーストラリアにとっても米国を含めた太平洋の三角点を結ぶ協力の意義は両国ともに大きいはずだが、署名を受けた有力紙エイジの社説は「未来に目を向ければよく見えるが、過去の問題はまだ残っている」とし、いわゆるタカ派のイメージである安倍政権を「正しい歴史認識を拒否している」などと批判し、従軍慰安婦の「真摯な謝罪」を求めている。

 米下院で従軍慰安婦問題への謝罪を日本に求める決議をめぐり、2007年初めに米下院の外交委員会で元従軍慰安婦として当時の様子を証言したオランダ人、ジャン・ラフ・オハーンさんは南オーストラリア州アデレード在住。これも少なからず慰安婦問題に敏感な世論を形成する要素とも言える。

 日本の冬はオーストラリアの夏。リゾート地ゴールドコーストの足の長い波は海の壮大さを感じるし、暖かい水は気持ちがよい。だから、多くの日本人が訪れる。オーストラリアからはスキー客が日本へ、日本からはサーフィンやゴルフにオーストラリアへと渡航者数は増加したが、オーストラリアに関する歴史は置き去りにしたままのような気がする。日本にコアラが初上陸したのが1984年。それ以来、オーストラリア観は進歩したのだろうか。(了)

【以上、切貼】

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2009年3月 2日 (月)

映画「少年メリケンサック」-僕もあがきつづけるしかないな

期待通りの出来映え。とっても面白くて、やがて哀しいのでぜひご覧下さい。

宮崎あおいさんが『篤姫』と平行して、この「中指立て」連発のドラマ撮影していたというのがプロなら当然なんでしょうけれども、すごい。

帰宅すると、フジテレビの「宮崎あおい、心にしみるアフリカ」という、彼女がルワンダを訪問した番組をやっていた。途上国支援について、長期的視点と責任感のある考えを話していて、本当にこの人には、これからの世代の日本人として大いに頑張って欲しいと思う。

森田ごひいき佐藤浩市さんも、あおいちゃんの中指立てに対抗して「(彼氏の)○○○でかいのか?」「○○○でかいのか?」、「おい、○○○でかいのかよ!!」と下品なことばを連発、自民党の中川昭一のレロレロに対抗してゲロゲロで頑張っていた。クドカンは若い人、例えば働く若い女性を面白がらせて、何かを教えようとしているのだろうけれども、森田は当然おっさんバンドの方の年代なので、「25年前には大人にバカにされ、いまじゃ若いのにじゃまにされ」とぼやきつつ、「今やらなきゃならないんだよ」とあがき続けることになるんだろう。それでいいんだとクドカンが言ってくれているような気もする。

(民主党元代表の岡田克也代議士がブログに格調高い感想書いておられるけれども、どうもこっちはお下品で申し訳ありません)

2009年3月1日、池袋サンシャイン・シネマ。子どもたちには新宿ピカデリーの『おくりびと』の券をとってやる。二人とも、いろいろ感じるところ、考えるところあったようだ。こちらの映画については、多くの人が見ることで、日本は一つステージが上がるような気がする。

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「両陛下、真珠湾訪問を検討」報道(ワシントン共同)を歓迎する

両陛下の真珠湾訪問が計画されているという報道(下に切貼)を見て、これはとても良いことだと思った。

たとえ家族同士であっても、人と人の一日のつきあいは「おはよう」の挨拶ではじまる。国と国の付き合いであれば、お互いの国のために命を捧げた人々に敬意を表するということが大事な出発点の一つだろう。

戦後の日米関係は、日本がアメリカの示した「自由と民主主義」「武装解除」の憲法草案をほぼ丸呑みし、また米軍の極東戦略(後に中東まで=麻生総理が「自由と繁栄の弧」と呼ぶ=)のため常時駐留を認める、アメリカは天皇制の存続を認めるという取引を出発点にしている。

現在までも、われわれ日本人がアメリカの大衆文化にどっぷり浸かってきた=例えばフランス流の赤ワインブームも、英国風ガーデニングもアメリカメディア経由=ということもあるわけだが、タテマエや美辞麗句はともかく、日米の関係は要は「ビジネスと安全保障」のつきあいであり、心と心の触れあいというところではいま一つ、というのが正直なところではなかったか。ジャパンパッシングが言われ、鳥居坂の国際文化会館の日米文化交流行事なども往事の賑やかさに比べ寂しいものだという。

ちょうど天童荒太氏の『悼む人』が話題になり、『おくりびと』が米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞したことなどは、天皇陛下の真珠湾訪問と追悼の機が熟してきていること、あるいはアメリカ人の心に伝わるには良い時期であることを示しているのではないだろうか。

もちろん、天皇の国事行為は憲法に列挙されているものに厳しく限定されるべきで、今回のことも政治的意図は排除されるべきである。

しかし、モンデール駐日大使(当時)の東京大空襲の追悼式典への密かな参列、昨年のG8下院議長広島会議に際してのペローシ下院議長の:原爆死没者慰霊碑に対する丁重な弔意と、それへの答礼の意味も込めた昨年末の河野衆議院議長の真珠湾訪問などは、タテマエの関係や、ビジネスの関係を超えた、日本人とアメリカ人の本当のつきあいのために大きく役立つに違いない。

森田はこれらと同じような視点から、報じられた天皇陛下の真珠湾ご訪問の実現を強く願う。

同時に、アメリカの大統領が日本で同様な行為を行いたいと申し出た時のために、靖国神社がどうしても「A級戦犯」の合祀をやめないというのなら、千鳥ヶ淵墓園の大幅拡充整備など、誰もがわだかまりなく参拝できる国の施設の整備を急ぐべきである。

【以下、切貼】

両陛下の真珠湾訪問を検討  和解象徴、7月軸に日程調整

 【ワシントン1日共同】今年夏に予定される天皇、皇后両陛下のカナダ公式訪問の帰途、両陛下による米ハワイ州の真珠湾訪問が検討されていることが1日分かった。日米関係筋によると、7月を軸に日米両政府が日程調整に入っている。太平洋戦争開戦の舞台となったオアフ島の真珠湾には昨年12月に河野洋平衆院議長が訪れたが、現職首相もこれまで訪問していない。実現すれば、戦後の清算と和解を象徴する歴史的な訪問となりそうだ。

 両陛下は戦後50年の1995年に広島、長崎、沖縄を訪問。戦後60年の2005年には、太平洋戦争の激戦地となった米自治領サイパンを訪れるなど、一貫して「慰霊と鎮魂の旅」を続けてきた経緯がある。

 両陛下の真珠湾訪問は、1994年6月の公式訪米でハワイに滞在した際も計画されたが「天皇の政治利用に当たる」などの反対論が起き断念した。両陛下の外国訪問は2007年の欧州歴訪以来2年ぶりとなる。両陛下の体調も考慮に入れながら慎重に日程調整が進められている。

 ハワイでは日系人団体との交流を主な目的とし、その合間に真珠湾を訪れることが検討されている。真珠湾には旧日本軍の攻撃で沈没した米戦艦アリゾナ記念館があるほか、1945年9月に東京湾の艦上で降伏文書調印式が行われた戦艦ミズーリも係留されている。

2009/03/01 21:54   【共同通信】

【以上、切貼】                                                                                 

                   

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2009年2月27日 (金)

それでは、小沢一郎氏の「第7艦隊で充分」発言に反撃する自民党議員たちに任せておけるのか

小沢氏の発言について、自民党側から「日米安保を損なう」「自主防衛力強化で社民党などとやっていけるのか」とオニの首をとったような批判が寄せられている。

しかし、国民は例えば年金について、ずっと自民党政権と厚生労働省、社会保険庁に「お任せ」でやってきてどういうことになったのかを思い出さないわけにはいかない。

年金についてはお粗末だったけれども、外交・安全保障は自民党政権と外務省、防衛省のやり方については絶対大丈夫だから任せて欲しいと言われても、マユにツバをつけて考えた方がいいだろう。

「アメリカが日本を守っている。日本とアメリカは自由と民主主義という価値観を共有している。だからいまのやり方が正しい」という刷り込みをボーッと信じてしまっていると、いつか年金がボロボロになっていて衝撃を受けたように、日本の外交・安全保障がとんでもないことになつていたことに驚くことになる。

すでに小泉政権の時に、国連がオーソライズしないイラク戦争に憲法の趣旨を踏みにじって支持表明し、陸上自衛隊をイラクに派遣したり、周辺国に航空自衛隊を派遣したりしていることは、そのことの証左とも言えるだろう。

民主党、あるいは小沢一郎氏の外交・安保政策については、かつて小沢一郎氏と横路孝弘氏ら旧社会党グループの間に基本的な合意ができており、自民党や一部メディアの「全くバラバラ」という批判は当たらない。

フジテレビ「とくダネ」の小倉さんも、小沢発言は国民が本当のことを考えるキッカケになるかもしれないと言っていたが、民主党もこの際は、前原前党首が麻生総理に「尖閣も日米安保の対象であることを認めるよう求めろ」といったような、これまでの路線をさらに進めるような方向ではなく、むしろ自民党政権の外交安全保障政策の基本的な考え方について厳しく再検討を求めていくという姿勢が必要だろう。

アメリカから見れば、特にアメリカ軍部から見れば、美辞麗句はともかくとして「日本は戦争に打ち負かした国であり、そこに置く基地はアメリカの既得権益であり、しかも太平洋の西側にあって東アジアから中東にかけて大兵力を動かすときに米本土やハワイを起点にするよりずっと便利。しかも基地の地代は日本政府が払っているし、『思いやり予算』もある。横須賀のドックは第七艦隊の空母をメンテナンスする能力が特に優れており、そして何より『自民党政権』は、『アメリカが日本を守る』。『アジア太平洋の平和と安定に協力しよう』と言ってやれば、何でも言うことを聞く」ということなのだ。

アメリカとの関係は、引き続き日本にとって最も重要な国際関係の一つであることは言をまたない。しかし、そのことと相手の言いなりになることは別のことであり、当然、日本は日本の利益を冷静かつ慎重に考え、その上でアメリカと良い関係を結んでいくということが必要だ。

小沢さんには横路グループとの合意を尊重していって欲しいが、やっぱり心配なのは小沢発言を受けて興奮して「俺たちでなければ日米安保は運営できない」とうっとりしている自民党幹部の政治家たちだ。玉置浩二と石原真理子のルンルンぶりを見るのと同じような、この人たちこそ現実離れしたファンタジーに浸っているのではないかという危惧を持つのは森田だけだろうか。

【以下、毎日新聞、共同通信より切貼】

自民:小沢代表批判相次ぐ 在日米軍削減論で

民主党の小沢代表=盛岡市内で2009年1月31日、狩野智彦撮影 在日米軍削減論を掲げた小沢一郎・民主党代表の発言をめぐって26日、政府・自民党から批判が相次いだ。麻生太郎首相は26日夜、首相官邸で記者団に対し、一般論と断りつつも「防衛に少なからぬ知識がある人は、そういう発言はされないんじゃないか」と強調。小沢発言を引き合いに、民主党の政権担当能力に疑問を投げ掛ける戦術に出た。

 小沢氏は25日、大阪市内で記者団に対し「米国のプレゼンスは必要だが、おおむね(米海軍横須賀基地に拠点を置く)第7艦隊の存在で十分だ。日本の防衛に関することは日本が責任を果たせばいい」と発言した。これに対し、河村建夫官房長官は26日の記者会見で「非現実的だ。政権交代を標ぼうする民主党代表の考えとしてはいかがか」と皮肉った。

 一方、自民党の町村信孝前官房長官も26日の町村派総会で「暴論以外の何物でもない」と厳しく批判。党内からは「日本の軍事増強でカバーする発想なら、共産党や社民党がよく一緒に行動している」(伊吹文明元幹事長)、「民主党はもう政権を取ったような気分で、言いたい放題言っている」(安倍晋三元首相)など、疑問を呈する声が続いた。【三沢耕平、坂口裕彦】

毎日新聞 2009年2月26日 20時59分(最終更新 2月26日 23時01分)

小沢代表の発言要旨     2009/02/26 16:18   【共同通信】

 在日米軍再編に関する小沢一郎民主党代表の発言要旨は次の通り。

 ただ米国の言う通り唯々諾々と従っていくということでなく、私たちもきちんとした世界戦略を持ち、どういう役割を果たしていくか。少なくとも日本に関係する事柄は、もっと日本自身が役割を分担すべきだ。そうすれば米国の役割は減る。この時代に前線に部隊を置いておく意味はあまりない。軍事戦略的に(米海軍)第7艦隊が今いるから、それで米国の極東におけるプレゼンス(存在)は十分だ。あとは日本が極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思っている。(24日、奈良県香芝市で記者団に)

 (米空軍は)いらないと言っているのではなく、日本もきちんとグローバル戦略を米国と話し合って役割分担し、その責任を今まで以上に果たしていかなければいけないという意味で言っている。日本も米国におんぶに抱っこになっているから。自分たちのことは自分たちでやるという決意を持てば、米軍が出動部隊を日本に置いておく必要はない。ただ、どうしても東南アジアは不安定要因が大きいので、米国のプレゼンスは必要だ。おおむね第7艦隊の存在。あとは日本の安全保障、防衛に関連することは日本が、自分のことなんだから果たしていく、そういうことだ。(25日、大阪市で記者団に)

2009/02/26 16:18   【共同通信】

【以上、切貼】

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2009年2月26日 (木)

「商品券(地域振興券)は効果が無かった」というのも本当か

きまぐれな日々」で森永卓郎氏の定額給付金は本当に意味のない政策かを知って読み、全く同意見であると共感する。テキストファイルにしておいて、いろいろ説明するときに使わせていただきたいと思う。

関連してだが、森田はテレビでこうした問題を解説したり、コメントを述べる人々の大半が「定額給付金」構想を批判するときに「小渕内閣の時に商品券(地域振興券)を配ったが、これもGDPを押し上げる効果はほとんどなかったことが政府自身の統計で明らかになっている」というセリフを異口同音に語っていることについても、ちょっと待って欲しいと思っている。

たとえ話だが、「かぜをひいて、風邪薬を飲んで、直った」としよう。さてこの場合、風邪薬を飲んだから直ったのか、それともひょっとして飲まなくても直ったのか、どっちだろうか。

もしある程度確からしい実証をしたければ、同じような症状の人に「かぜを飲ませたケース」「かぜ薬を飲ませなかったケース」、それと心理的効果を測るために「風邪薬と同じ形状の、例えば小麦粉を加工したものを飲ませたケース」などについてデータをとり、それぞれのケースを比較しなければ本当のところは判らないと思う。

小渕内閣の「商品券」の経済効果があったか、なかったかについては、同様に本当は「商品券を配った場合のデータ」「配らなかった場合のデータ」を比較しなければ、効果があったのか、なかったのかはわからないはずだ。たしかにあの規模では焼け石に水だっただろうが、そうした裏付けなしに「経済持ち上がらなかったですよね」「やっぱり効果なかったんですかね」というような話であれば、その辺のおじさん、おばさんのおしゃべりと変わらない。

それを、役所のブリーフィングを鵜呑みにしてか、竹中平蔵さんがスマステーションに出て「鮮やかに」説明して若いタレントやスタジオ参加者を感心させている姿に感動してか、それとも「みんなが言っているから」という理由からか、壊れたレコードのように「かつての商品券も全く効果がありませんでした」としたり顔で繰り返すのは愚かなことだと思う。

「商品券」。実行したのはかつての自民党首班内閣で、強く求めたのは連立与党の公明党だった。しかし、この人々を批判して政権与党の座から引きずり下ろすということと、個々の政策の実証的な評価は峻別して考えるべきだろう。

「給付金」も、麻生内閣が提案しているとはいえ、マクロ政策としても、あるいは結果として消費税の逆累進性を緩和する手段の一つとしても正しいと思う。

問題は、森永氏のいうように今回の措置としては規模が小さすぎることと、毎日新聞2009年2月22日付朝刊1面の記事が報じたように、ワーキングプアーとなって住民票を置いていた場所から移動して住所不定になったような最も困窮した人々に対し、給付をゆき渡らせるための手だてを事務を丸投げされた自治体の大半は行っておらず、麻生自公連立政権の側からその問題についての責任ある対応が打ち出されていないことだ。

リーマンショックから5ヶ月。成果はともかく、欧米の政権や、自民党政権の多くの連中が馬鹿にしている中国も大規模な政策をとっくに実施に移している。オバマ政権と米民主党議会指導部は法案成立に必要な3票のために、たった3人の共和党上院議員の提案を丸呑みにして2週間で法案を成立させている。結果を出せない政治家、政権はダメだ。

自民党、公明党は「野党の抵抗」というが、「どう野党の言い分を飲み、法案や予算を必要なスピードで成立させるか」は、政権与党の責任であり、能力のバロメーターだ。

【以下、上記毎日新聞記事の切貼】

定額給付金:ネットカフェ難民らへ届かない 自治体9割、対策なし

 ◇3億円宙に? 総務省「仕方ない」
 生活困窮者支援を目的の一つとする定額給付金について、給付窓口となる全国の市区町村の9割が、住まいを失った非正規社員やホームレスなど、住民登録の困難な人に対する通知方法を検討していないことが毎日新聞の調査で分かった。厚生労働省の統計では、「住居喪失者」は2万4000人以上いるとされ、景気の悪化でさらに増えると予想される。3億円規模の給付金が生活困窮者に届かない恐れが強まっている。【まとめ・篠原成行】

 総務省が1月28日付で通知した「定額給付金給付事業費補助金交付要綱」では、「市区町村は受給申請に必要な書類を、2月1日までに住民登録を完了した住民に配布する」としているが、住居喪失者への通知義務は定めておらず、通知方法も示していない。

 今回の調査は要綱通知後の2月初旬、各都道府県を通じて実態を調べた。その結果、住居喪失者への配布方法について「何らかの対応を検討中」としたのは全国1804市区町村のうち横浜市、千葉県船橋市、神戸市、岐阜県多治見市など12市にとどまり、少なくとも1573市町村(87%)は検討していなかった。東京、茨城、山形、兵庫、奈良の5都県は「各自治体の方針は把握していない」と回答した。

 検討中と答えた12市のうち、具体的な通知方針を示したのは埼玉県蕨市と大分県国東市の2市。蕨市は「ネットカフェに1カ月以上滞在している人には、店舗を住所として給付する」、国東市は「住民登録のない人に対しても、指定した地区の全戸に郵便物が届くタウンメールを使う」と回答した。

 岐阜市の担当者は「住民登録してない人への対応まで手が回らないのが実情」、広島県福山市の担当者は「住居喪失者を確認しようとすると市の負担が増える」と話した。

 総務省定額給付金室は「給付金は住民登録に基づく事業なので、通知は自治体に任せている。住民登録がなければ給付できなくても仕方ない」としている。

 ◇混乱予想できた--政治アナリストの伊藤惇夫さんの話
 実施までの過程をすべて地方に丸投げした施策で、自治体が混乱するのは最初から予想できた。国の政策なのだから、「住民登録に基づく事業で、通知は自治体に任せる」という言い方には、自治体も納得しないだろう。

毎日新聞 2009年2月22日 東京朝刊

【以上、切貼】

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2009年2月25日 (水)

オバマ大統領議会演説(2009年2月24日)

オバマ大統領の議会演説をNHK・BS1の中継で見る。普通は新大統領就任の年は「一般教書演説」やそれに当たる演説は行われないと思うが、経済情勢がこういう時でありメッセージを発することが重要だという考えから行われたのだろう。

演説が始まって45分ほどして、日本時間の正午少し前から安全保障や退役軍人支援の話しが始まったが、演説の大半は経済の話しで、しかもその肝は未来への投資、「再生可能エネルギー」、「医療保険改革」、「教育」の三つの話題に焦点をしっかり絞っていた。

指導者によって、語るべき時に、語られるべきことが語られる。うらやましいことだ。

週明けの米ABCテレビは「今週はオバマ大統領の就任以来、最も重要な週になるかも知れない」とし、月曜日のホワイトハウスでの予算案にかかわる議会指導者らとの会合、火曜日夜(現地時間)のこの議会演説、翌水曜日の予算案提示というスケジュールを紹介していた。

火曜日の日米首脳会談が「昼食会もなし」などとけなしていた報道があったが、この、ものすごく大事で忙しい時期に時間が割かれたという事情を無視した意見だ。このような時に日本の首相のために時間を割くことを決断したオバマ大統領とスタッフの日本重視のサインを見落としてはならない。あるいはここに割り込んだ日本外務省、駐ワシントン大使館の腕力はたいしたものなのかもしれない。

でも、中味まで評価に加えてタイムリーな訪問だったと言えるか。「語るべき時に、語るべきことが語られた」会談となったのか。‥‥まあ、いいや。

それにしても、ブッシュ大統領の後ろに控えるチェイニー副大統領(上院議長)という「絵」が、2年前から下院議長の椅子に座っているナンシー・ペローシ女史に加え、バイデン副大統領(上院副議長)を従えたオバマ大統領にチェンジした。この極寒の冬が過ぎ去って春がやって来たような景色はなんと素敵なことでしょう。

日本のリベラル派は、この「好機」をみすみす逃してはいけないと思う。

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2009年2月24日 (火)

鳩山幹事長の「閣僚官邸常駐」構想は良い点を突いている

内閣の性格には複数の要素があり、内閣を構成する「大臣」にはいくつかの顔があるが、これまでの政権では、内閣は「各省庁の大臣の寄せ集め」、大臣は「各省庁の代表者として、各省庁の役人のコントロールの下に内閣の一角を占めている人」という要素が強すぎる。

日本の国政の中枢機能を強めるには、内閣は「『行政権』の中枢機能」としての性格を本義として、大臣は各省の代弁人としてではなく、まず「内閣の一員である国務大臣」としての自覚をもって政権の運営に参画することが重要だ。

森田自身は、事務方抜きの「閣僚懇談会」を夜な夜な開き、それを次第にイギリスの閣議のように「閣僚が討論して国の方向を決め、各省庁をリードするセンターにし、次第に現在『閣議』と呼ばれる『花押書きのセレモニー』ではなく、こちらを『閣議』にしていく」という方策を民主党幹部に提言しようと思っていた。

イギリスでは閣僚のオフィスは議会内にあるという。だれが、どこで会合しているかということは、よく考えて設計しなければならない。鳩山構想の下では、自民党が党本部でやっている部会のような会合は官邸でやったらいい。いま自民党がやっている、「政府」と「党」の二本立てのような責任の所在を不明確にし、腐敗の温床となるようなやり方は止めるべきだ。

書き方が行き当たりばったりになってしまったが、とにかく鳩山構想は「官僚支配打破」という観点から、実に大事なところを話題にしていると思う。

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2009年2月23日 (月)

内橋克人氏インタビュー全文(『朝日新聞』2009年2月23日付朝刊オピニオン欄掲載)

【以下は、『朝日新聞』2009年2月23日付13面オピニオン欄掲載の経済評論家・内橋克人氏のインタビュー記事の全文写しです】

資本主義はどこへ
協同考え新たな基幹産業を

競争と共生

内橋克人さん 経済評論家

  内橋さんは市場万能主義、競争至上の新自由主義経済に異議を唱え、90年代から「このままでは雇用が破壊される」「社会のきずなが断たれる」と警鐘を鳴らしてきました。現状をどう見ますか。
 「今の日本は一番大事なものを失いました。それは、人間の尊厳と景気の自律的回復力です。これまでは景気が悪くなっても設備投資が動き出し、やがて働く人びとの所得が増えて好況になった。しかし、日本はいびつな不均衡国家になってしまった。過剰な外需依存と格差拡大、簡単に職を奪われ、安心して消費もできず、景気変動に耐える大事な力を失ってしまったのです」
    なぜ極端な不均衡国家に。
 「日本はグローバル化に『対応する』べきところを『適応する』ことばかり考えてきました。外資を稼いでもらおうとトヨタやソニーなど『グローバルズ』(日本型多国籍企業)に政策支援を集中させ、同時に国内ではリストラが進んだ。小泉構造改革の下で始まったいわゆる『いざなみ景気』の中で、製造業への派遣労働が自由化され、海外に進出していた工場が『日本回帰』と絶賛されて帰ってきた。つまり、国内でも低賃金で雇用できるようになり、輸出によって海外で稼ぎまくった。一方、多くの派遣労働者は社会保障の枠外に置かれ、クビを切られている。賃金、社会保障、地方、農業、あらゆる面で格差が拡大した。グローバルズが稼いだ外貨は十分還元されず、米国の浪費にすがることもできなくなって操業停止です」
    雇用問題は深刻です。
 「市場万能システムでは人間は単なる労働力であり、経営者も景気の条件反射のように労働力を切る。もともと雇用を減らすのは最後の選択だから、例えば雇われている人の数を示す雇用指数は、足元の景気よりやや遅れて動く『遅行指数』とされています。それが今や、景気の先行きを示す『先行指数』のような状況です」
                      
 ■企業化した「公共」

    内橋さんたちの異議は、しかし市場主義の潮流の中では力を持たなかった。
 「過去30年に及ぶ新自由主義政策は周到につくられています。時の権力者たちは、一つの思潮を広めるのに必ず学問とマスコミを動員します。アメリカでは『シカゴ学派』を、日本では規制緩和の諮問会議などを通して、『官から民へ』『働き方の多様化』『努力した者が報われる社会を』などとあおった。私は、こう問うてきました。『民』は民間巨大資本の民ではないか。働き方の多様化ではなく、働かせ方の多様化ではないか。努力が報われる社会は結構だが、競争社会では最終的に一人勝ち、敗者は努力不足だからあきらめろというのか、と」
 「日本人は、時流に乗る熱狂的等質化の傾向が強く、強い者に弱く、弱い者には強いという特性があって、少数の異議申し立てが排除されやすい。これは危険だと思います。『公共』という意識も弱く、公共の企業化という流れの本質もなかなか見抜けなかった」
    現在の資本主義は破綻しかけている、との見方があります処方箋はありますか
 「世界の国内総生産(GDP)の合計は54兆ドル(約5千兆円)ほどなのに、金融市場を暴走するホットマネーは最大で約540兆ドルともいわれます。利が利を生む虚のマネーが巨大化して実体経済を振り回してきた。もはや制御不能です。ホットマネーはいずれ自滅すると思いますが、実体経済を救うためにも、国境を越えて本当の専門家を集め、真剣に国際協調に取り組む必要があります」

 ■分断から連帯へ

    内橋さんは「共生経済」、具体的には「F(食料)E(エネルギー)C(ケア)自給圏(権)」を提唱しています。
 「競争の原理は分断です。分断して対立させ、競争させる。切磋琢磨は結構ですが、共生は連帯と参加と協同を原理として食料、エネルギー、介護など人間の基本的な生存権を大事にする。FとEとCを自給し、消費するだけでなく、そこに雇用を作り出す。その価値観の下で新たな基幹産業を創出し持続可能な社会に変える。経済効果は大きいはずです」
  「オバマ大統領は『無保険者に保険を』と公約し、財源として富裕層優遇減税を見直す考えです。所得再配分政策の復活です。FEC自給圏に通じます」
  国内経済優遇は保護主義につながるという意見や、逆に江戸時代のような自給経済に戻ろう、といった声も出てます。
 「とんでもない。FEC自給圏は人間の安全保障です。私は古き良き日本がいいなどとは思いません。差別や身売りがあり、基本的な生存権が奪われていた時代ではなく、人間を第一義とする共生経済をめざしているのです。それは小さな地域や若者たちの間で、すでに始まっている未来です」
                               
(聞き手 都丸修一)

内橋克人(うちはし・かつと)
 32年生まれ。神戸新聞記者を経て67年から経済ジャーナリスト、評論家として活躍。日本の技術者たちを描いた「匠の時代」シリーズをはじめ、「規制緩和という悪夢」「経済学は誰のためにあるのか」「共生の大地」「悪魔のサイクル」など、現場主義と実証に力を入れた著書多数。

【以上、写し】                                 

※森田コメント:『朝日新聞』経済部は、一貫して新自由主義路線=小泉・竹中路線=を支持し煽ってきた。リーマンブラザース破綻と世界経済変調という事態を経て、昨年10月に突然、サミュエルソン氏の新自由主義批判の寄稿を掲載して総括なき部分的方向修正を示している。 小泉・竹中時代に内橋氏の大型インタビューなどを掲載してきたのは朝日ではなく、読売だった。今回のインタビューもWEB版には不掲載。
 ところで、森田が期待する政権交代後の内閣像は「内橋克人財政経済担当大臣」「財政経済諮問会議の民間委員の一人は神野直彦氏」といった姿だ。「チェンジ」しかも「明確なチェンジ」が必要なのだ。

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ファインスタイン上院議員らがクラスター爆弾禁止法案を提出

『毎日新聞』2009年2月23日付記事によれば、米上院のダイアン・ファインスタイン上院議員らが、アメリカ議会でオスロ条約締結後初めてとなるクラスター爆弾使用禁止法案を米議会に提出したという。歓迎したい。

先日のオバマ大統領の就任式典で進行役を務めたカリフォルニア州選出の民主党、元サンフランシスコ市長の女性議員であるファインスタイン氏は銃器規制論などでも有名なリベラル派で、ブッシュ政権が地下施設への攻撃を想定した新型核爆弾の開発を企図した際には、本会議場にヒロシマ・ナガサキの核被害を示す写真パネルを持ち込んで関連予算の成立阻止の先頭に立ち、同構想を事実上葬った中心人物だ。

民主党大会で大統領候補がオバマ氏に一本化された直後、オバマ候補とヒラリー・クリントン上院議員の二人だけの会談に自宅を提供したことでも知られるが、バネッタCIA長官の指名について報道があった際には上院情報委員長として「聞いてない」と発言、これは「中道」のオバマ側近グループに比べリベラル色が際だっていることの反映かも知れない。

オバマ政権については、その布陣から言っても例えば沖縄の基地負担軽減などを念頭に辻本清美代議士(社民)らから「期待できないものもあることを銘記しておく必要がある」という趣旨の発言がある。それはそれで正確かつ良い指摘だが、同時に民主党リベラル派や社民党、日本共産党の人々、あるいは平和指向の市民団体の人々は、「自民党追随」が基本の自民党議員たちや外務省の連携の対象からこぼれているに違いないファインスタイン議員のような議員や、そのスタッフたちとの交流、連携を積極的に図っていくべきだと思う。

【以下、上記記事の切貼】

STOPクラスター米議会議員団上下両院に使用禁止案を提出

 【ワシントン大治朋子】不発弾が市民を殺傷しているクラスター爆弾について、米議会の上下両院の議員団がこのほど、米軍による同爆弾の使用禁止を定める法案を両院に提出した。昨年12月のクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)締結後、米国で同爆弾の使用を規制する法案が提出されるのは初めて。米国防総省は禁止に反対しているがオバマ大統領は積極的で、議会でどこまで支持が集まるかが焦点となる。

 カリフォルニア州選出のファインスタイン民主党議員ら上院議員19人は11日、同爆弾の使用禁止などを求める法案を上院に提出した。下院でもマサチューセッツ州選出のマクガバン民主党議員ら民主、共和両党の7人が同日、同様の法案を下院に出した。その後同院ではさらに支持が集まり、共同提案者は17人(22日現在)にまで増えている。

 法案は不発率が1%超のクラスター爆弾の使用を即時全面禁止。さらに使用が認められる対象も「軍事的目標に限り、一般市民が存在するか、もしくは通常居住するとされる地域では使わない」と厳しく限定し、事実上の全面禁止に近い内容となっている。

 米議会ではクラスター爆弾について、一部議員が断続的に規制法案を提出していたが、大半は採決にも至らず継続審議などになった。06年夏の第2次レバノン戦争で不発率の高い米国製クラスター爆弾が多数使われたのを機に、上院は同年9月、国防予算案の審議で市民が密集する地区での使用禁止を求める一部修正案を審議した。反対多数で否決されたが、当時上院議員だったオバマ氏は賛成した。

 法案審議に先がけ、同爆弾の禁止を求める国際平和団体「国政立法フレンド派委員会(FCNL)」(本部・ワシントン)など67の市民団体はオバマ大統領に対し、オスロ条約に署名するよう求めた。

 米国では国防総省が国際世論に押される形で昨年7月、「新方針」を発表。2018年以降は不発率1%超の爆弾の使用を禁じる方針を定めた。しかし事実上、今後10年間の使用を認める内容だと批判されている。

毎日新聞 2009年2月23日 東京朝刊

【切貼以上】

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2009年2月22日 (日)

「日本の財務相がバチカンのラオコーン像によじ登って警報鳴らす」-爆笑と言ってはいられない

今週末も新聞切り抜きなどしながら、羽根木公園・梅まつりの川場村の売店に飲むヨーグルトを買いに出た以外は在宅の週末。

あいかわらずのテレビ。森田敬一郎の発言に続いて(笑)、小倉さんがとくダネの「週間エンタマイスター」で取り上げた幸田浩子さん。月末の津田ホールのチケットは売り切れのようだが、昨年四月の紀尾井ホールでのN響メンバーによるアンサンブルをバックにしたコンサート(NHK・BS)の放送録画を見る。

「とくダネ」で紹介していたドンギアという作曲家が彼女に捧げたという「新しい色の祝祭にて カリヨン」は、そこで紹介されていたイタリアのアンサンブルをバックにしたものより少しテンポが速めのよう。モーツァルトのコンサートアリア『あなたに明かしたい、おお神よ』K.418がとりわけ素晴らしい歌唱だった。

もうひとつは日本映画専門チャンネルで放送された映画『長州ファイブ』(2006年)。幕末の井上、伊藤らの密航は教科書にも出ているかも知れないが、高校生などがイメージをつかむのに良い映画だと思う。

長州は、明治後の軍国主義と政官財癒着を先導したグルーブだけに手放しで礼賛する気にはなれないが、井上が後に条約改正交渉で「鹿鳴館」など軟弱と批判された漸進路線をとったり、日露戦争後に米ハリマンの「南満州鉄道の日米共同経営」提案に前向きの姿勢を示したこと、あるいは伊藤が日露戦争前後にロシアに対して宥和的と言われたハト派的な姿勢の根底に、命がけで体得した国際政治の現実感覚があったことを想起させる。

ところで、録画で見た先週火曜日放送のNHK『爆笑問題のニッポンの教養』は美術解剖学の布施英利さんの話でとても面白かったが、番組のはじめの方でいくつかの美術の映像が流された時に「あれ、これどこかで見たな」という彫刻。

今朝、朝日新聞2009年2月21日付社会面で見たバチカン博物館蔵「ラオコーン」像だ(!)

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中川昭一前財務相兼金融相があの泥酔会見のあと、バチカン観光で柵を乗り越えて警報を鳴らして恥をさらした時に、よじ登ったやつらしい。

まあ、いつ世でも猪武者のように威勢のいいことを主張するのは、たいてい現実を知らない愚かな人々であり、「国家、国家」と声高に叫ぶ連中にかぎって、「ローマのレロレロ」のように国益を大きく損ねるのが関の山なのだ。

威勢がいいのは自民党ばかりではないかもしれないが、『長州ファイブ』でも見て、先人の苦労を学ぶべきだろう。

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2009年2月19日 (木)

田母神前空幕長が石破氏批判「偏っているのはあなただ」西日本新聞 =自民党は、「侵略」と「軍国主義」に反省の足りない政党だ=

田母神前空幕長の主張の問題の核心は、(1)近隣諸国侵略を正当化していること (2)軍国主義についての反省がない-の2点だ。

そのような田母神氏の講演が自民党本部で開催され、同調の声が上がったということは、自民党も、(1)近隣諸国侵略を正当化していること (2)軍国主義についての反省がない-という2点について田母神氏と同じであるということだ。

【以下、切貼】、

田母神前空幕長が石破氏批判 「偏っているのはあなただ」 西日本新聞 2009年2月19日 12:26

 政府見解と異なる歴史認識の論文を発表して更迭された田母神俊雄前航空幕僚長は19日、自民党本部で講演し、自らの正当性を重ねて主張した上で「石破茂元防衛相は『空幕長ともあろう人があんな偏った歴史観では困る』と言ったが、偏っているのはあなただと言いたい」と批判した。

 講演は自民党有志でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)が主催。田母神氏は、更迭されたことに関して「辞表を書かなかったのは『ごめんなさい』と言いたくなかったからだ。一部調査では6、7割が私を支持しており、もう少し頑張った方が良かったかもしれない」と強調した。

 会場からは「そうだ」「興味深い話を聞いた」と同調する声が上がった。

【以上、切貼】

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NHK総合「地域発!どうする日本『危機の自治体』」(2009年2月13日放送)

先週金曜日放送の「地域発!どうする日本『危機の自治体』」はなかなかよい番組だった。

春に「自治体財政健全化法」が施行されるに向けて、地域社会でどんなことが起きているかが紹介され、その背景、問題点をわかりやすく紹介していた。

早い話、法律を作った趣旨は「第三セクターなどの隠れ借金をあぶり出すため、自治体に公営事業なども含めた連結決算の公表を義務づけ、それについて総務省が作る判定基準に基づいてイエローカード、レッドカードを出していく」というものだ。

それでは現実にどういうことが起こっているか。例えば、仙台近郊の自治体で児童館による就学前の子どもを預かる事業が今年度限りで廃止されるということが一方的に保護者に通知された事例や、去年の地震で一部破損しているような公立中学の耐震補強工事もできないといったことが紹介されていたが、もともと財政が厳しい自治体の福祉・教育関係の予算の切り詰めが起こっている。

こうしたこともきっかけとなってか、住民の委員会による財政の洗い直しが行われ、町役場の職員のボーナスに当たる手当が地域の民間企業よりうんと高いことが明らかにされたといったプラス効果もあるようだ。

しかし、起こっていることをマクロ的に見れば以下のような流れになるということだ。

「90年代の景気対策において中央から『どんどん公共事業をやってほしい。あとで地方交付税で穴埋めする』という話があったので、銀行からたくさん借金をした」

「ところが小泉内閣の『三位一体の改革』で地方交付税が削減され、財政がひどく悪化してしまった」

「ここで『連結決算』という話で、赤字を小さくすることが迫られる。そうすると、とにかく銀行への返済は優先し、また歳出の切り詰められるものは切り詰めることになる。そのような中で、医療・福祉・教育など、人々がいちばん重要な公的なサービスが切り詰められる」

もちろん、出演した片山善博前鳥取県知事が言うように「借金まみれのおじさん(霞ヶ関)が『どんどん借金しなさい。あとで穴埋めするから』というのを信用してしまった」と言う問題があるわけだが、無駄なハコモノなどのために自治体に貸し込んだ銀行にはとりはぐれがおこらないのに、福祉など人間存在にとっての「聖域」(内橋克人氏)はどんどん切っていくことを迫る、この小泉改革が作り出したワク組みには大きな問題がある。

生活者目線で踏み込んで意見を言う星野知子さん、片山善博氏、内橋克人氏、松本和也アナウンサーという顔ぶれもとても良かった。

※「自公連立政権・麻生内閣」のこの問題に対する回答は、「1兆円を自治体に配るが8割は道路、残りも道路関連に限定」だ。民主党はじめ野党の、明確なオールタナティブをぜひ聞きたい。

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2009年2月16日 (月)

村上春樹氏の「エルサレム訪問、そして発言」を支持する。

村上春樹氏が文学賞受賞でエルサレムに招待され、ガザ侵攻直後という状況から訪問すべきでないという声もあった。

村上氏は「訪問する。そして予定されていた講演の中で批判する」という選択をした。森田はこの選択を支持する。

世界の人々は、狭い地球の上で、お互い関わり合って生きていかなければならない。体の一部が病気なのに、それを放っておいて他の部分が健康を保つことが出来ないのと同じで、この世界で起こっていることで、僕たち一人一人と関係のないことなど一つもない。

村上さんは「文学者は自分の目で見たものしか信じない」という趣旨のことを述べたそうだ。そして僕は思う。世界の問題に関わっていこうとするなら、できることなら当事者と会って話をすべきだ。

「対話」こそが、明日を開く。

1980年のモスクワオリンピックを、日本もアメリカもボイコットすべきではなかった。モスクワに出かけ、ソ連のアフガニスタン侵攻について市民と対話すべきだったのだ。いま、NATO諸国がアフガニスタンに駐留するロジックが、当時のソ連のロジック=部族対立や山賊行為に対する中央政府の統治の確立を手助けする=とほとんど同じことが、ついでに想起されるが。

チベット問題について、本当に問題解決を手助けしたいなら、聖火リレーを暴力で襲うのではなく、北京を訪れて老若男女、あるいは自分の同業者や同好の士と語り合うべきなのだ。

村上さんがとった態度は、われわれに世界市民としての範を示したものだと森田は思う。

【以下、2月20日、共同通信のこのページから切貼】

【日本語全訳】村上春樹さん「エルサレム賞」授賞式講演全文

 こんばんは。わたしは今日、小説家として、つまり嘘を紡ぐプロという立場でエルサレムに来ました。 

 もちろん、小説家だけが嘘をつくわけではありません。よく知られているように政治家も嘘をつきます。車のセールスマン、肉屋、大工のように、外交官や軍幹部らもそれぞれがそれぞれの嘘をつきます。しかし、小説家の嘘は他の人たちの嘘とは違います。小説家が嘘を言っても非道徳的と批判されることはありません。それどころか、その嘘が大きければ大きいほど、うまい嘘であればいっそう、一般市民や批評家からの称賛が大きくなります。なぜ、そうなのでしょうか?

 それに対する私の答えはこうです。すなわち、上手な嘘をつく、いってみれば、作り話を現実にすることによって、小説家は真実を暴き、新たな光でそれを照らすことができるのです。多くの場合、真実の本来の姿を把握し、正確に表現することは事実上不可能です。だからこそ、私たちは真実を隠れた場所からおびき出し、架空の場所へと運び、小説の形に置き換えるのです。しかしながら、これを成功させるには、私たちの中のどこに真実が存在するのかを明確にしなければなりません。このことは、よい嘘をでっち上げるのに必要な資質なのです。

 そうは言いながらも、今日は嘘をつくつもりはありません。できる限り正直になります。嘘をつかない日は年にほんのわずかしかないのですが、今日がちょうどその日に当たったようです。

 真実をお話しします。日本で、かなりの数の人たちから、エルサレム賞授賞式に出席しないように、と言われました。出席すれば、私の本の不買運動(ボイコット)を起こすと警告する人さえいました。これはもちろん、ガザ地区での激しい戦闘のためでした。国連の報告では、封鎖されたガザ市で1000人以上が命を落とし、彼らの大部分は非武装の市民、つまり子どもやお年寄りであったとのことです。

 受賞の知らせを受けた後、私は何度も自問自答しました。このような時期にイスラエルへ来て、文学賞を受けることが果たして正しい行為なのか、授賞式に出席することが戦闘している一方だけを支持しているという印象を与えないか、圧倒的な軍事力の行使を行った国家の政策を是認することにならないか、と。私はもちろん、このような印象を与えたくありません。私は戦争に反対ですし、どの国家も支持しません。もちろん、私の本がボイコットされるのも見たくはありません。

 しかしながら、慎重に考慮した結果、最終的に出席の判断をしました。この判断の理由の一つは、実に多くの人が行かないようにと私にアドバイスをしたことです。おそらく、他の多くの小説家と同じように、私は人に言われたことと正反対のことをする傾向があるのです。「行ってはいけない」「そんなことはやめなさい」と言われると、特に「警告」を受けると、そこに行きたくなるし、やってみたくなるのです。これは小説家としての私の「気質」かもしれません。小説家は特別な集団なのです。私たちは自分自身の目で見たことや、自分の手で触れたことしかすんなりとは信じないのです。

 というわけで、私はここにやって参りました。遠く離れているより、ここに来ることを選びました。自分自身を見つめないことより、見つめることを選びました。皆さんに何も話さないより、話すことを選んだのです。
 ここで、非常に個人的なメッセージをお話しすることをお許しください。それは小説を書いているときにいつも心に留めていることなのです。紙に書いて壁に貼ろうとまで思ったことはないのですが、私の心の壁に刻まれているものなのです。それはこういうことです。

 「高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」ということです。

 そうなんです。その壁がいくら正しく、卵が正しくないとしても、私は卵サイドに立ちます。他の誰かが、何が正しく、正しくないかを決めることになるでしょう。おそらく時や歴史というものが。しかし、もしどのような理由であれ、壁側に立って作品を書く小説家がいたら、その作品にいかなる価値を見い出せるのでしょうか?

 この暗喩が何を意味するのでしょうか?いくつかの場合、それはあまりに単純で明白です。爆弾、戦車、ロケット弾、白リン弾は高い壁です。これらによって押しつぶされ、焼かれ、銃撃を受ける非武装の市民たちが卵です。これがこの暗喩の一つの解釈です。

 しかし、それだけではありません。もっと深い意味があります。こう考えてください。私たちは皆、多かれ少なかれ、卵なのです。私たちはそれぞれ、壊れやすい殻の中に入った個性的でかけがえのない心を持っているのです。わたしもそうですし、皆さんもそうなのです。そして、私たちは皆、程度の差こそあれ、高く、堅固な壁に直面しています。その壁の名前は「システム」です。「システム」は私たちを守る存在と思われていますが、時に自己増殖し、私たちを殺し、さらに私たちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させ始めるのです。

 私が小説を書く目的はただ一つです。個々の精神が持つ威厳さを表出し、それに光を当てることです。小説を書く目的は、「システム」の網の目に私たちの魂がからめ捕られ、傷つけられることを防ぐために、「システム」に対する警戒警報を鳴らし、注意を向けさせることです。私は、生死を扱った物語、愛の物語、人を泣かせ、怖がらせ、笑わせる物語などの小説を書くことで、個々の精神の個性を明確にすることが小説家の仕事であると心から信じています。というわけで、私たちは日々、本当に真剣に作り話を紡ぎ上げていくのです。

 私の父は昨年、90歳で亡くなりました。父は元教師で、時折、僧侶をしていました。京都の大学院生だったとき、徴兵され、中国の戦場に送られました。戦後に生まれた私は、父が朝食前に毎日、長く深いお経を上げているのを見るのが日常でした。ある時、私は父になぜそういったことをするのかを尋ねました。父の答えは、戦場に散った人たちのために祈っているとのことでした。父は、敵であろうが味方であろうが区別なく、「すべて」の戦死者のために祈っているとのことでした。父が仏壇の前で正座している輝くような後ろ姿を見たとき、父の周りに死の影を感じたような気がしました。

 父は亡くなりました。父は私が決して知り得ない記憶も一緒に持っていってしまいました。しかし、父の周辺に潜んでいた死という存在が記憶に残っています。以上のことは父のことでわずかにお話しできることですが、最も重要なことの一つです。

 今日、皆さんにお話ししたいことは一つだけです。私たちは、国籍、人種を超越した人間であり、個々の存在なのです。「システム」と言われる堅固な壁に直面している壊れやすい卵なのです。どこからみても、勝ち目はみえてきません。壁はあまりに高く、強固で、冷たい存在です。もし、私たちに勝利への希望がみえることがあるとしたら、私たち自身や他者の独自性やかけがえのなさを、さらに魂を互いに交わらせることで得ることのできる温かみを強く信じることから生じるものでなければならないでしょう。

 このことを考えてみてください。私たちは皆、実際の、生きた精神を持っているのです。「システム」はそういったものではありません。「システム」がわれわれを食い物にすることを許してはいけません。「システム」に自己増殖を許してはなりません。「システム」が私たちをつくったのではなく、私たちが「組織」をつくったのです。
 これが、私がお話ししたいすべてです。

 「エルサレム賞」、本当にありがとうございました。私の本が世界の多くの国々で読まれていることはとてもうれしいことです。イスラエルの読者の方々にお礼申し上げます。私がここに来たもっとも大きな理由は皆さんの存在です。私たちが何か意義のあることを共有できたらと願っています。今日、ここでお話しする機会を与えてくださったことに感謝します。ありがとうございました。(仮訳=47NEWS編集部)

 【英語全文】村上春樹さん「エルサレム賞」授賞式講演全文

 以下の英文は村上春樹さんが講演を終えたあと共同通信エルサレム支局の長谷川健司特派員(支局長)がエルサレム賞主催者から入手したテキストが基になっています。しかし、実際の講演はこれに少し修正が加えられていました。当日、長谷川特派員が授賞式会場の取材で録音したレコーダーを聞きなおし、実際に村上さんが話した通りに再現したものです。

“Jerusalem Prize” Remarks

Good evening. I have come to Jerusalem today as a novelist, which is to say as a professional spinner of lies.
Of course, novelists are not the only ones who tell lies. Politicians do it, too, as we all know. Diplomats and generals tell their own kinds of lies on occasion, as do used car salesmen, butchers and builders. The lies of novelists differ from others, however, in that no one criticizes the novelist as immoral for telling lies. Indeed, the bigger and better his lies and the more ingeniously he creates them, the more he is likely to be praised by the public and the critics. Why should that be?

My answer would be this: namely, that by telling skilful lies--which is to say, by making up fictions that appear to be true--the novelist can bring a truth out to a new place and shine a new light on it. In most cases, it is virtually impossible to grasp a truth in its original form and depict it accurately. This is why we try to grab its tail by luring the truth from its hiding place, transferring it to a fictional location, and replacing it with a fictional form. In order to accomplish this, however, we first have to clarify where the truth-lies within us, within ourselves. This is an important qualification for making up good lies.

Today, however, I have no intention of lying. I will try to be as honest as I can. There are only a few days in the year when I do not engage in telling lies, and today happens to be one of them.
So let me tell you the truth. In Japan a fair number of people advised me not to come here to accept the Jerusalem Prize. Some even warned me they would instigate a boycott of my books if I came. The reason for this, of course, was the fierce fighting that was raging in Gaza. The U.N. reported that more than a thousand people had lost their lives in the blockaded city of Gaza, many of them unarmed citizens--children and old people.

Any number of times after receiving notice of the award, I asked myself whether traveling to Israel at a time like this and accepting a literary prize was the proper thing to do, whether this would create the impression that I supported one side in the conflict, that I endorsed the policies of a nation that chose to unleash its overwhelming military power. Neither, of course, do I wish to see my books subjected to a boycott.
Finally, however, after careful consideration, I made up my mind to come here. One reason for my decision was that all too many people advised me not to do it. Perhaps, like many other novelists, I tend to do the exact opposite of what I am told. If people are telling me-- and especially if they are warning me-- “Don’t go there,” “Don’t do that,” I tend to want to “go there” and “do that”. It’s in my nature, you might say, as a novelist. Novelists are a special breed. They cannot genuinely trust anything they have not seen with their own eyes or touched with their own hands.
And that is why I am here. I chose to come here rather than stay away. I chose to see for myself rather than not to see. I chose to speak to you rather than to say nothing.

Please do allow me to deliver a message, one very personal message. It is something that I always keep in mind while I am writing fiction. I have never gone so far as to write it on a piece of paper and paste it to the wall: rather, it is carved into the wall of my mind, and it goes something like this:

“Between a high, solid wall and an egg that breaks against it, I will always stand on the side of the egg.”

Yes, no matter how right the wall may be and how wrong the egg, I will stand with the egg. Someone else will have to decide what is right and what is wrong; perhaps time or history will do it. But if there were a novelist who, for whatever reason, wrote works standing with the wall, of what value would such works be?
What is the meaning of this metaphor? In some cases, it is all too simple and clear. Bombers and tanks and rockets and white phosphorus shells are that high wall. The eggs are the unarmed civilians who are crushed and burned and shot by them. This is one meaning of the metaphor.

But this is not all. It carries a deeper meaning. Think of it this way. Each of us is, more or less, an egg. Each of us is a unique, irreplaceable soul enclosed in a fragile shell. This is true of me, and it is true of each of you. And each of us, to a greater or lesser degree, is confronting a high, solid wall. The wall has a name: it is “The System.” The System is supposed to protect us, but sometimes it takes on a life of its own, and then it begins to kill us and cause us to kill others--coldly, efficiently, systematically.

I have only one reason to write novels, and that is to bring the dignity of the individual soul to the surface and shine a light upon it. The purpose of a story is to sound an alarm, to keep a light trained on the System in order to prevent it from tangling our souls in its web and demeaning them. I truly believe it is the novelist’s job to keep trying to clarify the uniqueness of each individual soul by writing stories--stories of life and death, stories of love, stories that make people cry and quake with fear and shake with laughter. This is why we go on, day after day, concocting fictions with utter seriousness.

My father passed away last year at the age of ninety. He was a retired teacher and a part-time Buddhist priest. When he was in graduate school in Kyoto, he was drafted into the army and sent to fight in China. As a child born after the war, I used to see him every morning before breakfast offering up long, deeply-felt prayers at the small Buddhist altar in our house. One time I asked him why he did this, and he told me he was praying for the people who had died in the battlefield. He was praying for all the people who died, he said, both ally and enemy alike. Staring at his back as he knelt at the altar, I seemed to feel the shadow of death hovering around him.
My father died, and with him he took his memories, memories that I can never know. But the presence of death that lurked about him remains in my own memory. It is one of the few things I carry on from him, and one of the most important.

I have only one thing I hope to convey to you today. We are all human beings, individuals transcending nationality and race and religion, and we are all fragile eggs faced with a solid wall called The System. To all appearances, we have no hope of winning. The wall is too high, too strong--and too cold. If we have any hope of victory at all, it will have to come from our believing in the utter uniqueness and irreplaceability of our own and others’ souls and from our believing in the warmth we gain by joining souls together.
Take a moment to think about this. Each of us possesses a tangible, living soul. The System has no such thing. We must not allow the System to exploit us. We must not allow the System to take on a life of its own. The System did not make us: we made the System.
That is all I have to say to you.

I am grateful to have been awarded the Jerusalem Prize. I am grateful that my books are being read by people in many parts of the world. And I would like to express my gratitude to the readers in Israel. You are the biggest reason why I am here. And I hope we are sharing something, something very meaningful. And I am glad to have had the opportunity to speak to you here today. Thank you very much.

【以上、切貼】

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「GDP、年率換算マイナス12.7%」-騒ぐより、プログラムを出せ

与謝野財経担当相も、就任当初言っていたことの不明を恥じるのは結構だが、この際は渋面作って俯いているよりも、日本経済の未来をどうするのかプログラムを出して欲しい。

政治家も、政党も、官庁も、学者も、メディアも、銭形平次の八五郎じゃあるまいし「たいへんだ、たいへんだ」と言っているだけではダメだ。

特に、自民党では次の財務相を担うつもりのある政治家とその仲間たち、そしてもちろん、次期民主党連立政権の中枢を担うべき人々とそのアドバイザーたちの時代に負う責任は大きい。

だいじょうぶ。なんと言っても、我々は日本人なんだから、きっといい知恵を出して切り抜けることができるさ。

イメージだが「原資は100兆の無利子国債の日銀引き受け、それで現在38万人分不足しているという特別養護老人ホームを一挙に建設し、看護師や介護ヘルパーの給料を倍にする。国立大学と公立高校の学費を5年間無料にし、福祉・環境・教育分野の職業教育・人材育成を徹底する」といったことをやったらどうか。5年とか10年の時限で農業や林業の「人民公社」を作って雇用を作り出すと共に食糧自給率や木材の自給率も一気に引き上げるという意見が出てきてもいい。

「かんぽの宿」の話などは徹底して解明することが必要だが、マクロ的には与野党とも、小泉純一郎ごときに振り回されてコップの中の嵐のような政局ごっこをやっている暇はないはずだ。

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本当は「アル中不祥事で辞めるか、辞めないか」より、「就任前に言っていた財政出動をするのか、財務省の役人の言いなりで結局できないか」が問題だ。=中川昭一財務相=

表題以上に何も付け加えることなし。

森田とはイデオロギー的に真逆の人だが、麻生さんと組んで、財務省を抑え込んで適切な財政政策を実施するのではないかという一点で密かに「期待」したのだが。

結局、かつて歴史教科書問題で騒いだり、NHKに圧力をかけて「従軍慰安婦」に関する番組をトーンダウンさせた右翼の政治家ということ以外に何も実績なしで終わるのか。

いつか、週刊誌のインタビューのあとがきで、林真理子女史が中川昭一氏を持ち上げまくっていたが、彼女の眼力も知れたものだな。

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2009年2月15日 (日)

朝日ニュースターの週末

かぜ気が抜けきらず、花粉症も始まって‥、となるといきおい在宅・テレビの週末。

森田のごひいきはケーブルで見られるCS局「朝日ニュースター」。土曜日は昼前の11時から、愛川欣也さんが司会の「パックインジャーナル」。

先週末の地上派テレビ局は、みんな「小泉発言」に踊らされて大騒ぎだったが、この2時間の座談番組は司会の愛川さんはじめ、森田と同じような視点から最近の麻生総理の言動と都合のいい小泉発言の両方を断じ、特にメディアが「小泉劇場」再来のように騒く゜ことは自民党の思うツボであることを厳しく指摘していた。

元日刊ゲンダイの二木啓孝氏の「町村派内部の対立が、政局全体に波及という側面がある」という分析は、かつての旧田中派と政局の関係を思い出させなるほどと思う。田岡俊次氏の軍事関係のコメントも参考になる。

夕食後の7時半からはNHK総合の時代劇『浪花の華』。はじめ栗山千明さんのりりしい女侍姿がお目当てだったが、息子が欠かさず見ている『ケータイ捜査官7』の窪田正孝君が実にいい感じで頑張っている。

遅い時間は朝日ニュースターに戻って『葉千栄のNIPPONぶった斬り』。この日は五人の日本の経済事情にも詳しい外国人が日本経済の現状についてラウンドテーブル。

ウェルザーメスト指揮クリーブランドオーケストラのブルックナー7番の中継番組を見ていたので、前半を実際に見たのは翌日曜夕方の再放送だが、皆まず「景気は『気』から」という点を指摘し、日本は実力に比べ気分が縮こまりすぎという指摘は共通するものの、議論全体の方向性としては「改革の継続」といった紋切り型ではなく、「福祉国家建設という方向に新しい需要がある」「格差・貧困問題への取り組み、これまで製造業が稼ぎ出した資金を次代のビジネス創造に活かすことなど課題ははっきりしており、政治がそれに責任感をもって取り組むことが大事」といったところか。

やはり民主党が、総選挙後の新政権のビジョンを明確に打ち出すことが、景気対策にもなるのではないかと思う。小沢党首も菅義偉氏あたりの発言にケチをつけることより、有権者に「こういう方向なら」と納得、安心、期待してもらえるような考えを、わかりやすく述べた方がいい。

日曜午後も、時代劇専門チャンネルで朝録画した「新・平家物語 義仲をめぐる三人の女」。吉川英治の原作でも、この部分は一ノ谷で捕縛された平重衡のその後と最期を描いた部分と並んで心ひかれた部分なので‥。

この時代の日本映画の重厚な描写に流石と思い、また山本富士子さんの新人時代はこんなだったのかという驚きも‥

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2009年2月13日 (金)

また「小泉劇場」か‥

麻生首相の軽率な「郵政」にかかわる発言に小泉純一郎元総理が噛みつき、NHKのニュースもそれを足かけ二日ずっと放送していた。

また「小泉劇場」か‥。

テレビ、新聞各社とも計算ずくでプレスオープンにした小泉氏の発言を垂れ流すばかりで、任期一杯を事実上無駄に過ごして、世界政治の行き詰まりと今日の経済惨状を働く人々にとって一段と深刻なものにしたことの責任について、森田が小泉氏に問い糾してほしいことをちゃんと訊いて、報道した社は1社もない。

「とくダネ」も、せっかくカントリー好きのおじさんが(麻生総理も,小泉元総理も)「どっちもどっち」とコメントしているのに、小倉智昭氏はまだ「郵政解散」の時に小泉マジックにひっかかって煽る方にまわった時の呪縛が解けていないみたいで、あくまでもあの時に「郵政改革」を支持した有権者、そしてご自身の判断は絶対正しかったという観点からの発言に終始したことに一段とあきれる。

有権者だって、時には間違うこともあるし、そのことを反省することも必要なのだ。

まあ、自民党政権がどうなろうと、自分の息子の選挙が有利になり、引退後の評論家活動にとっても、ここでひと吠えしておいた方がいいというだけのことだろう。

やっぱり、メディアの問題だな‥

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2009年2月12日 (木)

「イスラエル総選挙 右派が過半数」-たしかに痛手だが

イスラエルの総選挙で、ネタニヤフ元首相が率いる伝統的な右派政党「リクード」や、新興政党で排外主義を唱え「極右」と表現されるリーバーマン党首の「イスラエルの家」など右の獲得議席の総計が過半数を越えた。毎日新聞一面の見出しには「中東和平停滞か」と添えられ、3面には「オバマ戦略に痛手」とある。

強硬派の勢力増大はたしかに痛手だが、この結果には累積してきた原因があるので、政権発足3週間のオバマ政権も予測された結果と受け止めているだろう。

第1党は確保すると見られるカディマも、中道と表記され、日本の外交官もブッシュ政権べったりの連中や自民党の一部政治家は絶賛していたけれども、この党はもともとリクード党の党首(野党時代)やリクード党政権の首相を務めたシャロン前首相が創設した政党であり、晩年は和平派を演じていた故シャロン氏といえば、もともとはクリントン政権時代にイスラエル労働党のラビン政権とバラク政権の下で成立直前までいったパレスチナ和平の機運を「聖地訪問強行」などでぶち壊した人物だ。今回の選挙目当てとも言われるガザ侵攻を待たなくとも、森田はもともとあまりスジのいい党であるとは見ていなかった。

今回の選挙結果は困った結果だ。しかし、この原因はブッシュ政権がパレスチナ問題を事実上放置したままイラク戦争に熱中したり、イランを「悪の枢軸」呼ばわりして中東の政治地図でイスラエルをかえって不利にしたり、あるいはブッシュ政権が、パレスチナのアッバス議長が「総選挙の実施は待って欲しい」というのを押し切って当初のスケジュール通りの選挙を強要した結果、ハマスの勝利を招くといった失策を重ねてきたことの反動なのだ。

つまり、今回の選挙結果にはブッシュ・チェイニー政権の政策の累積が招いたという面があり、オバマ政権が正しい方向に政策転換し、粘り強く中東外交を進めるならば、将来のイスラエル総選挙の結果は違ったものになる可能性がある。

もちろん、イスラエルの国内の社会開発の問題、例えば建国当初からの移民ではなく、最近旧ソ連から移住したような人々の所得水準や教育水準が低いといった格差問題や、そうしたことの反映としての若者の失業やごく一部にはネオナチ(!)の流行が見られるなどといった問題があるらしい。極右や極左の台頭を防ぐにはこうした問題に地道に取り組む必要があることを忘れてはいけない。

それにしても、毎日新聞3面の見出しは「オバマ戦略に痛手」ではなく、「ブッシュ政権の負の遺産」とか、せめて「オバマ戦略に課題」くらいがいいんじゃないか、というのが森田の感想。

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米議会民主党指導部の「目測力」と、日本の自公連立政権指導部の「学習能力欠如」

11日、米議会の上下両院指導部が、これまでの例から見て全く異例のたったの一日で、両院が異なる内容で可決していた経済対策法案の一本化に合意した。

オバマ大統領が作り出したモメンタムということもあるが、要は下院民主党指導部が「上院で、討論打ち切り動議に賛成してくれた野党・共和党の『3人』の議員の言うことを丸呑みしなければ早期決着はない」と腹をくくった決断が決め手だった。

オバマ政権「与党」の民主党は、下院では安定多数を占めているものの、上院では総議席数100の半数である50を上回る議席を抑えているとはいえ、議事妨害を封じることのできる60議席には足りないため、与野党で意見のはっきり分かれる法案については共和党からの賛成票が3票程度いつも最低限必要なのだ。

計画されている経済対策が実施されたところで、どれくらい経済回復に役立つかどうかはわからない、ということではアメリカも日本も状況は同じである。与党が議会両院の絶対多数を占めてはいないということも共通である。

しかし、決定的に違うのは、アメリカ民主党議会指導部が、日本の右の連中が中曽根康弘氏が持っていると賞賛してやまない「目測力」のようなものを持ち合わせていてさっさと法案を通して経済危機下の国民に対して負っている最低限の責任を果たしているのに対して、わが国の自公連立政権は、衆議院で再議決可能な大きすぎる議席を持っていることが災いしてか、そのような「目測力」「決断力」「結果に対する責任感」の欠如を示し、いたずらに大切な時間を空費していることだ。

参院選の結果が出た後、安倍政権が対処できなかったのは政権の能力という点から予想通りだったが、福田康夫政権、麻生太郎政権と学習効果なく同じことを繰り返しているのは残念だ。

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2009年2月10日 (火)

マレーシアのヤティム外相も「ガザ攻撃を国際刑事裁判所は訴追すべき」

最近NHK-BS1で見たシンガポールCNAが、マレーシアのヤティム外相がイスラエルのガザ攻撃は人道に対する罪であり、国際刑事裁判所は訴追に動くべきであるとし、集められた署名をもって同裁判所に強く働きかけるとまくし立てる映像を流していた。怒りを露わにした映像だった。

ダボス会議ではトルコのエルドアン首相が、出席したパネル討論の司会者がイスラエルのペレス大統領が20分以上にわたって延々と「ロケット攻撃するハマスが悪い」という演説をすることを認めながら、「時間が来たから」と自らの反論を封じられたことに激怒して「2度と来ない!」と啖呵を切ってペレス大統領の前を横切って退席する様子は方々で紹介されている。

イスラエルの非人道的な攻撃、しかも与党の選挙目当てという要素の強い攻撃には、イスラム教徒ならずとも怒りを禁じ得ないが、同時にイスラム圏の人々の怒りが「アラブ」の枠を越えてEUに加盟したいと言っているトルコ人、東南アジアのイスラム国家にも共鳴していることを軽視してはならないと思う。

やはり、ヒラリー・クリントン国務長官の初外遊となる東アジア訪問に日中韓に加えてインドネシアがセットされているのは、こうした戦略上の配慮だろう。

われわれは、イスラム系の過激派の活動を抑えることについてはイスラム圏内における穏健な人々との連携、協力を強めるべきだ。外から力で押さえ込むには限度がある。やはりイスラム世界内部の自制にこれまで以上の期待をしなければならないし、協力を得るために必要な手は打たなければならない。イスラームについて理解を深め、敬意を払うことはそのための第一歩であると思う。

一方で、日本政府などにとってはガザの問題を含む中東問題の核心であるパレスチナ問題について、イスラエルやアメリカ、あるいは歴史的に一番責任の重いイギリスに対して言うべきことをちゃんと言うことが必要だ。あちら様に対して「うちうちのことはしっかり頼みますよ」という以上、「こちら側」(?)の不始末には、こちら側で落とし前をつけさせていただくのが仁義ってもんでしょう。

自民党のごく一部や、外務省に多くの中東問題をまじめに考え、パレスチナ支援などでもそれなりの実績を挙げてきた人々がいることは認めるが、やはり総体としての「自公連立政権」や外務省の首脳部は、あまりにアメリカ(それもブッシュ・チェイニー路線のようなアメリカ)一辺倒であり、そのアメリカに引きずられて、イスラエルに対してあまりに遠慮しいしいだ。

次期政権をめざす民主党などの野党には、こういった問題についても新機軸を明確に打ち出し、日本外交の「チェンジ」を図って欲しい。

【以下、関連記事切貼】

ガザ攻撃で訴追の可能性も=本格捜査には前提条件-国際刑事裁

時事通信2009年2月5日

 1300人以上の死者を出したイスラエルのパレスチナ自治区ガザへの軍事行動が、大量虐殺や人道に対する罪を犯した個人を裁く国際刑事裁判所(ICC)の「捜査対象」となるかどうかが注目されている。パレスチナ当局は1月、ICCにイスラエルの関係者らの訴追を申請し、既に「予備段階の分析」が始まった。だが、本格捜査には制度上の問題点など幾つものハードルがある。

 来日中のICC書記局トップのアルビア書記は5日までに、都内で時事通信の取材に応じ、イスラエル軍関係者の訴追について「進む可能性も進まない可能性もある」と指摘。捜査までに複数の前提条件をクリアする必要があるとの見解を示した。(2009/02/05-14:47)

【以上切貼】

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2009年2月 9日 (月)

カナダ大使館が「留学希望者に8万円を給付」だって

うちの大学受験一浪女子、なんとか滑り止め確保し奮闘中だが、その母親が食卓の席に新聞記事切り抜きを置いてやっていた。

カナダに留学する学生に「8万円給付」という募集記事。8万円では費用のごくごく一部にしかならず、この「給付」は目玉で、カナダが留学生募集に熱心で「文化的にも開かれた国よ、よろしくネ」と売り込む広報戦術なんだろう。

たとえ8万円でも、ニンジンをぶら下げれば森田家のようなさもしい一家は大注目。しかし、記事をよく読んでみると学校への出前授業などの方がむしろ実質的で、カナダ外交官の、カナダを愛する仕事ぶりが目に浮かぶ。

日本の外務省も負けずに頑張れよ。自公政権や民主党の一部みたいに、「武器使用緩和してくれなきゃ」なんてもったいぶって権勢拡大の火事場泥棒を狙う海上自衛隊にお願いしてソマリアに出てもらうよりも、こういう文化交流に頭を使う方が、手間はかかるけれども日本の存在を示す外交PRとしてよっぽど気が利いている。

【以下、切貼】

カナダ大使館 留学希望者に8万円を給付  朝日新聞 2009年2月9日
      
 カナダ大使館は6日、日本との修好80周年を記念した様々な事業を発表した。

 目玉事業の一つは、カナダへ留学する人への8万円の給付。2週間以上の留学を希望する80人を対象とし、日本在住で日本国籍を持ち、来年3月までに出発できることが条件だ。「あなたの将来を想像して下さい。イノベーションがあなたとカナダを結びます」というテーマのエッセーを、日本語で2千字以内、英語、フランス語なら1千ワード以内で提出し、審査のうえ決定する。応募締め切りは4月30日。

 また、同大使館は4月から1年間、大使館員が全国80の小中学校を訪問し、「多文化主義の国、カナダへようこそ!」という題名で、カナダの地理、歴史、社会、文化などについて出前授業をする。要望があれば高校、大学にも対応する。基本的に日本語の講演だが、英語やフランス語でも可能。募集期間は5月29日まで。

 同大使館は、東京に来る修学旅行生向けに、ガイドを付けた大使館内のツアーも実施する。所要時間は30~40分で、先着80校に対応するという。

 申し込み、問い合わせは同大使館(03・5412・6268)。

【切貼以上】

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2009年2月 8日 (日)

注目記事-共同通信のムシャラフ前大統領インタビュー

パキスタンの内政・経済の安定がアフガニスタンを含む中東の東側ひいては世界の平和と安定の焦点であること、また核不拡散・核廃絶の問題においてパキスタンが重要なカギを握っている点から、注目せざるを得ないインタビュー。

退陣した軍人出身の前大統領とはいえ、現在の民主派政権の政権担当能力には不安が残り、ムシャラフ氏は批判を浴びつつも出してきた結果に着目すれば有能な政治家だったという点もあり、インタビューを実現した共同通信はいい仕事をしたと思う。

日本政府としては第一義的には現政権を支え、パキスタンの民生向上への協力に力を尽くすべきだが、水面下でムシャラフ氏とも接触を保ち情報取得、意見交換をしていくべきだろう。

【以下、切貼】

ムシャラフ前大統領が単独会見  「被爆国日本に全部話す」 2009/02/07 21:37

 【イスラマバード7日共同】パキスタンのムシャラフ前大統領は7日、首都近郊ラワルピンディの旧大統領公邸で共同通信の単独会見に応じ、同国からの核拡散問題について「唯一の被爆国である日本政府に対し、聞かれればすべてを話す義務がある」と表明した。また、核拡散を主導したとして在任中に軟禁下に置いた科学者カーン博士が6日に軟禁を解除されたことについては「彼が拡散した明確な証拠がある」と述べ、博士の「個人的な犯行」との見方を強調した。

 昨年8月の辞任以降、ムシャラフ氏が会見に応じるのは極めて異例。核拡散の詳細を明らかにしてこなかったムシャラフ氏が今後、日本政府に対し核拡散の経緯などを説明する可能性を示唆した。ただ実際に何を明らかにするかについては言及を避けており、実態解明にはなお時間がかかりそうだ。

 核関連技術や資機材を北朝鮮やイランに拡散させたとして2004年に軟禁下に置かれたカーン博士は軍の核拡散への関与を指摘しており、ムシャラフ氏は「彼はうそつきだ」と強く非難。軟禁解除後も双方の主張は食い違っている。

 在任中に進めた核ミサイルや核施設開発については「他国の支援はもう必要ない」と表明、現在は自力開発が可能になったことを明らかにした。カーン博士は昨年、共同通信に対し、1970-80年代に日本やドイツなどから核兵器開発に必要な「重要な部品」を入手したと証言していた。

2009/02/07 21:37   【共同通信】

【切貼、以上】

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そもそも「国債発行」には「貧乏人から金持ちへの所得移転」の側面

「無利子国債」の名の下に、相続税がかからない国債を発行しようという話が出ているという。やはりお金持ち優遇の自民党や財務省はたいしたもので、こうした経済危機の中にあっても、どさくさ紛れに「資産・所得格差」を次世代にまで持ち越す政策を新たに導入するつもりらしい。

もっとも、国債の大量発行にはもともと「貧乏人から金持ちへの所得移転」という要素がある。

30年ほど前に森田が私大の「経済原論」の講義をとった頃は、ケインジアンも半分近い勢力を保っていて、講師で来ておられた故長谷田彰彦・学芸大教授などは「国債は、借り手も貸し手も国民なので、外債に頼らない限り何の問題もない。大蔵省が国債をいやがるのは、銀行に頭を下げなければならないからというだけだ」といった具合だった。政府が借金して公共投資を行えば、ある程度の乗数効果が望めた時代には、必ずしもトンチンカンな議論ではなかったのである。

経済の成熟化で、いまは「投資は効果の大きい分野に」という点に議論を集中しなければならないわけだが、さらに、無利子国債という名の「相続税のかからない国債」の議論を聞いて、森田がずっと考えていて世間ではあまり言われない論点にここで触れておきたいと思った。

素人だけに雑ぱくな議論になるが、以下のようなことだ。ある時期までのケインジアンたちが言っていたように「国債の借り手」も「貸し手」も共に国民だ。ただし、森田が強調したいのは、貸し手と借り手は同じ人ではないということだ。

端的に言えば「国から国債を買って利子を受け取る人」は裕福な人であり、「税金を払って、国債の買い手に払う利子を負担するのは国民全体」なのである。

もちろん、お金持ちの方が税負担は重いのだが、近年までお金持ちの税負担をどんどん軽くしてきたのがわが国において歴史的な流れであり、巨額な財政赤字を作り出しておいて、「新たな負担増は(比例税の)消費税で」というのが、財務省・財界・自民党と、そこにへつらう学界、大手メディアが流してきた話だ。

巨額な国債を発行すると、巨額な利払いが発生する。その利子を受け取るのはお金持ちであり、利子を払うのは国民全体。しかも、低所得者の負担割合を高める「税制改革」が着々と進行している。

そうして格差を拡大していく中で、こんどは「相続税免税」という「格差固定」の知恵を出す。われわれがボーッとしていると、税制はどんどん格差拡大・固定の方向に歪められていく。

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2009年2月 7日 (土)

「欧州MDは対イランで保持、ただしロシアと協議」-バイデン米副大統領のミュンヘン演説

バイデン副大統領はミュンヘン演説で、東欧配備のミサイル防衛構想(MD)はイランに対する抑止として維持する、ただしロシアと協議するという線で発言したらしい。

イランのこととなると、アフマディネジャド大統領がイスラエル殲滅を公言している関係上、「イスラエルの生存」がかかわるということで、アメリカの既成政治家にとっては日本の最近の「拉致問題」どころではない、パプロフの犬のようなと言っては失礼かも知れないが、棒を飲んだような反応になってしまうということは織り込んで観察しなければならない。

「ロシアと協議する」というのは、ブッシュ政権の姿勢とは全く異なりかなり含蓄がある。オバマ政権は、少なくともロシアと軍縮交渉を進めるつもりがあり、MDもカードとして使うということだ。

ミサイルをミサイルで撃ち落とす-それも核ミサイルが相手であれば100パーセントでなければ意味がない-というMD構想が現実的でコストに見合うシステムなのか疑問であり、相互核抑止を不安定にするもではないかという疑問は払拭されていないが、それをさておくとしても、本当に「対イランの核ミサイル脅威」というなら、本質的にはアメリカとロシアがミサイル防システムを共同開発し、共同配備することがベストなはずだだ。

日本の防衛大臣も初めて出席したらしいが、全く存在感がない。「対イランというなら、アメリカとロシアはMDを共同開発、共同配備したらどうか」と、知らないふりをして「王様は裸だ!」に類する演出の発言くらいしたらどうか。これくらい言えば、全体の対話を前に進める触媒くらいの役には立つ。

知ったような顔をして、ずっと黙っていて結局はひたすらにアメリカ追随を続けるだけというのでは、アメリカにとっても、お手伝いないし子分としてはともかく、国際政治上のパートナーとしては、引き続きいてもいなくても同じ存在ということになってしまうだろう。

【以下、毎日新聞記事の切貼】

ミュンヘン会議:米副大統領演説 「協力と協調」よびかけ    毎日新聞 2009年2月7日

 【ミュンヘン(独南部)小谷守彦】バイデン米副大統領は7日、ミュンヘンでの安保政策会議で演説した。オバマ政権発足後、首脳級が国際会議に出席するのは初めてで、オバマ外交が本格スタートした。副大統領はテロの脅威や金融危機、地球温暖化など共通の課題に対処するため「あなたの助けが必要だ」と欧州など各国の協力と協調を求めた。一方、イランの脅威を挙げ東欧ミサイル防衛(MD)計画継続を強調するなど、強い外交姿勢にこだわりも見せた。

 副大統領は「米国は(世界に)関与し、その声を聞き、相談する。世界が米国を必要としているように米国は世界を必要としている」と述べ、イラク戦争開戦をはじめとしたブッシュ前政権の単独行動主義から脱却、協調と責任分担を重視する外交への転換を鮮明にした。

 その一方「米国はより行動するが、パートナーにもより多くを求める」「脅威には一国だけでは対処できない」とアフガニスタンへの軍事・復興支援を念頭に各国に責任分担も求めた。

 対話路線も強調し、「イランとの直接対話を望む」「核開発を放棄すれば報奨がある」と呼びかけた。

 ただ、「軍事力が我々の自由を守ってきた。これは不変だ」と述べ、軍事力行使も排除しない姿勢を明確にした。東欧のMD計画については効果的であるという前提付きで「イランのミサイル能力増強に対抗するため」継続を表明した。これに反発するロシアに配慮し、「ロシアと協議する」と述べた。

 米露間で滞ってきた核兵器削減交渉について「米露で削減のイニシアチブを取らなければならない」と交渉再開への意欲を示した。

 会議には浜田靖一防衛相が初めて出席、駐日米大使に有力視されるジョセフ・ナイ元国防次官補と会談する。

 ◇7日のミュンヘン安保政策会議での、バイデン米副大統領演説要旨は以下の通り。
 オバマ新政権は、他国との新しい基調の構築を望む。過激主義に対し、共通の枠組みでの協力継続を追求していく。私たち米国には、あなたたちの助けが必要だ。キューバ・グアンタナモの(テロ容疑者)収容所の拘束者受け入れを、他国にもお願いしたい。

 米国はイランとの直接対話を望んでおり、その用意がある。イランは圧力、孤立を選ぶのか。核開発を放棄し、テロ支援を中止すれば、意味ある報奨があるだろう。

 私たちは気候変動に対し、積極的にリードしていく用意がある。

 北大西洋条約機構(NATO)とロシアの間に横たわる危険なわだかまりを捨てるために、リセットボタンを押す時だ。もちろん、ロシアの勢力圏拡大など、全てを容認することはしない。MD(ミサイル防衛)についても、ロシアとNATO加盟国との同意の上で決定されるだろう。大幅な核軍縮も目指す。NATOもロシアも、国際テロ組織アルカイダやアフガニスタンの旧支配勢力タリバンを打倒するため、協力していくべきだ。

毎日新聞 2009年2月7日 21時04分(最終更新 2月7日 21時57分)

【以上、切貼】

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【切貼】核軍縮交渉の推進を=米政権に呼び掛け-ロ副首相  時事通信2009年2月7日付

ロシア側からも、現段階では前向きな発言。

【以下、切貼】

核軍縮交渉の推進を=米政権に呼び掛け-ロ副首相   時事通信2009年2月7日付

 【ミュンヘン6日時事】ロシアのイワノフ副首相は6日、独ミュンヘンで開かれている安全保障会議で演説し、第1次戦略兵器削減条約(START1)が年末に失効することを指摘し、「われわれが歩を進める時だ」と述べ、米国に後継条約交渉の推進を呼び掛けた。

 同副首相は「われわれの提案に対し、米新政権の建設的な反応を期待する」と指摘。一方で、米国によるミサイル防衛(MD)東欧配備計画については、「緊張を高める結果にならざるを得ない」と警告し、ブッシュ前政権の核戦略からの転換を求めた。(2009/02/07-06:32)

【切貼ここまで】

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2009年2月 6日 (金)

日本も「宗教地域協力事務所」設置しては

「年越し派遣村」がクローズアップされた時期に、朝日新聞の「声」欄に二度にわたって「お寺は何をやっている。こういう時は本堂を開放して、困っている人を助けるのが宗教の役割ではないか」という投書が載り、フジテレビの「トクだね」でもコメンテーターの一人が同様の言及をしていた。

お寺をはじめ宗教には、こうした面での役割をぜひ果たしてほしい。また、わが国が国際社会において果たすべき役割の一つに、しばしば紛争やテロの温床ともなる途上国の貧困や社会問題への取り組みがある。そうした面でも宗教が果たし得る役割は大きい。

アフガニスタン、ソマリアなどの問題について、危険は伴い、自衛隊派遣云々よりかえって大変なことは事実だが、文官や民間による農漁業支援や教育、保健衛生支援などの方がよほど問題の根本的な解決に役に立ち、わが国に向いている。

政府にとってNGOなどとの協力、NGO活動に対する支援が重要だが、その際に「宗教」という点に着目することは意義がある。モチはモチ屋ということばがあるが、例えばアフガニスタン支援を考えるときに、日本ムスリム協会の知恵と力を借りるという発想は大事なのではないか。

日本の伝統宗教、新興宗教にも「世界宗教者平和会議」といった平和に貢献しようという志向は存在する。「他宗教と協力するより、うちのボスにノーベル平和賞を」というところはあるかもしれないが、ブログで葬儀屋のようなことしかやっていないではないかと言われているよりは、世界平和に直接に貢献したいという志を持つ信仰者も多いのではないか。

政府がコーディネーターの役をやり、対象地域によって適切なグループが前面に立ち、政府と他の宗教は後方支援に全力を挙げる=例えばアフガニスタンにキリスト教団体を派遣すれば、韓国のキリスト教団体の事件があったようにテロの標的になってしまうだろうから、そうしたことは避けなければならない=。

国内のムスリムの力だけでは足りないというのなら、インドネシアやマレーシアの支援団体に資金や後方支援で協力するという考え方もあっていいのではないか。ヒラリー・クリントン国務長官の東アジア訪問にインドネシアが含まれるのにはそういう要素があるのかも知れない。

自民党や民主党の右派も、伊勢神宮参拝ばかり熱心にやっていないで、考えるべきことがある。神社だって「総理の靖国参拝実現」などと内向きのことばかり言っていないで、若い人々が世界の中で誇りを持って生きていけることの助けになるような、神社自身の国家に対する積極的な貢献を考えてほしいものだ。

【以下、毎日新聞2009年2月6日付記事の切貼】

オバマ米大統領:宗教事務所新設 「特定宗派こだわらず」

 【ワシントン大治朋子】オバマ大統領は5日、地域の経済活性化や貧困、教育対策を目指す「宗教地域協力事務所」をホワイトハウスに新設するよう命じる大統領令に署名した。同様の組織はブッシュ前大統領も設置したが、大統領を支持する一部キリスト教右派らが活動の中心となり、「政教分離」を求める批判が絶えなかった。

 AP通信などによると、各種宗教団体のリーダーら25人が同事務所の顧問を務める。地域の宗教団体や非営利法人の活動を支援し、貧困対策や就職支援などに取り組む。また、海外の宗教団体とも連携し、異教派間の対話促進に努めるという。

 オバマ大統領は設置にあたり、特定の宗派にこだわらない方針を強調。「米国が求めている変化は政府だけではなしえない」と述べ、宗教界の協力の必要性を訴えた。

 ブッシュ前大統領が設置した組織も公費で運営されたが、スタッフが特定の宗派に限られ、オバマ大統領は選挙中「政教分離」の必要性を訴えた。

【切貼終わり】

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2009年2月 5日 (木)

【切貼】過去に来広 米大統領補佐官 '09/1/21広島の地方紙 『中国新聞』

やはり少し前の、広島の地方紙『中国新聞』より。記憶にとどめておきたい。

【以下、切貼】

過去に来広 米大統領補佐官 '09/1/21 『中国新聞』

 オバマ政権の大統領補佐官(科学技術担当)ジョン・ホルドレン氏(64)が、ヒロシマを訪れていた。科学者の立場から核兵器の廃絶を目指すパグウォッシュ会議が1995年と2005年に被爆地で開いた年次大会に参加し、講演や、原爆資料館で記帳もしていた。補佐官登用は、核軍縮に前向きなオバマ新大統領の考えの表れといえ、政策形成にも重要な役割を担うとみられている。

 ホルドレン氏は就任前は米ハーバード大教授で環境政策が専門。パグウォッシュ会議(本部英国ロンドン)のサイトによると73年から会議に参加し、87年から10年間評議委員長を務めた。

 被爆地で初めて開いた95年の大会では、「核兵器と戦争の廃絶を訴える」広島宣言をまとめた。この年に会議がノーベル平和賞を受賞すると代表して、「冷戦終結後の軍縮と平和構築」をテーマに受賞記念講演もした。

 さらに05年の被爆地での年次大会で「核“ゼロ”への道」と題した講演を行い、米国が包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准やロシアとの核兵器削減を推し進め、非核保有国の日本とドイツ、ブラジルの国連常任理事国入りなどを提唱。「核兵器禁止の目標を定めるべきであり、それには米国の指導力と世論の支持が不可欠だ」と訴えた。

【写真説明】<左>1995年7月に原爆資料館を見学して「心揺さぶられ、核兵器をさらに自らの問題として考えていきたい」と記帳していた <右>広島国際会議場であったパグウォッシュ会議で講演するホルドレン氏(2005年7月23日、撮影・松元潮)                                

                                     '09/1/21 『中国新聞』
【切貼、以上】

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【切貼】「核兵器 テロに効かず」英退役高官の発言相次ぐ 2009年2月5日(木)「しんぶん赤旗」

『しんぶん赤旗』から。わが国では、田母神空幕長(当時)という現役の自衛隊最高首脳が侵略と軍国主義の時代の日本を指して「いい国」と表明する事件があったが、わが国においても、よい内容であるなら現役自衛官、退役自衛官の発言も大歓迎だ。

【以下、切貼】

「核兵器 テロに効かず」英退役高官の発言相次ぐ  2009年2月5日付「しんぶん赤旗」

 【ロンドン=小玉純一】「核兵器は脅威克服に役に立たない」と英国の核兵器政策変更を期待する退役軍高官の発言が相次ぎ、注目されています。英外務省も4日、「核の影を取り除く 核兵器廃絶への条件づくり」と題する政策を発表します。

 北大西洋条約機構(NATO)大西洋軍元最高司令官のジャック・シーハン米海兵隊大将はBBCラジオ4のインタビューで、「英国は、核兵器を捨てる最初の国連常任理事国となると近く発言すると思う。英国政府はそうする十分な理由があり、世界の先鞭(せんべん)となるだろう」(一月二十九日、BBC電子版)と発言しました。同氏はさらに、「そうなれば、なぜフランスが核兵器システムを持っているのかが問題になる」と述べ、英国の核兵器廃棄宣言は大きな国際的影響力を持つと予測しています。

 英紙タイムズには、ブラモール元英陸軍元帥ら三人の元将軍が、「英国に核抑止力は必要ない」(一月十六日付)と題して寄稿。「英国がテログループなどから核脅迫を受けた場合、英国の核兵器を、誰にどんな方法で使用するのか、また脅迫に使うのかが問われなければならない。われわれが現在直面している脅威、とくに国際テロに対する抑止力として核兵器はまったく役に立たない」と断言しました。

 英国政府は、核抑止力を維持するとしながらも、核兵器のない世界をめざす立場を表明しています。ミリバンド外相は昨年十二月八日、英紙ガーディアンに「核兵器のない世界」と題して寄稿。「核兵器のない世界という構想だけでなく、それを実現する方法も共有する地球的連合をつくる必要がある」と強調しています。 

2009年2月5日付「しんぶん赤旗」

【切貼、以上】

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【切貼】中国「新型核兵器の研究を中止」  韓国『中央日報』2009年1月22日付

少し前になるが、中国の国防白書に関する韓国『中央日報』記事から。新型核兵器の研究を「一時的に」中止ということに何ほどの意味があるかとも思うが、日本の防衛省や外務省の記者クラブ所属記者へのブリーフィングにこういう観点からのコメントがなかったせいか、日本国内の報道に見かけなかったポイント。

【以下、切貼】

中国「新型核兵器の研究を中止」  韓国『中央日報』2009年1月22日付

  中国が新型核兵器の開発に向けた研究を中断したと明らかにした。

  核兵器で先進技術を有することから、持続的に研究する必要がないということだ。中国が核兵器開発の状況についての立場を公式に表明したのは初めて。「2050年までは世界のいかなる国からの攻撃も防御、撃退できる軍の現代化計画を終える」という方針も明らかにした。こうした内容は中国の国防省が20日に発表した「2008年国防白書」で公開されたものだ。中国は98年から国防白書を発表しており、今回で6回目となる。

  ◇「核兵器の製造、反撃能力は十分」=白書は「新型核兵器の開発を中断した」としている。もちろん「しばらくの間」という前提の下だ。理由は「外部からの核兵器による脅威が減少した」ということだ。

  しかし軍事専門家の見方は異なる。マカオ国際軍事学会の黄東会長は香港紙「苹果日報」とのインタビューで「中国軍が新型核兵器の開発をしばらくの間中断したのは、強力な核兵器製造の能力に自信を示したものだ。中国は核弾頭搭載の技術や核反撃能力の正確度を向上させるための研究を続けるだろう」という認識を表した。また「中国はすでに約2000基の核弾頭を保有し、核による自衛能力が十分だと判断している」と述べた。

  白書はしかし「核兵器の先制使用はしない」という点を明らかにした。中国は64年に核実験に成功して以来、先制攻撃をしないという原則を固守している。

  ◇陸海空軍の戦術変化=白書は「今後、中国軍は旅団や大隊級の戦闘体制に変化する」と明らかにした。大規模な作戦より強力な小規模の部隊を中心にした戦闘が現代戦の中核となるというのが、中国軍の指導者らの認識だ。各軍の変化の方向も公開された。陸軍は「地域防衛」の概念から脱却し、「全地域への機動型防衛」と攻撃の概念に変化している。

  「全地域」の概念が、北東アジアやアジアなど特定の地域を含めたものかは定かでない。海軍の主要任務は沿岸の警戒と防衛だが、公海上の作戦能力を向上させ、「非伝統的な安保脅威」に備える作戦も並行する計画だ。また昨年7月に海軍専門大学を開校し▽関連戦略の研究▽人材の養成▽新たな訓練システムの開発--に乗り出した。

  空軍は従来の「領空防衛」の概念から「反撃と攻撃」に作戦の概念を変えた。攻撃能力を強化するということだ。このために空軍は▽偵察や早期警報のシステム▽ミサイル防衛(MD)や戦略兵器を活用する能力--を強化するという立場を明らかにした。

  ◇「軍事力は不透明」=中国軍は07年から航空母艦の建造を直接かつ間接的に認めてきたが、白書は空母建造には言及していない。また軍別の兵力数や基本兵器の現況も公開しなかった。カナダの軍事専門紙「カンワ・ディフェンス・レビュー」の編集長アンドレ・チャン氏は、香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストとのインタビューで「台湾やベトナムなどといった国でもこれ以上秘密ではなくなった陸海空軍の兵力、パイロット、戦闘機の数などについて、白書は公開していない」とし「中国の軍事力は依然不透明だ」と指摘した。                    韓国『中央日報』2009年1月22日付   

【以上、切貼】

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2009年2月 4日 (水)

「オバマ政権が野心的な米ロ核兵器削減交渉提案へ」-歓迎すべきニュース

オバマ政権が「核弾頭80パーセント削減」を目指す米ロ核兵器削減交渉開始を提案するという報道があった。

大歓迎である。広島・長崎に投下された一発の核爆弾の威力をわれわれは些か知っているわけだが、現在の世界の核兵器庫にはその数十万発分という、全人類を何度も絶滅させる核兵器が蓄積されているのである。

これを放置することは、危険なことであり、資源や財源の無駄遣いであり、米ロにとっては核拡散防止条約の「核保有国の軍縮努力」の違反であり、イランや北朝鮮、あるいはイスラエル、インドやパキスタンに「核を持つな」と言うことばの説得力を著しく損なう行為だ。

レーガン政権時代、高齢でタカ派と見られたポール・ニッツェ氏が旧ソ連との交渉でよい仕事をしたように、米政府代表に超党派の人材起用のオバマ政権としては父ブッシュ政権の国家安全保障担当補佐官を務めたスコウクロフト氏などを考えてはどうか。高齢で無理ということでであれば、ロシアをよく知る弟子のライス・ブッシュ政権国務長官の起用だっていいかもしれない。

さて、こうした時に自公連立政権や、次期政権党を狙う野党がどういうメッセージを発信するかにも注目したい。

「われわれは核の傘に守ってもらっているのだから」と無気力、無関心をさらし続けるのか、広島・長崎の被爆体験を持ち、核兵器廃絶を願う国民の意思を体してオバマ政権のイニシアチブや、もしそれにロシアが応えようとするならロシアに対しても、強い、明確な支持のメッセージを出すのか。大いに注目したい。

【以下、時事通信記事の切貼】

米ロ、核弾頭の大幅削減交渉へ=英紙  時事通信 2009年2月4日

 【ロンドン4日時事】4日付の英紙タイムズ(電子版)は、オバマ米大統領がロシアとの間で過去20~30年間で最も野心的な核兵器削減交渉を行う見通しで、両国の核弾頭を80%削減することを目標にしていると報じた。
 同紙が得た情報によると、この交渉が首尾よく妥結すれば、核弾頭はそれぞれ1000個にまで削減されるという。(2009/02/04-09:49)

【以上、切貼】

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ダッシェル氏の厚生長官指名辞退、残念

昨日はテレビでステファノプロス記者の「恐らく指名辞退にはならないでしょう。だだし、仮に指名が承認されてもオバマ大統領は代償を払うことになる」という解説を聞いて少し安心していたけれども、結局辞退ということになった。

「閣僚候補の指名辞退」という事実だけでも政権にダメージだが、ダッシェル氏の厚生長官起用はオバマ政権の「肝」の一つだと思っていたのでたいへん残念だ。

オバマ政権の当面の課題は「金融経済危機」への対処であり、「アフガニスタン」だが、アメリカの本格的な「チェンジ」の中心課題は医療保険制度改革であることは誰の目にも明らかだ。日本などと異なり、多くの低所得層が無保険の状態にあることが、アメリカが貧しい人々にとって過酷な社会であることの大きな原因だからだ。

クリントン政権も発足当初、ヒラリー夫人を先頭に改革に取り組もうとしたが、議会の協力をとりつけることができずに失敗。その後、中間選挙の大敗で政権の中心課題から外れてしまった。

ダッシェル氏は、オバマ氏が上院議員に当選した2004年の上院選で、現職の民主党・上院院内総務として出馬していて接戦で落選した人だが、なにしろ野党時代には上院・下院の院内総務は所属政党の最高幹部であり、そのようなポストにあったこと自体が会派内での力、人望を示している。

さらに、当選が入れ替わりだったこともあり、オバマ上院議員の事務所には落選したダッシェル院内総務の中心的なスタッフが雇用され、ダッシェル氏自身も当時のオバマ上院議員に親切にアドバイスしてきたという関係にある。

つまりダッシェル氏は、ベテランとしての「安心感」で若い大統領が率いるオバマ政権の信頼感を高めることが期待でき、大統領自身と非常に信頼できる関係がすでにできあがっていて、「皆保険」の方向への熱意において人後に落ちず、そしていちばん肝心な「議会対策」において頼りになるという、オバマ政権にとってキーパーソンになるべき人物だったのだ。

たいへん残念だが、オバマ大統領は選挙戦においても何度も窮地からカムバックしてきた。今度もダッシェル氏辞退をどうカバーするかに注目したい。

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2009年2月 3日 (火)

【切抜貼付】バイオ燃料:新潮流 環境破壊を教訓に 毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

研究者をはじめとする関係者の努力に期待したい。木造家屋が多いわが国では、建築廃材にも原料として注目すべきだと思う。

【以下、切抜貼付】

バイオ燃料:新潮流 環境破壊を教訓に  毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

 地球温暖化防止にも貢献する次世代燃料の原料として、生物由来の資源(バイオマス)が注目されている。世界で起きたバイオマス燃料(バイオ燃料)ブームは、原料のサトウキビやトウモロコシ価格を引き上げ、それらの栽培面積を拡大するため環境破壊を招いた。これを教訓に間伐材や稲わらをシロアリの消化酵素で分解したり、目に見えないほど小さな藻類に石油を作らせる研究が進んでいる。【元村有希子】

 ◆シロアリに着目

 顕微鏡をのぞくと、無数の微生物がさかんに動き回っていた。理化学研究所分子情報生命科学特別研究ユニット(横浜市鶴見区)の守屋繁春ユニットリーダーは、シロアリの腸内にすむこの生物を研究している。シロアリが食べた木を分解する単細胞の原生生物で、これを利用して木からバイオ燃料を作るのだ。

 木などの植物は、セルロースでできた繊維質の細胞壁を持つ。セルロースをくるんでいるリグニンは分解しづらく、木から燃料を作る際には「前処理」として希硫酸を入れて加熱しなければならない。ところがシロアリは難なく消化する。

 シロアリの腸内にすむ多種多様な原生生物は、パラバサリアとオキシモナスの2種類に分類されるが、人工培養で増やすことができない。守屋さんらは、これらがDNAからたんぱく質を作る際に「型紙」として働くメッセンジャーRNAをまとめて取り出し、消化に働く未知の酵素を特定した。

 ◆省エネ、高効率

 理研、東京大、農業生物資源研究所、琉球大による共同プロジェクトが進む。農生研・琉球大チームは、宿主のシロアリそのものを調べ、東大のチームは麹(こうじ)菌に酵素を大量に生産させる技術を開発中だ。3年後までに、酵素を使って試験管の中で繊維を分解する段階にもっていくのが目標だ。

 手法を確立できれば、前処理も廃液処理も不要になる。間伐材などが使えるため、食料との競合を避けられる。獲得エネルギーを投入エネルギーで割った「エネルギー収支」でみても、サトウキビの最大2・7倍の高い効率が期待できるという。

 ◆石油を作る藻類

 筑波大学(茨城県つくば市)では、石油を生み出す微細藻類「ボトリオコッカス」の培養実験が進む。ボトリオコッカスは温帯から熱帯の淡水に最大0・5ミリ程度のコロニー(群れ)を作って生息し、光合成で石油成分の炭化水素を合成する。

 渡辺信教授(構造生物科学)は、ボトリオコッカスが作る油を1ヘクタールあたり年間118トンと見積もっている。トウモロコシの0・2トン、菜種の1・2トン、油ヤシの6トンに比べ格段に多い。

 渡辺さんらは全国で集めた144株のうち生産効率が高い沖縄の株を選んだ。生産ラインに乗せると仮定すると、1リットル155円かかり高すぎるため、効率を10倍に上げる必要がある。家庭や工場から出るアルカリ性の廃水中で生産性が上がることも分かった。二酸化炭素を吸収するだけでなく、廃水を浄化し油も作ってくれるというわけだ。

 昨秋から科学技術振興機構の支援で総額3億5000万円のプロジェクトが始まった。「廃水処理を兼ねた小型プラントを火力発電所や下水処理場などに作るほか、耕作放棄地を活用すれば大量生産も可能」と渡辺さんは意気込む。

 ◆バイオマス戦略--コスト面に課題

 政府の「バイオマス・ニッポン総合戦略」(06年3月に閣議決定)はバイオマスを「再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義。2030年に日本がバイオマスを活用した社会になることを目指し、生ごみの堆肥(たいひ)化や、植物を発酵させてバイオ燃料を作ることなどを提案している。

 バイオ燃料も燃やせば二酸化炭素が発生する。しかし、原料の植物は光合成を通して空気中の二酸化炭素を吸収しており、地球上の二酸化炭素量は増えないと見なされるため、地球温暖化防止に有効と考えられている。

 トウモロコシなどに続く「第2世代」の原料として注目されるのが、間伐材や農作物の食べられない部分だ。農林水産省の07年の統計によると、稲わらなどの農作物非食用部は1400万トン発生しているが7割が利用されていない。森林から出る不要木材は350万トンで、わずか2%が製紙などに利用されているだけだ。

 しかしバイオマスは広く分布するため、効率的に集める工夫が必要だ。投入するエネルギーが、得られるエネルギーに比べて大きく、コスト面の課題もある。

毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

【以上、切抜貼付】

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【切抜貼付】増える離職者を介護職に。国の支援策の内容は。=毎日新聞より=

大量失業発生と、介護の人手不足。自民党政権の施策を【切抜貼付】。実際の動向、改善が必要な点などフォーローしていく必要ありと思う。記事中にもあるが、食べていくことができなければ人材が定着するわけがない。

【以下、切抜貼付】

働くナビ:増える離職者を介護職に。国の支援策の内容は。

 ◆増える離職者を介護職に。国の支援策の内容は。

 ◇職業訓練を充実 返還免除設け月10万円貸し付けも
 ◇現場の待遇改善も不可欠

 派遣労働者の契約の中途解除による離職者の増加など非正規労働者の雇用が社会問題化する中、さまざまな雇用対策が講じられている。中でも介護・医療分野は人手不足感もあり、厚生労働省は、この分野の雇用拡大プロジェクトチームを設置した。介護職への誘導では特に手厚い支援が準備された。支援の内容を報告する。

 介護職に携わる労働者は、00年の約55万人から06年には約117万人と2倍以上に増えているが、試算によると高齢化の進行で14年には160万人が必要になるとみられる。また、介護職の有効求人倍率は04年度の1・14倍から、07年度には2・10倍に伸びており、人手不足が深刻化している。

 そこで、厚労省は雇用問題と人手不足の同時解消を目指し、離職者の職業訓練を充実して介護職への誘導を進めることにした。離職者の訓練で、即戦力としての3カ月訓練(ヘルパー2級)を拡充し、より高度な技能を養成する6カ月訓練(ヘルパー1級)と2年訓練(介護福祉士)を新設。訓練の受講は、ハローワークの福祉人材コーナーであっせんする。

 より高度な訓練を受けられることは望ましいが、その間の生活費が問題となる。これまで、フリーターや非正規労働者の職業訓練では、訓練を受けている間、収入が途絶えて生活できなくなるため、受講する人がなかなか増えなかった。新制度は、離職者が訓練期間中、生活費として月10万円(扶養家族がある場合は12万円)の貸し付けを受けられる。貸し付けを受けられるのは、年収200万円以下。雇用保険給付を受けている人は、給付期間が延長される。

 さらに、貸し付けには返還免除制度を設けた。年長のフリーター、雇い止めや解雇で職を失った派遣労働者、母子家庭の母親などは、介護職に就職した場合は全額、求職活動を行っていれば約8割が免除される。失職した派遣労働者で雇用保険の受給資格のない人でも、10万円の貸し付けを受けながら、介護の資格を取得できる。

 雇う側にも、未経験者を雇用した場合、1人当たり50万円を支給する。希望者を受け入れやすくすることで、就職を後押しする。

 東京介護福祉労働組合の清沢聖子書記長は、「介護労働者を計画的に、地域にバランス良く配置できれば、地域の宝になる」と語る。だが、「過去の不況の時も、離職者は介護職に誘導された。だが入り口を広くしても、低賃金・重労働など労働条件が悪いために、多くの人が離職した。同時に、仕事の安定にも取り組むべきだ」と注文を付ける。

 介護職の離職率(仕事を辞める割合)は07年度で21・6%と、全産業平均の16・2%を上回り、勤続1年未満で退職する割合は約4割に上る。昨年末には、待遇改善のため介護報酬の3%アップが決まったが、どの程度、労働者の賃金上昇につながるのかは不明だ。

 厚労省は支援の実施で約2万人の介護労働者の就職につなげたいとしている。担当者は「離職者と、人材が不足している所へマッチングするため、支援制度の内容に配慮した。介護の仕事の在り方も見直しつつ、人材養成を進めたい」と話している。【東海林智】

毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

【以上、切抜貼付】

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「もっと自由にカネ儲けできる社会」より、「誰もが生きやすい社会」=ひとつの指標・発達障害支援=

今日付の毎日新聞2面の連載「生徒指導はいま」に発達障害支援の話が出ている。ようやく世間に認識が広がりつつあるが、施策という点ではようやく緒についたばかりだ。

とにかく、ブッシュ=小泉・竹中時代の自民党政治は「カネ持ちがもっとカネ持ちになれる政策」と、「福祉・教育も予算は切り詰め」の組み合わせだ。

世界と日本の現状がようやく「転換」の必要性を皆に知らせている。ここで取り上げている「発達障害支援」にどう取り組むかなどは、よいリトマス試験紙である。

ちなみに、以下に貼り付ける毎日記事に「通級」という話が出ている。世田谷区でもそうした制度があり、うちの子も週に二日ほどだったか別の学校に通った。制度が無いよりうんとましだが、そこに通う日は在籍校の授業が受けられず勉強が遅れる。

ハンディを負う子が苦労する一方で、帰国子女学級というのも設けられていて、生徒は二つの学校を往復するといったことなく在籍校で母国語の習得などの特別支援を受けられる。しかし、この子たちは将来「英語が得意」などの有利な点があり、民放の女子アナはじめ就職も有利ないわば強者ではないか。

こういった森田に言わせれば「本末転倒」が起こるのは、帰国子女の親たちが官僚や大企業の社員など社会的強者であることと関係があると思う。

公立学校教育においてさえこの有様だ。放っておけば、政策は格差拡大、強者がますます太る方に流れる。良心的な政治家、良心的なメディアの奮起が望まれる。

それにつけても、最近の週刊誌『AERA』などは教育関連の記事といえば「どうやってうちの子をブランド校に進学させられるか」といった下らない記事ばかりである。社会的強者のカネ持ち記者で、実のところは頭が悪く、ジャーナリストとしての使命感も欠如した連中の仕事ということなのだろうが、そんなことやってて朝日新聞は本当に生き残れると思っているのだろうか?

【以下は2009年2月4日付・毎日新聞朝刊2面記事の切抜貼付】

先生:生徒指導は今/5 発達障害児の特別支援教育

 ◇無理解・手不足、壁に

 母親の反応はいつも同じだ。「家では普通なんですけど」。そんなことないでしょう、というせりふをのみ込む。

 東京都内の小学校教諭(54)のクラスには、落ち着かない男児がいる。授業中座らない。給食中、皿の上の野菜を床に投げる。朝礼で前の子のズボンを下ろしてしまう。発達障害の可能性があることをにおわせ、母親に専門医受診を勧めるが、応じてもらえない。

 数人の男児が同調し学級崩壊した。一部保護者から区議に「担任を代えて」と陳情が出た。酒量が増え、クラス替えを待つ日々だ。

 対人関係が苦手だったり、衝動的な行動をとったりする発達障害。文部科学省の初の調査(02年)で、発達障害の傾向を示す小中学生は68万人(6・3%)に上り、1クラスに約2人と推定される。ケアが必要なら、専門の指導をする通級学級や特別支援学級に通う。しかし一昨年5月現在、通級学級に通うのは約4万5000人。肢体不自由児らも対象とした特別支援学級などに通う約17万人を足しても、68万人には及ばない。

  ■   ■

 大阪府内の公立小。授業中はだしで駆け回り、時には机に伏していた小2男児に、特別支援学級の男性教諭(58)が声をかけた。「先生の所に来いへんか」。2年前のことだ。5、6時間目だけ顔を出した男児は翌朝、自分から特別支援学級に顔を見せ、約1カ月通い続けた。

 翌月の保護者懇談会。教諭は悩みながらも、机に向かう男児を母親に見せた。「うちの子が勉強してる」。母親は声を震わせた。専門医にかかり、集団に適応しない高機能広汎性発達障害の傾向があるとわかった。

 男児は1けたの繰り上げ算が苦手だ。集中力も続かない。特別支援学級は全部で7人。友達のおもちゃを取り上げたり、奇声をあげ泣き続ける子もいる。「ほかに居場所がないから、ここでしかいら立ちをぶつけられない」。男性教諭は、子どもたちが落ち着くのをゆっくりと待つ。

  ■   ■

 多くの発達障害児は普通のクラスで過ごす。東京都内の小学校のあるクラスには、34人中、発達障害とみられる子が6人いる。うち1人は感情が行動に表れやすく、壁をけり友達につかみかかる。担任男性(29)は男児を後ろから抱きかかえ、騒然とする教室で「みんな落ち着いて」と呼びかける。

 障害の特性を学んだ。声のかけ方には気を配る。「どのくらい我慢した?」。両手を広げ我慢の度合いを聞く。1時間座っていると「よくできた」とほめる。隣で耳をすます級友たちにも、男児の努力を認めてほしい。

 学校には、特別支援学校教諭の免許を持つ元教員や心理学を学ぶ大学生ら外部スタッフ約20人が通う。今年度から特別支援の研究開発校になったからだ。机の横で学習を手伝い、パニック時には別室に連れ出す。去年、教室外に飛び出すことの多かった男児は、席に座っていられるようになった。

 こんな態勢の学校はわずかだ。退職教員らによる特別支援教育支援員は現在2万6000人で、1校1人に満たない。=つづく

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【ここまで切抜貼付】

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2009年2月 2日 (月)

「21世紀に日本が必要とするものは何か」 答案メモ

米ABC『ジスウィーク』のラウンドテーブル。ウッドワード氏含むジャーナリストたち、アフガニスタンの現状やオバマ政権の増派計画について極めて厳しい見方をしている。

さて、あるところでいただいたお題の一部【3.今後に向けて ①21世紀に日本が必要とするものは何か ②政治家の資質 ③国際社会における日本の役割】について、思いつくままにメモ。

21世紀に日本が必要とするものは何か

 「21世紀」に、「日本」が必要とするものという発問だが、いつの世紀でも、どの国でも、必要とするものは同じである。

 それはその時、その国が与えられた条件の中で、また予測できる未来の条件の中で、どうすれば「安全」「自由」「経済的繁栄」といったものを確保できるかについてしっかりと現実的に考え、それを着実に実現していくということに尽きるのではないか。その際「現実的に」というところがいちばん重要であると思う。

 例えば、今から半世紀前には、日本も当時のソ連や中国のような社会主義体制になるのが良いと考える人々がけっこうたくさんいたわけだが、次第にそうした国々の実態が知られ、20年前にベルリンの壁崩壊、米ソ冷戦の終焉という段階になると、そうした考えは非現実的なものであることが誰の目にもハッキリした。

 一方で、社会主義計画経済が敗北したことは明らかになったので「これからは自由市場経済をどんどん推し進めていくことこそ、われわれが追求すべき価値観だ」と考える人々が世界中に増えて、わが国でもそれに追随する人が多かった。ところがこうした考えがイデオロギー的に追求された結果が招いたのが、今日の世界経済の現実だ。

 ソ連が崩壊したことで、「これからはアメリカの一人天下だ」と考えた人々もいる。中東などでブッシュ・ドクトリンがどういう結果を招き、ブッシュ氏がいかに寂しくホワイトハウスを去らねばならなかったか、その現実を冷静に見つめる必要がある。外交安保でも、必要なのは「悪の枢軸」などといったレトリックを振り回すことではなく、安全保障を確保するためにどのような方策が効果があるかを現実に考えることだ。

 もう社会党や共産党の時代じゃないのだから「日本の誇りを回復し、歴史の正義を取り戻すために、総理は社共が反対する靖国参拝をすべきだ」という人々がいて、現にそうした総理もいるわけだけれども、そのことが現実に招いた結果は何だったのか。

 必要なのは現実主義の回復である。「小さな政府」論、「構造改革路線」が現実にもたらしたのは、戦後最長と言われた景気回復局面で、一人あたりの国民所得が他の先進諸国よりも伸びず、貧困率(平均所得の半分以下で生活する人々の割合)が急増した現実だ。

 めざすべき政策の方向性は、例えば最低賃金をうんと引き上げて、また社会保障支出を増やし「タクシー運転手なら一家五人養えるけれども、介護従事ではムリ」といった現在の構造を変えて雇用のミスマッチを解消していく。そのために必要な増税は、政治家が国民に説得する。そういった努力で正規雇用の割合を増やし、内需拡大につなげていく‥、そういったサイクルではなかろうか。

 もちろん、めざすべき政策の方向性についてはいろいろな意見があるだろうし、自分の意見を押しつけるつもりはないが、しかし、こうした大きな「方向性」について、政治家同士、また政治と国民の間でしっかりと「対話」することが大切だと思う。

政治家の資質

 前のところで述べた「方向性をしっかり考える」「それを政治の世界で、また国民に説得する」というのが、わが国に求められていることであるとするならば、そういう作業をしっかり行う能力があるということが、これから求められる「政治家の資質」ということになるだろう。

 これはカーティス教授がいろいろなところで言っていることの受け売りになるが、アメリカのオバマ大統領はこれまでのところこうした資質をもった政治家であるように見受けられる。オバマ大統領は何よりも、国民に率直に語りかけるという能力に恵まれているように見受けられるからだ。

 わが国は、基礎的な教育も比較的しっかりしている。産業や官僚組織も国際的に比較して決して劣っていない。ところが、日本社会の「中枢神経」に当たる部分がちょっと弱いような気がする。よい政治家を育てることがその処方箋の一つだろう。

国際社会における日本の役割

 世界の、特に途上国の人々が生存を確保するために、また自由や文化的で最低限度の生活のために必要としているもので不足しているものがあるときに、そこに援助の手を差し伸べること。これは他のいわゆる先進国と共通する、わが国が国際社会の中で果たすべき役割である。

 あわせて、わが国は欧米以外の国でありながら、真っ先に近代的な民主主義、近代産業を発展させてきた経験を持ち、また「キリスト教、イスラム教、ユダヤ教」といった「一神教」の国々とは違った宗教的・文化的伝統を持ちつつ、一神教の神の下にある人々とも良好な関係を結んできた経験があり、なおかつ60年以上海外で武力行使をしていないという特殊な経験を持っている。こうした特徴を、国際社会の発展のために活かすことが出来ればなおいいと思う。

以上

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2009年2月 1日 (日)

「007/慰めの報酬」-ブレゲンツも舞台に

「笑いが一番」のポカスカジャンの出番を見てから新宿バルト9へ。『007/慰めの報酬』を見る。流石の出来映えを楽しんだ。

「イギリスで007ブーム再燃」という話題を聞いていて、どんな具合なのだろうという関心から出かけたが、海・陸・空全部を舞台に戦うドライな感じのアクションも、中南米の政治情勢や環境・資源問題を織り込んだ舞台設定もなかなかよくできている。左翼政権に対しクーデターを企図する将軍に悪の組織が渡す資金は「ドルが下がっているのでユーロで用意した」と時事的なセリフも織り込んでいる。女性たちも、義に感じて引退先のイタリアからボリビア(ロケ地はチリなど)に同行する三国連太郎と佐藤浩市の中間のような俳優も魅力的。

一番の悪役はまあ、国際環境NGOのリーダーを偽装した秘密結社の構成員だが、米CIAもほとんど悪役。秘密結社の正体について、どうもボンドは映画の最後のほうで掴んだらしいのだけれども、観客にはわからないところが「消化不良感」という批評もあったが、森田としてはむしろ、思い返せば秘密結社の正体が「イスラム」「アラブ」といったものに連なることを示唆するような表現が不自然なほど徹底して排除されていたことに、「良心」とまではいかないにしても制作サイドの明確な意思を感じた。

英国首相に近い政治家やロシアの資源マフィアなど国境を越える悪い奴らの接触の舞台としてオーストリア西部「ブレゲンツ」の湖上オペラ公演が設定されていて、ゴージャスな感じを出している。『トスカ』という演目もシリアスな流れにマッチしていた。その後、イギリスの警護官が墜落死する場面が来る‥

ストーリーの嵐が去った後、本作のボンドガールとの別れ際のセリフは「死者は報復など望んでいない」。エンドロールの最後は「ジェームズボンドはまた戻ってくる」。また見に行くな。これはきっと。

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2010年-改訂日米安保条約50周年/APEC日本開催は長崎がいいのでは

先週1月25日放送のNHK『日曜討論』は、オバマ政権と日米関係などがテーマになっていたが、その中で米議会に勤務歴のある中林美恵子氏が2010年は安保条約50周年なので、それを契機にオバマ政権との間で日米安保関係を新たに構築する作業をすべきだという趣旨の発言をしていた。またチャールズ・レイク氏からは「APEC日本開催も決まっている」と指摘があった。

吉田総理が結んだ旧安保、岸総理が改訂に執念を燃やした現在の日米安保条約はいずも「米ソ冷戦」を前提としていたものであり、本来なら米ソ冷戦が終焉した20年前に「冷戦も終わったのだし、米軍の日本駐留はおしまいにしたら?」という議論が高まっても良かったはずだが、実際には「現状維持」ないし「米軍への協力強化」に理屈をつけるため、橋本内閣とクリントン政権との間で「日米安保はアジア太平洋の平和に大きな役割を果たす」という日米安保の再定義として「共同宣言」がまとめられた。

周年行事など、本質的には意味があるわけではないが、「ブッシュ=小泉」時代のさまざまな逸脱を本来の軌道に戻し、またオバマ政権の国際協調路線の中での日米関係を再定義するきっかけとして「50周年」の節目を使うのは悪いことではないと思う。

まあ、森田としては日本政府に「日本は基地を提供、アメリカは日本防衛を約束というのが日米安保の約束。基地はうんと役立っているでしょう。周辺住民は大きなコストを負っているのです。まさか『ただ乗り』だの、もっと負担しろといったことは仰らないでしょうね」という基本路線でいってほしい。安保条約に「同盟」といったことばが使われていない以上、日米を「同盟国」などと気安く言ってほしくない。ネブラスカの商店のおやじさんや、フロリダのお母さんたちは、テレビやラジオで日本の政府高官が「日本とアメリカは同盟国」などと何度も叫ぶのを聞けば「アメリカが攻撃されれば、日本が参戦するのはあたりまえ」と考えるのは当然ということに思い至らなければ「現実感覚」が欠如しているとしか言いようがない。

APECの開催地はどこがいいか。長崎は歴史的に日本のアジアと世界の窓口だった。ここなどどうだろうか。オバマ大統領の原爆被爆地、広島・長崎の訪問が実現すれば日米関係、世界の核軍縮・不拡散にもプラスが大きいと思う。

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2009年1月31日 (土)

山内昌之教授の故ハンチントン氏への温かい評価

雨降りの土曜。昨夜放送の『20世紀少年 もう一つの第1章』(日本テレビ)の録画など見ながら自宅で新聞切り抜きなどして過ごす。

毎日新聞の2009年1月28日付に、昨年亡くなったサミュエル・ハンチントン氏について山内昌之氏が追悼文を寄せている。山内教授は「文明の衝突という考えは複雑な世界史や国際政治を単純に割り切りすぎた」と断じてはいるものの、全体としては「人々の反応を楽しんでいただけかもしれない」「彼の魅力は茶目っ気」温かいトーンに貫かれているので少し驚く。

ハンチントン氏の若い頃の業績は知らないが、「文明の衝突」という考えは今さら指摘するまでもなく、世界の「文明」をかなり恣意的に8つだかに切り分けて「イスラム世界と欧米キリスト教圏衝突は不可避である」といったことを主張する乱暴な話であり、学者の話としてはあまりに雑ぱくであるばかりでなく、実際問題としても「9・11」後にアメリカが戦争に突き進んだり、小泉自公連立内閣を含め世界中の多くの人々がそれを積極的に支持したり、反対を表明しなかったという状況を準備した極めて有害な議論であったと言うべきだと思う。

山内先生としては、人の悪口などは言う必要がないということかもしないけれど‥

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2009年1月30日 (金)

ラウル・カストロ議長のモスクワ訪問-日本政府の中南米戦略は?

朝のニュースでキューバのカストロ前議長の後継者で、弟のラウル・カストロ議長がモスクワを訪問している映像が紹介されていた。「冷戦終結後はじめて」と聞くと、「キューバ危機」などかつてのソ連とキューバの結びつきを考えると意外な感じがした。

ソ連崩壊で、G8のメンバーに遇されたようにいわば「西側」になったロシアが「後戻りしている証拠ではないか」という見方もあろうが、そういった歴史的な文脈とは切り離した、新しい時代のロシアのグローバルな積極外交という面もあるような気がする。

チャベス政権のべネゼエラへの初の艦隊派遣というのはちょっと極端な例としても、例えば少し前にカトリックの国・ブラジルに本国のテコ入れもあってロシア正教の寺院が建てられ、ロシア系の移民が喜んでいるといったニュースがあった。中南米でもロシア、中国などの資源や貿易をにらんだ外交が活発に展開されているということだ。

わが国の中南米外交は最近どうなのだろう。「新自由主義」で経済が破綻した先輩地域でもあるが、かつては日本からの移民の歴史があり、多くの中南米社会に「日系」という窓が開いている。これはわが国にとって財産だ。

ところが、最近の不況で日本国内各地で日系人労働者が真っ先にクビ切りされ、苦境に喘いでいるという。こういうたいへんな時に思いやりのある振る舞いができるかどうかは、日本政府にとって人道問題であると同時に外交戦略の問題だ。

政治の取り組みに注視したい。

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小沢代表、衆院代表質問に立たず

昨日の衆院代表質問、トップバッターは民主党の鳩山由起夫幹事長で、小沢一郎代表は質問に立たなかった。朝日、毎日の社説も批判したが、やはりここ一番では党首が立たなければと思う。

おそらく小沢政権ができるのだろうが、あいかわらず国民からは見えにくいところで一部の側近議員が幅を効かせるようなやり方を続けるつもりなのだろうかという疑念を持たせる。

民主党の二番手に、田中真紀子氏を起用したのも失敗だった。国民は、民主党の責任感のあるまともな論戦を望んでいるのであり、口汚い罵りを国政壇上で聞きたいと思っているわけではない。

そもそも、田中真紀子氏は「小泉内閣成立の立役者」であり、日本政治の今日の状況を招いた戦犯である。党首が代表質問に立たず、メディア受けだけを考えて党外のこうした人物を起用している民主党には「不真面目」という印象が免れない。

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「ソマリア海賊」に便乗して武器使用制限をゆるめるべきではない

ソマリア沖の海賊対策として海上自衛隊の艦艇を派遣するというが、いちばん肝心な論点はこれに便乗した「自衛隊の武器使用の要件緩和」を進めないことだ。

オーストラリアなど、また日本と同様に法的な問題をクリアーする必要があったドイツなどが去年からとっくに派遣している中で、麻生総理が「中国が派遣した」というニュースが伝えられたとたんに、慌てたように「法改正はあとまわし。とにかく『海上警備行動』で出す」というのはまことに子供じみたことだ。

外務省は一貫して「どの国もやってることだし、国連安保理の常任理事国になりたいという国が出さないわけには」ということのようだが、外務省が本当に考えるべきことは「海賊問題」の根本原因であるソマリアの国家崩壊の問題について、解決のための知恵を出し、国際社会の中で「政治的な役割」を果たすことだ。

やはりここでの一番の問題は、この機に便乗して自衛隊の活動範囲を広げ、武器使用をできるだけ自由にするといった結果を招いてはいけないということだ。

1931年に満州事変を起こした関東軍はなぜあそこにいたか。それは日露戦争の結果手に入れた「鉄道を守るため」であった。1937年に盧溝橋事件を起こした陸軍部隊はなぜあそこにいたか。義和団事件のあとで列強が「居留民の安全を確保するため」に一定の兵力を北京近郊に置くことを条約で認めさせていたからだ。それぞれ、部隊を置いていたことには国際法上の根拠があり、配備の「目的」は侵略ではなかった。しかし、実際に行ったのは「侵略」そのものだったのである。

「それは戦前の話しだ。お前は今の政府も、民主主義の憲法の下にある国民も信じないのか」と言うかもしれない。しかし、年金問題についての社会保険庁の杜撰を考えても、「コイズミ郵政改革」「刺客」といった話しにすぐ踊らされるメディアや有権者の実情を考えても、あまり能天気にもしていられないのが「現実」だ。

ましてや、最近の守谷事務次官の腐敗事件や田母神空幕長(当時)の論文事件を考えても、「日本の軍隊は憲法で禁止されてなくなりました」というタテマエがあったが故に、防衛省・自衛隊に対する実際的なチェックがかえっておざなりにされてきたのではないか」と疑うべきではないか。制服組の人事は、制服組が勝手にやり、文官は容喙することすらできないことになっているというではないか。

「海自派遣ノー、海上保安庁の巡視船派遣を」という社民党、国民新党の主張が正しい。海自派遣となった場合でも、自衛隊の海外での武力行使に大きく道を開く武器使用の基準緩和の法改正などすべきでない。

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2009年1月29日 (木)

順番が十何番目かだっていいじゃないか-日米首脳電話会談

オバマ大統領が就任してから初めての日米首脳電話会談が行われたことについて、官房長官の午前中の会見で記者団から「順番が十何番目かに遅らされたという報道もあったが、どうか」という質問が出ていたのを昼のNHKニュースで見た。

十何番目でもいいじゃないか。先方から何か、機嫌をとってこちらが嫌がるややこしい話を持ち出したいという状況じゃないことの現れだもの。

連れ合いは一番の後回しということは良くあることで、それは反省すべきとは思いつつも、やましいところが全くないからというせいもあるぞと思う。日本はアメリカの妻というわけじゃないが、向こうから見ればこれまでの自公連立政権の実績は「拉致問題が北の核開発を止めることより大事だと主張する以外は、全ていつでも賛成、必ずついてくる」というものなのだし。

世界経済情勢の打開について、あるいは中東問題や新エネルギー開発について、目の覚めるようなアイデアがあるというのなら、どんなに割り込みをしても真っ先に電話に出てもらわなければならないけれども、そうじゃないでしょう。

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「きまぐれな日々」にご紹介いただく

メジャーなブログ『きまぐれな日々』」が、昨日の「朝日新聞とその読者の『批判精神』の鈍磨を憂う」で当『評論家・森田敬一郎の発言』の「自公連立政権の『再生エネルギー』への消極姿勢」を紹介してくださった。

『きまぐれな日々』はいつもその見解に共感して読ませていただいており、現実主義感覚、筆力と丁寧な調査に感服しているだけに、思いつきと感想ばかりのわが方をご紹介いただくのは気恥ずかしい気がするが、これをひとつの励みとしたい。

kojitakenさん、ありがとうございます。ちなみに森田は讃岐うどんが大好物です。

ご紹介をきっかけに当ブログをご覧頂いた方には、今後ともよろしくお願いします。

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2009年1月28日 (水)

アル・アラビア、ナブッコ

今日の国際ニュースで印象に残ったのは、ひとつはオバマ大統領が初の海外TVメディアインタビューにアラブ首長国連邦のアラビア語放送局アルアラビアを選び「イスラム世界は敵ではない」と発信したこと。

オバマ氏がそのような考えであることを我々は知っているけれども、イスラム圏の一般の人々にしっかり伝えることの意味は大きい。まずは会うこと、相手のわかることばで発信することから始めなければならない。素早い取り組み、さすがオバマ氏である。

少し興味を引かれるのは、先発のカタール局アルジャジーラではなくアルアラビアを選んだ理由。イラク戦争中、米陸軍から蛇蝎のように嫌われたことでは同じはずだが。アメリカの一般にジャジーラは「ビンラディンの声明を放送する局」というイメージが強いのを回避したのか。

もうひとつは、コーカサス地方の天然ガスをウクライナばかりでなくロシアも回避したパイプラインで運ぼうというEUが推進する「ナブッコ・パイプライン」の国際会議がブダペストで開かれたというニュース。

東欧のニュースをこまめにチェックしていなかったが、ハンガリーは去年までにロシアがウクライナを回避する新しいパイプライン「サウス・ストリーム」を建設することに参加することで合意していたのではなかったか?

1956年のハンガリー動乱でもわかるように、もともと東欧圏でもロシアとの距離感の大きい国だけに、サウス・ストリーム合意や、昨年のロシア軍グルジア侵攻時のポーランドなどと対照的な静かな動きに「対ロシアでいろいろ考えているな」と感じてきたが。裏事情に若干の興味を引かれる。

「ナブッコ」というのは、あのヴェルディの合唱曲「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って」で有名なオペラ『ナブッコ』と関係あるのかしら。そこでのナブッコ王は世界史の教科書に出でくる新バビロニアのネブカドネザル2世で、このオペラでは最後にはヘブライ人たちにひれ伏す話になっているけれども‥

【以下、切抜貼付】

「米国はイスラムの敵でない」=アラブ放送局と初会見-オバマ大統領

 【ワシントン26日時事】オバマ米大統領は26日、就任後初めてアラブの衛星テレビ局アルアラビアのインタビューに応じ、「米国はあなた方の敵ではない」とイスラム世界に呼び掛けた。また、イスラエルとパレスチナの双方に対し、「交渉の席に戻る時だ」と述べ、和平プロセスの再開を訴えた。
 米大統領が就任後、初の正式なTVインタビューにアラブのテレビ局を選ぶのは異例。2001年の米同時テロ後にブッシュ前政権が推し進めた対テロ戦争で、イスラム世界との間に深まった亀裂の修復に全力を挙げる姿勢を示した形だ。(2009/01/27-13:31)

ナブッコ、上半期の合意目標に  脱ロシアのガス計画

 【ウィーン28日共同】天然ガスをカスピ海からトルコ経由で欧州に運ぶパイプライン「ナブッコ」計画を協議する国際会議が27日、ブダペストで開かれ、参加各国は今年上半期の計画合意、調印を目指すことなどを盛り込んだ声明を発表した。
 ナブッコは天然ガスのロシア依存脱却が狙いで、会議はウクライナ経由のロシア産天然ガスの欧州への供給が約2週間停止したことを受け開催された。ただ、80億ユーロ(約9400億円)を超えるとされる建設費用負担や、天然ガスの供給源確定など課題は残されており、計画実現の道は容易ではないのが現状だ。
 会議にはハンガリーのジュルチャーニ首相のほか、欧州連合(EU)議長国チェコのトポラーネク首相、ブルガリアのスタニシェフ首相、アゼルバイジャンのアリエフ大統領らが出席した。
 ナブッコは全長3300キロで、トルコからブルガリア、ルーマニア、ハンガリーを経てオーストリアまでパイプラインを建設する計画。
2009/01/28 09:55

【以上、切抜・貼付】

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「カニ漁船ロシアに拿捕」トップニュース?

朝起きると、NHKテレビの6時のニュースがトップで「鳥取県から漁に出ていたカニかご漁船が27日夜、日本海でロシア当局にだ捕された」というニュースを流していた。

聞いていると「漁の後、ロシア側に流され、戻ったところを拿捕された」ということらしい。拿捕はそう頻繁にあることではないようなので、ストレートニュースとして伝えることは良いと思うが、森田の印象としては「ロシア側に入っていた」のはこちらも認めていることであり、トップニュースで大々的に報じる内容かな?という印象を持った。

昼のニュースで家族の方が「状況が判らないので」と言っていた。森田もコメントするのはもっと状況がわかってからにすべきかとも思う。しかし、ニュースにかかわる人々に「北朝鮮やロシア、中国に甘い報道をしていると、また安倍晋三氏や菅義偉氏がうるさいから」といった惰性が働いていて、排外主義を煽ることへの戒めが欠けていると困るなあという感想。

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2009年1月27日 (火)

「政治資金」の相続は無税(!)

瀬戸内寂聴さんの話を聞こうと思って、1月13日放送の朝日ニュースターの『ニュースの深層』の録画を見ていたら、番組のはじめにジャーナリストの上杉隆氏が「政治家が資金管理団体にプールした資金は、その資金管理団体を子どもなどに譲った時にも非課税」という話を紹介していた。

すでに民主党では問題にしているということなので、ご存じの方が多いかも知れないが、やはり何億円もの政治資金を、子どもなどが継承しても相続税がかからないというのは問題があると思う。

政治家の子が政治家になってはいけないということはない。ちゃんと仕事ができて、有権者の支持が得られるなら良い。しかし、民主政治において被選挙権の平等の確保は、公正な競争という面から見て重要であることは言うまでもないだろう。選挙に出ようという普通の人に対して、親が政治家だったという人が資金面で「継承した資金」のゲタを履いていたというのでは、公正な競争が成り立っているとは言えない。

さらに上杉氏が指摘するように、二世議員の割合が大きくなった政界のパフォーマンスを見ても、この是正は急がれるべきだ。安倍晋三氏、福田康夫氏の政権投げ出しは、わが国にたいへん大きな損害をもたらしたが、この二人も巨額の政治資金を無税で継承しているのである。

小泉純一郎さんはこの問題についてどう考えているのだろう。

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千代田区長選-派遣村に冷たかった現職の再選は?

週末の新聞を見ると、東京千代田区の区長選をやっているらしい。

「年越し派遣村」のフォロー記事で、隣接の中央区長が積極的な対応を見せ、厚生労働省もいやいやながら選挙を控えたポリティカルアポインティーに押し切られて講堂の開放を決めるというなか、千代田区長は関係者の要請に「正月休みが明けないと‥」と冷たかったという。

こうしたことが結果に影響するか、関心あるなあ。

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自公連立政権の「再生可能エネルギー」への消極姿勢

 朝のNHKテレビのニュースで、国際再生エネルギー機関の設立総会があったがわが国政府はオブザーバー出席にとどめたと報じられていた。つまり、わが国の政府は「風力」や「太陽光発電」については、中国やこの機関への対応を検討していたブッシュ・チェイニー政権と五十歩百歩ですと自ら発信したわけだ。

 しかも、側聞するところではもともと外務省も経済産業省も出席すらするつもりがなかったところ、オバマ政権の誕生でアメリカが「欠席」から「オブザーバー派遣」に切り換えたので慌てて日本もオブザーバー参加に切り換えたという。

 経済産業省や外務省は、天下りなどの都合で原子力村というか、財界というか、電事連というか、そういうものにがんじがらめになっているので、野放しにしておけばこの国際機関に「不参加」という結論もまあ予想はつく。朝日新聞でさえ、「風力発電の施設に貴重なオオタカがぶつかって死ぬ」といった記事をよく出していると思ったら、この前は「騒音などで健康被害」という記事を一面に大々的に掲載していた。「沖合を推進しよう」といった話など全く書かずにだ。これも赤字転落下の広告料の都合なのだろう。

 しかし、こうした癒着の構造にばかり足をとられることなく、例えば地球環境問題で経済産業省や外務省をリードして、あるべき方向に持って行くのが「政治のリーダーシップ」の役割であるはずだ。

 少なくとも、現在の自公政権はこの問題について私の期待には全く応えていない。やる気がないのだ。この際、民主党など野党各党はこうした問題についてどういう姿勢で臨むのか、ハッキリ態度を示して欲しい。民主党には電力会社からパーティー券を買ってもらっている議員がかなりの数いるのだろうが「政権交代しはしたけれども、やっぱり政治は電事連の言いなりのまま」といったことにならないよう、今から内外に「宣言」しておいたほうが良いと思う。

以下、NHKのページより切抜・貼付

国際再生可能エネルギー機関

1月27日 6時56分
地球温暖化対策として期待される風力や太陽光発電といった再生可能エネルギーの世界的な利用拡大を目指そうという新しい国際機関が設立され、ヨーロッパ諸国を中心に70か国以上が加盟することになりました。

ドイツのボンで26日開かれた「国際再生可能エネルギー機関」の設立総会には120か国余りが出席しました。国際再生可能エネルギー機関は、地球温暖化対策に加え、世界的な金融危機の影響が広がるなか、新たな雇用を生み出す分野としても注目される風力や太陽光といった再生可能エネルギーを拡大させていくことを目的に設立されたもので、各国での普及を後押しする政策の提案や途上国への技術移転に取り組みます。

設立総会では、ドイツやフランスといったヨーロッパ諸国に加え、発展途上国も条約に署名し、あわせて75か国が加盟することになりました。しかし、日本がIEA・国際エネルギー機関などとの役割の違いが明確でないなどとして加盟を見合わせたほか、中国やアメリカなども会合には出席はしたものの、加盟はしませんでした。それでも加盟した各国の間では、温暖化対策に積極的なオバマ政権に代わったアメリカが今後、加盟することへの期待は高く、新たな国際機関が、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた各国の協調した取り組みにつながるかが注目されます。

【ここまで切抜・貼付】

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2009年1月26日 (月)

【切抜・貼付】ジェラルド・カーチス氏の提示するオバマ政権への視点

先週水曜のNHK「視点・論点」より(NHK解説委員室のページから)。知日派で米政治地図でははっきりリベラル派のカーチス氏も、アメリカが戦争を始めるとたいてい「戦争支持」なのでいつも信用できるわけではないが、ここでは日本政治も視野に入れながらオバマ政権のどこに注目していくべきか極めてコンパクトに、過不足無く提示している。

日米関係において「継続」がキーワードであるということは、基地負担の軽減などで目覚ましい進展は期待できそうにないということで残念だが、日本も本格的な政権交代を準備すべき時期なので、相手の出方がある程度読みやすいということはメリットだろう。

「国民との対話」というところは大事で、民主党の若手は「オバマはインターネットの利用が巧みだ」などと微妙にずれたことを言っていないで、ここでカーチス氏が言うことを拳々服膺すべきであろう。

【以下、NHKページより切抜・貼付】

2009年01月21日 (水)
視点・論点 「オバマ大統領に期待するもの」
コロンビア大学教授 ジェラルド・カーティス

 オバマ新大統領、その就任にあたって、この番組の短い時間の間に、5つのテーマについて、お話をしたいと思います。

 今、言うまでもないことなんですが、オバマさんがアメリカの初めての黒人大統領であるということは、アメリカの歴史のもう劇的な出来事であります。ただですね、彼が大統領になったより重要な意義があります。それは、オバマさんは他のほとんどの政治家に見られない魅力と強さがあるということであります。

 感情的にならない、ナショナリズムを煽ることもなく、国民に絶えず顔を向けて、冷静に丁寧にわかりやすく厳しい現状を説明して、どういう政策が今アメリカにとって、必要であるかということを、納得させる努力をして、説得をする。その才能を持っているのは、彼のリーダーとしての素晴らしさであると思います。

 オバマさんがインターネットを使いこなしている。このことに大変関心を持って、これは日本の政治家にとっての、重要なモデルであると思う日本の政治家は結構多いですが、これは言ってみれば、二の次の問題であります。

 一番参考にすべきことは、難しい話をわかりやすくしゃべって、自分が官僚以上の知識があるということを見せる必要がなくて、国民と直接に対話をして、国民に大きな希望、期待、それを持たせるのがオバマさんに見習うというか、参考にするべきところであると思います。

 いずれにしても、オバマ大統領は説得する政治の名人であります。日本にもそういう政治家が望まれていると思います。

 2番目の点です。オバマ大統領が成功するかしないか、それを決めるひとつの大きな要因は、どれほど、議会対策がうまくいくかということであります。アメリカの上院議員は100人います。オバマ大統領の民主党がその過半数を持っています。ですが、まあ日本でいう安定過半数、それを持っていません。安定過半数になるためには、60人の議員が必要なんです。民主党は今のところ、57名、1人か2人まだ決まってないんですが、60人になれません。そうしたら、野党の共和党が、いわゆる審議妨害、フィリバスターって言いますが、それができるのであります。

 オバマさんは共和党との妥協をして、支持を得ざるを得ない。それに日本とか、他の議会制の国々と違って、アメリカの三権分離は非常に極度にはっきりしています。民主党が過半数を持っても、それでオバマ大統領の望むとおりには、必ずしもなりません。

 先日、上院議員、民主党のリーダー、リード院内総務は、わざわざ“I don’t Work for Barack Obama.” オバマ大統領の下で働いてません。要するに上院議員のリーダーとして対等な立場で協力をする。

 大統領が議会を説得する、その必要があるので、オバマさんはこの対議会政策、まあ議会の対策、これの重要性を十分わかっているので、議会での経験のある人を多く、たくさん閣僚、アドバイザーにしています。

 バイデン副大統領、クリントン国務長官、ダシュル厚生大臣などが、エマニュエル・チーフスタッフ、ホワイトハウスの一番上の人が、みんな議会での経験を持っている人たちであります。いずれにしても、これからのアメリカの政治をご覧になった場合、オバマさんが議会とどのぐらいうまくやってるかということを注目すべきことであると思います。

 3番目の点です。政府を小さくすれば、官僚の人数を少なくすれば、経済はよくなる、金持ちがより金持ちになれるような政策をとれば、国全体はよくなる。いわゆるトリクルダウン理論で考えたレーガン、サッチャー、そのイデオロギーの時代が終わったと言えると思います。

 今後は小さな政府か大きな政府、そういう議論ではなくて、適切な仕事、必要な仕事をする政府をどういうふうに構築するか、それが21世紀の行政改革のポイントであると思います。昨日のオバマさんの就任演説の中にも、大きな政府は求めていない、ただ、必要なことをする政府、これを作らなければならない。政府にしかできない役割があるということを、オバマ大統領が肯定的に考えているということであります。

 4番目の点です。8000億ドル、1兆ドルに近い財政出動、やりますけれども、それがどんなに国家的になっても、アメリカの経済が再生をしても、この金融危機、実体経済の大不況に陥ったアメリカの政治・経済・文化、そのものが大きく変わるということです。

 アメリカ人の過剰消費の上に立っている、世界の経済構造を大きく変えないといけません。その過程において、世界が保護主義的な方向に動かないように,新たな国際協調、国際協力が必要であります。

 最後ですが、オバマさんにおいての日米関係のキーワードは継続であります。大きな変化はない。日本との関係の重要性を十分認識しています。問題は、日本のほうからどれほど積極的な日米関係、あるいは、世界のいろんな問題について、提案や新しい新鮮なアイディアが出てくるかということであります。オバマ政権が日本に対して何を求めているのかと考えるよりも、オバマ政権に対して、日本が何を望むべきか、そういう議論がもっとあっていいと、私は思ってます。

 説得する政治、議会対策、適切な仕事をする政府、経済構造の改革、日米関係の強化、これらがオバマ政権のテーマであると同時に、日本のテーマでもあります。

 アメリカ人が今、大変な希望と期待を抱いて、オバマ政権を歓迎しています。
 1日も早く、日本も有権者がこのような希望と期待を持てるようになってほしいと,私は思います。

【切抜・貼付ここまで】

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2009年1月25日 (日)

映画『誰も守ってくれない』

午後、新宿ピカデリーで『誰も守ってくれない』。報道と人権、時に牙をむくネット・メディアを背景に描かれるドラマだが、主演の佐藤浩市氏の魅力、テーマの時代性、スピード感のある構成、演出と実に素晴らしい映画だと思った。

人を苦しめる「悪」は凶悪な意思を持った特殊な人や、権力の上の方から人々に降りかかるとは限らない。おもしろ半分だったり、「善意」からくる「横の圧力」というか、空気読めの「空気」に類するものも恐ろしい力を発揮することがある。メディアがそれを無反省に増幅してはならないということがこの映画の作り手の論点の一つなのだろう。

具体的には、最近「被害者の人権」ということがようやく注目されるようになった反面、振り子が振れすぎたように加害者の周辺の「人権」がないがしろにされるようになってはいないかという問題提起がなされているのだと思う。

実は、このまえの戦争だって、多くの人が敗戦後に「騙された」と言い、中国政府が「日本人民も被害者」というのとは違って、南京など中国の都市が陥落するとちょうちん持って行列し、自由主義者や共産主義シンパをよってたかって叩いた議会人、マスコミ、そして一般の人々が作り出した「横の圧力」に政党や支配層、軍部が迎合したり、それに便乗したりして引き起こされたという側面があるのだと思う。「郵政選挙」に幻惑されて、自民党に投票した人もやはり反省が必要なのだ。

しかし、小倉智明さんの推薦、昨夜のテレビドラマ『誰も守れない』にすっかり乗せられて出かけた訳だが、ストーリーの展開に引き込まれ堪能した。映画の最後のところもとても良い。僕もずいぶんたくさん「忘れ物」をしているに違いないと思う‥。

『誰も守ってくれない』『おくりびと』『K-20 怪人二十面相伝』など、あまりたびたび劇場に足を運ぶ方ではないが、最近見た日本映画はどれも素晴らしいものばかりである。今日の新宿ピカデリーでも』『おくりびと』『K-20 怪人二十面相伝』に「チケット完売」の館内放送が流れていたが、わが国の文化、表現の分野はなかなかの水準を示していると思う。それなのに政治・行政の中枢のていたらくはとも思うが、まあ、これも夜明け前の暗闇と考えたい。

それにしても佐藤浩市さんはいいなあ。家人はモッくんの方が贔屓のようだけれども、佐藤浩市さん、『風のガーデン』(フジデレビ2008年)の中井貴一さんなど、自分と同年配のいい役者さんたちのいい演技に触れることができるのはたいへん嬉しい。しかしわが頭髪の寂しさに比べ、佐藤浩市氏のフサフサした髪はうらやましいなあ。

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2009年1月24日 (土)

自民党・古賀誠代議士の「定数削減」「歳費3割カット」発言の意味

古賀氏の発言を故・伊藤昌哉氏風に【翻訳】してみると次のようなことだろう。

「俺も選挙が危ないし、自民党はピンチだ。この際、目立った発言をしてメディアと有権者を幻惑する必要がある。そこでまず国会議員の『定数削減』と言えば賛成する人が多いので、『自民党とか古賀もいいこと言っている』と思わせ、焦点になっている問題から目をそらすことが出来る。まさか実現するはずはないが、もし話が実現の方向にころがっていけば、選挙区をいじるのはたいへんなので必ず『まずは比例代表を減らせ』ということになり、野党の分裂を誘える。もし実現してしまっても、減るのは共産党や社民党で自民党ではない」。

「『歳費3割削減』というのも目立つからいいぞ。俺も含めて本気で賛成する者はいないし、高級官僚などの給料にも連動する話なのでできっこない。もし万一実現しても、相対的には歳費に頼る割合の多い共産党や社民党の受けるダメージが大きい」。

こんなところではないか。

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冷泉彰彦氏の「日米通貨統合」論

在米の作家・冷泉彰彦氏のメールマガジンの『from 911/USAレポート』の1月24日号が「日米通貨統合」について論じている。

就任式に臨むオバマ大統領の様子についての感想、自動車ビッグスリーの今後の見通しなど「なるほど」「参考になるなあ」と読み進めていたが、話が「通貨統合」に至ってちょっと面食らった。

冷泉氏の豊富な知識と情勢判断の導いた結論であり、頭から否定すべきではないかもしれないが、現段階での森田の感想はやはり「オバマ政権のアメリカが相手なら考えられないではないが、いつかまたこの事態が収まった後で、アメリカの政権が再びブッシュ・チェイニー政権のようなトンチンカンな政権になる時が来る可能性は充分にある。ふたたびフリードマンのような議論が横行する時期が来るかも知れないということを考えると、通貨統合を通じて日米経済を一体化し、日本の経済政策のフリーハンドを放棄してしまうようなことには躊躇せざるを得ない」というものだ。

冷泉氏のことだから、森田のような感想が出てくることは百も承知で切迫感を持って提言しておられるのだろう。よく研究しておきたい。

末尾に日米の映画『おくりびと』と『ベンジャミン・バトン』に共通するものが論じられている。

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就任演説への関心つづく日本、報道官会見に容赦のないアメリカ

昨日付『毎日新聞』は前日の予告通り、米オバマ大統領の就任演説全文の英語テキストを小さな活字ながら掲載した。WEB版に英文を掲載していた『朝日新聞』も今日付で英文、日本語の対訳を掲載している。

演説当日の放送は、同時通訳音声がうるさかったという声も多かったようで、今夜遅くのNHK総合テレビでは字幕付き原音声で演説の再放送をするようだ。

派手な演説ではなかったことは広く知れ渡っているので、メディアがこうしたニーズがあると判断した背景には、あのスピーチのメッセージをしっかり受け止めたいという意識を持った人々が多いという判断があるのだろう。

グアンタナモ基地閉鎖のことにしても、政府高官の倫理や情報公開にかわることも、あるいは中絶やES細胞に関わるニュースを聞いても、オバマ政権が、前の政権の極端な「右」の路線を是正する姿勢を的確にスピーディーに打ち出している。

1993年のクリントン政権の滑り出しにも期待したが、あの時はベアード女史の司法長官指名断念でつまずいたり、軍における同性愛といった政権全体の課題にとって本質的には重要度が高くない問題に注目を集めてしまったり、またオバマ政権と同様に医療保険改革に意欲を示しながら、あの時は布陣を見ても運び方を見ても議会対策に配慮が不足したりしていた。今回はここまで、たいへん良い出来映えだ。

それにしても、アメリカジャーナリズム魂は日本よりはるかにましなようだ。大統領報道官のは最初の会見から容赦ない厳しい質問を浴びているという。当然のこととはいえ、主流メディアの記者たちがすっかり霞ヶ関と財界に飼い慣らされた日本メディアの報道に接しているわれわれからするとうらやましい話だ。

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2009年1月23日 (金)

チェ・ゲバラの見たヒロシマ テレビ朝日「報道ステーション」の放送予告

新聞テレビ欄を見ていたら、今夜のテレビ朝日『報道ステーション』が50年前のチェ・ゲバラの来日と広島訪問を取り上げるようだ。

キューバの革命政権成立後に来日したゲバラは、受け入れ側が広島訪問をセットしないのに対し、「やはり行ってみたい」とある夜(外務省や警察を出し抜いて?)同行の若者と二人で汽車に乗り広島に向かった。以前、NHK-BS1の『今日の世界』でこの時同行した男性のインタビューも含めてこういった話だったと思うが紹介していた。

わが国の近代の歴史を考えるとき、「侵略への反省」と「軍による政治の壟断の総括」を決して外してはならないが、同時に広島・長崎が人類初の「限定」核攻撃を受けたことがあるという体験に基づき、核兵器が使われたらいったいどういうことが起こるか、その真実を世界に発信し続けることが日本人にとって世界史的、人類史的な使命だと思う。

ゲバラの広島訪問は、この人間的魅力に溢れる革命家の人物像を知るよいエピソードであると思うし、ゲバラに注目が集まる今、またブッシュ政権の退場が核の脅威を削減する方向に大きく役立つことが期待されているこの時期に、この話題を取り上げる『報道ステーション』のセンスを支持したい。

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2009年1月22日 (木)

「民主は早期に政権構想を示せ」-19日付『毎日新聞』社説に同感

先週の日曜日には、自民党と民主党の党大会が珍しく同日に開かれた。これを取り上げた『毎日新聞』の2009年1月19日付社説は、「民主は早期に政権構想を示せ」と題し「仮に選挙の直前まで出し惜しみをするのであれば、共感は広がるまい」と書いている。同感だ。

小沢党首も、菅都連会長も候補者の地道な運動が重要であることを熟知している。それはたいへん結構なのだが「政策面では自民党は壊滅状態で、こちらの面では放っておいてもだいじょうぶ」と考えているのでは有権者は付いてこないのではないか。

逆に突っ込まれるのが心配なのかもしれないが、迷走・麻生政権に対する有権者の不満は、昨年末にハローワークを視察した麻生氏が求職者に説教した場面を取り上げた川柳「あなたこそ何をしたいかわからない」というところが一つの焦点だと思う。

雇用・労働、環境含めた産業政策、教育など課題はある程度はっきりしている。アメリカがオバマ新政権の下で転換する方向もかなりはっきり見えていて、一方、自民党はブッシュ・チェイニー路線に追随した路線からの脱却ができずにいる。

風は吹いてきているのだから、今こそ大きく旗を掲げ、メリハリ効かせて「わが国も民主党政権の下で、これこれのチェンジを実現する」というメッセージを打ち出して欲しい。

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【切り抜き】凍てつくデラウエア河畔にて-オバマ大統領就任演説の絵解き(毎日新聞コラム「余録」より)

オバマ大統領の就任演説の中で、建国の父たちが独立戦争時にピンチに立ったときの話が出てきたが、アメリカの故事に詳しくないので知らない話だった。『毎日新聞』の今日付1面のコラム「余録」にその紹介があったので切り抜き・貼り付け。

岩見隆夫氏が、イージス艦の事故の際に「どの新聞のコラムも、イージスの語源であるギリシア神話に触れていた」と無個性化を嘆いていたが、あの時も「余録」の取り上げ方は他紙と比べて深かったと思う。現在の各紙のコラムの中では、歴史、古典についての知識、引用の適切さにおいて『毎日』の「余録」子が断然優れていると思う。

【以下、2009年1月22日付『毎日新聞』より切り抜き、貼り付け】

余録:厳寒の中の希望

 ドイツ人はクリスマスにはビールを飲んでバカ騒ぎするだろう--こんな見通しなしには米国は独立できなかったかもしれない。独立戦争で英軍に圧迫されたワシントン率いる大陸(たいりく)軍は、英軍のドイツ人傭兵(ようへい)部隊をクリスマスに急襲して形勢挽回(ばんかい)した

▲直前の大陸軍は相次ぐ敗軍で数千まで兵を減らし、凍りつくデラウェア川の岸で野営した兵の中には靴すらない者もいた。歴史的奇襲の2日前、そこにいたある男はたき火の光の中でこう記した。「今こそ人間の魂にとっての試練の時だ」

▲男は「コモン・センス」の著者トマス・ペイン、この時に書かれた「危機」という文章は大陸軍将兵を鼓舞し、独立戦争の勝利に貢献した。米独立革命史の泣かせどころといえるこの場面は、米国の苦難の時代には繰り返し思い起こされる

▲だからオバマ新大統領が、その「危機」を引用して国民を鼓舞したのは、困難な時代の米国リーダーの正道だろう。「未来の世界で語られるようにしよう--厳寒の中、希望と美徳しか生き残れなかった時、共通の脅威にさらされた都市や地方は進み出て、共に立ち上がったと」

▲華麗な言葉のアクロバットを期待する声もあった就任演説である。だが耳に残ったのは国民に正面から現状の厳しさを説き、米国再生への「責任」を共に担うよう求める堅実な言葉だ。そこには過熱気味だった期待を冷却する狙いもあろう

▲仏思想家トクビルは建国間もない米国人を見て「欠点を自ら矯正する力」を見抜いた。行き詰まった政治の大胆な路線転換も、建国の理想を再活性化することで可能となる米国の文明だ。その21世紀版は今、黒人大統領が扉を開いた。

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”The party's over, and now the hard part”

小雨が続く。いつもは歩く代々木上原までの区間、小田急線に乗る。激しい混雑に、これではかぜもすぐ流行ると思う。

昨日、今日、オバマ大統領就任を報じるフロントページが気に入れば額に入れてポスターにしようと『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』を買うが、昨日の写真はしめ切りの関係で軍関係の慈善事業に顔を出した際に白人の赤ん坊を抱くオバマ夫妻の写真と、モールに向かう人々でごった返す夜明け前の首都の様子の2葉。

今日にいたっては”The party's over, and now the hard part”という見出しは良いが、なんとも間の抜けた舞踏会の写真だ。時差の関係で写真が差し代わったヨーロッパ版の執務室の写真の方がいいなあ。

もっとも、写真の選択には編集者の意図が明確に反映されていると考えるべきで「トリビューンも倒産で、気分がショボくなっているのか」などと言っていないで、中味をよく読んでみよう。

「ポスター」には昨年11月6日付1面の当選を喜ぶシカゴ集会でのオバマファミリーの写真を使った紙面で作ることにしよう。

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2009年1月21日 (水)

オバマ大統領就任演説に対する米ABCステファノプロス記者の感想

米ABC「ワールドニュース」におけるジョージ・ステファノプロス記者の感想書きとめ。対話の相手はチャールズ・ギブソン記者、NHK-BS1の録画音声から。

 ギブソン記者 スピーチを聴きますと、私自身感動しましたのは、現在の問題がいかに特別なものであるかについて触れたことと共に、根底にある幅広いテーマに何度も立ち返っていたことです。
 ステファノプロス記者 「責任」、それから「奉仕」ですね。こうしていられるのも先人の犠牲があったからと言っていました。しかし本当に、われわれに気合いを入れるスピーチだったと思います。この若い大統領は国民の肩を揺さぶって「目を覚ませ」と言っているようでした。やることが沢山あるのだと。
 『聖書』の中から引用したのは「コリント人への第1の手紙」です。「子どものようなことはもう止めるべきである」というくだりを引用しました。彼は「私たちが伝統に則ってやっていけば問題も乗り越えられる」と言ったんです。 
 ギブソン記者 そしてブッシュ大統領については、スピーチの中で彼に対して厳しいことばもありましたね。
 ステファノプロス 政権移行はスムーズにいきましたが、スピーチは厳しいところがありました。「ひとりよがりの時代の終わり」「狭い利害を守るのは終わり」とも言いました。これは非難のことばです。ブッシュ大統領の時代に対する非難です。「再び世界でリーダーにならなければならない」と。そのように言ったわけです。 
  ギブソン (中略)われわれ皆に呼びかける、「つらい日々が待っている」ということを伝えるスピーチでした。

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オバマ大統領の就任演説

オバマ大統領の就任演説は、控えめのトーンで言うべきことを言った良い演説だった。

高3の息子が学校行事の「寒稽古(剣道)」とのことで、いつもより早い5時半起き。就任式を終えたオバマ大統領のパレードは開始が一時間ほど遅れたようでスタートしたところだった。就任演説の録画を見る前に『朝日新聞』掲載の「要旨」に目を通す。

目にとまったのは、おしまいの方の「新たな責任の時代」というキーワードを導く部分の「挑戦は新たなものかもしれない。だが、私たちの成否を左右するのは昔と変わらぬ勤労と誠実さであり、勇気と公正さであり、忍耐と好奇心であり、忠誠と愛国心である。これが真理だ。私たちの歴史を通じて、前進の静かな力となってきた。求められているのは、こうした真理に立ち戻ることである。今、私たちに求められているのは、新たな責任の時代である」という部分だ。

いつも森田とは感覚が違うなあと思っているNHK-BS1の高橋弘行キャスターもこの部分を真っ先にピックアップしていた。いい意味での伝統主義であり、とっても「まとも」な印象を与える原稿だ。結論としても正しく、同時にニューヨークやロサンゼルスのリベラル派ばかりでなく、レッドステートの保守的な価値観の人々にも団結をうながす政治的なメッセージにもなっている。

録画しておいたNHK-BS1の未明の中継を見る。「共助」の呼びかけ、イスラムとの関係構築に踏み込んだ国際協調主義も期待通りではあるが特異に目立ったフレーズはなく、「ついに黒人がトップに立った」といったはしゃいだ部分は全くない、ある意味地味な演説だ。

しかし、派手にする必要はもともと無かった。オバマ氏があそこに立ったことが、ある意味全てを語り尽くしていたからだ。

そうは言っても、森田と高橋キャスターの目に引っかかったあの部分。ひょっとしてスピーチライターの原稿にオバマ氏が書き込んだ部分なのかしら。それとも27歳とかいう「天才スピーチライター」の仕事なのかしら。ちょっと気になる‥

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2009年1月20日 (火)

加藤紘一政権誕生-中国紙が内田樹説をキャリー

たまたま、中国の南方新闻网というWEBページのこんなページが目にとまった。 広東省の方の新聞だろうか?

自民党内出现串联 派阀活动频繁  2009年01月15日10:54   南方新闻网

その最後にこんなことが書いてある。

 《朝日时代》是日本最有影响力的周刊,1月12日那一期的第一页,刊登了日本最著名的思想家、政治观察家内田树的一段预言:“麻生太郎首相会再一次因为大嘴引发事件。自民党内部开始倒阁,麻生切腹(日语中意为‘辞职’)。作为看守内阁,政治家与谢野馨登场,他决定解散众议院实行大选,结果自民党大败。乱世之人小泽一郎登场,经过一番较量后,小泽推举加藤纮一出任首相,大民主党加藤政权诞生。”

中国語なので定かにはわからないが、内田樹氏が日本の雑誌に「麻生首相が大口を叩いたのがもとで引きずり下ろされ、与謝野選挙管理内閣の下で解散。自民党は大敗し、小沢一郎氏が加藤紘一氏を推し『大民主党加藤政権』ができる」といった予測を述べたということだろうか。

かつて村山富市・自社さ政権ができた年のはじめに、その政権の誕生を予測した人はたぶん一人もいなかっただろうことに比べると、若干の蓋然性があるような気がする。変な右翼の新首相よりはずっといいと思うが、できれぱいま自民党にいる人など一人も参加しない新政権の方がいい。

やっぱり中国記者は加藤氏に親近感があるのだろうか。それはそれで悪いことではない。あるいは加藤さん自身がウワサを流しているのかな?

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メディアは小泉純一郎氏に、なぜ「訊くべきこと」を訊かないのか

最近はっきりしたことがいくつかある。ひとつは「イラク戦争は間違った戦争だった」ことである。したがって小泉首相の「イラク戦争支持表明」の決断も間違いだった。

「投資銀行」といつたものが跋扈する、規制を骨抜きにした自由経済の推進や、高額所得者の税負担を軽減し、小さな政府のスローガンや「国際競争力」を錦の御旗にした社会保障軽視、労働者の権利軽視の政策が今日の状況をより深刻なものにしていることもはっきりしている。すなわち「小泉改革」なるものの骨格もまちがいだったのだ。

国民の多くは、小泉首相がこうしたことについてどう考えているのか。国民に謝罪するつもりがあるのか、そうしたことには頬かむりしたまま息子に地盤を世襲させようとしているのか、聞きたいと思っている。

ところが、そんなインタビューはテレビでも新聞でもお目にかかれない。インタビューの申し込みさえしていないのか?事務所に断られればそれで引き下がるのか?

それでご本人は呑気に党内政局の会合に顔を出して言いたい放題。それをメディアは有り難がって大放送しているではないか。

マスメディアには、国民に代わって小泉氏に問い糾すべきを問い糾す使命があると考えるのは森田だけではあるまい。

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「消費税引き上げ2011年明記反対」の朝三暮四、偽装騒動にだまされてはいけない

昨夜NHKテレビのニュースをたまたま見たら、山本一太議員が口角泡を飛ばして消費税の「2011年引き上げ明記は景気に負のアナウンス効果が大きい、断固反対」と騒いでいた。今日あたりは小泉純一郎氏も吠えているらしい。

奴らはまたいいテーマを見つけたな。本当に大事な問題は「必要な施策は何で、それは実行されているのか」「財源はどのように確保するのが公正か。その景気への影響をどう考えるか」という、全体を見通した話なのに、「2011年明記に反対」という、部分的な話に矮小化しているのだ。

もちろん、麻生首相も小泉元首相が「郵政」というどうでもいいテーマをフレームアップすることで政局を作り出したのをまねて、「消費税引き上げ」で耳目を集めるとともに財務官僚、また「消費税の地方配分増」をねらう旧自治官僚に乗せられているのか、媚びを売ろうとしているのが見え見えだ。

しかし、本筋の財政論に対して極論すればほとんど意味のない「2011年明記」を争点化すれば、おそらくメディアの大半は山本一太や小泉純一郎の方を支持するすることになる。彼らとしてはテレビに出る機会が多くなり、自分や息子の選挙に有利に働くだろう。選挙後に、その必要があれば自民党を裏切って、民主党政権に参加することに、何となく説得力をもたらすこともできるというつもりだろう。

メディアは「偽の争点」のフレームアップに荷担して「自民党にもいい人はいる」といった誤ったイメージを振りまいてはならない。国民も、山本氏や小泉氏の言うとおりにすれば、福祉の充実した、中低所得者の保険料や医療費までも含めた負担の軽い国になるのか、よく考えるべきだ。二度だまされるのは本当のバカと言われても仕方がないだろう。

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2009年1月19日 (月)

「ジュリー祭り」-9条の会は沢田研二氏を加藤周一氏に代わる発起人に要請すべし

17日土曜の夕刻は茶沢通りの代沢小そばの兄弟(?)でやってる魚屋さんに切ってもらったブリなどの刺身と、並びの伊勢屋さんで買った日本酒、いも焼酎で過ごしながら昨年12月28日にNHKハイビジョンで放送された「ジュリー祭り」1時間半を堪能。

グループサウンズ時代は子どもだったし、「TOKIO」くらいから後はテレビでもあまり見かけないなあと思っていたわけだけれども、還暦でコンサート当日は80曲を歌い続け、走り続けたというエネルギー、たぶん他の人には絶対に似合わない純白の酋長スタイル、特に「声」の輝きが一向に衰えないことにただただ脱帽。

「窮状」というネタについては、ご本人もハッキリ発言されているわけだし、亡くなった加藤周一氏の後任の発起人を沢田さんにお願いすべきではないだろうか。

チュッチュルッ、チュッチュルッ‥

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2009年1月16日 (金)

マーク・トウェイン曰く「アダムは幸せだった。なぜなら姑がいなかったから」

昨日NHK・BS1で見た米ABCのニュースが、オバマ大統領のミシェル夫人の母親であるマリアン・ロビンソンさんも大統領一家と一緒にホワイトハウスに住むというニュースを報じる中で、記者が「マーク・トウェインはいいました。アダムは幸せだった。姑がいなかったから」というジョークを枕にしていた。

そんな冗談が出るのは、アメリカにおいては「妻の母」の存在が、日本や韓国の「夫の母」とある意味共通して大きなもの(煙たい存在?)だからなのかなあと思ったりする。そう言えば、『奥様は魔女』でもサマンサのお母さんの存在感は結構大きかった。

キャンペーン中も、大統領の二人の娘の面倒は大きな部分祖母が見ていたようだし、実はジョークと違って、両親との縁がある意味薄かったオバマ大統領と義母との心の結びつきには強いものがあるらしい。

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ミリバンド英外相も「テロとの戦い」という用語批判

イギリスのミリバンド外相が『ガーディアン』への寄稿で「テロとの戦い」という用語は間違っていると批判したと報じられた。

ミリバンド外相は労働党でもブレア前首相寄りで、中道のブラウン首相が世界金融危機で存在感を回復する前に支持率が低迷していた時期に、自らへの党首交代を目指して動くのではないかと言われたブラウン首相にとって目の上のタンコブ「ふたりのデイビット」の一人(もう一人はデイビット・キャメロン保守党党首)だ。

ミリバンド氏は南オセチアでのグルジアの武力行使に端を発したロシアのグルジア本土侵攻の当時、ポーランドに乗り込んでロシアに対する強硬勢をアピールするなど、もともとは「タカ派」であり、ブラウン首相がブレア前首相よりも軍縮問題などに熱心で、経済政策も社会民主主義色が強いのを「右」から批判するポジションをとっていた人で、まあ言ってみればイギリスの前原誠司氏のような人なのだが、そういう人でさえ「テロとの戦い」という用語の毒性を指摘せざる得なくなったわけだ。

テロの撲滅には、その温床となる経済・社会問題の解決が不可欠で、アフガニスタンやパキスタンの現状をみればそれは誰の目にも明らかだ。ブッシュ・チェイニー、また日本の自公政権のように「テロとの戦い」という一言で、戦争が一番だといった単純指向に陥ったり、何十年も積み重ねてきた安全保障をめぐる国会審議が生み出したものをすっ飛ばしてしまうなどというのはとんでもないことだ。

デイビットの語源は古代イスラエルのダビデ王だが、いまダビデ王の地で起こっている問題も含め、わが国にとって、できることは何か。為すべきことは何か真剣に考えるべきだ。

外務省や自民党政権をコントロールしてきた財界は「体裁を考えれば、自衛隊を出すのがいちばん安上がりで楽」などと考えているのだろう。次期政権党である民主党も外交面では「ソマリア海賊対策の海上自衛隊派遣」を強く主張している元外務官僚の田中均氏の影響力が非常に強いという。あそこだって、本当はソマリアの内政崩壊をそのままにしていては、何の問題解決にもならないのだ。

われわれも、目を覚まして、与野党や官界、財界をよく見張っていかなければ。

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米旅客機、NYハドソン川に不時着水

起床して、ラジオ受信機でNHK総合のニュースの音声だけ聞きながら洗面所にいたら、ニュース速報を知らせる信号音が聞こえた。何かと思えばNYの旅客機が鳥の群れに突っ込みエンジンが停止し、不時着水というニュースだった。

1月20日の就任式の前の大惨事といったことにならず、オバマ新政権誕生にミソをつけなくて良かったと思う。しかも全員無事。今のアメリカの経済情勢と結びつけ、こっちも不時着直前のような状況だけれども、このニュースを聞いてギリギリのところで切り抜けることができるような気がしてきたという人もいるかも知れない。

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2009年1月15日 (木)

「日本の希望は女性にあり」と語る音楽評論家・吉田秀和氏(95)、作家・丸谷才一氏(83)

そろそろ新年に入っての新聞も縛って片づけようという方もあるかも知れないが、『朝日新聞』2009年1月1日付33面の音楽評論家・吉田秀和氏と作家・丸谷才一氏の対談はとても面白かったので、元旦の新聞など忙しくて読んでいないという方も抜き出しておいてあとでご覧になることをお薦めしたい。

なにしろ吉田さんは95歳だから、最近の経済・社会情勢がもたらしている雰囲気について、過去の経験を問われ「第一次大戦の後だから、小学校に入るか、入らない頃かな」と説き起こすスケールの大きな話にはじまり、かつて男性楽団員しかいなかったベルリンフィルに女性団員がたいへん増えたことなどにもふれながら「ぼくにとって日本の最大のホープは女性たち」と話を進めている。

丸谷さんも「文学だってそうじゃない?」と水を向けられ「そう、女の人がいいんですよ。川上弘美さん、高樹のぶ子さん、江国香織さん、まだまだ他にもいろいろ」と応じ、源氏物語を論じながら、人類史は初めの母系社会の後、父権的な時代が6000年続いているという説を紹介、源氏物語が広く読まれるようになっているというのは、6000年ぶりの転換期にあることがその背景にあるのではないかという、さらにスケールの大きい話を展開している。

コンビニで立ち読みした『週刊文春』の宮川隆義氏による総選挙獲得議席数予測の記事の中で同氏も、「卑弥呼現象」などということばを提唱し、日本の政治はめちゃくちゃだけれども、民主党を中心として女性議員が増えることで、倭国の大乱が卑弥呼の登場で収まったように、ようやく落ち着いてくるんじゃないかと言った話をしていたこととも符合するなあと思う。

対談の末尾で吉田さんは「僕、総理がこんなにしょっちゅう代わっているなら、男じゃなくたっていい。女性にやってほしいと思っている」と結論している。「今、新聞に名前が出ている誰それじゃないよ」というところも含めて大いに共感。

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2009年1月14日 (水)

冷え込み、ウクライナ経由欧州向けロシアのガスパイプライン

東京はあいかわらずたいへん良い天気だが、冷え込んだ。NHK「おはよう日本」のお天気担当・渕岡さんも屋外中継で「手袋では足りない」と暖かい飲み物のカップを持って登場していた。

ウクライナ経由欧州向けのパイプラインのガスの問題、「再開」と報じられていたのに足踏み。ロシアのお客さんと会う人のために「再開は良かった」と昨夕メモ書いて出していたので、個人的には大いに困る。全く、個人的にだけれども。

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2009年1月13日 (火)

大富豪、ウォーレン・バフェット氏、学生に大いに語る(2006年制作のテレビ番組)

連休明けもたいへんよい天気で富士山がよく見える。てっぺんの方に少し雲がかかっているようで、すこし近い地方では天気が悪くなると言うのではないかしら。

昨日見た米ABCの「ジスウィーク」に大統領就任を控えたオバマ氏がステファノプロス記者のインタビューに答えていて、「犬はいつ来るの?」という娘たちが調整室でスタッフに頼んだ質問にも応じていた。

「買ってくる」のではなく、「施設から引き取」という方針はとてもいいと思う。ただ犬種選びなどが「商務長官の人選より難しい」という自虐ネタにはちょっと驚いたけれども。

ラウンドテーブルで(あるいは他の番組だったか?)誰かが「オバマ氏の経済政策はだいじょうぶだろう。エコノミストや投資家や‥多数の助言者がついている」というのを耳にした息子が「投資家はまずいんじゃないか?」というので、発言者はウォーレン・バフェット氏のことを念頭に置いているものと思い、バフェット氏がビル・ゲイツ氏と二人でバフェット氏の母校ネブラスカ大学を訪ねて学生たちの質問に答えた2006年制作の米テレビ番組のビデオ(NHK-BS1「世界のドキュメンタリー」枠での放送を録画)を見せる。

森田もこの番組を見るまでパフェットなる人物のことを全く知らなかったが、たいへん愉快な、かなうことなら友だちになりたいような人だ。

大金持ちのバフェット氏は、それほど収入の多くなかった時期に3万ドルほどで買った家に今でも住み続けており、子どもたちは父親が有名になるのが遅かったので何の仕事をしているか知らずに育ったそうだ。ゲイツ氏が訪ねた時にはダイニングの椅子のシートが外れていて、バフェット氏はそれに気づいていなかったという‥

それで財産の99パーセントは慈善事業に寄付することになっており、子どもたちはそこそこの金持ちになる程度だと話していた。

学生へのアドバイスの一つは「人前でリラックスして話ができるようになることは役に立つ」ということであり、投資などの意思決定の原則にしていることの一つは「新聞の法則」というものだそうで、それはつまり自分たちの振るまいが翌日そのまま全て新聞に出たと仮定して、人々や家族にいやな感じを与えないかどうかよく考えるという原則だそうだ。

その一方で自分自身の「採点の基準」は、常に自分の中に持っておくことが大切で、人がなんと言うか、どう採点するかなんてことに振り回されていては自分の人生が実現できないという。あたりまえといえばあたりまえの話だが。

しかし、あたりまえのことがあたりまえでないのが現代のわれわれの問題であるので、バフェット氏には強い好感を抱いた。

番組中の白眉はある学生が「東欧などで成功している税率のフラット化をどう思うか」という質問に対し、明確に「反対だ」として、自分の若い頃の税負担、あるいは自分のために働いている秘書などの税負担と比べても、今の自分の税負担は軽すぎると話す。「私たちが言うと皮肉に聞こえるかも知れないが、税制は今すでにフラットすぎるのであり、累進課税を強化すべきだ」と述べ、ゲイツ氏も賛成していた。

さらにバフェット氏は「私などは、仮に所有株を担保に借金してそれを生活費に充てれば、税金を全然払わなくて済ますこともできる」と税制のカネ持ち優遇を批判する。つまり、おカネ儲けは大好きだけれども、社会的公正の実現ということにも同じぐらい情熱的なのだ。こういうアメリカ人は実に魅力がある。

この辺が、地方税課税の基準日に住所を外国に移して課税逃れをするような日本のエセ自由経済主義者と全く異なるところだ。わが息子も、アメリカ人にも「投資家」にも、いい人もいれば悪い人もいる。それはわが国を含めどの国のどのような職業の人についても同様だということについての理解を少し深めてくれたようだ。

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2009年1月 9日 (金)

学校で労働基準法など生きるための基礎知識を-NHK早川解説委員の意見に賛成

ここ2年ほどのことだろうか、年に何回かNHKの解説委員たちが一堂に会して、また視聴者の声も募ってあれこれ議論する「双方向解説・そこが知りたい」という番組がある。最近は昨年12月27日深夜から翌早朝にかけて、世界経済情勢や雇用や若者の状況などを含む話題での放送があった。

ながら視聴で録画を見ていたら、教育担当の早川信夫解説委員がある調査によると「若者の4割が労働基準法の内容を知らなかった」という数字を紹介し、例えば「非正規雇用でも休暇が取れるとか、残業代を請求できるといったことは学校でちゃんと教えるべきではないか」「キャリア教育というと、起業家養成など派手な話題に目がいくが、むしろ生きていくために必要な基礎知識をしっかり教えることが大切ではないか」と発言していた。

その通りだと思う。証券会社の人を学校に呼んで投資のゲームを習うというようなことをやっているところがあるようだが、労働組合の人や弁護士を呼んで、こうした基本的な社会のルール、それも生きていくために大切な知識を学べるようにすることが大切だと思う。公立学校教育の役割はますます大きい。

番組に話題を戻す。NHKの解説委員を集めても、あたりさわりのない話に終始すると思われるかも知れないが、このように教育担当解説委員が経済、社会の問題という文脈の中で意見を聞かせてくれたり、あるいは解説委員同士で出ているので、ある意味カッコつけたいという心理も働くのか、いつもより大きな構えでハッキリと意見を聞かせてもらえるので面白い。視聴率がどれくらい出ているか知らないが、ぜひ続けて欲しい番組だ。

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2009年1月 8日 (木)

フジテレビ『とくダネ』、2003年派遣法改正時の報道を「検証」

昨日、1月7日(水)放送(8:00~)のフジテレビ『とくダネ』で、最近の深刻な雇用問題の原点は2003年、小泉改革の中で行われた派遣法改正であるという話をしていた。

その話の中味自体はあたりまえのことだが、ほーっと思ったのは当時の新聞各紙や、『とくダネ』自身がこの問題をどう扱っていたかという話しだった。

キャスターが当時の新聞縮刷のページを繰って調べているシーンがあり、当時は「派遣を製造業に広げる」というトンでもない法改正が成立した際の報道の扱いがたいへん小さなものだったことを紹介していた。

有事3法の成立と重なったこともあるものの、朝日新聞の記事などほとんどベタ記事のようなものだ。今日の問題を見越して明確に指摘していたのは毎日新聞だけだったようである。

このようなメディア自身の検証報道のようなものがもっと必要だ。ちなみに『とくダネ』自身についても「全く取り上げなかった」と潔く事実を伝えていたので、ここに書く気になった。もうすぐ放送開始10年という歴史の厚みがもたらした「番組徳」のようなものだ。

もっともその前日、6日の放送では「年越し派遣村」に集まった人々の中には、政治が悪い、社会が悪いというよりも「自分が悪かった」という視点を持っている人も多いということを他局に比べ強調し、『ニューズウィーク』日本版の辛気くさい編集長が新自由主義擁護全開のコメントをしたりしていたが。

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2009年1月 7日 (水)

麻生政権は米国にイスラエルを止めることを求めよ

毎日新聞の本日付社説二番手の見出しは「米国はイスラエルを止めよ」。核心を突いた、シンプルな良い見出しだ。

付言するならば「麻生政権は米国にイスラエルを止めることを求めよ」と言いたい。麻生さんは正月からオルメルト首相、パレスチナ政府のアッバス議長(ただし事実上の分裂でガザ地区には支配権が及ばない)に電話を入れて停戦を求めたことをマスコミにアピールしていた。

何もしないよりはうんといい。しかし「アメリカの同盟国」などと胸を張るならば-森田は同盟などという用語は条約に根拠がないと考えるが-、この状況で国連安保理の停戦決議さえユダヤ系の資金と票のために拒否権をちらつかせて阻止するアメリカのブッシュ大統領と、それを踏襲する恐れのあるオバマ次期大統領に対し、「おかしいじゃないか。ハマスにロケット弾テロ停止を求めるとともに、イスラエルにも停戦を求めるべきだ」と安保理の非常任理事国として強く求めるべきだ。そうすることはホワイトハウスや国務省がフリーハンドを確保することを支援することになり、結局はアメリカのためにもなるのだ。

それをしない、できない、考えたこともなかったというのでは「自民党、公明党、外務省はアメリカの犬か」と言われても仕方がないだろう。

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とくらさんのトラックバツク

とくらさんという方からトラックバックを送っていただく。「小泉、竹中路線の見直しは、労働者派遣法や医療制度改革等の政策的なものだけで終わってはならないと思います。政治家やマスコミだけでなく、国民ひとりひとりが、『小泉的なもの』全体について考えてみるべきだと思います」。その通りですね。選挙に出ておられる方なので、「多くの有権者が、自らの浅薄で論理を軽んずる、内なる小泉的なものを厳しく見つめ直し、心から反省すべきだ」という言い方はしておられないわけですが。

町のオバサンたちや、一部ワイドショーの発言に「小泉さんも、息子を後継者になんていうのはちょっとがっかり」というのがよく聞かれるようになったのは興味深い。オバサンたちは自ら反省するわけではなく、戦争が終わったときに無反省な人々が言ったという「騙された」というレトリックで自己正当化しよう面もあるあるわけだが、少なくとも「まずかったかな」という感覚は後継指名をきっかけにさらに広く共有されるようになった。

ドラマの主役を張ってきた小泉氏は、旧約聖書のサムソンやゲルマン神話のジークフリートのように、全てをぶちこわしにしてしまう自らの弱点を、運命に導かれるようにさらけだした。無意識のうちに、「自民党の黄昏」でも主役を演じたがっているのだろう。

そういえば、政権投げ出しで国益の甚大な損失を招いた安倍晋三氏は、何ら総括をしないまままだ政治家を続けるつもりなのだろうか。信じられない。

さて、政治における「ことば」は、もっと落ち着いて、吟味して使われるべきだ。一方同時に、政治にはドラマであるという側面があることも否定できない。自民党離党者が役割を果たす程度の結果では、日本人の物語が前に進まない。この際、有権者に求められているのは「劇的な投票行動」であることも事実だろう。

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2009年1月 6日 (火)

内橋克人さんの「ビジネス展望」復帰を喜ぶ

今朝、NHKラジオ第一のビジネス展望(6:43頃~)で、久しぶりに内橋克人(うちはし・かつと)さんの声を聞きうれしかった。実は元旦の昼頃に新聞のラジオ覧にお名前を発見し、喜ぶと同時に聞き損なったのをがっかりしたが、けさようやく再会かなった。

小泉「改革」ブーム下にあっても、冷静かつ実証的な分析で日本経済のあり方を論じておられた内橋さんが、体調を理由に一時降板されたときには、いままさに内橋さんの出番であるのにと残念に思い、ご心配申し上げていたけれども本当に良かった。

この番組、水谷研二氏や田中直毅氏のような聞かない方がいい人が出ている日もあるけれども、金子勝氏や寺島実郎氏、藤原直哉氏などのタイムリーな分析が聞けるので朝型の人にはお薦めです。

(ちなみに、内橋さんの元旦に放送された復帰第一弾、「もう政治的レトリックに騙されてはいけない」と2009年の日本と世界の現状と課題を抉ったロングバージョンは、11日までこのNHKのページから聞くことができます)

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2009年1月 5日 (月)

リチャードソン氏、商務長官辞退

これはちょっと残念。イスラム圏に偏見持たず、エネルギー長官として北朝鮮の核問題などにも関わってきた人だけに、所管の産業・通商政策をテコにオバマ政権の協調外交のエンジンになり得る人と思ったけれども。

もっとも、オバマ陣営の「身体検査」の能力を批判する人がいるが、指名公聴会が始まる前で良かったと思う。ダメージは相対的に小さい。

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2009年1月 4日 (日)

年越し派遣村、K-20、品格なき新年ゴミ出し

昼前に、黒川氏のきょうも歩くで日比谷公園の年越し派遣村に行ってカンパしてきたという話を読み、そうか、森田ものんきにしてばかりではいけないと家族を誘って出かけてきた。高校生の息子にも趣旨を話すと「僕も寄付したい」ということで、彼も小遣いから1000円出して同行。

たくさんの人々が食事の提供の列に並び、いくつものデスクが出されて相談の面談が行われていた。わずかばかりのカンパをしたが、同じ受付で衣類を寄付している人もいて、ボランティアの人が新品でなくても良いと言っていた。この年越しを、こういうところのボランティアで過ごした人々に頭が下がる。今年は少し行動する年にしなければと思う。

実は映画が1000円になる元日の午後は、新宿ピカデリーに「K-20」という金城武主演の怪人二十面相や明智小五郎が活躍する活劇映画を見に行った。正月にピッタリの映画だったが、設定は「日米開戦が回避された昭和20年代後半の日本」というおとぎ話で、町中に軍人が歩いていて、警察の取り調べでは暴力の行使が当然といった様子と共に、親を失った貧しい子どもたちの、言ってみれば貧民窟のようなものが出てきて、そこで財閥令嬢が炊き出しをするといった場面が出てくる。

松たか子さん演じる令嬢が、資本家がカネをため込むばかりではいけない。それを社会のために使わなければといって啖呵を切る場面や、登場人物のやりとりに「お前が支配層と戦うのは、結局は自分が力を得たいというだけの話じゃないか」というような、民主党内の松下政経塾出身の新自由主義派を揶揄したようなセリフも出て来るわけだが、映画で見た場面がおとぎ話ではなく、それと同様な場面を、2009年年明けの日比谷公園で現実として目の前にするとやや目まいを覚える。

帰り道に『女性の品格』というベストセラーを出した元高級官僚の女性宅前を通る。心のこもった贈りものを奨励している人だけに、頂き物が多かったのだろうか、もう家の前にゴミを出している。当然、世田谷区のゴミ収集はまだ始まっていない。品格も何もあったものではない。

ますますこの国は「本当が嘘で、嘘が本当」のような気がしてきてきてしまうが、まあとにかく、自分が真実と信じるところに従って、発言し、行動していくようにしたい。そうするしかない。

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ハイドン「告別」交響曲選曲のなぞ

NHKテレビの中継を録画して見た今年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートは、初登場バレンボイム氏の指揮によるご機嫌な演奏会だった。

バレンボイム夫人のリクエストというワルツ「南国のばら」にしても、明治維新の前年の作品と知ったポルカ「雷鳴と電光」にしても、実に実にいいテンポで、「行き届いた設計、コントロール」と「お遊び」がうまくブレンドされていた。

イスラエルとアラブの若い音楽家たちが一つのオーケストラに集う「ウェスト・イースト・ディバン」を故サイード氏と共に立ち上げて育ててきたバレンボイム氏だけに、イスラエル軍によるガザ空爆という状況の下、恒例のアンコール時の新年挨拶でどんなメッセージを発するかは大いに注目された。

かつてムーティー氏が「平和」に言及し、最近ではマゼール氏がインド洋の津波に見舞いのことばを加えたけれども、中東和平に芸術家として関わり、ベルリンの壁崩壊時にはベルリンフィルとベートーベンのピアノコンチェルト1番を弾き振りしての祝賀無料コンサートを提案して開いたりと時事問題に敏感な氏のことである‥

バレンボイム氏は「2009年が平和な年でありますように」と述べたのに続けて、一言だけ「とりわけ中東において正義が実現されますように」と付け加えた。多くの人がそう感じたと思うが、森田もこの一言には万感がこもっているように感じ、心打たれた。双方の責任ある立場の人々は、自らの正義を振り回すだけでなく、また党派的な打算にのみ溺れることなく、バレンボイム氏と世界の多くの人々の願いを聞き入れ、イスラエル、パレスチナに平和をもたらしてもらいたい。

ところで、没後200年でプログラムに取り上げられたハイドンだが、なぜ「告別」交響曲(第4楽章)だったのだろう。夏の間中「夏の離宮」に楽団員を縛りつけて家族の元に帰してくれないエステルハージー侯爵に対するデモンストレーションとして、楽員がだんだん袖に姿を消し、しまいにはバイオリンの二人だけになってしまう‥

「殿様にはあきれた、バイバイ」という連想からは、歴史の退行期だったブッシュ大統領の時代への告別ともとれるけれども‥。この曲も芝居っ気たっぷりに楽員たちの退場にあきれて見せたり、最後に残ったセカンドバイオリンのトップの頭をなでたりと大サービスだったけども、バレンボイム氏の選曲の秘密が知りたいところだ。

いずれにせよ、視覚効果にもやや重きがおかれるこの作品を、ウィーンフィルの衛星生中継で楽しむことが出来たのは、一つの至福の時だった。

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2009年1月 2日 (金)

あいかわらずの竹中平蔵氏に驚きあきれる。

ここ2~3日、東京はかなり天気がよい。富士山がよく見える。

元旦夜は、NHK・BS1の地球特派員スペシャル、NHK総合の世界と日本の2009年をテーマにした討論など見る。

竹中平蔵氏が「非正規労働者の苦境の原因の大きな部分は、終身雇用・年功賃金の正規労働者の厚遇にある」といようなことを言っていたが、総労働に対する分配率が低いことが内需低迷の原因問題なのであり、竹中氏の話は徳川幕府が「士農工商」の下の被差別身分を創造して支配層への批判をかわしたことを焼き直して、労働内部に対立を作りだそうという論理のすり替えをしているわけだ。

「批判を恐れずに言う、法人税を減税すべきだ」などと、社会保障重視派のあらゆる議論に「財源は」と言いつのる本人が、財源論に触れぬまま目立った議論で話をそらそうとするテクニックもあいかわらず冴えている。「所得税の最高税率の引き上げを財源とする」といった話なら森田は必ずしも反対ではないが、とにかくハゲタカのような金融資本に「来てもらう」といったことを優先する発想は、世界経済の現実とマッチしていない。

地球特派員スペシャルに見る中国の失業問題は深刻だ。それは世界経済情勢の変化が直撃したものだが、これに中国指導部が適切に対処し激震を回避できるかどうかは2009年の世界を左右する大きな要素の一つだろう。

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2008年12月31日 (水)

小学生の読書「1カ月に読んだ本の数、平均で11.4冊」!

良いニュースに驚くことは少ないが、学校図書館協議会と毎日新聞社のまとめによると小学生が1カ月に読んだ本の数が平均で11.4冊に上ったという。これは素晴らしい。

始業時の一斉読書の奨励などの成果らしいが、明るい話題だ。いまの中学生や高校生は本を読むように勧められた経験が少なく、高校生になると月に一冊も読まないという生徒が半数に上ると聞くとちょっと心配になるけれども、それに比べてその下の世代のごく最近の小学生たちはうんと小さい頃からNHK教育テレビの「日本語であそぼう」といったレベルの高い番組を見て育っており、これからフィンランドなどを見習って公共図書館の整備・活用などを進めていけば、日本もいつまでも今のような政官財界に代表されるような低教養、非論理的、判断力欠如の状態に低迷することは避けられるようになるかもしれない。

うちの子どもが10年ほど前に通った世田谷区の公立小学校でも、当時は本の紹介のプリント配布などはやっていたが一斉読書の時間などは無かった。昼休みに教室で本を読んでいると「外で遊びましょう」と指導を受け、家人が「本をたくさん読みましょうという指導がありますが、いつ読んだらいいのですか」と質問すると教諭が答えられなかったといった思い出がある。

関係者の引き続きの取り組みに期待したい。今年最後の発言を明るい話題で締めくくることができて嬉しい。

【以下、上記の情報に触れた29日付『毎日新聞』のコラム「余録」の写しです】

余録:活字復権
 この時期、書店の店頭で年末年始のテレビ番組を特集したガイド誌が目につく。深刻な不況で、海外旅行やホテル越年が減った「巣ごもりの冬」だ。リモコン片手に安上がりの休みをと、手に取った人も多いだろう▲活字復権の好機では、と思うのだが、逆風は吹き募る。ノンフィクション中心の硬派からサブカルチャー系まで、雑誌の休廃刊が相次いだ。関西の老舗情報誌「Lmagazine」(京阪神エルマガジン社)も、先週発売分が最終号になった▲「蟹工船(かにこうせん)」ブームや、タレント本のベストセラーが今年の話題になったが、これだって長続きするはずがない。繰り返し読んで一生付き合える良書も、目に留まらないまま棚に埋もれて姿を消していくのが、なんとももったいない▲興味深い数字がある。毎日新聞社と全国学校図書館協議会がまとめた今年の学校読書調査では、1カ月に読んだ本の数が小学生の平均で11.4冊と、過去最高になった。これが、高校生になると「1冊も読まなかった」が半数を超える▲小学生の読書志向は、学校で一斉読書活動が広がり、先生たちが積極的に本を紹介している効果が大きい。家庭で本を読み聞かせてもらった経験が、読書好きの子を育てることもデータから明らかだ。一方で、中学、高校生の6~7割は最近、読書を勧められた経験がほとんどないという。ここが鍵だろう▲お笑い番組に飽きた少しの時間でいい。活字に親しんだ世代が読書の楽しさを語り、本を広げる機会を作ってやりたい。煙ったがられても、あきらめてはいけない。広大な活字の海に人をいざない、知を共有することは、得難い喜びのはずだ。

【以上、毎日新聞 2008年12月29日 0時06分】

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2008年12月15日 (月)

小沢一郎氏の「政界再編」否定発言を支持する。

NHKテレビのニュースで、「今の時点で」という限定付きながら民主党の小沢代表が最近賑やかな「政界再編」に否定的な考え方を示したと言っていた。賛成だ。

自民党内で「議連だ」「造反だ」と騒いでいる連中は、要は「選挙後も自分だけは与党でいたい」「目立って選挙にプラスにしたい」と考えているに過ぎない。日本テレビの氏家氏あたりが「再編」の産婆役を自認しているらしいが、こんな類のニュースを大きく取り上げている報道関係者は、本当に頭が悪いか、商売または権勢欲からなる事情を優先しているのかのどちらかだ。

【以下、NHKのニュース原稿】  民主党の小沢代表は京都市で記者団に対し、次の衆議院選挙の前の政界再編について、「まったく考えていない。一度、自民党を中心とした政権を代えてからでないと、ほんとうの意味での政界再編はできない」と述べ、現時点では否定的な考えを示しました。この中で、小沢代表は、記者団が「麻生内閣の支持率が大幅に下がるなか、次の衆議院選挙の前の政界再編の動きが注目されているが」と質問したのに対し、「今の時点で、わたしはまったく考えていない」と述べました。そのうえで、小沢氏は「議会制民主主義を定着させるために政権交代を実現し、一度、自民党を中心とした政権を代えてからでないと、ほんとうの意味での政界再編はできない。今は、ひたすら選挙に向け、国民の支持を得ることに全力を尽くす」と述べ、次の衆議院選挙の前の政界再編に、現時点では否定的な考えを示しました。

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2008年12月11日 (木)

続・2009年の世界と日本 「平和と軍縮」の前進に期待

  「2009年の世界と日本」について、明るい話題を一つだけ取り上げてコメントするとすれば、平和と軍縮の前進に期待するということだ。

 アメリカの大統領選挙でオバマ候補が勝利したことは、世界の進路がいろいろな点で転換点を迎えていることを象徴していると思うが、「経済」にしろ「環境エネルギー」にしろ、路線の転換は鮮やかに行われるにせよ、2009年中に大きく実をむすぶというところまでいくことは難しいだろう。

 森田が期待するのは平和と軍縮の分野における大きな前進だ。
 オバマ次期大統領も、ヒラリー・クリントン次期国務長官も、予備選も含めた大統領選のプロセスで「全面核実験禁止条約(CTBT)」の批准に前向きの姿勢を示していた。ブッシュ政権がこれに背を向けていたことが、この間、軍縮が足踏みし、核拡散が進む原因になっていたという指摘があり、この政策転換があれば核軍縮・不拡散をめぐる空気が大きく変わるだろう。

 08年は、G8下院議長会議が広島で開催され、アメリカの現職トップリーダーとして初めてとなるペロシ下院議長の広島訪問を実現したが、ペロシ議長は資料館見学や被爆体験者の証言に非常に強い印象を受け「来て良かった」と何度も言ったという。09年以降オバマ大統領の訪日となれば広島訪問を強く助言してくれる可能性は高いと思う。

 さらにバイデン次期副大統領は上院外交委員会の委員長やマイノリティーリーダーとして一貫してミサイル防衛システム(MD)に懐疑的で、強い慎重論を唱えてきた。もしこの点でアメリカの政策に変化があれば、対立が目立っている米ロ関係も大きく雰囲気が変わる。巨額の費用がかかるシステムであり、守屋次官、田母神空幕長などの下で導入を決めたわが国も、柔軟に見直していくことが必要だろう。

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2008年12月10日 (水)

2009年の世界と日本は

2009年を予言してほしいと無理な注文を受け思い浮かぶこと‥

1. 2008年は世界にとって二つの点で転換点だった。一つは「9月のリーマンブラザース破綻を引き金にいよいよ明らかになった100年に一度の世界金融不安と景気後退により、アメリカの金融資本が引っ張った新自由主義全盛の終焉」であり、もう一つは 「米大統領選のオバマ候補当選で明らかになった、9・11同時多発テロ以来のアメリカの単独行動主義が引っ張った対テロ『戦争』優先時代の終焉」だ。

2. そもそも20年前のベルリンの壁崩壊後の世界は、「対話と協調による平和な世界  の実現」「『平和の配当』の均霑による、世界大の貧困解消と人権状況の改善」となるべきであったのに、「歴史の終焉」などという錯覚の下、むき出しの金融と資本の論理が野放しにされることで内外の解決されるべき問題が解決されないまま放置され、9・11同時多発テロ後のアメリカの「逆上」は、「世界は変わった」などという誤った思考の下、軍事優先の時代に退行するとともに、日本もどういうわけか「郵政改革」が全てであるかのような愚かしい倒錯に恍惚とし、また人件費切り下げによる「見かけだけの生産性向上」にあぐらをかき、本来なら今回のような世界経済の情勢にあってもしっかりした「内需」で雇用を確保していけるようにしておくなど、本当の意味での改革に全力を尽くすべきだった21紀初頭の数年をまったく空費してしまったのが近年の日本政治の実情だ。

3. つまり、20年近く本来の進路からそれてしまった世界と日本が、原点に返り、本来の目標と軌道を取り戻す最初の年となるべきなのが09年だ。
      世界と日本の課題を三つ挙げれば、まずひとつめは「野放しの金融資本が引っ張る危うい資本主義」に代わる、信頼性の高い、バランスのとれた経済成長路線の構築だ。国によって課題は異なるが、わが国の場合は医療や介護の立て直し、最低賃金の大幅な引き上げなどで若い人々を始めとする生活困窮の問題などにしっかり取り組み内需主導社会を構築するということだ。野放図な赤字拡大が許されないからといって、必要なものもそうでないものも横並びで削れなどというのは政策ではない。
   課題の二つめは、単独行動主義のブッシュ政権の退場とオバマ政権の誕生に対応し、世界の現実に対応する国際協調による国際社会運営のシステム作りだ。朝鮮半島の6カ国協議にその萌芽が見られるが、わが国もお客さんのようにしているのではなく、知恵も出し、汗もかかなければならない。「拉致、拉致」とお題目のように繰り返すだけで思考停止に陥っているなど論外だ。
   課題の三つ目は、オバマ政権が経済を始めとする諸矛盾をここ一点に集約して突破しようとするかもしれない「環境エネルギー革命」への対応だ。原子力をやっていればいいなどとい言って新世代エネルギー技術でアメリカに逆転されたり、差をつけられていては、一時はリードした分野でさえメシの種にこと欠いて泣きをみることになる。

4. この3つの課題に対応するためには、強力な政権中枢と有能な政府が必要だ。腐敗や尊大は目立つが、わが国の政府の首から下は国際的に比較すれば一定のパフォーマンスを維持しているようだ。肝心なのは首から上。次の総選挙による政権交代を通じて生まれる小沢一郎内閣が、合理的な政策形成能力と強いチームワーク、また国民に対する説得力をもった内閣となり、わが国の中枢神経の機能を果たしていくよう願ってやまない。
                                                                  
                                                                                          以上 

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2008年12月 9日 (火)

加藤周一さんの「源氏物語」論

先週末、加藤周一氏の訃報に接する。森田敬一郎の発言をお読みいただいている方にはおわかりの通り、加藤氏は森田が尊敬もし、足下にも及ぶことはないと知りつつ「こんな人に私はないたい」という、いわば目標であった。

月曜の毎日新聞に渡辺保さんの評伝のようなものが出ていて、あいまいな言語である日本語を使って、徹底的に論理的で、もっとも美しい「文体」の散文を書いた人としていた。

もっとも、無駄をそぎ落とした、美しい文体ということでは加藤さんより渡辺さんの方が上であり、その個性も際だっていると思うのは森田ばかりではないだろう。

世界政治の問題について、森田はたいてい加藤さんと同意見だった。世界の文学については知識に差がありすぎて論評不能。

ひとつ、はじめて目にしたときから「そうかなあ」「加藤さんが言うからそうなのかなあ」と思いつつ、唯一加藤さんと意見が違うかなと思ってきたのが加藤さんの「源氏物語」論だ。小川洋子さんではないが、森田の記憶は加藤さんの本当に書いておられたこととかけ離れたものになつているかもしれないけれど、たしか加藤さんは「源氏物語を世界文学史上の傑作という人がいるけれども、当時の大多数の日本人はたいへん貧しく、飢饉や疫病に苦しんでいた。ごく一握りの恵まれた人々の恋愛ばかり書いて、そうした『世界の問題』に目を向けないこの小説は、少なくとも世界的な傑作などとは言えない」といったようなことを書いておられたように思う。そうかなあ、そうじゃないんじゃないかな‥とずっと思ってきた。

森田は墨子の思想(墨家思想)に傾倒している。孔子の思想(儒教)の人道主義や東アジアの「共通語」になっていることには魅力を感じながらも、その「権威主義」、非論理的な伝統主義には反発を感じる。本質的には墨家の方が儒教よりリベラルだと思う。でも、孔子が音楽をたいへん大切にしているのと対照的に、墨子は音楽など貴族趣味であると退けている。音楽好きの森田が、儒家を捨てて墨家に走るというわけにいかない理由の一つだ。

源氏物語は、人の愚かしさ、おもしろさを抉って深いと思う。加藤さんは「私の文章を曲解するな」と言われるかも知れないが、たった一つ残った加藤さんへの異論だ。

もちろん「核兵器廃絶」「九条の会」のことどもを含め、加藤さんへの共感と感謝の方がはるかに大きい。「源氏物語」論が原因で、加藤さんを否定するつもりなと毛頭ない。むしろ、加藤さんの後を継ぐ、若い知の巨人が現れるまで、われわれで微力を尽くして中継ぎを務めるべく頑張るしかないだろうと思っている。

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2008年12月 5日 (金)

ムンバイのテロ事件-地域の子どもたちが絶望せずに勉強したり暮らしたりできるように支援することが最大の「対策」

ムンバイのテロ犯10名のうち唯一の生き残った者についての米ABCのニュースが目に入る。パキスタンの小さな村に育ち、10歳で学校に行かなくなり‥最後は「家族に4000ドル(36万円あまり)提供する」と言われ犯行を決意したという。

テロ対策というと、自衛隊派遣うんぬんという話ばかりする人々がいるが、やはりアフガニスタンとか、パキスタンの小さな村、あるいはインドの貧しい、例えばイスラム教徒の集落に住む子どもが、普通に暮らして、学校で勉強が出来て、過激なテロ集団などにリクルートされるリスクを小さくする支援の積み重ねの方が、はるかに現実に役に立つ「テロ対策」だと思う。

アフガニスタンのカブールなどには、トップの緒方貞子氏の強い意思もあり、JICAの職員が何十人か踏みとどまって全く丸腰で保健衛生などの業務に命がけであたっていると聞くと頭が下がる。日本は「軍」を派遣していないだけに現地で受け入れられるというが、現地にもっととけ込んで成果を上げることが出来るのはイスラム圏で該当地区と民族的にも、宗派的にも相性の良い人々であるような気がする。

この際、日の丸を目立たせようなどという欲張った考えは置いておき、イスラム系の団体や現地の人々によるNGOなどが、貧しい地区の子どもたちがやがては安心して学校に行けるような状況を作り出す指向性をもった社会開発支援のプログラムづくりに知恵を出し、実行に当たってくれるそうした団体、人々に日本政府が資金を提供していくといった方法をさらに模索していくべきだ。

テロを起こすやつは悪いやつでとんでもない、軍事力でたたきつぶせと言っているだけでは何の解決にもならない。浜の真砂が尽きることがないのと同じことだ。

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2008年12月 4日 (木)

政治家への企業献金は課税すべきだ

古い話をひっくり返していて思ったのだが、細川内閣の時に小選挙区制を導入し、その時に税金から政党交付金を出し、そのかわり将来は企業献金は全廃しましょうということだったのではないだろうか。どうも、「そのかわり」以下は反故にされてしまっているようだ。

世界大の不況で非正規雇用者のクビ切りが進む中でも、自民党以下の政治家は税金から資金を得る一方で、個人献金開拓の努力をサボり、トヨタ自動車はじめ労働者のクビを切っている企業から非課税で選挙のためのカネを集めているわけだ。

「企業献金即時全面禁止」のかわりに、いつもの森田流微温策。個人の政治献金非課税を続ける一方で、企業の政治献金には課税すべきだ。個人献金へのささやかなインセンティブを設けることくらいしなければ。

パーティー券購入先も、「1回につき」20万円以下の購入先を非公開にしていいという政治資金規正法の規定を、「通年で」に改めるべきだ。現状では、パーティーを5回開き、その都度20万円トヨタに買っている代議士がいたとしても、年百万円のカネの動きは全く見えない。トヨタや東京電力から、見えないところで自民党や民主党の一部にカネが流れているのをガラス張りにすべきだ。

社会保障費の押さえ込みをやめるのにたばこ税を数パーセント引き上げるのに、自民党税調に強い慎重論という。JTからいったい幾らもらつてるんだ。

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2008年12月 3日 (水)

自衛官は靖国神社「遊就館」見学を上司に勧められることはないか?&予備校・四谷学院は右偏向

ふと思い至ったが、自衛官が上司から「靖国神社の遊就館を見学してこい」と言われることなどはないのだろうか。

あれは変な施設で、簡単に言えば田母神前航空幕僚長と同じような考え方で歴史パノラマを展開しているわけだが、歴史のリテラシーに欠けるビジュアル世代には悪い意味で説得力があるのではないか、危ないという気がしてきた。

「ルーズベルトの陰謀」といった部分は、岡崎久彦氏(元駐タイ大使)がCIAかアメリカの右から注意されたらしく、一部修正がされたらしいが、以前にも書いたとおり日本の軍国主義や近隣諸国への侵略については反省のかけらもない危険な施設で、以前にも書いたがあんな施設を、宗教法人が免税でやっているのは変だ、もっとまともな、日本政府の歴史についての公式見解に沿った歴史展示施設わ作るべきだというのが、森田のかねてからの持論だ。

ここでの論点に戻る。最近話題の問題に関連して、自衛隊内で上司より「遊就館は見ておいた方がいい」という話を、インフォーマルにでもしているならば、それは偏向教育であり、ゆゆしき問題である。調査と歯止め措置が必要だ。

そういえば、四谷学院という予備校の日本史の教師が「僕は中道」といいながら、かつての東条英機を美化した東映映画『プライド』を推薦していたという。広告代理店の友人も「四谷学院の時代ですよね」などと言っていたが、結構肝心なところで講師のレベルが低すぎないか? かつて様子を聞いた河合塾の方がよっぽどまともだぞ。

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2008年11月18日 (火)

放送同時通訳の誤訳-国務長官候補としてのヒラリー・クリントンは「リベラルすぎる」のでオバマ支持層に懸念?

オバマ政権の人事が話題になっているが、17日にNHK・BS1で放送していた米ABC「ジスウィーク」のラウンドテーブルを同時通訳音声で聞いていたら、出席者の一人の発言を「ヒラリー・クリントンは外交政策がリベラルすぎるので、オバマ支持層のインテリや若者層は懸念している」という趣旨で訳していた。

あれっ?と思って巻き戻して英語の音声を聞いてみると「リベラルすぎる」と訳されたところは「too right」と聞こえた。

ヒラリー・クリントン上院議員の外交政策は、共和党などの「リベラル」というレッテル張りへの対策として「中道」を強調し、それがためにイラク戦争に当初賛成し、またニューヨーク選出ということもあってイスラエル寄りの姿勢が目立っていた。

発言者の想定するオバマ次期大統領の支持層のコアの部分は、かつてのツォンガス候補(92年)の支持層や、ビル・ブラッドレー候補(2000年)の支持層と重なると見るならば、ここはやはり「クリントンは外交政策が右に寄りすぎているので」という方が当たっているような。

もっとも、仮に実際にクリントン国務長官が実現すれば「右」になるから警戒が必要?いやいや、「右」なのは選挙対策で、彼女の地金はリベラルという見方もあるだろう。

逆に、オバマ氏がコアな支持層が期待するほどの外交リベラルではなく、自分が担当するリベラルな「発言」と、ゲーツ国防長官のブッシュ政権からの留任、クリントン国務長官起用などによる中道・現実主義外交という「実質」でバランスをとっていこうとするようにも見える。

もちろん、アメリカ外交がどうなるかという「風見」ばかりでなく、日本外交どうするかという思索を深め、戦略を練ることが大事であることはいうまでもない。

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2008年11月 5日 (水)

オバマ氏当選を祝す。

世界が正しい方向に向かうきっかけになるだろう。

アメリカ経済、世界経済はブッシュ政権と新自由主義の負の遺産により、これからも悪化の方向であり、2010年の中間選挙は議会で民主党が大敗する恐れが大きいと思うが、とにかく「100年に一度の経済危機」の露見が、例えば「11月半ば」ではなく、9月だったことを天に感謝したい。

6月のコメント3月のコメントバイデン氏についての8月のコメント同、核軍縮公約参照)

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2008年10月28日 (火)

小泉純一郎氏の参考人招致を

麻生首相が解散を先送りするという観測が強まったことで、民主党がインド洋での燃料補給を延長する法案について「徹底審議」に姿勢転換するそうだ。

解散先送り(新聞がそう書いたので逆をやるかもしれないが)は遺憾だが、徹底審議はよいことだ。私はこの際、2003年に日本政府が対イラク戦争開戦に「支持」を表明したこと自体に遡って、徹底的に膿を出すことが良いと思う。

ブッシュ政権がアフガニスタンの問題を中途半端にしたまま対イラク戦争に踏み切ったことが、多くの犠牲を生んだだけではなく、貧困や温暖化など世界の重要課題への取り組みを遅らせ、中東情勢の混迷を深刻化させることで世界のエネルギー価格の高騰を招き、米政府の財政赤字を深刻化させることで、今日の世界経済危機の下地を作ることになったことは今や誰の目にも明らかだ。アフガニスタン問題の深刻化も、この愚かな選択が招いた結果の一つだ。

小泉純一郎氏や当時の官邸、外務省首脳は実際問題として不適切な選択であり、憲法違反の疑いも濃い「開戦支持」について、筋道の通った納得のいく説明を何一つしていない。この際、参考人招致によって過ちを認めて謝罪するのか、それとも強弁を貫いて選挙で自民党に対する国民の審判を求めるのか迫るべきだ。

そもそもアフガニスタン情勢は、カルザイ政権がタリバンとの対話を模索するなど、現実の問題としてはアメリカやヨーロッパの期待するような解決は不可能であるというのが専門家の多数の見方なのではないか。オバマ「次期米大統領」は、イラクからアフガンへの米軍シフトを主張してきたが、オバマ支持の米識者たちからも「オバマ氏は大統領になればイラク撤退の繰り上げはせずに『勝利』して帰還、アフガニスタンからは撤退することになるのではないか」という声が聞こえ始めている。こういった点についても、わが国がまた世界とズレた動きに走ることがないよう、徹底審議が求められているように思う。

さらに、金融関係についての法案が提出されて審議ということになれば、2005年の総選挙における「郵政民営化が改革の本丸」という自民党の主張について、自民党がそれに沿ってどんな実績を挙げたというのか、選挙民を騙しただけだったのか、竹中平蔵氏らを参考人招致して追及すへきことは言うまでもない。

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2008年10月22日 (水)

海自特殊部隊「訓練」暴行死-自民党議員ヤジ「小さなこと質問するな」

委員会審議で民主党の川内博史代議士が、先日の海上自衛隊の対テロ部隊のリンチ致死事件の疑いの濃い事案について質問していたところ、自民党委員から「小さなことを質問するな」というヤジが飛んだそうだ。

これが自民党の体質か。然るべき立場にある政治家の説明が聞きたい。それがなければ、要は「軍」の論理優先、人命、人権軽視が自民党の体質と断じざるを得ない。

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2008年10月14日 (火)

クルーグマン氏のノーベル経済学賞受賞を喜ぶ

クルーグマン氏は「経済政策がやるべきことは二つだけある。一つは失業を減らすことであり、もう一つは富の再配分である」という論者だ。

世界金融情勢の現実と、これからやってくる大不況により、レーガン政権以来30年猛威を振るったインチキ錬金術経済学=日本では竹中平蔵氏が代表的論者=にいよいよ終止符を打つべき場面でのノーベル経済学賞はまことに時宜にかなっている。最近、もっとも嬉しかったことの一つだ。

新聞コラム執筆、ABCの日曜番組「ジスウィーク」のラウンドテーブル常連と、一般向けにも活発な発言を続け、「だから有力と言われているノーベル賞がとれない」などと言われたクルーグマン氏はもともとオバマ次期政権の経済諮問委員長の有力候補だっただろうが、政策転換を印象づける点からも就任が有力になったのではないか。

世界経済は当面最悪の状況に進むだろう。わが国の経済政策もある意味「何でもあり」ということになるだろう。そのような中で、同じ過ちの芽を摘み、良い方向への軌道修正を行うことで災い転じて福となすためには、われわれもクルーグマン氏のような本質を突いた発言に注目していきたい。

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2008年10月 1日 (水)

インドなどNPT未加盟国に対する核技術協力、核物質輸出を禁止する立法を

最近、いちばん頭にきたことは、日本政府が核不拡散条約に加盟することを拒否しているインドを特別扱いすることに賛成したことだ。

核軍縮に事実上背を向けてきた米ブッシュ政権が、ここ2年来、クリントン政権時代の政策を転換してインドとの核協力を進めようとしてきた。そんなことを認めてしまえば、核兵器廃絶へ向けての現実的な手だてとしての核不拡散条約(NPT)体制が根底から崩れてしまうのに、日本政府は「全会一致を要する」、すなわち日本も「事実上拒否権を持っていた」関係国会議で沈黙を決め込み、ウラン輸出国でありながらインドの特別扱いに反対してきたオーストラリアなどの期待を裏切り、ついには賛成した。

アメリカが議会手続きで手間取っている間にフランスがインドと協定を結んだり、ロシアが大きなビジネスをするだろうなどと言われている。

しかし、他の国のことより日本政府だ。外務省の幹部職員や自民党首脳は、天下り企業の都合、正義を曲げてもアメリカに追随することでムラの中での出世と収入を確保する処世術といったことを優先して、ヒロシマ・ナガサキの体験に基づく、核兵器廃絶を希求すべき日本民族の歴史的使命、日本国憲法の理念などは完全に無視しているのだ。

そんなやつらが、勝手に恥ずべき外交政策を展開するときにわれわれは無力か?

やつらに理想を語ってもほとんど役に立たない。やはり、主権者であるわれわれが政府の役人を従わせるには、法律で縛るしかない。

とりあえず、社民党、日本共産党、民主党や自民党の心ある人々に考えて欲しいのは、「NPT未加盟国に対する核技術供与、核燃料の輸出を禁止する法律」の制定だ。やつらは「アメリカやロシアやフランスがインドでビジネスするのを指をくわえて見ているのですか」と言うだろう。日本がそうした法律を作っても、アメリカなどにブレーキをかけられるわけではない。

それでも、日本国民の一部に核兵器廃絶を指向し、そのために核不拡散体制を強化することをまじめに考えている人々がいることをハッキリ示すことが出来るだろう。少なくとも、やつらが、国民の理想を無視して、勝手にこの分野の外交を進めることにブレーキをかけることができる。

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2008年8月26日 (火)

NHK・BS1の『今日の世界』『おはよう世界』を採点する-ロシア・グルジア問題

 北京オリンピックが終わり、NHK・BS1のレギュラー報道番組も帰ってきた。南オセチアを巡るロシアのグルジア本土侵攻に関するニュースも、久しぶりに「特集」のような形でまとめられた。
 
 同じNHK・BS1でも番組による論調の違いがずいぶんある。『今日の世界』(22:15~)は袴田茂樹氏をゲストに迎え、ロシア側から見れば①NATOのグルジアやウクライナへの拡大はロシアにとって脅威、②90年代は経済低迷でアメリカに対して自己主張できなかったがエネルギーの輸出価格の上昇などで大国意識が出てきた、③メドべージェフは権力維持のために国内タカに向け強硬姿勢を示す必要があるという分析を紹介していて参考になる。

 さらに市瀬卓キャスターは、メドベージェフ大統領が休暇中で、プーチン首相がオリンピック開会式で北京にいる時を狙って南オセチアに軍事侵攻すれば、南オセチアを簡単に「解放」(実効支配回復)できると考えたとすれば、その判断は甘く、双方に大きな犠牲を生じた責任が問われるのではないかという視点を示していた。番組全体として、この問題を俯瞰する上で参考になる特集だった。

 他方、同じNHK・BS1『おはよう世界』(6:15~など)の高橋弘行キャスターは25日、26日ともこの問題について市瀬キャスターとは対照的な、浅薄な見方を語っていた。25日に同じ「判断が甘い」ということばを使いながら高橋氏が示唆したのは、今回の事態を招いたのはアメリカやヨーロッパ諸国の「ロシアの本気度」についての認識の甘さにあったのではないかという趣旨の見方だ。
                                             
 さらに26日に高橋キャスターは今回の事態を通じてロシアが得たものは、南オセチアをグルジアから切り離すことであり、さらに、そうではないかもしれないけれどもとしつつ、ロシアの次の狙いは「ロシアを通らずに、カスピ海の原油を黒海に運ぶグルジア領内のパイプライン」を手に入れることかもしれないと強く示唆した。

 『今日の世界』を見た人は、軍事力で問題を解決しようとしたことにそもそもの発端がある。複雑な問題であり、多くの要素に目配りしながら解決を探らなければならないと考えるだろう。『おはよう世界』のみ見た人は「ロシアは信用できない。われわれは甘く見られないように、アメリカを先頭にもっと強硬姿勢を強めなければ」と思うのではないだろうか。 

 『今日の世界』は英BBC、米PBSレベルの視聴価値のある番組、『おはよう世界』は米CNN、米FOXクラス、あるいは産経新聞、小泉・安倍レベルの有害番組であるというのいうのが、この二日間の番組を見ての森田の評価だ。

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2008年8月25日 (月)

バイデン副大統領候補指名

 日本では一昨日、土曜日の昼頃に米民主党の副大統領候補にジョー・バイデン上院外交委員長が指名さるらしいというニュースが流れた。クリントン政権時代から、民主党が上院多数派の時には外交委員長、少数派の時もマイノリティーリーダーということで、NHK・BS1で見ることの出来るPBS「ジム・レーラー ニューズアワー」やABC「ジス・ウィーク」のインタビュー、討論出演の常連であるためいつも議論を聞いてきたが、たいへんまともな外交政策の持ち主であり、森田が「オバマ大統領」に期待するアメリカ外交の転換を体現する人物であり歓迎したい。

 森田は選挙対策で接戦州の知事、たとえばバージニアのケーン知事などを予想し、バイデン氏は国務長官になるのではないかと期待していたが、仮に副大統領であるとしても、チェイニー副大統領のように政権の政策をリードしてくれるなら結構なことだと思う。

 この前も書いたが、森田がバイデン氏の政策について印象に強く残っているのは、クリントン政権時代から、ブッシュ政権を通じてMD(ミサイル防衛)システム導入について、核戦略を不安定にさせること、巨額の予算を必要とすることなどからかなり強い慎重論を一貫して唱えてきたことだ。

 いまポーランドやチェコへのMDレーダーシステム配備が、グルジア紛争の煽りで米ロ「新・新冷戦」の争点になっているが、世界情勢全体としては「9・11~イラク戦争大政局」の陰に隠れ、また冷戦後から最近のエネルギー価格の上昇などで経済絶好調の大国に復活するまで、低迷の時期が長かったロシアにアメリカに対抗する勢いがなかったことで表面化することはなかったけれども、ラムズフェルド、チェイニー、ブッシュといった人々が権力を長く握ってきたことで進んだ「MD」の開発配備は、これから、世界政治の争点となり、世界の平和と安定にとって障害となってくる恐れがある。

 なお、バイデン氏の指名で日本の外務省の一部にも喜んでいる人がいるだろう。帰国前に『中央公論』に寄稿したりしていたのでよく知られていると思うが、バイデン議員のトップスタッフであるジャヌージ氏は昨年の夏まで1年間、たしか日立がスポンサーで日本の研究機関に一年招へいされていた。元駐米公使の阿川尚之教授の世話で、慶応の大学院でも教えていたそうだ。

 上院外交委員会のトップスタッフに戻っているジャヌージ氏は中国の専門家だが、彼が副大統領の首席補佐官ということになれば、民主党にも人脈を作っておきたいという日本の外交畑の人々の挙げた得点ということになる。また、そうした人々の招へいで日本に滞在したとは言え、ジャヌージ氏本人は極めてリベラルな発想の聡明な人物で、日本滞在中には広島の原爆資料館や靖国神社も訪れ、そうした場所が日本人に大きな存在であることも肌で知ったそうだ。

 「オバマ・バイデン」。なんとか勝ってほしい。

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2008年8月22日 (金)

「国際社会」とやらでも世論調査をやってみては

 福田総理の指示で、防衛省がインド洋などでの欧米を中心とする艦艇への給油活動について紹介するDVDを配布するなどして、「テロ特措法」による給油活動がいかに「国際社会」の支持を得ているか税金を使って国民にPRするらしい。

 国際社会って誰?と聞きたくなるが、まあアメリカ政府の日本担当と、欧米やアメリカに協力する限られた途上国の限られた「軍事・安全保障サークル」の輪の内側にいる人々ということなのではないか。

 寺島実郎氏が以前、ワシントンやニューヨークで日本専門でない国務省のスタッフや、財界人に「給油」のことを聞くと、そもそも知らない人が多いし、詳しく説明すると「それにどんな意味があるの?」という反応だったという話をラジオでしていた。

 寺島さんが言っていることと、福田総理や外務省が言い、日本の報道が垂れ流してる「国際社会が支持している」という説と、どちらが正しいかぜひ知りたいものだ。

 報道各社は、とりあえず欧米の主な国と途上国数カ国でいいので、国内で良くやっている「二段階無作為抽出」の少ないサンプルのものでよいので、世論調査をやって、たとえばアメリカ国民の何パーセントが日本による「給油」を知っていて、何パーセントの人がそれを支持しているか調査して発表してもらえないだろうか?

 政府の宣伝に対して、実証的な姿勢で検証するのもメディアの役割だと思うが。

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2008年8月17日 (日)

米民主党の「核兵器廃絶」綱領案を熱烈に歓迎する

 今月末にオバマ候補を正式指名するために開かれる米民主党の綱領案に「究極的核廃絶」を目標とすることが盛り込まれると報じられた。世界を正常な方向に軌道修正する一歩につながるものとして高く評価し歓迎する。

 ブッシュ政権が包括的核実験禁止条約(CTBT)の議会承認を求めることすらせず、新型核爆弾の開発を指向し、2005年にニューヨークで開かれた5年ごとのNPT運用再検討会議でも核軍縮努力について全くほおかむりして、結局のところイランや北朝鮮の核開発に口実を与えるような結果を招いたことを考えると、これは本当に良いニュースだ。

 オバマ陣営の外交安保政策策定の中心には、核軍縮に非常に熱心なダイアン・ファインスタイン上院議員(カリフォルニア)の元政策スタッフが座っているということなので、驚くことではないかもしれないが、9月はじめには河野衆院議長が広島での開催を決めたG8議長会議にペロシ下院議長が出席の意向を示し、高位のアメリカ政府現職首脳(米下院議長は合衆国憲法で副大統領に次ぐ大統領職継承権第2位)としてはじめて広島入りして原爆犠牲者の慰霊碑への献花、原爆資料館の見学を行うということとも符合するニュースである。

 副大統領候補への指名、あるいは国務長官任命も取りざたされるバイデン上院外交委員長はミサイル防衛(MD)の配備決定にも極めて慎重な立場だった議員であり、わが国としてもボーッとしていないで、守屋被告(前防衛事務次官)の主導の元に開発参加を決めたミサイル防衛などについても、最近のブッシュ政権のポーランドなど東欧へのMD基地配備に関わる対ロシア「新・新冷戦路線」なども考慮し再検討を始めるべきだ。

 ところで、オバマ対マケイン。毎日新聞ワシントン支局の及川記者の分析では、夏の世論調査での民主党候補のリードが今程度では過去のデータから言うとオバマ氏勝利は微妙、というより難しいということになるらしい。現政権がグルジアを巡ってロシアとの対決を煽っているのも選挙対策の疑いが濃い。しかし、ここでオバマ氏が当選できるかどうかは「ブッシュ&チェイニー、9・11、イラク戦争、小泉&安倍」という、世界史の進むべき方向に逆行した忌まわしい過去と決別できるかどうかの一つの大きなターニングポイントになり得るので、注視という以上に注目せざる得ない。

 オバマ頑張れ!

【以下、時事通信の記事のコピー】。

究極的核廃絶を追求=オバマ氏持論を明記、現政権から大転換-米民主党綱領案

【ワシントン15日時事】米民主党が25日に開幕する全国党大会で採択する予定の政策綱領案の全容が15日、明らかになった。時事通信が入手した綱領案によると、安全保障関係では、「核兵器のない世界を追求する」として究極的な核廃絶を目指す方針を明記。イランや北朝鮮に核放棄を求めるとともに、米国自身も核兵器削減・廃絶に向けて具体的行動を取ることを打ち出した。
 究極的核廃絶は、党大会で大統領候補に正式指名されるオバマ上院議員の持論。2000年の党綱領では核兵器の大幅削減が盛り込まれたが、廃絶まで踏み込んだのは初めて。新型核兵器開発計画を進め、国連総会で日本政府提出の核廃絶決議に7年連続で反対票を投じてきたブッシュ政権の核政策からの大きな転換となる。
 綱領案は核廃絶に向けた具体的行動として、(1)冷戦期に製造された核兵器をロシアとともに検証可能な形で削減する(2)新規の核兵器開発を中止する(3)米議会による包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を促進する-ことを明記。国際原子力機関(IAEA)管理下の国際的な核燃料貯蔵構想や、核拡散防止に関する国際首脳会議の09年の開催も提唱している。(2008/08/16-13:08 時事通信)

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2008年8月15日 (金)

野田消費者問題担当相に、靖国参拝の存念についてちゃんと説明して欲しい。

 全国戦没者追悼式のテレビ中継と共に黙祷する。保岡法相、大田農相、野田消費者問題担当相の三閣僚が靖国神社参拝のニュース聞き、不愉快に思う。

 福田総理の考え方が、閣僚に貫徹しない。ブッシュ大統領は誤った政策ばかり推進する、頭の悪い大統領だと思うが、ホワイトハウスに一定の規律、緊張感を保っているらしいのは福田さんにも見習って欲しい。もっとも、福田さんもワルで選挙対策のために役割分担をしているのだろうか。それとも、あいかわらず町村官房長官が足を引っ張っているということか。

 横着な財界ボンボンの大田農相、田中角栄被告の弁護士だった保岡法相については初めから何の期待もしていないので何か言うつもりはないが、野田大臣には「A級戦犯合祀を決して改めない靖国神社に閣僚が参拝することは、わが国がサンフランシスコ講和条約で東京裁判の結果を受け入れたことが国際社会復帰の原点だったということを見失うことにならないか」という点について質してみたい。

 高市早苗代議士などよりよっぽどましな政治家だと思っているが、こうしたことに納得いく説明が聞けなければ信頼を寄せることは出来ない。

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2008年8月14日 (木)

ロシア・グルジア衝突の遠因は米ブッシュ政権の単独行動主義にある

 グルジアの南オセチア自治州をめぐるロシアとグルジアの軍事衝突は、EU議長国フランスの調停で停戦の合意を見たものの、8月14日朝、東京で見た各国のテレビニュースはロシア寄りの武装勢力によるグルジアへの報復攻撃が事実上続いていることを伝え、破壊された町から逃れてきたグルジア人の様子を報じている。

 ブッシュ大統領やライス国務長官の大げさな牽制発言や、ミリバンド英外相らの強硬発言とは裏腹に、今のところ米軍などがイラク派兵にも参加した「同盟国」グルジアに直接の軍事支援を行うことにはなっていない。一方、ロシアも西側の牽制に対しては鉄面皮ぶりを示しながらも、かつてソ連が50年代にハンガリー、60年代にチェコを軍事的に蹂躙したのに比べ、トビリシ軍事制圧、親ロシア政権樹立といった挙には出ていない。あたりまえといえばそうだが、メドベージェフ政権がエキセントリックな政権ではないことの証左とも言えるのではないか。

 クシュネル仏外相が、いきり立つポーランドやイギリスの外相をたしなめて「今は誰が悪いと言っているよりも、出血を止めるときだ」と言うのは当を得ており、とりあえずみなその線で踏みとどまっていると言えるだろう。

 ロシアの土産物にマトリューシカというこけし型の入れ子人形がある。大きな人形の中から、一回り小さな人形が出てきて、さらにその中に‥とどんどん小さなものが出てくる。ソ連時代は、一番大きな人形が「ソ連」で、その中に「グルジア」という人形が入っていて、さらにその中に「南オセチア」が入っていた。もうひとつ「ソ連」の中に「ロシア」が入っていて、そのなかに「北オセチア」が入っているマトリューシカもあって、オセチアはその時から南北に泣き別れになって別の人形に入っていたけれども、何せソ連というタガがしっかりはまっていたし、グルジアはソ連の独裁者だったスターリン、ゴルバチョフ政権のシェワルナゼ外相の出身国だったこともあって「ロシア」と「グルジア」の関係も、内実はともかく矛盾が表面化しにくい関係にあった。

 この比喩で言えば、今は別のマトリューシカに入っている南北オセチアが一つになりたいということで、しかも、これはどうもロシアの工作もあって全体として「南オセチアがグルジアのマトリューシカを出て、ロシアのマトリューシカに移りたい」という話しになりかけているから、グルジア政府やグルジアのナショナリストたちにとっては、同じグルジア内のアブハジア自治州の問題もあるし、これは決して容認できないという対立になっているわけだ。

 ソ連が崩壊する中でグルジアは独立を果たした。グルジアの人々の中には「ロシアはもうこりごりだ。これからはアメリカの同盟国となって自由で豊かな国になるのだ」と言う人たちがいて、サーカシビリ大統領や議会の多数派はそうした人々を代表している。一方で、おそらく「同じ国だったんだし、グルジア正教とロシア正教で、古くからビザンツ帝国の仲間じゃないか」という親ロシア派もいるのだろう。そしてどの国とも同じで、本音を言うとどっちに付くかより生活第一という人がその真ん中で一番の多数派なのではないか。ただ、いまのグルジアは郵政民営化熱に浮かされて判断停止していた時のわが国のように、反ロシア派が一時的に大多数を占めているのかもしれない。

 クシュネル仏外相が今はどちらが悪いと言うときではないというのは正しいが、敢えて分析的に言えば、8月8日に南オセチアに先制軍事攻撃を仕掛けたのはグルジア軍だ。南オセチアの市民に1,000人以上の死者が出て、駐留していたロシアの平和維持部隊にも犠牲者が出ている。

 もちろん、わが国がかつて中国東北部(旧満州)を軍事占領するきっかけを作るために、二度までも自らの手で鉄道爆破事件を起こしたように、ロシアの情報機関がグルジアに「先制攻撃」を起こさせるような挑発を工作したり、グルジア軍に工作員を送り込んでいる可能性はあるけれども、いかんせんわが国の真珠湾攻撃と同様に本来「先制攻撃」というのは劣勢になったときの責任論で分が悪い。

 さはさりながら、ロシア軍が報復と称して南オセチアの範囲を越えてグルジア領内に侵攻し、いくつかの町を徹底的に破壊したり、逃げてきた人の口から「若い人々が人質にとられた。女性たちがどういう扱いを受けているかはわからない」という話を聞くと、ロシア当局にも軍や、武装勢力に対する手綱はしっかり握っていてもらはなければ困るぞと切に思う。

 ブッシュ大統領が「グルジアには選挙で選ばれた唯一の政府がある」と強調している。それはその通りだが、パレスチナの選挙でも、ずっと前のアルジェリアの選挙でもアメリカに都合の悪い勢力が選挙で勝ったときには選挙はなかったような顔をする彼らのやり方を知っているだけにしらける面もある。BBCのレポーターもこれには説教くさいと言っていた。マケイン大統領候補が「ロシアをG8のメンバ-にしておいていいのか」というのは先走りで、票目当ての悪しき発言だ。

 これは森田の感想だが、サーカシビリ大統領は若く颯爽としているが、アメリカとの連携にのめり込み、虎の威を借るキツネのようにロシアを挑発する姿勢は賢明なものとは思えない。EUが停戦調停に当たるときに提案した「南オセチアの将来の地位については話し合いで」という一項は頑なに拒否したという。ロシアからの自由を叫ぶ一方で、オセチア人はずっと俺の言うことを聞けと言うのではダブルスタンダードと言われよう。

 アメリカの政権が「有志連合」などと言って「俺の言うことを聞く者だけには特に目をかけてやる」という外交姿勢だったことが今回の事態の根底にある。アメリカに国際協調派の政権が出来て、21世紀初頭の十年弱の軌道を修正する。オセチア問題、グルジア問題の解決はそこからようやく始まるのではないだろうか。

 わが国においても民主党などによって、ブッシュのポチになって尻尾を振って喜んでいた小泉・安倍政権の「米単独行動追従主義」と福田政権の全く不十分な修正に変わる、日本外交のフレッシュな路線が打ち出されることが切に望まれる。

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2008年8月13日 (水)

チャン・イーモウ監督演出の北京オリンピック開会式の政治的メッセージ

 8月9日の北京オリンピック開会式。家人が「すごい」と騒いでいたが仕事の都合で翌日録画を見る。チャン・イーモウ監督の演出は、歴史を前面に打ち出してスケールが大きく、映像技術を駆使し話題になった「絵巻」や五輪マークが空中に浮かんでゆく装置など表現技術も見事だった。緩急、静寂の対比させた構成や音楽の使い方もバランス良くまとまっていた。

 感じたのは「芸術」「文化」の持つ力だ。正直言って「金メダルをこんなにたくさんとった」と言われても、「そうですか?どうもそういうことを強調するのは途上国型、全体主義型のマインドですよね」と皮肉が言いたくなる。「こんなに世界中の首脳を集めました」と言われても、「僕は中国の話なら全部ケチをつける手合いとは違いますが、やっぱり民主主義とか、人権とかいろいろありますから、『政治』がテーマでは、なかなか中国さすがだねという気分じゃないですよね」ということだ。

 これに対して、あの開会式がもたらした感動については「さすが中国」という思いが素直に出る。もちろん、古典文明をモチーフにしながらも、チャン監督の表現技法はハリウッドなどに学んだ普遍的なものである要素が強いのだろうし、だからこそ多くの人が感銘を受けたのだろうが、いずれにせよチャン監督は結果を出した。

 興味があるのは、このイベントの内容について、中国共産党指導部がどれくらいチャン・イーモー監督の裁量権を認めていたのかということだ。NHKで見たBBCのスポーツ担当記者も「この開会式には、一人の人物の姿がありませんでした。毛沢東です」と言っていた。若宮啓文氏もコラムで「革命」の姿がなかったと書いた。森田自身は、実は歴史がテーマになると聞いたとき悪役で日本軍国主義が登場し、八路軍に叩きのめされるのではないかと心配していたので胸をなで下ろしたくらいなのだ。

 アヘン戦争を描くのではなく、サラ・ブライトマンを中国歌手とデュエットさせ、日本軍国主義も出てこない歴史絵巻。そこには「和」という漢字が3つの時代の字体で順に大きく浮かび上がった。チャン・イーモウ監督のイニシアチブだろうが、中国共産党指導部や宣伝部門の承認なくして不可能であったに違いないイベントのパフォーマンス。ここにどれくらい政治的メッセージが含まれているのか、それとも国民レベルの脱イデオロギーの反映なのか。

 開会式の翌日、TBSのサタデー・ズバットで葉千栄氏が、中国のいろいろな問題点、まだまだ遅れている点を批判することも必要だが、30年前の中国からすれば、この開会式に見るように、考えられないくらいの変化があった。この変化は、日本にとっても良い方向の変化だったのであり、そうした変化の方向性と大きさを評価する視点がもっとあって良いのではないかという趣旨の話をしていた。共感をもって聞いた。

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2008年8月 7日 (木)

早野透氏と宮崎哲弥氏の福田内閣改造評

福田内閣の改造に対する評価について、森田と同様な見方に接することがないなと思っていたところ、朝日ニュースターの『ニュースの深層』で朝日新聞編集委員の早野透氏とキャスターの宮崎氏が森田と同様な見解を述べていた。

早野氏らは「麻生氏取り込み」を中心に、「なかなかやる」「手強い」という評価だった。宮崎氏は「増税シフトと見る向きが多いが、私は財政出動型になるのではないか」と言うのに対し早野氏は「いや、福田さんはなかなか頑固なので、そこはそうならずに『バラマキでない対策を』ということになる」と言う見解だった。

いずれにせよ、福田政権の下で自民党は「今は歳出削減一辺倒ではなく、景気や弱者に目配りを」ということになり、自民党政権と野党・民主党が同じような方向を向いていることになるというサブキャスターの分析に両氏も賛同していた。

民主党にとって大事なことは、自民党が「小泉竹中路線」からオーソドックスな線に戻ってきたことに対し、違いを際だたせるために「もっと小泉竹中型改革を」という方向に走ってはならないということだ。自民党の方向転換は、世界の潮流、日本の現実からして必然的なものだ。

民主党は堂々と「自民党政権の若い労働者を切り捨て、福祉を削る路線は間違いであり、福田政権の転換は全く不十分なものだ」という、やや社民路線よりのリベラル路線から政権批判を展開して欲しい。

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2008年8月 6日 (水)

63年目の広島平和記念式典

朝、広島の式典の中継を見る。中国から大阪の領事館の女性領事が初めて出席する様子が映し出されていた。

朝日の社説、毎日の「余録」などにもあるように、あのアメリカで「核軍縮」について風向きが変わりつつあるという。一昨年のキッシンジャー氏らの「核全廃」に向けての行動の呼びかけ、昨年、東京でも公開されたスティープン・オカザキ監督の『ヒロシマ・ナガサキ』もケーブルテレビで多くの人々に見られたという。先日のNHKの放送でも、ブッシュの地元・テキサス州の高校の先生が授業でこの映画を取り上げた様子を紹介していた。

昨夏、ワシントンでクリントン政権で国防次官補だったキャンベル氏と会った人が言っていたが、米印核協定に関連して核軍縮について聞くと「核兵器というものは、全く意味がない」と断言したそうだ。日本風に言えば「防衛族」のキャンベル氏だけに「60年前と違って、ハイテクの極めて精度の高い誘導装置と、爆発力の強い爆薬を使えば、広島に落とした原爆程度の攻撃の成果は(何十万人の市民の生命を奪うということを除けば)通常兵器で挙げることが出来る。軍需産業もそれで充分儲けることができる」というリアリズムからなのだろうが、とにかく民主党系とはいえワシントンDCに事務所を構える現実派にもそんな声があるのだ。

秋葉市長の平和宣言に、9月のG8下院議長会議に言及があった。ペロシ下院議長はバリバリのリベラル派だが、アメリカのハイレベルの政治家の広島入りは戦後初めてのことだ。彼女が何を感じ、どのようなメッセージを出すのかに注目したい。日本の左右メディアからは「原爆投下を謝罪するか」という紋切り型の質問が出るだろう。そこは大統領選挙への影響を考えて=どこの国にも頭の悪い右翼はいつぱいいるから=クリントン前大統領と同様「謝罪はしない」という発言になるだろうが、今回はとにかく彼女が広島に足を運ぶこと自体に、これからにつながる価値があると思う。

次期大統領がCTBT(包括的核実験禁止条約)の批准を目指す政策転換をし、次期上院がこれを承認すれば、平和・軍縮にとり大きな転換になる。転換というより、冷戦後の正しい軌道への回帰ということになる。月末の民主党大会で議長を務めてオバマ大統領候補指名を宣言し、レイバーデーの3連休を利用して議長専用機で飛来するペロシ議長が、こうした点でも何かメッセージが出すのかにも注目したい。

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2008年8月 5日 (火)

福田内閣改造への感想

8月1日に福田内閣の改造が行われた。翌日のテレビで竹中平蔵氏が最悪の人事といわんばかりにキャンキャン吠えていたことでわかるように、「小泉構造改革」だの「上げ潮」などのブードゥー・エコノミックス派を一掃したことにポイントがあると思う。幹事長就任を懇請した麻生氏の意向があったかもしれないが、財政経済担当相への与謝野氏起用がこの改造のポイントだ。

お偉い官房長官の留任は残念だが、高村外相、増田総務相、舛添厚労相の留任、前党三役の入閣は「人気」「目先の変化」を犠牲にするかわりに、手堅さ、落ち着いた印象を与えている。

経済政策は少しはまともなものになるだろう。最低賃金に関連して与謝野氏が今日の閣議後の会見で「人を安く使おうという精神は、いい精神ではなく、賃金は市場価値で決まるとはわたしは思っていない」と言ってそうだ。その通りだ。早く諮問会議の八代尚宏のクビを切って正常化を印象づけて欲しい。

内閣はよい顔ぶれになったが、恐慌一歩手前のアメリカなど世界経済情勢の悪化で、外部要件に恵まれていた小泉・安倍政権が「労働市場の自由化」と称して正規雇用を減らして「見かけ上の生産性」を高めただけで、日本経済・社会に本当に必要な政策を何一つとってこなかったツケがまわり、この内閣も今年後半から来年にかけての戦後最悪とも予想される不況にうまく対処することはできないだろう。また、やっぱり麻生幹事長、町村官房長官続投では、近隣諸国との外交も大きな火種を抱えていくことになる。

改造内閣の顔ぶれについてのいろいろな人のコメントには、トンチンカンなものが多いと言える。政治評論家と称するものの中にも、芸能評論家などが「このキャラで支持率上がりますかね」といった程度の話をする者が多い。有馬清海などという人がいるが、こうした人のどうでもいいようなつまらないコメントを掲載していてはメディアもレベルを疑われる。

民主党の長老、渡部恒三氏は改造内閣の顔ぶれについて「自民党のオールスター」と言っているそうだが、これは森田の見方と一致する。そして、渡部氏は「自民党最後の内閣」とも言っておられるが、これにも森田は同感だ。民主党は総選挙の準備と共に、民主党中心の内閣の外相、財政経済担当相、厚労相、財務相、総務相くらいの顔ぶれと「最初の100日」の計画ぐらいは固めておいて欲しい。

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2008年7月18日 (金)

ロシアが四川大地震の被災学童1,000人をウラジオストックなどに招待

 NHK・BS1の2008年7月18日未明から朝にかけての枠で放送された中国中央電子台およびロシアRTRのテレビニュースで、中国の四川大地震の被災地の学童1,000人あまりがロシア政府の招待でウラジオストックやノボシビリスク州のキャンプ地への3週間ほどの滞在に招待され、17日に出発したという映像を流していた。

 内陸の四川省や陝西省、甘粛省出身の子どもたちは、海を見るのは初めてという子どもたちも多いそうで、張り切って飛行機に乗り込む子どもたちの明るい表情を見てほっとした。ロシア側も「中国料理を用意しているし、水温も海水浴にちょうど良い」と張り切っていた。

 これは良いニュースであると思うと同時に、ロシアもなかなかやるなと思った。ソ連崩壊後の極東アジアは経済停滞やインフラの老朽化などのイメージが強く、廃船になった原子力潜水艦の解体などは日本が資金面でずいぶん協力した。それが、ブッシュ政権のイラク戦争開始も関わるロシア経済の絶好調と、プーチン~メドヴェージェフ政権のAPECのウラジオストック誘致や極東ガスパイプラインの推進など、ロシアは「極東」地区を大いにてこ入れしているわけだが、このニュースは金額としてはそれほど大きな話してないにしても、そうした流れの中でのニュースであるとも受け取れる。

 「ロシアが中国の子どもを大事にするのはあたりまえではないか、ロシアだの中国だのはもともと仲間。ロシア・中国・中央アジアによる『上海協力機構』に見られるように、日米同盟とは別の側だ」という見方をする人がいるかもしれないが、その点、森田のこれまでの経験に基づく見方は異なる。中国のある知識レベルの人の外交面での日本に対する評価を一言で言えば「でも結局はアメリカに従うんでしょ」というものであるとするならば、中国のロシア観を一言で言えば「油断できない」というものだ。

 小さな行事だし、「宣伝」と言えばそれまでかもしれないが、ロシアは極東における中国の対ロシア観を改善する機会をうまく捉えたと思う。ロシアの東アジア政策にプラスになるだろう。それにひき換え、わが日本の政府は、対中国にせよ、対ロシアにせよ、何もよい知恵を出していない。それどころか、何の必然性もないタイミングで「竹島問題」を持ち出して、日韓関係を極端に悪化させることで外交の足下を自ら崩している。

 洞爺湖サミットにはやたらカネもつぎ込み、プレーアップに努めたけれども、自民党政権には外交に関して本当の意味での「やる気」が感じられない。

 四川の子どもたちのために日本政府も今からでも何か考えたらどうか。政府がダメなら、自治体や企業でもいいから。

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2008年7月14日 (月)

「竹島」明記の愚

 福田内閣が、竹島(韓国名・独島)がわが国固有の領土であると中学校の学習指導要領の解説書に初めて明記する方針を固め、文言の最終調整に入ったと報じられている。日本では小泉内閣が過去に遠のき、韓国では李明博政権が誕生したことで改善ムードだった日韓関係はこれでたいへんなことになるだろう。

 「固有の領土である」ということがわが国の主張であるというのは、国際法という「法律」の世界の話であり、そんな話をわざわざ持ち出すというのは、韓国から見れば「島根県編入」のいきさつそのものが日本による植民地化の序曲であったと位置づけられているという「現実」「政治」を無視した最悪の愚挙であると思う。

 誰が起案し、誰が承認したのか。つまり誰に責任があるのか、野党とメディアは徹底的に追及して国民の前に真相を明らかにして欲しい。福田内閣は行政文書の管理に関心があるというが、それくらい追いかけられるようでないと話にならないということは確認しておきたい。

 そもそも「固有の領土」という概念自身、見方によってはあやふやなものだ。中学生に教えるべきは、イデオロギーとも言うべきわが国の一方的な見解ではなく、「係争」「対立」が存在するという現実だろう。

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2008年6月10日 (火)

党首討論とりやめ

小沢党首はなぜ党首討論に立とうとしないのか。国民に説明しない首相はいやだ。やはり政権交替には民主党の党首チェンジが必要なのではないか。

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2008年6月 5日 (木)

オバマ候補指名確実に=「反論理」の時代の終わりのはじまり=

 オバマ氏が米民主党の大統領候補になることが事実上確定した。イラク戦争、温暖化問題や核軍縮問題への真剣な取り組み拒絶、社会保障軽視など、長く続いた21世紀初頭の「反論理」の時代がようやく終わりを告げる転機となろう。

 ヒラリー候補との泥仕合化で、やや光明に翳りがあるような印象であり「党の亀裂修復、白人労働者層対策、女性票対策」などからヒラリー候補の副大統領候補指名を考えるのか、それとも「当選後の仕事のやりやすさ、古い政治との決別を優先」して違う副大統領候補を選ぶのかというのも悩ましい選択だが、いずれにせよオバマ氏の候補者決定についてNHK・BS1で見るABCの報道も「歴史的」を繰り返していた。

 「反論理」が世界を席巻した原因には、ビル・クリントン政権時代の倫理退嬰への反動、9・11などがあるが、歴史の分岐点はブッシュ対ゴアの2000年大統領選のフロリダに見るように、「紙一重」が運命を分けることがある。

 わが国でも、あいかわらず「上げ潮」だの、「地上部隊派遣ならアフガニスタンに自衛隊を出すのに民主党も賛成するだろう」、「資源値上がりは投機が原因ではない。フリードマンが言っていたではないか」といった反論理の言説がまかり通っている。

 まだ森田ごときにもやることがあるぞ。とオバマ候補確定のニュースを聞いて思った。

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2008年6月 4日 (水)

「アフリカ大使に課長クラス起用を」-鈴木宗男氏の説になるほどと思う

 先週の朝日ニュースター『ニュースの深層』で、上杉隆氏がアフリカをテーマに鈴木宗男代議士を呼んで話を聞いていた。泥棒にも三分の理と言うが、この最も腐敗した、品位のない代議士の話にも、いくつか耳を傾ける点があった。

 一つあげると、わが国のアフリカ駐在の特命全権大使が外交官の「上がりポスト」になっていて、大使たちも仕事よりも蓄財ばかりに熱心になっているので、ここには外務省の課長クラスの若い人材を大使として起用してはどうかと言うのだ。アフリカなど途上国との関係は「長くつきあうことが大事」であり、若い外交官も、こうした赴任で実績を上げれば本省に戻って出世のチャンスにつながるということにすれば、大いにやる気を引き出せると言うのだ。

 これは一理ある。6カ国協議のヒル米国務次官補が駐韓国大使を経験しているのは、今の仕事にたいへん活きていると思うし、ああいう人材が大使をやっていたことは、たとえば光州の5・18慰霊碑への献花といった形で、深いところで米韓関係にもプラスを生み出している。

 それにしても、あの鈴木宗男氏がご立派なことばかり述べるのを聞かされるのはなあ、と思って見ていたら、サブ司会者の重信メイさん=あの重信房子さんのお嬢さんだそうだ=が、アフリカはどの国も「腐敗」の問題がひどい。この腐敗の構造の中に入らないとなかなか実績が上げられないという現実があるが、そのような中で腐敗に巻き込まれずに日本外交が援助などで実績を上げるにはどうしたらいいと思うかと鈴木氏に尋ねていた。それも嫌みな感じでなく。いい質問でした。

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2008年6月 3日 (火)

福田首相の3つの「決断」

 「クラスター爆弾禁止」条約への賛成、「公務員制度改革法案」の成立に向けての民主党案への妥協指示。この二つについて福田首相がそれなりに指導力を発揮したと多くの人が評価していることと思う。森田はこの二つに、あと一つ良くない内容だが「宇宙基本法」成立を併せ3つの決断として記憶したい。

 福田総理は「テロ特措法」という、アメリカでも普通の人は誰も知らない法律、予算と表裏一体ながら、予算と違って衆院だけでは決められない新年度の税制法案という大きなテーマについて「衆院3分の2の再議決で、参院の否決や審議未了を覆す」という乱暴な手法を連続し、その他の政策課題についても鮮やかなカラーを打ち出すことがなかった。小泉政権が決めた「後期高齢者医療制度」、安倍政権による「与党の参院過半数喪失」というこれまでの政権の負の遺産に悩まされ、じり貧の感じが漂っていた。

 クラスター爆弾については、対人地雷の時の小渕外相の決断の前例があり、福田さんは世界政治について小泉氏や安倍氏とは違って基本的なリテラシーがある人なので、この決着には必ずしも驚かなかったが、正直言って「公務員制度改革法」の成立には正直言ってかなり驚いた。

 霞ヶ関のお役人たちはもちろん反対。族議員タイプの政治家たち、つまり自民党の大半の政治家も反対。福田さん自身も、政治手法ということについては戦後自民党の伝統的な手法の中でワザを発揮する方向に関心があり、「改革」といったことに関心があるとは思えなかったからだ。

 これだけ支持率が下がれば、何か前向きのことをしなければということだったのだろうが、「官僚の政治家との接触は文書で記録に残す」「幹部人事を各省任せにせず内閣でコントロール」といったことは、将来の政権・与党がまじめに運営していけば政治行政の姿を良い方向に変えていく可能性があると思う。しかし、法案の中味以上に重要なのは「昨年夏の参院選の結果が本当にはわかっていないのではないか」と言われ続けた福田首相が「野党と譲り合うことだけが政治を前に進め、また自らの生き残りの可能性を作り出す」ということを体感したであろうことだ。

 「宇宙基本法」は別の次元で福田首相の危険なリーダーシップが発揮された。いくつかの社説が指摘しているように、この法律は「宇宙の平和利用」を求める国会決議と矛盾する内容だ。もちろん、国会決議など事実上紙切れに過ぎず、問題は「法律」なのだが、この法律は森田の見るところ、軍事衛星についてか、あるいはミサイル防衛についての、福田総理の信念に基づくわが国の「軍事力」増強を指向したものであるように思う。

 これについて福田首相はマスメディアに反対キャンペーンを張らせるいとまも与えずに衆院民主党を抱き込んで殆ど審議抜きで、ハト派であるはずの河野洋平氏が議長を務める衆院を通過させ、参院民主党もあっという間に賛成して成立させてしまった。

 民主党は参院での問責決議可決という荒技を早期に繰り出すことを抑制し、「安倍内閣」まがいの新「右」内閣への交代を招いていないことは賢明だと思う。しかし、福田氏が「この国会構成の中での法案の成立させ方」に習熟していくとするなら、民主党の「右」がこれに寄り添っていくと、やっぱり「右」の路線が進んでいくように思う。

 福田さんは、安倍氏や、安倍のような人々よりは常識的でましだ。でも、お里を訪ねれば、やはり岸信介ら戦前からの流れを汲む清和会の人であることも間違いない。社民党や日本共産党はそこに厳しいチェックを入れるべきであると思うし、与党や民主党の中で「右」に警戒する人々も、低空飛行ながら巡航軌道に乗りつつあるように見える福田さんが、「与野党協議」を動かす中で、民主党内の「右」をうまく使いながら、結果として安倍晋三氏以上に「右」の足場を固めていこうとすることには注意が必要だ。週刊朝日も言っていたが、戦後、平和の党と自ら名乗っていた公明党の役割も大きいと思う。

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2008年6月 2日 (月)

コメ減反とりやめるべきか?

週末の注目発言は、世界的な食料価格の高騰を受けて「コメ減反政策をやめ、増産を図るべきである」という町村官房長官の発言と、それに対する加藤紘一元幹事長の「コメは余っている。自給率アップには大豆や小麦を作ることが大事だ」という批判だ。

どちらの意見が正しいのか。データの裏付けを得ながら、おいおい勉強しなければならないが、現段階の印象としては「減反とりやめ」策にもそれなりの理屈があると思う。

「減反取りやめ」策は、政府筋の話しとしてすでに人づてに聞いたことがあった。その説に沿って言うと、減反をやめるとどうなるか。コメはいちだんと供給が増え価格が下がる。このこと自体消費者に朗報だが、同時に国際的なコメ価格上昇で縮小傾向にある内外価格差がかなり縮む。その結果、今のような国際的に極端な高価格にある現状でも、アジアの富裕層向けに売れている日本産のコメの国際競争力は高まる。

コメの価格が下がれば、農家の収入が減るという問題がある。わが国の環境、生態系、農村部の景観を守るためには、農家を支えるためには民主党の主張するような財政支出が必要になるが、減反政策をやめることで現在そのために支出している補助金は必要なくなる。農水省関係者の試算では、必要な新しい補助金の金額は、現在の補助金より少なくて済むという。

町村官房長官の主張が「小泉構造改革」と同様のインチキ話なのか、それとも加藤紘一氏の方が、現在の利権構造と保守的な心情に寄りかかった政局がらみの「ああいえばこういう」類のことなのか。いずれにせよ、農政の方向性については集中した再検討が必要だ。各政党も、国民に選択肢と自らの方向性を示すべきだ。

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2008年5月30日 (金)

「自衛隊機中国派遣見送り」の報に

「中国が自衛隊機派遣要請」という見出しをみて、「ぜひ派遣すべし」とフライングで感想を述べてしまったが、結局は派遣見送りだそうだ。

たしかに日本海軍による重慶爆撃は、ゲルニカや広島・長崎に先立つ、無差別都市空爆の世界史における嚆矢であったという指摘もあるわけで、町村官房長官ばかりでなく、森田自身も、そこまで一気に乗り越えることができるような期待を持った不明は恥じなければならないと思う。

とにかく、今は自衛隊派遣の可否などはサイドストーリーに過ぎないので、中国のニーズにどうすれば最大限に応えることが出来るかに意識を集中すべきだろう。

それにしても、自民党の一部に「中国は失礼だ」といったもの言いが聞かれるというのは呆れてしまう。相手の悪口を言うよりも、例えばアメリカの軍用機は、かつてはユーゴの中国大使館誤爆事件や偵察機の強制着陸事件などもあった米中の軍同士の関係を乗り越えて、すでに救援物資を運んでとっくに中国に飛んでいるという現実を直視すべきだ。

つまり、残念がるなら「ぜひ来てください」と言ってもらえるような信頼関係を構築できていないことを残念がるべきなのだ。小泉首相の靖国参拝で、アメリカが米中関係の信頼構築に努めた5年間を、わが国は空費してしまったことのツケがまわってきているだけの話と考えるべきだ。とにかく、繰り返しだが、今はそんなことより何をすべきか、何が出来るかに集中すべきだろう。

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2008年5月28日 (水)

中国の「自衛隊機派遣」要請に驚く

第一報を聞いて驚いた段階での感想だが、まず結論から言えば、飛べる輸送機とヘリコプターを全部提供してでも要請に応じるべきだと思う。

驚いたのは、阪神大震災の時のわが国と同様に、外国の援助受け入れには全く不慣れであるように見受けられ、また日本の「軍」だの日の丸には強いアレルギーがあるに違いないと思いこんでいた中国から、日本の「軍」用機の派遣要請があったことだ。

背景には、おそらく中曽根元首相のような人々から中国政府に売り込みがあったのではないかと想像する。そう言えば、空自のOBでイギリスの危機管理会社の顧問として中国に駐在している人がいるという話を聞いたこともあるので、そういった「民間」レベルの中国政府への助言もあり得ると思う。

森田は基本的に、社会の中でミリタリーの占める位置が大きくなることに賛成ではない。しかし、ここは「自衛隊のセールスマンたちに乗せられているかな」という懐疑を持ちつつも、彼らが日頃語っている「自己完結で外に出て役立てる組織は、日本では自衛隊だけ」という点に当たっている面もあると思う。実際に役に立てる可能性は大きいのではないか。

法的には「国際緊急援助隊法」といったことになるのか?とにかく名古屋高裁で違憲判決が出たような、アメリカの戦争を手伝うための海外派遣ではなく、まさしく要請を受けての災害救援派遣だ。

政府間の調整などに、なかなか大変なことはあるのかもしれないが、ニーズに最大限応える派遣が、迅速に行われることを期待したい。この問題では、ひょっとすると森田と安倍晋三氏あたりは同じ意見ということになるのだろうか。それとも、中国に軍事機密が漏れるから慎重にと言うのだろうか。

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2008年5月23日 (金)

(メモ)最近の政治経済情勢に関わって

最近の政治経済情勢に関わって、思い浮かぶままに(一部、最近の発言と重複)

1. 「ねじれ国会」「胡錦涛主席来日」、また洞爺湖サミツトに向けての「温暖化対策」  など話題が多いわけですが、国際情勢を考えても、また国内の問題を考えても「21世紀に入ってから10年近くのわれわれがとってきた進路というものが、概ね正しいものだったのか、それとも、ある程度軌道修正といいますか、基本的な考え方を再検討した方がいいのか」ということを少し考えてみたいと思います。

2. いま食料が大幅に値上がりしています。パンもバターも牛乳も1割も2割も値上が  りしているということで、裕福なご家庭はいいかもしれませんが、月々はトントンとか、ボーナス頼みで月々の赤字を埋めて暮らしているといったお宅はたいへんです。世界中で穀物価格が上昇している。途上国の貧しい人々にとっては、それは飢え死にの危機を意味しています。穀物価格上昇の理由は複合的なものである言われています。

① まず、小麦の大産地であるオーストラリアが2年連続で干魃に見舞われたことが供給不足を招いたということが言われています。気象異変は世界的規模で、これも二酸化炭素排出による「温暖化」と関係があると言われます。

② さらに、中国やインドなどこれまで貧しかった国々がだんだん豊かな社会になって、これまで穀物を食べていた人々が肉を買って食べるようになった。そのことは結構なことなのですが、急速に伸びる食肉の需要を満たすためには、家畜のエサとなる資料穀物が大量に必要になってくる。

③ それに輪をかけて、「バイオエネルギー」の推進ということが穀物の値上がりに輪をかけることになりました。温暖化は科学的に証明されていないなどと言っていたブッシュ政権が、中間選挙での敗北や、ゴア元副大統領のキャンペーンが有権者の支持を受けていることを見て突然方向転換し、温暖化対策に熱を入れたわけですが、これでアメリカの農家はその方がずっと儲かるということで、今まで日本の醤油や豆腐のために作っていた大豆を燃料用のトウモロコシに切り替えるといったことが起こり、これまで作られていたトウモロコシも燃料用にまわされて値段が上がり、これまでトウモロコシを食べていたような豊かではない人々が、これはアメリカ大陸だけではなくて世界的に、食料が手に入らなくなって飢えるようにさえなってしまった。これを受けて、バイオエネルギーを推進するとしていたヨーロッパではEUなどもその政策を見直そうという動きを見せています。

④ さらに、これに輪をかけているのが「投機的なマネーの動き」というものです。アメリカの住宅バブル崩壊で株式市場などにも影が差す。石油の値上がりも激しいけれども、これはもう値上がりしすぎで、これ以上これに注ぎ込んでもあまり儲からないかもしれないと言っているところに、穀物価格が急上昇をはじめて、これがどっと流れ込むということが起こった。アメリカを始めとする先進国の金融政策の不備、投機マネーを野放しにしていることなども原因になっているのです。

 こうして見渡してみると、一見別々のことのように見える「環境問題」、「中国・インドの台頭と世界経済」、「エネルギー政策」、「食料・農業問題」、「経済政策」、「国際金融」といったものが複合的にからみあっていることが分かります。逆に言えば、今の世界は「環境問題」なら環境問題、「金融政策」なら金融政策といったように、個々の政策を行き当たりばったりに、あるいは特定の業界の声だけに耳を傾けて政策を決めていてはうまくいかない。いろいろなことを、それぞれの連関も視野に入れながら、総合的に企画していくということが重要になってきていることがわかります。

洞爺湖サミットにおいても、おそらくそういった方向で議論が行われるのではないかという気がします。われわれも、こういった問題を総合的にどう組み立てて、国益を守り、国民生活を守っていくのかということを、もう一度しっかり考え直す必要がありそうです。

3. 食料と並んで値上がりが激しいのがエネルギー価格です。これも、一部では「中国  やインドが大量に使うようになったので」ということが主な理由として言われますが、一方で「現状では、実際の需要をまかなうだけの石油生産は行われている」とも言われており、やはり「投機マネー」の動きなどの要因を指摘しなければなりません。

さらに、石油については食料の話しと違って「戦争」という要因を重視しなければならないと思います。端的に言って「イラク戦争」の問題です。ブッシュ政権は、ある意味で国際社会の多数派の意見を押し切ってイラクの問題を戦争で解決しようとした。わが国も、小泉政権の時代ですけれどもこれを「支持する」と表明した。

憲法第9条を持つ国として、国際紛争を戦争で解決しようというのを「支持する」 というのはスジとしておかしいというのが私が言っていたことですが、そのことを置いておくとして、イラクに対して戦争をしかけた結果どうなったか、今どうなっているかということを考えてみますと、イラクの情勢はご承知のようなことですし、イランの問題、レバノンの問題、アフガニスタンの問題など、そしていま必死で取り繕っているパレスチナの問題など、端的に言って中東情勢は収拾のつかない様相を呈していて、これが原油高の大きな背景にあることは言うまでもないことなのです。さらに、アメリカの中東や世界におけるリーダーシップは後退する結果を招いているわけです。

わが国やアメリカの中東をよく知る人々はこうした状況を的確に予測していましたので、そういう専門家の意見を無視して開戦を支持するということが良かったのかどうか、よく反省する必要があります。「世界を民主化する」という理想は良いのですが、政治は「結果」ですから、よい理想を掲げていればどんな結果を招いても免罪されるというものではありません。

4. 4月にイラクへの自衛隊派遣について名古屋高裁が「違憲」判決を出すということ  がありました。ひとつには、航空自衛隊が活動しているバクダットの空港は戦闘地域なのだから、憲法という以前に「イラク特措法」違反ではないかということでした。さらに、輸送機で米軍の兵員や武器弾薬を運ぶのは、まさしく国際紛争を武力で解決しようとする人々の活動と一体であり、国際紛争解決の手段としての戦争を放棄している憲法第9条に違反するというものでした。

この判決とその後の政界などの反応については、二つ言わなければならないことがあります。一つは、政府与党に「この判決の憲法判断は判決の主文でない、傍論なのだから」とことさら軽視するような意見が目立つことです。私は、こういった姿勢は、憲法の権力の相互抑制を重視する考え方から言って望ましいものだとは思いません。「権力の相互抑制機能の作動」として、司法府から「違憲」との判断が示されたわけですから、少なくとも「司法の判断として、重く受け止め、立法や法の運用に憲法の趣旨に反することがないか、あらためてよく再検討してみたいと思います」と謙虚な立場を示すのが本来とるべき姿勢ではないかと私は思います。もちろん、「傍論である」という指摘自体はその通りであり、この判決が司法全体の意思決定というわけではないわけですが、しかし基本姿勢としてはそのようであるべきだと思うわけです。

自衛隊についての、戦後のこれまでの議論を大くくりにしますと、まず第一段階としては、社会党などに異論がありながらも「戦争放棄の憲法は、侵略に対する自衛権や自衛隊の保持は認めている」という線が、戦後の自民党政権の一貫した姿勢でした。

そして冷戦終焉後、第二段階として「国連の活動、しかも紛争解決のための武力行使ではなく、例えば停戦している二つの勢力の間に割って入るといった活動は、多少危険だけれども国際社会の一員としてやるべきだ」というのが、宮沢内閣の時に成立した国連PKO協力法でした。ここまでは、国民合意も成熟してきているのではないかと思います。    

第三段階は、橋本内閣、小渕内閣がクリントン政権との間で進めた、いわゆる「周辺事態」の話しで、安保条約を結んでいるアメリカ軍をいざという時は手伝える範囲を広げましょうという話しでした。後藤田正晴さんなどもそうでしたが、私はここのところは慎重に考えるべきと考えていました。またこの内容は安保条約そのものには含まれていないもので、国内法としては整えられているけれども、アメリカとの約束という面では「国会で批准された条約改正」という手続きを踏んだものではありません。

私の見るところ小泉政権の「イラク戦争支持」と自衛隊のイラク派遣は、法律としては整えられているけれども、この第三段階をも飛び越えて「武力で紛争を解決しようとするアメリカを、兵員弾薬輸送で手伝う」というところまで飛躍してしまっているように思うのです。    ですから、私はこの判決もひとつの薬として、アメリカもマケイン氏が大統領になるにせよ、オバマ氏が大統領になるにせよ、とにかくブッシュ政権は終わって仕切り直しになるわけですから、わが国も一度頭を冷やして、憲法と自衛隊といった基本的な問題についても一度しっかり整理し直した方がいいのではないかと思います。

なお、判決をめぐって航空自衛隊の最高幹部が「そんなの関係ねえ」と発言したと伝えられましたが、これは言語道断のことであり、ほんのひと世代前の経験に鑑みましても、軍事力を持った集団の奢り高ぶりといったものは厳しく戒めていく必要があると思います。

5. 道路特定財源問題、あるいは後期高齢者医療問題などの弱い立場の人のセーフティーネットの問題など、いま大きな問題になっていることも、21世紀になってからわが国がとってきた路線、すなわち「構造改革」とは言うけれども、言ってみれば何でも横並びで歳出カットさえすれば良いというやり方全体をよく見直す必要を示していると思います。

ヨーロッパのような高福祉高負担では、経済成長が阻害されると言われ続けましたが、現実には例えば「一人あたりのGDP」といった指標で、つい最近ドイツやフランスに抜かれて世界18位に後退したと報じられました。日本経済がぱっとしないのと比べ、「高福祉・高負担」のフィンランドやノルウェーなど北欧諸国の経済は絶好調と言われています。

幸い、今年の秋か来年には総選挙が行われます。自民党も、民主党も、国会での抗争や、党内政局にばかりかまけることなく、21世紀初頭のわが国と世界の歩みをよく再検証し、国民に「これからの日本の進路はこれだ」という路線をしっかり整理して打ち出してもらいたいと思います。

                                                 以上 

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2008年5月21日 (水)

クラスター爆弾国際会議-NHK山澤記者のレポートに違和感

おととい5月19日(月)、ダブリンでクラスター爆弾の禁止を目指す「オスロ・プロセス」の最終合意をめざした会合が始まった。小型爆弾を多数ばらまくクラスター爆弾は、一昨年、イスラエルがレバノンに侵攻した際に使用され、戦闘が終わって軍隊が撤収したあと多数残った不発弾の事故で、多くの子どもたちが亡くなったり、手足を吹き飛ばされたりしたことで、かつての「対人地雷」と同様、人道的観点からの廃止論が高まった。

「オスロ・プロセス」は、対人地雷の時のカナダ政府の役割をノルウェー政府が買って出たもので、この「有志」のプロセスには対人地雷の時と同様に、アメリカ、ロシア、中国といった国々は参加していないが、志ある国々の政府と国際NGOが連帯して、具体的な措置を動かし、国際世論も動員することでこうした国々をも動かそうというものだ。

各紙で報じられている通り、一方ではアメリカ、ロシアなど禁止に反対でこのプロセスに参加していない国々があり、その反対にノルウェー、中南米諸国など全面廃止に積極的な国々、そしてその中間に「部分禁止」を主張する英仏独などの国々がある。

それでは、わが国、日本政府の立場がどうかと言えば、朝日新聞2008年5月20日付3面の記事では「日本や英仏独などは‥『信頼性が高く、正確なものは除外すべきだ』という立場を取る」と書いている。さらに毎日新聞の同日付は英独仏は「最新型」のみを例外とすることを主張しているのに対し、日本は現在保有するものを持ち続けることを前提に「不発率が実戦で10%以上もあるとされる現有の『改良型』の堅持を主張している。国連の軍縮関係筋は『日本の主張に同調しそうなのはフィンランドくらいだ。逆に、他の部分禁止派と全面禁止派の溝は狭まっている』」と報じている。

現段階での日本政府は、当時の小渕外相が政治決断する以前における「対人地雷」の時と同様、アメリカにおもねる外務省と、軍事力維持の面だけから廃棄に反対する防衛省が積み上げてきた、いわば霞ヶ関のお役人たちボトムアップで形成された政策を主張することに止まっている。自民党政権が長く続きすぎたせいか、そこに憲法第9条の理想などかけらも見あたらない。福田さんにも、せめて小渕さん程度の大所高所からの政治的な判断を期待したいものだ。

ところで、このことを報じた2008年5月19日放送のNHK・BS1の「今日の世界」(22:15~)において、スタジオからの原稿読み上げと字幕では、わが国が英独などとともに「全面禁止」には反対し、「部分禁止」を主張していることを紹介していたが、現地からの山澤里奈記者のレポートでは、わが国がどういう立場をとっているかという話がスッポリ抜け落ちていた。これでは極右の経営委員長とは逆の意味で「どこの国のニュース番組なの?」ということになってしまう。「合意をめざすノルウェー政府代表が部分禁止を主張しているイギリスやドイツの政府代表を訪ね、妥協点を探っている」というだけの原稿は、「日本は全面禁止に反対している」という事実の印象を、作為的に薄めようとしているのではないかと感じた。

NHKの国際部記者が、外務省の役人や自民党の一部政治家と良い関係を築いておきたいというのは処世術かもしれないが、あまりに「アメリカ政府に最大限に媚びを売り、日本国民にはそのことを最大限覆い隠しておきたい」一部外務官僚に操作されていることが見え見えで、その思惑通りの放送をしているのでは公共放送の使命を果たしていることにならないと思う。

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2008年5月19日 (月)

ハマスとも、イランとも対話を

ブッシュ大統領が中東歴訪で「ハマスは和平の障害」などと発言し、ヒズボラとも対決姿勢を示しているという。そもそも、選挙はもう少し先に延ばしたいというアッバス大統領に対し、ブッシュ政権が「早期総選挙」を無理矢理押しつけたのが、総選挙でハマスが勝利する要因の一つだったのだ。自分で原因を作っておきながらよく言ったものだ。

政権末期で「業績」を残したいために、イスラエル=パレスチナ和平問題に取り組んでいると言うのだが、いくらイランのアフマディネジャド大統領が「イスラエル抹殺」などの過激発言をしているからとは言え、イラン軍事攻撃にはっきり反対していた中央軍司令官を更迭するなど、ブッシュ=チェイニー路線は政権が終焉するまで有毒ガスを発し続けているようだ。

ネタニヤフ政権時代に一度だけイスラエルに行ったことがある。帰国するとモサドじゃないかなという感じのイスラエル大使館の人がやってきて「東エルサレムがパレスチナ国家の領域になるという考え方をイスラエルが受け入れているわけではない」と強調していたが、現地エルサレムで会った、ユダヤ教過激派のテロで亡くなったイツァーク・ラビン首相の息子さんなどは、われわれから見ても常識的な、リベラルな考え方の人だった。

イスラエル建国60年ということで、イスラエルのいろいろ立場の人々のことが新聞やテレビで紹介された。どの国にもごりごりの頭の悪い「右」は存在する。イスラエルにおいては極めて強い。でもラビン氏の子息のような、まともな人々も少なからず存在するので、こうした人との連帯の輪を広げていくことは大事だと思う。ブッシュの前には、カーター元大統領が政権の反対を押し切って、シリアでハマスの指導者と会談したと言うが、こうした「対話」以外に問題解決に近づく方法はない。

一方、イランも「核開発支持」「反米」の保守派が圧倒的に強いとは言え、一般市民のレベルでは密かに「アフマディネジャドは勘弁してほしい」という空気も根強いと言う。森田はイランと対話するというオバマ氏を支持する。

同時に、アメリカの民主党系の人も「アメリカにとってイラン問題は、実はイスラエルの安全の問題」と率直に話してくることを勘案すると、わが国としてはイランに対して「アメリカのイラン攻撃には反対。NPTの範囲内なら、核の平和利用の権利も理解する」と言った上で、「ただし『イスラエル抹殺』は過激すぎるので、そういうことを言うのはなんとか止めてほしい」と直接に働きかけることが大事ではないか。

中東1課も2課も頑張っていることは知っているけれども、カーター元大統領や、悪い方で活躍しているブッシュ大統領に比べ、日本は中東情勢において「不在」を続けているように見える。

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2008年5月18日 (日)

堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書) =”読むべき”ベストセラー=

手に入りやすいコンパクトな本でありながら、アメリカ社会の知られるべき一面を良く整理して教えてくれる良書。すでにベストセラーになっているが、いろいろな国の事情に少しでも通じておきたい人にとって、アメリカについては真っ先に読むべき本だと思う。

アメリカは徴兵制ではないのに、イラク戦争などを戦う兵員の確保が可能なのはどうしてか。それは、所得格差が大きく、軍隊の給料でもそれまでの年収の2倍になるという若者がたくさんいて、軍に入れば大学進学が可能になるという話が流布されているからだ。

堤未果さんの「ルポ貧困大国アメリカ」は、そうしたことも含め、アメリカ、の経済社会の実際の姿をケースを通じ身近なものとして理解させてくれる。森田もこれまでは「軍に入れば大学に行ける」という話を鵜呑みにしていたが、それすら詐欺まがいの話であることをこの本を読んで知った。

「借金が返せるいい仕事がある」と民間軍事会社によってイラクに送り込まれた中年アメリカ人男性が、劣化ウラン弾か何かの放射線障害らしきものに苦しみ、酷い目にだけあって帰国後も苦しんでいる話など、本当に酷い話だと思う。同じような立場で現地で戦闘により死亡した人々も多いのに、これは戦死にカウントされない。こういったことについても、アメリカの本当の姿として知られるべきだ。

格差と食生活の連関など、ABCの『ナイトライン』などを見ているような人には常識となっている話題が多いと言えるかも知れないが、とにかく高校生や大学生にはぜひ読んでみてほしい本だ。自民党の小泉・竹中「構造改革路線」はアメリカ礼賛路線と言えるが、こうした路線で企業「競争力」だけを追求する路線が何をもたらすか想像してみるべきと思う。

ベストセラーに読むべき本は実に少ない。最近の『女性の品格』といった頂き物大好きの元官僚が書いた一種の「盗作本」のことなどが話題に上ると、高校生の頃読んだバートランド・ラッセルの『幸福論』に今のベストセラーに後年読み継がれる本は全くないので、そんな本は読まずに古典を読むべきだという話が書いてあったことを思い出す。しかし、この『ルポ貧困大国アメリカ』は全く例外だ。大きな本屋のベストセラーコーナーに下らない本と一緒に並んでいてもどうか敬遠されずにお読み下さい。

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2008年5月15日 (木)

内田樹氏の「頭を冷やせ」になるほど。

東京は久しぶりに良い天気。昨日までコートを着て、事務所近くまで地下鉄を乗り継いだのに、今朝は日よけにキャップをかぶって外苑東通りをウォーキング。事務所に入ると、やはり昨日まではモーツァルトの短調のピアノコンチェルトなぞを聞いていたのに、今日はベートーヴェンの交響曲第3番『英雄』、往年のジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団の演奏CDなど久しぶりにかけてみる。

ここのところ、チベットのことで中国に対して批判というよりは誹謗中傷する連中に頭に来て、特に聖火リレーをデモで妨害する行為に対する反発から、カッカと来ていろいろ言いながら、なんとなくスッキリしない気分でいたところ『毎日新聞』2008年5月12日付夕刊で内田樹氏の「争いがとりあえず決着するために必要なのは、‥当事者の少なくとも一方が(できれば双方が)、自分の権利請求には多少無理があるかもしれないという『節度の感覚』を持つことである」「『いいから少し頭を冷やせ』というメッセージが政治的にもっとも適切である場面が存在する。そのような『大人の常識』を私たちはもう失って久しいようである」という論を見た。

いつも内田氏の議論は面白いと思うが、今度も第三の視点を出すとすればこういうことかとなるほどと思った。ただし、内田氏も「そんなことは言っていない」と言われるだろうが、森田としては21世紀に入ってからのわが国の政策の方向性の誤りについて批判し、代替プログラムを模索することを「自制する」つもりは毛頭ないけれども。

【以下は、毎日新聞2008年5月12日夕刊より内田樹論文 =『内田樹の研究室』より=】      

オリンピックの聖火リレーをめぐる騒動を眺めていて、いささか気鬱になってきた。何か「厭な感じ」がしたからである。何が厭なのか、それについて少し考えたいと思う。
 熱い鉄板に手が触れたときに、私たちは跳びすさる。「手が今熱いものに触れており、このまま放置すると火傷するので、すみやか接点から手を離すことが必要である」というふうに合理的な推論してから行動するわけではない。たいていの場合、私たちはわが身に何が起きたのかを行動の後に知る。
 聖火リレーにまつわる「厭な感じ」はそれに似ている。
 だから、この論件については、誰の言い分が正しく、誰の言い分が誤っているというような「合理的」なことは申し上げられない。それは「厭な感じ」が議論の内容ではなく、論を差し出す仕方のうちに感知されているからである。語られている政治的言説の当否は私にとっては副次的なことにすぎない。
 私が「厭な感じ」を覚えたのは、たぶんこの政治的イベントに登場してきた人たちが全員「自分の当然の権利を踏みにじられた被害者」の顔をしていたせいである。
 チベット人の人権を守ろうとする人々も、中国の穢された威信を守ろうとする人々も、聖火リレーを「大過なく」実施したい日本側の人々も、みな「被害者」の顔で登場していた。ここには「悪者」を告発し、排除しようとする人々だけがいて、「私が悪者です」と名乗る「加害者」がどこにもいない。
 そんなの当たり前じゃないか、と言われるかも知れない。権利を主張するということは「被害者」の立場を先取することなのだから、と。
 まことに、その通りである。「本来私に帰属するはずのものが不当に奪われている。それを返せ」というのが権利請求の標準的なありようである。それで正しい。困ったことに、私はこの「正しさ」にうんざりし始めているのである。
 近代市民革命から始まって、プロレタリアの名における政治革命も、虐げられた第三世界の名における反植民地主義の戦いも、民族的威信を賭けた民族解放闘争も、つねに「被害者」の側よりする「本来私に帰属するはずの権利の奪還」として営まれてきた。
 私たちが歴史的経験から学んだことの一つは、一度被害者の立場に立つと、「正しい主張」を自制することはたいへんにむずかしいということである。
  争いがとりあえず決着するために必要なのは、万人が認める正否の裁定が下ることではない(残念ながら、そのようなものは下らない)。そうではなくて、当事者の少なくとも一方が(できれば双方が)、自分の権利請求には多少無理があるかもしれないという「節度の感覚」を持つことである。エンドレスの争いを止めたいと思うなら「とりつく島」は権利請求者の心に兆す、このわずかな自制の念しかない。
 私は自制することが「正しい」と言っているのではない(「正しい主張」を自制することは論理的にはむろん「正しくない」)。けれども、それによって争いの無限連鎖がとりあえず停止するなら、それだけでもかなりの達成ではないかと思っているのである。
 私が今回の事件を見ていて「厭な感じ」がしたのは、権利請求はできる限り大きな声で、人目を惹くようになすことが「正しい」という考え方に誰も異議を唱えなかったことである。「ことの当否を措いて」自制を求める声がどこからも聞こえなかったことである。
 「いいから、少し頭を冷やせ」というメッセージが政治的にもっとも適切である場面が存在する。そのような「大人の常識」を私たちはもう失って久しいようである。

(毎日新聞2008年5月12日付夕刊)

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2008年5月14日 (水)

朝日新聞記事「五輪の囚人」(4月28日付)

最近、新聞を読んでいて「えッ」と思った記事があった。それは、中国で当局批判を行って投獄されたり、そうした人々を助ける弁護士の活動を報じたものだった。一昨日、池上彰さんのコラムを読んでやっぱりメモしておこうと思った。

森田自身も、基本的人権の尊重されるべきことは人類普遍の原理であると思っている。また日本国憲法の定めるところにより、わが国も国家としてそのような立場であるはずである。ここに報じられたような事実があるならば、メディアがこれを報道するのは当然のことだ。「えッ」と思ったのは、申し訳ないことに中国駐在メディアは、当局の目を恐れてこのような報道は自己規制してしまうだろうという先入観があったからだ。

以前、故田中角栄元首相の葬儀に際して、ある政治家が読んだ弔辞について田中真紀子代議士が「父の全てを語って下さいました」と礼を述べた。実は、その弔辞を担当した歴史観に欠け、空気ばかり読むライターは、田中角栄氏の事績を振り返る弔辞から「ロッキード事件と裁判対策としての自民党闇支配」については全て欠落させていた。

昨年の温家宝首相の国会演説、先般の胡錦涛主席の早稲田大講演で「日本の戦後の歩み」が高く評価され、ODAへの感謝も述べられた。「タブー」は破られた格好だが、これら首脳スピーチが歴史の流れを語る際に言及が避けられるのは、『大地の子』が中国で放送されなかった原因とも考えられる「文化大革命」と、6・4天安門事件だ。しかし、実はここを抜きに中国の本当の歴史を語るのは難しい。

こうしたことが率直に語られるようにというのは、当面の外交課題というのとは少し違うだろう。しかし、とにかく「五輪の囚人」を取材した記者や、この記事の掲載を決断したホネのある人々の頑張りが助けとなって、いつの日にか、中国の人々とこうした20世紀後半、あるいは21世紀初頭の「歴史」についても構えることなく本当のことを語り合える日が来るといいなと思う。

【以下は『朝日新聞』2008年5月12日付夕刊be4面の池上彰氏によるコラムの写しです】

(池上彰の新聞ななめ読み)「五輪の囚人」 記者の怒りと勇気、感じる

 新聞記事の中には、これだけの内容に仕上げるには、さぞかし苦労があったのだろうと思わせるものがあります。最近では、「北京百日前」企画のひとつである「五輪の囚人」が、そのひとつでした(4月28日朝刊)。

  中国で、「北京五輪に巨費を投じるより人権状況を改善してほしい」という署名活動をしただけで、「国家政権転覆扇動」の罪で懲役5年の判決を受けた男性。逮捕された後、拘置所でベッドに手足を縛りつけられたまま食事や排泄(はいせつ)を強いられたという。この男性は、「五輪の囚人」と呼ばれる。
 人権活動家を支援する弁護士が、「公安」と名乗る4人の男に拉致され、3日間も監禁されたという。
 別の弁護士は、逮捕されている活動家の面会に行く途中で暴漢に襲われ、重傷を負ったが、警察は取り合ってくれない。
 中国国内で相次ぐ事件の数々を伝えています。「共産党独裁政権の弾圧を恐れずに人権や民主、法治、言論や信教の自由などを訴えているのは活動家だけではない。彼らを支援する弁護士も、身の危険にさらされながら闘う」と北京の朝日新聞記者は書きます。
 活動家の弁護をする弁護士は、弁護士の業務を停止させられたり、本人自身までもが国家政権転覆扇動罪に問われたりする危険があるというのです。
 こうした事実を、中国の報道機関は報じません。報道機関自らが、共産党中央宣伝部によって統制されているからです。
 「権力は党に集中する。その幹部に不正がはびこる。メディアは沈黙する。大衆が不満を募らせても、党批判は断罪されかねない。罪に問われた被告を守ろうとすれば、弁護士にも身の危険が迫る。
 これが中国の現実だ」
 記事には、記者の怒りが滲(にじ)んでいます。しかし、報道の自由がない中国で、日本の新聞記者が、こうした現実を取材すること自体、当局の妨害を受けるはずです。電話が盗聴されていることを前提にして、取材対象に迷惑をかけないように配慮しながら、取材の連絡を取り合う苦労。
 当局にとって都合の悪いことを書けば、その後、陰に陽に嫌がらせを受けることが容易に予想できる中で、ペンを鈍らせることなく、どこまでのことが書けるのか。
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