エネルギー・環境

2009年3月19日 (木)

「ミサイル技術=衛星打ち上げ技術」、「イランの核開発は、日本と同程度の核技術を持ちたいということ」といった視点を持つことの重要性

少し前だが3月7日のNHK・BS1『土曜解説』で、NHKの秋元千明解説委員が「ミサイルを打ち上げて、ある目標に弾頭を誘導する技術」と、「ロケットで人工衛星を打ち上げて、目標の軌道に投入する技術」は、技術としては同じ技術であるとあたりまえの発言をしたときに、「北朝鮮はなんてひどいことをしようとしているのか」と勢い込んでいるかに見えた女性アナウンサーは反応示さず話題を変えてしまった。

言うまでもなく、秋元氏はここで北朝鮮の肩を持っているのではなく、むしろ「衛星と主張したとしても、ミサイルだ」とファクトを指摘しているに過ぎない。ところが、こうした事実は「北朝鮮は悪いやつだ」と騒いで肝心なことから目をそらせたい人々、あるいは乗せられて騒いでいる頭の悪い人々にとっては「不都合な真実」だろう。

ところが、浅井基文氏も指摘するとおり(毎日新聞2009年3月10日付「新聞時評」)、朝日や毎日の社説すら、こうしたファクトを脇に置いて、とにかく「フテー野郎だ、勘弁ならない」というトーンだ。そうでなきゃ、「右」のブログにもたたかれるし、読売との部数差がもっと開いてしまうということなのだろう。

森田自身も、北朝鮮は「人工衛星打ち上げ」などより地域の平和のためにも、自国民が安心して生きていけるようにするためにも、他にやることがあるだろうと思う。「発射は当然だ。批判はおかしい」などと言うつもりは毛頭ない。

ただ、メディアや自公政権、外務省などが「国連安保理決議だ」「いや単独制裁だ」など、ここぞとばかりに騒ぎを煽るような姿勢を示していることに強い疑問を感じているのだ。

安保理決議と言うなら、中国やロシアへの根回しが必要だが、出来ているのか。麻生総理が民主党タカ派の前原副代表の挑発に乗って「尖閣に日米安保適用」などとわざわざ国会答弁し、訪中が延期になったというではないか。

アメリカでは、議会公聴会証言でブレジンスキー氏(カーター政権の国家安全保障担当補佐官、国務長官)が、「イランが行っている核開発は、言ってみれば日本が持っている程度の核技術を持ちたいということだろう」と発言したそうだ。ブレジンスキー氏は大使館人質事件で煮え湯を飲まされたご本人だが、ここでは対イラン強硬論をクールダウンさせることを狙っての発言だと思う。

イランと並べられると不快に思う人がいるかもれないが、外から見た日本の姿を時々想像してみることは大事だろう。

「北のミサイル発射はけしからん」「イランの核開発ばダメだ」という話は単純だが、「他人のふり見てわがふり直せ」ではないが、実は「わが国のH2A打ち上げと衛星軌道投入技術は、その気になれば直ちにミサイルに転用できる技術である」こと、「日本の核技術も、国際的な約束を反故にすれば兵器への転用ができる」ものであることを思い出しておくことは意味のないことではない。

それではなぜ、北朝鮮やイランについては騒ぎになることが、日本については問題にならないのか。いちばん簡単に言えば「日本国憲法」の裏打ちがあるからだ。アメリカがうるさく言わないのは、日米安保条約ということもあるだろう。

いずれにせよ、憲法9条というベースがあり、「福田ドクトリン」「村山談話」「河野談話」などの積み重ねがあって、わが国は「北朝鮮やイランとは違うよね」という一定の「信用」を得ているのだ。

注意しなければならないのは、田母神元空幕長の主張、あるいは安倍晋三、中川昭一、桜井良子といった人々の日頃からの主張は、こうした信用の基盤を根底から崩しかねないということだ。「日本はまた大日本帝国をやるつもりなのか。それじゃあ、北朝鮮やイランより危ないじゃないか」ということになりかねない。

わが国にとって北のミサイル発射や、イランの核開発より、こうした人々の威勢のいい発言や、一部の国民がこうした意見をおもしろがってはやしたてることの方が、国益を損なうところ大と言うべきだろう。

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2009年3月 5日 (木)

田中康夫議員の質問

国会中継をつけっぱなしにしていたら、田中康夫元長野県知事が出てきた。民主党の枠内、40分という限られた枠内だが、なかなか聴かせる質問だった。

前半はグリーンニューディールに関することで、間伐推進が一石何鳥にもなるという聞き慣れたはなしだが、組み立て方、話し方もあって引き込む。テレビの画面で見ると麻生総理も含め、斉藤環境相、二階経産相、石破農水相なども「その話は知ってるよ」と思ってはいるのだろうが、本気で聞き入っているような様子に見えた。

委員会質問はこういう感じであってほしい。野党議員や、これから野党になる議員にはビデオを見て勉強して欲しい。

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2009年2月 3日 (火)

【切抜貼付】バイオ燃料:新潮流 環境破壊を教訓に 毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

研究者をはじめとする関係者の努力に期待したい。木造家屋が多いわが国では、建築廃材にも原料として注目すべきだと思う。

【以下、切抜貼付】

バイオ燃料:新潮流 環境破壊を教訓に  毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

 地球温暖化防止にも貢献する次世代燃料の原料として、生物由来の資源(バイオマス)が注目されている。世界で起きたバイオマス燃料(バイオ燃料)ブームは、原料のサトウキビやトウモロコシ価格を引き上げ、それらの栽培面積を拡大するため環境破壊を招いた。これを教訓に間伐材や稲わらをシロアリの消化酵素で分解したり、目に見えないほど小さな藻類に石油を作らせる研究が進んでいる。【元村有希子】

 ◆シロアリに着目

 顕微鏡をのぞくと、無数の微生物がさかんに動き回っていた。理化学研究所分子情報生命科学特別研究ユニット(横浜市鶴見区)の守屋繁春ユニットリーダーは、シロアリの腸内にすむこの生物を研究している。シロアリが食べた木を分解する単細胞の原生生物で、これを利用して木からバイオ燃料を作るのだ。

 木などの植物は、セルロースでできた繊維質の細胞壁を持つ。セルロースをくるんでいるリグニンは分解しづらく、木から燃料を作る際には「前処理」として希硫酸を入れて加熱しなければならない。ところがシロアリは難なく消化する。

 シロアリの腸内にすむ多種多様な原生生物は、パラバサリアとオキシモナスの2種類に分類されるが、人工培養で増やすことができない。守屋さんらは、これらがDNAからたんぱく質を作る際に「型紙」として働くメッセンジャーRNAをまとめて取り出し、消化に働く未知の酵素を特定した。

 ◆省エネ、高効率

 理研、東京大、農業生物資源研究所、琉球大による共同プロジェクトが進む。農生研・琉球大チームは、宿主のシロアリそのものを調べ、東大のチームは麹(こうじ)菌に酵素を大量に生産させる技術を開発中だ。3年後までに、酵素を使って試験管の中で繊維を分解する段階にもっていくのが目標だ。

 手法を確立できれば、前処理も廃液処理も不要になる。間伐材などが使えるため、食料との競合を避けられる。獲得エネルギーを投入エネルギーで割った「エネルギー収支」でみても、サトウキビの最大2・7倍の高い効率が期待できるという。

 ◆石油を作る藻類

 筑波大学(茨城県つくば市)では、石油を生み出す微細藻類「ボトリオコッカス」の培養実験が進む。ボトリオコッカスは温帯から熱帯の淡水に最大0・5ミリ程度のコロニー(群れ)を作って生息し、光合成で石油成分の炭化水素を合成する。

 渡辺信教授(構造生物科学)は、ボトリオコッカスが作る油を1ヘクタールあたり年間118トンと見積もっている。トウモロコシの0・2トン、菜種の1・2トン、油ヤシの6トンに比べ格段に多い。

 渡辺さんらは全国で集めた144株のうち生産効率が高い沖縄の株を選んだ。生産ラインに乗せると仮定すると、1リットル155円かかり高すぎるため、効率を10倍に上げる必要がある。家庭や工場から出るアルカリ性の廃水中で生産性が上がることも分かった。二酸化炭素を吸収するだけでなく、廃水を浄化し油も作ってくれるというわけだ。

 昨秋から科学技術振興機構の支援で総額3億5000万円のプロジェクトが始まった。「廃水処理を兼ねた小型プラントを火力発電所や下水処理場などに作るほか、耕作放棄地を活用すれば大量生産も可能」と渡辺さんは意気込む。

 ◆バイオマス戦略--コスト面に課題

 政府の「バイオマス・ニッポン総合戦略」(06年3月に閣議決定)はバイオマスを「再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義。2030年に日本がバイオマスを活用した社会になることを目指し、生ごみの堆肥(たいひ)化や、植物を発酵させてバイオ燃料を作ることなどを提案している。

 バイオ燃料も燃やせば二酸化炭素が発生する。しかし、原料の植物は光合成を通して空気中の二酸化炭素を吸収しており、地球上の二酸化炭素量は増えないと見なされるため、地球温暖化防止に有効と考えられている。

 トウモロコシなどに続く「第2世代」の原料として注目されるのが、間伐材や農作物の食べられない部分だ。農林水産省の07年の統計によると、稲わらなどの農作物非食用部は1400万トン発生しているが7割が利用されていない。森林から出る不要木材は350万トンで、わずか2%が製紙などに利用されているだけだ。

 しかしバイオマスは広く分布するため、効率的に集める工夫が必要だ。投入するエネルギーが、得られるエネルギーに比べて大きく、コスト面の課題もある。

毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

【以上、切抜貼付】

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2009年1月28日 (水)

アル・アラビア、ナブッコ

今日の国際ニュースで印象に残ったのは、ひとつはオバマ大統領が初の海外TVメディアインタビューにアラブ首長国連邦のアラビア語放送局アルアラビアを選び「イスラム世界は敵ではない」と発信したこと。

オバマ氏がそのような考えであることを我々は知っているけれども、イスラム圏の一般の人々にしっかり伝えることの意味は大きい。まずは会うこと、相手のわかることばで発信することから始めなければならない。素早い取り組み、さすがオバマ氏である。

少し興味を引かれるのは、先発のカタール局アルジャジーラではなくアルアラビアを選んだ理由。イラク戦争中、米陸軍から蛇蝎のように嫌われたことでは同じはずだが。アメリカの一般にジャジーラは「ビンラディンの声明を放送する局」というイメージが強いのを回避したのか。

もうひとつは、コーカサス地方の天然ガスをウクライナばかりでなくロシアも回避したパイプラインで運ぼうというEUが推進する「ナブッコ・パイプライン」の国際会議がブダペストで開かれたというニュース。

東欧のニュースをこまめにチェックしていなかったが、ハンガリーは去年までにロシアがウクライナを回避する新しいパイプライン「サウス・ストリーム」を建設することに参加することで合意していたのではなかったか?

1956年のハンガリー動乱でもわかるように、もともと東欧圏でもロシアとの距離感の大きい国だけに、サウス・ストリーム合意や、昨年のロシア軍グルジア侵攻時のポーランドなどと対照的な静かな動きに「対ロシアでいろいろ考えているな」と感じてきたが。裏事情に若干の興味を引かれる。

「ナブッコ」というのは、あのヴェルディの合唱曲「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って」で有名なオペラ『ナブッコ』と関係あるのかしら。そこでのナブッコ王は世界史の教科書に出でくる新バビロニアのネブカドネザル2世で、このオペラでは最後にはヘブライ人たちにひれ伏す話になっているけれども‥

【以下、切抜貼付】

「米国はイスラムの敵でない」=アラブ放送局と初会見-オバマ大統領

 【ワシントン26日時事】オバマ米大統領は26日、就任後初めてアラブの衛星テレビ局アルアラビアのインタビューに応じ、「米国はあなた方の敵ではない」とイスラム世界に呼び掛けた。また、イスラエルとパレスチナの双方に対し、「交渉の席に戻る時だ」と述べ、和平プロセスの再開を訴えた。
 米大統領が就任後、初の正式なTVインタビューにアラブのテレビ局を選ぶのは異例。2001年の米同時テロ後にブッシュ前政権が推し進めた対テロ戦争で、イスラム世界との間に深まった亀裂の修復に全力を挙げる姿勢を示した形だ。(2009/01/27-13:31)

ナブッコ、上半期の合意目標に  脱ロシアのガス計画

 【ウィーン28日共同】天然ガスをカスピ海からトルコ経由で欧州に運ぶパイプライン「ナブッコ」計画を協議する国際会議が27日、ブダペストで開かれ、参加各国は今年上半期の計画合意、調印を目指すことなどを盛り込んだ声明を発表した。
 ナブッコは天然ガスのロシア依存脱却が狙いで、会議はウクライナ経由のロシア産天然ガスの欧州への供給が約2週間停止したことを受け開催された。ただ、80億ユーロ(約9400億円)を超えるとされる建設費用負担や、天然ガスの供給源確定など課題は残されており、計画実現の道は容易ではないのが現状だ。
 会議にはハンガリーのジュルチャーニ首相のほか、欧州連合(EU)議長国チェコのトポラーネク首相、ブルガリアのスタニシェフ首相、アゼルバイジャンのアリエフ大統領らが出席した。
 ナブッコは全長3300キロで、トルコからブルガリア、ルーマニア、ハンガリーを経てオーストリアまでパイプラインを建設する計画。
2009/01/28 09:55

【以上、切抜・貼付】

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2009年1月27日 (火)

自公連立政権の「再生可能エネルギー」への消極姿勢

 朝のNHKテレビのニュースで、国際再生エネルギー機関の設立総会があったがわが国政府はオブザーバー出席にとどめたと報じられていた。つまり、わが国の政府は「風力」や「太陽光発電」については、中国やこの機関への対応を検討していたブッシュ・チェイニー政権と五十歩百歩ですと自ら発信したわけだ。

 しかも、側聞するところではもともと外務省も経済産業省も出席すらするつもりがなかったところ、オバマ政権の誕生でアメリカが「欠席」から「オブザーバー派遣」に切り換えたので慌てて日本もオブザーバー参加に切り換えたという。

 経済産業省や外務省は、天下りなどの都合で原子力村というか、財界というか、電事連というか、そういうものにがんじがらめになっているので、野放しにしておけばこの国際機関に「不参加」という結論もまあ予想はつく。朝日新聞でさえ、「風力発電の施設に貴重なオオタカがぶつかって死ぬ」といった記事をよく出していると思ったら、この前は「騒音などで健康被害」という記事を一面に大々的に掲載していた。「沖合を推進しよう」といった話など全く書かずにだ。これも赤字転落下の広告料の都合なのだろう。

 しかし、こうした癒着の構造にばかり足をとられることなく、例えば地球環境問題で経済産業省や外務省をリードして、あるべき方向に持って行くのが「政治のリーダーシップ」の役割であるはずだ。

 少なくとも、現在の自公政権はこの問題について私の期待には全く応えていない。やる気がないのだ。この際、民主党など野党各党はこうした問題についてどういう姿勢で臨むのか、ハッキリ態度を示して欲しい。民主党には電力会社からパーティー券を買ってもらっている議員がかなりの数いるのだろうが「政権交代しはしたけれども、やっぱり政治は電事連の言いなりのまま」といったことにならないよう、今から内外に「宣言」しておいたほうが良いと思う。

以下、NHKのページより切抜・貼付

国際再生可能エネルギー機関

1月27日 6時56分
地球温暖化対策として期待される風力や太陽光発電といった再生可能エネルギーの世界的な利用拡大を目指そうという新しい国際機関が設立され、ヨーロッパ諸国を中心に70か国以上が加盟することになりました。

ドイツのボンで26日開かれた「国際再生可能エネルギー機関」の設立総会には120か国余りが出席しました。国際再生可能エネルギー機関は、地球温暖化対策に加え、世界的な金融危機の影響が広がるなか、新たな雇用を生み出す分野としても注目される風力や太陽光といった再生可能エネルギーを拡大させていくことを目的に設立されたもので、各国での普及を後押しする政策の提案や途上国への技術移転に取り組みます。

設立総会では、ドイツやフランスといったヨーロッパ諸国に加え、発展途上国も条約に署名し、あわせて75か国が加盟することになりました。しかし、日本がIEA・国際エネルギー機関などとの役割の違いが明確でないなどとして加盟を見合わせたほか、中国やアメリカなども会合には出席はしたものの、加盟はしませんでした。それでも加盟した各国の間では、温暖化対策に積極的なオバマ政権に代わったアメリカが今後、加盟することへの期待は高く、新たな国際機関が、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた各国の協調した取り組みにつながるかが注目されます。

【ここまで切抜・貼付】

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2009年1月14日 (水)

冷え込み、ウクライナ経由欧州向けロシアのガスパイプライン

東京はあいかわらずたいへん良い天気だが、冷え込んだ。NHK「おはよう日本」のお天気担当・渕岡さんも屋外中継で「手袋では足りない」と暖かい飲み物のカップを持って登場していた。

ウクライナ経由欧州向けのパイプラインのガスの問題、「再開」と報じられていたのに足踏み。ロシアのお客さんと会う人のために「再開は良かった」と昨夕メモ書いて出していたので、個人的には大いに困る。全く、個人的にだけれども。

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2008年12月10日 (水)

2009年の世界と日本は

2009年を予言してほしいと無理な注文を受け思い浮かぶこと‥

1. 2008年は世界にとって二つの点で転換点だった。一つは「9月のリーマンブラザース破綻を引き金にいよいよ明らかになった100年に一度の世界金融不安と景気後退により、アメリカの金融資本が引っ張った新自由主義全盛の終焉」であり、もう一つは 「米大統領選のオバマ候補当選で明らかになった、9・11同時多発テロ以来のアメリカの単独行動主義が引っ張った対テロ『戦争』優先時代の終焉」だ。

2. そもそも20年前のベルリンの壁崩壊後の世界は、「対話と協調による平和な世界  の実現」「『平和の配当』の均霑による、世界大の貧困解消と人権状況の改善」となるべきであったのに、「歴史の終焉」などという錯覚の下、むき出しの金融と資本の論理が野放しにされることで内外の解決されるべき問題が解決されないまま放置され、9・11同時多発テロ後のアメリカの「逆上」は、「世界は変わった」などという誤った思考の下、軍事優先の時代に退行するとともに、日本もどういうわけか「郵政改革」が全てであるかのような愚かしい倒錯に恍惚とし、また人件費切り下げによる「見かけだけの生産性向上」にあぐらをかき、本来なら今回のような世界経済の情勢にあってもしっかりした「内需」で雇用を確保していけるようにしておくなど、本当の意味での改革に全力を尽くすべきだった21紀初頭の数年をまったく空費してしまったのが近年の日本政治の実情だ。

3. つまり、20年近く本来の進路からそれてしまった世界と日本が、原点に返り、本来の目標と軌道を取り戻す最初の年となるべきなのが09年だ。
      世界と日本の課題を三つ挙げれば、まずひとつめは「野放しの金融資本が引っ張る危うい資本主義」に代わる、信頼性の高い、バランスのとれた経済成長路線の構築だ。国によって課題は異なるが、わが国の場合は医療や介護の立て直し、最低賃金の大幅な引き上げなどで若い人々を始めとする生活困窮の問題などにしっかり取り組み内需主導社会を構築するということだ。野放図な赤字拡大が許されないからといって、必要なものもそうでないものも横並びで削れなどというのは政策ではない。
   課題の二つめは、単独行動主義のブッシュ政権の退場とオバマ政権の誕生に対応し、世界の現実に対応する国際協調による国際社会運営のシステム作りだ。朝鮮半島の6カ国協議にその萌芽が見られるが、わが国もお客さんのようにしているのではなく、知恵も出し、汗もかかなければならない。「拉致、拉致」とお題目のように繰り返すだけで思考停止に陥っているなど論外だ。
   課題の三つ目は、オバマ政権が経済を始めとする諸矛盾をここ一点に集約して突破しようとするかもしれない「環境エネルギー革命」への対応だ。原子力をやっていればいいなどとい言って新世代エネルギー技術でアメリカに逆転されたり、差をつけられていては、一時はリードした分野でさえメシの種にこと欠いて泣きをみることになる。

4. この3つの課題に対応するためには、強力な政権中枢と有能な政府が必要だ。腐敗や尊大は目立つが、わが国の政府の首から下は国際的に比較すれば一定のパフォーマンスを維持しているようだ。肝心なのは首から上。次の総選挙による政権交代を通じて生まれる小沢一郎内閣が、合理的な政策形成能力と強いチームワーク、また国民に対する説得力をもった内閣となり、わが国の中枢神経の機能を果たしていくよう願ってやまない。
                                                                  
                                                                                          以上 

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2008年10月 1日 (水)

インドなどNPT未加盟国に対する核技術協力、核物質輸出を禁止する立法を

最近、いちばん頭にきたことは、日本政府が核不拡散条約に加盟することを拒否しているインドを特別扱いすることに賛成したことだ。

核軍縮に事実上背を向けてきた米ブッシュ政権が、ここ2年来、クリントン政権時代の政策を転換してインドとの核協力を進めようとしてきた。そんなことを認めてしまえば、核兵器廃絶へ向けての現実的な手だてとしての核不拡散条約(NPT)体制が根底から崩れてしまうのに、日本政府は「全会一致を要する」、すなわち日本も「事実上拒否権を持っていた」関係国会議で沈黙を決め込み、ウラン輸出国でありながらインドの特別扱いに反対してきたオーストラリアなどの期待を裏切り、ついには賛成した。

アメリカが議会手続きで手間取っている間にフランスがインドと協定を結んだり、ロシアが大きなビジネスをするだろうなどと言われている。

しかし、他の国のことより日本政府だ。外務省の幹部職員や自民党首脳は、天下り企業の都合、正義を曲げてもアメリカに追随することでムラの中での出世と収入を確保する処世術といったことを優先して、ヒロシマ・ナガサキの体験に基づく、核兵器廃絶を希求すべき日本民族の歴史的使命、日本国憲法の理念などは完全に無視しているのだ。

そんなやつらが、勝手に恥ずべき外交政策を展開するときにわれわれは無力か?

やつらに理想を語ってもほとんど役に立たない。やはり、主権者であるわれわれが政府の役人を従わせるには、法律で縛るしかない。

とりあえず、社民党、日本共産党、民主党や自民党の心ある人々に考えて欲しいのは、「NPT未加盟国に対する核技術供与、核燃料の輸出を禁止する法律」の制定だ。やつらは「アメリカやロシアやフランスがインドでビジネスするのを指をくわえて見ているのですか」と言うだろう。日本がそうした法律を作っても、アメリカなどにブレーキをかけられるわけではない。

それでも、日本国民の一部に核兵器廃絶を指向し、そのために核不拡散体制を強化することをまじめに考えている人々がいることをハッキリ示すことが出来るだろう。少なくとも、やつらが、国民の理想を無視して、勝手にこの分野の外交を進めることにブレーキをかけることができる。

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2008年8月26日 (火)

NHK・BS1の『今日の世界』『おはよう世界』を採点する-ロシア・グルジア問題

 北京オリンピックが終わり、NHK・BS1のレギュラー報道番組も帰ってきた。南オセチアを巡るロシアのグルジア本土侵攻に関するニュースも、久しぶりに「特集」のような形でまとめられた。
 
 同じNHK・BS1でも番組による論調の違いがずいぶんある。『今日の世界』(22:15~)は袴田茂樹氏をゲストに迎え、ロシア側から見れば①NATOのグルジアやウクライナへの拡大はロシアにとって脅威、②90年代は経済低迷でアメリカに対して自己主張できなかったがエネルギーの輸出価格の上昇などで大国意識が出てきた、③メドべージェフは権力維持のために国内タカに向け強硬姿勢を示す必要があるという分析を紹介していて参考になる。

 さらに市瀬卓キャスターは、メドベージェフ大統領が休暇中で、プーチン首相がオリンピック開会式で北京にいる時を狙って南オセチアに軍事侵攻すれば、南オセチアを簡単に「解放」(実効支配回復)できると考えたとすれば、その判断は甘く、双方に大きな犠牲を生じた責任が問われるのではないかという視点を示していた。番組全体として、この問題を俯瞰する上で参考になる特集だった。

 他方、同じNHK・BS1『おはよう世界』(6:15~など)の高橋弘行キャスターは25日、26日ともこの問題について市瀬キャスターとは対照的な、浅薄な見方を語っていた。25日に同じ「判断が甘い」ということばを使いながら高橋氏が示唆したのは、今回の事態を招いたのはアメリカやヨーロッパ諸国の「ロシアの本気度」についての認識の甘さにあったのではないかという趣旨の見方だ。
                                             
 さらに26日に高橋キャスターは今回の事態を通じてロシアが得たものは、南オセチアをグルジアから切り離すことであり、さらに、そうではないかもしれないけれどもとしつつ、ロシアの次の狙いは「ロシアを通らずに、カスピ海の原油を黒海に運ぶグルジア領内のパイプライン」を手に入れることかもしれないと強く示唆した。

 『今日の世界』を見た人は、軍事力で問題を解決しようとしたことにそもそもの発端がある。複雑な問題であり、多くの要素に目配りしながら解決を探らなければならないと考えるだろう。『おはよう世界』のみ見た人は「ロシアは信用できない。われわれは甘く見られないように、アメリカを先頭にもっと強硬姿勢を強めなければ」と思うのではないだろうか。 

 『今日の世界』は英BBC、米PBSレベルの視聴価値のある番組、『おはよう世界』は米CNN、米FOXクラス、あるいは産経新聞、小泉・安倍レベルの有害番組であるというのいうのが、この二日間の番組を見ての森田の評価だ。

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2008年5月 9日 (金)

メドベージェフ大統領はいつまでもプーチン傀儡ではないかもしれないというNHK石川解説委員の意見

ニュースが胡錦涛主席来日と重なったが、ロシアのメドベージェフ大統領の就任式があった。クレムリンの側で売られているプーチン・メドベージェフのツーショットの肖像を表面に描いているマトリューシカ(次々に中から小さなものが出てくる人形)を見ても、プーチン前大統領がやや前面に出ている様子をテレビでも紹介していた(NHK・BS1「今日の世界」)が、事実上、前大統領の指名による選出であり、「新大統領はプーチン氏の傀儡」という見方が多いようだ。

もっとも、「アジアクロスロード」(NHK・BS1)での石川解説委員は、そういう面は当初は否定できないにせよ、ロシアの大統領権限は極めて強大であり、首相に就任するプーチン氏に対して忠臣とはいえ世代による感覚の違いがあるメドベージェフ氏が、やがてフリーハンドを確保しようとする方向性が出てくるのではないか。その場合に摩擦が起こることも否定できないという見通しを語っていたのが印象に残る。

ブッシュのアメリカがイラク戦争にかまけているうちに、ロシアはチェチェンの人権問題などでの欧米の批判をすり抜け、豊富な産出を誇るエネルギー価格の上昇などで「勝ち組」の様相を示している。APEC開催地に決まったウラジオストックなど極東のインフラ整備も急速に進み始めたようで、温暖化問題でも大きな存在だ。日本の近隣外交という面からも再び目が離せない存在になってきている。領土問題など、歴代自民党政権のようなアプローチではなく、早めに「お互いの主張の真ん中あたり」で折り合うのが合理的な考え方のように思うけれど。

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