社会保障(年金、医療、福祉サービス)

2009年4月30日 (木)

「小泉・竹中構造改革」ばかりでなく、「中曽根臨調路線」との明確な決別、チェンジが必要である。

はじめに
1.世界経済に起こっていること
2.日本経済の状況
3.経済対策の評価
4.今後の見通しと論点
しめくくり

はじめに

今後時々、経済についての見方を披瀝したい。まず、総論として現在の経済状況をもたらしている原因と打開の方向性について巨視的に捉えることを試みたい。

1.世界経済に起こっていること
                                                                  
「100年に一度」と言われる危機の核心は、アメリカの住宅バブルが崩壊する中で低所得者を対象とした「サブプライムローン」にもともと問題債権が多いことが露見し、さらにそれがデリバティブなど「一部危険な債権が分割され組み合わされることで、危険性が見えにくい高利回りの金融商品」として世界中の金融機関に保有されていたため、2008年9月の「リーマンショック」がさらなる引き金となって欧米を中心とした世界に起こった金融パニックである。

さらに金融機関の経営悪化は信用収縮を引き起こし、実体経済に深刻な影響を及ぼしている。端的に言えば、アメリカの消費者がこれまで何の問題もなく組んでいたローンが金融機関によって提供されなくなってしまったために、例えば自動車の販売が落ち込み、ディーラーをはじめ電機など関連する内外の産業全ての経営が悪化するといった具合である。そうして実体経済が落ち込めば、金融機関の業績はさらに悪化して貸し渋りが起こり‥と事態は悪循環に陥っている。

国際通貨基金(IMF)は4月22日、世界全体の2009年国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを、1月の前回予測時の0・5%から1・8ポイント引き下げ、マイナス1・3%と大幅に下方修正している。世界のマイナス成長予測は、第二次世界大戦後では初めてのことだ【記事1】。

2.日本経済の状況

当初、わが国の金融機関はサブプライムローン関連の金融商品をあまり買っていないので「経済の落ち込みは欧米より小さい」と予測され、リーマンブラザースが破綻した際に財政経済担当相が「ハチに刺された程度」と形容していたが、先に掲げたIMFの最近の世界経済見通しでは1月の予測時より3・6ポイント引き下げてマイナス6・2%と予測され、見通しを示した対象国の中では引き下げ幅が最も大きかった【同】。

日本政府も最近、昨年12月に発表した2009年度をゼロ%成長としていた経済見通しを大幅に下方修正して、マイナス3パーセント超とする発表を行っている【記事2】。

日本経済の落ち込みが諸外国よりも大きいのは、輸出依存度高いためである。アメリカ向け輸出が経済の大きな柱であることは中国も同様であるが、中国には巨大な内需があり、それもまだまだ成長余地が大きい。わが国の経済がより成熟したものである=多くの人がモノをすでに持っている=ことは内需が伸びない背景の一つとなっている。

しかし、内需の低迷にはこれまでの政策の累積が原因になっているという側面も看過できない。まず、1980年代の中曽根内閣当時からのわが国の経済政策は、繰り返された「内需拡大」のキャッチフレーズと裏腹に、一部のグローバルな輸出企業の「競争力強化」に偏ってきた。中曽根内閣の「臨調路線」は福祉国家の建設よりも財政均衡のかけ声を優先したもので、高い為替レートの設定により、貿易摩擦を回避して一部の超優良の輸出企業のための良好な貿易環境の確保に努めたことは事実だが、そのことが結果として全国の地場産業や多様な中小企業の存在をより難かしい立場に追いやったことも否めない。

1990年代の土地・金融バブルの崩壊も「天から降ってきた災難」のように言われるが、実際には通貨供給政策の失敗(=第二次石油ショック後の不況、プラザ合意後の円高不況に対し、「臨調路線」の呪縛で財政出動をせず、過度の金融緩和にしわ寄せした)と、資産保有における土地の有利性、都心部再開発の推進など不動産バブルには「政権が政策の結果として作り出したもの」という側面があり、さらにバブル崩壊後の不況長期化の原因の一つは先に述べたように、バブル崩壊以前の「臨調路線」が「内需拡大」のかけ声とは裏腹に、外需依存体質を改める効果的な手だてを怠ったことにある。

回復軌道に乗りかけると拙速な緊縮政策で腰折れをもたらし、税収も減らすなどジグザグコースをたどった日本経済も、90年代の宮沢政権、小渕政権などの大規模な財政出動によりようやく安定軌道に戻りつつあったが、2000年代初頭の小泉内閣における「小泉・竹中構造改革路線」は再度日本経済を「一部優良企業による輸出への過度な依存」「金融バブル指向」「福祉軽視」の誤った方向にリードした。一時的には世界経済のバブル的な好況に乗り、また労働規制の緩和=実質的な賃下げ=によって見かけ上の企業業績は絶好調という一時期があったが、いま現実となっていることは「世界で一番の経済落ち込み」「金融立国の幻想崩壊」「将来不安による内需萎縮」だ。

小泉・竹中路線は「格差拡大」「非正規雇用の増大」といった点から批判されることが多い。それもその通りだが、そもそも英サッチャー政権による「金融ビックバン」や、米経済のITバブルや住宅バブル、さらには複雑な金融商品の生み出す金融バブルに幻惑されて「金融立国」などという誤ったキャッチフレーズが踊り、また「規制緩和」の大合唱の下、中曽根臨調路線時代からの「大規模な優良輸出産業の競争力強化に過度に偏った政策」を継承することで、地方の疲弊、中小企業の衰退をもたらしたことをも批判されるべきである。小泉・竹中政権が現実にもたらしたものは「経済の落ち込み=税収減および経済対策の必要」による「財政赤字の大幅な拡大と日本経済の脆弱化」なのだ。

3.経済対策の評価

麻生内閣の2009年度予算の補正予算における15兆円とも言われる財政出動についての評価はさまざまだが、何もしなければマイナス6パーセントとも言われる今年度の経済成長をマイナス4パーセントにまで、2パーセント程度引き上げる効果があると期待できる。数字としては2パーセントに過ぎないが、いわば金魚鉢の水位が下がって多くの金魚が息もできないような状況になっているところに、水を注いでやるという作業であり、一面では理にかなった政策である【記事3および4】。

ただし、仮に10兆円の国債増発となれば、その分、国民の借金が増えることになることは念頭に置いておかなければならない。「国民全体としては、国に対して10兆円の債権を新たに持つことにもなるのでトントンだ」という見方もできるが、それでも「10兆円分の国債の利子は、国民全体が負担して支払い、受け取るのは直接間接に国債を保有する高額所得層」という所得の逆方向への再配分という問題が拡大する。

さらに15兆円の使い道についても指摘されるとおり、賢明なものであるかどうか吟味することが本来必要だ。「乗数効果(=カネを注ぎ込めば何倍にもなって帰ってくる)」の大きい、成熟度の低い経済であればケインズが指摘したとおり「労働者を雇って穴を掘らせ、さらにそれを埋め戻させることに給料を払うことだっていい」ということなのだが、借金を上回る効果が期待しにくいとなれば、将来の経済成長にプラスになるような使い方を工夫しなければならない。

わが国の内需拡大のためには、社会保障・福祉を充実し国民の将来不安をやわらげることが必要であり、効果も大きいと思われる。環境問題への世界大の関心の高まりに応えること、将来の競争力強化のために教育予算を欧米並みに引き上げる努力が必要だ。今日の状況をもたらした「元凶」とも言えるアメリカでは、オバマ政権の誕生後、このような指向性を持った「チェンジ」が推進されつつある。こういった点から今回の補正予算案を見渡せば、「ハイブリッド車購入への支援」などは同分野のわが国の競争力強化にもつながる政策として期待できる。しかし例えば「介護」従事者の報酬アップは単年度の措置に限られており、教育への予算シフトはないなど、充分な未来志向、充分なチェンジが含まれていると評価することはできない。

さらに政策推進のための「新たな基金を設ける」という手法が目立つ。これは「直ちに支出するわけではない」という点で景気対策の規模を大きく見せる水増しであり、「官僚の裁量に任せる」「天下り団体の活躍の場を広げる」という要素が大きい点で、政官財癒着構造への逆行だ。

4.今後の見通しと論点

まず世界の金融がいつ立ち直るかどうかといった点については「かなり時間がかかる」と予測せざるを得ない。焦点のアメリカ銀行政策は「一時国有化、不良債権の切り離しによる再生」という手段をとらず、結局のところ「官民で基金を作り、不良債権を買い取る」という方式を採用することになった。

これは、当初「日本の失われた10年は繰り返さない」と言っていたオバマ政権が、実際にはかつての日本と同様、ドラスティックな政策はとらず、いわば兵力の漸次投入のようなよく言えば穏健な、悪く言えば中途半端な対策を採用したことになり、時間を空費する恐れが大きくなったと言える。「来年度からの回復」「それを織り込んで、この夏から株価回復」という声も聞かれるが、無理なのではなかろうか。

日本経済も「財政出動」は必要だが、それが問題の解決になるということではない。むしろ「中曽根内閣の臨調路線」、「小泉内閣の構造改革路線」から明確に決別し、「多少税負担が増えても安心できる福祉を構築することを通じて内需拡大を図り、また日本の未来を切り開ける公立学校教育の再建をする」といった方向への「明確なチェンジ」が行われるかどうかが、日本経済が力強く再生できるかどうかの決定的な分かれ目だ。

もしそのようなチェンジが行われるとすれば、どのような分野でどのような変化が、どのようなスピードで起こるかをいかに見極めていくことが投資家や事業家にとっての勝負所となる。一方で、そのような明確なチェンジがなければ、今と同様な状況がだらだらと続き、わが国の経済回復は主要国の中で一番遅れると判断して良いだろう。

しめくくり

次の機会には、今回のレポートのような問題意識を根底に置きつつ、世界の森羅万象に目配りしながら、日本経済・首都圏経済の動向と見通しについての意見を述べていきたい。

                                                                   
【 記事1】                                                                  
                                                                   
IMF:世界経済見通し 戦後初、マイナス1.3%成長 日本も6.2%--09年

 【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は22日、最新の世界経済見通しを発表した。昨年秋の金融危機以降、世界規模で急激な景気悪化が続いていることを受けて、世界全体の09年国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを、1月の前回予測時の0・5%から1・8ポイント引き下げ、マイナス1・3%と大幅に下方修正した。
 世界のマイナス成長予測は、第二次世界大戦後では初めて。日本については3・6ポイント引き下げてマイナス6・2%と予測し、見通しを示した対象国の中では引き下げ幅が最も大きかった。
 日本以外にドイツもマイナス5・6%とマイナスの幅が大きく、不況による世界的な生産・貿易の急縮小の影響が、輸出依存型の経済大国を直撃した形となった。
 米国はマイナス2・8%、ユーロ圏もマイナス4・2%とそれぞれ大幅なマイナス成長を予想。先進国全体では前回のマイナス2・0%から1・8ポイント引き下げられマイナス3・8%と予測された。
 一方、高成長で世界経済をけん引すると期待されていた新興国も、ロシアが5・3ポイントの大幅引き下げでマイナス6・0%と日本並みに落ち込むとされ、中国が6・5%、インドも4・5%とそれぞれ成長率が鈍化する見通しとなった。
 IMFは、10年については世界全体で1・9%、日本は0・5%とプラス成長への回復を予測しているが「見通しは前例がないほど不透明であり、大幅な下振れリスクが存在する」との危機感も表明。さらに「金融市場の安定化には想定よりはるかに長い時間がかかる」と明記し、金融機関への公的資金の投入や大規模な財政出動を伴う景気対策の実施を加盟各国に促した。

毎日新聞 2009年4月23日 東京朝刊

                                                                   
【 記事2】                                                                   
                                                                   
GDP、2年連続で3%超減に 内閣府見通し下方修正 朝日新聞2009年4月27日

 内閣府は27日、08年度と09年度の国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを公表した。08年度は前年度比3.1%減、09年度は3.3%減と、昨年12月にまとめた政府経済見通しを大幅に下方修正。世界的な景気悪化を受け、2年連続で戦後最悪のマイナス成長となる。
 見通しは与謝野経済財政相が同日午前の臨時閣議で報告した。昨年12月の政府経済見通しでは、08年度の実質成長率を前年度比0.8%減、09年度をゼロ%としていた。

 08年度については、09年1~3月期の実質成長率が年率換算で14%程度のマイナスになるとして、マイナス幅を拡大。09年度も、過去最大規模となる15兆円の経済対策が成長率を1.9%程度押し上げるが、それでも過去最悪だった98年度の1.5%減を超える落ち込みとなる。
 景気を引っ張った自動車などの輸出産業は08年秋から急速に業績が悪化し、経済全体に波及。09年度は輸出が前年度比27.6%減、民間設備投資は14.1%減と、比較できる55年度以降で最悪のマイナスだ。
 09年度のその他の指標は、完全失業率が5.2%と過去最悪だった02年度の5.4%に迫り、雇用者数も前年度比0.9%減と悪化する見通し。消費者物価指数はマイナス1.3%と05年度以来のマイナスで、物価下落が景気悪化を加速させる「デフレ」が懸念されている。

                                                                   
【 記事3】                                                                  
                                                                   
政府、09年度補正予算案を閣議決定 一般会計13兆9256億円  日本経済新聞

 政府は27日午前の臨時閣議で追加経済対策の裏付けとなる一般会計の歳出規模で13兆9256億円に上る2009年度補正予算案を決定した。ただちに国会提出し、午後の衆参両院の本会議で与謝野馨財務・金融・経済財政相が財政演説を行い、審議入りする。麻生太郎首相は補正予算案への野党の対応によっては衆院解散・総選挙に踏み切る構えをみせており、補正審議は政局含みだ。
 補正予算案の歳出規模は過去最大。当初予算と合わせた09年度の一般会計総額は102兆4736億円に達し、2度にわたる大型景気対策を実施した1998年度の89兆円を大きく上回る。4月中に補正予算案を国会提出するのは初めて。
 補正予算案の歳出として追加対策の関連経費14兆6987億円を計上。財源の一部に当初予算で設けた1兆円の経済緊急対応予備費のうち8500億円を取り崩したことから歳出規模は差し引き13兆円台となった。(09:13)
                                                      
【記事4】                                                                   
                                                                   
追加経済対策に一定の評価、需要喚起は今のところ限定 朝日新聞2009年4月24日

 政府が「不況脱出の4段ロケット」と呼ぶ過去最大の追加経済対策が決まった。住宅購入者にとっては、09年度予算と関連法の成立ですでに実行段階に入っている過去最大規模の住宅ローン減税とならんで贈与税の非課税枠拡大や住宅金融支援機構の長期固定型住宅ローン「フラット35」の10割融資などが追い風になる。
 住宅・不動産業界からは「若年層の住宅取得をバックアップすることになる」(岩沙弘道・不動産協会理事長)などと、政府による追加経済対策の早期実現に期待を寄せているが、足元の住宅マーケットは分譲住宅の供給抑制傾向や戸建て住宅の受注不振などが継続し、政策効果がまだはっきりと表れていないのが現状だ。
 予算と関連法の成立で、10年間で最大500万円(一般住宅)の税額を所得税・住民税から控除できる住宅ローン減税について、ある大手不動産の幹部は「販売現場で具体的にセールストークができるようになったことは大きい」と一連の景気対策を評価する。また、今回の追加経済対策で盛り込まれた贈与税の減税(住宅の購入や増改築が条件で、非課税枠を現在の年110万円から610万円に拡大)にも一定の評価を与えているが、「いかんせん親世帯のマインドは厳しく財布のひもは固い」と見ている。
 足元の住宅マーケットだが、首都圏の分譲マンションは3月の契約率が7カ月ぶりに70%台に回復し、販売在庫も昨年末の1万2427戸から8846戸に減少してきた。価格の下落などが奏功したためだが、その一方で新規供給の抑制傾向は今年に入ってからも収まらず、3カ月連続で前年同月比2ケタの減少が続いている。
 一方、戸建て住宅の受注も低迷が続く。大手住宅メーカーの受注状況をみると、昨年の“リーマンショック以降”、10月から2ケタの減少が続いており、例年だと受注が大きく伸びる年度末の3月期も同じように2ケタ減という状況になっている。
 家計への影響が大きい住宅ローン減税だが、分譲マンションの新規供給や住宅受注の現状を見ると、本格的な回復にはほど遠く、一連の政策効果もまだ限定的といえそうだ。
 元々大きな借金を抱えることになる住宅の購入や建設にとっては、将来不安に対するウエートが相当重く出る傾向がある。企業の業績悪化からボーナスだけでなく、ベースアップも期待できない景気の現状では、先行きに対する確信が持てないということだろうか。 いずれにしても、大型連休に向けてディベロッパー各社や住宅メーカーは販売攻勢をかけることにしている。野村不動産は首都圏で約500戸のマンション販売を予定しているほか、三井不動産など他の大手各社も軒並み新規物件を投入する。
 一方、住宅メーカー各社も太陽光発電システムを搭載した住宅など、政府や自治体の補助金などを追い風に“環境系”を切り口にキャンペーン活動を本格化させる。また、長期優良住宅普及促進法が6月4日に施行されることから、こうした施策もテコに受注活動を強化し、集約につなげる。
 今回の追加経済対策については、住宅・不動産業界だけでなく、電機・自動車といった産業界の反応もいい。住宅需要は景況感にリンクするといわれているだけに、今のところ政策効果は限定的だが、プラス材料であることは間違いない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月19日 (木)

毒蝮三太夫氏が「クローズアップ現代」ゲスト出演(2009年2月18日、NHK総合)

先日、たまたまかぜで寝込んだ昼前にTBSラジオで毒蝮三太夫さんの声を聞いたことを書いたが、昨日の「クローズアップ現代」にスタジオゲストとして出てきたので驚いた。

いきなり国谷裕子キャスターに「いやあホントに綺麗だなあ、こうしてお目にかかると。昔から番組では拝見してるけど‥」とたぶん打ち合わせにない発言で、さすがの国谷さんも一瞬あっけにとられてしまったものの、「冗談はともかく」と笑顔で応じていた。

下町育ちの子ども時代のこと、ラジオで「悪口」を言うようになったきっかけなども興味ぶかかったが、大学で福祉を教えているということも初めて知った。

学生に、お年寄りとコミュニケーションをとるコツとして「三つのかける」を紹介していた。

(1)笑顔で話しかける。

(2)肩に手をかけて話す。

(3)気にかける。

と教えているそうだ。笑顔でというのは「あなたの味方ですよ」ということ。肩に手をかけるというのはスキンシップをとるということ。気にかけるというのは「かぜ直ったか」とか、相手の心配を気にかけるということだそうだ。日本が世界とコミュニケーションをとる心がけとしてもそのまま当てはまると思う。

森田は番組のはじめの方の綾小路きみまろの「冷え切った夫婦関係」のギャグで大笑いしていたら、「笑いすぎ」と叱られてしまったが。

【以下、NHKのページより切貼】

2月18日(水)放送
変わる老いの“常識”

「1つ覚えて3つ忘れる中高年」「日本はジジババの養殖場」。中高年をネタにした毒舌漫談で綾小路きみまろさんが人気だ。ファンの多くはギャグにされる中高年。CDは記録的ミリオンセラー、ライブはいつも超満員になる。"介護界のきみまろ"、理学療法士・三好春樹さんが介護従事者を対象に行う講演も大人気。「人は老いると頑固さを増し、スケベさを増す」として、肩の力を抜いた介護の実践を説いている。さらに、若者主体のファーストフード店では若者と同じシフトで働く老人が活躍。また、長寿には体の健康より脳の活性化が大きく影響するという研究結果も出ている。変わりつつある"老い"への向き合い方。中高年のカリスマたちの人気の秘密を追いながら、超高齢化社会を生き抜くヒントを探る。
(NO.2700)

スタジオゲスト : 毒蝮 三太夫さん
    (聖徳大学客員教授・タレント)

【以上、切貼】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

NHK総合「地域発!どうする日本『危機の自治体』」(2009年2月13日放送)

先週金曜日放送の「地域発!どうする日本『危機の自治体』」はなかなかよい番組だった。

春に「自治体財政健全化法」が施行されるに向けて、地域社会でどんなことが起きているかが紹介され、その背景、問題点をわかりやすく紹介していた。

早い話、法律を作った趣旨は「第三セクターなどの隠れ借金をあぶり出すため、自治体に公営事業なども含めた連結決算の公表を義務づけ、それについて総務省が作る判定基準に基づいてイエローカード、レッドカードを出していく」というものだ。

それでは現実にどういうことが起こっているか。例えば、仙台近郊の自治体で児童館による就学前の子どもを預かる事業が今年度限りで廃止されるということが一方的に保護者に通知された事例や、去年の地震で一部破損しているような公立中学の耐震補強工事もできないといったことが紹介されていたが、もともと財政が厳しい自治体の福祉・教育関係の予算の切り詰めが起こっている。

こうしたこともきっかけとなってか、住民の委員会による財政の洗い直しが行われ、町役場の職員のボーナスに当たる手当が地域の民間企業よりうんと高いことが明らかにされたといったプラス効果もあるようだ。

しかし、起こっていることをマクロ的に見れば以下のような流れになるということだ。

「90年代の景気対策において中央から『どんどん公共事業をやってほしい。あとで地方交付税で穴埋めする』という話があったので、銀行からたくさん借金をした」

「ところが小泉内閣の『三位一体の改革』で地方交付税が削減され、財政がひどく悪化してしまった」

「ここで『連結決算』という話で、赤字を小さくすることが迫られる。そうすると、とにかく銀行への返済は優先し、また歳出の切り詰められるものは切り詰めることになる。そのような中で、医療・福祉・教育など、人々がいちばん重要な公的なサービスが切り詰められる」

もちろん、出演した片山善博前鳥取県知事が言うように「借金まみれのおじさん(霞ヶ関)が『どんどん借金しなさい。あとで穴埋めするから』というのを信用してしまった」と言う問題があるわけだが、無駄なハコモノなどのために自治体に貸し込んだ銀行にはとりはぐれがおこらないのに、福祉など人間存在にとっての「聖域」(内橋克人氏)はどんどん切っていくことを迫る、この小泉改革が作り出したワク組みには大きな問題がある。

生活者目線で踏み込んで意見を言う星野知子さん、片山善博氏、内橋克人氏、松本和也アナウンサーという顔ぶれもとても良かった。

※「自公連立政権・麻生内閣」のこの問題に対する回答は、「1兆円を自治体に配るが8割は道路、残りも道路関連に限定」だ。民主党はじめ野党の、明確なオールタナティブをぜひ聞きたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 4日 (水)

ダッシェル氏の厚生長官指名辞退、残念

昨日はテレビでステファノプロス記者の「恐らく指名辞退にはならないでしょう。だだし、仮に指名が承認されてもオバマ大統領は代償を払うことになる」という解説を聞いて少し安心していたけれども、結局辞退ということになった。

「閣僚候補の指名辞退」という事実だけでも政権にダメージだが、ダッシェル氏の厚生長官起用はオバマ政権の「肝」の一つだと思っていたのでたいへん残念だ。

オバマ政権の当面の課題は「金融経済危機」への対処であり、「アフガニスタン」だが、アメリカの本格的な「チェンジ」の中心課題は医療保険制度改革であることは誰の目にも明らかだ。日本などと異なり、多くの低所得層が無保険の状態にあることが、アメリカが貧しい人々にとって過酷な社会であることの大きな原因だからだ。

クリントン政権も発足当初、ヒラリー夫人を先頭に改革に取り組もうとしたが、議会の協力をとりつけることができずに失敗。その後、中間選挙の大敗で政権の中心課題から外れてしまった。

ダッシェル氏は、オバマ氏が上院議員に当選した2004年の上院選で、現職の民主党・上院院内総務として出馬していて接戦で落選した人だが、なにしろ野党時代には上院・下院の院内総務は所属政党の最高幹部であり、そのようなポストにあったこと自体が会派内での力、人望を示している。

さらに、当選が入れ替わりだったこともあり、オバマ上院議員の事務所には落選したダッシェル院内総務の中心的なスタッフが雇用され、ダッシェル氏自身も当時のオバマ上院議員に親切にアドバイスしてきたという関係にある。

つまりダッシェル氏は、ベテランとしての「安心感」で若い大統領が率いるオバマ政権の信頼感を高めることが期待でき、大統領自身と非常に信頼できる関係がすでにできあがっていて、「皆保険」の方向への熱意において人後に落ちず、そしていちばん肝心な「議会対策」において頼りになるという、オバマ政権にとってキーパーソンになるべき人物だったのだ。

たいへん残念だが、オバマ大統領は選挙戦においても何度も窮地からカムバックしてきた。今度もダッシェル氏辞退をどうカバーするかに注目したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 3日 (火)

【切抜貼付】増える離職者を介護職に。国の支援策の内容は。=毎日新聞より=

大量失業発生と、介護の人手不足。自民党政権の施策を【切抜貼付】。実際の動向、改善が必要な点などフォーローしていく必要ありと思う。記事中にもあるが、食べていくことができなければ人材が定着するわけがない。

【以下、切抜貼付】

働くナビ:増える離職者を介護職に。国の支援策の内容は。

 ◆増える離職者を介護職に。国の支援策の内容は。

 ◇職業訓練を充実 返還免除設け月10万円貸し付けも
 ◇現場の待遇改善も不可欠

 派遣労働者の契約の中途解除による離職者の増加など非正規労働者の雇用が社会問題化する中、さまざまな雇用対策が講じられている。中でも介護・医療分野は人手不足感もあり、厚生労働省は、この分野の雇用拡大プロジェクトチームを設置した。介護職への誘導では特に手厚い支援が準備された。支援の内容を報告する。

 介護職に携わる労働者は、00年の約55万人から06年には約117万人と2倍以上に増えているが、試算によると高齢化の進行で14年には160万人が必要になるとみられる。また、介護職の有効求人倍率は04年度の1・14倍から、07年度には2・10倍に伸びており、人手不足が深刻化している。

 そこで、厚労省は雇用問題と人手不足の同時解消を目指し、離職者の職業訓練を充実して介護職への誘導を進めることにした。離職者の訓練で、即戦力としての3カ月訓練(ヘルパー2級)を拡充し、より高度な技能を養成する6カ月訓練(ヘルパー1級)と2年訓練(介護福祉士)を新設。訓練の受講は、ハローワークの福祉人材コーナーであっせんする。

 より高度な訓練を受けられることは望ましいが、その間の生活費が問題となる。これまで、フリーターや非正規労働者の職業訓練では、訓練を受けている間、収入が途絶えて生活できなくなるため、受講する人がなかなか増えなかった。新制度は、離職者が訓練期間中、生活費として月10万円(扶養家族がある場合は12万円)の貸し付けを受けられる。貸し付けを受けられるのは、年収200万円以下。雇用保険給付を受けている人は、給付期間が延長される。

 さらに、貸し付けには返還免除制度を設けた。年長のフリーター、雇い止めや解雇で職を失った派遣労働者、母子家庭の母親などは、介護職に就職した場合は全額、求職活動を行っていれば約8割が免除される。失職した派遣労働者で雇用保険の受給資格のない人でも、10万円の貸し付けを受けながら、介護の資格を取得できる。

 雇う側にも、未経験者を雇用した場合、1人当たり50万円を支給する。希望者を受け入れやすくすることで、就職を後押しする。

 東京介護福祉労働組合の清沢聖子書記長は、「介護労働者を計画的に、地域にバランス良く配置できれば、地域の宝になる」と語る。だが、「過去の不況の時も、離職者は介護職に誘導された。だが入り口を広くしても、低賃金・重労働など労働条件が悪いために、多くの人が離職した。同時に、仕事の安定にも取り組むべきだ」と注文を付ける。

 介護職の離職率(仕事を辞める割合)は07年度で21・6%と、全産業平均の16・2%を上回り、勤続1年未満で退職する割合は約4割に上る。昨年末には、待遇改善のため介護報酬の3%アップが決まったが、どの程度、労働者の賃金上昇につながるのかは不明だ。

 厚労省は支援の実施で約2万人の介護労働者の就職につなげたいとしている。担当者は「離職者と、人材が不足している所へマッチングするため、支援制度の内容に配慮した。介護の仕事の在り方も見直しつつ、人材養成を進めたい」と話している。【東海林智】

毎日新聞 2009年2月2日 東京朝刊

【以上、切抜貼付】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「もっと自由にカネ儲けできる社会」より、「誰もが生きやすい社会」=ひとつの指標・発達障害支援=

今日付の毎日新聞2面の連載「生徒指導はいま」に発達障害支援の話が出ている。ようやく世間に認識が広がりつつあるが、施策という点ではようやく緒についたばかりだ。

とにかく、ブッシュ=小泉・竹中時代の自民党政治は「カネ持ちがもっとカネ持ちになれる政策」と、「福祉・教育も予算は切り詰め」の組み合わせだ。

世界と日本の現状がようやく「転換」の必要性を皆に知らせている。ここで取り上げている「発達障害支援」にどう取り組むかなどは、よいリトマス試験紙である。

ちなみに、以下に貼り付ける毎日記事に「通級」という話が出ている。世田谷区でもそうした制度があり、うちの子も週に二日ほどだったか別の学校に通った。制度が無いよりうんとましだが、そこに通う日は在籍校の授業が受けられず勉強が遅れる。

ハンディを負う子が苦労する一方で、帰国子女学級というのも設けられていて、生徒は二つの学校を往復するといったことなく在籍校で母国語の習得などの特別支援を受けられる。しかし、この子たちは将来「英語が得意」などの有利な点があり、民放の女子アナはじめ就職も有利ないわば強者ではないか。

こういった森田に言わせれば「本末転倒」が起こるのは、帰国子女の親たちが官僚や大企業の社員など社会的強者であることと関係があると思う。

公立学校教育においてさえこの有様だ。放っておけば、政策は格差拡大、強者がますます太る方に流れる。良心的な政治家、良心的なメディアの奮起が望まれる。

それにつけても、最近の週刊誌『AERA』などは教育関連の記事といえば「どうやってうちの子をブランド校に進学させられるか」といった下らない記事ばかりである。社会的強者のカネ持ち記者で、実のところは頭が悪く、ジャーナリストとしての使命感も欠如した連中の仕事ということなのだろうが、そんなことやってて朝日新聞は本当に生き残れると思っているのだろうか?

【以下は2009年2月4日付・毎日新聞朝刊2面記事の切抜貼付】

先生:生徒指導は今/5 発達障害児の特別支援教育

 ◇無理解・手不足、壁に

 母親の反応はいつも同じだ。「家では普通なんですけど」。そんなことないでしょう、というせりふをのみ込む。

 東京都内の小学校教諭(54)のクラスには、落ち着かない男児がいる。授業中座らない。給食中、皿の上の野菜を床に投げる。朝礼で前の子のズボンを下ろしてしまう。発達障害の可能性があることをにおわせ、母親に専門医受診を勧めるが、応じてもらえない。

 数人の男児が同調し学級崩壊した。一部保護者から区議に「担任を代えて」と陳情が出た。酒量が増え、クラス替えを待つ日々だ。

 対人関係が苦手だったり、衝動的な行動をとったりする発達障害。文部科学省の初の調査(02年)で、発達障害の傾向を示す小中学生は68万人(6・3%)に上り、1クラスに約2人と推定される。ケアが必要なら、専門の指導をする通級学級や特別支援学級に通う。しかし一昨年5月現在、通級学級に通うのは約4万5000人。肢体不自由児らも対象とした特別支援学級などに通う約17万人を足しても、68万人には及ばない。

  ■   ■

 大阪府内の公立小。授業中はだしで駆け回り、時には机に伏していた小2男児に、特別支援学級の男性教諭(58)が声をかけた。「先生の所に来いへんか」。2年前のことだ。5、6時間目だけ顔を出した男児は翌朝、自分から特別支援学級に顔を見せ、約1カ月通い続けた。

 翌月の保護者懇談会。教諭は悩みながらも、机に向かう男児を母親に見せた。「うちの子が勉強してる」。母親は声を震わせた。専門医にかかり、集団に適応しない高機能広汎性発達障害の傾向があるとわかった。

 男児は1けたの繰り上げ算が苦手だ。集中力も続かない。特別支援学級は全部で7人。友達のおもちゃを取り上げたり、奇声をあげ泣き続ける子もいる。「ほかに居場所がないから、ここでしかいら立ちをぶつけられない」。男性教諭は、子どもたちが落ち着くのをゆっくりと待つ。

  ■   ■

 多くの発達障害児は普通のクラスで過ごす。東京都内の小学校のあるクラスには、34人中、発達障害とみられる子が6人いる。うち1人は感情が行動に表れやすく、壁をけり友達につかみかかる。担任男性(29)は男児を後ろから抱きかかえ、騒然とする教室で「みんな落ち着いて」と呼びかける。

 障害の特性を学んだ。声のかけ方には気を配る。「どのくらい我慢した?」。両手を広げ我慢の度合いを聞く。1時間座っていると「よくできた」とほめる。隣で耳をすます級友たちにも、男児の努力を認めてほしい。

 学校には、特別支援学校教諭の免許を持つ元教員や心理学を学ぶ大学生ら外部スタッフ約20人が通う。今年度から特別支援の研究開発校になったからだ。机の横で学習を手伝い、パニック時には別室に連れ出す。去年、教室外に飛び出すことの多かった男児は、席に座っていられるようになった。

 こんな態勢の学校はわずかだ。退職教員らによる特別支援教育支援員は現在2万6000人で、1校1人に満たない。=つづく

==============

【ここまで切抜貼付】

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月 4日 (日)

年越し派遣村、K-20、品格なき新年ゴミ出し

昼前に、黒川氏のきょうも歩くで日比谷公園の年越し派遣村に行ってカンパしてきたという話を読み、そうか、森田ものんきにしてばかりではいけないと家族を誘って出かけてきた。高校生の息子にも趣旨を話すと「僕も寄付したい」ということで、彼も小遣いから1000円出して同行。

たくさんの人々が食事の提供の列に並び、いくつものデスクが出されて相談の面談が行われていた。わずかばかりのカンパをしたが、同じ受付で衣類を寄付している人もいて、ボランティアの人が新品でなくても良いと言っていた。この年越しを、こういうところのボランティアで過ごした人々に頭が下がる。今年は少し行動する年にしなければと思う。

実は映画が1000円になる元日の午後は、新宿ピカデリーに「K-20」という金城武主演の怪人二十面相や明智小五郎が活躍する活劇映画を見に行った。正月にピッタリの映画だったが、設定は「日米開戦が回避された昭和20年代後半の日本」というおとぎ話で、町中に軍人が歩いていて、警察の取り調べでは暴力の行使が当然といった様子と共に、親を失った貧しい子どもたちの、言ってみれば貧民窟のようなものが出てきて、そこで財閥令嬢が炊き出しをするといった場面が出てくる。

松たか子さん演じる令嬢が、資本家がカネをため込むばかりではいけない。それを社会のために使わなければといって啖呵を切る場面や、登場人物のやりとりに「お前が支配層と戦うのは、結局は自分が力を得たいというだけの話じゃないか」というような、民主党内の松下政経塾出身の新自由主義派を揶揄したようなセリフも出て来るわけだが、映画で見た場面がおとぎ話ではなく、それと同様な場面を、2009年年明けの日比谷公園で現実として目の前にするとやや目まいを覚える。

帰り道に『女性の品格』というベストセラーを出した元高級官僚の女性宅前を通る。心のこもった贈りものを奨励している人だけに、頂き物が多かったのだろうか、もう家の前にゴミを出している。当然、世田谷区のゴミ収集はまだ始まっていない。品格も何もあったものではない。

ますますこの国は「本当が嘘で、嘘が本当」のような気がしてきてきてしまうが、まあとにかく、自分が真実と信じるところに従って、発言し、行動していくようにしたい。そうするしかない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月10日 (水)

2009年の世界と日本は

2009年を予言してほしいと無理な注文を受け思い浮かぶこと‥

1. 2008年は世界にとって二つの点で転換点だった。一つは「9月のリーマンブラザース破綻を引き金にいよいよ明らかになった100年に一度の世界金融不安と景気後退により、アメリカの金融資本が引っ張った新自由主義全盛の終焉」であり、もう一つは 「米大統領選のオバマ候補当選で明らかになった、9・11同時多発テロ以来のアメリカの単独行動主義が引っ張った対テロ『戦争』優先時代の終焉」だ。

2. そもそも20年前のベルリンの壁崩壊後の世界は、「対話と協調による平和な世界  の実現」「『平和の配当』の均霑による、世界大の貧困解消と人権状況の改善」となるべきであったのに、「歴史の終焉」などという錯覚の下、むき出しの金融と資本の論理が野放しにされることで内外の解決されるべき問題が解決されないまま放置され、9・11同時多発テロ後のアメリカの「逆上」は、「世界は変わった」などという誤った思考の下、軍事優先の時代に退行するとともに、日本もどういうわけか「郵政改革」が全てであるかのような愚かしい倒錯に恍惚とし、また人件費切り下げによる「見かけだけの生産性向上」にあぐらをかき、本来なら今回のような世界経済の情勢にあってもしっかりした「内需」で雇用を確保していけるようにしておくなど、本当の意味での改革に全力を尽くすべきだった21紀初頭の数年をまったく空費してしまったのが近年の日本政治の実情だ。

3. つまり、20年近く本来の進路からそれてしまった世界と日本が、原点に返り、本来の目標と軌道を取り戻す最初の年となるべきなのが09年だ。
      世界と日本の課題を三つ挙げれば、まずひとつめは「野放しの金融資本が引っ張る危うい資本主義」に代わる、信頼性の高い、バランスのとれた経済成長路線の構築だ。国によって課題は異なるが、わが国の場合は医療や介護の立て直し、最低賃金の大幅な引き上げなどで若い人々を始めとする生活困窮の問題などにしっかり取り組み内需主導社会を構築するということだ。野放図な赤字拡大が許されないからといって、必要なものもそうでないものも横並びで削れなどというのは政策ではない。
   課題の二つめは、単独行動主義のブッシュ政権の退場とオバマ政権の誕生に対応し、世界の現実に対応する国際協調による国際社会運営のシステム作りだ。朝鮮半島の6カ国協議にその萌芽が見られるが、わが国もお客さんのようにしているのではなく、知恵も出し、汗もかかなければならない。「拉致、拉致」とお題目のように繰り返すだけで思考停止に陥っているなど論外だ。
   課題の三つ目は、オバマ政権が経済を始めとする諸矛盾をここ一点に集約して突破しようとするかもしれない「環境エネルギー革命」への対応だ。原子力をやっていればいいなどとい言って新世代エネルギー技術でアメリカに逆転されたり、差をつけられていては、一時はリードした分野でさえメシの種にこと欠いて泣きをみることになる。

4. この3つの課題に対応するためには、強力な政権中枢と有能な政府が必要だ。腐敗や尊大は目立つが、わが国の政府の首から下は国際的に比較すれば一定のパフォーマンスを維持しているようだ。肝心なのは首から上。次の総選挙による政権交代を通じて生まれる小沢一郎内閣が、合理的な政策形成能力と強いチームワーク、また国民に対する説得力をもった内閣となり、わが国の中枢神経の機能を果たしていくよう願ってやまない。
                                                                  
                                                                                          以上 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月14日 (火)

クルーグマン氏のノーベル経済学賞受賞を喜ぶ

クルーグマン氏は「経済政策がやるべきことは二つだけある。一つは失業を減らすことであり、もう一つは富の再配分である」という論者だ。

世界金融情勢の現実と、これからやってくる大不況により、レーガン政権以来30年猛威を振るったインチキ錬金術経済学=日本では竹中平蔵氏が代表的論者=にいよいよ終止符を打つべき場面でのノーベル経済学賞はまことに時宜にかなっている。最近、もっとも嬉しかったことの一つだ。

新聞コラム執筆、ABCの日曜番組「ジスウィーク」のラウンドテーブル常連と、一般向けにも活発な発言を続け、「だから有力と言われているノーベル賞がとれない」などと言われたクルーグマン氏はもともとオバマ次期政権の経済諮問委員長の有力候補だっただろうが、政策転換を印象づける点からも就任が有力になったのではないか。

世界経済は当面最悪の状況に進むだろう。わが国の経済政策もある意味「何でもあり」ということになるだろう。そのような中で、同じ過ちの芽を摘み、良い方向への軌道修正を行うことで災い転じて福となすためには、われわれもクルーグマン氏のような本質を突いた発言に注目していきたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年5月12日 (月)

NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス」【感想】

NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス~日本の社会保障が危ない~」を見る。社会保障というと、話題として何が目立っているかということで「①年金、②高齢者医療、③介護保険‥」といった順番でとりあげられることが多いように思うが、ここでは「①医療保険、②介護保険、③生活保護、④教育支援‥」という順番で、しかもここのところ急速に進んだ「正規雇用の非正規雇用による置き換え」「小泉改革による社会保障費削減」がもたらしている影響という明確な視点を持って取り上げていた。

また「暗い面ばかり取り上げている」という自民党の政治家もいるのだろうが、さすがに小泉内閣以来の政権ブレーンである吉川洋氏も「非正規雇用の割合が増えすぎたと言う点ではコンセンサスがあると思う」と発言、財界代表の門脇英晴氏も「非正規雇用が増えれば、国民健康保険がどうなっていくかといった点で想像力に欠けていた」と認めざるを得なかった。企業が保険料を半分持つ正規雇用を減らし、企業の保険料負担のない非正規雇用に置き換えると、企業城下町の市町村で国民健康保険の負担が増え、これまで加入してきた商店主なども保険料が上がってしまうという状況が番組で紹介されていた(あの松下政経塾のスポンサー企業の城下町ではなかったか)。

吉川氏や門脇氏の殊勝な姿勢の裏には「だから消費税増税が必要でしょう」という主張があるわけだが、いずれにせよ金子勝教授が言われるように「最低限の保障はどれだけのものを整えるべきか」ということを、現実に起こっていることを出発点に国民合意を作り直すことが日本国憲法第25条からいっても、まずなされるべきことだ。国の政策、方向性の「転換」が必要なのだ。

森田は数年前、鼠けいヘルニア(脱腸)の手術をした。傷跡のほとんど残らない全身麻酔の腹腔鏡手術という何十万円もかかる手術だったが、7割は社会保険、同じく保険からの高額医療費補助、任意の掛け捨て共済保険からの給付でかなりの部分がカバーできた。以前、別のドキュメンタリー番組で、同じ病気の人がリストラで正社員の地位を失い、不幸が重なって国民健康保険の保険料も払えなくなった結果、病状が悪化して腸閉塞で死ぬリスクと背中合わせで暮らしている様子を紹介していた。

森田自身は制度のありがたさを感じたが、もっと苦しい立場の人が救われないのでは、やはりセーフティーネットとしては本末転倒だ。もちろん制度全体の再設計が必要だが、まず一番弱い立場の人に焦点を当てて緊急の手直しを考えるべきだろう。本来、政治がやるべき仕事はこういうことであるはずだ。

キャスターに町永俊雄氏が出てきたところで、今日はまじめな番組だということがわかったが、ケース紹介において政府・与党に容赦なく、討論では建設的な意見交換を重んじる、優れた番組だった。

                                  。

| | コメント (0) | トラックバック (1)