2008年5月12日 (月)

NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス」【感想】

NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス~日本の社会保障が危ない~」を見る。社会保障というと、話題として何が目立っているかということで「①年金、②高齢者医療、③介護保険‥」といった順番でとりあげられることが多いように思うが、ここでは「①医療保険、②介護保険、③生活保護、④教育支援‥」という順番で、しかもここのところ急速に進んだ「正規雇用の非正規雇用による置き換え」「小泉改革による社会保障費削減」がもたらしている影響という明確な視点を持って取り上げていた。

また「暗い面ばかり取り上げている」という自民党の政治家もいるのだろうが、さすがに小泉内閣以来の政権ブレーンである吉川洋氏も「非正規雇用の割合が増えすぎたと言う点ではコンセンサスがあると思う」と発言、財界代表の門脇英晴氏も「非正規雇用が増えれば、国民健康保険がどうなっていくかといった点で想像力に欠けていた」と認めざるを得なかった。企業が保険料を半分持つ正規雇用を減らし、企業の保険料負担のない非正規雇用に置き換えると、企業城下町の市町村で国民健康保険の負担が増え、これまで加入してきた商店主なども保険料が上がってしまうという状況が番組で紹介されていた(あの松下政経塾のスポンサー企業の城下町ではなかったか)。

吉川氏や門脇氏の殊勝な姿勢の裏には「だから消費税増税が必要でしょう」という主張があるわけだが、いずれにせよ金子勝教授が言われるように「最低限の保障はどれだけのものを整えるべきか」ということを、現実に起こっていることを出発点に国民合意を作り直すことが日本国憲法第25条からいっても、まずなされるべきことだ。国の政策、方向性の「転換」が必要なのだ。

森田は数年前、鼠けいヘルニア(脱腸)の手術をした。傷跡のほとんど残らない全身麻酔の腹腔鏡手術という何十万円もかかる手術だったが、7割は社会保険、同じく保険からの高額医療費補助、任意の掛け捨て共済保険からの給付でかなりの部分がカバーできた。以前、別のドキュメンタリー番組で、同じ病気の人がリストラで正社員の地位を失い、不幸が重なって国民健康保険の保険料も払えなくなった結果、病状が悪化して腸閉塞で死ぬリスクと背中合わせで暮らしている様子を紹介していた。

森田自身は制度のありがたさを感じたが、もっと苦しい立場の人が救われないのでは、やはりセーフティーネットとしては本末転倒だ。もちろん制度全体の再設計が必要だが、まず一番弱い立場の人に焦点を当てて緊急の手直しを考えるべきだろう。本来、政治がやるべき仕事はこういうことであるはずだ。

キャスターに町永俊雄氏が出てきたところで、今日はまじめな番組だということがわかったが、ケース紹介において政府・与党に容赦なく、討論では建設的な意見交換を重んじる、優れた番組だった。

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2008年4月22日 (火)

「高齢者医療新制度」=保険料で徴収するか、消費税で集めるか、累進税を充てるか=

年金からの天引きが始まったことも引き金か、という親子心中事件も起きて、高齢者対象の新医療制度への反発が厳しさを増している。

この制度設計の根底には「小泉・竹中」構造改革路線がある。高齢化で構造的に増える社会保障歳出についても他の政策経費と横並びで歳出カットが課され、厚生労働省はとにかく全分野での収支を改善するために「扶養家族になっている人にも保険料を課そう」「とりはぐれのないように年金天引きだ」と「小泉歳出削減路線」になんとか従おうとした結果出てきたのがこの制度である。

そして、この動きの背景にある考え方は「どんどん削れ。もうこれ以上削減されたらかないませんから、どうぞ消費税を引き上げて(社会保障費を確保して)くださいというところまで削れ」というのが小泉首相が言っていたと伝えられるところだ。これは森田がやや得意とする「翻訳」ではなく、本当にそう言っていたらしい。

そんな、死人まで出して社会保障の手当の必要な人々を恫喝し、増税を受け入れさせようというのが、小泉・竹中路線、またそれに同調する財務官僚たちの考え方だ。その一方で、ミサイル防衛システムという、やがて無用になり巨額経費を消費するだけの軍備競争はやっていこうと言うのだから、なんともはや、「軍備拡張、弱者切り捨て、愚民政策」の「右」全開の路線である。

困った状況に陥った人々が安心できるシステムを維持し、あるいは作り直していくことは必要だ。イデオロギー的に「小さな政府」を言うのではなく、本当に必要なシステムはどのようなものかを検討し、そのための財源について合意作りに努めるというのが本筋だろう。森田自身は、「インチキ小さな政府論」よりも、政府サービスの適正規模をしっかり検討し、その上で財源の確保についても国民合意の形成に努めるということが大事だと思う。端的に言って国民負担の上昇は説明でき、納得が得られる範囲なら選択肢から排除すべきではないと思っている。

ただし、国民負担には単純化すれば

①ひとり頭いくらと決まっていて、貧しい人ほど負担が重くのしかかる「保険料」、 ②消費に比例するので、低所得の人に負担が重いが、たくさん使う人がたくさん払うという面もある消費税、 ③税金は払う力のある人がたくさん払う所得税や法人税などの累進税

という三つの集め方がある。金持ちの味方の政府・与党から出てくるのは「保険料を上げるのが無理なら、消費税引き上げしかない」という、二者択一の選択肢だけだが、官庁と族議員が結託して設けている種々の特例措置撤廃、資産課税などの適正化といった方法も組み合わせるべきで、それらも含めてしっかり見直すというということが必要だろう。

2年前の制度改正時は、マスコミも「小泉改革支持」一辺倒でこの問題をわざと見過ごしていた。福田さんは「今になって騒ぐとは」という気分だろう。しかし、安倍政権ですら参院選の結果に恐れをなして半年導入を延期し、結局実施は難しいとも言われた制度変更を、強い反発を予想できずに導入してしまった福田さんの目測力は批判されても仕方がないだろう。

民主党は「ふざけるな」という高齢者の声に唱和していれば、当面の選挙にはいいのだろう。しかし、国の将来を考えるとそれだけでは十分ではない。社会保障、あるいは財政について「このように転換する」という原理、プログラムをぜひ整理して打ち出してほしい。

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2008年1月11日 (金)

テロ特措法、衆院再議決=「恒久法」?まさか国会の事前承認を外すつもりじゃないだろうな=

インド洋で米艦などに無料で給油を再び行う法案が、午前の参院本会議で否決され、午後の衆院本会議で自民党、公明党の与党などにより、3分の2の多数によって再議決されることになった。

憲法に定める手続きに則ったことであり、再議決自体はやむを得ない。しかし、中身について考えると、こんなことのために「衆院3分の2による再議決」を使うのは、権力の濫用ないしは段取り能力欠如の露呈としかいいようがない。

正月のNHKラジオで寺島実郎氏が、最近訪れたワシントンで、日本と直接関わるセクションにいないアメリカの外交官や、ビジネスマンと話した際に、テロ特措法の話をすると「何のこと?」という反応で、事実関係を説明すると「それで、給油活動には何の意味があるの?」という反応だったそうだ。

外務省や、アメリカの「日本屋」の話だけ聞いていると、安倍前首相ではないが現実離れした話を信じてしまうことになりかねない例だと思う。

「再議決」の前から、政府与党首脳レベルの「だから(自衛隊海外派遣の)『恒久法』が必要だ」という発言がニュースで報じられている。まさか今回「再議決」する法案みたいに、国会承認の手続きを外すつもりはないと信じたいが、そこは一番肝心なポイントとして注視したい。

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2007年12月11日 (火)

消費税を「社会保障税に」=朝三暮四効果で金持ち優遇税制を目論む自民党税調会長発言=

週末のテレビでも、自民党の津島税調会長が「消費税は社会保障税に」と発言したと報じられている。

この話を聞くと「社会保障の費用は高齢化で増えるし、消費税をほかの目的に使われるよりも、使い道を限定した方がいい」と思う人がいるかもしれない。

だまされない方がいい。社会保障の費用が増えたときに、その財源をどの税金に求めるかを考えるときに、本来ならば資産課税、複雑な企業向け優遇税制の整理、高額所得者がより多く負担する所得税なども検討対象にすへきなのに、「消費税」の名称を「社会保障税」に切り替えれば、「社会保障の増加分は第一義的に消費税で賄うことを国民合意にしたのだから、消費税アップで対応すべきだ」という話に換骨奪胎されていくだろう。

私は、適切な水準の社会保障水準を確保するために、増税は必要かもしれないと考えている。しかし、それをすべて「消費税で賄う」と決めるような、金持ち優遇税制の導入に道を開くことには反対だ。

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2007年2月 6日 (火)

二度目の柳沢厚労相発言

最初の発言について「柳沢さんは自民党の中でも、良識のあるまともな人なのにね」と話していたところ、再度の失言。社民党の福島党首に「やっぱり頭数でしか考えてないのか」と言われても仕方がない。

いつも同じことを繰り返しているが、これからの頭数を心配するのと同じくらい、すでに生まれている子どもたち「一人一人をもっと大切に育てる」ことを考えなきゃ。小学校の一学級の人数を15~20人くらいにすることなどをすぐにやるべき。

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2007年1月24日 (水)

新聞投稿「与太郎モノの落語は慎重に」

2007年1月23日付『朝日新聞』12面の「声」欄に、千葉の渡辺宅治さんという方の表題の投書が掲載されている(後掲)。

落語好きの渡辺さんは、近所で児童発達センターに通う子どもたちをよく見かけるようで、与太郎モノの落語は「弱い者いじめに通じ、親たちを深く悲しませるに違いない」と書いている。

落語好きで、高機能自閉の息子を持つ親として、渡辺さんがこの問題に着目して下さったことに感謝し、温かい気遣いをありがたく思う。

もっとも、渡辺さんが「こんな話しはかなり減ったが」と言うように、噺家の側に配慮があってか、寄席に出かけてこのことで不愉快に思ったことは一度もない。

落語には確かに「足りないヤツ」がよく出てくる。今で言えば広汎性発達障害にあたると思われる人物も多い。しかし、与太郎がそこに存在すること自体が、落語の描く世界に「互助」のシステムというか、支え合いが機能していることを示してもいるだろう。多くの「大家さん」も、対人関係の技術を身につけさせようと教えたり、生計を立てられるように手助けしている場合だってある。

そういうわけで、勉強熱心な若い噺家さんたちには、ぜひ広汎性発達障害についてよく勉強していただいた上で、ある意味宇宙人のような与太郎たちを、気味悪がったり、遠巻きにするのではなくて、面白いことは笑ってもいいから、多くの人が積極的に関わり、温かい目で心を触れあわせる楽しい世界を描いていっていただければなあと思う。

【以下は、頭書の渡辺さんの投稿の全文です】

与太郎モノの落語は慎重に

無職 渡辺 宅治(千葉県八千代市78歳)

東京浅草まで手軽に行けるので、寄席によく足を運ぶ。下町情緒に浸りながら、真打ち歌丸師匠の話に耳を傾けるのが楽しい。師匠の「透けて見える世の危うさ」(13日朝刊「私の視点」)を読んだ。昨今の落語ブームは「ギスギスした世の中の反動じゃないか」との指摘に納得した。

ところで、うちの近所では、母親に付き添われて児童発達支援センターに通うであろう子供たちが朝、バスに乗る。意思伝達に不自由な彼らが、どのように歩んでいくのかと思い、心が痛む。そんな彼らを見ているので、与太郎モノと呼ばれる落語が気がかりだ。

知恵の足りない与太郎が大家に笑いものにされるという類の筋書きだ。昔なら笑いを誘ったネタかもしれない。でも現代は弱い者いじめに通じ、親たちを深く悲しませるに違いない。少なくとも師匠の言う「聴いた後ジーンと来る、ほのぼのとする」話ではない。こんな話はかなり減ったが、落語家の皆さんには更に慎重に扱って頂きたいと思う。

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2006年10月 3日 (火)

経済財政諮問会議では、八代氏の雇用労働政策が特に要警戒~「きょうも歩く」より

「きょうも歩く」の黒川氏が、経済財政諮問会議では、とりわけ八代尚宏氏の雇用・労働政策に警戒が必要という指摘をしている。

これまでもオリックスの宮内氏が率いた規制改革会議の下で、雇用の「市場化」ということだけを訴えてきた由である。要注目の論点提示だと思う。

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2006年8月23日 (水)

発達障害対策予算増へ~正しい方向

厚生労働省が、発達障害児への支援の予算増へという内容の記事を見た。まだまだ不十分だが、正しい方向だ。人口の数パーセント占める発達障害児への支援を進めることは、親の負担をわずかでも軽減らすことで少子化対策につながる。周囲の状況が整わないが故に福祉の対象となったり、健常者の場合も同様だが、置かれた環境によっては犯罪予備軍になりかねないリスクを負った子どもたちが、立派な働き手(納税者)ともなって、社会を支える一員としてよい人生を送る可能性を広げる。施策の充実を望みたい。

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2006年8月 1日 (火)

谷垣氏の「税額控除」子宝減税論

自民党総裁選に出馬表明している谷垣禎一財務相が「子育て減税を『所得控除』ではなく、『税額控除』で」と言っている。確かに所得控除は金持ちほど手厚い減税の恩恵を受けることになる「格差拡大」政策であり、一理ある。

しかし、『税額控除』では、所得税などを納めていない低所得層には恩恵が行き届かないので中途半端なやり方だ。森田は『逆人頭税方式』を主張したい。

一番教育費のかかる高校生くらいまでを対象に『税額控除』の額を決め、さらにかつてフリードマンが主張した「負の所得税」のように、所得税などを納めていない層には税務署の方から同額の現金を給付するのだ。

財源は所得税の最高税率引き上げや相続税の強化などの不公平税制の是正を柱にする。消費税は基礎年金を全てそれでまかなう改革を行った上で、「さらに消費税引き上げによるべき」と多数意見がまとまるなら対象としてもよい。

国の労働力の水準を考えても、社会の安定を考えても、低所得層への子育て支援、公教育の充実こそ国家の運命を左右する。いくらでもベビーシッターを雇ったり、家庭教師を雇ったりできる高額所得者により手厚く税金をばらまくのは意味がない。「みんなで子どもを大事に育てよう」、「子どもは国の宝だ」ということならば、そこまで踏み込むべきだろう。

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2006年4月19日 (水)

日本医大の前医学部長、へき地の診療所長に

今日の『朝日新聞』朝刊2面の「ひと」欄に、日本医大医学部長を昨春定年退職した麻酔科医の小川龍(おがわ・りょう 66)さんが、志願して新潟県のへき地にある町立診療所長を務めて1年になるという記事が出ていた(2006年4月19日付)のを読み、とても良い話しだと思った。

自らの能力を活かし、しかも、かつて若い人々に求めた奉仕を自らも買って出る。医師というと申し訳ないけれども「仁術よりも算術」といった人々の顔ばかり思い浮かんでしまうが、こういう立派な人もおられるわけだ。

同じような気持ちを持ちながら、踏み切るきっかけや企画・実行力がちょっと足りないという人々もいるのではないだろうか。こういうことをコーディネートするNPOがあっても良いと思う。

【以下は記事の写しです】

(ひと)小川龍さん 日本医大医学部長からへき地の診療所長

 東京都心の日本医科大学医学部長を昨春、定年退職し、山奥の無医地区へやってきて1年。福島県境の新潟県阿賀町立鹿瀬診療所長を務める。
 群馬大学付属病院麻酔科医局員1期生で、日本の麻酔科の開拓者のひとり。日本医大付属病院副院長も務めた。
 日本医大で教えながら、自治医科大学でも非常勤で教えた。10年以上前、卒業生の文集で「学生に『へき地で働け』と言うのなら、教授も定年後はへき地で働いてはどうか」との一文を見つけ、もっともだ、と思い続けた。
 定年が迫った一昨年、へき地はどこか考えた。子供の頃に読んだ鈴木牧之の「北越雪譜」の秋山郷を思い出し、新潟県庁に手紙を書いた。
 「小生のような者でも健康な間、貴県の無医地区でお役に立てないか」。自治医大卒の県職員が目に留め、医師が不在の鹿瀬診療所を紹介。
 東京に妻を残し単身赴任。昨春まではいつも背広姿だった。診療所ではネクタイをつけたことがない。教授として医師100人を率いた頃、眠れぬ夜に酒量が増えたが、「今はストレスゼロです」。阿賀野川のせせらぎを子守歌に熟睡。酒量は減った。
 豪雪のこの冬、雪下ろしで腰や肩を痛めたお年寄りが次々訪れた。手早く局所麻酔薬を打ち、痛みの悪循環を断ち切る。ベテランの技が生きる。「技術を応用できて楽しい。現場が一番ですよ」
 (文・小野智美、写真・丹羽敏通)

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2006年3月13日 (月)

武部隆著『自閉症の子を持って』(新潮新書)

うんと軽い症状まで広く捉えると、人口の1パーセントくらいはいるのではないかと言われる「自閉症」などの発達障害は、親族などに当てはまる人がいない人には見当も付かないことだろう。最近までは、重度の心身障害者に比べれば法的にもほとんど無視されていたため、そういう子が生まれた時の両親の悩み、苦労は想像することが難しいに違いない。

篠原涼子主演のテレビドラマ(『光とともに』)が注目されたり、ようやく「支援法」ができて小中学校の先生たちも研修する人が増え始めたりと空気が変わりつつあるところだが、本書は時事通信の記者である著者が体験を綴ったもので、紹介される経験(幼稚園入園や小学校入学が大きな話題)には普遍性があり、学術面や医療機関の現状にわたる入門的な知識、行政の対応の問題点の指摘などもコンパクトに、平易に必要なことが書かれていると思う。良書であり広く薦めたい。

「少子化」などと騒いでいるが、生まれてきた一人一人をもっと社会が大切に、温かい目で育てるということがなければと思う。「早期発見」「早期ケアー」の効果は著者も指摘するところであり、竹中平蔵氏のような経済的な効率にしか関心のない人にわかる言葉で言っても「福祉支出の対象だけになるのか、稼いで納税する人になるか」の違いは大きいだろう。

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2006年2月23日 (木)

少子化対策「税額控除」検討の谷垣財務相答弁を評価する

 昨日の『日経』朝刊に、少子化対策として「税額控除も導入」を検討するという谷垣財務相の答弁があったという報道を見た。わかりやすく言えば、子育てをしている所得税の納税者に現金を渡すのと同じことになるわけだ。課税最低限以下の人をどうするかという問題を考える必要があるが、考え方の方向としては正しいと思う。

 結婚するかしないか、最初の子どもを産むかの先に二人目、三人目ということになると「でも大学卒業までにどれくらいコストがかかると思う?」ということになる。

 記事の後段に「子どもを持つ女性が働きやすい職場環境などを整えるのが先決」という指摘もあると書いている。それはそれ、「小さい政府」といった呪文ばかり唱えていないでさっさと予算を割いて進めるべきだ。

 しかし、マクロ的に「子どもを持とうかな」と思ってもらうインセンティブを高めるには、「受け取る年金は同じなのに、子どもを持たないで余裕を持てる人と、子どもを何人も大学まで出す人と、税負担が同じなのはおかしい」というところに手当をする必要がある。先立つものは何とやらで、そこを無視して「少子化対策」というのは空想的な政策だ。

 これに関わって、高等教育のコストを親と社会でどう分け持つべきか、もっとわかりやすく言えば、大学などの教育費がヨーロッパに比べ高すぎる現実をどう見るかということも重要だと思う。

 補助金をもらっている私学の一部に、バカみたいに豪華な理事長室で威張っている連中を見ると、私学補助から公立学校の充実への予算シフトが必要だ。公立学校の教育の充実が必要なのは小中学校だけではない。

 ITの発達で、学生全部を同じ時間に着席させる必要はないはずだ。国公立大学は、卒業試験をしっかりすれば国立大学の学部の定員など何倍にも引き上げて「希望者全入」にすべきではないか。

 私学には私学の存在価値がある。「官から民」の時代なのだから、私学の財政は「喜んでお金を出します」という人々に任せて、私学への公的な補助金は大幅にカットして、公教育が公教育としての使命をちゃんと果たせるよう教育予算の用途を絞る(金額は増やす)べきだ。

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2006年2月19日 (日)

民主党は「医療機関の明細領収書、レセプトIT化」義務づけの法案提出を

 「病院などは明細付領収書を出した方がいい。レセプトのIT化も医療費の無駄遣いをなくすことに役立つので当然だ」というのは大方の一致する意見だと思う。しかし、中医協の診療報酬改定についての答申で、これらはいずれも義務化しないことになってしまった。

 2006年2月19日付『毎日新聞』社説が言うとおり、中医協の構成のさらなる検討、公益委員の意識改革が必要である。さらに議会制民主主義についての「原理主義に」寄りそって言うならば、本来「唯一の立法機関」国会で討論して決めるべきことを、法律の手続きに則っているとは言え、官庁が仕切る当事者の談合組織に任せてしまっておいてよいのかという問題でもある。

 今のシステムに問題があって、国民の一般利益が侵害されているのに、与党の自民党も公明党も「改革の党」の羊頭を掲げながら、それで良しと狗肉を売っているわけなのだから、民主党は断然「明細付領収書、レセプトIT化義務化」の法案を提出して批判の論点を明確にし、政権交代の必要を大いにアピールすべきではないだろうか。あいまいな「メール」暴露よりもやることがあると思う。

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2005年9月29日 (木)

乳幼児歯科検診に欠席の家庭訪問を

 少子化問題と言いますが、子どもは年金保険料を払うために生まれてくるわけではありません。財政の事情から少子化対策を言うよりも、生まれてきた子どもたち一人一人を、日本社会のみんなで、もっと大切に育てることが大事ではないですか。

 9月28日付の『朝日新聞』コラム「天声人語」に、子どもの歯を診ると家庭の状況が推察できるが、乳幼児の一斉検診には10数パーセントが欠席するので、そこに家庭訪問する取り組みが紹介されています。

http://www.asahi.com/paper/column20050928.html

 「社会みんなで子育て」と言っても、行政は具体的な課題を与えなければ動きません。このような取り組みに予算を付け、あるいは何らかのガイドラインによって推進することが必要です。

 プライバシーということもあるかもしれませんが、子育て支援のボランティアや必要があれば行政機関との連携も視野に入れ、推進すべき施策の紹介であると思いました。

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