2008年5月23日 (金)

(メモ)最近の政治経済情勢に関わって

最近の政治経済情勢に関わって、思い浮かぶままに(一部、最近の発言と重複)

1. 「ねじれ国会」「胡錦涛主席来日」、また洞爺湖サミツトに向けての「温暖化対策」  など話題が多いわけですが、国際情勢を考えても、また国内の問題を考えても「21世紀に入ってから10年近くのわれわれがとってきた進路というものが、概ね正しいものだったのか、それとも、ある程度軌道修正といいますか、基本的な考え方を再検討した方がいいのか」ということを少し考えてみたいと思います。

2. いま食料が大幅に値上がりしています。パンもバターも牛乳も1割も2割も値上が  りしているということで、裕福なご家庭はいいかもしれませんが、月々はトントンとか、ボーナス頼みで月々の赤字を埋めて暮らしているといったお宅はたいへんです。世界中で穀物価格が上昇している。途上国の貧しい人々にとっては、それは飢え死にの危機を意味しています。穀物価格上昇の理由は複合的なものである言われています。

① まず、小麦の大産地であるオーストラリアが2年連続で干魃に見舞われたことが供給不足を招いたということが言われています。気象異変は世界的規模で、これも二酸化炭素排出による「温暖化」と関係があると言われます。

② さらに、中国やインドなどこれまで貧しかった国々がだんだん豊かな社会になって、これまで穀物を食べていた人々が肉を買って食べるようになった。そのことは結構なことなのですが、急速に伸びる食肉の需要を満たすためには、家畜のエサとなる資料穀物が大量に必要になってくる。

③ それに輪をかけて、「バイオエネルギー」の推進ということが穀物の値上がりに輪をかけることになりました。温暖化は科学的に証明されていないなどと言っていたブッシュ政権が、中間選挙での敗北や、ゴア元副大統領のキャンペーンが有権者の支持を受けていることを見て突然方向転換し、温暖化対策に熱を入れたわけですが、これでアメリカの農家はその方がずっと儲かるということで、今まで日本の醤油や豆腐のために作っていた大豆を燃料用のトウモロコシに切り替えるといったことが起こり、これまで作られていたトウモロコシも燃料用にまわされて値段が上がり、これまでトウモロコシを食べていたような豊かではない人々が、これはアメリカ大陸だけではなくて世界的に、食料が手に入らなくなって飢えるようにさえなってしまった。これを受けて、バイオエネルギーを推進するとしていたヨーロッパではEUなどもその政策を見直そうという動きを見せています。

④ さらに、これに輪をかけているのが「投機的なマネーの動き」というものです。アメリカの住宅バブル崩壊で株式市場などにも影が差す。石油の値上がりも激しいけれども、これはもう値上がりしすぎで、これ以上これに注ぎ込んでもあまり儲からないかもしれないと言っているところに、穀物価格が急上昇をはじめて、これがどっと流れ込むということが起こった。アメリカを始めとする先進国の金融政策の不備、投機マネーを野放しにしていることなども原因になっているのです。

 こうして見渡してみると、一見別々のことのように見える「環境問題」、「中国・インドの台頭と世界経済」、「エネルギー政策」、「食料・農業問題」、「経済政策」、「国際金融」といったものが複合的にからみあっていることが分かります。逆に言えば、今の世界は「環境問題」なら環境問題、「金融政策」なら金融政策といったように、個々の政策を行き当たりばったりに、あるいは特定の業界の声だけに耳を傾けて政策を決めていてはうまくいかない。いろいろなことを、それぞれの連関も視野に入れながら、総合的に企画していくということが重要になってきていることがわかります。

洞爺湖サミットにおいても、おそらくそういった方向で議論が行われるのではないかという気がします。われわれも、こういった問題を総合的にどう組み立てて、国益を守り、国民生活を守っていくのかということを、もう一度しっかり考え直す必要がありそうです。

3. 食料と並んで値上がりが激しいのがエネルギー価格です。これも、一部では「中国  やインドが大量に使うようになったので」ということが主な理由として言われますが、一方で「現状では、実際の需要をまかなうだけの石油生産は行われている」とも言われており、やはり「投機マネー」の動きなどの要因を指摘しなければなりません。

さらに、石油については食料の話しと違って「戦争」という要因を重視しなければならないと思います。端的に言って「イラク戦争」の問題です。ブッシュ政権は、ある意味で国際社会の多数派の意見を押し切ってイラクの問題を戦争で解決しようとした。わが国も、小泉政権の時代ですけれどもこれを「支持する」と表明した。

憲法第9条を持つ国として、国際紛争を戦争で解決しようというのを「支持する」 というのはスジとしておかしいというのが私が言っていたことですが、そのことを置いておくとして、イラクに対して戦争をしかけた結果どうなったか、今どうなっているかということを考えてみますと、イラクの情勢はご承知のようなことですし、イランの問題、レバノンの問題、アフガニスタンの問題など、そしていま必死で取り繕っているパレスチナの問題など、端的に言って中東情勢は収拾のつかない様相を呈していて、これが原油高の大きな背景にあることは言うまでもないことなのです。さらに、アメリカの中東や世界におけるリーダーシップは後退する結果を招いているわけです。

わが国やアメリカの中東をよく知る人々はこうした状況を的確に予測していましたので、そういう専門家の意見を無視して開戦を支持するということが良かったのかどうか、よく反省する必要があります。「世界を民主化する」という理想は良いのですが、政治は「結果」ですから、よい理想を掲げていればどんな結果を招いても免罪されるというものではありません。

4. 4月にイラクへの自衛隊派遣について名古屋高裁が「違憲」判決を出すということ  がありました。ひとつには、航空自衛隊が活動しているバクダットの空港は戦闘地域なのだから、憲法という以前に「イラク特措法」違反ではないかということでした。さらに、輸送機で米軍の兵員や武器弾薬を運ぶのは、まさしく国際紛争を武力で解決しようとする人々の活動と一体であり、国際紛争解決の手段としての戦争を放棄している憲法第9条に違反するというものでした。

この判決とその後の政界などの反応については、二つ言わなければならないことがあります。一つは、政府与党に「この判決の憲法判断は判決の主文でない、傍論なのだから」とことさら軽視するような意見が目立つことです。私は、こういった姿勢は、憲法の権力の相互抑制を重視する考え方から言って望ましいものだとは思いません。「権力の相互抑制機能の作動」として、司法府から「違憲」との判断が示されたわけですから、少なくとも「司法の判断として、重く受け止め、立法や法の運用に憲法の趣旨に反することがないか、あらためてよく再検討してみたいと思います」と謙虚な立場を示すのが本来とるべき姿勢ではないかと私は思います。もちろん、「傍論である」という指摘自体はその通りであり、この判決が司法全体の意思決定というわけではないわけですが、しかし基本姿勢としてはそのようであるべきだと思うわけです。

自衛隊についての、戦後のこれまでの議論を大くくりにしますと、まず第一段階としては、社会党などに異論がありながらも「戦争放棄の憲法は、侵略に対する自衛権や自衛隊の保持は認めている」という線が、戦後の自民党政権の一貫した姿勢でした。

そして冷戦終焉後、第二段階として「国連の活動、しかも紛争解決のための武力行使ではなく、例えば停戦している二つの勢力の間に割って入るといった活動は、多少危険だけれども国際社会の一員としてやるべきだ」というのが、宮沢内閣の時に成立した国連PKO協力法でした。ここまでは、国民合意も成熟してきているのではないかと思います。    

第三段階は、橋本内閣、小渕内閣がクリントン政権との間で進めた、いわゆる「周辺事態」の話しで、安保条約を結んでいるアメリカ軍をいざという時は手伝える範囲を広げましょうという話しでした。後藤田正晴さんなどもそうでしたが、私はここのところは慎重に考えるべきと考えていました。またこの内容は安保条約そのものには含まれていないもので、国内法としては整えられているけれども、アメリカとの約束という面では「国会で批准された条約改正」という手続きを踏んだものではありません。

私の見るところ小泉政権の「イラク戦争支持」と自衛隊のイラク派遣は、法律としては整えられているけれども、この第三段階をも飛び越えて「武力で紛争を解決しようとするアメリカを、兵員弾薬輸送で手伝う」というところまで飛躍してしまっているように思うのです。    ですから、私はこの判決もひとつの薬として、アメリカもマケイン氏が大統領になるにせよ、オバマ氏が大統領になるにせよ、とにかくブッシュ政権は終わって仕切り直しになるわけですから、わが国も一度頭を冷やして、憲法と自衛隊といった基本的な問題についても一度しっかり整理し直した方がいいのではないかと思います。

なお、判決をめぐって航空自衛隊の最高幹部が「そんなの関係ねえ」と発言したと伝えられましたが、これは言語道断のことであり、ほんのひと世代前の経験に鑑みましても、軍事力を持った集団の奢り高ぶりといったものは厳しく戒めていく必要があると思います。

5. 道路特定財源問題、あるいは後期高齢者医療問題などの弱い立場の人のセーフティーネットの問題など、いま大きな問題になっていることも、21世紀になってからわが国がとってきた路線、すなわち「構造改革」とは言うけれども、言ってみれば何でも横並びで歳出カットさえすれば良いというやり方全体をよく見直す必要を示していると思います。

ヨーロッパのような高福祉高負担では、経済成長が阻害されると言われ続けましたが、現実には例えば「一人あたりのGDP」といった指標で、つい最近ドイツやフランスに抜かれて世界18位に後退したと報じられました。日本経済がぱっとしないのと比べ、「高福祉・高負担」のフィンランドやノルウェーなど北欧諸国の経済は絶好調と言われています。

幸い、今年の秋か来年には総選挙が行われます。自民党も、民主党も、国会での抗争や、党内政局にばかりかまけることなく、21世紀初頭のわが国と世界の歩みをよく再検証し、国民に「これからの日本の進路はこれだ」という路線をしっかり整理して打ち出してもらいたいと思います。

                                                 以上 

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2008年5月12日 (月)

NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス」【感想】

NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス~日本の社会保障が危ない~」を見る。社会保障というと、話題として何が目立っているかということで「①年金、②高齢者医療、③介護保険‥」といった順番でとりあげられることが多いように思うが、ここでは「①医療保険、②介護保険、③生活保護、④教育支援‥」という順番で、しかもここのところ急速に進んだ「正規雇用の非正規雇用による置き換え」「小泉改革による社会保障費削減」がもたらしている影響という明確な視点を持って取り上げていた。

また「暗い面ばかり取り上げている」という自民党の政治家もいるのだろうが、さすがに小泉内閣以来の政権ブレーンである吉川洋氏も「非正規雇用の割合が増えすぎたと言う点ではコンセンサスがあると思う」と発言、財界代表の門脇英晴氏も「非正規雇用が増えれば、国民健康保険がどうなっていくかといった点で想像力に欠けていた」と認めざるを得なかった。企業が保険料を半分持つ正規雇用を減らし、企業の保険料負担のない非正規雇用に置き換えると、企業城下町の市町村で国民健康保険の負担が増え、これまで加入してきた商店主なども保険料が上がってしまうという状況が番組で紹介されていた(あの松下政経塾のスポンサー企業の城下町ではなかったか)。

吉川氏や門脇氏の殊勝な姿勢の裏には「だから消費税増税が必要でしょう」という主張があるわけだが、いずれにせよ金子勝教授が言われるように「最低限の保障はどれだけのものを整えるべきか」ということを、現実に起こっていることを出発点に国民合意を作り直すことが日本国憲法第25条からいっても、まずなされるべきことだ。国の政策、方向性の「転換」が必要なのだ。

森田は数年前、鼠けいヘルニア(脱腸)の手術をした。傷跡のほとんど残らない全身麻酔の腹腔鏡手術という何十万円もかかる手術だったが、7割は社会保険、同じく保険からの高額医療費補助、任意の掛け捨て共済保険からの給付でかなりの部分がカバーできた。以前、別のドキュメンタリー番組で、同じ病気の人がリストラで正社員の地位を失い、不幸が重なって国民健康保険の保険料も払えなくなった結果、病状が悪化して腸閉塞で死ぬリスクと背中合わせで暮らしている様子を紹介していた。

森田自身は制度のありがたさを感じたが、もっと苦しい立場の人が救われないのでは、やはりセーフティーネットとしては本末転倒だ。もちろん制度全体の再設計が必要だが、まず一番弱い立場の人に焦点を当てて緊急の手直しを考えるべきだろう。本来、政治がやるべき仕事はこういうことであるはずだ。

キャスターに町永俊雄氏が出てきたところで、今日はまじめな番組だということがわかったが、ケース紹介において政府・与党に容赦なく、討論では建設的な意見交換を重んじる、優れた番組だった。

                                  。

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2008年5月 3日 (土)

憲法記念日に思う=転換必要、改憲不要=

朝日新聞の世論調査では「9条改正 反対66%、賛成23%、差が拡大」という見出しを見て、結構なことだと思う。志ある人々の踏ん張りがあったし、安倍前首相が在任中の昨年3月に「従軍慰安婦に強制の証拠なし」と国会で答弁したことで、米民主党主導のアメリカ議会どころかブッシュ政権の逆鱗に触れて失速した敵失あたりが一つの転換点だった。参院選の結果も大きい。

それでも憲法改正が「必要」とする人が56%なのに対し、「必要ない」が31%にとどまるのは、森田としては大いに疑問あり。

日本は今、路線の転換を必要としている。ブッシュ・チェイニー路線にひたすら追随して戦争を手伝おうという外交安保路線の「転換」、「構造改革」を謳い文句に労働者の賃金を引き下げ、アメリカ頼み、中国頼みの見かけ上の好況にあぐらをかいて福祉・環境重視の内需振興への転換を怠って時間を空費してきた経済政策の「転換」が必要なのだ。

日本国憲法は、国民主権、議会制民主主義、自由から生存権までの基本的人権の尊重、平和主義と、近代国家の基本法として申し分ないものだ。森田としても「行政文書の全デジタル化と完全公開」とか、「平時における外国軍隊の常時駐留禁止」などの改正を行うというのなら、結構なことだと思うが、いま必要な「転換」のためには改憲など全く不要であり、むしろ「日本国憲法の趣旨をより徹底させる」ことが必要なのだというのが現在の情勢認識であり、憲法改正などやっている暇はないと思っている。

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2008年4月18日 (金)

「空自イラク活動違憲判決」に思う

名古屋高裁の「空自イラク活動違憲判決」(2008年4月17日)について、私は以下のようなことを思った。

【1】 「バクダットは戦闘地域であり、そこに多国籍軍の兵員を輸送するのは武力行使と一体になった行為であり、『特措法』にも違反し、違憲である」というのは、論理的で常識にかなった判決だ。この常識的な判決が「異例」と受け止められるのは、すなわち、通常は政府・与党に都合が悪い判決は、司法行政の中枢によって押さえ込まれていることの証左である。ほとんどの裁判官は「空気読み過ぎ」なのだ。そもそも、「司法試験には憲法第9条は出題されない」というあたりからおかしい。

【2】自衛隊の海外派遣と憲法9条の関係については、次の立場があり得る。

[A.一切認めない。] [B.国連PKO協力法に基づく、国連の一員としての活動に限定。]

[C.「周辺事態法」「イラク特措法」などに基づき、米軍をお手伝い。]

森田は 、宮沢内閣の段階における[B] の立場を基本にするべきであると考えている。[C]については橋本内閣の「日米共同宣言」で「アジア太平洋にお手伝いの範囲を広げよう」という発想が示され、小渕内閣の「周辺事態法」で法整備が行われた。小泉内閣のイラク戦争支持と派兵は、そういった積み重ねをさらにすっ飛ばした蛮行と呼ぶべきだろう。

[C]までやるのが「同盟国だから当然だ」「それくらいやらなければ日米安保が持たない」という意見の人も多いようだ。しかし森田は、それは必ず今度の「イラク戦争支持と派兵」のように、時の政権によって拡大解釈され、わが国自身のせっかくの「国際紛争解決の手段としての武力行使の放棄」という外交資源ともなる国家の原則を台無しにすると考える。

「日米安保条約」本体で、お互いに約束しているのは、「日本がアメリカに基地を提供する」ということと、「アメリカが日本を防衛すること」だ。アメリカがもし「守ってほしければもっとよこせ」「ショーザフラッグ、ブーツオンザグラウンド、もっと戦争を手伝え」という時に、歴代駐米大使のようにそのお使い走りになっていてはダメなので、「平時における基地提供と、事実上の無制限な自由使用だけではご不満ですか?条約以上のことについては、主権者の日本国民の声を聞く必要があります」としっかり主張し、国益を守ってもらわなければならない。

【3】軍事評論家の江畑謙介氏が「イラクに輸送目的で自衛隊を派遣した以上、何を運んでいるか他の国は関心がない。水や食料、燃料はいいが兵員や弾薬はだめなんて(今回の判断は)世界の常識と懸け離れている。兵員を運ばないことで自分の手が汚れないというのは自己満足だ」と判決を批判している(東京新聞)。

 江畑さんは兵器について、また軍事について豊富な知識を持った方だ。ここで言っておられることもファクトとしては当たっている。しかし、森田なら同じ指摘の上に立って「だからこそ、日本の輸送機の派遣自体、多くのイスラム圏、あるいは途上国の一般民衆から見れば、アメリカの戦争に荷担した敵対行為に見える。平和憲法の国だなどと言ってもインチキじゃないかと言われることになる」と言いたい。

江畑氏は続けて「世界貢献はこのような考え方では行き詰まるだろう。日本は食料自給率が低い。海外貢献せずに飢えてしまっていいのか」とコメントしている。江畑さんがどのようなご意見を持たれようとそれは自由だが、新聞社は誰に何を聞くかはもっと考えた方がいい。「世界貢献」といったことについてどう考えるかについてコメントをもとめるには、もっと適当な人がいそうである。

【以下は中日新聞の貼り付け】

空自イラク活動は違憲 名古屋高裁判決

2008年4月18日 02時28分

 自衛隊のイラク派遣は武力行使の放棄などを定めた憲法9条1項に違反するとして、全国の市民や元外交官ら約1100人が国に派遣差し止めや慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は17日、多国籍軍の武装兵士を輸送する航空自衛隊(空自)の活動について「憲法に違反する活動を含んでいる」として違憲との判断を示した。同項$について違憲の司法判断が示されたのは初めて。慰謝料などの訴えそのものは棄却されており、主文以外の判決文には法的拘束力はない。
 勝訴した国側は事実上、上告できず、原告側も上告しないため判決は確定する見通し。
 判決理由は、審理を担当した青山邦夫裁判長(退官)に代わって高田健一裁判長が代読した。

 判決は、現在のイラクの状況について「泥沼化していて、国際的な武力紛争が行われており、イラク特措法でいう戦闘地域である」と指摘。
 空自が米国からの要請を受け、2006年7月以降から実施しているバグダッド空港への空輸活動について、多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っていると認めた。
 その上で「他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と述べ、「イラク特措法に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」と認定した。
 派遣差し止めについては「控訴人(原告)らに違憲な戦争の遂行や協力などを強制される事態にはなっていない」として、原告としての訴えが認められないとした。
 06年4月の名古屋地裁での1審判決は、派遣差し止めなどについて却下した。
 これまで憲法9条に違反するとの判断が示されたのは、1973年9月、札幌地裁で出された長沼ナイキ基地訴訟の判決だけ。長沼判決では、自衛隊の存在について憲法9条2項(戦力不保持)に違反しているとした。

<判決の骨子>
▼イラク、特にバグダッドはイラク特措法が自衛隊の活動を認めていない戦闘地域に該当する
▼空自による多国籍軍武装兵員のバグダッドへの空輸は、他国の武力行使と一体化した行動で、自らも武力行使したとの評価を受ける
▼空自の空輸活動は、武力行使を禁じ活動地域を非戦闘地域に限定した特措法の規定に違反し、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる
▼違憲確認請求と差し止め請求は不適法。平和的生存権の侵害までは認められず、損害賠償請求は認められない
(中日新聞)

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2008年4月15日 (火)

井出孫六『中国残留邦人』(岩波新書)=広く薦めたい良書=

「中国残留孤児」が大きく報道され、世間の耳目を集めたのは80年代になってからのことだった。たまたま改革開放後の海外留学「一期生」の同じ年の友だちがいたのだが、NHKのテレビ中国語講座などでも活躍していた彼女が、当時はまだ東京オリンピック時代の建物を使っていた代々木のオリンピック記念青少年センターに通い、ボランティアを務めていたのには頭が下がった。

様子を聞くと「森田さん、信じられないかもしれないけれど、私は日本語の通訳というつもりで行ったけれども、あの人たちは中国語の読み書きも不自由なんです」と言われ、驚いたことを思い出す。

満蒙開拓団を一番多く送り出した長野県出身で1931年生まれの井出孫六氏は、自身の子ども時代のふるさとでの見聞から説き起こし、どのような背景、手続きで人々が大陸に送り込まれたのか、またどのような暮らしだったのかに始まり、終戦時の様子はもちろん、肝心なところとして戦後のわが国の保守政権が取り残された人々をどのように扱ったのかがこの本では時系列を追ってていねいに語られる。

どうして中国語の読み書きもできない人がいたのか。なぜ「残留孤児」ではなく、「残留邦人」という用語でなければならないのか。行政の恣意により若い女性だった故に一段と苦労されることになった方々のこと、また岸信介という人が政権に就き、日中関係の正常化をイデオロギーを先行で妨げたことが、残留日本人に「二次災害」と言ってもよい被害をもたらした政治面でのいきさつなどがよく見通せる。

この本は、若い人々が「中国残留邦人」の苦難をたて糸に、戦前戦後を通じての、日本という国家と国民の関係を実態に即して知る上でとても参考になる。神奈川県では知事の肝いりで高校の「日本史」が必修になるそうだが、大化の改新や蒙古襲来ばかり何度も繰り返して勉強していも仕方がないので、教師の方々には、この本を夏休みの課題図書にされることを薦めたい。

政治は「結果」なのだから、「自虐史観だ、いやそちらのは自慰史観だ」などといった観念的な話よりも、この教材で日本政府は戦前、戦後を通じて現実に国民をどのように扱ったのか、またいまは行政や司法でどのように扱っているのか、事実を学ぶことが良いと思う。

神戸地裁の判決が巻末に抄録されている。裁判官の出来映えも、国の運命を左右すると強く感じる。論点が少しそれるかもしれないが、今の時代、裁判の判決文も、個人の住所などは伏せ字にした上で、全文ホームページで閲覧できるようにし、広く国民の批評を受けるようにすることも考えるべきではないかと思った。

ところで、井出さんが三木内閣の井出一太郎官房長官の弟で、村山内閣の井出正一厚生相(さきがけ)の叔父であることは知る人ぞ知ることだろう。しかし、この本には伊東正義外相や新自由クラブの田川誠一代表などの名は見えるが、この問題で著者の働きかけもあって大いに働かれたに違いないこれらの著者の親族についての言及はない。こういう奥ゆかしさには、大いなる魅力というかなつかしさを感じる。

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2008年4月 3日 (木)

大阪、京都での「靖国 YASUKUNI」上映決定を歓迎する。

報道によると、大阪市淀川区の「第七芸術劇場」、広島市中区の「サロンシネマ」、京都市下京区の「京都シネマ」などが映画を予定通り上映することを決めたそうだ。自民党の稲田代議士一派の陰湿な圧力や、右翼の威圧には「屈しない」という姿勢を示されもので、高く評価すると共に連帯のエールを送りたい。

これらの館がリスクを負って使命を果たされようとすることに対し、皆で何か支援の方法を考えたい。

右翼の暴力に対しては、警察が法秩序を守る観点からもちゃんと役割を果たすことが大切だ。トップが基本姿勢を示すことが大切であり、かつて加藤紘一代議士宅が焼き討ちされた際には、小泉首相も、安倍官房長官も、一週間以上何のメッセージも発しなかったことがあったが、ここは福田総理および国家公安委員長から「言論の自由、表現の自由を暴力やいやがらせで損なおうとすることは、法秩序に対する挑戦であり、警察も毅然とした姿勢で臨むべきである」というメッセージが発せられて然るべきである。

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2008年4月 1日 (火)

NHKに映画「靖国 YASUKUNI」の放映を望む

「靖国 YASUKUNI」という映画が話題になっていたので、ぜひ見にいきたいと思っていた。上映予定館を調べたところ、便利なのはシネマート六本木というところなので、そこに出かけてみようと思っていた。

ところが、残念なが」ら「上映中止」ということだ。自民党の「右」が補助金の対象としておかしいというプレッシャーをかけ、映画館も右翼の威圧を受けたとか、それを恐れて「自粛した」などと言われている。

これを「あの2008年の桜の頃が、日本における言論の自由のターニングポイントだった」ということにしてはならない。

具体案が一つある。できれば地上波のチャンネル、次善の策としてはBS2でもよいので、NHKが放映することだ。

僕はNHKの視聴料をちゃんと払ってきた視聴者の一人として、事情があって映画館で見ることの難しい作品を見るチャンスがほしいという素朴な要望なのだが、同時に「いろいろな見方のある作品ですが、議論を深めるために放送します。視聴者のみなさんはどう思われますか」というスタンスでの放映は、公共放送の使命に合致していると思う。

もちろん、制作サイドでテレビ放映はビジネスの妨げだからいやだというのなら仕方がないが、そうでないなら積極的にNHKと対話されてはどうか。件の自民党・稲田代議士も、安倍前首相のお仲間ながら、言論の自由は守られるべきで、上映が不可能になることは望んでいないという趣旨のことを言っているらしいので、よもや放映に反対するということはないだろう。

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2008年3月18日 (火)

それにしても「読売」の社説は困ったものだ

 このブログを読んでいただけるような方々に、読売新聞の社説なんか読んで喜んでいる方はおられないと思うけれども、久しぶりに見てみると、あいかわらずひどい。若い人は社説なんか読んでいないと言っても、とにかく一番読者が多い新聞だし、少年ジャンプなどよりは発行部数も多いのだろうから、あまり呑気に見逃しているわけにもいかない。

 17日付のイラク戦争5年の社説などその代表例のひとつ。前半は、開戦時に「イラク戦争」を支持した自らの不明を恥じることもなく、へ理屈の強弁を重ねて見苦しく、「見通しが甘かった」という部分についても総括が全く甘いだけでなく、関係ない中国海軍軍人の「太平洋を中米で二分しよう」という横着な話を持ってきて、読者の関心をわざと肝心なことからそらしている。

 結論は「とにかく日米同盟強化」一辺倒だ。どんなに大ざ゛っぱに見ても、アメリカの半分の人は今の政権の「力の外交」がいいと思っていない。一方で、国務省の世界人権白書は「中国を著しく人権が侵害されている国」から外して、アル・ジャジーラに揶揄されているように、現ブッシュ政権も対中関係はビジネス優先だ。

 読売新聞の言うように、アメリカの虎の威を借るキツネとなって威張ろうなどと考えているだけでは、「日米同盟」のうち中国に備え、米軍産複合体を潤すための軍事支出拡大についての部分だけ押しつけられて、中国とよい関係を構築してビジネスもうまくやるというところはアメリカに全部持って行かれるということになるんじゃないか。

 アメリカや中国のことを置いておくとしても、とにかく不安を煽って軍事力強化を訴えるこのような社説の延長線上には、バランスのとれた、身の丈にあった国家像は想像できない。そうして、このような社説を垂れ流して国を誤らせても、戦前の新聞のように責任を問われることはないということだろう。

 ナベツネの意に沿う社説を書いていないと出世がおぼつかないというのはそうだろう。しかし、小さくはない影響力を考えると、森田としては文句のひとつも言っておかなければならない。

 必要なのは「軍拡、軍事同盟強化」ではなく、「賢明な外交」だ。朝起きたらおはようと言い、お正月が来たらおめでとうというのと同じくらいのあたりまえすぎることだが、「読売新聞の社説」は長いものに巻かれろの事大主義で、バカだと思われたくない人は、恥ずかしげもなく活動を再開した安倍晋三氏の主張や、こんな社説を受け売りしていては絶対にだめだ、ということを声を大にして言いたい。

【以下は言及した「社説」のコピー】

イラク戦争5年 米国の力の低下が心配だ(3月17日付・読売社説)

 開戦から5年。混迷が続くイラク情勢は、米国の重荷となっている。

 こうした状況が東アジアの安全保障に対する米国の役割、責任の低下につながってはいないか。日本にとっても重要な問題だ。

 米英が開戦の理由とした大量破壊兵器は、結局存在しなかった。米軍の死者数は約4000人にのぼる。イラク人の死者は、推計で10万人とも15万人とも言われる。それでもまだ、イラクで平和定着の確かな光明は見えない。

 ◆フセインが招いた戦争◆

 こうしたことから、イラク戦争を「大義なき戦争」とする批判がある。だが、開戦に至るまでの長い前段を忘れては、問題の本質を見誤る。

 2001年9月11日の米同時テロ後、米国は、大量破壊兵器の開発と拡散の疑惑がある「ならず者国家」への警戒を強めた。

 国連安全保障理事会の諸決議に違反し、湾岸戦争後10年以上も大量破壊兵器の廃棄検証義務を果たさないイラクのフセイン政権に疑いの目を向けたのは当然だ。

 国連査察の拒否という義務違反をこれ以上続ければ「深刻な結果に直面する」とした安保理決議1441で、イラクはようやく受け入れに転じた。

 だが、その後も、査察には限定的な協力しかしなかった。米英の兵力増強という圧力がなければ、それすら実行しなかったろう。

 大量破壊兵器が存在しないのであれば、それを挙証して戦争を回避できたはずである。それをしなかったフセイン政権の側に、戦争を招いた非がある。

 世界中が、イラクは大量破壊兵器を保有していると考えていた。現に、イランや国内クルド人に化学兵器を使用した前歴があった。日本では、開戦後、イラクは化学兵器を使うな、といった社説を掲げた有力紙もあった。

 イラク戦争では、米英と仏露独との対立で、安保理が機能不全に陥った。当時の状況では、米英が武力行使に踏み切り、日本がそれを支持したのは、やむを得ない選択だったと言える。

 ブッシュ米大統領はイラクを攻撃する米国の目的について、「イラクの脅威を取り除き、統治を国民の手に戻す」ことをあげた。

 5年後の今、イラク民主化はもくろみ通りに進んでいない。戦後統治の準備が万全であれば、今日ほどの混迷はなかっただろう。

 ◆甘かった戦後の見通し◆

 ブッシュ米政権は、異なる宗派、民族によるイラク国内の歴史的な確執を軽視し、すべてを軍事力で解決できると過信していた。

 昨年の米軍増派によって、治安悪化にはひとまず歯止めがかかった形だ。だが、14万人の駐留米軍の存在が依然として治安の要である状況に変わりはない。米軍駐留は長期化する可能性が高い。

 問題は、イラクの混迷が、国際社会における米国の指導力低下を招き、世界の安定に影を落としている点にある。

 米国は、イラクの安定化へ、本格政権の自立支援だけでなく、中東全体の安定に向けた外交の成果をあげる必要がある。それが次期政権の最優先課題でもあろう。

 イラクの安定は、原油の9割を中東からの輸入に頼る日本にとっても重要だ。人的貢献と復興支援は続けねばならない。

 イラク特措法の延長で、航空自衛隊の輸送業務活動が続いている。その内容や意義への国民の理解を深めることも大切だ。

 イラク戦争の影響は、東アジアの安全保障にも及んでいる。日本にとっては深刻な問題だ。

 イラク戦争と並行して、北朝鮮は核兵器開発を公然と再開し、ミサイル発射や核実験を強行した。北朝鮮は、イラクは核兵器を持たなかったために攻撃された、と自らの核保有を正当化している。

 日本の安全保障環境は北朝鮮の核実験で劇的に悪化した。

 東アジアでは、台頭する中国の軍事的な膨張も目立つ。中国軍の幹部が、米軍幹部に太平洋を分割しようと提案したという。そんなことが現実になれば、日本は中国の軍事的圧力にさらされ、国家としての存立も危うくなる。

 ◆日米同盟強化が大事だ◆

 米国がイラク情勢に足をとられ、東アジアでの影響力が減退していく状況は、日本として看過できない。米国の軍事力を背景にした圧力が、北朝鮮に核廃棄の決断を迫る重要なテコとなる。米国の力が弱まれば、北朝鮮は核廃棄に動くわけがない。

 日本は、東アジアの安定と繁栄をどう確保していくのか。そのためには緊密な日米関係を維持すべきだ。この地域での米国の力の弱体化は、日本の国益を損なう。

 東アジアの重要性について米国と認識を共有し、日米の連携が地域の発展に役立つことを確認していかなければならない。

(2008年3月17日01時30分  読売新聞)

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2008年2月28日 (木)

イージス艦衝突事件=ゴーストップ事件を想起する必要あり。ミサイル防衛システム導入は見直しを=

イージス艦あたごが引き起こした衝突事故に関して、防衛省が捜査に当たる海上保安庁に連絡することなく、艦長を本省にヘリで呼び出して聴き取りを行っていたという。これはシビリアンコントロールにとって分水嶺であり、われわれはゴーストップ事件を想起しつつ厳しく始末にあたらなければならない。

簡単に言えば、自衛隊が市民社会との関係で違法行為を問われたときに警察の管轄下に入るのか、勝手に行動することが許されるかという重大な問題なのだ。

先にも触れたが、自民党の憲法改正案は軍事裁判所の創設を謳っている。今回の事件に当てはめていえば、「事件の捜査には憲兵隊があたり、裁判は軍事裁判所の管轄になるので、海上保安庁は引っ込んでいろ」という状況を作るための改正案だ。

私はそんなことは認めたくない。自民党には改正案の「改正」を望みたいし、そうしないなら、次の総選挙以降、永久に野党になってもらいたい。

防衛省、自衛隊の抜本的なネジの締め直しが必要であることに多くの国民が気づいたわけだが、とりわけ象徴的なのは進めつつある「ミサイル防衛システム」導入の取り扱いだ。

これは、防衛省内でも意見が真っ二つに割れていたと言われている。そもそも本家のアメリカでもクリントン前大統領は、対人地雷禁止条約や全面核実験禁止条約を推進する文脈の中で、一時は国連演説で「配備計画の延期」を表明するなどしていた。

しかしブッシュ政権が誕生し、イラク戦争の下手人でもあるチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官がミサイル防衛を強力に推進する。わが国でも北朝鮮のミサイル発射や核実験に対する国民世論の沸騰を奇貨として、それに便乗する人々が多くなる。

そう言った中で、防衛省を牛耳った腐敗の権化である守屋前事務次官が強力に推進して配備を決定したのが「ミサイル防衛システム」であり、この巨費を要し、東アジアの核戦略にも微妙、というよりは、はっきり言って核軍備競争を激化させる要因となるシステムの現場を、どういう人々が運用することになつているかと言えば、今回の艦長だの見張り役だのといった人々と同じような人々なのだ。あたごがその尖兵であることは、広く報じられているとおりである。

「全ては艦長である私の責任です」と短いセンテンスで言い切れないエリート自衛官を見て多くの人が感じたと思うが、安倍晋三氏、衛藤征四郎氏あたりが鉦と太鼓で実現した「防衛庁の省昇格」など、きわめてナンセンスなことだった。

もうひとつ言えば、人命が失われた大事件だが、マスコミがこの事件を熱心に報道する一方で、たしかイラク戦争の際、海上自衛隊の幹部自衛官が、大臣にも内閣にも指示を受けていないのに、勝手に米海軍に連絡して「空母の出港時に、海上自衛隊のイージス艦が護衛に当たるよう、米海軍の方から要請してほしい」と頼み込んだといった話にはほとんど反応しなかったのは困ったことだ。

こういう軍人の政治的な動きは、軍艦の操船ミスによる事故などよりも国家の運命に悪影響を与える。

真珠湾攻撃の航空艦隊司令長官の南雲忠一という軍人がいる。この人は「日米交渉妥結の時は断固引き返すべし」という山本五十六連合艦隊司令長官に、「引き返せるわけがない」とタテつく一方で、第二次攻撃を見合わせて米軍の石油備蓄を温存させ、空母を撃ち漏らしている。ミッドウェーでは艦載機を「直ちに発進させるべし」という山口多聞少将の進言を退けて爆弾を魚雷に再びつけかえる作業をさせて大敗を招いた。

しかし森田は、南雲の大罪はそういった軍事面での無能以上に、元老東郷平八郎元帥まで担ぎ出してのロンドン軍縮条約反対運動の先頭に立って旗を振り、日本を愚かな戦争の路線を歩ませるお先棒をかついだことにあると考えている。この点で南雲が断罪されたことはないわけだが、同じようなことがいま繰り返されていないか、われわれは目を光らせる必要がある。

「ミサイル防衛システム」の洗い直し。イージス艦事故をきっかけとしてやるべき仕事の一番であると考える。

それにしても「亡国のイージス」という小説のタイトルを考えた作家は優れた時代感覚をしていると思う。

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2008年1月11日 (金)

テロ特措法、衆院再議決=「恒久法」?まさか国会の事前承認を外すつもりじゃないだろうな=

インド洋で米艦などに無料で給油を再び行う法案が、午前の参院本会議で否決され、午後の衆院本会議で自民党、公明党の与党などにより、3分の2の多数によって再議決されることになった。

憲法に定める手続きに則ったことであり、再議決自体はやむを得ない。しかし、中身について考えると、こんなことのために「衆院3分の2による再議決」を使うのは、権力の濫用ないしは段取り能力欠如の露呈としかいいようがない。

正月のNHKラジオで寺島実郎氏が、最近訪れたワシントンで、日本と直接関わるセクションにいないアメリカの外交官や、ビジネスマンと話した際に、テロ特措法の話をすると「何のこと?」という反応で、事実関係を説明すると「それで、給油活動には何の意味があるの?」という反応だったそうだ。

外務省や、アメリカの「日本屋」の話だけ聞いていると、安倍前首相ではないが現実離れした話を信じてしまうことになりかねない例だと思う。

「再議決」の前から、政府与党首脳レベルの「だから(自衛隊海外派遣の)『恒久法』が必要だ」という発言がニュースで報じられている。まさか今回「再議決」する法案みたいに、国会承認の手続きを外すつもりはないと信じたいが、そこは一番肝心なポイントとして注視したい。

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2007年12月15日 (土)

公明党太田代表の防衛費削減案を支持する

連立与党である公明党の太田代表が、来年度の防衛予算について、最近の水増し請求事件などを踏まえ徹底的に精査して減額すべきであり、さらに平成21年までの5年間にに24兆円を支出するとしている「中期防衛力整備計画」についても来年夏までに大幅に見直すべきであると発言しているが、支持したい。

防衛調達は割高である。また小泉「改革」ブームの時も、小泉氏らは祖父の小泉又次郎逓信相が参画していた浜口雄幸・民政党内閣がロンドン軍縮条約調印など軍事費削減に力を入れたのと対照的に、巨額な支出を要するミサイル防衛(MD)の開発参加、配備を決め、またイラク戦争支持、自衛隊派遣など「アメリカのお手伝いと海外派遣重視」の軍備増強路線をひた走った。

生活保護を事実上切られて餓死する人が出、障害者や高齢者医療費の自己負担を増やす一方で、軍事費だけは聖域にし、あげくのはては守屋夫妻の醜い腐敗事件である。自民党に自浄を期待するのは難しいだろうが、福祉と平和の党であるはずの「公明党」が、黙っていていいはずがない。テロ特措法の衆院再議決は、公明党の協力がなければ不可能だ。次期衆院選だって、自民党は公明党の力を借りなければ過半数維持も難しいだろう。

公明党がスジを通すならば、連立政権の軌道はましな方に修正されるだろう。もし、自民党が公明党の意見を無視するならば、一般の国民は公明党が連立を離脱し、今度は民主党と組むことになっても、あまり強い違和感は持たないだろう。他方、ただただ自民党の後をついて歩き、いざとなると説明のないまま連立の組み替えに走ろうとするなら、厳しい批判を招くことは免れないだろう。

公明党頑張れ!ととりあえず言っておこう。

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2007年12月13日 (木)

大阪府知事選、自民党の狂った人選

きっこのブログが言っていることに尽きていて、言い足すことなし。核武装論者の阿倍晋三氏を首相にしてしまった自民党であるとはいえ、「憲法改正して核武装すべきだ」などという人物に知事選出馬を要請すべきではない。

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2007年11月30日 (金)

「防衛省改革会議」報道の不思議

誰がどういう基準で人選しているのかが出ていない。福田総理が官邸に設けるという「防衛省改革会議」のこれまでの報道だ。

政府与党中枢、つまり結局は役人と自民党のボスたちが都合のいい顔ぶれを人選し、都合良く運営しようということは初めからわかっているわけだが、だからといって新聞やテレビ報道がブリーフィングを受けたままを回覧板のように配信し、放送していていいわけがない。

もっと国民に「よく見えるように」。報道はその使命に応えてほしい。

なお、国会。特に野党が多数を占める参院は、官邸お手盛りの「防衛省改革会議」に遠慮する必要などさらさらない。さっさと特別調査会を設けて、国政調査権を充分に発動し、参考人質疑、証人喚問も含め気張ってほしい。

なお、内閣の「防衛省改革会議」は「機密保持の徹底」を3本柱の一つとするという。「焼け太り」は奴らのお家芸である。なにせ、普通選挙法に治安維持法を抱き合わせた連中の直系の「子孫」たちのやることだ。監視の目を緩めてはならない。

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2007年11月 1日 (木)

自衛艦の航海日誌「紛失」-国民主権の確保には政府の「文書」および「情報公開」に関するルールの見直しが必要

 たとえば11月1日付『毎日新聞』朝刊は28面に◆「破棄あり得ない」 長崎・佐世保基地を最後に退職した元護衛艦乗りの海自OB(59)は「(保存期間は決められているが)航海日誌は、たとえ船が退役しても捨てたりできるものじゃない。なぜ、廃棄しなければならなかったのか。うさんくさい」という話しを紹介している。

 わが国は、官僚機構に事実上いいように操作された自民党単独政権が長く続いたために、「文書」は何について作られるべきで、それはどのような手続きで保存されるべきで、定められた手続きが守られなかったときにはどのようなペナルティーが課せられるべきかが「いい加減」なままだ。

 四半世紀前に「情報公開」のキャンペーンがあり、ようやく10年あまり前に「情報公開法」が制定されたが、そもそも政府の文書作成はどのようにあるべきかという基本論がないがしろにされてきた。情報公開法についても、施行されるときに例えばある役所の新人の公務員たちが忙しそうにしているので何をやっているのか聞くと、役所のパソコンの中にあるファイルを、「これは役所の文書、これは個人の文書」と仕分ける作業をやっていて、これが膨大で手間がかかるという返事が返ってきたことがある。

それはつまり、本当は全部役所の文書だけれども、「個人持ちの文書は公開の対象外」というルールを利用して、隠したい文書をそのカテゴリーに分類し直していたわけだ。

もうすぐできる民主党政権は、永久政権というわけでもないだろうから、こうした「政府の文書、情報に関する国民主権の確立」という観点から法制度の見直しにぜひ取り組んでいただきたい。与党になると、ついつい「野党自民党を利することになるのでは」という「欲」が判断をくらませる可能性があるのでクギを刺しておきたい。

新聞などプレスも、この問題をもっと突っ込んでもらいたい。記者さんの「芸」は、ルールの隙間を突いて、インフォーマルに情報を聞き出すことなのかもしれないが、やはり「情報は国民のもの」というルール確立に力を尽くし、その上で問題発見や取材のワザを競うという方が王道だろう。

【以下は共同通信の関係記事】

新たに2隻の航海日誌不明  防衛相「規則順守されず」

 石破茂防衛相は31日午後の衆院テロ防止特別委員会で、海上自衛隊補給艦「とわだ」など3隻で航海日誌が保存期間中に破棄されていた問題をめぐり、新たに2隻の日誌の一部が所在不明になっていることを明らかにした。航海日誌を船内に1年、地方総監部に3年保存する部内規則が「ほとんど順守されていなかった」とも指摘、海自内のずさんな文書管理の実態が浮き彫りとなった。

 海自の給油量訂正に絡む隠ぺい問題では、再発防止策を11月中に示した上で、来年3月末までに組織改革案を策定、来年の通常国会に防衛省設置法改正案を提出する意向を表明。「統合幕僚監部、陸海空幕僚監部、内局という在り方が国際標準とは思っていない」と抜本的な組織再編の可能性にも言及した。

 守屋武昌前防衛事務次官の証人喚問については「防衛省で聴いたのと違う話が(喚問で)出ている。もう一度試みてみたい」と述べ、再聴取を検討する考えを示した。

2007/10/31 18:52 【共同通信】

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2007年10月31日 (水)

民主党の「取り調べ録画」刑訴法改正案提出方針を支持する

えん罪事件などが絶えず、裁判官が「お気の毒」などと人ごとのようなコメントを言っている現状を考えると、取り調べに「録画」を義務づける法案を出そうという民主党の方針は理にかなっている。

長く続いた自民党一党天下の下では、法改正というと業界団体の利害に関わるようなチマチマした話しばかりで、「刑事訴訟法」改正によって人権保障をより確かにしようといった話しはほとんど聞いたことがなかった。参院の与野党逆転を現実に活かそうとするもので評価できる。

「お役人の天下」を終わらせるには、「刑法」「民法」などの基本的な法律からはじめ、政治が「立法権」を持っていることをハッキリさせるため、国民サイドに立って見直していく作業が必要だ。いろいろなお考えがある問題かも知れないが、森田は死刑廃止論であり、そこまで世論形成が進んでいない現段階でも「死刑と無期の中間に『終身刑』を作る」といった刑法改正はすぐに行うべきだと思う。

いま、前防衛事務次官の「接待漬け」が問題になっているけれども、お役人のごっつぁん体質を根本から直すには、収賄に関する刑法の条項に「職務権限にかかわらず」と書き込む改正をして、お役人は「物がほしければ自分でお金を出して買う」、「飲んだり食べたりしたければ自分でお金を出す」というルールの転換を行うべきだ。今は職務権限が裁判所に認定されなければ贈収賄にならないという、便宜供与については事実上無法状態なのだ。

元官僚の坂東真理子という人が書いた「女性の品格」と言う本が売れているそうだが、「品格ある女性は、お世話になった人に季節のおいしい食べ物を贈る」と書いているらしい。さすがに元キャリア官僚だけに頂き物が大好きなのだろうが、こういう根本的なところから直していかなければ、政治・行政の腐敗はいつまでも無くならないだろう。

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2007年10月30日 (火)

メディアは元幹部自衛官の佐藤元久参院議員(ヒゲの隊長・自民)に守屋前次官の批判だけ言わせておいていいのか

フジテレビの朝番組「とくダネ!」が、昨日の守屋前防衛事務次官の衆院・証人喚問を報じる中で、「この人も声を上げた」と安倍政権下の7月の参院選で自民党から比例代表で当選した佐藤正久議員の「俺たちが現場で苦労しているののに何やっているんだ」というニュアンスの守屋批判コメントを語る様子を流していた。

ここでこの番組が作りだしている構図は、「防衛省の役人トップの腐敗はあまりにひどい。イラク派遣などで現場で苦労している無垢な自衛官たちが気の毒だ」というイメージだ。

実際には、明らかになっている接待攻勢は業者の防衛省・自衛隊に対する接待攻勢の氷山の一角なのであり、むしろ防大出の制服組の自衛官たちのうち、有望とされる者には若い頃から高級食品を中元・歳暮に送りつけるのに始まり、激しい接待攻勢がかけられているのが実情だと巷間言われている。

この際必要なのは、関連業者との会合等の実態、報告などのルールが守られているといったことの洗い直しだ。野中弘務氏はかねてより「会合の飲食代を接待側が持つことに対する規制を緩めるべきだ」と主張している。野中氏の政見には賛成できるものが多いが、この問題については賛成できない。意見交換はオフィスですればいいのであり、情報公開は公平に、オープンで行うのが筋だ。

実態と離れて、「腐敗官僚」に対し「清廉な制服組」というイメージを作りだしていては、戦前「腐敗した政党政治」を叩いて、結果として軍部の台頭を招いたのと構造的には同じことを繰り返すことになる。

巨額の調達をめぐる不正は、大正時代の海軍大スキャンダルのジーメンス事件、いやきっと明治維新当初からの軍・官僚組織の宿痾なのだ。これには政治家・軍人、背広・制服の別はない。仮にもマスメディアに関わる人々は、多少なりともそういう歴史感覚を持って事実にメスを入れてほしい。

佐藤議員に対しては、防衛産業・商社などの制服組への働きかけの実態について詳しく聞くべきなのであり、内局の腐敗を叩いてアリバイを作る片棒をかつぐことなどあってはならないのである。

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2007年10月26日 (金)

対イラン開戦を決して「支持」してはならない

アメリカが対イラン単独制裁を打ち出し、アメリカ国内にも対イラン開戦を危惧する声が高まっているという。結論から先に言うが、もしアメリカが対イラン開戦に踏み切るとしても、日本政府は決してこれに「支持表明」をすべきでないと思う。

先日、『硫黄島からの手紙』の脚本家、アイリス・ヤマシタ氏が発言したパネルディスカッションを見に行った話しを書いたが、そこで元CNNのアンカー・パーソンで、PR会社を経営しているサチ・コト氏が、近年のアメリカメディアにおける対日イメージを良くした事例の一つとして、小泉首相(当時)が対イラク開戦に直ちに支持表明したことを挙げ「本当に素晴らしかった」と言っていたが、あれは結局アメリカの誤った政策を後押ししただけのことであり、日本はこれまで中東においてなんとか守ってきた「平和国家」のイメージを失った。

そうした政治的資源の損耗と引き替えに何を得たのか? 対北朝鮮政策で「拉致問題解決なくしてテロ国家指定を解除すべきでない」という日本の立場を尊重してもらえたのか? 結局は小泉氏が個人的にご褒美としてエアフォースワンでプレスリーの屋敷に連れて行ってもらってチャラにされてしまっているのではないか。

冗談はともかく、わが国は国際紛争解決の手段としての戦争を自ら禁じており、それは「良くないこと」だからそうしているのだから、日本国憲法が他国を制約するものではないけれども、自分は良くないこととして自ら禁じていることを、他国が行うことだからと言って「支持」するというのは、ロジカルでない。

それでは日米関係が危うくなる? いや、それは小泉内閣や安倍内閣、あるいは谷地事務次官や加藤駐米大使が、憲法や平和を大切にしようという気持を持つ多くの日本国民の気持ちを無視して「もっとやります」「私の力でもっとお手伝いするようにします」と対米忠誠競争を繰り広げた結果である。彼らが、現実離れした「期待感」をアメリカに植え付けてしまったのが原因なのだ。

最近、正体を現してきたシーファー大使や、アーミテージ氏はキーキー言ってくるだろう。民主党政権で日米関係を仕切ろうとしているキャンベル氏も、アメリカ政界で自分の日本に対するコントロール力を誇示するために、ハードラインで来るだろう。日本国内にも中曽根康弘氏や外務省、防衛省のある種の連中、自民党の中谷元、民主党の前原元代表らのようにそれに呼応する人々も出るだろう。

「過剰な忠誠競争」でなく、「リアリズム」に基づいて日米関係を考えれば、ベトナム戦争やイラク戦争同様、日本の基地を事実上の後方基地として、ほとんど無制限に使わせるということについて、将来はともかく、今回から急に安保条約に基づく事前協議を求めるといったことが適当かどうかは、慎重に考慮していいだろう。イランとの間で、新たなビジネスを進めるといったことは、凍結も検討すべきかもしれない。

しかし、そこまででいい。「戦争で国際紛争を解決するのを手伝うのは、わが国の原則と違う」と言うべきだし、実際問題として考えても「アフガニスタンでもイラクでも、お店だけ広げてしまって収拾つかなくなっているじゃないですか」と言うべきだ。

日本の「筋」を通す上でそうだし、アメリカ国民にもいろいろな人がいるのだから、チェイニーやアーミテージといった人々だけにシッポを振っていては、この先困ったことになるかもしれないというリアリズムも持つべきだ。

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2007年10月23日 (火)

シビリアンコントロールの問題として満州事変と本質的に同根=海上自衛隊の給油記録「誤報告」と政治的な隠蔽=

「テロ対策」としてインド洋に派遣している海上自衛隊の給油艦による、ペルシャ湾で活動する米軍空母への給油量について4分の1に過小報告し、海上自衛隊の制服組は福田官房長官(当時)がそれを根拠に「アフガニスタンでのテロ対策以外に転用がない」と答弁した時にはそのことを知っていながら、勝手な判断で隠蔽していたことが明らかになった。

自衛隊の海外での活動という、憲法の根幹に関わる問題について、自衛隊の制服組が勝手に情報を操作して、法律の逸脱を隠すということが罷り通っていては、シビリアンコントロールもなにもあったものではない。これを放置しては、やがて1931年に中国東北部で「満州事変」と呼ぶ戦争を勝手に始めた愚かな歴史が繰り返されることになるだろう。

石破防衛相が早速「徹底した再発防止」を言っているのは当然だが、それ以前に事実について究明することが大事だ。違法行為があるなら、「再発防止」以前に司法当局の捜査があるべきだし、こんなことが罷り通っていることに違法性がないと言うのなら、シビリアンコントロールに関わる「法の不備」は明確であり、必要な立法措置をとるべきだ。

これまでにも一、二度書いたが、「日本は戦争に負け、戦犯は裁かれ、憲法九条で軍隊はなくなった」というタテマエがあったため、かえって旧軍の愚行についての究明や、自衛隊に関するシビリアンコントロールの制度的な保障がおざなりになっている。

事実上の軍隊があり、時に米軍などと行動を共にし、役所の名前が「防衛省」に格上げされた今こそ、また「給油」や「前次官の腐敗」が大きなニュースになっている今こそ、徹底的な洗い直しを行うべきだ。

なお、前次官の腐敗は官僚組織全般に共通する問題で、徹底的な解明が必要だ。娘の留学がらみでも腐敗が起こっているとなると、官僚の家族の倫理観も問わねばなるまい。一罰百戒と言う点からは親族の証人喚問なども必要なのではないか。

しかし、一連のニュースの核心は制服組が勝手な振る舞いでシビリアンコントロールを犯していたことだ。前次官の腐敗には「国防総省にすら楯突く民族派(前次官)を、小池百合子氏に象徴される米軍産複合体のエージェントたちが叩いている」面も見え隠れする。「腐敗」「証人喚問」などワイドショー的には面白いが、まず追わなければならないのは「シビリアンコントロール」の方であることを忘れてはならないと思う。

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2007年10月 5日 (金)

安倍前首相が「任命」した古森重隆NHK経営委員長(富士フィルム社長)の偏向に要注意

安倍前首相の退陣は、さすがの温厚な国民もあまりの偏向に「ノー」を突きつけたということだが、安倍氏の教育基本法改悪強行成立などの悪しき実績は消えない。安倍氏の応援団である富士フィルム社長の古森重隆氏が、NHK経営委員長に就任したことも、安倍政権の亡霊として監視が必要だ。

なにしろ、参院選挙中の報道が野党寄りに偏向していたかのような圧力発言だ。NHK叩きが続く中で、NHKの現場は「憲法60年」にしても、もうすぐ体験者がみな他界してしまうであろう年齢に達した、先の大戦についての「証言」を集めたドキュメンタリーにしても、よい仕事をしているのが気に入らないのだろう。

古森氏が経営委員にふさわしい人なのかどうか、ここはよほど注意して見ていく必要がある。参議院も責任をもって考えるべきだし、われわれも必要があれば「富士フィルム」に対して何らかの意思表示をしていくことも考えるべきだろう。

「朝日新聞」が、社説で古森氏のNHKの経費削減などについての言動に拍手を送っていたが、たまたま対立した経緯があるからといって、肝心なことを外していると思う。

NHKの議事録公開はたいへん結構なことだ。政府の各種「審議会」も議事録公開を法的に義務づければ、少しは国民の目が行き届くことになると思う。

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2007年10月 2日 (火)

教科書検定による「沖縄戦自決強制否定」-野党多数の参議院は徹底検証と制度の再設計提案を

9月29日(土)に沖縄で、教科書検定で沖縄戦における集団自決において、それが「軍による強制ではなかった」と印象づけられるような書き換えが求められていたことについての抗議大集会が行われ、週明け、町村官房長官が沖縄県民の意を汲んで何らかの措置がとれないか知恵を出すよう指示しているという趣旨の発言をしている。

安倍前政権に象徴される、自民党や官僚組織内部の「『軍』復活」を目論む右派にとって、沖縄戦において「軍」が県民に対してどのような振る舞いをしたかという「現実」は、誠に不都合なものであり、それをできるだけ隠したいということだったのだろうが、それはまず意図をもって真実をねじ曲げるという点で正義にもとり、また体験者や子孫である沖縄の人々に対してはたいへん失礼な話しだ。

官房長官らは、役所に「知恵を出せ」という話しとともに、「教科書会社が自主的に書き換えることを期待する」という姿勢も示している。これはまた別の観点から大問題だ。すなわち、偏った政治的意図を持った政治集団が、匿名で政治行政をねじ曲げて誤った行為を行い、それが露見して正すときに、いきさつも、責任の所在も明らかにせず、「選挙」と「基地対策」目当ての弥縫だけを、他人に仕事を押しつけて行おうとするものだ。

「誤った歴史の書き換え」の中味をもとに戻すとともに、誰がどうやって、どういう理屈と法的正当制の下で作業をしたのかという検証をするとともに、教科書検定制度についての透明性とアカウンタビリティーの保障される方向での制度の再設計を示すことが、参院で多数を占める野党に求められる。

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2007年8月 9日 (木)

小沢党首対小池防衛相論争-日米関係の長期的な安定に資するのは小沢氏の立場だ

「イラク特措法」延長問題として語られている問題は、ひと言で言えば、アメリカなどの「対テロ戦争」をお手伝いするために、インド洋などに海上自衛隊の給油艦を出して、アメリカなど各国海軍の艦艇に無料で給油するサービスを、10月一杯という期限を延長して続けるかどうかということだ。

これについて、民主党の小沢一郎党首は「これまでも反対してきたし、今度も同じ」としていて、面談して延長を求めたアメリカのシーファー大使に対しても、「アメリカ軍の展開も、国連の決議による派遣でない」としてはっきり拒否の姿勢を明らかにした。当初「面談拒否」と伝えられ、いつもの横着ぶりが民主党の足を引っ張るのではないかと心配したが、面談した上でハッキリ考えを伝えたのはたいへん良かった。

これに対して小池防衛相はアメリ