アメリカ

2009年7月11日 (土)

核兵器持ち込み外務省「密約」文書

ここのところ、外務省OBの一部が核兵器持ち込みの密約文書について、外務省内で行われていた「申し送り」について証言していることが記事になっている。

森田のコメント3つ。まず、これは憶測かつ焦点とは関係ないかも知れないけれども、文書隠しのからくりの一つに「これは役所の文書のファイルへ、これは個人持ちの文書なので別のファイル(情報公開法の対象外)へ」という仕分けが、情報公開法を骨抜きにするテクニックとして恣意的に行われているのではないか、という以前にも書いたこと。2000年の夏頃、外務省の新入り事務官から雑談の中で聞いた話からの推測。

これは、長い過去の経緯との関係ではサイドストーリーだが、「10年前の廃棄」ということでは今度の話と直結する可能性もゼロではない=「紙」は廃棄されても、外務省の持つデータのうち、個人持ち資料と偽装されてパソコンの中にあるのではないか=と言うのが森田の推理。再発防止という点からは、中心テーマの一つと言える。今度出来た文書管理法、10年になる情報公開法に抜け穴はないか。今日と明日の問題として重要だ。

森田のコメントの二つめは、間もなくできる民主党政権の外相人事は重要だということだ。「密約」の検証のためには、岡田克也、菅直人、長妻某氏のような調査能力のある人々を投入する必要があるが、こうした人々は政権全体を考えてもっとカナメのポストに就けるべきかもしれない。さりとて、役人やアメリカ軍部のいいなりになるような者ではダメだ。田中真紀子氏など、希望者は多いのだろうが、かきまわすだけで論理的な説明が出来ない人はこの問題についてだけ考えても弊害が多い‥

コメント3つ。いろいろ発言する外務省OBの思惑はそれぞれだろうが、ストーリー仕立てにすれば「政権交替のどさくさまぎれに、不都合な過去を精算してしまいたい。そうして、北朝鮮をにらんでの核兵器をしっかり日本国内・周辺に配備するよう求めるなど、アメリカとの軍事協力をもっと大手を振って前に進めたい」というOB・幹部のムラ社会内部のあうんの呼吸による連係プレーが展開しているようにも見える。

そんなバカなことを進めさせてはいけない。直接の話題としては、一世代前の日本外交の話だが、本質的に日本の今日と明日に関わる話題である。注視し、方向性を誤らないようにしたい。

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2009年6月10日 (水)

辻井伸行さん、ヴァン・クライバーン氏

全盲のピアニスト、辻井伸行さんがヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝という嬉しいニュースがあった。

親御さんが大事に育てられ、才能に恵まれたとはいえ、本人も常人では考えられない頑張りでの国際コンクール優勝だ。

コンクールに優勝するばかりが大事だというわけではないけれども、わが家の発達障害の息子も、自分たちなりに頑張って育ててきたという気持ちがあるだけに、辻井さんのご両親に心から拍手を送りたい。

ところで、ヴァン・クライバーン氏(70歳代で健在)がチャイコフスキーコンクールで優勝し、大ブームになったのは旧ソ連はフルシチョフ政権、アメリカはケネディ政権誕生前夜で、後のキューバ危機を挟んで「デタント」が模索された時期である。

わが家にあるクライバーンが弾いてフリッツライナー指揮シカゴ交響楽団がサポートしたベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番のジャケットの写真を見ると、実に若々しい美男、その演奏と同様に爽やかイメージの人だったようだ。

クライバーンのチャイコフスキーコンクール優勝はソ連共産党のデタントに向けたサインか?

そういう要素は否定できないかもしれないけれども、アメリカ国民の反応はソ連側の計算を超えたものだったかもしれない。

余談だが、森田の中学の英語の教科書は三省堂の「クラウン」で、主人公のジョンはギターも弾くけれどもピアニストを目指していて、ソ連でピアニストを目指しているスタニスラフと文通していた。このストーリーもクライバーンのエピソードが投影していたのではないか。

辻井君の優勝に政治的な背景はないだろう。でも、ひょっとしたら「カネ儲けを考えて中国ばかりに注目してきたけど、落ち着いて考えると日本人もつきあう甲斐があるかも」という空気がアメリカの一部にあって、それが反映したこともあり得るか、などと空想する。

それはともかく、こうした嬉しいニュースが、福祉に目がいき、文化や教育の大切さが改めて意識され、全ての子どもたちが大切に育てられることにつながるといいなあと思う。

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2009年5月19日 (火)

オバマ大統領より日本共産党の書簡に返事

少し前に日本共産党がオバマ米大統領に宛てて、核廃絶をめざすと明確に述べた「プラハ演説」を評価するという書簡を送ったというベタ記事に興味を引かれた。

オバマブームに便乗というところもあるのかもしれないが、それはそれとして「米軍基地をなくす」(=日米安保条約を廃棄ないし改訂する)という主張を明確に持ったまま、アメリカとも良い関係を結ぶつもりはあるし、少なくとも「良いことをしたり言ったりすれば評価する」という是々非々の姿勢を示したものだ。

なんと、この点では日本共産党は森田敬一郎と同じラインか。いやいや、プラハ演説のような世界政治の転換点ともなり得る良いメッセージが出たときには=現にNPT再検討会議の準備会合は外務省的には「予想外」の順調な議題設定となったと報じられている=ハッキリとメッセージを出すということがなければならないので、高く評価すべきだと思う。

総選挙では、民主党が比較第1党となる蓋然性がある程度ある。今後の政治の流れによっては単独過半数ということもあるかもしれないが、参議院のこともあるので「民主」「社民」「国民新党」による鳩山首相指名というところが、予想される範囲のベストということになるだろう。

ただ、確率的には小さいかもしれないが、こんなケースがあると思う。衆院の首班指名だが、「自民プラス公明」と、「民主プラス社民、国民新党」が拮抗し、「日本共産党が棄権すれば麻生内閣継続」、「日本共産党が政権には参加しない前提で鳩山に投票すれば、民主党プラス社民、国民新党による3党連立による鳩山内閣成立」というケースだ。

レアケースだろうが、自民党は「非武装中立」の村山さんをかついで政権奪取した実績がある。対共産党工作も誰も考えつかないような作戦を繰り出してくるだろう。

民主党を中心とした勢力には、必要ないかもしれないけれども「共産党対策」を念頭に置いておくことを薦めたい(そういえば、鳩山一郎氏は「日ソ正常化をやる」ということで、たしか左派社会党の投票も得て首相になったのではなかったか)。

日本共産党には、そういう場面になればここは政権交代を期待する人々の声に応えてほしい。情けは人のためならずというが、そうして功徳を積んでおけば、いつか共産党が中心になる政権の実現が近づくだろう。

逆に「民主主要打撃論」のような挙に出るならば、全く微力ではあるけれども「森田敬一郎の発言」は共産党と戦わなければならない。

それにしても、オバマ大統領はどうして日本共産党に返事をよこしたのだろう。深い意味はないかもしれないし、情報もないので勝手な憶測をするだけだが、ひよっとしたらオバマ周辺の日本分析者の間に「日本共産党は政権に参加する心配はないし、極右の安倍晋三などよりは本質的に自分たちの考えに近い」という空気があるのだろうか。

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2009年5月 2日 (土)

映画「スラムドッグ$ミリオネア」(感想)

昨日は出勤だったが、映画1000円の日だったので新宿バルト9で待ち合わせ、家族で「スラムドッグ$ミリオネア」の19時10分の回を鑑賞。満席だった。

素晴らしい映画だと思う。

映画は「人生」と「世界」を描いて見せるものだと思う。この映画の主人公の兄弟も、例えば「ダークナイト」のバットマンとジョーカー同様、人間誰しも持つ二つの側面を象徴し、見るものの心を揺さぶり、単純な「勧善懲悪」を見た時とは違う深い共感を呼び起こす。

そして「ダークナイト」においては引退も考えるバットマンと、バットマンが後事を託そうと考える正義派の若手地方検事との立場の違い、「スラムドッグ$ミリオネア」においては成長していく主人公の少年少女の成長と、巨大スラムが高層ビル群に変化した大都市ムンバイの変化の描写が人生における「時間」の流れについて考えさせ、感情を揺さぶる。

しかし、心を揺さぶる点で両作品は共通するが、のっけからの巨大スラムの臭いが沸き立つような生々しい描写から、宗教に関わる激しい衝突の場面、そして建築中のビルの高層から見るムンバイの建築ラッシュのパノラマなどで、「世界」の「いま」を表現の背景に強烈に描き込んでいる点で、「スラムドッグ$ミリオネア」の方が世界規模の視野とジャーナリスティックな視点をより多く含んでいると言えるだろう。

「インドが初めてハリウッド映画で描かれた」という言い方がされるが、確かに途上国の貧困に正面からふれた作品がアカデミー賞を総なめにしたことに、時代の変化を感じる。それ以上に主人公がイスラム教徒という欧米の映画(ハリウッドも資本参加した英国人監督の英国映画)というのはたいへん珍しいことなのではないか。

(やはり、「9・11で世界は変わった」というのは間違いで、「9・11で一時的に起こった逆流もようやく収まり、世界は再び望ましい方向への変化を静かに進めつつある」というのが出しい時代の読み方だ。「小泉政権」「安部政権」などによって、逆流に適合していた自民党政権に変わり、この映画で描かれたような「世界の問題」に真剣に取り組むような、フレッシュな日本の政権が誕生することが望まれる。)

そして主人公の子ども時代に、彼らの集落がヒンズー教徒過激派らしき集団に襲撃される場面が出てくるなど、「宗教」をかなりはっきり描いている部分があるが、今のところこの映画が「イスラム教組織」「イスラム教国」などから何らかの批判や攻撃にさらされているという話は聞かない。

恐らく、脚本・演出などを通じてイスラム教について高度な理解が示されていることが、そのような結果につながっているのではないかと推測する。

しかし、映画の本筋は「一人の女性への一途な思い」を抱き続ける青年が、自身のダークサイドを象徴するとも言える兄との「戦い」の中で成長し、その過激な人生経験がクイズ番組での正答に結びついて‥という展開。わが息子も「いろいろな体験が、クイズの解答に役立っていた」と、学校への往復とパソコンだけと向き合う人生についてちょっと反省。

ワルの兄とが時々決定的な場面で例外的に見せる弟への思いが、映画全体のメッセージを圧倒的に前向きなものにしていると言えるだろう。

世界と、人生と、「時の流れ」についての見事な表現を見せてくれる作品。その面で期待していたわけではないので、かえって得した気分になるエンディングのインド映画風の楽しくエネルギッシュな群舞シーンも良かった。

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2009年4月17日 (金)

映画「ダークナイト」(2008年)

最近、新設された「映画館スタッフが、観客に勧めたい映画」というコンセプトの「映画館大賞」では邦画の「ぐるりのこと」「おくりびと」「歩いても 歩いても」「トウキョウソナタ」などが上位を占めたが、大賞はアメリカで興行成績を次々塗り替えたハリウッドのバットマン映画「ダークナイト」だった。

レンタルビデオ屋の並ぶ空き箱に1本だけ「貸し出し可」のDVD。さすがの出来映え。バットマンが後事を託すに足ると考えた正義派地方検事のデントと彼の道行きを描いていく中で、ダークサイドのない存在などあり得ないことを抉り出していく。

大ヒットの原動力が、遺作となったヒース・レジャーによるバットマンの反対存在・ジョーカーの突き抜けた力演・怪演であることは言うまでもないが、森田が大ヒットのカギとして注目したのは二隻のフェリーボートに満員の乗船客同士が、ジョーカーに「先にスイッチを入れ相手を皆殺しにした方だけ助けてやる」と恐怖のゲームを仕掛けられた場面だ。

チェイニー前副大統領、ラムズフェルド前国防長官なら、迷わず起爆スイッチを入れただろう。しかし、丁寧に心理劇が描かれた結果、市民、あの局面に置かれたアメリカ国民は‥

かなり肯定的なメッセージ。ダークサイドに力点があると言われる作品だが、アメリカの一般市民の倫理性に対する絶対の信頼感、あるいは「希望」が謳われていることがアメリカ人の心を打ったのではないか。

それにしても、ここまでの興行成績ということは「ダーククナイト」が人類の歴史の中で繰り返し語られてきた神話と同じ構造を持っていることを疑うべきなのだろう。

例えばひと昔前の「タイタニック」のストーリーは、神話学者・故ジョーゼフ・キャンベルが言う「オリに閉じこめられ、内面的には自分で自分をオリに閉じこめているヒロインのところに、旅の途上の若き英雄が現れて彼女をくびきから解き放つ。しかし、若き英雄は戦いの中で死ぬ」という、世界中に共通して存在する神話そのものだと思う。

「ダークナイト」も絵解きしてみたいものだ。もっとも、それ以前に「暗い夜」じゃなくて「暗黒の騎士」だったのか、と今頃気がついているわけなのだが。

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2009年4月16日 (木)

一部スペイン語になった「ウェストサイド・ストーリー」

2週間ほど前だろうか、NHKの朝ニュースで、こんどのNYブロードウェーでのミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」はセリフや歌詞の一部がスペイン語に変更され、ヒロインはアルゼンチンでスカウトされた女優が務めると現地レポートで紹介していた。

「ロメオとジュリエット」の本歌取りで、マンハッタンのさびれた西の外れを舞台に、イタリア系のジェット団とプエルトリコ系のシャーク団という、ニューヨークの最下層を象徴する二つの10代のチンピラグループの縄張り争いと、愛し合う二人の犠牲を描いたミュージカルは半世紀前に大ヒットし、チャキリスが大人気となり、ナタリー・ウッドがヒロイン(歌唱は「口パク」。北京オリンピックで騒いだ人たちはハリウッドの伝統を知らない)を演じた映画はわが国でも大ヒットした。

ピンとくる人が多いだろうが、カリブ海の米領プエル・トリコの人々はスペイン語がネイティブの今でいえばヒスパニックで、彼らがたむろしたり、歌う場面が全部英語という方がリアリティーに欠けていたと言える。

今の興行主や演出家による勝手な変更か?-作曲のレナード・バーンスタインも、振り付けのエイモリー・ロビンスもすでに亡く‥、と思って見ていたら、オリジナルの脚本家が存命で、彼自身が当時からスペイン語の採用を希望していて、今回それが実現したのだという。

いっとき「戦争と愛国主義」にすっかり傾斜してしまっていたアメリカが、多文化に寛容な方向に少し振り子が戻っていることを感じさせる興味深いレポートだった。

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2009年4月14日 (火)

安倍晋三元首相「核軍縮特使」のブラックユーモア

安倍晋三元首相が、オバマ大統領の「核のない世界をめざす」というプラハ演説への支持と協力を表明する麻生首相による親書を携えて訪米し、バイデン副大統領と会談するという。「チョロチョロするな」と思うのは森田だけではないだろう。

提灯持ちは谷地元外務次官だという。無責任な辞め方をして国益を損なった核武装論者で、アメリカの対北朝鮮対話政策を批判して「孤立を恐れず」と騒いでいる元総理が、小泉内閣時にブッシュ・チェイニー路線に完全に追随し、憲法を逸脱した戦争支持、自衛隊の戦地派遣をリードした当時の内閣官房副長官補(のち外務次官)の案内で、二人してオバマ政権に取り入ろうというわけだ。

恐らく、大統領補佐官などにアポを入れておいて、先方の配慮によるオバマ大統領との「思いがけない会談」の実現などを請い願っていることだろう。

「風見鶏」ということばもあるが、われわれにとってオバマ政権成立の意義の一面は、本来、小泉・安倍・谷地といった人々による、ブッシュ・チェイニー路線追随による憲法破壊に歯止めがかかる「チェンジ」の実現ということなのだが。

どうせ二人のことだから、表向きの理由は別にして「民主党では日米関係がダメだ。われわれは、少なくとも憲法の集団的自衛権の解釈を変え、オバマ政権の世界戦略に全面的に協力する」といった話をしにいくのだろう。

相手が変わっても、営業に困らないようにということか。調子の良いことだ。

いつも言うことだが、民主党リベラル派や社民党は、こんなやつらばかりチョロチョロさせておかないで、オバマ政権でも軍産複合体の手先という要素の少ない人々ともっと積極的に会い、意見交換を重ねて欲しい。

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2009年4月 8日 (水)

マケイン米上院議員来日へ-米議会の「全面核実験禁止条約(CTBT)批准承認」のカギを握る政治家の来日

先の米大統領選で、オバマ大統領のライバル候補だった共和党のマケイン上院議員がベトナムを訪問した後日本に立ち寄る。

このマケイン議員、実は元ライバルのオバマ大統領が掲げる「核兵器のない世界」へのプログラムの最初の段階の一つである「全面核実験禁止条約」が批准承認権を持つ上院に認められるかどうかのカギを握る一人だ。

米民主党は、かろうじて上院100議席の過半数を制しているが、予算や法案の採決で野党・共和党のフィルバスター(議事妨害)を封じることが出来る60には数議席届かない。

そこで、3人程度の穏健派の共和党議員と取り引きし、それらの議員の意向を大幅に取り入れることでオバマ大統領の考えに近い法案・予算の成立を図ってきた。

地下核実験も禁止するCTBTは、各国に先駆けてクリントン大統領(当時)が署名した条約だが、共和党支配の上院で批准承認が得られず、新型核兵器の開発さえ企図していたブッシュ政権は、発足早々に批准承認を求めることもやめてしまっていた。

こうした態度は「核兵器保有は核軍縮を約束し、核武装を放棄した国には平和利用を後押しする」という核不拡散条約(NPT)体制の正統性を損なってきた。つまり、簡単に言えば間接的にイランや北朝鮮の核開発に口実を与える結果を招いてきた。

オバマ大統領の「核のない世界を目指す」とするプラハ演説を現実化するためには、まず米上院でこの条約の批准承認を得ることが具体的な目標となるのだ。

民主党プラス共和党穏健派で60票確保していると考えても、「3分の2」には、単純に計算しても7議席程度が必要ということになる。これは最近の上院の民主・共和両党の激突の状況を見ると、たいへん困難な目標といっても過言ではない。

軍事問題に精通したマケイン上院議員は、現在はCTBT反対派だが、この多数派引き抜き工作の優先目標「4議員」の一人だそうだ。

わが国の軍縮推進派はマケイン議員来日の好機を逃すべきではない。会談などの機会を通じ、元ライバルの提唱だけに持ち出し方に工夫はいるだろうが、アメリカ政府の「核のない世界」という目標への熱い支持を伝え、マケイン議員の投票態度変更による米上院のCTBT批准承認への期待を強く働きかけるべきだ。

民主党の小沢代表との会談も計画されていると聞く。民主党のスタッフと軍縮派議員は、この問題で代表に行き届いたブリーフィングを行うべきだ。

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2009年4月 5日 (日)

オバマ大統領の「核なき世界をめざす」政策を支持する=日本政府は核軍縮サミットの広島誘致を=

オバマ大統領が、大統領選挙期間中に主張していた「核なき世界」という政策目標を大統領として明確に打ち出したことを歓迎したい。

道は遠いが、合衆国大統領がこのような目標を明確に持つか、そうでないかは根本的に重要な分かれ道だ。

自民党政権下で、ただただ「核の傘」を有り難がり、核軍縮に具体的な貢献のない日本政府も、この際、オバマ大統領が提唱する「核なき世界を目ざすサミット」を広島に誘致し、わが国自身が核なき世界の実現に向け、心を入れ替えて挺身する決意を新たにすべきであると思う。

民主党以下の野党も、このオバマ大統領の方針をどのようにサポートするのか。政権獲得後の積極的なシナリオをぜひ打ち出してほしい。

【以下、毎日新聞の切貼】

米大統領:核廃絶へ包括戦略 「安保サミット」提案

 【プラハ草野和彦】欧州歴訪中のオバマ米大統領は5日、プラハで演説し、「核兵器のない平和で安全な世界」を追求する戦略を公表した。核テロなどの脅威が高まる中、自ら核軍縮に乗り出すほか、核拡散防止条約(NPT)の強化、核の安全保障を巡る国際サミット開催、4年以内の核物質管理体制の構築--などの政策に取り組む。米国が核廃絶を目指す包括的戦略を示すのは初めて。今後、核保有国をはじめ国際社会の対応が問われる。

 大統領は演説で、核兵器を「冷戦時代の最も危険な遺産」と位置付け、地球規模の核戦争の脅威はなくなったものの、テロ組織などによる「核攻撃の危険性は高まった」と警告した。米国は核兵器を使った唯一の国として「(核廃絶に向け)行動する道義的責任がある」とした。

 大統領は「明確に確信を持って核兵器のない平和で安全な世界の追求に米国が関与することを宣言する」と断言した。

 戦略は、核無き世界を目指す▽NPTを強化する▽テロリストから核兵器と核物質を守る--の3本柱。

 まず「冷戦思考を終わらせる」として、米国が、自ら安全保障戦略の中で核兵器の役割を後退させ、他国にも同様の行動を求める。

 また、核実験全面禁止条約(CTBT)の批准を議会に働きかけ、兵器用核分裂性物質の生産禁止を定めた新条約(カットオフ条約)作りも提案した。

 このほかNPTの形骸(けいがい)化が言われていることから、核開発を進める北朝鮮やイランを念頭に、条約違反の行為に対する罰則強化や、国際的な査察官の権限強化を訴えた。

 米政府筋によると、核テロを防止するための核安全保障サミットは来年4月までに開催するという。

 ◇オバマ大統領の演説内容
 全面核戦争の危機は去ったが、(核拡散により)核攻撃の危険性は高まった。米国は、核兵器を使った世界で唯一の核大国として、行動する道義的な責務がある。核兵器のない平和で安全な世界を目指す米国の決意を宣言する。時間はかかるが、世界を変革できることを信じる。そう、私たちにはできる。

 核廃絶に向け確実に行動する。ただ、世界に核兵器が存在するうちは米国は安全な方法で核兵器を維持する。敵を抑止し同盟国に安全を保障するためだ。

 核弾頭の配備・保有数を削減するため、今年末までにロシアとの新しい軍縮条約の締結を目指し、交渉する。

 核実験全面禁止条約(CTBT)発効に向け、(発効条件の一つである米国の)批准を強く求める。

 核兵器用の核分裂物質の生産を、検証可能な方法で禁止する新しい国際条約(カットオフ条約)を求める。

 核拡散防止条約(NPT)体制の強化に努める。査察を強化するため資源や権限が必要だ。核拡散を防ぎながら各国が核を平和利用できるよう国際的な枠組み「核燃料バンク」を創設すべきだ。

 一方、違反国には相応の処罰が必要だ。今朝、北朝鮮は長距離ミサイルに使えるロケットを発射し再度、ルールに違反した。違反は罰せられなければならない。国際的に強い態度を示すべきだ。

 イランが厳格な査察を受けるなら、核を平和利用する権利は認める。しかしイランの核・弾道ミサイル計画が脅威である限り、チェコとポーランドでのミサイル防衛(MD)計画を進める。脅威でなくなれば、欧州でのMD計画は実施しない。

 テロリストによる核兵器入手を防がねばならない。これが国際的安全保障への最も差し迫った最大の脅威だ。

 拡散の恐れがある核関連物質をすべて管理できる体制を4年以内に築く。そのためロシアと協力を強化する。

 核安全保障を巡る国際サミットを米国が来年までに主催する。

 平和の追求をやめれば平和は来ない。チェコの人々は一発も銃弾を撃たず核武装した帝国(ソ連)を崩壊させた。

 ◇地域問題の解決を含め前途に難題

 【プラハ草野和彦】オバマ米大統領は5日、核軍縮・不拡散に関する包括的な戦略で「核兵器のない世界」という遠大な目標を打ち出した。ロシアとの核軍縮交渉の開始を宣言した今回の欧州歴訪は、最初の一歩だ。だが前途には、核兵器を生み出した世界各地の地域問題の解決を含む難題が待つ。世界的な協力態勢の構築に向けて、「米国のリーダーシップの再生」を掲げるオバマ大統領の真価が問われる。

 オバマ大統領が核兵器廃絶を目指すのは、「冷戦構造の遺物」である核兵器の存在が、「核武装したテロ組織」という21世紀型の脅威の出現を生み出す可能性があるためだ。

 オバマ大統領は二つの布石を打った。その一つが、今年12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新核軍縮条約の本格交渉の開始。米露は世界の核兵器の9割以上を保有し、米政府高官は「核開発を進めるイランや北朝鮮に圧力をかけるためにも、米露が率先する必要がある」と語る。

 もう一つは、北大西洋条約機構(NATO)とロシアの関係正常化で、欧州での核兵器の意義の低下につながる可能性がある。二つの成果をもとにプラハでの演説に臨んだところに、戦略的意図が感じられる。

 だがむしろ困難なのは、核拡散防止条約(NPT)で核兵器所有を認められた米英仏中露以外の国々との交渉だ。インドとパキスタンのケースがその典型。オバマ大統領は演説で、査察体制の強化や、原子力の平和利用などを掲げたが、両国間の歴史的な対立の解消はアフガニスタン情勢も絡み、粘り強い説得が求められる。

 イランの核開発を阻止するには、潜在的核保有国であり、米国の同盟国であるイスラエルへの働きかけを欠くことができない。

 NPTの形骸(けいがい)化は「核兵器を持つ国」に対する「核兵器を持たざる国」の不満から始まっており、これを乗り越えるだけの論理も構築する必要がある。

 核兵器のない世界について、オバマ大統領自身も「私が生きている間は達成できないだろう」と険しさを認めている。だが同時に「私たちはできる」と希望も語った。今後いかに戦略を具体化するか実行力が問われる。

 ◇黒沢満・大阪女学院大学大学院教授(軍縮国際法)の話
 大統領選中の“夢物語”だった核関連の公約を、包括的かつ具体的に世界に向け宣言した。核廃絶を目標と打ち出し、NPTで義務づけられた核軍縮努力を認め、CTBTの批准や、カットオフ条約の推進、、ロシアとの協力や他国の意見を集約するサミット開催など、ブッシュ前政権からは180度の転換だ。唯一の核兵器使用国としての道義的責任を認めたのも、歴代大統領になかった。いずれも簡単には実現できないが、米国の核に頼ってきた日本政府は、演説を受け止め、核廃絶に向けて協力すべきだ。

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2009年4月 4日 (土)

電車の中の女子小学生(?)の会話

(小田急線下り、午前9時過ぎ)

A:北朝鮮のあれ、今日だよね。

B:テポドン「に」だよね。

A:テポドン「ツー」じゃないの?

C:お父さんが「調布に落ちたら火の海だって言ってた(笑)」

A:この子(Bを指し)、「パックツー」知らないんだよ。

B:何それ。

A:撃ち落とすんだよ。

C:でどうなるの?

B:中国もロシアも協力してくれないんでしょ。ロシアは日露戦争とかあったし、北方領土問題もあるし。

C:韓国は?

A:韓国は協力してくれるみたいだよ。アメリカは協力してくれる。アメリカ、ロシア、中国、韓国。六カ国協議が基本だから。

B:アメリカが協力してくれて、良かったね(他の二人うなずく)。ねえねえ、水嶋ヒロと絢香ってさあ‥

(中学受験頑張った新中1の子たちなのか、時事「単語」にとっても強いのに感心する。でも、自民党など権力マシーンがNHKを使い、民放テレビも乗せられての軍備増強、対米軍事協力キャンペーンが、草の根若年層にしっかり浸透していることも実感。強力な巻き返しが必要だ)。

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2009年4月 2日 (木)

米ロ首脳、はじめて「核兵器の最終的な除去」に合意

世界金融・経済問題に対処するためロンドンG20首脳会合を契機に、各国の首脳会談が開かれているが、ブッシュ・プーチン時代に本質的な前進がなかった米ロの核兵器削減問題で、「期限を迎えるSTARTⅠについて今年中に後継条約を締結する。夏までにだいたいの成案を得て、首脳会談を行う」という具体的な進展が見られた。

米ロのあらゆる対立点に触れた会談だったようで、米ロ関係の世界政治に占める相対的な位置はかつてのように巨大なものではないけれども、こと核不拡散問題と表裏一体の核軍縮問題については、米ロ関係に左右される要素は大きい。

メドベージェフ大統領は、昨年の南オセチア・グルジア問題などに際しては強硬姿勢に終始し、やはりプーチン前大統領(現首相)の傀儡かと見られていたものの、最近は司法問題などでリベラル色を覗かせているので注目したい。

朝、NHK-BS1でやっていた米ABCの「ワールドニュース」では、ホワイトハウス担当のジェイク・タッパー記者に続いて、ジム・シュートー記者が軍縮交渉のエキスパートとしてコメントしていたが「はじめて両国首脳が核兵器を究極的に廃絶する(eventual  eliminate)ことに触れた」と興奮気味に話していたのが印象に残った。

メディアによっては、ロシアが新たな軍縮条約締結の条件と主張しているアメリカのミサイル防衛(MD)システムの東欧配備の中止について、具体的な成果がなかったのではないかと言われているが、アメリカはこれを「イランの核の脅威に対抗するため」と主張してきたいきさつがあり、おそらく今後、イランの非核化ということとこれをリンクさせた、米ロのせめぎあいが展開するのだろう。

米政権がイランの核開発の問題を決して容認できないのは、実はイスラエルとの抜き差しならない関係ということが背景にある。余計なことだが、近々予定されている北朝鮮の「人工衛星打ち上げ」など、順調に成功する方が良いとも言える。

一部に北朝鮮の核保有は容認するのではないかと言われている米政権が「やっぱり、北が核を持つことは認めてはならない。イスラエルどころか米本土が危険だ」と真剣に考えるようになるからだ。

気象情報の提供とか、協力してやったらいいんじゃないか。落下物がそんなに大騒ぎするほど危ないというのなら、日本を飛び越えずに発射できる種子島の発射場を提供してやったらいいんじゃないかといった発言は、やはり不謹慎だろうか。

米露首脳会談:新核軍縮交渉、開始で合意 北朝鮮に自制求める

 【ロンドン草野和彦】欧州歴訪中のオバマ米大統領は1日、ロンドンでロシアのメドベージェフ大統領と会談した。両大統領は、今年12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継となる新たな核軍縮条約の交渉を直ちに開始することで合意。新条約は、12年までに双方の配備核弾頭を1700~2200発まで削減するとしたモスクワ条約(02年)を下回るレベルを目指すとしている。北朝鮮のミサイル発射については「地域の平和と安定を損なう」と憂慮を表明、北朝鮮に発射自制と国連安保理決議順守を求めることで一致した。(7面に関連記事と共同声明要旨)

 両首脳は共同声明で「我々は冷戦思考を乗り越え、新たな米露関係を開始する」とし、ブッシュ前政権時代に悪化した関係の「リセット」を宣言。大量破壊兵器拡散防止やテロ対策などでの協力を打ち出した。オバマ大統領が7月にモスクワを訪問することも合意した。

 新たな核軍縮条約に関する共同声明では、「記録的な削減を目指す」とし、効果的な検証方法の導入や、年内の交渉妥結に向け進展状況を7月までに報告させることを盛り込んでいる。現在の核弾頭の実戦配備数は米国が約4100発、ロシアが約5200発といわれ、新条約が実現すれば画期的な核削減に道が開ける。

 首脳会談では、米露関係を悪化させる要因となった米国の東欧ミサイル防衛(MD)計画や、昨年8月のグルジア紛争についても協議されたが、双方の見解の相違は解消されなかった。ただ、ミサイル脅威に対処するためMD分野での相互協力の可能性を協議した。

 このほか両大統領は、アフガニスタン復興やイランの核開発問題などで協調する方針を確認した。

毎日新聞 2009年4月2日 東京朝刊

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2009年3月31日 (火)

「ペイリン候補への質問は、バイデン候補への質問と同じもの」 米ABCチャールズ・ギブソン氏インタビュー

NHK・BS1「おはよう世界」で、高橋キャスターが米ABCのニューススタジオを訪ねインタビューした映像を流していた。

ペイリン副大統領候補が「ブッシュドクトリンについてどう思うか」と問われて答えられず、大統領選の転換点の一つになったと言われたインタビューのインタビュアーだが、「われわれの役割は、候補者を批判したり、困らせたりすることではない。人となりを伝えること」とし、ブッシュドクトリンについて尋ねたのは「民主党のバイデン副大統領候補への質問と全く同じことを聞いたに過ぎない」と言っていた。

信頼性確保のため「客観的に伝える」ことの重要性を強調するギブソン氏。高橋キャスターも指摘するとおり、9・11を朝番組のキャスターとしてナマで伝えたときも、大統領にインタビューするときも、NHKのインタビューに答えるときも、いつもほとんど声のトーンも話し方も一定だ。興奮して騒いだり、威張ったり、馬鹿にしたりの日本のキャスターたちにも見習ってもらいたいものだ。

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2009年3月29日 (日)

オバマ大統領、核軍縮・核不拡散で動く=自公政権は何を発信したか=

米オバマ政権はアフガニスタン、パキスタンにかかわる包括的な政策を発表したことに続いて、4月はじめにロシアとの間の核軍縮、さらに世界大の核不拡散にかかわる動きを見せるようだ。

このことについて麻生内閣や自公連立与党から何か有益な発信があったか?。全く何もない。

核軍縮については「既存の条約が今年で期限切れになることについて、わが国はかくかくの所感を持ち、これこれの内容を含む条約の締結を求めたい」とか、「核軍縮にはずみをつけるため、アメリカを含む全ての核兵器国に『先制不使用』の宣言を求める」といった程度の発信があって然るべきだ。

今のような音無では、麻生政権も、自公連立与党も、外務省も「核軍縮などには全く関心がない」と言っているに等しい。やっていることは、北朝鮮の「『人工衛星発射』はミサイルで迎撃する」といった話ばかりなのに、「唯一の被爆国だからIAEAの事務局長のポストをよこせ」など図々しい話だと受け止められるだろう。

核不拡散については、自国の安全に直結する「北朝鮮の核放棄の実現」が最初の関門だ。ところが、6カ国協議においてアメリカ、韓国、中国、ロシアが駆け引きで北朝鮮に対するエネルギー供与をすると言うときに「俺はやらない」と足を引っ張っているのである。

次期総選挙において、民主党を中心とする野党勢力には、これまでの政権の核軍縮・核不拡散への無関心、無責任を払拭する、平和憲法を持つ国にふさわしい外交・安保政策を打ち出してほしい。

オバマ政権は、ブッシュ前政権よりはるかにましな政権だ。しかし、アフガン支援で「軍民一体」を打ち出しているのは、わが国の実績を上げてきた民間支援の当事者の実感とかけはなれた政策だ。「同盟国」などといいながら、日本政府はアメリカにしっかり情報を提供し、親切な助言をするといった努力すらせず、ただ後をついていくつもりらしい。

核軍縮で声明採択へ=来月の米ロ首脳会談で

 【モスクワ28日時事】ロシアのプリホチコ大統領補佐官は28日、主要20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会合)に合わせて4月1日にロンドンで行われるメドベージェフ大統領とオバマ米大統領の会談で、核軍縮条約と米ロ関係全般に関する2つの共同声明が採択される見通しであることを明らかにした。
 米ロの主要な核軍縮条約である第一次戦略兵器削減条約(START1)は今年12月に失効する予定。両大統領の声明は、これに代わる新たな条約の交渉本格化をうたう内容になるとみられる。
 米ロ関係は昨年8月のグルジア紛争などを受けて、冷戦後最悪の水準にまで冷え込んだが、オバマ政権の登場で改善に向かうとの期待が高まっている。(2009/03/28-21:40)

核不拡散で新構想表明へ  オバマ氏、4月5日プラハで

 【ワシントン28日共同】マクドノー米大統領次席補佐官(国家安全保障問題担当)は28日の記者会見で、31日から欧州・トルコ歴訪に出発するオバマ大統領がチェコの首都プラハで4月5日、核不拡散問題に関する重要演説を行うと明らかにした。新たな核政策構想を表明するとみられる。
 次席補佐官は演説内容を明らかにしなかった。ブッシュ前政権はチェコとポーランドにミサイル防衛(MD)配備を計画、ロシアが反発し、米ロ関係悪化の原因となっていたことから、MDに関する新政権の立場や、米側がMD配備の理由としているイランの弾道ミサイル開発に言及するとみられる。
 オバマ大統領は4月1日、金融サミットが開かれるロンドンでロシアのメドベージェフ大統領と初会談し、米ロの核軍縮問題を協議する予定。「核兵器なき世界」を追求すると公約しているオバマ大統領が米ロ会談を踏まえ、核兵器削減に触れる可能性もある。
 次席補佐官によると、オバマ大統領は2日にサウジアラビアのアブドラ国王、3日にフランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相とも会談する。【共同通信】

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2009年3月27日 (金)

訪米でジム・レーラーにインタビューされる豪ラッド首相、お呼びじゃなかった麻生首相

NHK・BS1で昨日放送された、アメリカの公共テレビPBSの「ニューズアワー」で、訪米して米豪首脳会談を終えたオーストラリアのラッド首相インタビューを放映していた。

PBSは内容が中立的でFOXやCNN、あるいは3大ネットほど見られていない。戸田奈津子さんの映画字幕じゃ「教育テレビ」とされていたくらいだが、そのレベルの高さは知る人ぞ知る。聞き手は大統領選挙の公開討論会司会の常連・エースのジム・レーラー。

ラッド首相が聞かれていたのは、ひとつにはG20に向けての世界金融・経済問題の解決に向けての考え方で、オバマ政権やオーストラリア政府の積極財政と、それに慎重なヨーロッパの比較などで、ラッド氏は何もしない新自由主義的な行き方と、政府が動いてショックを緩和して次のステップをめざすやり方を対比させて後の方が望ましいということを説いていた。

さらにラッド首相はアフガニスタン問題についてのオバマ大統領とのやりとりについて応える中で「すでに10人の死者を出した自国の厭戦気分」と、「9・11の原因は、この地域のテロリストを野放しにしたことにある」といった話の両方をしていた。

さらにジム・レーラー氏は「あなたは外交官出身で、中国語にも堪能なので伺いたいが、アメリカは中国とどう関わっていったよいと思うか。ご自身のことばで語っていただければ」と聞いた。

ラッド氏は予想通り、自分としては「関与」を求めていく立場で、IMFに出資を求めるとともにオランダやデンマークと同程度の発言権を、果たす役割に見合ったものに見直し、いわば中国を「良い大株主」になるように導くべきだ。そうなるかどうかは中国の出方を見なければいけないといった意見を述べていた。

このインタビューを聞いていて思ったのは、現状においてはアメリカの良質なメディアが世界経済、アフガニスタンでの国際協力、しまいには「アメリカは中国とどう関わっていったらいいか」ということを聞く相手は、日本の首相ではなくオーストラリアの首相なのだなということだ。ちょっとガッカリだが現状を考えれば仕方がないか。

もちろん、ラッド政権の政策指向がオバマ政権の政策指向と重なる部分が多いこと、総選挙で選ばれた正統性と勢いのある政権であること、ラッド氏が中国専門家であるという条件もある。しかし、「ジャパンパッシング」などと騒ぐ日本のこれまでの首相たちは、ジム・レーラーのニューズアワーが呼びたいと思う程度の、独自の中国理解や対中政策論を持っていただろうか。

自民党政権のここ15年ほどの首相は皆失格だろう。山本一太ならいいかと言えば、かえって日本が馬鹿にされることになるだろう。次期、民主党主導政権の首班指名候補についても、まずは内容だけれども、ついで外国語能力はともかくとしても、日本語においても口が重い人はちょっとなあと思う。こういった場面でも、日本の存在感が損なわれるリスクがあるのだ。

なお、在米日本大使館も3大ネットばかりでなく、PBSともコンタクトを密にすべきだと思う。いろいろな国の大使が出てくるが、日本大使で印象に残るのは、ずっと前に斉藤大使がアイリス・チャンと対決した時のことくらいだ。

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2009年3月18日 (水)

米AIG巨額ボーナス、新規課税で取り戻せるかに注目

巨額の損失を出し、世界経済への影響を回避するためにアメリカ国民の巨額の税金を使った支援を受けて事実上の公的管理の下にある保険・金融会社AIGが、一部幹部社員に多額のボーナスを支給したことで、オバマ大統領はじめ民主、共和両党の政治家たち、また多くの国民が激しく怒っている問題についてだが、政治家たち怒っているのは選挙民向けのポーズという面が大きく、実際には取り戻せないのではないかと思っていた。

ガイトナー財務長官は「AIGはボーナス分を国に返却を」と求めているようだが、それではもらった人はもらい得だ。

しかし、報道を聞いているとボーナスを受け取った人から「税率100パーセント」などの課税によって取り戻そうとする動きもあるらしい。

ABCテレビのレポーターは、「議会でそのような法案が成立する可能性がある。ただし、それが法律的に正しいことかはっきりしていない」ということのようだ。

自民党政権下のわが国でもこのような場合、結局は力のある者のもらい得でうやむやになることがほとんどであるように思うので、貪欲な金融業者を野放しにしてきたアメリカが、ちょっとはましな対応をすることになるのか注目したい。

本当は、「公共事業を受注する業者の政治献金を禁止すべきだ」といった考え方と同様に、「税金の支援を受けた金融機関の職員の給与は、返済まで公的機関の許可制の下に置く」といった、一般的な制度を整えておくのがいいのではないか。

日頃から「高給をとりながらいい加減な仕事で自分の会社や内外の経済に損失を与えても、税金で穴埋めしてもらえて、何のペナルティーもない」というのは、公正さに欠けるように思う。次期政権にはぜひ考えて欲しい。

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2009年3月17日 (火)

ペイリン元副大統領候補の娘、婚約破棄=右翼政治家の粉飾がまた一つ露見=

昨年の米共和党大会で、家族の価値だの何だのと保守的な価値観を強調してブームになっていたペイリン副大統領候補の10代の未婚の娘、ブリストルさんの妊娠について、相手の10代の青年が壇上に上げられ「二人は結婚する」と発表があり、大いに盛り上がった。

それが、実のところ子どもは無事生まれたけれども、二人は婚約を解消し、ABCテレビが求職中の青年にインタビューすると「いつでも子どもに会える」と言うものの、持っている子どもの写真は胎内にいたときのX線写真だけだった。

二人は生き方をそれぞれ、よく話し合った上で自由に決めればいいことだ。とても嫌な感じがするのは「私たちはなんて立派な家族でしょう」といった演出によって有権者に対して自分たちの姿を粉飾したペイリン元候補(現アラスカ州知事)のことだ。

だいたい、ご立派なご宣託で右寄り、保守的、「愛国」的な価値を並べるような連中に限って、いざというときは無責任で、何の反省もないのが普通なので、あまり驚かないが。

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2009年3月10日 (火)

オバマ政権がES細胞研究への助成解禁-「ひとりよがりのキリスト教原理主義」から「科学を尊重する政治」へのチェンジ

オバマ大統領がES細胞研究への連邦助成を解禁する大統領令に署名した(毎日新聞記事を後掲)という。アメリカ政治がブッシュ時代の「ひとりよがりのキリスト教原理主義」路線から、「科学尊重の現実重視」の路線へのチェンジを進めていることの証左だ。

これについて、朝からNHKのニュースを聞いていて気になったのは「キリスト教原理主義」への言及が無かったことだ。毎日の記事も「保守派」としているが同様だ。

【NHKのページより】

米大統領 ES細胞研究を助成  NHK 3月10日 6時52分

アメリカのオバマ大統領は、人の受精卵が分裂する過程で取り出すことができる特殊な細胞「ES細胞」を使った医療研究を助成する大統領令に署名し、「生命倫理の一線を越える」として拒否権を発動したブッシュ前政権との違いを鮮明にしました。

受精卵が分裂する過程の「胚(はい)」から取り出すことのできる「ES細胞」は、人体のさまざまな組織を作り出し、難病の治療への応用が注目されています。これについてオバマ大統領は9日、ホワイトハウスで演説し、「多くの研究者や医師、難病患者やその家族が待ち望んできた『変革』をもたらすときがきた。ES細胞の研究への助成を解禁する」と宣言しました。そのうえでオバマ大統領は「これまでの政権は健全な科学と道徳的価値観を取り違えてきた。この2つは両立できる」と述べ、研究を助成するための大統領令に署名しました。この研究をめぐっては、「初期の生命を破壊するものだ」という反対論が強いことから、オバマ大統領は厳しいガイドラインを設けるなどの配慮を示しましたが、議会が可決した法案に対し、「生命倫理の一線を越える」として、2度にわたって拒否権を発動したブッシュ前政権との違いを鮮明にした形となりました。

ブッシュ大統領による連邦予算支出禁止が、ブッシュ氏個人のキリスト教右派のイデオロギーや、選挙で共和党の強力な基盤になっているキリスト教原理主義勢力に対するサービスとして「歪められた政策」であったことは自明のことであるのに、容疑者がイスラム圏の人物による事件の際にはすぐに「イスラム教徒」「イスラム原理主義」とあげつらうのに対して、アメリカのキリスト教原理主義勢力に対しては遠慮するというのはダブルスタンダードであり、メディア全般に見られるバイアスだ。

もちろん、イスラムを名乗る過激派に対して「イスラム過激派」と表記することは適切だが、こんどのようなES細胞に関わるニュースで「キリスト教」に触れないなら、ただ単に「過激派」とすることが適当だろう。

いずれにせよ、シリアとかパレスチナの地に起こったユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、唯一絶対神を信仰するいわば兄弟宗教で、世界中の紛争の大半はこのいずれかが関わるということは、まことに迷惑な話なのだが、日本人がこの中で、とりたててキリスト教の肩を持ついわれは無いはずなのだ。いくら自民党政権が盲目的なアメリカ追従を続けたとはいえ、アメリカが「宗主国」というわけではないのだから。

ちなみに板垣雄三氏によれば、「原理主義」ということばはキリスト教内部の概念で、「イスラム原理主義」という言い方は、キリスト教圏の人がそれを当てはめて使っているに過ぎないそうだ。

BS1の「おはよう世界」の税所玲子キャスターは「キリスト教の右派」ということばを使って解説していたが、ブッシュ大統領の連邦予算支出禁止は「こうした声に配慮して」という表現にとどまり突っ込み不足の印象だった。

【以下、切貼】

ES細胞:米、研究へ助成解禁 オバマ氏、大統領令に署名

 【ワシントン及川正也】オバマ米大統領は9日、ヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究への連邦予算支出を解禁する大統領令に署名した。受精卵を利用するES細胞研究について、保守派のブッシュ前大統領は01年8月、「生命の破壊につながる」として連邦政府の助成対象を既に作られているES細胞に限定し、新たな研究への支出を禁止していた。

 オバマ大統領は「研究に取り組む科学者を積極的に支援する」と表明。保守派の反対論に対し「健全な科学と道徳的価値観は矛盾しない」と反論する一方、実施にあたり「厳格な指針」を策定する考えを示した。

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 ■解説

 ◇米の研究、より加速--日本・厳しい指針、「遅れ」批判も
 オバマ米大統領がさまざまな細胞や臓器になるES細胞研究支援に踏み切り、米国の研究は加速しそうだ。日本発の人工多能性幹細胞(iPS細胞)研究も技術の基礎はES細胞にある。この分野で米国が「独走」すれば、再生医療の競争で日本は厳しい状況になるが、受精卵を扱うだけに歯止めをどうかけるのかが改めて問われる。

 ヒトES細胞規制は各国で差がある。独は作成を禁止、仏は06年に作成を認めた。英は不妊治療で余った受精卵だけでなく、ES細胞作成のために受精卵を作ることが可能だ。日本は余剰の受精卵から作成を認めている。

 ブッシュ政権下では州の予算や民間の資金で連邦予算を補った。00~06年発表の関連論文453本の40%が米国発。英国10%、韓国8%などと続き、日本は2%、10位だ。

 背景には日本の厳しい指針がある。当初は細胞を実験室で使うだけでも、国が全研究員の適性審査を行った。研究者の批判を受けて、見直しが進められているが、中辻憲夫・京都大教授は「研究推進を掲げつつ、実際はブレーキをかけている。遅れは取り返しがつかないほどだ」と話す。

 遅れは、人工的に作ったES細胞であるiPS細胞の研究にも響く。米国の決断は日本の研究態勢にも波及しそうだ。【奥野敦史】

毎日新聞 2009年3月10日 東京朝刊

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2009年3月 9日 (月)

【切貼】中谷巌氏、転向の弁(2009年3月9日付「毎日新聞」朝刊)

「何をいまさら」「今度は転向で本を売って儲けるつもりか」というご批判もあるかと思うが、そこは雲南の山賊の親玉を何度も許した諸葛孔明の寛容を見習って、いよいよわが陣営の陣容を厚くすることが賢明だろう。

以下、毎日新聞2009年3月9日付の記事の切り貼り。

語る:中谷巌さん 『資本主義はなぜ自壊したのか』を刊行

 ◇改革の副作用を懺悔した後に
 経済学者、中谷巌さんの『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル、1785円)が話題だ。アメリカ流の経済学を武器に構造改革を推進した中谷さんによる「懺悔(ざんげ)の書」。格差拡大など改革の副作用を分析して、日本経済再建の方向性をも示している。【鈴木英生】

 新自由主義=市場原理主義は今、金融危機、あるいは格差拡大や地球環境破壊の元凶として批判されている。本書も、新自由主義を放置すれば日本社会が棄損されると警告している。だが中谷さんは元々、新自由主義を日本に持ち込もうとした一人でもあった。

 1969年から米ハーバード大に留学した。<第一印象は「素晴らしい」の一語だった>。新古典派と呼ばれる経済学に心酔し、同国の豊かさをその理論の結果と信じた。

 「米国経済学の世界観は『マーケット』と『民主的政府』の2本の柱でできている。マーケットは資源配分を参加者の民主的なお金による『投票』で決める仕組み。他方、環境や格差拡大などマーケットで解決できない問題は、民主的投票で選ばれた政治家が政府を動かし、問題解決にあたる。経済と政治の両面で民主主義が貫徹すれば、社会は進歩してゆくとされています」

 帰国後、この考え方に基づいて日本社会の既得権打破、規制撤廃、市場の活性化を訴え続けた。90年代に入って細川内閣、小渕内閣で首相諮問機関の委員になり、小渕内閣の「経済戦略会議」の提言は小泉内閣に引き継がれた。だが、本人が米国流経済学から距離を置くきっかけは、このころの首相官邸通いにあった。

 「現場で、政治家や官僚の猛烈な利害調整のせめぎ合いに直面しました。米国経済学の世界観とは相いれない世界が、ここには厳然と存在していました。米国の経済学は、完ぺきに自己完結する世界を作っています。しかし、その外に広がる現実の社会は、しばしば合理的には説明できない不条理な世界であり、経済学の論理だけでは論じ切れないと思うようになりました。歴史や文化、宗教などもきちんと勉強したいと思い始めました」

 こうした勉強を続けるうちに、「やはり、経済学的世界観だけで政策を作るのは危ないと改めて思うようになりました。なぜなら、マーケットと民主政治に任せれば自然に良い社会が作られるという考え方では、日本社会がおかしくなってゆくと感じるようになったからです」。<人心の荒廃や、貧富の差の拡大は、(略)グローバル資本主義やマーケット至上主義そのものにビルト・インされたものではないか>という疑問が生まれたのだ。

 この疑問は、市場経済を限定的にしか導入していないキューバやブータンを訪れて再確認した。「両国とも貧乏ですが、人々は非常に穏やかで明るく見えた。もっと高所得国でも、貧困層は多くの場合、心が荒(すさ)んでいる。これは市場経済の副作用ではないのか」

 もちろん、日本が両国のようになれるわけもなく、市場経済を全面的に拒否すべきでもない。ただ、「日本がどんな国で日本人はどんな生活をしてきたかを考え、その価値観に合った市場の使い方をすべき」だと考えるようになった。

 本書は、日本の特徴を<世界でも類を見ない平等主義的な社会>だったことに見る。だから、目先の金融危機克服以上に<貧困層の底上げ、所得格差の是正によって、日本という「国のかたち」を整え直すこと>の必要性が導かれる。

 ここから、経済学者としての面目躍如の議論を展開する。「還付金付き消費税」の提言だ。まず、福祉目的で消費税を20%まで引き上げる。この時、年間消費200万円の世帯の消費税負担は40万円となるが、貧困世帯には、<毎年四〇万円ずつ還付する>仕組み。こうすれば、この世帯の実質税負担はゼロとなり、それ以下の年収の世帯は、むしろ還付金の方が多くなる。「日本の平等的な社会が欧米のように階級的に分断されたら、この国にはなんの強さも残らない」

 「改革のすべてが悪かったとは思いません。ただし、マーケットは万能ではない。使い方を間違えれば副作用が噴出する。私の主張は、配慮が足りなかったと認めざるを得ないのです」

 ◇マルクスの分析を評価
 <人間は仕事から疎外されたのである。資本主義社会における「人心の荒廃」はこのあたりに根源的な原因がある(略)><エリートたちが上手に一般大衆を支配し、搾取することが可能な、もっともらしい制度や仕組み、ルールを作ること、それこそ階級社会におけるエリートたちの暗黙の思惑(略)>。本書には、初期マルクスやレーニンが書きそうな言葉がある。経済学の中で最もマルクスと遠いはずの新古典派だが、「マルクスの資本主義分析には、正直なところ、学ぶべきものがあります」と中谷さん。最近、貧困問題に絡んでマルクス経済学の入門書が次々に刊行されている。この事実と合わせて考えると、中谷さんの発言は、更に重く感じられる。=「語る」は随時掲載します。

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 ■人物略歴

 ◇なかたに・いわお
 三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長。1942年生まれ。米ハーバード大博士号取得。一橋大教授など歴任。細川内閣で経済改革研究会委員、小渕内閣で経済戦略会議議長代理。著書に『入門マクロ経済学』など。

毎日新聞 2009年3月9日 東京朝刊

【以上、切貼】

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2009年3月 8日 (日)

N響神田さんのフルートはアメリカ製

今週の愛川欣也「パックインジャーナル」(朝日ニュースター)は小沢秘書逮捕「陰謀論」に重点があったらしいが、本放送は息子の高校の卒業式、当日の再放送はゲルギエフ~サンクトペテルブルグ・マリーンスキー劇場のストラビンスキー「火の鳥」「春の祭典」などのオリジナルに近い形でのバレエ公演の放送を受信するのを優先して、今後の再放送を見ることに。

世田谷区にある「科学技術学園高校」の卒業式は、どちらかというと勉強の苦手な生徒が集まる学校だが、校長や理事長の挨拶もよく練られた短いもので、吹奏楽バンドもテクニックは別として心のこもった演奏。なかなかテキバキとした気持ちのいい卒業式だった。

春の祭典のあの振り付けや衣装の版は、テレビでも通しで見たのは初めてで、とても興味深く良かった。それにしても、容姿ひとつとってもロシアのバレエはまだまだ層が厚いと感じた。

ところで、日曜に2年前だかのアシュケナージ指揮・N響ロサンゼルス公演のドビュッシー『海』のビデオを取り出して観たが、前の曲との間に現地レストランで寛ぐ団員たちの様子が流れ、フルートの神田さんが「私のフルートはアメリカ製で、私自身アメリカは初めてなので、楽器も初めての里帰り」という話をされていた。

神田さんの演奏は音楽性も豊か、音がとても美しい。あの黒い木管であろうフルートも名器に違いないと思っていたが「アメリカ製」と聞きちょっと意外な感じ。フルートの事情など全然知らないが、てっきりヨーロッパ製か日本製と思っていた。

もちろん、「アメリカ製」であろうといいものはいいのは日本国憲法も同じだ。

そういえば最近、左派系ブログでは森田敬一郎の親米色が少し浮いているような気がしている。

「右」の方にも、ちょっと前の産経論壇内に「親米右翼」と「民族派右翼」の二色の違いが目立ったけれども、森田の場合は「左派だけれども、相手がブッシュ&チェイニーでは全くダメだが、アメリカのリベラルとの積極連携なら志向する親米ハト」という第4の路線なのかなあとも思う。まあ、こうした分類やレッテル貼りよりも、肝心なことは中身だと思うけれども。

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2009年3月 5日 (木)

タックスヘイブン

昨日のNHK・BS1「今日の世界」後半の特集は、BBCがタックスヘイブンを取り上げたレポート番組の紹介だった。

リヒテンシュタインやジャージー島がケースとして取り上げられていたが、アメリカでもイギリスでも金融機関や大企業救済のために巨額な税金が使われている一方で、救済を求める企業の巨大な資産が「税率が低い」「当局の監視の目が届かない」タックスヘイブンに置かれて課税逃れ、資産隠しが行われているということに怒りが集まっているという内容だ。

国境を越える「多国籍企業」ということが言われるようになって30年にもなると思うが、労働者は「グローバルな競争」を口実に権利を削減され、賃金を引き下げられる一方で、カネ持ちは「監督・規制」には「グローバル化」が及んでいないことを良いことに、濡れ手で粟の大儲けに走るばかりでなく、今日の世界的規模のバブル崩壊、金融恐慌・景気後退を引き起こした。

4月のG20サミットでもこの問題が取り上げられる見通しだというが、日本政府からこの問題で、あるべき姿について何かいいアイデアが発信されたという話を聞かない。自公連立政権も、財務省や金融庁も、タックスヘイブンを規制することよりも、これを個人的にどう利用するかを考えたりとか、ワインを飲んだりとかで忙しいのだろうか。

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米ロ関係、ミサイル防衛(MD)に注目

アメリカで政権交代があれば、核軍縮やMDにも良い方向への変化があり得るということをここでずっと言ってきたが、いよいよ実際に動きが出てくることになる。

予定される米ロ外相会談では期限が切れるSTARTⅠに変わる戦略核兵器削減交渉の枠組みについて話し合われるということだし、オバマ大統領がメドベージェフ大統領に「イランの核開発を阻止できれば、アメリカのMD東欧配備は不要になる」という趣旨を含んだ書簡を送ったことが報じられたりしている。

これも世界が正しい軌道に戻るために必要な作業であり、大いに注目したい。これに関わって世界の政策潮流も変化しつつあり、わが国も安倍政権の時にMD開発・配備を決めているわけだが、各党の国防族以外の政治家たちにも(国防族以外だからこそ)、大きな視点から再検討をしてもらいたい。

なお、メドベージェフ大統領の反応についてNHK・BS1の今朝の「おはよう世界」は「MDについて話し合おうというのは評価するが、イランの核開発については取引しない」と要約したが、昨夜の「今日の世界」は「イランの核開発については取引しないが、MDについて話し合おうというのは評価する」と要約していた。前後を入れ替えただけだが、後者の方が米ロ関係全般に前向きな姿勢に聞こえる。

ちなみに、番組で紹介されたロシアRTRのインタビュー映像は「イランの核開発については取引しないが、MDについて話し合おうというのは評価する」という順に言及していた。

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ブラウン英首相は「議会演説」も

麻生訪米での日米首脳会談は「昼食会なし」「共同会見すらない」と言われたが、ブラウン英首相の場合は会談後に記者の質問を受け、昼食会もやり、「議会演説」も行った(切貼後掲)そうだ。

イギリスの首相としても5人目だったという議会演説は儀礼的なものだが、希望すれば誰でもできるわけではない。最近では安倍首相が訪米の際の議会演説を画策したものの、従軍慰安婦問題についての安倍首相の姿勢から認めるわけにはいかないというハイド下院外交委員長(当時、共和党)のホワイトハウス充ての書簡もあって実現できなかったという例もあった。

今回はムリムリ突っ込んだ日程だったため、イギリスと格差がついてしまったが、麻生政権がいつまで続きそうかということを外務省が考えたということもあるのだろうか。

もっとも、どの首相であれ「さすがに日本の首相はいい演説をするね」ということならいいのだけれど、そこはかなり心配だ。将来、もし日本首相の米議会演説という日が来るなら、村上春樹さんに原稿添削してもらうといい。

【以下、切貼】

英首相、新たな欧州観構築を  米議会で演説

 【ワシントン4日共同】ブラウン英首相は4日、米議会の上下両院合同会議で「『古い欧州』や『新しい欧州』など存在しない。あるのは米国の友人である欧州だけだ」と演説、4月5日にプラハで首脳会議を開く米国と欧州連合(EU)が協力し、経済危機を克服しようと呼び掛けた。

 ブッシュ前米政権でイラク戦争を推進したラムズフェルド国防長官(当時)は、開戦を支持したポーランドなどを「新しい欧州」と称賛する一方、反対したフランスやドイツを「古い欧州」と批判した。首相はこうした欧州観をいさめ、オバマ政権下で米欧関係を再構築する必要性を訴えた。

 4月2日にロンドンで開かれる20カ国・地域(G20)の第2回首脳会合(金融サミット)を主催するブラウン首相は、今回の危機を「『経済のハリケーン』が世界中に吹き荒れた」と形容。危機克服には各国の政策協調が必要と力説した。

2009/03/05 09:11   【共同通信】

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2009年3月 2日 (月)

「両陛下、真珠湾訪問を検討」報道(ワシントン共同)を歓迎する

両陛下の真珠湾訪問が計画されているという報道(下に切貼)を見て、これはとても良いことだと思った。

たとえ家族同士であっても、人と人の一日のつきあいは「おはよう」の挨拶ではじまる。国と国の付き合いであれば、お互いの国のために命を捧げた人々に敬意を表するということが大事な出発点の一つだろう。

戦後の日米関係は、日本がアメリカの示した「自由と民主主義」「武装解除」の憲法草案をほぼ丸呑みし、また米軍の極東戦略(後に中東まで=麻生総理が「自由と繁栄の弧」と呼ぶ=)のため常時駐留を認める、アメリカは天皇制の存続を認めるという取引を出発点にしている。

現在までも、われわれ日本人がアメリカの大衆文化にどっぷり浸かってきた=例えばフランス流の赤ワインブームも、英国風ガーデニングもアメリカメディア経由=ということもあるわけだが、タテマエや美辞麗句はともかく、日米の関係は要は「ビジネスと安全保障」のつきあいであり、心と心の触れあいというところではいま一つ、というのが正直なところではなかったか。ジャパンパッシングが言われ、鳥居坂の国際文化会館の日米文化交流行事なども往事の賑やかさに比べ寂しいものだという。

ちょうど天童荒太氏の『悼む人』が話題になり、『おくりびと』が米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞したことなどは、天皇陛下の真珠湾訪問と追悼の機が熟してきていること、あるいはアメリカ人の心に伝わるには良い時期であることを示しているのではないだろうか。

もちろん、天皇の国事行為は憲法に列挙されているものに厳しく限定されるべきで、今回のことも政治的意図は排除されるべきである。

しかし、モンデール駐日大使(当時)の東京大空襲の追悼式典への密かな参列、昨年のG8下院議長広島会議に際してのペローシ下院議長の:原爆死没者慰霊碑に対する丁重な弔意と、それへの答礼の意味も込めた昨年末の河野衆議院議長の真珠湾訪問などは、タテマエの関係や、ビジネスの関係を超えた、日本人とアメリカ人の本当のつきあいのために大きく役立つに違いない。

森田はこれらと同じような視点から、報じられた天皇陛下の真珠湾ご訪問の実現を強く願う。

同時に、アメリカの大統領が日本で同様な行為を行いたいと申し出た時のために、靖国神社がどうしても「A級戦犯」の合祀をやめないというのなら、千鳥ヶ淵墓園の大幅拡充整備など、誰もがわだかまりなく参拝できる国の施設の整備を急ぐべきである。

【以下、切貼】

両陛下の真珠湾訪問を検討  和解象徴、7月軸に日程調整

 【ワシントン1日共同】今年夏に予定される天皇、皇后両陛下のカナダ公式訪問の帰途、両陛下による米ハワイ州の真珠湾訪問が検討されていることが1日分かった。日米関係筋によると、7月を軸に日米両政府が日程調整に入っている。太平洋戦争開戦の舞台となったオアフ島の真珠湾には昨年12月に河野洋平衆院議長が訪れたが、現職首相もこれまで訪問していない。実現すれば、戦後の清算と和解を象徴する歴史的な訪問となりそうだ。

 両陛下は戦後50年の1995年に広島、長崎、沖縄を訪問。戦後60年の2005年には、太平洋戦争の激戦地となった米自治領サイパンを訪れるなど、一貫して「慰霊と鎮魂の旅」を続けてきた経緯がある。

 両陛下の真珠湾訪問は、1994年6月の公式訪米でハワイに滞在した際も計画されたが「天皇の政治利用に当たる」などの反対論が起き断念した。両陛下の外国訪問は2007年の欧州歴訪以来2年ぶりとなる。両陛下の体調も考慮に入れながら慎重に日程調整が進められている。

 ハワイでは日系人団体との交流を主な目的とし、その合間に真珠湾を訪れることが検討されている。真珠湾には旧日本軍の攻撃で沈没した米戦艦アリゾナ記念館があるほか、1945年9月に東京湾の艦上で降伏文書調印式が行われた戦艦ミズーリも係留されている。

2009/03/01 21:54   【共同通信】

【以上、切貼】                                                                                 

                   

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2009年2月27日 (金)

それでは、小沢一郎氏の「第7艦隊で充分」発言に反撃する自民党議員たちに任せておけるのか

小沢氏の発言について、自民党側から「日米安保を損なう」「自主防衛力強化で社民党などとやっていけるのか」とオニの首をとったような批判が寄せられている。

しかし、国民は例えば年金について、ずっと自民党政権と厚生労働省、社会保険庁に「お任せ」でやってきてどういうことになったのかを思い出さないわけにはいかない。

年金についてはお粗末だったけれども、外交・安全保障は自民党政権と外務省、防衛省のやり方については絶対大丈夫だから任せて欲しいと言われても、マユにツバをつけて考えた方がいいだろう。

「アメリカが日本を守っている。日本とアメリカは自由と民主主義という価値観を共有している。だからいまのやり方が正しい」という刷り込みをボーッと信じてしまっていると、いつか年金がボロボロになっていて衝撃を受けたように、日本の外交・安全保障がとんでもないことになつていたことに驚くことになる。

すでに小泉政権の時に、国連がオーソライズしないイラク戦争に憲法の趣旨を踏みにじって支持表明し、陸上自衛隊をイラクに派遣したり、周辺国に航空自衛隊を派遣したりしていることは、そのことの証左とも言えるだろう。

民主党、あるいは小沢一郎氏の外交・安保政策については、かつて小沢一郎氏と横路孝弘氏ら旧社会党グループの間に基本的な合意ができており、自民党や一部メディアの「全くバラバラ」という批判は当たらない。

フジテレビ「とくダネ」の小倉さんも、小沢発言は国民が本当のことを考えるキッカケになるかもしれないと言っていたが、民主党もこの際は、前原前党首が麻生総理に「尖閣も日米安保の対象であることを認めるよう求めろ」といったような、これまでの路線をさらに進めるような方向ではなく、むしろ自民党政権の外交安全保障政策の基本的な考え方について厳しく再検討を求めていくという姿勢が必要だろう。

アメリカから見れば、特にアメリカ軍部から見れば、美辞麗句はともかくとして「日本は戦争に打ち負かした国であり、そこに置く基地はアメリカの既得権益であり、しかも太平洋の西側にあって東アジアから中東にかけて大兵力を動かすときに米本土やハワイを起点にするよりずっと便利。しかも基地の地代は日本政府が払っているし、『思いやり予算』もある。横須賀のドックは第七艦隊の空母をメンテナンスする能力が特に優れており、そして何より『自民党政権』は、『アメリカが日本を守る』。『アジア太平洋の平和と安定に協力しよう』と言ってやれば、何でも言うことを聞く」ということなのだ。

アメリカとの関係は、引き続き日本にとって最も重要な国際関係の一つであることは言をまたない。しかし、そのことと相手の言いなりになることは別のことであり、当然、日本は日本の利益を冷静かつ慎重に考え、その上でアメリカと良い関係を結んでいくということが必要だ。

小沢さんには横路グループとの合意を尊重していって欲しいが、やっぱり心配なのは小沢発言を受けて興奮して「俺たちでなければ日米安保は運営できない」とうっとりしている自民党幹部の政治家たちだ。玉置浩二と石原真理子のルンルンぶりを見るのと同じような、この人たちこそ現実離れしたファンタジーに浸っているのではないかという危惧を持つのは森田だけだろうか。

【以下、毎日新聞、共同通信より切貼】

自民:小沢代表批判相次ぐ 在日米軍削減論で

民主党の小沢代表=盛岡市内で2009年1月31日、狩野智彦撮影 在日米軍削減論を掲げた小沢一郎・民主党代表の発言をめぐって26日、政府・自民党から批判が相次いだ。麻生太郎首相は26日夜、首相官邸で記者団に対し、一般論と断りつつも「防衛に少なからぬ知識がある人は、そういう発言はされないんじゃないか」と強調。小沢発言を引き合いに、民主党の政権担当能力に疑問を投げ掛ける戦術に出た。

 小沢氏は25日、大阪市内で記者団に対し「米国のプレゼンスは必要だが、おおむね(米海軍横須賀基地に拠点を置く)第7艦隊の存在で十分だ。日本の防衛に関することは日本が責任を果たせばいい」と発言した。これに対し、河村建夫官房長官は26日の記者会見で「非現実的だ。政権交代を標ぼうする民主党代表の考えとしてはいかがか」と皮肉った。

 一方、自民党の町村信孝前官房長官も26日の町村派総会で「暴論以外の何物でもない」と厳しく批判。党内からは「日本の軍事増強でカバーする発想なら、共産党や社民党がよく一緒に行動している」(伊吹文明元幹事長)、「民主党はもう政権を取ったような気分で、言いたい放題言っている」(安倍晋三元首相)など、疑問を呈する声が続いた。【三沢耕平、坂口裕彦】

毎日新聞 2009年2月26日 20時59分(最終更新 2月26日 23時01分)

小沢代表の発言要旨     2009/02/26 16:18   【共同通信】

 在日米軍再編に関する小沢一郎民主党代表の発言要旨は次の通り。

 ただ米国の言う通り唯々諾々と従っていくということでなく、私たちもきちんとした世界戦略を持ち、どういう役割を果たしていくか。少なくとも日本に関係する事柄は、もっと日本自身が役割を分担すべきだ。そうすれば米国の役割は減る。この時代に前線に部隊を置いておく意味はあまりない。軍事戦略的に(米海軍)第7艦隊が今いるから、それで米国の極東におけるプレゼンス(存在)は十分だ。あとは日本が極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思っている。(24日、奈良県香芝市で記者団に)

 (米空軍は)いらないと言っているのではなく、日本もきちんとグローバル戦略を米国と話し合って役割分担し、その責任を今まで以上に果たしていかなければいけないという意味で言っている。日本も米国におんぶに抱っこになっているから。自分たちのことは自分たちでやるという決意を持てば、米軍が出動部隊を日本に置いておく必要はない。ただ、どうしても東南アジアは不安定要因が大きいので、米国のプレゼンスは必要だ。おおむね第7艦隊の存在。あとは日本の安全保障、防衛に関連することは日本が、自分のことなんだから果たしていく、そういうことだ。(25日、大阪市で記者団に)

2009/02/26 16:18   【共同通信】

【以上、切貼】

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2009年2月25日 (水)

オバマ大統領議会演説(2009年2月24日)

オバマ大統領の議会演説をNHK・BS1の中継で見る。普通は新大統領就任の年は「一般教書演説」やそれに当たる演説は行われないと思うが、経済情勢がこういう時でありメッセージを発することが重要だという考えから行われたのだろう。

演説が始まって45分ほどして、日本時間の正午少し前から安全保障や退役軍人支援の話しが始まったが、演説の大半は経済の話しで、しかもその肝は未来への投資、「再生可能エネルギー」、「医療保険改革」、「教育」の三つの話題に焦点をしっかり絞っていた。

指導者によって、語るべき時に、語られるべきことが語られる。うらやましいことだ。

週明けの米ABCテレビは「今週はオバマ大統領の就任以来、最も重要な週になるかも知れない」とし、月曜日のホワイトハウスでの予算案にかかわる議会指導者らとの会合、火曜日夜(現地時間)のこの議会演説、翌水曜日の予算案提示というスケジュールを紹介していた。

火曜日の日米首脳会談が「昼食会もなし」などとけなしていた報道があったが、この、ものすごく大事で忙しい時期に時間が割かれたという事情を無視した意見だ。このような時に日本の首相のために時間を割くことを決断したオバマ大統領とスタッフの日本重視のサインを見落としてはならない。あるいはここに割り込んだ日本外務省、駐ワシントン大使館の腕力はたいしたものなのかもしれない。

でも、中味まで評価に加えてタイムリーな訪問だったと言えるか。「語るべき時に、語るべきことが語られた」会談となったのか。‥‥まあ、いいや。

それにしても、ブッシュ大統領の後ろに控えるチェイニー副大統領(上院議長)という「絵」が、2年前から下院議長の椅子に座っているナンシー・ペローシ女史に加え、バイデン副大統領(上院副議長)を従えたオバマ大統領にチェンジした。この極寒の冬が過ぎ去って春がやって来たような景色はなんと素敵なことでしょう。

日本のリベラル派は、この「好機」をみすみす逃してはいけないと思う。

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2009年2月23日 (月)

ファインスタイン上院議員らがクラスター爆弾禁止法案を提出

『毎日新聞』2009年2月23日付記事によれば、米上院のダイアン・ファインスタイン上院議員らが、アメリカ議会でオスロ条約締結後初めてとなるクラスター爆弾使用禁止法案を米議会に提出したという。歓迎したい。

先日のオバマ大統領の就任式典で進行役を務めたカリフォルニア州選出の民主党、元サンフランシスコ市長の女性議員であるファインスタイン氏は銃器規制論などでも有名なリベラル派で、ブッシュ政権が地下施設への攻撃を想定した新型核爆弾の開発を企図した際には、本会議場にヒロシマ・ナガサキの核被害を示す写真パネルを持ち込んで関連予算の成立阻止の先頭に立ち、同構想を事実上葬った中心人物だ。

民主党大会で大統領候補がオバマ氏に一本化された直後、オバマ候補とヒラリー・クリントン上院議員の二人だけの会談に自宅を提供したことでも知られるが、バネッタCIA長官の指名について報道があった際には上院情報委員長として「聞いてない」と発言、これは「中道」のオバマ側近グループに比べリベラル色が際だっていることの反映かも知れない。

オバマ政権については、その布陣から言っても例えば沖縄の基地負担軽減などを念頭に辻本清美代議士(社民)らから「期待できないものもあることを銘記しておく必要がある」という趣旨の発言がある。それはそれで正確かつ良い指摘だが、同時に民主党リベラル派や社民党、日本共産党の人々、あるいは平和指向の市民団体の人々は、「自民党追随」が基本の自民党議員たちや外務省の連携の対象からこぼれているに違いないファインスタイン議員のような議員や、そのスタッフたちとの交流、連携を積極的に図っていくべきだと思う。

【以下、上記記事の切貼】

STOPクラスター米議会議員団上下両院に使用禁止案を提出

 【ワシントン大治朋子】不発弾が市民を殺傷しているクラスター爆弾について、米議会の上下両院の議員団がこのほど、米軍による同爆弾の使用禁止を定める法案を両院に提出した。昨年12月のクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)締結後、米国で同爆弾の使用を規制する法案が提出されるのは初めて。米国防総省は禁止に反対しているがオバマ大統領は積極的で、議会でどこまで支持が集まるかが焦点となる。

 カリフォルニア州選出のファインスタイン民主党議員ら上院議員19人は11日、同爆弾の使用禁止などを求める法案を上院に提出した。下院でもマサチューセッツ州選出のマクガバン民主党議員ら民主、共和両党の7人が同日、同様の法案を下院に出した。その後同院ではさらに支持が集まり、共同提案者は17人(22日現在)にまで増えている。

 法案は不発率が1%超のクラスター爆弾の使用を即時全面禁止。さらに使用が認められる対象も「軍事的目標に限り、一般市民が存在するか、もしくは通常居住するとされる地域では使わない」と厳しく限定し、事実上の全面禁止に近い内容となっている。

 米議会ではクラスター爆弾について、一部議員が断続的に規制法案を提出していたが、大半は採決にも至らず継続審議などになった。06年夏の第2次レバノン戦争で不発率の高い米国製クラスター爆弾が多数使われたのを機に、上院は同年9月、国防予算案の審議で市民が密集する地区での使用禁止を求める一部修正案を審議した。反対多数で否決されたが、当時上院議員だったオバマ氏は賛成した。

 法案審議に先がけ、同爆弾の禁止を求める国際平和団体「国政立法フレンド派委員会(FCNL)」(本部・ワシントン)など67の市民団体はオバマ大統領に対し、オスロ条約に署名するよう求めた。

 米国では国防総省が国際世論に押される形で昨年7月、「新方針」を発表。2018年以降は不発率1%超の爆弾の使用を禁じる方針を定めた。しかし事実上、今後10年間の使用を認める内容だと批判されている。

毎日新聞 2009年2月23日 東京朝刊

【切貼以上】

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2009年2月12日 (木)

「イスラエル総選挙 右派が過半数」-たしかに痛手だが

イスラエルの総選挙で、ネタニヤフ元首相が率いる伝統的な右派政党「リクード」や、新興政党で排外主義を唱え「極右」と表現されるリーバーマン党首の「イスラエルの家」など右の獲得議席の総計が過半数を越えた。毎日新聞一面の見出しには「中東和平停滞か」と添えられ、3面には「オバマ戦略に痛手」とある。

強硬派の勢力増大はたしかに痛手だが、この結果には累積してきた原因があるので、政権発足3週間のオバマ政権も予測された結果と受け止めているだろう。

第1党は確保すると見られるカディマも、中道と表記され、日本の外交官もブッシュ政権べったりの連中や自民党の一部政治家は絶賛していたけれども、この党はもともとリクード党の党首(野党時代)やリクード党政権の首相を務めたシャロン前首相が創設した政党であり、晩年は和平派を演じていた故シャロン氏といえば、もともとはクリントン政権時代にイスラエル労働党のラビン政権とバラク政権の下で成立直前までいったパレスチナ和平の機運を「聖地訪問強行」などでぶち壊した人物だ。今回の選挙目当てとも言われるガザ侵攻を待たなくとも、森田はもともとあまりスジのいい党であるとは見ていなかった。

今回の選挙結果は困った結果だ。しかし、この原因はブッシュ政権がパレスチナ問題を事実上放置したままイラク戦争に熱中したり、イランを「悪の枢軸」呼ばわりして中東の政治地図でイスラエルをかえって不利にしたり、あるいはブッシュ政権が、パレスチナのアッバス議長が「総選挙の実施は待って欲しい」というのを押し切って当初のスケジュール通りの選挙を強要した結果、ハマスの勝利を招くといった失策を重ねてきたことの反動なのだ。

つまり、今回の選挙結果にはブッシュ・チェイニー政権の政策の累積が招いたという面があり、オバマ政権が正しい方向に政策転換し、粘り強く中東外交を進めるならば、将来のイスラエル総選挙の結果は違ったものになる可能性がある。

もちろん、イスラエルの国内の社会開発の問題、例えば建国当初からの移民ではなく、最近旧ソ連から移住したような人々の所得水準や教育水準が低いといった格差問題や、そうしたことの反映としての若者の失業やごく一部にはネオナチ(!)の流行が見られるなどといった問題があるらしい。極右や極左の台頭を防ぐにはこうした問題に地道に取り組む必要があることを忘れてはいけない。

それにしても、毎日新聞3面の見出しは「オバマ戦略に痛手」ではなく、「ブッシュ政権の負の遺産」とか、せめて「オバマ戦略に課題」くらいがいいんじゃないか、というのが森田の感想。

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米議会民主党指導部の「目測力」と、日本の自公連立政権指導部の「学習能力欠如」

11日、米議会の上下両院指導部が、これまでの例から見て全く異例のたったの一日で、両院が異なる内容で可決していた経済対策法案の一本化に合意した。

オバマ大統領が作り出したモメンタムということもあるが、要は下院民主党指導部が「上院で、討論打ち切り動議に賛成してくれた野党・共和党の『3人』の議員の言うことを丸呑みしなければ早期決着はない」と腹をくくった決断が決め手だった。

オバマ政権「与党」の民主党は、下院では安定多数を占めているものの、上院では総議席数100の半数である50を上回る議席を抑えているとはいえ、議事妨害を封じることのできる60議席には足りないため、与野党で意見のはっきり分かれる法案については共和党からの賛成票が3票程度いつも最低限必要なのだ。

計画されている経済対策が実施されたところで、どれくらい経済回復に役立つかどうかはわからない、ということではアメリカも日本も状況は同じである。与党が議会両院の絶対多数を占めてはいないということも共通である。

しかし、決定的に違うのは、アメリカ民主党議会指導部が、日本の右の連中が中曽根康弘氏が持っていると賞賛してやまない「目測力」のようなものを持ち合わせていてさっさと法案を通して経済危機下の国民に対して負っている最低限の責任を果たしているのに対して、わが国の自公連立政権は、衆議院で再議決可能な大きすぎる議席を持っていることが災いしてか、そのような「目測力」「決断力」「結果に対する責任感」の欠如を示し、いたずらに大切な時間を空費していることだ。

参院選の結果が出た後、安倍政権が対処できなかったのは政権の能力という点から予想通りだったが、福田康夫政権、麻生太郎政権と学習効果なく同じことを繰り返しているのは残念だ。

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2009年2月 7日 (土)

「欧州MDは対イランで保持、ただしロシアと協議」-バイデン米副大統領のミュンヘン演説

バイデン副大統領はミュンヘン演説で、東欧配備のミサイル防衛構想(MD)はイランに対する抑止として維持する、ただしロシアと協議するという線で発言したらしい。

イランのこととなると、アフマディネジャド大統領がイスラエル殲滅を公言している関係上、「イスラエルの生存」がかかわるということで、アメリカの既成政治家にとっては日本の最近の「拉致問題」どころではない、パプロフの犬のようなと言っては失礼かも知れないが、棒を飲んだような反応になってしまうということは織り込んで観察しなければならない。

「ロシアと協議する」というのは、ブッシュ政権の姿勢とは全く異なりかなり含蓄がある。オバマ政権は、少なくともロシアと軍縮交渉を進めるつもりがあり、MDもカードとして使うということだ。

ミサイルをミサイルで撃ち落とす-それも核ミサイルが相手であれば100パーセントでなければ意味がない-というMD構想が現実的でコストに見合うシステムなのか疑問であり、相互核抑止を不安定にするもではないかという疑問は払拭されていないが、それをさておくとしても、本当に「対イランの核ミサイル脅威」というなら、本質的にはアメリカとロシアがミサイル防システムを共同開発し、共同配備することがベストなはずだだ。

日本の防衛大臣も初めて出席したらしいが、全く存在感がない。「対イランというなら、アメリカとロシアはMDを共同開発、共同配備したらどうか」と、知らないふりをして「王様は裸だ!」に類する演出の発言くらいしたらどうか。これくらい言えば、全体の対話を前に進める触媒くらいの役には立つ。

知ったような顔をして、ずっと黙っていて結局はひたすらにアメリカ追随を続けるだけというのでは、アメリカにとっても、お手伝いないし子分としてはともかく、国際政治上のパートナーとしては、引き続きいてもいなくても同じ存在ということになってしまうだろう。

【以下、毎日新聞記事の切貼】

ミュンヘン会議:米副大統領演説 「協力と協調」よびかけ    毎日新聞 2009年2月7日

 【ミュンヘン(独南部)小谷守彦】バイデン米副大統領は7日、ミュンヘンでの安保政策会議で演説した。オバマ政権発足後、首脳級が国際会議に出席するのは初めてで、オバマ外交が本格スタートした。副大統領はテロの脅威や金融危機、地球温暖化など共通の課題に対処するため「あなたの助けが必要だ」と欧州など各国の協力と協調を求めた。一方、イランの脅威を挙げ東欧ミサイル防衛(MD)計画継続を強調するなど、強い外交姿勢にこだわりも見せた。

 副大統領は「米国は(世界に)関与し、その声を聞き、相談する。世界が米国を必要としているように米国は世界を必要としている」と述べ、イラク戦争開戦をはじめとしたブッシュ前政権の単独行動主義から脱却、協調と責任分担を重視する外交への転換を鮮明にした。

 その一方「米国はより行動するが、パートナーにもより多くを求める」「脅威には一国だけでは対処できない」とアフガニスタンへの軍事・復興支援を念頭に各国に責任分担も求めた。

 対話路線も強調し、「イランとの直接対話を望む」「核開発を放棄すれば報奨がある」と呼びかけた。

 ただ、「軍事力が我々の自由を守ってきた。これは不変だ」と述べ、軍事力行使も排除しない姿勢を明確にした。東欧のMD計画については効果的であるという前提付きで「イランのミサイル能力増強に対抗するため」継続を表明した。これに反発するロシアに配慮し、「ロシアと協議する」と述べた。

 米露間で滞ってきた核兵器削減交渉について「米露で削減のイニシアチブを取らなければならない」と交渉再開への意欲を示した。

 会議には浜田靖一防衛相が初めて出席、駐日米大使に有力視されるジョセフ・ナイ元国防次官補と会談する。

 ◇7日のミュンヘン安保政策会議での、バイデン米副大統領演説要旨は以下の通り。
 オバマ新政権は、他国との新しい基調の構築を望む。過激主義に対し、共通の枠組みでの協力継続を追求していく。私たち米国には、あなたたちの助けが必要だ。キューバ・グアンタナモの(テロ容疑者)収容所の拘束者受け入れを、他国にもお願いしたい。

 米国はイランとの直接対話を望んでおり、その用意がある。イランは圧力、孤立を選ぶのか。核開発を放棄し、テロ支援を中止すれば、意味ある報奨があるだろう。

 私たちは気候変動に対し、積極的にリードしていく用意がある。

 北大西洋条約機構(NATO)とロシアの間に横たわる危険なわだかまりを捨てるために、リセットボタンを押す時だ。もちろん、ロシアの勢力圏拡大など、全てを容認することはしない。MD(ミサイル防衛)についても、ロシアとNATO加盟国との同意の上で決定されるだろう。大幅な核軍縮も目指す。NATOもロシアも、国際テロ組織アルカイダやアフガニスタンの旧支配勢力タリバンを打倒するため、協力していくべきだ。

毎日新聞 2009年2月7日 21時04分(最終更新 2月7日 21時57分)

【以上、切貼】

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2009年2月 6日 (金)

日本も「宗教地域協力事務所」設置しては

「年越し派遣村」がクローズアップされた時期に、朝日新聞の「声」欄に二度にわたって「お寺は何をやっている。こういう時は本堂を開放して、困っている人を助けるのが宗教の役割ではないか」という投書が載り、フジテレビの「トクだね」でもコメンテーターの一人が同様の言及をしていた。

お寺をはじめ宗教には、こうした面での役割をぜひ果たしてほしい。また、わが国が国際社会において果たすべき役割の一つに、しばしば紛争やテロの温床ともなる途上国の貧困や社会問題への取り組みがある。そうした面でも宗教が果たし得る役割は大きい。

アフガニスタン、ソマリアなどの問題について、危険は伴い、自衛隊派遣云々よりかえって大変なことは事実だが、文官や民間による農漁業支援や教育、保健衛生支援などの方がよほど問題の根本的な解決に役に立ち、わが国に向いている。

政府にとってNGOなどとの協力、NGO活動に対する支援が重要だが、その際に「宗教」という点に着目することは意義がある。モチはモチ屋ということばがあるが、例えばアフガニスタン支援を考えるときに、日本ムスリム協会の知恵と力を借りるという発想は大事なのではないか。

日本の伝統宗教、新興宗教にも「世界宗教者平和会議」といった平和に貢献しようという志向は存在する。「他宗教と協力するより、うちのボスにノーベル平和賞を」というところはあるかもしれないが、ブログで葬儀屋のようなことしかやっていないではないかと言われているよりは、世界平和に直接に貢献したいという志を持つ信仰者も多いのではないか。

政府がコーディネーターの役をやり、対象地域によって適切なグループが前面に立ち、政府と他の宗教は後方支援に全力を挙げる=例えばアフガニスタンにキリスト教団体を派遣すれば、韓国のキリスト教団体の事件があったようにテロの標的になってしまうだろうから、そうしたことは避けなければならない=。

国内のムスリムの力だけでは足りないというのなら、インドネシアやマレーシアの支援団体に資金や後方支援で協力するという考え方もあっていいのではないか。ヒラリー・クリントン国務長官の東アジア訪問にインドネシアが含まれるのにはそういう要素があるのかも知れない。

自民党や民主党の右派も、伊勢神宮参拝ばかり熱心にやっていないで、考えるべきことがある。神社だって「総理の靖国参拝実現」などと内向きのことばかり言っていないで、若い人々が世界の中で誇りを持って生きていけることの助けになるような、神社自身の国家に対する積極的な貢献を考えてほしいものだ。

【以下、毎日新聞2009年2月6日付記事の切貼】

オバマ米大統領:宗教事務所新設 「特定宗派こだわらず」

 【ワシントン大治朋子】オバマ大統領は5日、地域の経済活性化や貧困、教育対策を目指す「宗教地域協力事務所」をホワイトハウスに新設するよう命じる大統領令に署名した。同様の組織はブッシュ前大統領も設置したが、大統領を支持する一部キリスト教右派らが活動の中心となり、「政教分離」を求める批判が絶えなかった。

 AP通信などによると、各種宗教団体のリーダーら25人が同事務所の顧問を務める。地域の宗教団体や非営利法人の活動を支援し、貧困対策や就職支援などに取り組む。また、海外の宗教団体とも連携し、異教派間の対話促進に努めるという。

 オバマ大統領は設置にあたり、特定の宗派にこだわらない方針を強調。「米国が求めている変化は政府だけではなしえない」と述べ、宗教界の協力の必要性を訴えた。

 ブッシュ前大統領が設置した組織も公費で運営されたが、スタッフが特定の宗派に限られ、オバマ大統領は選挙中「政教分離」の必要性を訴えた。

【切貼終わり】

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2009年2月 5日 (木)

【切貼】過去に来広 米大統領補佐官 '09/1/21広島の地方紙 『中国新聞』

やはり少し前の、広島の地方紙『中国新聞』より。記憶にとどめておきたい。

【以下、切貼】

過去に来広 米大統領補佐官 '09/1/21 『中国新聞』

 オバマ政権の大統領補佐官(科学技術担当)ジョン・ホルドレン氏(64)が、ヒロシマを訪れていた。科学者の立場から核兵器の廃絶を目指すパグウォッシュ会議が1995年と2005年に被爆地で開いた年次大会に参加し、講演や、原爆資料館で記帳もしていた。補佐官登用は、核軍縮に前向きなオバマ新大統領の考えの表れといえ、政策形成にも重要な役割を担うとみられている。

 ホルドレン氏は就任前は米ハーバード大教授で環境政策が専門。パグウォッシュ会議(本部英国ロンドン)のサイトによると73年から会議に参加し、87年から10年間評議委員長を務めた。

 被爆地で初めて開いた95年の大会では、「核兵器と戦争の廃絶を訴える」広島宣言をまとめた。この年に会議がノーベル平和賞を受賞すると代表して、「冷戦終結後の軍縮と平和構築」をテーマに受賞記念講演もした。

 さらに05年の被爆地での年次大会で「核“ゼロ”への道」と題した講演を行い、米国が包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准やロシアとの核兵器削減を推し進め、非核保有国の日本とドイツ、ブラジルの国連常任理事国入りなどを提唱。「核兵器禁止の目標を定めるべきであり、それには米国の指導力と世論の支持が不可欠だ」と訴えた。

【写真説明】<左>1995年7月に原爆資料館を見学して「心揺さぶられ、核兵器をさらに自らの問題として考えていきたい」と記帳していた <右>広島国際会議場であったパグウォッシュ会議で講演するホルドレン氏(2005年7月23日、撮影・松元潮)                                

                                     '09/1/21 『中国新聞』
【切貼、以上】

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2009年2月 4日 (水)

「オバマ政権が野心的な米ロ核兵器削減交渉提案へ」-歓迎すべきニュース

オバマ政権が「核弾頭80パーセント削減」を目指す米ロ核兵器削減交渉開始を提案するという報道があった。

大歓迎である。広島・長崎に投下された一発の核爆弾の威力をわれわれは些か知っているわけだが、現在の世界の核兵器庫にはその数十万発分という、全人類を何度も絶滅させる核兵器が蓄積されているのである。

これを放置することは、危険なことであり、資源や財源の無駄遣いであり、米ロにとっては核拡散防止条約の「核保有国の軍縮努力」の違反であり、イランや北朝鮮、あるいはイスラエル、インドやパキスタンに「核を持つな」と言うことばの説得力を著しく損なう行為だ。

レーガン政権時代、高齢でタカ派と見られたポール・ニッツェ氏が旧ソ連との交渉でよい仕事をしたように、米政府代表に超党派の人材起用のオバマ政権としては父ブッシュ政権の国家安全保障担当補佐官を務めたスコウクロフト氏などを考えてはどうか。高齢で無理ということでであれば、ロシアをよく知る弟子のライス・ブッシュ政権国務長官の起用だっていいかもしれない。

さて、こうした時に自公連立政権や、次期政権党を狙う野党がどういうメッセージを発信するかにも注目したい。

「われわれは核の傘に守ってもらっているのだから」と無気力、無関心をさらし続けるのか、広島・長崎の被爆体験を持ち、核兵器廃絶を願う国民の意思を体してオバマ政権のイニシアチブや、もしそれにロシアが応えようとするならロシアに対しても、強い、明確な支持のメッセージを出すのか。大いに注目したい。

【以下、時事通信記事の切貼】

米ロ、核弾頭の大幅削減交渉へ=英紙  時事通信 2009年2月4日

 【ロンドン4日時事】4日付の英紙タイムズ(電子版)は、オバマ米大統領がロシアとの間で過去20~30年間で最も野心的な核兵器削減交渉を行う見通しで、両国の核弾頭を80%削減することを目標にしていると報じた。
 同紙が得た情報によると、この交渉が首尾よく妥結すれば、核弾頭はそれぞれ1000個にまで削減されるという。(2009/02/04-09:49)

【以上、切貼】

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ダッシェル氏の厚生長官指名辞退、残念

昨日はテレビでステファノプロス記者の「恐らく指名辞退にはならないでしょう。だだし、仮に指名が承認されてもオバマ大統領は代償を払うことになる」という解説を聞いて少し安心していたけれども、結局辞退ということになった。

「閣僚候補の指名辞退」という事実だけでも政権にダメージだが、ダッシェル氏の厚生長官起用はオバマ政権の「肝」の一つだと思っていたのでたいへん残念だ。

オバマ政権の当面の課題は「金融経済危機」への対処であり、「アフガニスタン」だが、アメリカの本格的な「チェンジ」の中心課題は医療保険制度改革であることは誰の目にも明らかだ。日本などと異なり、多くの低所得層が無保険の状態にあることが、アメリカが貧しい人々にとって過酷な社会であることの大きな原因だからだ。

クリントン政権も発足当初、ヒラリー夫人を先頭に改革に取り組もうとしたが、議会の協力をとりつけることができずに失敗。その後、中間選挙の大敗で政権の中心課題から外れてしまった。

ダッシェル氏は、オバマ氏が上院議員に当選した2004年の上院選で、現職の民主党・上院院内総務として出馬していて接戦で落選した人だが、なにしろ野党時代には上院・下院の院内総務は所属政党の最高幹部であり、そのようなポストにあったこと自体が会派内での力、人望を示している。

さらに、当選が入れ替わりだったこともあり、オバマ上院議員の事務所には落選したダッシェル院内総務の中心的なスタッフが雇用され、ダッシェル氏自身も当時のオバマ上院議員に親切にアドバイスしてきたという関係にある。

つまりダッシェル氏は、ベテランとしての「安心感」で若い大統領が率いるオバマ政権の信頼感を高めることが期待でき、大統領自身と非常に信頼できる関係がすでにできあがっていて、「皆保険」の方向への熱意において人後に落ちず、そしていちばん肝心な「議会対策」において頼りになるという、オバマ政権にとってキーパーソンになるべき人物だったのだ。

たいへん残念だが、オバマ大統領は選挙戦においても何度も窮地からカムバックしてきた。今度もダッシェル氏辞退をどうカバーするかに注目したい。

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2009年2月 1日 (日)

「007/慰めの報酬」-ブレゲンツも舞台に

「笑いが一番」のポカスカジャンの出番を見てから新宿バルト9へ。『007/慰めの報酬』を見る。流石の出来映えを楽しんだ。

「イギリスで007ブーム再燃」という話題を聞いていて、どんな具合なのだろうという関心から出かけたが、海・陸・空全部を舞台に戦うドライな感じのアクションも、中南米の政治情勢や環境・資源問題を織り込んだ舞台設定もなかなかよくできている。左翼政権に対しクーデターを企図する将軍に悪の組織が渡す資金は「ドルが下がっているのでユーロで用意した」と時事的なセリフも織り込んでいる。女性たちも、義に感じて引退先のイタリアからボリビア(ロケ地はチリなど)に同行する三国連太郎と佐藤浩市の中間のような俳優も魅力的。

一番の悪役はまあ、国際環境NGOのリーダーを偽装した秘密結社の構成員だが、米CIAもほとんど悪役。秘密結社の正体について、どうもボンドは映画の最後のほうで掴んだらしいのだけれども、観客にはわからないところが「消化不良感」という批評もあったが、森田としてはむしろ、思い返せば秘密結社の正体が「イスラム」「アラブ」といったものに連なることを示唆するような表現が不自然なほど徹底して排除されていたことに、「良心」とまではいかないにしても制作サイドの明確な意思を感じた。

英国首相に近い政治家やロシアの資源マフィアなど国境を越える悪い奴らの接触の舞台としてオーストリア西部「ブレゲンツ」の湖上オペラ公演が設定されていて、ゴージャスな感じを出している。『トスカ』という演目もシリアスな流れにマッチしていた。その後、イギリスの警護官が墜落死する場面が来る‥

ストーリーの嵐が去った後、本作のボンドガールとの別れ際のセリフは「死者は報復など望んでいない」。エンドロールの最後は「ジェームズボンドはまた戻ってくる」。また見に行くな。これはきっと。

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2010年-改訂日米安保条約50周年/APEC日本開催は長崎がいいのでは

先週1月25日放送のNHK『日曜討論』は、オバマ政権と日米関係などがテーマになっていたが、その中で米議会に勤務歴のある中林美恵子氏が2010年は安保条約50周年なので、それを契機にオバマ政権との間で日米安保関係を新たに構築する作業をすべきだという趣旨の発言をしていた。またチャールズ・レイク氏からは「APEC日本開催も決まっている」と指摘があった。

吉田総理が結んだ旧安保、岸総理が改訂に執念を燃やした現在の日米安保条約はいずも「米ソ冷戦」を前提としていたものであり、本来なら米ソ冷戦が終焉した20年前に「冷戦も終わったのだし、米軍の日本駐留はおしまいにしたら?」という議論が高まっても良かったはずだが、実際には「現状維持」ないし「米軍への協力強化」に理屈をつけるため、橋本内閣とクリントン政権との間で「日米安保はアジア太平洋の平和に大きな役割を果たす」という日米安保の再定義として「共同宣言」がまとめられた。

周年行事など、本質的には意味があるわけではないが、「ブッシュ=小泉」時代のさまざまな逸脱を本来の軌道に戻し、またオバマ政権の国際協調路線の中での日米関係を再定義するきっかけとして「50周年」の節目を使うのは悪いことではないと思う。

まあ、森田としては日本政府に「日本は基地を提供、アメリカは日本防衛を約束というのが日米安保の約束。基地はうんと役立っているでしょう。周辺住民は大きなコストを負っているのです。まさか『ただ乗り』だの、もっと負担しろといったことは仰らないでしょうね」という基本路線でいってほしい。安保条約に「同盟」といったことばが使われていない以上、日米を「同盟国」などと気安く言ってほしくない。ネブラスカの商店のおやじさんや、フロリダのお母さんたちは、テレビやラジオで日本の政府高官が「日本とアメリカは同盟国」などと何度も叫ぶのを聞けば「アメリカが攻撃されれば、日本が参戦するのはあたりまえ」と考えるのは当然ということに思い至らなければ「現実感覚」が欠如しているとしか言いようがない。

APECの開催地はどこがいいか。長崎は歴史的に日本のアジアと世界の窓口だった。ここなどどうだろうか。オバマ大統領の原爆被爆地、広島・長崎の訪問が実現すれば日米関係、世界の核軍縮・不拡散にもプラスが大きいと思う。

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2009年1月31日 (土)

山内昌之教授の故ハンチントン氏への温かい評価

雨降りの土曜。昨夜放送の『20世紀少年 もう一つの第1章』(日本テレビ)の録画など見ながら自宅で新聞切り抜きなどして過ごす。

毎日新聞の2009年1月28日付に、昨年亡くなったサミュエル・ハンチントン氏について山内昌之氏が追悼文を寄せている。山内教授は「文明の衝突という考えは複雑な世界史や国際政治を単純に割り切りすぎた」と断じてはいるものの、全体としては「人々の反応を楽しんでいただけかもしれない」「彼の魅力は茶目っ気」温かいトーンに貫かれているので少し驚く。

ハンチントン氏の若い頃の業績は知らないが、「文明の衝突」という考えは今さら指摘するまでもなく、世界の「文明」をかなり恣意的に8つだかに切り分けて「イスラム世界と欧米キリスト教圏衝突は不可避である」といったことを主張する乱暴な話であり、学者の話としてはあまりに雑ぱくであるばかりでなく、実際問題としても「9・11」後にアメリカが戦争に突き進んだり、小泉自公連立内閣を含め世界中の多くの人々がそれを積極的に支持したり、反対を表明しなかったという状況を準備した極めて有害な議論であったと言うべきだと思う。

山内先生としては、人の悪口などは言う必要がないということかもしないけれど‥

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2009年1月29日 (木)

順番が十何番目かだっていいじゃないか-日米首脳電話会談

オバマ大統領が就任してから初めての日米首脳電話会談が行われたことについて、官房長官の午前中の会見で記者団から「順番が十何番目かに遅らされたという報道もあったが、どうか」という質問が出ていたのを昼のNHKニュースで見た。

十何番目でもいいじゃないか。先方から何か、機嫌をとってこちらが嫌がるややこしい話を持ち出したいという状況じゃないことの現れだもの。

連れ合いは一番の後回しということは良くあることで、それは反省すべきとは思いつつも、やましいところが全くないからというせいもあるぞと思う。日本はアメリカの妻というわけじゃないが、向こうから見ればこれまでの自公連立政権の実績は「拉致問題が北の核開発を止めることより大事だと主張する以外は、全ていつでも賛成、必ずついてくる」というものなのだし。

世界経済情勢の打開について、あるいは中東問題や新エネルギー開発について、目の覚めるようなアイデアがあるというのなら、どんなに割り込みをしても真っ先に電話に出てもらわなければならないけれども、そうじゃないでしょう。

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2009年1月28日 (水)

アル・アラビア、ナブッコ

今日の国際ニュースで印象に残ったのは、ひとつはオバマ大統領が初の海外TVメディアインタビューにアラブ首長国連邦のアラビア語放送局アルアラビアを選び「イスラム世界は敵ではない」と発信したこと。

オバマ氏がそのような考えであることを我々は知っているけれども、イスラム圏の一般の人々にしっかり伝えることの意味は大きい。まずは会うこと、相手のわかることばで発信することから始めなければならない。素早い取り組み、さすがオバマ氏である。

少し興味を引かれるのは、先発のカタール局アルジャジーラではなくアルアラビアを選んだ理由。イラク戦争中、米陸軍から蛇蝎のように嫌われたことでは同じはずだが。アメリカの一般にジャジーラは「ビンラディンの声明を放送する局」というイメージが強いのを回避したのか。

もうひとつは、コーカサス地方の天然ガスをウクライナばかりでなくロシアも回避したパイプラインで運ぼうというEUが推進する「ナブッコ・パイプライン」の国際会議がブダペストで開かれたというニュース。

東欧のニュースをこまめにチェックしていなかったが、ハンガリーは去年までにロシアがウクライナを回避する新しいパイプライン「サウス・ストリーム」を建設することに参加することで合意していたのではなかったか?

1956年のハンガリー動乱でもわかるように、もともと東欧圏でもロシアとの距離感の大きい国だけに、サウス・ストリーム合意や、昨年のロシア軍グルジア侵攻時のポーランドなどと対照的な静かな動きに「対ロシアでいろいろ考えているな」と感じてきたが。裏事情に若干の興味を引かれる。

「ナブッコ」というのは、あのヴェルディの合唱曲「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って」で有名なオペラ『ナブッコ』と関係あるのかしら。そこでのナブッコ王は世界史の教科書に出でくる新バビロニアのネブカドネザル2世で、このオペラでは最後にはヘブライ人たちにひれ伏す話になっているけれども‥

【以下、切抜貼付】

「米国はイスラムの敵でない」=アラブ放送局と初会見-オバマ大統領

 【ワシントン26日時事】オバマ米大統領は26日、就任後初めてアラブの衛星テレビ局アルアラビアのインタビューに応じ、「米国はあなた方の敵ではない」とイスラム世界に呼び掛けた。また、イスラエルとパレスチナの双方に対し、「交渉の席に戻る時だ」と述べ、和平プロセスの再開を訴えた。
 米大統領が就任後、初の正式なTVインタビューにアラブのテレビ局を選ぶのは異例。2001年の米同時テロ後にブッシュ前政権が推し進めた対テロ戦争で、イスラム世界との間に深まった亀裂の修復に全力を挙げる姿勢を示した形だ。(2009/01/27-13:31)

ナブッコ、上半期の合意目標に  脱ロシアのガス計画

 【ウィーン28日共同】天然ガスをカスピ海からトルコ経由で欧州に運ぶパイプライン「ナブッコ」計画を協議する国際会議が27日、ブダペストで開かれ、参加各国は今年上半期の計画合意、調印を目指すことなどを盛り込んだ声明を発表した。
 ナブッコは天然ガスのロシア依存脱却が狙いで、会議はウクライナ経由のロシア産天然ガスの欧州への供給が約2週間停止したことを受け開催された。ただ、80億ユーロ(約9400億円)を超えるとされる建設費用負担や、天然ガスの供給源確定など課題は残されており、計画実現の道は容易ではないのが現状だ。
 会議にはハンガリーのジュルチャーニ首相のほか、欧州連合(EU)議長国チェコのトポラーネク首相、ブルガリアのスタニシェフ首相、アゼルバイジャンのアリエフ大統領らが出席した。
 ナブッコは全長3300キロで、トルコからブルガリア、ルーマニア、ハンガリーを経てオーストリアまでパイプラインを建設する計画。
2009/01/28 09:55

【以上、切抜・貼付】

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2009年1月27日 (火)

自公連立政権の「再生可能エネルギー」への消極姿勢

 朝のNHKテレビのニュースで、国際再生エネルギー機関の設立総会があったがわが国政府はオブザーバー出席にとどめたと報じられていた。つまり、わが国の政府は「風力」や「太陽光発電」については、中国やこの機関への対応を検討していたブッシュ・チェイニー政権と五十歩百歩ですと自ら発信したわけだ。

 しかも、側聞するところではもともと外務省も経済産業省も出席すらするつもりがなかったところ、オバマ政権の誕生でアメリカが「欠席」から「オブザーバー派遣」に切り換えたので慌てて日本もオブザーバー参加に切り換えたという。

 経済産業省や外務省は、天下りなどの都合で原子力村というか、財界というか、電事連というか、そういうものにがんじがらめになっているので、野放しにしておけばこの国際機関に「不参加」という結論もまあ予想はつく。朝日新聞でさえ、「風力発電の施設に貴重なオオタカがぶつかって死ぬ」といった記事をよく出していると思ったら、この前は「騒音などで健康被害」という記事を一面に大々的に掲載していた。「沖合を推進しよう」といった話など全く書かずにだ。これも赤字転落下の広告料の都合なのだろう。

 しかし、こうした癒着の構造にばかり足をとられることなく、例えば地球環境問題で経済産業省や外務省をリードして、あるべき方向に持って行くのが「政治のリーダーシップ」の役割であるはずだ。

 少なくとも、現在の自公政権はこの問題について私の期待には全く応えていない。やる気がないのだ。この際、民主党など野党各党はこうした問題についてどういう姿勢で臨むのか、ハッキリ態度を示して欲しい。民主党には電力会社からパーティー券を買ってもらっている議員がかなりの数いるのだろうが「政権交代しはしたけれども、やっぱり政治は電事連の言いなりのまま」といったことにならないよう、今から内外に「宣言」しておいたほうが良いと思う。

以下、NHKのページより切抜・貼付

国際再生可能エネルギー機関

1月27日 6時56分
地球温暖化対策として期待される風力や太陽光発電といった再生可能エネルギーの世界的な利用拡大を目指そうという新しい国際機関が設立され、ヨーロッパ諸国を中心に70か国以上が加盟することになりました。

ドイツのボンで26日開かれた「国際再生可能エネルギー機関」の設立総会には120か国余りが出席しました。国際再生可能エネルギー機関は、地球温暖化対策に加え、世界的な金融危機の影響が広がるなか、新たな雇用を生み出す分野としても注目される風力や太陽光といった再生可能エネルギーを拡大させていくことを目的に設立されたもので、各国での普及を後押しする政策の提案や途上国への技術移転に取り組みます。

設立総会では、ドイツやフランスといったヨーロッパ諸国に加え、発展途上国も条約に署名し、あわせて75か国が加盟することになりました。しかし、日本がIEA・国際エネルギー機関などとの役割の違いが明確でないなどとして加盟を見合わせたほか、中国やアメリカなども会合には出席はしたものの、加盟はしませんでした。それでも加盟した各国の間では、温暖化対策に積極的なオバマ政権に代わったアメリカが今後、加盟することへの期待は高く、新たな国際機関が、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた各国の協調した取り組みにつながるかが注目されます。

【ここまで切抜・貼付】

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2009年1月26日 (月)

【切抜・貼付】ジェラルド・カーチス氏の提示するオバマ政権への視点

先週水曜のNHK「視点・論点」より(NHK解説委員室のページから)。知日派で米政治地図でははっきりリベラル派のカーチス氏も、アメリカが戦争を始めるとたいてい「戦争支持」なのでいつも信用できるわけではないが、ここでは日本政治も視野に入れながらオバマ政権のどこに注目していくべきか極めてコンパクトに、過不足無く提示している。

日米関係において「継続」がキーワードであるということは、基地負担の軽減などで目覚ましい進展は期待できそうにないということで残念だが、日本も本格的な政権交代を準備すべき時期なので、相手の出方がある程度読みやすいということはメリットだろう。

「国民との対話」というところは大事で、民主党の若手は「オバマはインターネットの利用が巧みだ」などと微妙にずれたことを言っていないで、ここでカーチス氏が言うことを拳々服膺すべきであろう。

【以下、NHKページより切抜・貼付】

2009年01月21日 (水)
視点・論点 「オバマ大統領に期待するもの」
コロンビア大学教授 ジェラルド・カーティス

 オバマ新大統領、その就任にあたって、この番組の短い時間の間に、5つのテーマについて、お話をしたいと思います。

 今、言うまでもないことなんですが、オバマさんがアメリカの初めての黒人大統領であるということは、アメリカの歴史のもう劇的な出来事であります。ただですね、彼が大統領になったより重要な意義があります。それは、オバマさんは他のほとんどの政治家に見られない魅力と強さがあるということであります。

 感情的にならない、ナショナリズムを煽ることもなく、国民に絶えず顔を向けて、冷静に丁寧にわかりやすく厳しい現状を説明して、どういう政策が今アメリカにとって、必要であるかということを、納得させる努力をして、説得をする。その才能を持っているのは、彼のリーダーとしての素晴らしさであると思います。

 オバマさんがインターネットを使いこなしている。このことに大変関心を持って、これは日本の政治家にとっての、重要なモデルであると思う日本の政治家は結構多いですが、これは言ってみれば、二の次の問題であります。

 一番参考にすべきことは、難しい話をわかりやすくしゃべって、自分が官僚以上の知識があるということを見せる必要がなくて、国民と直接に対話をして、国民に大きな希望、期待、それを持たせるのがオバマさんに見習うというか、参考にするべきところであると思います。

 いずれにしても、オバマ大統領は説得する政治の名人であります。日本にもそういう政治家が望まれていると思います。

 2番目の点です。オバマ大統領が成功するかしないか、それを決めるひとつの大きな要因は、どれほど、議会対策がうまくいくかということであります。アメリカの上院議員は100人います。オバマ大統領の民主党がその過半数を持っています。ですが、まあ日本でいう安定過半数、それを持っていません。安定過半数になるためには、60人の議員が必要なんです。民主党は今のところ、57名、1人か2人まだ決まってないんですが、60人になれません。そうしたら、野党の共和党が、いわゆる審議妨害、フィリバスターって言いますが、それができるのであります。

 オバマさんは共和党との妥協をして、支持を得ざるを得ない。それに日本とか、他の議会制の国々と違って、アメリカの三権分離は非常に極度にはっきりしています。民主党が過半数を持っても、それでオバマ大統領の望むとおりには、必ずしもなりません。

 先日、上院議員、民主党のリーダー、リード院内総務は、わざわざ“I don’t Work for Barack Obama.” オバマ大統領の下で働いてません。要するに上院議員のリーダーとして対等な立場で協力をする。

 大統領が議会を説得する、その必要があるので、オバマさんはこの対議会政策、まあ議会の対策、これの重要性を十分わかっているので、議会での経験のある人を多く、たくさん閣僚、アドバイザーにしています。

 バイデン副大統領、クリントン国務長官、ダシュル厚生大臣などが、エマニュエル・チーフスタッフ、ホワイトハウスの一番上の人が、みんな議会での経験を持っている人たちであります。いずれにしても、これからのアメリカの政治をご覧になった場合、オバマさんが議会とどのぐらいうまくやってるかということを注目すべきことであると思います。

 3番目の点です。政府を小さくすれば、官僚の人数を少なくすれば、経済はよくなる、金持ちがより金持ちになれるような政策をとれば、国全体はよくなる。いわゆるトリクルダウン理論で考えたレーガン、サッチャー、そのイデオロギーの時代が終わったと言えると思います。

 今後は小さな政府か大きな政府、そういう議論ではなくて、適切な仕事、必要な仕事をする政府をどういうふうに構築するか、それが21世紀の行政改革のポイントであると思います。昨日のオバマさんの就任演説の中にも、大きな政府は求めていない、ただ、必要なことをする政府、これを作らなければならない。政府にしかできない役割があるということを、オバマ大統領が肯定的に考えているということであります。

 4番目の点です。8000億ドル、1兆ドルに近い財政出動、やりますけれども、それがどんなに国家的になっても、アメリカの経済が再生をしても、この金融危機、実体経済の大不況に陥ったアメリカの政治・経済・文化、そのものが大きく変わるということです。

 アメリカ人の過剰消費の上に立っている、世界の経済構造を大きく変えないといけません。その過程において、世界が保護主義的な方向に動かないように,新たな国際協調、国際協力が必要であります。

 最後ですが、オバマさんにおいての日米関係のキーワードは継続であります。大きな変化はない。日本との関係の重要性を十分認識しています。問題は、日本のほうからどれほど積極的な日米関係、あるいは、世界のいろんな問題について、提案や新しい新鮮なアイディアが出てくるかということであります。オバマ政権が日本に対して何を求めているのかと考えるよりも、オバマ政権に対して、日本が何を望むべきか、そういう議論がもっとあっていいと、私は思ってます。

 説得する政治、議会対策、適切な仕事をする政府、経済構造の改革、日米関係の強化、これらがオバマ政権のテーマであると同時に、日本のテーマでもあります。

 アメリカ人が今、大変な希望と期待を抱いて、オバマ政権を歓迎しています。
 1日も早く、日本も有権者がこのような希望と期待を持てるようになってほしいと,私は思います。

【切抜・貼付ここまで】

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2009年1月24日 (土)

冷泉彰彦氏の「日米通貨統合」論

在米の作家・冷泉彰彦氏のメールマガジンの『from 911/USAレポート』の1月24日号が「日米通貨統合」について論じている。

就任式に臨むオバマ大統領の様子についての感想、自動車ビッグスリーの今後の見通しなど「なるほど」「参考になるなあ」と読み進めていたが、話が「通貨統合」に至ってちょっと面食らった。

冷泉氏の豊富な知識と情勢判断の導いた結論であり、頭から否定すべきではないかもしれないが、現段階での森田の感想はやはり「オバマ政権のアメリカが相手なら考えられないではないが、いつかまたこの事態が収まった後で、アメリカの政権が再びブッシュ・チェイニー政権のようなトンチンカンな政権になる時が来る可能性は充分にある。ふたたびフリードマンのような議論が横行する時期が来るかも知れないということを考えると、通貨統合を通じて日米経済を一体化し、日本の経済政策のフリーハンドを放棄してしまうようなことには躊躇せざるを得ない」というものだ。

冷泉氏のことだから、森田のような感想が出てくることは百も承知で切迫感を持って提言しておられるのだろう。よく研究しておきたい。

末尾に日米の映画『おくりびと』と『ベンジャミン・バトン』に共通するものが論じられている。

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就任演説への関心つづく日本、報道官会見に容赦のないアメリカ

昨日付『毎日新聞』は前日の予告通り、米オバマ大統領の就任演説全文の英語テキストを小さな活字ながら掲載した。WEB版に英文を掲載していた『朝日新聞』も今日付で英文、日本語の対訳を掲載している。

演説当日の放送は、同時通訳音声がうるさかったという声も多かったようで、今夜遅くのNHK総合テレビでは字幕付き原音声で演説の再放送をするようだ。

派手な演説ではなかったことは広く知れ渡っているので、メディアがこうしたニーズがあると判断した背景には、あのスピーチのメッセージをしっかり受け止めたいという意識を持った人々が多いという判断があるのだろう。

グアンタナモ基地閉鎖のことにしても、政府高官の倫理や情報公開にかわることも、あるいは中絶やES細胞に関わるニュースを聞いても、オバマ政権が、前の政権の極端な「右」の路線を是正する姿勢を的確にスピーディーに打ち出している。

1993年のクリントン政権の滑り出しにも期待したが、あの時はベアード女史の司法長官指名断念でつまずいたり、軍における同性愛といった政権全体の課題にとって本質的には重要度が高くない問題に注目を集めてしまったり、またオバマ政権と同様に医療保険改革に意欲を示しながら、あの時は布陣を見ても運び方を見ても議会対策に配慮が不足したりしていた。今回はここまで、たいへん良い出来映えだ。

それにしても、アメリカジャーナリズム魂は日本よりはるかにましなようだ。大統領報道官のは最初の会見から容赦ない厳しい質問を浴びているという。当然のこととはいえ、主流メディアの記者たちがすっかり霞ヶ関と財界に飼い慣らされた日本メディアの報道に接しているわれわれからするとうらやましい話だ。

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2009年1月22日 (木)

【切り抜き】凍てつくデラウエア河畔にて-オバマ大統領就任演説の絵解き(毎日新聞コラム「余録」より)

オバマ大統領の就任演説の中で、建国の父たちが独立戦争時にピンチに立ったときの話が出てきたが、アメリカの故事に詳しくないので知らない話だった。『毎日新聞』の今日付1面のコラム「余録」にその紹介があったので切り抜き・貼り付け。

岩見隆夫氏が、イージス艦の事故の際に「どの新聞のコラムも、イージスの語源であるギリシア神話に触れていた」と無個性化を嘆いていたが、あの時も「余録」の取り上げ方は他紙と比べて深かったと思う。現在の各紙のコラムの中では、歴史、古典についての知識、引用の適切さにおいて『毎日』の「余録」子が断然優れていると思う。

【以下、2009年1月22日付『毎日新聞』より切り抜き、貼り付け】

余録:厳寒の中の希望

 ドイツ人はクリスマスにはビールを飲んでバカ騒ぎするだろう--こんな見通しなしには米国は独立できなかったかもしれない。独立戦争で英軍に圧迫されたワシントン率いる大陸(たいりく)軍は、英軍のドイツ人傭兵(ようへい)部隊をクリスマスに急襲して形勢挽回(ばんかい)した

▲直前の大陸軍は相次ぐ敗軍で数千まで兵を減らし、凍りつくデラウェア川の岸で野営した兵の中には靴すらない者もいた。歴史的奇襲の2日前、そこにいたある男はたき火の光の中でこう記した。「今こそ人間の魂にとっての試練の時だ」

▲男は「コモン・センス」の著者トマス・ペイン、この時に書かれた「危機」という文章は大陸軍将兵を鼓舞し、独立戦争の勝利に貢献した。米独立革命史の泣かせどころといえるこの場面は、米国の苦難の時代には繰り返し思い起こされる

▲だからオバマ新大統領が、その「危機」を引用して国民を鼓舞したのは、困難な時代の米国リーダーの正道だろう。「未来の世界で語られるようにしよう--厳寒の中、希望と美徳しか生き残れなかった時、共通の脅威にさらされた都市や地方は進み出て、共に立ち上がったと」

▲華麗な言葉のアクロバットを期待する声もあった就任演説である。だが耳に残ったのは国民に正面から現状の厳しさを説き、米国再生への「責任」を共に担うよう求める堅実な言葉だ。そこには過熱気味だった期待を冷却する狙いもあろう

▲仏思想家トクビルは建国間もない米国人を見て「欠点を自ら矯正する力」を見抜いた。行き詰まった政治の大胆な路線転換も、建国の理想を再活性化することで可能となる米国の文明だ。その21世紀版は今、黒人大統領が扉を開いた。

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”The party's over, and now the hard part”

小雨が続く。いつもは歩く代々木上原までの区間、小田急線に乗る。激しい混雑に、これではかぜもすぐ流行ると思う。

昨日、今日、オバマ大統領就任を報じるフロントページが気に入れば額に入れてポスターにしようと『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』を買うが、昨日の写真はしめ切りの関係で軍関係の慈善事業に顔を出した際に白人の赤ん坊を抱くオバマ夫妻の写真と、モールに向かう人々でごった返す夜明け前の首都の様子の2葉。

今日にいたっては”The party's over, and now the hard part”という見出しは良いが、なんとも間の抜けた舞踏会の写真だ。時差の関係で写真が差し代わったヨーロッパ版の執務室の写真の方がいいなあ。

もっとも、写真の選択には編集者の意図が明確に反映されていると考えるべきで「トリビューンも倒産で、気分がショボくなっているのか」などと言っていないで、中味をよく読んでみよう。

「ポスター」には昨年11月6日付1面の当選を喜ぶシカゴ集会でのオバマファミリーの写真を使った紙面で作ることにしよう。

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2009年1月21日 (水)

オバマ大統領就任演説に対する米ABCステファノプロス記者の感想

米ABC「ワールドニュース」におけるジョージ・ステファノプロス記者の感想書きとめ。対話の相手はチャールズ・ギブソン記者、NHK-BS1の録画音声から。

 ギブソン記者 スピーチを聴きますと、私自身感動しましたのは、現在の問題がいかに特別なものであるかについて触れたことと共に、根底にある幅広いテーマに何度も立ち返っていたことです。
 ステファノプロス記者 「責任」、それから「奉仕」ですね。こうしていられるのも先人の犠牲があったからと言っていました。しかし本当に、われわれに気合いを入れるスピーチだったと思います。この若い大統領は国民の肩を揺さぶって「目を覚ませ」と言っているようでした。やることが沢山あるのだと。
 『聖書』の中から引用したのは「コリント人への第1の手紙」です。「子どものようなことはもう止めるべきである」というくだりを引用しました。彼は「私たちが伝統に則ってやっていけば問題も乗り越えられる」と言ったんです。 
 ギブソン記者 そしてブッシュ大統領については、スピーチの中で彼に対して厳しいことばもありましたね。
 ステファノプロス 政権移行はスムーズにいきましたが、スピーチは厳しいところがありました。「ひとりよがりの時代の終わり」「狭い利害を守るのは終わり」とも言いました。これは非難のことばです。ブッシュ大統領の時代に対する非難です。「再び世界でリーダーにならなければならない」と。そのように言ったわけです。 
  ギブソン (中略)われわれ皆に呼びかける、「つらい日々が待っている」ということを伝えるスピーチでした。

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オバマ大統領の就任演説

オバマ大統領の就任演説は、控えめのトーンで言うべきことを言った良い演説だった。

高3の息子が学校行事の「寒稽古(剣道)」とのことで、いつもより早い5時半起き。就任式を終えたオバマ大統領のパレードは開始が一時間ほど遅れたようでスタートしたところだった。就任演説の録画を見る前に『朝日新聞』掲載の「要旨」に目を通す。

目にとまったのは、おしまいの方の「新たな責任の時代」というキーワードを導く部分の「挑戦は新たなものかもしれない。だが、私たちの成否を左右するのは昔と変わらぬ勤労と誠実さであり、勇気と公正さであり、忍耐と好奇心であり、忠誠と愛国心である。これが真理だ。私たちの歴史を通じて、前進の静かな力となってきた。求められているのは、こうした真理に立ち戻ることである。今、私たちに求められているのは、新たな責任の時代である」という部分だ。

いつも森田とは感覚が違うなあと思っているNHK-BS1の高橋弘行キャスターもこの部分を真っ先にピックアップしていた。いい意味での伝統主義であり、とっても「まとも」な印象を与える原稿だ。結論としても正しく、同時にニューヨークやロサンゼルスのリベラル派ばかりでなく、レッドステートの保守的な価値観の人々にも団結をうながす政治的なメッセージにもなっている。

録画しておいたNHK-BS1の未明の中継を見る。「共助」の呼びかけ、イスラムとの関係構築に踏み込んだ国際協調主義も期待通りではあるが特異に目立ったフレーズはなく、「ついに黒人がトップに立った」といったはしゃいだ部分は全くない、ある意味地味な演説だ。

しかし、派手にする必要はもともと無かった。オバマ氏があそこに立ったことが、ある意味全てを語り尽くしていたからだ。

そうは言っても、森田と高橋キャスターの目に引っかかったあの部分。ひょっとしてスピーチライターの原稿にオバマ氏が書き込んだ部分なのかしら。それとも27歳とかいう「天才スピーチライター」の仕事なのかしら。ちょっと気になる‥

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2009年1月16日 (金)

マーク・トウェイン曰く「アダムは幸せだった。なぜなら姑がいなかったから」

昨日NHK・BS1で見た米ABCのニュースが、オバマ大統領のミシェル夫人の母親であるマリアン・ロビンソンさんも大統領一家と一緒にホワイトハウスに住むというニュースを報じる中で、記者が「マーク・トウェインはいいました。アダムは幸せだった。姑がいなかったから」というジョークを枕にしていた。

そんな冗談が出るのは、アメリカにおいては「妻の母」の存在が、日本や韓国の「夫の母」とある意味共通して大きなもの(煙たい存在?)だからなのかなあと思ったりする。そう言えば、『奥様は魔女』でもサマンサのお母さんの存在感は結構大きかった。

キャンペーン中も、大統領の二人の娘の面倒は大きな部分祖母が見ていたようだし、実はジョークと違って、両親との縁がある意味薄かったオバマ大統領と義母との心の結びつきには強いものがあるらしい。

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米旅客機、NYハドソン川に不時着水

起床して、ラジオ受信機でNHK総合のニュースの音声だけ聞きながら洗面所にいたら、ニュース速報を知らせる信号音が聞こえた。何かと思えばNYの旅客機が鳥の群れに突っ込みエンジンが停止し、不時着水というニュースだった。

1月20日の就任式の前の大惨事といったことにならず、オバマ新政権誕生にミソをつけなくて良かったと思う。しかも全員無事。今のアメリカの経済情勢と結びつけ、こっちも不時着直前のような状況だけれども、このニュースを聞いてギリギリのところで切り抜けることができるような気がしてきたという人もいるかも知れない。

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2009年1月13日 (火)

大富豪、ウォーレン・バフェット氏、学生に大いに語る(2006年制作のテレビ番組)

連休明けもたいへんよい天気で富士山がよく見える。てっぺんの方に少し雲がかかっているようで、すこし近い地方では天気が悪くなると言うのではないかしら。

昨日見た米ABCの「ジスウィーク」に大統領就任を控えたオバマ氏がステファノプロス記者のインタビューに答えていて、「犬はいつ来るの?」という娘たちが調整室でスタッフに頼んだ質問にも応じていた。

「買ってくる」のではなく、「施設から引き取」という方針はとてもいいと思う。ただ犬種選びなどが「商務長官の人選より難しい」という自虐ネタにはちょっと驚いたけれども。

ラウンドテーブルで(あるいは他の番組だったか?)誰かが「オバマ氏の経済政策はだいじょうぶだろう。エコノミストや投資家や‥多数の助言者がついている」というのを耳にした息子が「投資家はまずいんじゃないか?」というので、発言者はウォーレン・バフェット氏のことを念頭に置いているものと思い、バフェット氏がビル・ゲイツ氏と二人でバフェット氏の母校ネブラスカ大学を訪ねて学生たちの質問に答えた2006年制作の米テレビ番組のビデオ(NHK-BS1「世界のドキュメンタリー」枠での放送を録画)を見せる。

森田もこの番組を見るまでパフェットなる人物のことを全く知らなかったが、たいへん愉快な、かなうことなら友だちになりたいような人だ。

大金持ちのバフェット氏は、それほど収入の多くなかった時期に3万ドルほどで買った家に今でも住み続けており、子どもたちは父親が有名になるのが遅かったので何の仕事をしているか知らずに育ったそうだ。ゲイツ氏が訪ねた時にはダイニングの椅子のシートが外れていて、バフェット氏はそれに気づいていなかったという‥

それで財産の99パーセントは慈善事業に寄付することになっており、子どもたちはそこそこの金持ちになる程度だと話していた。

学生へのアドバイスの一つは「人前でリラックスして話ができるようになることは役に立つ」ということであり、投資などの意思決定の原則にしていることの一つは「新聞の法則」というものだそうで、それはつまり自分たちの振るまいが翌日そのまま全て新聞に出たと仮定して、人々や家族にいやな感じを与えないかどうかよく考えるという原則だそうだ。

その一方で自分自身の「採点の基準」は、常に自分の中に持っておくことが大切で、人がなんと言うか、どう採点するかなんてことに振り回されていては自分の人生が実現できないという。あたりまえといえばあたりまえの話だが。

しかし、あたりまえのことがあたりまえでないのが現代のわれわれの問題であるので、バフェット氏には強い好感を抱いた。

番組中の白眉はある学生が「東欧などで成功している税率のフラット化をどう思うか」という質問に対し、明確に「反対だ」として、自分の若い頃の税負担、あるいは自分のために働いている秘書などの税負担と比べても、今の自分の税負担は軽すぎると話す。「私たちが言うと皮肉に聞こえるかも知れないが、税制は今すでにフラットすぎるのであり、累進課税を強化すべきだ」と述べ、ゲイツ氏も賛成していた。

さらにバフェット氏は「私などは、仮に所有株を担保に借金してそれを生活費に充てれば、税金を全然払わなくて済ますこともできる」と税制のカネ持ち優遇を批判する。つまり、おカネ儲けは大好きだけれども、社会的公正の実現ということにも同じぐらい情熱的なのだ。こういうアメリカ人は実に魅力がある。

この辺が、地方税課税の基準日に住所を外国に移して課税逃れをするような日本のエセ自由経済主義者と全く異なるところだ。わが息子も、アメリカ人にも「投資家」にも、いい人もいれば悪い人もいる。それはわが国を含めどの国のどのような職業の人についても同様だということについての理解を少し深めてくれたようだ。

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2009年1月 7日 (水)

麻生政権は米国にイスラエルを止めることを求めよ

毎日新聞の本日付社説二番手の見出しは「米国はイスラエルを止めよ」。核心を突いた、シンプルな良い見出しだ。

付言するならば「麻生政権は米国にイスラエルを止めることを求めよ」と言いたい。麻生さんは正月からオルメルト首相、パレスチナ政府のアッバス議長(ただし事実上の分裂でガザ地区には支配権が及ばない)に電話を入れて停戦を求めたことをマスコミにアピールしていた。

何もしないよりはうんといい。しかし「アメリカの同盟国」などと胸を張るならば-森田は同盟などという用語は条約に根拠がないと考えるが-、この状況で国連安保理の停戦決議さえユダヤ系の資金と票のために拒否権をちらつかせて阻止するアメリカのブッシュ大統領と、それを踏襲する恐れのあるオバマ次期大統領に対し、「おかしいじゃないか。ハマスにロケット弾テロ停止を求めるとともに、イスラエルにも停戦を求めるべきだ」と安保理の非常任理事国として強く求めるべきだ。そうすることはホワイトハウスや国務省がフリーハンドを確保することを支援することになり、結局はアメリカのためにもなるのだ。

それをしない、できない、考えたこともなかったというのでは「自民党、公明党、外務省はアメリカの犬か」と言われても仕方がないだろう。

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2009年1月 5日 (月)

リチャードソン氏、商務長官辞退

これはちょっと残念。イスラム圏に偏見持たず、エネルギー長官として北朝鮮の核問題などにも関わってきた人だけに、所管の産業・通商政策をテコにオバマ政権の協調外交のエンジンになり得る人と思ったけれども。

もっとも、オバマ陣営の「身体検査」の能力を批判する人がいるが、指名公聴会が始まる前で良かったと思う。ダメージは相対的に小さい。

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2008年12月11日 (木)

続・2009年の世界と日本 「平和と軍縮」の前進に期待

  「2009年の世界と日本」について、明るい話題を一つだけ取り上げてコメントするとすれば、平和と軍縮の前進に期待するということだ。

 アメリカの大統領選挙でオバマ候補が勝利したことは、世界の進路がいろいろな点で転換点を迎えていることを象徴していると思うが、「経済」にしろ「環境エネルギー」にしろ、路線の転換は鮮やかに行われるにせよ、2009年中に大きく実をむすぶというところまでいくことは難しいだろう。

 森田が期待するのは平和と軍縮の分野における大きな前進だ。
 オバマ次期大統領も、ヒラリー・クリントン次期国務長官も、予備選も含めた大統領選のプロセスで「全面核実験禁止条約(CTBT)」の批准に前向きの姿勢を示していた。ブッシュ政権がこれに背を向けていたことが、この間、軍縮が足踏みし、核拡散が進む原因になっていたという指摘があり、この政策転換があれば核軍縮・不拡散をめぐる空気が大きく変わるだろう。

 08年は、G8下院議長会議が広島で開催され、アメリカの現職トップリーダーとして初めてとなるペロシ下院議長の広島訪問を実現したが、ペロシ議長は資料館見学や被爆体験者の証言に非常に強い印象を受け「来て良かった」と何度も言ったという。09年以降オバマ大統領の訪日となれば広島訪問を強く助言してくれる可能性は高いと思う。

 さらにバイデン次期副大統領は上院外交委員会の委員長やマイノリティーリーダーとして一貫してミサイル防衛システム(MD)に懐疑的で、強い慎重論を唱えてきた。もしこの点でアメリカの政策に変化があれば、対立が目立っている米ロ関係も大きく雰囲気が変わる。巨額の費用がかかるシステムであり、守屋次官、田母神空幕長などの下で導入を決めたわが国も、柔軟に見直していくことが必要だろう。

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2008年12月10日 (水)

2009年の世界と日本は

2009年を予言してほしいと無理な注文を受け思い浮かぶこと‥

1. 2008年は世界にとって二つの点で転換点だった。一つは「9月のリーマンブラザース破綻を引き金にいよいよ明らかになった100年に一度の世界金融不安と景気後退により、アメリカの金融資本が引っ張った新自由主義全盛の終焉」であり、もう一つは 「米大統領選のオバマ候補当選で明らかになった、9・11同時多発テロ以来のアメリカの単独行動主義が引っ張った対テロ『戦争』優先時代の終焉」だ。

2. そもそも20年前のベルリンの壁崩壊後の世界は、「対話と協調による平和な世界  の実現」「『平和の配当』の均霑による、世界大の貧困解消と人権状況の改善」となるべきであったのに、「歴史の終焉」などという錯覚の下、むき出しの金融と資本の論理が野放しにされることで内外の解決されるべき問題が解決されないまま放置され、9・11同時多発テロ後のアメリカの「逆上」は、「世界は変わった」などという誤った思考の下、軍事優先の時代に退行するとともに、日本もどういうわけか「郵政改革」が全てであるかのような愚かしい倒錯に恍惚とし、また人件費切り下げによる「見かけだけの生産性向上」にあぐらをかき、本来なら今回のような世界経済の情勢にあってもしっかりした「内需」で雇用を確保していけるようにしておくなど、本当の意味での改革に全力を尽くすべきだった21紀初頭の数年をまったく空費してしまったのが近年の日本政治の実情だ。

3. つまり、20年近く本来の進路からそれてしまった世界と日本が、原点に返り、本来の目標と軌道を取り戻す最初の年となるべきなのが09年だ。
      世界と日本の課題を三つ挙げれば、まずひとつめは「野放しの金融資本が引っ張る危うい資本主義」に代わる、信頼性の高い、バランスのとれた経済成長路線の構築だ。国によって課題は異なるが、わが国の場合は医療や介護の立て直し、最低賃金の大幅な引き上げなどで若い人々を始めとする生活困窮の問題などにしっかり取り組み内需主導社会を構築するということだ。野放図な赤字拡大が許されないからといって、必要なものもそうでないものも横並びで削れなどというのは政策ではない。
   課題の二つめは、単独行動主義のブッシュ政権の退場とオバマ政権の誕生に対応し、世界の現実に対応する国際協調による国際社会運営のシステム作りだ。朝鮮半島の6カ国協議にその萌芽が見られるが、わが国もお客さんのようにしているのではなく、知恵も出し、汗もかかなければならない。「拉致、拉致」とお題目のように繰り返すだけで思考停止に陥っているなど論外だ。
   課題の三つ目は、オバマ政権が経済を始めとする諸矛盾をここ一点に集約して突破しようとするかもしれない「環境エネルギー革命」への対応だ。原子力をやっていればいいなどとい言って新世代エネルギー技術でアメリカに逆転されたり、差をつけられていては、一時はリードした分野でさえメシの種にこと欠いて泣きをみることになる。

4. この3つの課題に対応するためには、強力な政権中枢と有能な政府が必要だ。腐敗や尊大は目立つが、わが国の政府の首から下は国際的に比較すれば一定のパフォーマンスを維持しているようだ。肝心なのは首から上。次の総選挙による政権交代を通じて生まれる小沢一郎内閣が、合理的な政策形成能力と強いチームワーク、また国民に対する説得力をもった内閣となり、わが国の中枢神経の機能を果たしていくよう願ってやまない。
                                                                  
                                                                                          以上 

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2008年12月 9日 (火)

ストレート・ノーチェイサーズ

今日の昼、NHK-BS1で見た米ABCのニュースで「ストレート・ノーチェイサーズ」という10人の男声ボーカルグループが流行っているという話を紹介していた。

10年前にインディアナ大学に在学した連中で、当時の映像をユーチューブにアップしたところちょっとしたブームとなり、CD発売、コンサートツァーの提案を受けたけれども、まだ誰も今の仕事を辞められないでいるという、ちょっとしたシンデレラボーイズストーリーなのだ。

こうした呑気なニュースはいいねえ。

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2008年11月18日 (火)

放送同時通訳の誤訳-国務長官候補としてのヒラリー・クリントンは「リベラルすぎる」のでオバマ支持層に懸念?

オバマ政権の人事が話題になっているが、17日にNHK・BS1で放送していた米ABC「ジスウィーク」のラウンドテーブルを同時通訳音声で聞いていたら、出席者の一人の発言を「ヒラリー・クリントンは外交政策がリベラルすぎるので、オバマ支持層のインテリや若者層は懸念している」という趣旨で訳していた。

あれっ?と思って巻き戻して英語の音声を聞いてみると「リベラルすぎる」と訳されたところは「too right」と聞こえた。

ヒラリー・クリントン上院議員の外交政策は、共和党などの「リベラル」というレッテル張りへの対策として「中道」を強調し、それがためにイラク戦争に当初賛成し、またニューヨーク選出ということもあってイスラエル寄りの姿勢が目立っていた。

発言者の想定するオバマ次期大統領の支持層のコアの部分は、かつてのツォンガス候補(92年)の支持層や、ビル・ブラッドレー候補(2000年)の支持層と重なると見るならば、ここはやはり「クリントンは外交政策が右に寄りすぎているので」という方が当たっているような。

もっとも、仮に実際にクリントン国務長官が実現すれば「右」になるから警戒が必要?いやいや、「右」なのは選挙対策で、彼女の地金はリベラルという見方もあるだろう。

逆に、オバマ氏がコアな支持層が期待するほどの外交リベラルではなく、自分が担当するリベラルな「発言」と、ゲーツ国防長官のブッシュ政権からの留任、クリントン国務長官起用などによる中道・現実主義外交という「実質」でバランスをとっていこうとするようにも見える。

もちろん、アメリカ外交がどうなるかという「風見」ばかりでなく、日本外交どうするかという思索を深め、戦略を練ることが大事であることはいうまでもない。

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2008年11月 5日 (水)

オバマ氏当選を祝す。

世界が正しい方向に向かうきっかけになるだろう。

アメリカ経済、世界経済はブッシュ政権と新自由主義の負の遺産により、これからも悪化の方向であり、2010年の中間選挙は議会で民主党が大敗する恐れが大きいと思うが、とにかく「100年に一度の経済危機」の露見が、例えば「11月半ば」ではなく、9月だったことを天に感謝したい。

6月のコメント3月のコメントバイデン氏についての8月のコメント同、核軍縮公約参照)

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2008年10月28日 (火)

小泉純一郎氏の参考人招致を

麻生首相が解散を先送りするという観測が強まったことで、民主党がインド洋での燃料補給を延長する法案について「徹底審議」に姿勢転換するそうだ。

解散先送り(新聞がそう書いたので逆をやるかもしれないが)は遺憾だが、徹底審議はよいことだ。私はこの際、2003年に日本政府が対イラク戦争開戦に「支持」を表明したこと自体に遡って、徹底的に膿を出すことが良いと思う。

ブッシュ政権がアフガニスタンの問題を中途半端にしたまま対イラク戦争に踏み切ったことが、多くの犠牲を生んだだけではなく、貧困や温暖化など世界の重要課題への取り組みを遅らせ、中東情勢の混迷を深刻化させることで世界のエネルギー価格の高騰を招き、米政府の財政赤字を深刻化させることで、今日の世界経済危機の下地を作ることになったことは今や誰の目にも明らかだ。アフガニスタン問題の深刻化も、この愚かな選択が招いた結果の一つだ。

小泉純一郎氏や当時の官邸、外務省首脳は実際問題として不適切な選択であり、憲法違反の疑いも濃い「開戦支持」について、筋道の通った納得のいく説明を何一つしていない。この際、参考人招致によって過ちを認めて謝罪するのか、それとも強弁を貫いて選挙で自民党に対する国民の審判を求めるのか迫るべきだ。

そもそもアフガニスタン情勢は、カルザイ政権がタリバンとの対話を模索するなど、現実の問題としてはアメリカやヨーロッパの期待するような解決は不可能であるというのが専門家の多数の見方なのではないか。オバマ「次期米大統領」は、イラクからアフガンへの米軍シフトを主張してきたが、オバマ支持の米識者たちからも「オバマ氏は大統領になればイラク撤退の繰り上げはせずに『勝利』して帰還、アフガニスタンからは撤退することになるのではないか」という声が聞こえ始めている。こういった点についても、わが国がまた世界とズレた動きに走ることがないよう、徹底審議が求められているように思う。

さらに、金融関係についての法案が提出されて審議ということになれば、2005年の総選挙における「郵政民営化が改革の本丸」という自民党の主張について、自民党がそれに沿ってどんな実績を挙げたというのか、選挙民を騙しただけだったのか、竹中平蔵氏らを参考人招致して追及すへきことは言うまでもない。

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2008年10月14日 (火)

クルーグマン氏のノーベル経済学賞受賞を喜ぶ

クルーグマン氏は「経済政策がやるべきことは二つだけある。一つは失業を減らすことであり、もう一つは富の再配分である」という論者だ。

世界金融情勢の現実と、これからやってくる大不況により、レーガン政権以来30年猛威を振るったインチキ錬金術経済学=日本では竹中平蔵氏が代表的論者=にいよいよ終止符を打つべき場面でのノーベル経済学賞はまことに時宜にかなっている。最近、もっとも嬉しかったことの一つだ。

新聞コラム執筆、ABCの日曜番組「ジスウィーク」のラウンドテーブル常連と、一般向けにも活発な発言を続け、「だから有力と言われているノーベル賞がとれない」などと言われたクルーグマン氏はもともとオバマ次期政権の経済諮問委員長の有力候補だっただろうが、政策転換を印象づける点からも就任が有力になったのではないか。

世界経済は当面最悪の状況に進むだろう。わが国の経済政策もある意味「何でもあり」ということになるだろう。そのような中で、同じ過ちの芽を摘み、良い方向への軌道修正を行うことで災い転じて福となすためには、われわれもクルーグマン氏のような本質を突いた発言に注目していきたい。

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2008年10月 1日 (水)

インドなどNPT未加盟国に対する核技術協力、核物質輸出を禁止する立法を

最近、いちばん頭にきたことは、日本政府が核不拡散条約に加盟することを拒否しているインドを特別扱いすることに賛成したことだ。

核軍縮に事実上背を向けてきた米ブッシュ政権が、ここ2年来、クリントン政権時代の政策を転換してインドとの核協力を進めようとしてきた。そんなことを認めてしまえば、核兵器廃絶へ向けての現実的な手だてとしての核不拡散条約(NPT)体制が根底から崩れてしまうのに、日本政府は「全会一致を要する」、すなわち日本も「事実上拒否権を持っていた」関係国会議で沈黙を決め込み、ウラン輸出国でありながらインドの特別扱いに反対してきたオーストラリアなどの期待を裏切り、ついには賛成した。

アメリカが議会手続きで手間取っている間にフランスがインドと協定を結んだり、ロシアが大きなビジネスをするだろうなどと言われている。

しかし、他の国のことより日本政府だ。外務省の幹部職員や自民党首脳は、天下り企業の都合、正義を曲げてもアメリカに追随することでムラの中での出世と収入を確保する処世術といったことを優先して、ヒロシマ・ナガサキの体験に基づく、核兵器廃絶を希求すべき日本民族の歴史的使命、日本国憲法の理念などは完全に無視しているのだ。

そんなやつらが、勝手に恥ずべき外交政策を展開するときにわれわれは無力か?

やつらに理想を語ってもほとんど役に立たない。やはり、主権者であるわれわれが政府の役人を従わせるには、法律で縛るしかない。

とりあえず、社民党、日本共産党、民主党や自民党の心ある人々に考えて欲しいのは、「NPT未加盟国に対する核技術供与、核燃料の輸出を禁止する法律」の制定だ。やつらは「アメリカやロシアやフランスがインドでビジネスするのを指をくわえて見ているのですか」と言うだろう。日本がそうした法律を作っても、アメリカなどにブレーキをかけられるわけではない。

それでも、日本国民の一部に核兵器廃絶を指向し、そのために核不拡散体制を強化することをまじめに考えている人々がいることをハッキリ示すことが出来るだろう。少なくとも、やつらが、国民の理想を無視して、勝手にこの分野の外交を進めることにブレーキをかけることができる。

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2008年8月26日 (火)

NHK・BS1の『今日の世界』『おはよう世界』を採点する-ロシア・グルジア問題

 北京オリンピックが終わり、NHK・BS1のレギュラー報道番組も帰ってきた。南オセチアを巡るロシアのグルジア本土侵攻に関するニュースも、久しぶりに「特集」のような形でまとめられた。
 
 同じNHK・BS1でも番組による論調の違いがずいぶんある。『今日の世界』(22:15~)は袴田茂樹氏をゲストに迎え、ロシア側から見れば①NATOのグルジアやウクライナへの拡大はロシアにとって脅威、②90年代は経済低迷でアメリカに対して自己主張できなかったがエネルギーの輸出価格の上昇などで大国意識が出てきた、③メドべージェフは権力維持のために国内タカに向け強硬姿勢を示す必要があるという分析を紹介していて参考になる。

 さらに市瀬卓キャスターは、メドベージェフ大統領が休暇中で、プーチン首相がオリンピック開会式で北京にいる時を狙って南オセチアに軍事侵攻すれば、南オセチアを簡単に「解放」(実効支配回復)できると考えたとすれば、その判断は甘く、双方に大きな犠牲を生じた責任が問われるのではないかという視点を示していた。番組全体として、この問題を俯瞰する上で参考になる特集だった。

 他方、同じNHK・BS1『おはよう世界』(6:15~など)の高橋弘行キャスターは25日、26日ともこの問題について市瀬キャスターとは対照的な、浅薄な見方を語っていた。25日に同じ「判断が甘い」ということばを使いながら高橋氏が示唆したのは、今回の事態を招いたのはアメリカやヨーロッパ諸国の「ロシアの本気度」についての認識の甘さにあったのではないかという趣旨の見方だ。
                                             
 さらに26日に高橋キャスターは今回の事態を通じてロシアが得たものは、南オセチアをグルジアから切り離すことであり、さらに、そうではないかもしれないけれどもとしつつ、ロシアの次の狙いは「ロシアを通らずに、カスピ海の原油を黒海に運ぶグルジア領内のパイプライン」を手に入れることかもしれないと強く示唆した。

 『今日の世界』を見た人は、軍事力で問題を解決しようとしたことにそもそもの発端がある。複雑な問題であり、多くの要素に目配りしながら解決を探らなければならないと考えるだろう。『おはよう世界』のみ見た人は「ロシアは信用できない。われわれは甘く見られないように、アメリカを先頭にもっと強硬姿勢を強めなければ」と思うのではないだろうか。 

 『今日の世界』は英BBC、米PBSレベルの視聴価値のある番組、『おはよう世界』は米CNN、米FOXクラス、あるいは産経新聞、小泉・安倍レベルの有害番組であるというのいうのが、この二日間の番組を見ての森田の評価だ。

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2008年8月25日 (月)

バイデン副大統領候補指名

 日本では一昨日、土曜日の昼頃に米民主党の副大統領候補にジョー・バイデン上院外交委員長が指名さるらしいというニュースが流れた。クリントン政権時代から、民主党が上院多数派の時には外交委員長、少数派の時もマイノリティーリーダーということで、NHK・BS1で見ることの出来るPBS「ジム・レーラー ニューズアワー」やABC「ジス・ウィーク」のインタビュー、討論出演の常連であるためいつも議論を聞いてきたが、たいへんまともな外交政策の持ち主であり、森田が「オバマ大統領」に期待するアメリカ外交の転換を体現する人物であり歓迎したい。

 森田は選挙対策で接戦州の知事、たとえばバージニアのケーン知事などを予想し、バイデン氏は国務長官になるのではないかと期待していたが、仮に副大統領であるとしても、チェイニー副大統領のように政権の政策をリードしてくれるなら結構なことだと思う。

 この前も書いたが、森田がバイデン氏の政策について印象に強く残っているのは、クリントン政権時代から、ブッシュ政権を通じてMD(ミサイル防衛)システム導入について、核戦略を不安定にさせること、巨額の予算を必要とすることなどからかなり強い慎重論を一貫して唱えてきたことだ。

 いまポーランドやチェコへのMDレーダーシステム配備が、グルジア紛争の煽りで米ロ「新・新冷戦」の争点になっているが、世界情勢全体としては「9・11~イラク戦争大政局」の陰に隠れ、また冷戦後から最近のエネルギー価格の上昇などで経済絶好調の大国に復活するまで、低迷の時期が長かったロシアにアメリカに対抗する勢いがなかったことで表面化することはなかったけれども、ラムズフェルド、チェイニー、ブッシュといった人々が権力を長く握ってきたことで進んだ「MD」の開発配備は、これから、世界政治の争点となり、世界の平和と安定にとって障害となってくる恐れがある。

 なお、バイデン氏の指名で日本の外務省の一部にも喜んでいる人がいるだろう。帰国前に『中央公論』に寄稿したりしていたのでよく知られていると思うが、バイデン議員のトップスタッフであるジャヌージ氏は昨年の夏まで1年間、たしか日立がスポンサーで日本の研究機関に一年招へいされていた。元駐米公使の阿川尚之教授の世話で、慶応の大学院でも教えていたそうだ。

 上院外交委員会のトップスタッフに戻っているジャヌージ氏は中国の専門家だが、彼が副大統領の首席補佐官ということになれば、民主党にも人脈を作っておきたいという日本の外交畑の人々の挙げた得点ということになる。また、そうした人々の招へいで日本に滞在したとは言え、ジャヌージ氏本人は極めてリベラルな発想の聡明な人物で、日本滞在中には広島の原爆資料館や靖国神社も訪れ、そうした場所が日本人に大きな存在であることも肌で知ったそうだ。

 「オバマ・バイデン」。なんとか勝ってほしい。

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2008年8月22日 (金)

「国際社会」とやらでも世論調査をやってみては

 福田総理の指示で、防衛省がインド洋などでの欧米を中心とする艦艇への給油活動について紹介するDVDを配布するなどして、「テロ特措法」による給油活動がいかに「国際社会」の支持を得ているか税金を使って国民にPRするらしい。

 国際社会って誰?と聞きたくなるが、まあアメリカ政府の日本担当と、欧米やアメリカに協力する限られた途上国の限られた「軍事・安全保障サークル」の輪の内側にいる人々ということなのではないか。

 寺島実郎氏が以前、ワシントンやニューヨークで日本専門でない国務省のスタッフや、財界人に「給油」のことを聞くと、そもそも知らない人が多いし、詳しく説明すると「それにどんな意味があるの?」という反応だったという話をラジオでしていた。

 寺島さんが言っていることと、福田総理や外務省が言い、日本の報道が垂れ流してる「国際社会が支持している」という説と、どちらが正しいかぜひ知りたいものだ。

 報道各社は、とりあえず欧米の主な国と途上国数カ国でいいので、国内で良くやっている「二段階無作為抽出」の少ないサンプルのものでよいので、世論調査をやって、たとえばアメリカ国民の何パーセントが日本による「給油」を知っていて、何パーセントの人がそれを支持しているか調査して発表してもらえないだろうか?

 政府の宣伝に対して、実証的な姿勢で検証するのもメディアの役割だと思うが。

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2008年8月18日 (月)

陸上100メートル ジャマイカの愉快な世界チャンピオン

 9秒69の世界新記録を出したジャマイカのウサイン・ボルトの走りがいかに凄いものだったかについては、門外漢の森田が付け加えることは何もない。

 スタート前にダンスし、ゴール前に胸を叩いて「勝利のポーズ」、インタビューの合間にはカメラに向かっていたずらポーズ。お調子者の若者に見えてしまうボルト選手の人柄、ジャマイカのゆるい感じの魅力についてもほぼ語り尽くされていることだろう。

 後段については朝ワイドショーの映像見ながら、改めて面白いと思う。ふざけていると思う人もいるだろうけれども、所詮スポーツなのだから、国旗を背負ってプレッシャーに押しつぶされたり、スポーツではなく経済力の戦いになっているような様子を見せつけさせるよりも、映画『クール・ランニング』を彷彿させるような愉快な天才が、やりたい放題をやって(いるように見せて)世界新記録。ジャマイカチームが超大国アメリカに「勝利」というのもたいへん結構。

 それにしても足が長い。モンテゴベイの空港のトイレの男子小用便器の「高さ」に苦笑(苦労に近い)したことを思い出す。イギリスの旧植民地で英語が通じる、ゆったりペースの心地よい国だ。余談だが、下北沢南口商店街にたしか「420」という名前のジャマイカ風の小さなアクセサリー店がある。ある夕方、朝日ニュースター『ニュースの深層』のキャスター金慶珠さんがその店から出てきたのを見かけた。ジャマイカファンなのかしら。

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2008年8月17日 (日)

米民主党の「核兵器廃絶」綱領案を熱烈に歓迎する

 今月末にオバマ候補を正式指名するために開かれる米民主党の綱領案に「究極的核廃絶」を目標とすることが盛り込まれると報じられた。世界を正常な方向に軌道修正する一歩につながるものとして高く評価し歓迎する。

 ブッシュ政権が包括的核実験禁止条約(CTBT)の議会承認を求めることすらせず、新型核爆弾の開発を指向し、2005年にニューヨークで開かれた5年ごとのNPT運用再検討会議でも核軍縮努力について全くほおかむりして、結局のところイランや北朝鮮の核開発に口実を与えるような結果を招いたことを考えると、これは本当に良いニュースだ。

 オバマ陣営の外交安保政策策定の中心には、核軍縮に非常に熱心なダイアン・ファインスタイン上院議員(カリフォルニア)の元政策スタッフが座っているということなので、驚くことではないかもしれないが、9月はじめには河野衆院議長が広島での開催を決めたG8議長会議にペロシ下院議長が出席の意向を示し、高位のアメリカ政府現職首脳(米下院議長は合衆国憲法で副大統領に次ぐ大統領職継承権第2位)としてはじめて広島入りして原爆犠牲者の慰霊碑への献花、原爆資料館の見学を行うということとも符合するニュースである。

 副大統領候補への指名、あるいは国務長官任命も取りざたされるバイデン上院外交委員長はミサイル防衛(MD)の配備決定にも極めて慎重な立場だった議員であり、わが国としてもボーッとしていないで、守屋被告(前防衛事務次官)の主導の元に開発参加を決めたミサイル防衛などについても、最近のブッシュ政権のポーランドなど東欧へのMD基地配備に関わる対ロシア「新・新冷戦路線」なども考慮し再検討を始めるべきだ。

 ところで、オバマ対マケイン。毎日新聞ワシントン支局の及川記者の分析では、夏の世論調査での民主党候補のリードが今程度では過去のデータから言うとオバマ氏勝利は微妙、というより難しいということになるらしい。現政権がグルジアを巡ってロシアとの対決を煽っているのも選挙対策の疑いが濃い。しかし、ここでオバマ氏が当選できるかどうかは「ブッシュ&チェイニー、9・11、イラク戦争、小泉&安倍」という、世界史の進むべき方向に逆行した忌まわしい過去と決別できるかどうかの一つの大きなターニングポイントになり得るので、注視という以上に注目せざる得ない。

 オバマ頑張れ!

【以下、時事通信の記事のコピー】。

究極的核廃絶を追求=オバマ氏持論を明記、現政権から大転換-米民主党綱領案

【ワシントン15日時事】米民主党が25日に開幕する全国党大会で採択する予定の政策綱領案の全容が15日、明らかになった。時事通信が入手した綱領案によると、安全保障関係では、「核兵器のない世界を追求する」として究極的な核廃絶を目指す方針を明記。イランや北朝鮮に核放棄を求めるとともに、米国自身も核兵器削減・廃絶に向けて具体的行動を取ることを打ち出した。
 究極的核廃絶は、党大会で大統領候補に正式指名されるオバマ上院議員の持論。2000年の党綱領では核兵器の大幅削減が盛り込まれたが、廃絶まで踏み込んだのは初めて。新型核兵器開発計画を進め、国連総会で日本政府提出の核廃絶決議に7年連続で反対票を投じてきたブッシュ政権の核政策からの大きな転換となる。
 綱領案は核廃絶に向けた具体的行動として、(1)冷戦期に製造された核兵器をロシアとともに検証可能な形で削減する(2)新規の核兵器開発を中止する(3)米議会による包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を促進する-ことを明記。国際原子力機関(IAEA)管理下の国際的な核燃料貯蔵構想や、核拡散防止に関する国際首脳会議の09年の開催も提唱している。(2008/08/16-13:08 時事通信)

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2008年8月14日 (木)

ロシア・グルジア衝突の遠因は米ブッシュ政権の単独行動主義にある

 グルジアの南オセチア自治州をめぐるロシアとグルジアの軍事衝突は、EU議長国フランスの調停で停戦の合意を見たものの、8月14日朝、東京で見た各国のテレビニュースはロシア寄りの武装勢力によるグルジアへの報復攻撃が事実上続いていることを伝え、破壊された町から逃れてきたグルジア人の様子を報じている。

 ブッシュ大統領やライス国務長官の大げさな牽制発言や、ミリバンド英外相らの強硬発言とは裏腹に、今のところ米軍などがイラク派兵にも参加した「同盟国」グルジアに直接の軍事支援を行うことにはなっていない。一方、ロシアも西側の牽制に対しては鉄面皮ぶりを示しながらも、かつてソ連が50年代にハンガリー、60年代にチェコを軍事的に蹂躙したのに比べ、トビリシ軍事制圧、親ロシア政権樹立といった挙には出ていない。あたりまえといえばそうだが、メドベージェフ政権がエキセントリックな政権ではないことの証左とも言えるのではないか。

 クシュネル仏外相が、いきり立つポーランドやイギリスの外相をたしなめて「今は誰が悪いと言っているよりも、出血を止めるときだ」と言うのは当を得ており、とりあえずみなその線で踏みとどまっていると言えるだろう。

 ロシアの土産物にマトリューシカというこけし型の入れ子人形がある。大きな人形の中から、一回り小さな人形が出てきて、さらにその中に‥とどんどん小さなものが出てくる。ソ連時代は、一番大きな人形が「ソ連」で、その中に「グルジア」という人形が入っていて、さらにその中に「南オセチア」が入っていた。もうひとつ「ソ連」の中に「ロシア」が入っていて、そのなかに「北オセチア」が入っているマトリューシカもあって、オセチアはその時から南北に泣き別れになって別の人形に入っていたけれども、何せソ連というタガがしっかりはまっていたし、グルジアはソ連の独裁者だったスターリン、ゴルバチョフ政権のシェワルナゼ外相の出身国だったこともあって「ロシア」と「グルジア」の関係も、内実はともかく矛盾が表面化しにくい関係にあった。

 この比喩で言えば、今は別のマトリューシカに入っている南北オセチアが一つになりたいということで、しかも、これはどうもロシアの工作もあって全体として「南オセチアがグルジアのマトリューシカを出て、ロシアのマトリューシカに移りたい」という話しになりかけているから、グルジア政府やグルジアのナショナリストたちにとっては、同じグルジア内のアブハジア自治州の問題もあるし、これは決して容認できないという対立になっているわけだ。

 ソ連が崩壊する中でグルジアは独立を果たした。グルジアの人々の中には「ロシアはもうこりごりだ。これからはアメリカの同盟国となって自由で豊かな国になるのだ」と言う人たちがいて、サーカシビリ大統領や議会の多数派はそうした人々を代表している。一方で、おそらく「同じ国だったんだし、グルジア正教とロシア正教で、古くからビザンツ帝国の仲間じゃないか」という親ロシア派もいるのだろう。そしてどの国とも同じで、本音を言うとどっちに付くかより生活第一という人がその真ん中で一番の多数派なのではないか。ただ、いまのグルジアは郵政民営化熱に浮かされて判断停止していた時のわが国のように、反ロシア派が一時的に大多数を占めているのかもしれない。

 クシュネル仏外相が今はどちらが悪いと言うときではないというのは正しいが、敢えて分析的に言えば、8月8日に南オセチアに先制軍事攻撃を仕掛けたのはグルジア軍だ。南オセチアの市民に1,000人以上の死者が出て、駐留していたロシアの平和維持部隊にも犠牲者が出ている。

 もちろん、わが国がかつて中国東北部(旧満州)を軍事占領するきっかけを作るために、二度までも自らの手で鉄道爆破事件を起こしたように、ロシアの情報機関がグルジアに「先制攻撃」を起こさせるような挑発を工作したり、グルジア軍に工作員を送り込んでいる可能性はあるけれども、いかんせんわが国の真珠湾攻撃と同様に本来「先制攻撃」というのは劣勢になったときの責任論で分が悪い。

 さはさりながら、ロシア軍が報復と称して南オセチアの範囲を越えてグルジア領内に侵攻し、いくつかの町を徹底的に破壊したり、逃げてきた人の口から「若い人々が人質にとられた。女性たちがどういう扱いを受けているかはわからない」という話を聞くと、ロシア当局にも軍や、武装勢力に対する手綱はしっかり握っていてもらはなければ困るぞと切に思う。

 ブッシュ大統領が「グルジアには選挙で選ばれた唯一の政府がある」と強調している。それはその通りだが、パレスチナの選挙でも、ずっと前のアルジェリアの選挙でもアメリカに都合の悪い勢力が選挙で勝ったときには選挙はなかったような顔をする彼らのやり方を知っているだけにしらける面もある。BBCのレポーターもこれには説教くさいと言っていた。マケイン大統領候補が「ロシアをG8のメンバ-にしておいていいのか」というのは先走りで、票目当ての悪しき発言だ。

 これは森田の感想だが、サーカシビリ大統領は若く颯爽としているが、アメリカとの連携にのめり込み、虎の威を借るキツネのようにロシアを挑発する姿勢は賢明なものとは思えない。EUが停戦調停に当たるときに提案した「南オセチアの将来の地位については話し合いで」という一項は頑なに拒否したという。ロシアからの自由を叫ぶ一方で、オセチア人はずっと俺の言うことを聞けと言うのではダブルスタンダードと言われよう。

 アメリカの政権が「有志連合」などと言って「俺の言うことを聞く者だけには特に目をかけてやる」という外交姿勢だったことが今回の事態の根底にある。アメリカに国際協調派の政権が出来て、21世紀初頭の十年弱の軌道を修正する。オセチア問題、グルジア問題の解決はそこからようやく始まるのではないだろうか。

 わが国においても民主党などによって、ブッシュのポチになって尻尾を振って喜んでいた小泉・安倍政権の「米単独行動追従主義」と福田政権の全く不十分な修正に変わる、日本外交のフレッシュな路線が打ち出されることが切に望まれる。

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2008年8月 6日 (水)

63年目の広島平和記念式典

朝、広島の式典の中継を見る。中国から大阪の領事館の女性領事が初めて出席する様子が映し出されていた。

朝日の社説、毎日の「余録」などにもあるように、あのアメリカで「核軍縮」について風向きが変わりつつあるという。一昨年のキッシンジャー氏らの「核全廃」に向けての行動の呼びかけ、昨年、東京でも公開されたスティープン・オカザキ監督の『ヒロシマ・ナガサキ』もケーブルテレビで多くの人々に見られたという。先日のNHKの放送でも、ブッシュの地元・テキサス州の高校の先生が授業でこの映画を取り上げた様子を紹介していた。

昨夏、ワシントンでクリントン政権で国防次官補だったキャンベル氏と会った人が言っていたが、米印核協定に関連して核軍縮について聞くと「核兵器というものは、全く意味がない」と断言したそうだ。日本風に言えば「防衛族」のキャンベル氏だけに「60年前と違って、ハイテクの極めて精度の高い誘導装置と、爆発力の強い爆薬を使えば、広島に落とした原爆程度の攻撃の成果は(何十万人の市民の生命を奪うということを除けば)通常兵器で挙げることが出来る。軍需産業もそれで充分儲けることができる」というリアリズムからなのだろうが、とにかく民主党系とはいえワシントンDCに事務所を構える現実派にもそんな声があるのだ。

秋葉市長の平和宣言に、9月のG8下院議長会議に言及があった。ペロシ下院議長はバリバリのリベラル派だが、アメリカのハイレベルの政治家の広島入りは戦後初めてのことだ。彼女が何を感じ、どのようなメッセージを出すのかに注目したい。日本の左右メディアからは「原爆投下を謝罪するか」という紋切り型の質問が出るだろう。そこは大統領選挙への影響を考えて=どこの国にも頭の悪い右翼はいつぱいいるから=クリントン前大統領と同様「謝罪はしない」という発言になるだろうが、今回はとにかく彼女が広島に足を運ぶこと自体に、これからにつながる価値があると思う。

次期大統領がCTBT(包括的核実験禁止条約)の批准を目指す政策転換をし、次期上院がこれを承認すれば、平和・軍縮にとり大きな転換になる。転換というより、冷戦後の正しい軌道への回帰ということになる。月末の民主党大会で議長を務めてオバマ大統領候補指名を宣言し、レイバーデーの3連休を利用して議長専用機で飛来するペロシ議長が、こうした点でも何かメッセージが出すのかにも注目したい。

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2008年6月 5日 (木)

オバマ候補指名確実に=「反論理」の時代の終わりのはじまり=

 オバマ氏が米民主党の大統領候補になることが事実上確定した。イラク戦争、温暖化問題や核軍縮問題への真剣な取り組み拒絶、社会保障軽視など、長く続いた21世紀初頭の「反論理」の時代がようやく終わりを告げる転機となろう。

 ヒラリー候補との泥仕合化で、やや光明に翳りがあるような印象であり「党の亀裂修復、白人労働者層対策、女性票対策」などからヒラリー候補の副大統領候補指名を考えるのか、それとも「当選後の仕事のやりやすさ、古い政治との決別を優先」して違う副大統領候補を選ぶのかというのも悩ましい選択だが、いずれにせよオバマ氏の候補者決定についてNHK・BS1で見るABCの報道も「歴史的」を繰り返していた。

 「反論理」が世界を席巻した原因には、ビル・クリントン政権時代の倫理退嬰への反動、9・11などがあるが、歴史の分岐点はブッシュ対ゴアの2000年大統領選のフロリダに見るように、「紙一重」が運命を分けることがある。

 わが国でも、あいかわらず「上げ潮」だの、「地上部隊派遣ならアフガニスタンに自衛隊を出すのに民主党も賛成するだろう」、「資源値上がりは投機が原因ではない。フリードマンが言っていたではないか」といった反論理の言説がまかり通っている。

 まだ森田ごときにもやることがあるぞ。とオバマ候補確定のニュースを聞いて思った。

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2008年5月30日 (金)

「自衛隊機中国派遣見送り」の報に

「中国が自衛隊機派遣要請」という見出しをみて、「ぜひ派遣すべし」とフライングで感想を述べてしまったが、結局は派遣見送りだそうだ。

たしかに日本海軍による重慶爆撃は、ゲルニカや広島・長崎に先立つ、無差別都市空爆の世界史における嚆矢であったという指摘もあるわけで、町村官房長官ばかりでなく、森田自身も、そこまで一気に乗り越えることができるような期待を持った不明は恥じなければならないと思う。

とにかく、今は自衛隊派遣の可否などはサイドストーリーに過ぎないので、中国のニーズにどうすれば最大限に応えることが出来るかに意識を集中すべきだろう。

それにしても、自民党の一部に「中国は失礼だ」といったもの言いが聞かれるというのは呆れてしまう。相手の悪口を言うよりも、例えばアメリカの軍用機は、かつてはユーゴの中国大使館誤爆事件や偵察機の強制着陸事件などもあった米中の軍同士の関係を乗り越えて、すでに救援物資を運んでとっくに中国に飛んでいるという現実を直視すべきだ。

つまり、残念がるなら「ぜひ来てください」と言ってもらえるような信頼関係を構築できていないことを残念がるべきなのだ。小泉首相の靖国参拝で、アメリカが米中関係の信頼構築に努めた5年間を、わが国は空費してしまったことのツケがまわってきているだけの話と考えるべきだ。とにかく、繰り返しだが、今はそんなことより何をすべきか、何が出来るかに集中すべきだろう。

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2008年5月21日 (水)

クラスター爆弾国際会議-NHK山澤記者のレポートに違和感

おととい5月19日(月)、ダブリンでクラスター爆弾の禁止を目指す「オスロ・プロセス」の最終合意をめざした会合が始まった。小型爆弾を多数ばらまくクラスター爆弾は、一昨年、イスラエルがレバノンに侵攻した際に使用され、戦闘が終わって軍隊が撤収したあと多数残った不発弾の事故で、多くの子どもたちが亡くなったり、手足を吹き飛ばされたりしたことで、かつての「対人地雷」と同様、人道的観点からの廃止論が高まった。

「オスロ・プロセス」は、対人地雷の時のカナダ政府の役割をノルウェー政府が買って出たもので、この「有志」のプロセスには対人地雷の時と同様に、アメリカ、ロシア、中国といった国々は参加していないが、志ある国々の政府と国際NGOが連帯して、具体的な措置を動かし、国際世論も動員することでこうした国々をも動かそうというものだ。

各紙で報じられている通り、一方ではアメリカ、ロシアなど禁止に反対でこのプロセスに参加していない国々があり、その反対にノルウェー、中南米諸国など全面廃止に積極的な国々、そしてその中間に「部分禁止」を主張する英仏独などの国々がある。

それでは、わが国、日本政府の立場がどうかと言えば、朝日新聞2008年5月20日付3面の記事では「日本や英仏独などは‥『信頼性が高く、正確なものは除外すべきだ』という立場を取る」と書いている。さらに毎日新聞の同日付は英独仏は「最新型」のみを例外とすることを主張しているのに対し、日本は現在保有するものを持ち続けることを前提に「不発率が実戦で10%以上もあるとされる現有の『改良型』の堅持を主張している。国連の軍縮関係筋は『日本の主張に同調しそうなのはフィンランドくらいだ。逆に、他の部分禁止派と全面禁止派の溝は狭まっている』」と報じている。

現段階での日本政府は、当時の小渕外相が政治決断する以前における「対人地雷」の時と同様、アメリカにおもねる外務省と、軍事力維持の面だけから廃棄に反対する防衛省が積み上げてきた、いわば霞ヶ関のお役人たちボトムアップで形成された政策を主張することに止まっている。自民党政権が長く続きすぎたせいか、そこに憲法第9条の理想などかけらも見あたらない。福田さんにも、せめて小渕さん程度の大所高所からの政治的な判断を期待したいものだ。

ところで、このことを報じた2008年5月19日放送のNHK・BS1の「今日の世界」(22:15~)において、スタジオからの原稿読み上げと字幕では、わが国が英独などとともに「全面禁止」には反対し、「部分禁止」を主張していることを紹介していたが、現地からの山澤里奈記者のレポートでは、わが国がどういう立場をとっているかという話がスッポリ抜け落ちていた。これでは極右の経営委員長とは逆の意味で「どこの国のニュース番組なの?」ということになってしまう。「合意をめざすノルウェー政府代表が部分禁止を主張しているイギリスやドイツの政府代表を訪ね、妥協点を探っている」というだけの原稿は、「日本は全面禁止に反対している」という事実の印象を、作為的に薄めようとしているのではないかと感じた。

NHKの国際部記者が、外務省の役人や自民党の一部政治家と良い関係を築いておきたいというのは処世術かもしれないが、あまりに「アメリカ政府に最大限に媚びを売り、日本国民にはそのことを最大限覆い隠しておきたい」一部外務官僚に操作されていることが見え見えで、その思惑通りの放送をしているのでは公共放送の使命を果たしていることにならないと思う。

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2008年5月19日 (月)

ハマスとも、イランとも対話を

ブッシュ大統領が中東歴訪で「ハマスは和平の障害」などと発言し、ヒズボラとも対決姿勢を示しているという。そもそも、選挙はもう少し先に延ばしたいというアッバス大統領に対し、ブッシュ政権が「早期総選挙」を無理矢理押しつけたのが、総選挙でハマスが勝利する要因の一つだったのだ。自分で原因を作っておきながらよく言ったものだ。

政権末期で「業績」を残したいために、イスラエル=パレスチナ和平問題に取り組んでいると言うのだが、いくらイランのアフマディネジャド大統領が「イスラエル抹殺」などの過激発言をしているからとは言え、イラン軍事攻撃にはっきり反対していた中央軍司令官を更迭するなど、ブッシュ=チェイニー路線は政権が終焉するまで有毒ガスを発し続けているようだ。

ネタニヤフ政権時代に一度だけイスラエルに行ったことがある。帰国するとモサドじゃないかなという感じのイスラエル大使館の人がやってきて「東エルサレムがパレスチナ国家の領域になるという考え方をイスラエルが受け入れているわけではない」と強調していたが、現地エルサレムで会った、ユダヤ教過激派のテロで亡くなったイツァーク・ラビン首相の息子さんなどは、われわれから見ても常識的な、リベラルな考え方の人だった。

イスラエル建国60年ということで、イスラエルのいろいろ立場の人々のことが新聞やテレビで紹介された。どの国にもごりごりの頭の悪い「右」は存在する。イスラエルにおいては極めて強い。でもラビン氏の子息のような、まともな人々も少なからず存在するので、こうした人との連帯の輪を広げていくことは大事だと思う。ブッシュの前には、カーター元大統領が政権の反対を押し切って、シリアでハマスの指導者と会談したと言うが、こうした「対話」以外に問題解決に近づく方法はない。

一方、イランも「核開発支持」「反米」の保守派が圧倒的に強いとは言え、一般市民のレベルでは密かに「アフマディネジャドは勘弁してほしい」という空気も根強いと言う。森田はイランと対話するというオバマ氏を支持する。

同時に、アメリカの民主党系の人も「アメリカにとってイラン問題は、実はイスラエルの安全の問題」と率直に話してくることを勘案すると、わが国としてはイランに対して「アメリカのイラン攻撃には反対。NPTの範囲内なら、核の平和利用の権利も理解する」と言った上で、「ただし『イスラエル抹殺』は過激すぎるので、そういうことを言うのはなんとか止めてほしい」と直接に働きかけることが大事ではないか。

中東1課も2課も頑張っていることは知っているけれども、カーター元大統領や、悪い方で活躍しているブッシュ大統領に比べ、日本は中東情勢において「不在」を続けているように見える。

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2008年5月18日 (日)

堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書) =”読むべき”ベストセラー=

手に入りやすいコンパクトな本でありながら、アメリカ社会の知られるべき一面を良く整理して教えてくれる良書。すでにベストセラーになっているが、いろいろな国の事情に少しでも通じておきたい人にとって、アメリカについては真っ先に読むべき本だと思う。

アメリカは徴兵制ではないのに、イラク戦争などを戦う兵員の確保が可能なのはどうしてか。それは、所得格差が大きく、軍隊の給料でもそれまでの年収の2倍になるという若者がたくさんいて、軍に入れば大学進学が可能になるという話が流布されているからだ。

堤未果さんの「ルポ貧困大国アメリカ」は、そうしたことも含め、アメリカ、の経済社会の実際の姿をケースを通じ身近なものとして理解させてくれる。森田もこれまでは「軍に入れば大学に行ける」という話を鵜呑みにしていたが、それすら詐欺まがいの話であることをこの本を読んで知った。

「借金が返せるいい仕事がある」と民間軍事会社によってイラクに送り込まれた中年アメリカ人男性が、劣化ウラン弾か何かの放射線障害らしきものに苦しみ、酷い目にだけあって帰国後も苦しんでいる話など、本当に酷い話だと思う。同じような立場で現地で戦闘により死亡した人々も多いのに、これは戦死にカウントされない。こういったことについても、アメリカの本当の姿として知られるべきだ。

格差と食生活の連関など、ABCの『ナイトライン』などを見ているような人には常識となっている話題が多いと言えるかも知れないが、とにかく高校生や大学生にはぜひ読んでみてほしい本だ。自民党の小泉・竹中「構造改革路線」はアメリカ礼賛路線と言えるが、こうした路線で企業「競争力」だけを追求する路線が何をもたらすか想像してみるべきと思う。

ベストセラーに読むべき本は実に少ない。最近の『女性の品格』といった頂き物大好きの元官僚が書いた一種の「盗作本」のことなどが話題に上ると、高校生の頃読んだバートランド・ラッセルの『幸福論』に今のベストセラーに後年読み継がれる本は全くないので、そんな本は読まずに古典を読むべきだという話が書いてあったことを思い出す。しかし、この『ルポ貧困大国アメリカ』は全く例外だ。大きな本屋のベストセラーコーナーに下らない本と一緒に並んでいてもどうか敬遠されずにお読み下さい。

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2008年5月 7日 (水)

連休中の国際ニュースから

事務所で連休中の国際ニュースをまとめてザッと見る。フランスのフィヨン首相は訪米して英語で講演「フランス風のイントネーションを楽しんでいただきたいと思いまして」。別に「大統領の母」もインタビューに登場しており、就任一年の共同インタビューで国営テレビのニュースキャスターに「どうしてあなたの改革は失敗したのか」といきなり突っ込まれていたサルコジ大統領の盛り上げに必死。

韓国の李明博大統領も支持急落はサルコジ氏の後を追っている感じ。若い有権者が、目先の変わる活気ある「右」の大統領を選べば局面が良くなると錯覚して、政策の方向性が間違っていたり、曖昧だったりする指導者を選ぶと、大いに落胆することになるという例。わが国は同じ轍を踏みたくない。

その韓国のニュースで、「北」が核放棄を印象づけるため寧辺原子炉の「冷却塔」を自分で爆破する準備があるというものに少し驚く。韓国のテレビや新聞は、日本のメディアや官僚から見ると「飛ばしすぎ」らしいが、小渕内閣の頃「韓国メディアは飛ばしすぎ」と役人たちが言っていた羽田-金浦のシャトルはちゃんと飛んでおり、米朝が思いの外進んでホントにならないとは限らないだろう。

胡錦涛主席の非公式晩餐会の松本楼は、日本で革命運動をやっていた孫文を支援していた人の末裔が経営者。餃子、ガス田も大切だが、刹那的にならずに100年の視点を持っていくことも大切だろう。過去100年の前半は日本の侵略が重いが、「欧米列強からの自立」という観点から辛亥革命に協力した日本人もいるのだ。明るい面を掘り起こして、今後の100年を展望したい。

【以下はリンクした胡錦涛首席、孫文、松本楼関係の毎日新聞夕刊記事の貼り付け】

胡・中国主席:来日 日中交流秘史に光 両首脳、東京・日比谷の松本楼で夕食会

 ◇「国父」孫文支えた梅屋庄吉しのび

 福田康夫首相は6日夜、胡錦濤国家主席を東京・日比谷公園内のレストラン「松本楼」に招き、非公式の夕食会を開いた。警備が難しい都心のオアシスをあえて会場に選んだのは、松本楼にまつわる日中近代史の「秘話」に光を当てようという双方の計算があった。

 中国民主主義革命の先駆者で「国父」と呼ばれる孫文(1866~1925年)。その政治活動を物心両面から支えた梅屋庄吉という日本人がいたことは、あまり知られていない。松本楼の経営者は梅屋の末裔(まつえい)にあたる。

 実家が長崎の貿易商だった梅屋は、19世紀末に香港で2歳年上の孫文と知り合い、その革命思想に深く共感する。日本活動写真株式会社(日活の前身)を設立し映画事業で財をなした梅屋は、孫文に多額の資金援助を繰り返した。さらに梅屋夫妻は孫文と宋慶齢との結婚を仲介し、東京・大久保にあった梅屋邸で披露宴を催したという。

 2人の友情は群を抜いていたが、梅屋は「孫文トワレトノ盟約」について「一切口外シテハナラズ」と遺言したため、貴重な資料は長く公開されることがなかった。

 夕食会では、梅屋のひ孫にあたる松本楼常務の小坂文乃さん(40)らが孫文ゆかりの羽織や宋慶齢の手紙などを両首脳に披露した。胡主席にとって、孫文をたたえることは、中国共産党とともに抗日戦線を担った国民党の再評価につながり、現在の台湾で国民党を率いてきた馬英九・次期総統への前向きなメッセージになる。台湾との和解プロセスというわけだ。

 福田首相にとって松本楼は、父・赳夫元首相が三枝夫人と結婚式を挙げた場所。自然な形で日本人が辛亥革命を支援した歴史を振り返り、中国の対日感情に訴えることができるメリットがあった。

 年1回の「10円カレー」で有名な松本楼は1903年、日比谷公園と同時に開業した。松本楼の創業者である小坂梅吉の孫と、梅屋の孫が後に結婚したため、梅屋の資料は小坂家に引き継がれた。小坂さんは「両国のトップにこの歴史を伝えることができて光栄です」と話している。【古賀攻】

毎日新聞 2008年5月7日 東京夕刊

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2008年5月 4日 (日)

ダーウィン展(国立科学博物館)

うちの息子はダーウィンをたいへん尊敬していて、小学生の時も「カンザス州が進化論を学校で教えることを禁止」といったテレビのニュースをみたりするとカンカンに怒っていた。その高校生の息子に連れられて上野の国立科学博物館ダーウィン展に。ダーウィンの生涯や思想の発展などについて、広いスペースを使ってわかりやすく展示している。

学説については大学時代に一般教養の「科学史」である程度詳しい話は聞いていたが、お母さんがウェッジウッド社のお嬢さんだったとか、父親は堅物だったけれどもお爺さんが面白い人物で、すでに「進化論」も語っていたといった話は面白い。学校の成績は最悪だったという話は結構知られているが、「父は世間体からいいと考え、本人も昆虫採集に専念できると考えて神学を専攻した」というのもいい話(?)。充実した「カタログ」冊子にも出ていない会場の「ダーウィン時代以前の動物分類」に関する展示なども楽しい。

「150年前」に発表された学説ですよ。それでもアメリカのレッドステートでは「聖書の方が真実」と信じている人が多いという。カリフォルニアやニューヨークだけ見ていては、どうして大統領がネアンデルタール人レベルの思考でやっていけるか、というよりもその方がしばしば選挙に強いかを読み誤る。

ところで、科学博物館は体験型の展示も充実し、小学生たちは楽しそうにしていた。フタバススギリュウの骨格標本や、各歴史時代の日本人の暮らしを再現した蝋人形の展示もある日本館も楽しい。もっとも、評判の「大地を駆ける生命」(地球館3F)など、すこし大衆路線に傾きすぎている感じ。「日本館」になった旧本館の正面ホール、森田のこども時代はアロサウルスの骨格標本、うちの子どもたちが小さい頃はタルボサウルスとマイアサウラだったところが、ガランとしているのはちょっと寂しいと感じる。

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2008年4月18日 (金)

「空自イラク活動違憲判決」に思う

名古屋高裁の「空自イラク活動違憲判決」(2008年4月17日)について、私は以下のようなことを思った。

【1】 「バクダットは戦闘地域であり、そこに多国籍軍の兵員を輸送するのは武力行使と一体になった行為であり、『特措法』にも違反し、違憲である」というのは、論理的で常識にかなった判決だ。この常識的な判決が「異例」と受け止められるのは、すなわち、通常は政府・与党に都合が悪い判決は、司法行政の中枢によって押さえ込まれていることの証左である。ほとんどの裁判官は「空気読み過ぎ」なのだ。そもそも、「司法試験には憲法第9条は出題されない」というあたりからおかしい。

【2】自衛隊の海外派遣と憲法9条の関係については、次の立場があり得る。

[A.一切認めない。] [B.国連PKO協力法に基づく、国連の一員としての活動に限定。]

[C.「周辺事態法」「イラク特措法」などに基づき、米軍をお手伝い。]

森田は 、宮沢内閣の段階における[B] の立場を基本にするべきであると考えている。[C]については橋本内閣の「日米共同宣言」で「アジア太平洋にお手伝いの範囲を広げよう」という発想が示され、小渕内閣の「周辺事態法」で法整備が行われた。小泉内閣のイラク戦争支持と派兵は、そういった積み重ねをさらにすっ飛ばした蛮行と呼ぶべきだろう。

[C]までやるのが「同盟国だから当然だ」「それくらいやらなければ日米安保が持たない」という意見の人も多いようだ。しかし森田は、それは必ず今度の「イラク戦争支持と派兵」のように、時の政権によって拡大解釈され、わが国自身のせっかくの「国際紛争解決の手段としての武力行使の放棄」という外交資源ともなる国家の原則を台無しにすると考える。

「日米安保条約」本体で、お互いに約束しているのは、「日本がアメリカに基地を提供する」ということと、「アメリカが日本を防衛すること」だ。アメリカがもし「守ってほしければもっとよこせ」「ショーザフラッグ、ブーツオンザグラウンド、もっと戦争を手伝え」という時に、歴代駐米大使のようにそのお使い走りになっていてはダメなので、「平時における基地提供と、事実上の無制限な自由使用だけではご不満ですか?条約以上のことについては、主権者の日本国民の声を聞く必要があります」としっかり主張し、国益を守ってもらわなければならない。

【3】軍事評論家の江畑謙介氏が「イラクに輸送目的で自衛隊を派遣した以上、何を運んでいるか他の国は関心がない。水や食料、燃料はいいが兵員や弾薬はだめなんて(今回の判断は)世界の常識と懸け離れている。兵員を運ばないことで自分の手が汚れないというのは自己満足だ」と判決を批判している(東京新聞)。

 江畑さんは兵器について、また軍事について豊富な知識を持った方だ。ここで言っておられることもファクトとしては当たっている。しかし、森田なら同じ指摘の上に立って「だからこそ、日本の輸送機の派遣自体、多くのイスラム圏、あるいは途上国の一般民衆から見れば、アメリカの戦争に荷担した敵対行為に見える。平和憲法の国だなどと言ってもインチキじゃないかと言われることになる」と言いたい。

江畑氏は続けて「世界貢献はこのような考え方では行き詰まるだろう。日本は食料自給率が低い。海外貢献せずに飢えてしまっていいのか」とコメントしている。江畑さんがどのようなご意見を持たれようとそれは自由だが、新聞社は誰に何を聞くかはもっと考えた方がいい。「世界貢献」といったことについてどう考えるかについてコメントをもとめるには、もっと適当な人がいそうである。

【以下は中日新聞の貼り付け】

空自イラク活動は違憲 名古屋高裁判決

2008年4月18日 02時28分

 自衛隊のイラク派遣は武力行使の放棄などを定めた憲法9条1項に違反するとして、全国の市民や元外交官ら約1100人が国に派遣差し止めや慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は17日、多国籍軍の武装兵士を輸送する航空自衛隊(空自)の活動について「憲法に違反する活動を含んでいる」として違憲との判断を示した。同項$について違憲の司法判断が示されたのは初めて。慰謝料などの訴えそのものは棄却されており、主文以外の判決文には法的拘束力はない。
 勝訴した国側は事実上、上告できず、原告側も上告しないため判決は確定する見通し。
 判決理由は、審理を担当した青山邦夫裁判長(退官)に代わって高田健一裁判長が代読した。

 判決は、現在のイラクの状況について「泥沼化していて、国際的な武力紛争が行われており、イラク特措法でいう戦闘地域である」と指摘。
 空自が米国からの要請を受け、2006年7月以降から実施しているバグダッド空港への空輸活動について、多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っていると認めた。
 その上で「他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と述べ、「イラク特措法に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」と認定した。
 派遣差し止めについては「控訴人(原告)らに違憲な戦争の遂行や協力などを強制される事態にはなっていない」として、原告としての訴えが認められないとした。
 06年4月の名古屋地裁での1審判決は、派遣差し止めなどについて却下した。
 これまで憲法9条に違反するとの判断が示されたのは、1973年9月、札幌地裁で出された長沼ナイキ基地訴訟の判決だけ。長沼判決では、自衛隊の存在について憲法9条2項(戦力不保持)に違反しているとした。

<判決の骨子>
▼イラク、特にバグダッドはイラク特措法が自衛隊の活動を認めていない戦闘地域に該当する
▼空自による多国籍軍武装兵員のバグダッドへの空輸は、他国の武力行使と一体化した行動で、自らも武力行使したとの評価を受ける
▼空自の空輸活動は、武力行使を禁じ活動地域を非戦闘地域に限定した特措法の規定に違反し、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる
▼違憲確認請求と差し止め請求は不適法。平和的生存権の侵害までは認められず、損害賠償請求は認められない
(中日新聞)

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2008年4月12日 (土)

「物価高はしょうがない」(福田首相)は間違い。過去10年の主要国指導者が引き起こした人災だ。

福田首相が、恒例の新宿御苑における「桜を見る会」で「まあ、いろいろありますよ。物価が上がるとか、しょうがないことはしょうがないのだから、耐えて工夫して切り抜けていくことが大事だ」と発言したそうだ(共同)。

「しょうがない」は間違いだ。食料品価格の上昇、エネルギー価格の上昇と、欧米の金融危機と信用収縮による景気後退などには、はっきりした原因がある。

端的に言えば、アメリカの「戦争」と「バイオ燃料推進」、またいかがわしい金融システムが生み出すバブルに依存した経済システムの破綻が原因となり、無責任な投機マネーにコントロールがきかないことが状況の悪化に拍車をかけているのだ。

日本など主要国の首脳は、それに歯止めをかけることができず、オールタナティブを示すことができなかった。特に日本は、今でも「イラク戦争支持」は間違っていなかったと公言し、「金融立国」なぞ幻想に過ぎないというしっかりした整理を打ち出せずにいる。いまだに「改革が充分でないからだ」などと寝言を言っている人がいる。

アメリカがITバブル崩壊後も続けた、住宅バブルと「証券化」などのテクニックを悪用した信用創造による好況は、破綻した。このアメリカのバブルと中国経済の成長に便乗するだけで、中身のない、あるいはせいぜい労働分配率を下げて企業の見かけ上の業績を上げただけの「改革」騒動の一方で、「内需拡大」につながる必要な政策展開を全くさぼってきた日本の政府与党中枢と霞ヶ関の罪は重い。

主犯はブッシュ政権と、小泉・安倍政権だが、「しょうがない」などと言って、起こっていることの原因についていい加減な情勢判断で済ませていては、わが国の将来はたいへんなことになる。ここは厳しい分析によって、何が間違っていたのかをまずハッキリさせるべきだ。

外交も、内需拡大に主眼を置いた経済政策も、そして現実に起こっている弱い立場の人々の状況深刻化にセーフティーネットをしっかり張ることについも、必要なことは「原理をハッキリさせた上での『転換』」だ。これは、総選挙で「なんとなく民主党中心の政権が出来ました」というだけでは充分ではないだろう。

「食料、エネルギー価格の高騰」、「金融システム動揺と世界大の景気後退」「日本の内需主導への転換の遅れ」「社会保障政策の機能不全」などについて、現状を厳しく分析し、「次の政権の4年間」で成し遂げる「転換」のゴールとプログラムを明確にし、自民党に変わる政権を形成する人々にそのような政策の採用を迫り、新しい政権に対する国民的な支持をとりつけるよう力を尽くす。

日本のリベラル派言論人、政治に関わるリベラル派の一人一人が、いま大きな使命を負っている。

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2008年3月22日 (土)

リチャードソン知事のオバマ支持表明=マケイン対策にプラスになるだろう=

ニューメキシコ州知事のリチャードソン氏がオバマ候補支持を表明したことが、同氏が選挙の帰趨に大きく影響を与えるヒスパニック(スペイン語圏出身)であることから注目され、また同氏がクリントン政権でエネルギー庁長官、国連大使と要職を歴任したクリントン夫妻と最も近い政治家の一人であるため「サプライズ」とも受け止められた。

もっとも、最近の予備選報道を丁寧に見ていた人は気づいていたと思うが、ヒラリー候補、オバマ候補の両雄が予備選で獲得する代議員数がもしオバマ候補のわずかなリードのまま拮抗するといういちばん蓋然性が大きいケースの場合、連邦議会議員や党幹部で構成される「特別代議員」がそれを覆すことができるかという議論について、リチャードソン知事が「それは認められない」と発言していたため、その段階ですでに「サプライズ」と受け止めてた人は多いのではないか。

リチャードソン氏は、早くから「ヒラリー大統領候補の副大統領候補の一人」と目されてきた。すでにカリフォルニアやテキサスでオバマ候補がヒラリー候補に及ばなかったのは、ヒスパニックのクリントン夫妻支持が厚いというだけでなく、同じマイノリティーながらアフリカ系とヒスパニックの相性の悪さとでもいうものを感じた人も多いだろう。

リチャードソン氏は、党と国家の未来を考えてオバマ支持を表明したに違いないが、ひょっとするとヒラリー候補がオバマ氏取り込みのために「オバマ副大統領候補指名」を表明したことが、彼には自らを副大統領候補にはしないという意味であると聞こえたとしても不思議ではない。予備選撤退前の候補討論会の際に公衆の面前でヒラリー候補に「あなたはいい『副大統領候補』になるだろう」と言われたことも、見せた笑顔とは対照的に含むところがあったのかもしれない。大統領候補だって人間ですからね。

さてこのサプライズ、「オバマ対マケイン」となった場合、民主党大統領の誕生にはプラスが大きい。簡単に言えば、マケイン候補は「外交タカ派、内政ハト派」で、昨年夏に「ブッシュ大統領、マケインら共和党穏健派、最左派の民主党ケネディー上院議員」という連合が不法移民に比較的マイルドな法案を議会で推進し、両党の内政強硬派に敗れて法案が成立しなかった時に、ヒスパニックの間にはマケインの受けがとても良かったということがあるからです。

というわけで、11月の本選で帰趨を左右するかもしれないフロリダやテキサスで、マケインは共和党候補が他の候補だった場合に比べ大善戦が予想されたので、民主党候補はヒスパニック対策を強化する必要があり、オバマ候補の場合はそれがなおさらです。

陣営内部の情報にアクセスしていないのでわからないけれども、来年はオバマ大統領、リチャードソン副大統領という組み合わせかもしれません。その場合、朝鮮半島政策はクリントン政権のラインを継承するという可能性が大きいと思われ、これは東アジアの平和にとって好ましいことであると思います。

リチャードソン氏は、アメリカの銀行のメキシコシティー支店で20年近く働いていた父親が、メキシコ生まれの夫人の子供が生まれる時に、子どものアメリカ国籍を確かなものにするためにカリフォルニアに移住したといういきさつがあるらしい。森田は昨年にワシントンDCに行った際に、空港の書店で何気なく「Between Worlds」というリチャードソン氏の自伝を買ってきた。ホコリを払って読んでみる必要がありそうだ。

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2008年3月18日 (火)

それにしても「読売」の社説は困ったものだ

 このブログを読んでいただけるような方々に、読売新聞の社説なんか読んで喜んでいる方はおられないと思うけれども、久しぶりに見てみると、あいかわらずひどい。若い人は社説なんか読んでいないと言っても、とにかく一番読者が多い新聞だし、少年ジャンプなどよりは発行部数も多いのだろうから、あまり呑気に見逃しているわけにもいかない。

 17日付のイラク戦争5年の社説などその代表例のひとつ。前半は、開戦時に「イラク戦争」を支持した自らの不明を恥じることもなく、へ理屈の強弁を重ねて見苦しく、「見通しが甘かった」という部分についても総括が全く甘いだけでなく、関係ない中国海軍軍人の「太平洋を中米で二分しよう」という横着な話を持ってきて、読者の関心をわざと肝心なことからそらしている。

 結論は「とにかく日米同盟強化」一辺倒だ。どんなに大ざ゛っぱに見ても、アメリカの半分の人は今の政権の「力の外交」がいいと思っていない。一方で、国務省の世界人権白書は「中国を著しく人権が侵害されている国」から外して、アル・ジャジーラに揶揄されているように、現ブッシュ政権も対中関係はビジネス優先だ。

 読売新聞の言うように、アメリカの虎の威を借るキツネとなって威張ろうなどと考えているだけでは、「日米同盟」のうち中国に備え、米軍産複合体を潤すための軍事支出拡大についての部分だけ押しつけられて、中国とよい関係を構築してビジネスもうまくやるというところはアメリカに全部持って行かれるということになるんじゃないか。

 アメリカや中国のことを置いておくとしても、とにかく不安を煽って軍事力強化を訴えるこのような社説の延長線上には、バランスのとれた、身の丈にあった国家像は想像できない。そうして、このような社説を垂れ流して国を誤らせても、戦前の新聞のように責任を問われることはないということだろう。

 ナベツネの意に沿う社説を書いていないと出世がおぼつかないというのはそうだろう。しかし、小さくはない影響力を考えると、森田としては文句のひとつも言っておかなければならない。

 必要なのは「軍拡、軍事同盟強化」ではなく、「賢明な外交」だ。朝起きたらおはようと言い、お正月が来たらおめでとうというのと同じくらいのあたりまえすぎることだが、「読売新聞の社説」は長いものに巻かれろの事大主義で、バカだと思われたくない人は、恥ずかしげもなく活動を再開した安倍晋三氏の主張や、こんな社説を受け売りしていては絶対にだめだ、ということを声を大にして言いたい。

【以下は言及した「社説」のコピー】

イラク戦争5年 米国の力の低下が心配だ(3月17日付・読売社説)

 開戦から5年。混迷が続くイラク情勢は、米国の重荷となっている。

 こうした状況が東アジアの安全保障に対する米国の役割、責任の低下につながってはいないか。日本にとっても重要な問題だ。

 米英が開戦の理由とした大量破壊兵器は、結局存在しなかった。米軍の死者数は約4000人にのぼる。イラク人の死者は、推計で10万人とも15万人とも言われる。それでもまだ、イラクで平和定着の確かな光明は見えない。

 ◆フセインが招いた戦争◆

 こうしたことから、イラク戦争を「大義なき戦争」とする批判がある。だが、開戦に至るまでの長い前段を忘れては、問題の本質を見誤る。

 2001年9月11日の米同時テロ後、米国は、大量破壊兵器の開発と拡散の疑惑がある「ならず者国家」への警戒を強めた。

 国連安全保障理事会の諸決議に違反し、湾岸戦争後10年以上も大量破壊兵器の廃棄検証義務を果たさないイラクのフセイン政権に疑いの目を向けたのは当然だ。

 国連査察の拒否という義務違反をこれ以上続ければ「深刻な結果に直面する」とした安保理決議1441で、イラクはようやく受け入れに転じた。

 だが、その後も、査察には限定的な協力しかしなかった。米英の兵力増強という圧力がなければ、それすら実行しなかったろう。

 大量破壊兵器が存在しないのであれば、それを挙証して戦争を回避できたはずである。それをしなかったフセイン政権の側に、戦争を招いた非がある。

 世界中が、イラクは大量破壊兵器を保有していると考えていた。現に、イランや国内クルド人に化学兵器を使用した前歴があった。日本では、開戦後、イラクは化学兵器を使うな、といった社説を掲げた有力紙もあった。

 イラク戦争では、米英と仏露独との対立で、安保理が機能不全に陥った。当時の状況では、米英が武力行使に踏み切り、日本がそれを支持したのは、やむを得ない選択だったと言える。

 ブッシュ米大統領はイラクを攻撃する米国の目的について、「イラクの脅威を取り除き、統治を国民の手に戻す」ことをあげた。

 5年後の今、イラク民主化はもくろみ通りに進んでいない。戦後統治の準備が万全であれば、今日ほどの混迷はなかっただろう。

 ◆甘かった戦後の見通し◆

 ブッシュ米政権は、異なる宗派、民族によるイラク国内の歴史的な確執を軽視し、すべてを軍事力で解決できると過信していた。

 昨年の米軍増派によって、治安悪化にはひとまず歯止めがかかった形だ。だが、14万人の駐留米軍の存在が依然として治安の要である状況に変わりはない。米軍駐留は長期化する可能性が高い。

 問題は、イラクの混迷が、国際社会における米国の指導力低下を招き、世界の安定に影を落としている点にある。

 米国は、イラクの安定化へ、本格政権の自立支援だけでなく、中東全体の安定に向けた外交の成果をあげる必要がある。それが次期政権の最優先課題でもあろう。

 イラクの安定は、原油の9割を中東からの輸入に頼る日本にとっても重要だ。人的貢献と復興支援は続けねばならない。

 イラク特措法の延長で、航空自衛隊の輸送業務活動が続いている。その内容や意義への国民の理解を深めることも大切だ。

 イラク戦争の影響は、東アジアの安全保障にも及んでいる。日本にとっては深刻な問題だ。

 イラク戦争と並行して、北朝鮮は核兵器開発を公然と再開し、ミサイル発射や核実験を強行した。北朝鮮は、イラクは核兵器を持たなかったために攻撃された、と自らの核保有を正当化している。

 日本の安全保障環境は北朝鮮の核実験で劇的に悪化した。

 東アジアでは、台頭する中国の軍事的な膨張も目立つ。中国軍の幹部が、米軍幹部に太平洋を分割しようと提案したという。そんなことが現実になれば、日本は中国の軍事的圧力にさらされ、国家としての存立も危うくなる。

 ◆日米同盟強化が大事だ◆

 米国がイラク情勢に足をとられ、東アジアでの影響力が減退していく状況は、日本として看過できない。米国の軍事力を背景にした圧力が、北朝鮮に核廃棄の決断を迫る重要なテコとなる。米国の力が弱まれば、北朝鮮は核廃棄に動くわけがない。

 日本は、東アジアの安定と繁栄をどう確保していくのか。そのためには緊密な日米関係を維持すべきだ。この地域での米国の力の弱体化は、日本の国益を損なう。

 東アジアの重要性について米国と認識を共有し、日米の連携が地域の発展に役立つことを確認していかなければならない。

(2008年3月17日01時30分  読売新聞)

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2008年3月 3日 (月)

オバマ(次期)大統領は「逆レーガン」となるだろう。

2008年3月3日の午後、東京で見る米ABCテレビ番組「ジスウィーク」のラウンドテーブル後半は、もう「マケイン対オバマ」について双方の強み、弱みの分析という方向に話が行っていた。番組冒頭のヒラリー、オバマ両陣営選対幹部の「対決」におけるヒラリー陣営の「オバマ候補は演説だけ」という言葉はすでに痛々しい。

出演者たちのコメントを聞いたり、毎日新聞ワシントン支局の笠原敏彦氏の「増幅するオバマ神話」(3月3日付朝刊7面)といった記事を読んだりして思ったのは、オバマ氏は「逆レーガン」なのかもしれないということだ。

28年前、再選を目指したジミー・カーター大統領は、初当選時より得票数を延ばしながらロナルド・レーガンという俳優上がりの右よりのカリフォルニア州知事に敗れた。あの時囁かれたことばが「レーガン・デモクラット」ということばだ。

いちばん簡単に要約してしまえば、本来なら民主党支持層であるある若者たちが、レーガン候補に「未来」を感じ、超党派的な投票で「新しい」大統領を誕生させたということだろう。

超党派的な人気で誕生したレーガン大統領の政権は、マクロ財政政策においてこそ標榜していた「小さな政府」ではなく、大軍拡に伴う「赤字拡大」と規制緩和の組み合わせという伝統的な保守主義路線とは違う路線をとったものの、外交においても最高裁長官の任命をはじめとする社会面でも、結局のところ、簡単に言ってしまえば「右」の路線を突っ走った。

次期オバマ政権は、投票に向けたレトリックにおいても、就任演説においても、「統合」という超党派的なシンボルを掲げ、若い共和党支持層の支持も得て成立するだろう。

しかし、オバマ氏の政策を分析しているしている人々は「まさしくリベラル」と見ており、森田としてもオバマ氏が「逆レーガン」として、右の一部の支持も獲得しながら、アメリカ社会を、また世界政治を再びリベラルな方向に引っ張ってくれるのではないかと期待したい。

日本国内では、安倍晋三氏が森派に復帰し、派閥活動を再開したというアナクロなニュースも報じられているが、次期政権党である民主党は、また日本の政治全体を「ブッシュ・小泉時代」の破壊から再生に向け転換したいと考える心ある人々も、オバマ次期政権の誕生と世界政治の正常化という、ほぼ実現が確実な事態に呼応して、どのようなプログラムを示し、オバマ氏と連帯していくのか、その可能性を具体的に考えていくべきだ。

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2008年2月28日 (木)

イージス艦衝突事件=ゴーストップ事件を想起する必要あり。ミサイル防衛システム導入は見直しを=

イージス艦あたごが引き起こした衝突事故に関して、防衛省が捜査に当たる海上保安庁に連絡することなく、艦長を本省にヘリで呼び出して聴き取りを行っていたという。これはシビリアンコントロールにとって分水嶺であり、われわれはゴーストップ事件を想起しつつ厳しく始末にあたらなければならない。

簡単に言えば、自衛隊が市民社会との関係で違法行為を問われたときに警察の管轄下に入るのか、勝手に行動することが許されるかという重大な問題なのだ。

先にも触れたが、自民党の憲法改正案は軍事裁判所の創設を謳っている。今回の事件に当てはめていえば、「事件の捜査には憲兵隊があたり、裁判は軍事裁判所の管轄になるので、海上保安庁は引っ込んでいろ」という状況を作るための改正案だ。

私はそんなことは認めたくない。自民党には改正案の「改正」を望みたいし、そうしないなら、次の総選挙以降、永久に野党になってもらいたい。

防衛省、自衛隊の抜本的なネジの締め直しが必要であることに多くの国民が気づいたわけだが、とりわけ象徴的なのは進めつつある「ミサイル防衛システム」導入の取り扱いだ。

これは、防衛省内でも意見が真っ二つに割れていたと言われている。そもそも本家のアメリカでもクリントン前大統領は、対人地雷禁止条約や全面核実験禁止条約を推進する文脈の中で、一時は国連演説で「配備計画の延期」を表明するなどしていた。

しかしブッシュ政権が誕生し、イラク戦争の下手人でもあるチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官がミサイル防衛を強力に推進する。わが国でも北朝鮮のミサイル発射や核実験に対する国民世論の沸騰を奇貨として、それに便乗する人々が多くなる。

そう言った中で、防衛省を牛耳った腐敗の権化である守屋前事務次官が強力に推進して配備を決定したのが「ミサイル防衛システム」であり、この巨費を要し、東アジアの核戦略にも微妙、というよりは、はっきり言って核軍備競争を激化させる要因となるシステムの現場を、どういう人々が運用することになつているかと言えば、今回の艦長だの見張り役だのといった人々と同じような人々なのだ。あたごがその尖兵であることは、広く報じられているとおりである。

「全ては艦長である私の責任です」と短いセンテンスで言い切れないエリート自衛官を見て多くの人が感じたと思うが、安倍晋三氏、衛藤征四郎氏あたりが鉦と太鼓で実現した「防衛庁の省昇格」など、きわめてナンセンスなことだった。

もうひとつ言えば、人命が失われた大事件だが、マスコミがこの事件を熱心に報道する一方で、たしかイラク戦争の際、海上自衛隊の幹部自衛官が、大臣にも内閣にも指示を受けていないのに、勝手に米海軍に連絡して「空母の出港時に、海上自衛隊のイージス艦が護衛に当たるよう、米海軍の方から要請してほしい」と頼み込んだといった話にはほとんど反応しなかったのは困ったことだ。

こういう軍人の政治的な動きは、軍艦の操船ミスによる事故などよりも国家の運命に悪影響を与える。

真珠湾攻撃の航空艦隊司令長官の南雲忠一という軍人がいる。この人は「日米交渉妥結の時は断固引き返すべし」という山本五十六連合艦隊司令長官に、「引き返せるわけがない」とタテつく一方で、第二次攻撃を見合わせて米軍の石油備蓄を温存させ、空母を撃ち漏らしている。ミッドウェーでは艦載機を「直ちに発進させるべし」という山口多聞少将の進言を退けて爆弾を魚雷に再びつけかえる作業をさせて大敗を招いた。

しかし森田は、南雲の大罪はそういった軍事面での無能以上に、元老東郷平八郎元帥まで担ぎ出してのロンドン軍縮条約反対運動の先頭に立って旗を振り、日本を愚かな戦争の路線を歩ませるお先棒をかついだことにあると考えている。この点で南雲が断罪されたことはないわけだが、同じようなことがいま繰り返されていないか、われわれは目を光らせる必要がある。

「ミサイル防衛システム」の洗い直し。イージス艦事故をきっかけとしてやるべき仕事の一番であると考える。

それにしても「亡国のイージス」という小説のタイトルを考えた作家は優れた時代感覚をしていると思う。

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2008年1月11日 (金)

テロ特措法、衆院再議決=「恒久法」?まさか国会の事前承認を外すつもりじゃないだろうな=

インド洋で米艦などに無料で給油を再び行う法案が、午前の参院本会議で否決され、午後の衆院本会議で自民党、公明党の与党などにより、3分の2の多数によって再議決されることになった。

憲法に定める手続きに則ったことであり、再議決自体はやむを得ない。しかし、中身について考えると、こんなことのために「衆院3分の2による再議決」を使うのは、権力の濫用ないしは段取り能力欠如の露呈としかいいようがない。

正月のNHKラジオで寺島実郎氏が、最近訪れたワシントンで、日本と直接関わるセクションにいないアメリカの外交官や、ビジネスマンと話した際に、テロ特措法の話をすると「何のこと?」という反応で、事実関係を説明すると「それで、給油活動には何の意味があるの?」という反応だったそうだ。

外務省や、アメリカの「日本屋」の話だけ聞いていると、安倍前首相ではないが現実離れした話を信じてしまうことになりかねない例だと思う。

「再議決」の前から、政府与党首脳レベルの「だから(自衛隊海外派遣の)『恒久法』が必要だ」という発言がニュースで報じられている。まさか今回「再議決」する法案みたいに、国会承認の手続きを外すつもりはないと信じたいが、そこは一番肝心なポイントとして注視したい。

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2008年1月 9日 (水)

カムバック果たしたヒラリー候補

米大統領選のニューハンプシャー州予備選で、民主党のヒラリー候補がアイオワの敗北からカムバック、「よもやの脱落か」から態勢を立て直し、「ヒラリー、オバマ2強」という情勢に持ち直した。

昨年初夏からのオバマ旋風を、民主党寄りのアナリストたちは「強い対抗馬が現れたことで、戦いを通じヒラリー候補が、本戦に向けてより強い候補になる」と歓迎していたが、最近のウィンフリー熱からアイオワの勝利にかけては「お灸が効きすぎている」感じだった。

オバマ候補の理想主義的な外交論は魅力的だ。もし大統領になればアメリカが変わり、世界が変わるだろう。でも、ブッシュ側近のローブ氏がオバマ氏に「ヒラリーを負かすには」というアドバイスを与えるコラムを発表したといった話を聞くと、彼などは「困難だけれども、本選挙でもし共和党が勝つ目があるとすれば、それは民主党候補が『アフリカ系』で『父親はイスラム教徒』のオバマ氏になった場合」と読んでいても不思議ではない。

とにかく、本選挙で民主党に勝ってもらわなければ困る。幸い、ヒラリー候補も、オバマ候補も、貧困層の立場にいちばん寄り添い、貪欲な大企業やロビイストたちと戦う姿勢を明確にしているエドワーズ候補も、三人ともいい候補だ。仮に3人とも断念に追い込まれる事態になっても、アル・ゴアという最強のスペアーが控えている。リタイアするであろうバイデン候補、リチャードソン候補(ヒスパニック系)も、良い国務長官、副大統領候補になるだろう。

共和党はロムニー候補はモルモン教、ハッカビーでは建国の父たちの教えに背いて神権政治になってしまう。トンプソンも箸にも棒にもかからないということで、宗教色の薄い安保の専門家であるマケイン氏が相対的に浮上しているが、決め手に欠けるようだ。

さあ、いずれにせよアメリカは変わる。われわれも、ちゃんと準備しなければならない。

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2007年12月21日 (金)

平安時代、藤原仲成処刑以来350年近く死刑を停止したわが国の朝廷=『毎日』コラム「余録」より=

学生時代、大学にアムネスティー・インターナショナルのグループを作りたいという友人に誘われて参画した。アムネスティーが「良心の囚人」とよぶ、世間で言う政治犯の釈放に当局への書簡送付などソフトな「直接行動」を粘り強く進める団体の趣旨に強い共感を覚えたが、当時は「死刑廃止」の主張には違和感を覚えた。

フランス革命で大量殺人を犯し、奴隷の売買や虐待について明確な謝罪をしていないヨーロッパ諸国が死刑廃止を訴えることに偽善を感じる人も多いだろう。

しかし、死刑の実情についての新聞記事を読み、9・11同時多発テロの際に、報復の連鎖を避けるべきというヨハネ・パウロ二世の言葉に共感し、今もイラクなど世界の現状にその言葉の正しさを日々感じている自分としては、「人類には、死刑を正当化している原始的な段階に止まる人類と、死刑を止めたより進歩した人類の二種類がある」と考えるようになっている。

アメリカでは、1970年代の最高裁判例変更で多くの州で復活した死刑が、最近のニューハンプシャーのように一部の州で再び廃止される動きがあるという。あのアメリカでも、州によっては死刑を廃止しているのだ。日本は、それでも中国やイスラム圏と同様に死刑制度を続けるのか。

そんなことを考えていたら、毎日新聞の12月20日付のコラム「余録」で興味深い事実を知った。保元の乱で藤原信西が復活させるまでの平安時代、天皇家25代、350年近く、わが国では死刑が停止されていたというのだ。余録子も言っているが、こんな例は世界にもまれだろう。仏教思想の影響が指摘されるが、とにかく「死刑廃止」はわが国と天皇家の、世界に誇るべき伝統なのだ。

「死刑」を続けるのか。それは、われわれがこれからどのような社会を作っていくのかという大議論の中にしっかり位置づけ、タブーとせずに議論していくべきだと思う。

【以下は、12月12付『毎日新聞』コラム「余録」の写しです】

余録:死刑停止

 「死罪を行えば海内(かいだい)に謀反(むほん)の輩(ともがら)たえず」は「平家物語」の平重盛の言葉だ。保元の乱の際、天皇家25代にわたって長らく行われなかった死罪を藤原信西(しんぜい)が復活させたのを批判する。清盛に死罪を思いとどまらせるためだ▲信西は後の平治の乱ではその報復を受けることになった。重盛はそこで仏教的な因果応報を説くのである。実際に朝廷は810年の藤原仲成(なかなり)の処刑以来、350年近くにわたって死刑判決があれば減刑し、事実上死刑は廃止されていた▲背景には仏教思想があったものの、たとえ仏教国であれ何であれ、こんな長期にわたり死刑を停止した例は世界でもあまりないだろう。その復活をもたらしたのは武家の台頭で、それから850年もたてば日本も世界もまるで様変わりする▲国連総会は死刑執行の一時停止を加盟国に求める決議案を賛成104カ国で採択した。ここでの日本は米国や中国など53カ国とともに反対票を投じ、棄権は韓国など29カ国である。決議の背景には、死刑廃止にむけた国際的圧力を強める欧州連合(EU)などの働きかけがある▲「死刑停止」といわれても、昨今の凶悪犯罪の冷血、被害者遺族の無念を目の当たりにすれば、とても受け入れられないという方が多かろう。ただ凶悪犯罪は日本だけでないのに、この30年間で一挙に100カ国以上も増えた死刑廃止・停止国である。その経験や、掲げる価値を踏まえた論議はもっとあっていいように思える▲裁判員制度では市民が死刑判決にかかわる局面が生まれる。死刑の現実を見つめ、人間の罪と罰をめぐる深みのある考察が求められる今だ。平安時代ほどの論争もない方がおかしい。

毎日新聞 2007年12月20日 0時01分

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2007年11月21日 (水)

1999年のハリケーン「フロイド」=2005年の「カトリーナ」との対比で=

阪神大震災の「周年もの」などのテレビ番組のVTRテープを整理していたら、1999年にNHKスペシャル「世紀を超えて」の危機管理を取りあげた第3シリーズ初回に放送された「巨大ハリケーン」のエピソードが目にとまった。

2005年のカトリーナが、ニューオーリンズに巨大な被害をもたらしたことは記憶に新しい。、その時にテキサス州の牧場での休暇から動かなかったブッシュ大統領の初動の悪さ、クリントン政権下でアメリカの機動的な災害対策の中核を担っていた緊急援助庁(FEMA)が、ブッシュ政権によりテロ対策のためと称して新設された「国家安全保障省」に吸収合併され権限が縮小されていたこと、またそのトップに選挙の論功行賞で無能な人物を起用されていたため機能しなかったことで被害が拡大したと言われた。こういう時に役立つ州兵も、人員の3分の1、機材の多くがイラクに派遣されていて力を発揮できなかったとも指摘された。こういったことは、2006年中間選挙での共和党敗北の一因ともなったわけである。

ハリケーン「フロイド」を取りあげたこの番組は、カトリーナの6年前、9・11同時多発テロよりも2年前に放送されたものだが、松平アナのナレーションにより、核軍備の予算を削って消防署に救助チームを配備を主導するなどした当時のFEMAが中心になり、フロイド接近に対し避難命令の対象とした60万人を含め、300万人の避難を実現して犠牲者を最小限に押さえ込んだ様子を紹介していたのを見ると、本当に9・11テロとブッシュ政権がアメリカと世界を大きく狂わせてしまったと実感する。

もっとも、わが国の場合も阪神大震災後、かつてのFEMAを参考に設けられた内閣の「危機管理監」というポストも、各省庁への指揮権がないなど、体制整備も中途半端に終わっている。

そろそろ、阪神大震災も「のど元過ぎて」という時期を迎えているのかも知れないが、こういう平時にこそ、家族同士の安否確認の方法についての再確認、「古い住宅の耐震強化推進」、「緊急時の救援、医療体制の確認」、「災害時のトイレ・水の確保についての進捗状況の確認」などに取り組みたいと思う。

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2007年11月20日 (火)

調査捕鯨に欧米の批判=ロジカルな発信が必要=

わが国の調査捕鯨について、欧米の批判が強い。CNNの日系人元アンカー、サチ・コト氏が日本のイメージを最も損なったニュースとして安倍晋三氏の政権投げだしと、迷い込んだクジラを助けられず、肉を売るために解体している映像を挙げたことを書いたが、アメリカ国務省のスポークスマンが記者会見で「自制」を促し、オーストラリアは労働党が政権をとったら、海軍の艦艇を派遣して捕鯨を阻止するという話も出ているという。

捕鯨継続が日本の死活問題だとは思わないが、例えば幕末にアメリカが日本に開国を迫った口実が捕鯨船への薪水の供給であり、かつてアメリカをはじめとする国々が、照明用の油をとるためにクジラを乱獲し、資源の枯渇を招いたといった歴史的ないきさつを考えるにつけても、そのアメリカに「捕鯨などとんでもない」と言われると、やれやれ、と思わざるを得ない。

動物虐待は良いことではない。しかし、牛を殺すのは良くて、クジラを殺すのは聖書に書いてあるからダメで、日本人は野蛮だというのでは、一種の人種偏見と言わざるを得ない。

もっとも、ここで感情的な反発を内向させて黙り込んでしまっては、誤解を増幅させるばかりだ。ロジカルに説得する努力を放棄して、既成事実だけを積み上げていこうとする発想は、満州事変後のやり方と同じになってしまう。

ここは、一部クジラの生息数回復が漁業資源の脅威になっているなどの科学的データを、日本政府として国民や海外メディアにいちだんと分かりやすい形で示していく、冷静な作業が必要になるだろう。相手が無茶を言っているにしても、「問答無用」スタイルではなく、親切な説明と対話の路線をとるべきだ。

それにしても、日本と同様に「死刑」を廃止せずに処刑を続け、イラクで何十万人もの人間がテロで殺されるような状況を作っておいて「日本の捕鯨は野蛮だ」などと、本当に暢気なことだ。

そうそう、オーストラリアとは非常に良い関係を構築したらしい安倍晋三前首相には、できるだけ早くオーストラリアに特使で出てもらって、この件で日豪摩擦を火種のうちにしっかり消してきてもらいたい。安倍氏でもひょっとしたらその程度なら日本国民の役に立てるのではないか。

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2007年11月16日 (金)

元米国防省高官、ジェームズ・アワー氏=守屋前防衛事務次官の証人喚問で額賀・久間両氏とともに名前が出た産経新聞「正論」常連=

昨日の参院外交防衛委員会での証人喚問で、守屋前防衛事務次官が「久間・額賀氏が同席」と名前を出したのは、「それ以外の人は名前を出されたくなければおとなしくしてろよ」という恫喝だと思うが、産経新聞「正論」常連の元米国防省高官であるジェームズ・アワー氏の名前も出ていた。

元高官といっても、たしかレーガン政権の頃の話しで、産経新聞くらいしか相手にしない小物なので、わざわざ言及するのもやや気が引けるが、日頃もっともらしく、安倍晋三前内閣と足並みを揃えて「日本が国際社会から信頼されるためには、米同盟を強化する必要があり、集団自衛権についての憲法解釈を変える必要がある」「いざという時のフィリピン上空くらいまでの制空権確保は、日本の航空自衛隊が担当すべきだ」といった意見を発表していたと思う。

防衛調達をめぐる胡散臭い会合に出ていたと国会証言で聞いて、なるほどああいった意見は、自分の商売、コンサルタント業のための発言だったということがよくわかる。軍備拡張を煽る発言には気をつけろ。その陰には死の商人と、そこに群がる日米のゴキブリのような元政府高官たちが大勢いるのだ。

総理大臣の靖国神社参拝問題や、北朝鮮の拉致問題、従軍慰安婦問題などで愛国新聞を気取っている『産経新聞』も、こういったアメリカの軍産複合体の手先には、大きな発言席を用意している。同じ穴のムジナということだろうが、この面では「売国新聞」と言うべきである。

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2007年11月15日 (木)

衆参「ねじれ」現象に関する一考察=選挙によらない性急な「解消」より積極的な側面に目を=

はじめに

 最近、福田総理が民主党の小沢一郎代表との党首会談で、いわゆる「大連立」提案し、それを党に持ち帰った小沢代表が、党内の賛成を得られずにいったんは「辞意」を表明するという騒動がありました。これはそもそも、衆議院では自民党・公明党の連立与党が3分の2の議席をもっている一方で、参議院では与党が過半数割れを起こしているという、いわゆる「ねじれ現象」を解消することを目的とした動きです。

 ここでは、そのいわゆる「ねじれ現象」について、そのことが持つ意味、諸外国や過去の事例と比べてどうかといった点、また、この「現象」は果たしてただ「困ったこと」なのか、それとも積極的な側面にも光を当てるべきなのかについて少しお話ししたいと思います。

1.「ねじれ」諸外国の例 =大統領制= 

 「ねじれ」といってすぐ思い浮かぶのは、共和党のブッシュ大統領が行政府を押さえる一方で、上院は僅差とはいえ、昨年の中間選挙で「野党」民主党が上下両院を制したアメリカの例です。民主党が「野党」と申し上げましたが、かなりの程度厳密な「三権分立」の制度をとっているアメリカでは、「法律」や「予算」はあくまでも「議会」が作るものなので、「議会では民主党が与党」と言った方がより正確なのかも知れません。

 もちろん、予算も法律も議会が権限を持つと言っても、大統領には憲法上「拒否権」が付与されており、例えば「イラク撤退法案」とか、「イラク駐留予算を含まない補正予算」といったものを議会が可決しても、大統領は拒否権で対抗できるので、「大統領が拒否権を行使した」「それに対して、議会は少し内容を変えた補正予算をもう一回議決した」「大統領がまた拒否権行使」といった応酬が起こるわけです。

 大統領の姿勢が頑なな時は、議会が折れない限りそれがエンドレスに続いてしまうことになり、議会民主党指導部としては、有権者から「統治能力」を疑われないためにも、また時にはアメリカが国際社会に負っている責任といった観点から、ある程度のところで妥協しなければなりません。

 私は、今のアメリカ議会のペロシ議長以下の民主党指導部は、いいところで妥協していると思いますが、しかし、「妥協」は今度、民主党支持層の中の強硬派といいますか、左派といいますか、そういう勢力の反発や失望を招くことも避けられず、現に、世論調査ではいまのアメリカ議会に対する支持率は、ブッシュ大統領の支持率とどっこいどっこいの低支持率になっています。

 さらに、アメリカの場合は議員の独立性が強く、例えばブッシュ大統領は移民規制については、やや移民に対して柔軟な法案を、民主党リベラル派のエドワード・ケネディー上院議員らと一緒になって作って推進しようとしたものの、民主・共和両党の強硬派の抵抗にあって法案成立に失敗しました。つまり、「大統領府と議会のねじれ」以前に、議会内の「まだら模様」で話しはより複雑なわけです。

 やはりよく知られるように、フランスにおいても大統領と議会多数派の「ねじれ」はしばしば起こります。社会党のミッテラン大統領の下で、保守系のシラク首相の内閣が国政を担当したり、逆に保守のシラク大統領の下で、社会党のジョスパン政権が国政を担当するという姿をわれわれは見てきました。

 ただし、フランスの場合は、アメリカのように「むずかしい」「ねじれている」という風にはなりません。これは、フランスの大統領は外交・安全保障を統括するものの、憲法上の議会に対する立場はアメリカのように強力なものではなく、内政については事実上、内閣と議会に権限があるという制度上の違いがあるからだそうです。政治学者によっては、「フランスの大統領制は、事実上、議院内閣制に近い」という言い方をする人もあるようです。

 ドイツやイタリアにも大統領がいるわけですが、それぞれ憲法上の権限はフランス大統領よりも弱く、しかも直接選挙ではなくて、国民議会や下院に比べて権限の弱い「上院」が選出するということもあって、「ねじれ」が起こることが少ない上に、「ねじれ」が起きても問題は小さいわけです。

2.「ねじれ」諸外国の例 =国連、議院内閣制=

 国連も「ねじれ」の例として挙げられるかも知れません。国連の意思決定機関は総会ですが、よく知られる通り、安全保障に関わる問題については安全保障理事会が絶大な権限を持っているので、ここにねじれ現象が生じることがあります。

 そもそも、国連が出来た時からの「パレスチナ」「イスラエル」問題について、総会は「イスラエルの1967年の占領地から撤退」を決議しているのに、安保理で拒否権を持つアメリカがイスラエル寄りの姿勢を貫いて実力行使を阻んでいるため、問題は結局未解決のままであり、世界の最大の不安定要因でありつづけています。

 国会の多数派が内閣を構成する「議院内閣制」の国々では、ねじれといったことが問題になることはめったにありません。そもそも、ねじれがおこらないように内閣を構成することが基本だからです。

 ただし、同じ大統領制でもアメリカとフランスで、それぞれの大統領の憲法上の権限の違いによって「ねじれ」が起こったときの「こじれ方」が違うように、議院内閣制の国々おいても、例えば憲法上の「第二院」の第一院に対する権限の強弱によって状況は大きく異なってくることがわかると思います。

 端的に言って、日本国憲法においては、予算や首班指名については衆院の優越が定められているものの、「一般の法案について参議院の権限が極めて強い」ということが国際比較の上で言えるわけです。もちろん、このルールで60年やってきて、7月の選挙もそのルールに則って民意が示されたわけですから、今になって急に「参議院の権限が強すぎる」と言い始めるのはフェアーではないかもしれません。しかし、日本国憲法の制定過程を見ても、GHQが示した憲法「草案」は一院制だったにも関わらず、日本政府・国会が今の制度をバタバタと決めたいきさつがあり、よりよい制度設計について考えることは、国会にとっていつでも検討課題であるということは言えると思います。

3.「ねじれ」を活かす

 「大連立」が自民党にとって都合がいいというのは事実でしょう。しかし、本来は「民意の反映を第一義に政策協議を積み重ねて内閣を構成することで、結果としてねじれを生じないようにする」というのがスジで、「今の権力を握り続けるために」「いまのやり方や政策を変えないために」ということを優先して、ねじれの方をむりやりに解消してしまうというのは、「国民の選択」と「議会政治」のフィードバックを考えたときには本末転倒と言わなければならないと思います。

 これは私自身の考えであり、皆さんそれぞれのお考えがあるかも知れませんが、私はまず、政府・与党が予算や法案を作るときに、参議院の構成という「現実」を出発点に、できるだけ提出前に「自公連立与党」以外の党派の意見をいろいろな方法で聞いて、あらかじめ歩み寄ったものにして出すということが必要ではないかと思います。選挙向けのパフォーマンスという点からは、別の考え方があるのかもしれませんが、「現実主義」に立って国民のための政策を実現するにはそれしか方法がないでしょう。

 さらに、政策協議と称して一部の党派とだけ密室協議するやり方よりも、国会審議の場でオープンな主張のぶつけ合い、妥協を図っていくということが必要であり、有意義になってくるのではないでしょうか。

 これまでの政策決定過程は、与党の党内審議で、各省庁とのすりあわせや民意の反映は一応終わったものとし、国会に提出された予算や法案は「行政府と与党の完成した共同作品」であるという仮定の下に、国会は言ってみればその完成品を認めるか、認めないかスタンプを押す、というだけの作業になっていると言うことができるかもしれません。

 日本国憲法の制定過程で、芦田小委員長の下、委員の腹蔵ないやりとりで条文が練られていったように、「国会」が予算や法律を平場で練り上げていく。危なっかしいと思う人はいるかもしれませんし、特に国会や政治家をコントロール下においておきたいお役人たちは「絶対に勘弁してくれ」ということかもしれませんが、私は書生論かもしれないけれども、議会制民主主義とは本来そういうものではないかと考えるわけです。

しめくくり

 安倍前首相の当事者能力の欠如が招いた参院選大惨敗により、今日の状況が生まれたわけですが、いわゆる「ねじれ」は、「大連立」といったことで無理やり解消すべき困った事態ではなく、国会審議の活性化による民主政治発展のチャンスだという側面があるのではないか。いささか突飛かも知れませんが、そんなことを思う今日この頃であります。

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2007年11月14日 (水)

新聞投書「日米で大違い 接待への姿勢」

【『朝日新聞』2007年11月8日付「声」欄に、愛知県安城市の無職、宮本光男さん 63歳の投書「日米で大違い 接待への姿勢」という投書が載っていた。広く読まれるべきと思い、以下にそのまま書き写します。】

 約20年前のことである。自動車メーカーで、発売前の新車の安全や排ガス関連の審査を担当していた。その時、国内審査では、運輸省の審査官の審査のあと、必ず有名料亭で飲食接待をした。高級クラブでの二次会もだが、審査官たちは当然のように受けて、断る人はいなかった。

 一方、来日した米国環境保護庁の審査官は、規則によりメーカーの人との飲食は1回のみ許されているとの理由で、他の接待は一切受けなかった。休日の京都や奈良への観光も、自分の分はきちっと払って帰国した。

 私が米国環境保護庁に出張した際、審査官たちは日本土産も法令で禁止されていると、一切受けとらなかった。日本と米国との接待に対する習慣の大きな違いを垣間見たような思いだった。

 今回、守屋前防衛事務次官の証人喚問のテレビ中継を見たが、「接待は受けて当然だ」というような態度は、役人根性丸出しで、今も昔も全然変わっていないと実感した。

 接待地獄に陥っている日本の役人が、米国の役人のようなすがすがしさを身につけて欲しいと思うのは私だけだろうか。

【森田付記】何でもアメリカのことをありがたがるつもりは毛頭無いが、良いことはどんどん真似たらいい。韓国の学者から聞いた話しだが、民主党の岡田克也前党首は、韓国の団体が韓国の要人などとのアポイントを整えた旅行に招待しても、旅費もホテル代も必ず自己負担して帰るそうだ。総理就任前の安倍晋三氏は対照的にすんなり丸抱えで招待されたらしいが。

そもそもカルチャーを変えなきゃダメなので、小中学校の教育指導要領を改訂して、「役人はたかったり、盗んではダメ」ということを義務教育で叩き込むべきだ。文部科学省は教科書に「沖縄の集団自決は軍の命令でない」などと書かせるよりやることがある。

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2007年11月 9日 (金)

ひろいもののテレビドラマ「ジュリアス・シーザー」(2002年、米など)

世界史を勉強中の高2の息子と、NHKスペシャル「ローマ」3回、同ハイビジョンスペシャル「ローマ皇帝の歩いた道」2回のうち前編を見たところ、息子が「シーザーの扱いが軽いな」と言うので、たしか正月にTBSが放送した米伊など合作のテレビドラマで未見だった『ジュリアス・シーザー』の録画テープを引っ張り出して見た。これが拾いものだった。夜中の放送で、見た人も少ないだろうから、NHK-BSでも放送した方がいいのではないだろうか。

スッラのクーデターで生命の危機にさらされ、逃亡途中で海賊に捕まるエピソードのあたりから、暗殺までを描いているが、ジェレミー・シストという線の細めな俳優がシーザーを演じていることもあり、塩野七海さんの『ローマ人物語』によって語っている、型どおりの英雄豪傑ではなくちょっとインチキ臭い、しかし人間的な魅力と胆力のあるシーザー像と一致している。

ブルガリアでロケしたというガリア遠征の合戦シーンもなかなかの迫力で、エジプトの宰相がポンペイウスを暗殺する場面のおどろおどろしさ、自決するカトーと、葬儀の主催を申し出るシーザーに対しカトーの息子が示した威厳ある態度もよい。一方、シーザーの娘ジュリアとギリシァ人奴隷家庭教師の心の触れあい、その家庭教師が奴隷反乱に参加して捕らわれ、ジュリアの救済を断って仲間と共に処刑されることを選ぶ場面など、なかなか心を打つ。

シーザー暗殺の場面で終わるので、シェークスピア劇では見せ場であるアントニーのシーザー追悼演説、あの「ブルータスは高潔な人物である」で始まり、表面上はブルータスらを持ち上げながら、演説を聴いたローマ市民が「シーザー暗殺は間違いではなかったか?」と局面を転換するに至る弁舌の場面はない。しかし、脚本がよく工夫していて、男前の若手俳優が演じるアントニーが、ルビコンを渡る前のシーザーから元老院に先乗りを命じられ、公衆にシーザーの立場を代弁する演説をして喝采を受ける場面が描かれていた。

アメリカの脚本家組合が大規模なストライキをやっているというニュースが伝えられているが、このドラマを見て、アメリカの脚本家の力もたいしたものだと改めて思った。

それにしても、日本政治にはシーザーのような人間力、アントニーのような弁舌力をもって局面を転換するような人材が「平民派」の方から出ないものか。右の方は「小泉マジック」を繰り出して、後継の安倍氏が凡庸すぎた故に今は後遺症に悩んでいるわけだが。

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2007年10月26日 (金)

対イラン開戦を決して「支持」してはならない

アメリカが対イラン単独制裁を打ち出し、アメリカ国内にも対イラン開戦を危惧する声が高まっているという。結論から先に言うが、もしアメリカが対イラン開戦に踏み切るとしても、日本政府は決してこれに「支持表明」をすべきでないと思う。

先日、『硫黄島からの手紙』の脚本家、アイリス・ヤマシタ氏が発言したパネルディスカッションを見に行った話しを書いたが、そこで元CNNのアンカー・パーソンで、PR会社を経営しているサチ・コト氏が、近年のアメリカメディアにおける対日イメージを良くした事例の一つとして、小泉首相(当時)が対イラク開戦に直ちに支持表明したことを挙げ「本当に素晴らしかった」と言っていたが、あれは結局アメリカの誤った政策を後押ししただけのことであり、日本はこれまで中東においてなんとか守ってきた「平和国家」のイメージを失った。

そうした政治的資源の損耗と引き替えに何を得たのか? 対北朝鮮政策で「拉致問題解決なくしてテロ国家指定を解除すべきでない」という日本の立場を尊重してもらえたのか? 結局は小泉氏が個人的にご褒美としてエアフォースワンでプレスリーの屋敷に連れて行ってもらってチャラにされてしまっているのではないか。

冗談はともかく、わが国は国際紛争解決の手段としての戦争を自ら禁じており、それは「良くないこと」だからそうしているのだから、日本国憲法が他国を制約するものではないけれども、自分は良くないこととして自ら禁じていることを、他国が行うことだからと言って「支持」するというのは、ロジカルでない。

それでは日米関係が危うくなる? いや、それは小泉内閣や安倍内閣、あるいは谷地事務次官や加藤駐米大使が、憲法や平和を大切にしようという気持を持つ多くの日本国民の気持ちを無視して「もっとやります」「私の力でもっとお手伝いするようにします」と対米忠誠競争を繰り広げた結果である。彼らが、現実離れした「期待感」をアメリカに植え付けてしまったのが原因なのだ。

最近、正体を現してきたシーファー大使や、アーミテージ氏はキーキー言ってくるだろう。民主党政権で日米関係を仕切ろうとしているキャンベル氏も、アメリカ政界で自分の日本に対するコントロール力を誇示するために、ハードラインで来るだろう。日本国内にも中曽根康弘氏や外務省、防衛省のある種の連中、自民党の中谷元、民主党の前原元代表らのようにそれに呼応する人々も出るだろう。

「過剰な忠誠競争」でなく、「リアリズム」に基づいて日米関係を考えれば、ベトナム戦争やイラク戦争同様、日本の基地を事実上の後方基地として、ほとんど無制限に使わせるということについて、将来はともかく、今回から急に安保条約に基づく事前協議を求めるといったことが適当かどうかは、慎重に考慮していいだろう。イランとの間で、新たなビジネスを進めるといったことは、凍結も検討すべきかもしれない。

しかし、そこまででいい。「戦争で国際紛争を解決するのを手伝うのは、わが国の原則と違う」と言うべきだし、実際問題として考えても「アフガニスタンでもイラクでも、お店だけ広げてしまって収拾つかなくなっているじゃないですか」と言うべきだ。

日本の「筋」を通す上でそうだし、アメリカ国民にもいろいろな人がいるのだから、チェイニーやアーミテージといった人々だけにシッポを振っていては、この先困ったことになるかもしれないというリアリズムも持つべきだ。

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2007年10月17日 (水)

ヒラリー・クリントン候補のCTBT(全面核実験禁止条約)批准公約を熱烈歓迎する

来年の米大統領選に出馬を表明しているヒラリー・クリントン上院議員が、「フォーリンアフェアーズ」誌電子版に初めて包括的な外交政策を発表したそうだ。そこに毎日新聞の及川ワシントン特派員による記事によると、「全面核実験禁止条約の批准」も公約にすると書かれているという。大歓迎だ。

ゴア副大統領(当時)をブッシュ大統領が僅差で破り、さらに9・11からイラク戦争までの世界政治の「大逆流」が発生し=そのことを一部アメリカ人や尻馬に乗る日本のメディアは「世界は変わった」などと言っていたが=、「ゴア氏が京都に乗り込んで決めた温暖化対策」や、「ビル・クリントン大統領が世界の首脳に先駆けて署名した全面核実験禁止条約」が皆ホゴにされていたのが、昨年秋の米議会中間選までのアメリカと世界の大きな流れだった。

「温暖化」の方は、バイオエネルギーが票やカネになるのだろう、今年になってブッシュ大統領以下アメリカ政府が「6年間」の無視から一転して積極的になり、日本の外務省や安倍首相もそれまでは全く本気の関心を示さなかったのに、アメリカ様がご意向を変えたので、慌てて来年日本で開催のG8サミットの主要議題だ、日本がリーダーシップをとるなどと騒ぎ出している。

2005年春にニューヨークで開かれた核拡散防止条約再検討会議は、一方では「核開発の権利」ばかり言い募るイランやエジプト、他方はCTBTなどに見向きもしないアメリカの対立で、何の成果も生まずに終わってしまった。

もう開発されてから60年にもなる「核兵器」という古くて巨大な破壊力について、人類の政府組織は安定感のある管理を実現していない。通常兵器の命中精度の向上などにより、やろうとすることに比べて「核爆発」など「何の意味もない」という声は、アメリカの安全保障専門家の間にも聞こえるのである。

北朝鮮やイランは、核不拡散体制を尊重し核兵器やその開発は放棄すべきだが、ブッシュ政権のように「お前たちは核を持つな」という一方で、核不拡散条約で約束した核軍縮に向けての努力については知らんぷりということでは、話しに説得力がない。

アメリカがクリントン政権時代に立ち戻って、包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准するというのであれば、それは正しい方向への明確な転換になる。アメリカの次期大統領には、ぜひこのような考え方の人になってほしい。日本政府も、ブッシュ様が「苦しうない」と言う温暖化問題だけでなく、広島・長崎で核攻撃を体験した国家として、再び核軍縮に向けて力を注ぐべきだ。

漏れ聞くところでは、G8サミットの同じ年の秋に、同じ国で開かれることが恒例になっている「G8下院議長会議」について、河野洋平衆院議長は広島開催を関係各国などに打診しているという。成否は定かではないし、来年秋までには総選挙で議長も交代している可能性が高いが、次期議長もこのアイデアは継承してほしいと思う。また、9月のベルリンでの会談で広島開催に賛意を示したというペロシ米下院議長は、実際には11月の大統領選を控えて来日が難しいかもしれないが、その場合は、別の時期に単独で来てもらって、日本の議長が広島、長崎に案内するのがいいと思う。

それを「初の女性大統領誕生」→「アメリカ大統領初の広島・長崎訪問」につなげることができれば、日米の本当の絆を強め、核兵器のない北東アジアに向けての強いメッセージを発信することができるだろう。

【以下は毎日新聞記事のコピー】

アメリカの選択:’08大統領選 ヒラリー氏「就任後60日以内にイラク撤退開始」
◇CTBT批准も--ヒラリー氏、就任後公約

 【ワシントン及川正也】08年米大統領選で民主党有力候補のヒラリー・クリントン上院議員は、外交誌「フォーリン・アフェアーズ」11・12月号(電子版)に包括的な外交政策を発表した。当選を果たせば、就任後60日以内にイラク駐留米軍の撤退を開始する方針を表明。また、核不拡散政策の柱として核実験全面禁止条約(CTBT)への批准も公約とした。

 クリントン氏は「イラク戦争は米軍の能力を弱め、装備を消耗させた。アフガニスタンへの注意をそらし、同盟国を遠ざけ、米国民を分断した。戦争終結が米国の指導力を回復する第一歩になる」とブッシュ政権のイラク政策を批判した。

 現在16万人規模のイラク駐留米軍のうち、対テロ戦で緊急展開が可能な特殊部隊を除き、戦闘部隊(陸軍旅団)と支援部隊のほとんどを段階的に撤退させる方針で、これに代わってイランやシリアを含めた外交的手段による地域安定化を進める。また、アフガニスタンでの国際テロ組織アルカイダや旧支配勢力タリバンに対する軍事作戦を強化する意向を表明した。

 イランについてはウラン濃縮活動停止を求め、「国際社会の意思に従わなければ、すべての選択肢を俎上(そじょう)に載せる」として、武力行使を否定しなかった。北朝鮮問題では「国務省の外交的努力で遅ればせながら進展を見せている」と言及した。

 また「中国との関係は今世紀、世界で最も重要な2国間関係になるだろう」とし、米国が中国の経済的台頭に備える一方、将来の協力関係構築を目指すべきだと指摘した。インドとの関係強化の必要性も強調し「オーストラリア、インド、日本と対テロ戦争や地球温暖化などの問題で新たな協力関係を構築しなければならない」としている。

毎日新聞 2007年10月16日 東京夕刊

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2007年10月12日 (金)

アイリス・ヤマシタさんが「合作映画」の勧め

クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』の脚本を担当した日系米国人であるアイリス・ヤマシタ氏がパネラーとして参加した「変わりゆく日本のイメージ?-米メディア界で活躍する日系人の見方」という公開シンポジウムを見に行った(10月11日、経団連ホール)

ヤマシタ氏は20世紀のアメリカの映画を含むメディアにおける日本人のイメージの変遷について資料を用いて紹介したが、一般のアメリカ人に日本人や日本文化についての理解を進めるための方策として「合作映画」を作ることを推奨していた。

『硫黄島からの手紙』は第一稿が採用になったという裏話はヤマシタ氏の実力を裏付けるものだったが、初めから「日本人俳優を起用し、日本語で撮影する」というコンセプトを採用していたこの映画が、当初は監督も日本人起用を考えていたのに対し、ヤマシタ氏が「それではほとんど日本映画になってしまう」とアメリカ人監督の起用を主張、イーストウッド氏がメガホンをとることになったという。

たしかに『硫黄島からの手紙』は、「お互い同じ人間で、違うところもあるけれども生活感情はじめ共通することの方が多い」というメッセージを強く発していた良い映画だったと思う。ヤマシタ氏によれば1969年の日米合作映画『トラ・トラ・トラ』でさえ、日本人理解に大いにプラスになったという。そういえば、コックの渥美清が軍艦の厨房で松山省二と日付変更線越えについて論議をしていて「昨日の弾が今日の敵に当たるはずないじゃないか」と言っていた場面など、アメリカ人には受けたのかなとふと思った。

「合作の推進」を国際理解推進の方策とするという提案はたいへん前向きだと思う。そういえば中国残留婦人を取りあげた『純愛』という映画が、東京の若い女性たちに強く支持されたというニュースもあった。

いろいろな分野の映画で国際合作が進むと良いと思う。森田としては西木正明氏の『夢顔さんによろしく』や劇団四季の『異国の丘』の題材となった、1930年代にプリンストン大ゴルフ部キャプテンとして同大チームを全米優勝に導き、上海同文館では単身重慶に乗り込み和平工作に身を投じようとして日本陸軍に阻止され、ついにはシベリア抑留からの帰国直前に亡くなった近衛文麿首相の長男・文隆氏のストーリーなど、「日米中」、または「日米中ロ」合作で見てみたいと思う。

なお、他のパネラーからは「日本にはアジアの他の国との競争に負けてほしくない。世界市民になるためには、Engrish.com(English.comではなく)という日本人の英語の間違いを集めたWEBページにあるような、恥ずかしい英語のレベルを向上させてほしい。中国では小学校1年生から英語が必修だ」という趣旨の発言(サチ・コト氏)もあった。

それを聞いて森田は、それでは一生アメリカの後追いばかりだ。それよりも、アメリカで中国語を勉強する人も増えているので、日本人の必修外国語は「全員英語」ではなく、「3分の一は英語、3分の一は中国語、残り3分の一はスペイン語、アラビア語、韓国語など他の言語」にするといった思い切った手を打つことこそ、現実的な選択ではと思った。

安倍前首相の政権投げ出しも、われわれが想像する以上に日本のイメージを損なったらしいこともパネラーの発言から知ることができた。外務省なども良いところに気がついてこういった事業を後押ししていると思う。日本文化を内在的に理解している「日系人」との良い関係を結んでいければ、日本にとって大きな宝になるだろう。

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2007年10月10日 (水)

テロ対策特別法-「『後方支援』なら何やってもいい」「『国連』のお墨つきあれば何やってもいい」は共に誤り

衆院予算委の二日目の中継を少し見た。菅直人氏のテロ特措法についての追及はわかりやすかった。「インド洋で給油」と言うが、インド洋のアラビア半島寄りの部分は「アラビア海」とも言い、そこで日本の給油艦からアメリカの補給艦に燃料を補給し、その米補給艦が対イラク開戦に向かう米空母キティーホークに給油していたことがかなり強く印象づけられたと思う。

アメリカにいろいろ軍事活動を「手伝え」と言われる時に、「正面で鉄砲撃つわけにはいかないけれども、油の補給など後方支援なら」というのが日本政府がとってきた基本姿勢だろう。しかも「テロ特措法」は、「イラク戦争を批判したドイツ、フランス、カナダなども参加しているアフガニスタンでの活動」なのだからいいんだというわけだ。

ところが、どうも国民には見えないところでイラク戦争の手伝いもしていたということになると、国民としては「話が違うじゃないか」ということになる。

もっとも、小沢一郎党首が唱える「国連の活動に参加するということであれば、タリバン掃討など武力行使を伴う任務に日本が参加することは可能」という考え方にも、にわかには賛成できない。「海外で武力行使せず」が「日本国憲法第9条」のエッセンスであるというのが保守ハト派まで含めた多くの国民の共通理解であると考えるからだ。

侵略に対する正当防衛はともかく、後方支援とはいえ「武力行使」に荷担するのは、わが国の憲法の示す基本方向とは異なると思う。「油の補給なら安全だし、感謝されているからいいではないか」と言う人も多いが、それでは日本の国家としての筋が通らない。国連安保理の承認すらないアメリカのいわば「単独行動」であるならなおのことだ。他方、筋だけで考えて「国連のお墨付きのあるタリバン掃討に参加してもいい」というのも短絡だと思う。漱石の『草枕』の冒頭ではないが‥

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2007年10月 9日 (火)

映画「ラブソングができるまで」(MUSIC AND LYRICS)

DVDレンタル開始で再見。ヒュー・グラントが中年の元ポップスター、ドリュー・バリュモアが作家の卵という組み合わせで、「うた」づくりの楽屋を見せながら「前向きに楽しくやろう。でも、譲れない一線にはちょっとは勇気を出そう」といったメッセージをもった佳作。

あまり映画館に足を運ぶ方ではないが、5月の連休に出かけ、7月のアメリカ出張の全日空便でも往復見た。主役の二人がとにかくおかしく、周辺の登場人物も温かみとユーモアに溢れている。森田は映画の技法、文法には全く明るくないけれども、物語、対話がよどみなく流れていくことには、高度なテクニックの裏打ちがあるのだろう。

「音楽」と「詞」が主人公とあれば、作曲者と脚本家にとっても大きなチャレンジだったに違いない。笑い話に逃げる風を見せながら、きっと全力投球だっただろう。お薦めする私のレベルがわかってしまうことになるかも知れないけれども、騙されたと思ってぜひ一度ご覧下さい。

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2007年10月 3日 (水)

日米関係は「封建制」か

昨日、韓国ノムヒョン大統領平壌へ。今日、衆院代表質問始まる。

中央公論の「世界の歴史」の古い方のシリーズを読み始めたら「中国古代の周代は封建制か」という話しのところで「西洋で封建制というのは、君主と家臣のあいだは、家臣は忠誠を誓い、君主はその安全の保証、保護をあたえるという相互の個人的な契約の上に成り立っている」という記述を目にした(貝塚茂樹『世界の歴史1 古代文明の発見』中公文庫)。

主流派外務官僚やそれに連なる人々の行動パターンを振り返ると、これは今のアメリカと日本の関係のことではないかと思う。

冷徹な利害の分析から、これを継続するというのはひとつの選択肢だろう。しかし、知的怠惰から「忠誠を誓う」ことが自己目的化し、結局は国益を損なうことにならないか、道徳的な腐敗が起こっていないか。厳しく自ら律していくことが必要だと思う。

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2007年8月 9日 (木)

小沢党首対小池防衛相論争-日米関係の長期的な安定に資するのは小沢氏の立場だ

「イラク特措法」延長問題として語られている問題は、ひと言で言えば、アメリカなどの「対テロ戦争」をお手伝いするために、インド洋などに海上自衛隊の給油艦を出して、アメリカなど各国海軍の艦艇に無料で給油するサービスを、10月一杯という期限を延長して続けるかどうかということだ。

これについて、民主党の小沢一郎党首は「これまでも反対してきたし、今度も同じ」としていて、面談して延長を求めたアメリカのシーファー大使に対しても、「アメリカ軍の展開も、国連の決議による派遣でない」としてはっきり拒否の姿勢を明らかにした。当初「面談拒否」と伝えられ、いつもの横着ぶりが民主党の足を引っ張るのではないかと心配したが、面談した上でハッキリ考えを伝えたのはたいへん良かった。

これに対して小池防衛相はアメリカで、小沢党首は1991年の湾岸戦争の時で時計が止まってしまっていると批判し、アーミテイジ元国務副長官も「同盟の後退になる」と反対しているそうだ。

森田は、これは大事なところだと思っており、この問題について小沢一郎氏の立場を100パーセント支持する。森田は日本国憲法と、国会審議の積み上げから言っても、自衛隊の海外派遣は「国連による集団安全保障」という範囲であるというのが、これまでに形成されてきた国民合意の線であると考えているからだ。

小池防衛相は「時計が止まっている」というが、それ以後の「9・11からイラク戦争」という世界大の異常な政局の中で、「ブッシュ大統領」「小泉&安倍首相」という、いまや日米で全く国民の信頼を失った政権、また外務省の柳井元事務次官、谷地現事務次官といった連中が日本国憲法の原則とは相容れない「日米軍事同盟」路線を進めてきたことが違法であり、不適切なのであって、「時計が止まっている」というのが仮に正しい表現ならば、悪行を精算して「その時点まで戻す」ことが正しいのだ。アーミティジ氏は「同盟が後退する」というが、そこまで戻さなければいけないのだ。

アーミティジ氏は「同盟を後退させればお前たちを防衛しない」という脅しをかけているのだろう。しかし、われわれが「日米安全保障条約」で約束しているのは「基地提供」であり、森田は日本の防衛をアメリカに委ねるべきだなどという気持は毛頭ないが、条約上は基地提供の見返りにアメリカが日本防衛を約束しているというのが、国際法上の基本線であると考えている。

「同盟国」などと自民党の政治家や読売新聞はじめいい加減なメディアは気安く言い、歴代内閣や外務省も勝手にワーディングしているけれども、国会で批准承認された条約としては「同盟条約」などとことも結んでいない。アメリカが、いまの安保条約による「事実上無制限に日本に軍事基地を置き、事実上無制限にそこからアメリカ軍を世界中に出撃させられる」という条約上の立場以上を求めるのは、贅沢というものだ。参院選の「民意」は、直接にこのことを言っているわけではないと思うが、これほどハッキリした審判の一部には「9・11からイラク戦争というアメリカ逆上の世界政局とアメリカ国内におけるブッシュ政権の一時的な高揚に露骨に便乗した小泉・安倍路線への批判」が含まれていることを、アーミティジ氏らはちゃんと認識して物を考えなければ、2007年7月の「革命」後の日本政治と安定した関係を結ぶことは難しいだろう。

もともとは「靖国」でも「歴史教科書」でも国粋右翼で、アメリカと価値観のレベルでは摩擦を内包している小池防衛相は、小沢民主党が筋の通らない軍事協力に消極的な局面を利用し「小沢バッシング」によって、自らと安倍政権のアメリカでの受けを良くしようとしているわけだ。しかし、参院選に示された民意のセンターラインを無視した発言で米政界をミスリードすることは、長期的には日米関係の安定した発展を犠牲にして、自らの利益を図る行為であり許されない。

小沢ガンバレ。いい線いってるぞ。

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2007年7月30日 (月)

小田実氏逝去ーNHKに2000年放送の「正義の戦争はあるのか」再放送を望む

参院選、安倍自民党歴史的大敗が報じられた朝、小田実氏の訃報が伝わった。ご冥福を祈る。

最近、大学入試でAO入試の準備をしている高3の娘のために「平和」を考える参考になるVTRソフトの推薦を求められ、2000年の夏に放送されたNHKとテレビマンユニオンが作ったこの一本を一緒に見た。

冷戦後、9・11の前に何が論点だったかを思い出させる。大きなトピックはコソボ問題をめぐるユーゴ空爆だが、表題の通り「正義のための戦争はあるのか」がテーマだ。もちろん、ベトナム戦争に従軍した元米兵との対話が大きなキーになっている。

http://www.odamakoto.com/jp/Seirai/000725.shtml

時はめぐり、アメリカ国内でさえ、イラク戦争をベトナム戦争との対比で語る人が増えた。しかし、小田氏に先見の明があったというよりは、いつでも、だれでもが考えるべきことを小田氏はわれわれに語っている、語っていたと考えるべきだと思う。

NHKニュースの訃報に使われていたのは、小田氏があの年の8月14日、大空襲にさらされた大阪で語る、あの番組の中での映像だったと思う。多くの人に再度見てほしい番組だ。再放送を切に望む。

安倍氏は辞めないそうだ。自民党の死期を早めることになるだろう。結構なことだ。

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2007年7月 5日 (木)

米ロ、新核軍縮で協議 START1失効に向け=まじめにやってもらいたい=

 最近の米MDの東欧配備計画をめぐるロシアの激しい反発、ケネバンクポートの米ロ首脳会談などについて、「大国として扱え」というロシアのわがままをブッシュ政権があやしていると見るか、「9・11~イラク戦争」という世界の「一時的な逆流」が収まり、「冷戦後」に時計を戻すというトレンドが現れていると見るかは人によって意見が異なるかもしれない。

 しかし、核軍縮という側面から見ると、「米ソが核兵器削減交渉に取り組む」ということ、また現在のところ両国外相が公言している「安全保障の必要性を満たす最低限の水準」という目標は歓迎すべきものだ。

 両国が核兵器削減に取り組むのは、核不拡散条約(NPT)体制において、彼らが「核兵器国」の地位を得、世界の多くの国々に「非核兵器国」の立場を受け入れさせるための必要条件、約束なのだ。

 就任した安倍内閣の小池百合子防衛相は、広島・長崎の原爆投下に言及した際に、過去のことに加え「将来の『核不拡散』が重要」という趣旨のコメントをしているが、これでは米ロ英仏中の核軍備増強を不問にし、北朝鮮やイランなどのことばかり問題にしていることになる。「将来の『核軍縮』および『核不拡散』が重要」というべきなのである。

 安倍内閣は久間前防衛相を辞めさせ、なんとなく「反核」のポーズをとっているが、実のところアメリカに対して核兵器削減を強く求めるつもりなどさらさらないことが、小池防衛相の発言にも垣間見られたように思う。

【以下は目にとまった東京新聞の記事】

米ロ、新核軍縮で協議 START1失効に向け
2007年7月4日 東京新聞夕刊

 【ワシントン=立尾良二】ライス米国務長官と訪米中のラブロフ・ロシア外相は三日、共同声明を発表し、二〇〇九年に失効する第一次戦略兵器削減条約(START1)に代わる両国の新しい核軍縮体制について協議を開始したことを明らかにした。

 両外相は声明で「自国や同盟国の安全保障にかなう最小限のレベルに、戦略核弾頭を削減する」と述べた。

 新しい核軍縮体制は米ロ首脳会談でも議題になった。両国の担当外務次官らも同日、ワシントンで記者会見したが、協議を開始したばかりであり、START1に続く新しい条約になるのか、核弾頭の上限個数を決めるのかなどいずれも未定と述べた。

 米国と旧ソ連は一九九一年、核弾頭の上限を六千個にするSTART1に調印。二〇〇一年に完全履行したが、この条約は〇九年に失効する。九三年に米ロ間でSTART2に調印したものの、ロシアが〇二年に条約を破棄。同年、両国が核弾頭を一二年十二月までに千七百-二千二百個に削減する戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約)に調印したが、核弾頭の廃棄は義務づけられていない。

 AP通信によると、今年一月時点で、両国の保有核弾頭数はロシアが四千百六十二個、米国が五千八百六十六個という。

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2007年6月29日 (金)

対イラク戦争の「開戦支持」は、やはり見直して国民と国際社会に謝罪すべきだ。

どうして開戦を支持したかという「言い訳」は何度も聞かされてきた。しかし、起こっている現実は、何万人ものイラク人が殺し合い、内戦状態に置かれているということであり、これは戦争を始めなければ起こらなかったことだ。

米軍の死者の数はとても少ない、というイメージだったが、これもこのまま増え続けるともうすぐ「ベトナム戦争の一割」という規模に達することになる。

政治は「結果」だ。どんな言い訳をしようとも「開戦支持」は間違っていたのであり、そのことにさえケジメをつけないのであれば、国民に対して責任を負った政治などできるわけがない。

「郵政解散」は特殊な、事実上のワンイッシュー選挙だったのであり、野党はもう一度この問題を国民に問うべきだ。

戦後レジームの体現者だった宮沢元総理が亡くなった。PKO法を成立させ、カンボジア派遣を成功させる一方で、一貫して「海外での武力行使を認めるべきでない」と言っておられたことを思い出す。

そもそも、戦争という「緊急外科手術」で解決すべき問題は、この世の中にあまりない。憲法9条は、制定当時のアメリカから見れば軍国日本の「武装解除」ということだったのだろうが、わが国にとっては「戦争によって国益追求することはない」という合理的な政策選択を宣明し、そのことで対外イメージを回復し、さらに国際社会にも世界平和に向けての一つのモデルを示すことになっているのだ。

やらなくていい「手術」がたいへんな結果を招いたときに、鉦と太鼓で煽ったことを反省しないで済ませられるはずがない。こうしたことを放置したまま「戦後レジームの脱却」などとんでもない。

米下院外交委の従軍慰安婦問題に関する「決議」も、安倍政権下の日本の右傾化した保守政治家たちの動きが、アメリカにとっても「価値観」で相容れないものだという受け止めが広まってきたということだろう。

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2007年5月24日 (木)

「温暖化ガス削減」も大事だが、「核軍縮・不拡散」を忘れるな!=猪口邦子代議士などもっと働くべし=

ニュースを聞いていると、安倍内閣は今年のドイツでのサミットと、来年わが国で開催されるサミットの中心テーマは「温暖化ガス削減問題」であると考え、わが国が「主導権」を発揮すべく削減目標設定に取り組んでいるそうだ。

もちろん、温暖化ガス問題は重要であり、そのことに異論はないが、ブッシュ政権がソッポを向いているときには主要課題としてまじめに取り組むことをせず、「イラク戦争」の世界政局が終局に向かう中、EUが先手を取り、イギリスのブレア政権がイラク戦争毒消しのために、より意欲的な数字を打ち出し、件のブッシュ政権ですら6年間無視していたのに、風向きが変わったかのようにバイオエタノールを柱に意欲的な目標を打ち出した後になって尻馬に乗って騒いでいるに過ぎない。「主導権」とはちゃんちゃらおかしい。

「温暖化対策」が世界政治のなかで動き出そうとしているのは、「9.11同時多発テロからイラク戦争、イラクの泥沼化」という大政局の中で、一時的に凍結されていた、本来取り組まれるべきテーマが再浮上しているというように捉えるべきだ。

それなら、「ブッシュ様のお許しが出たから、温暖化問題に取り組もう。格好だけでも主導権をとっているようなポーズをなんとか決めよう」といったいつもの対米盲従ばかりでなく、「9.11以来の一時的大逆流」の中で、背景に押しやられていたテーマの中で、日本が、わが国が、自分の頭で考えて、何が再び優先的に取り組まれなければならないかについて、イニシアチブを発揮すべきである。

「共和党主導の米上院、ブッシュ政権、9.11からイラク戦争」という流れの中で、温暖化ガス規制問題が進まなかった構造を象徴したのが、共和党主導の米上院の決定による、アメリカの京都議定書離脱だった。

同様に思い出すべきは、クリントン大統領が世界の首脳に先駆けて署名した全面的核実験禁止条約の批准が、共和党主導の上院によって阻まれたという事件である。

冷戦終焉後、父ブッシュ大統領、クリントン大統領の下で推進された国際協調と核軍縮・不拡散のそれなりに誠実な追求と対照的に、ご承知の政権の下、ご承知の事情によって逆流の中にあったのだ。2005のニューヨークでのNPT再検討会議におけるブッシュ政権代表の悪態と、会議の不首尾は、その最たるものだった。

日本政府は、ポチのようにアメリカ政府に追随して「温暖化ガス削減」を叫ぶばかりでなく、アメリカ政府に対して「核軍縮・不拡散も忘れないでくださいよ」と強く言うべきだ。温暖化ガス対策が2007のドイツサミットの売りなら、2008日本サミットは本来ならば「核軍縮・不拡散の新たなステージへ」をテーマまとするべきである。

野党は、ぜひそのような課題設定を打ち出してほしい。自民党でも、軍縮問題に詳しいはずの猪口邦子代議士などは朝日新聞に立派な意見も発表しているのだから、口先だけではなく、政府の政策に反映するようもっと働いたらどうなのだろうか。評論家ではなく、与党の政治家なのだから。結果を出さねば存在価値なし。

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2007年5月23日 (水)

安倍訪米、中東歴訪の内幕より=やはりブッシュの使い走りだった=

外交通の方々はとっくに知っていた話しかもしれませんが、久しぶりに永田町に出かけて耳にしたことのひとつ。「日米首脳会談で安倍首相はブッシュ大統領より『サウジアラビアの首脳に、イラク政策などでぜひアメリカの中東外交に足並みをそろえてほしいと強く働きかけてほしい』と要請を受け、サウジでの首脳会談の冒頭で、そのことをかなりまじめに、力を込めて語ったが、サウジ側はこのことについては全く相手にしなかった」そうだ。

父ブッシュ政権の湾岸戦争以降のサウジアラビアの内情について、公開情報をある程度継続して見ているだけでも、ブッシュ大統領の話を真に受ければ、サウジ側と大きな齟齬を生じるとともに、日本の自主性が疑われて国益を損なうことぐらい常識としてわかるはずなのに。学力不足でも首相になりたがった本人、その彼を選んだ自民党のレベルは、イラク国内にスンニ派・シーア派の対立があることすらちゃんとは理解しないままイラク戦争を始めたブッシュ大統領同様、実に、実に困ったものだ。

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米民主党議会指導部、「イラク撤退期限」削除で賢明な収束=「首相公選論」の反面教師=

アメリカの民主党議会指導部が、イラク戦費法案の「撤退期限」削除で大統領に妥協という報道。止むを得ないと思う。

愚かにもウォルフォビッツ世銀総裁(6月末で辞任)を最後までかばい続け、ゴンザレス司法長官擁護についても頑ななブッシュ大統領が、イラク撤退について議会と賢明な妥協をすることは想像できない。

同じ大統領制でも、フランスの大統領制などと違って強すぎるアメリカ大統領の「拒否権」は、「構造の問題」であり、ここで決着を引き延ばせば、結果として民主党が「泥沼化」の共犯者になってしまう。

初の女性下院議長であるペロシ女史も、就任早々の最低賃金引き上げなどの実現以降、「成果のない会期」と責められているが、引き続き、上院とともに「9.11とブッシュ政権」のせいで本来進むべき軌道を大きくそれてしまったアメリカ政治と世界政治の軌道修正のために王道で踏ん張り続けてほしい。

やはり決着はヒラリー・クリントンまたはオバマ民主党大統領の誕生を待たねばならないだろう。共和党はマケイン、ロムニー失速後はリベラル色にもかかわらずジュリアーニ前ニューヨーク市長が浮上しいて、民主党の脅威になるかもしれないが。

「強すぎる大統領拒否権」という「構造問題」は、わが国の一部にある「首相公選制」を冷静に考える機会を与えている。やはり首相は議会の過半数、少なくとも相対多数の支持を得ていなければ、民意を汲んだ安定的な政局運営はできないと思う。大統領選挙と議会選挙を別にするならば、首相は大統領が議会多数派を指名する慣行のフランス型がよい。

イスラエル型の首相公選導入は、アメリカの「強すぎる大統領と議会の不毛な競合」という構造問題を、わが国にも持ち込むマイナスの方が大きい。

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2007年5月 9日 (水)

改憲で日本が手に入れるのは「アメリカ以外の国と、アメリカの許可があれば、戦争をする権利」であり、それだけである(内田樹)

毎日新聞2007年5月7日付に内田樹(たつる)氏の「改憲護憲の『利益』を問う」という論文が掲載されていた。

http://blog.tatsuru.com/2007/05/03_1008.php

「改憲で日本が手に入れるのは『アメリカ以外の国と、アメリカの許可があれば、戦争をする権利』であり、それだけである。」というフレーズは、たいへん明快で感心した。森田の持論を、より的確に、よりインパクトをもって表現したものとしてメモしておきたい。

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2007年4月25日 (水)

安倍氏はアメリカが嫌い?―アメリカ人が草稿書いたって、いい憲法ならいいじゃないか。

安倍首相は、昨日の自民党の改憲大会で今の憲法は占領下で、GHQの素人のアメリカ人が草稿を作成したのだから、早く改正すべきだという趣旨のことを話したらしい。

いつも言うが、民政局スタッフの多くはハーバードやエールのロースクールを出ていたり、大学教授の経歴があったりで、少なくとも「成蹊大学の学部出」より、知性において少しだけ秀でている可能性が高いのではないか。

今の憲法は「お父さんはアメリカ人じゃないか」との差別的発言ともとれるが、人は人種や職業ではなく、その人自身の品性や能力で評価されるべきであるのと同様、私は憲法も「誰がお父さんか」ではなく、良い憲法なのか、悪い憲法なのか、そのことによってこそ評価されるべきであると考える。

国民主権、基本的人権の尊重。第9条については解釈改憲で「変遷」が進んでしまっているし、イラク派兵などでそうとう危ういけれども、後藤田さんも強調していたように「この憲法の下で、外国で日本の部隊が一人の人をも殺していない」のは、日本国民が誇りに思っていてことだと思う。

というわけで、森田は安倍主導の改憲には、アメリカ軍の攻撃を手伝えるようにするために「集団的自衛権」についての政府の考え方を変更しようという最近の動きとともに反対だ。

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2007年4月24日 (火)

ハルバースタム氏を悼む

デイビッド・ハルバースタム氏がサンフランシスコで交通事故死と聞き、たいへん残念だ。まだ73歳であり、できればインタビューしたい人物だった。

ベトナム戦争報道で名を馳せたハルバースタム氏のジャーナリストとしての姿勢は、最近の日本の新聞やテレビの30歳代、40歳代の記者たちが、取材対象と良好な関係を維持し、同業他社とさえ横並びを保ってお互いが、無事デスク、部長、それから上にいくとか、無事定年まで勤めるなり、関係会社に天下りすることしか考えてないんじゃないかと見受けられる様子とは対照的なものだったと言えるだろう。

志のある記者は、ハルバースタムのごとく状況を巨視的に捉え、権力のウソを見破り、そのプレッシャーをはねのけるジャーナリストを目指してほしい。ハルバースタムだって、ベトナム戦争の当初は政府の発表を鵜呑みにしていたそうだから、自分の目でしっかりものを見、自分の頭でしっかりものを考えていれば、誰だって日本のハルバースタムになる可能性は開かれているはずだ。若いジャーナリスト、ジャーナリスト志望者の奮起を望みたい。

冥福を祈る意味で、久しぶりに『ベスト・アンド・ブライテスト』を本棚から引っ張り出してみたいと思う。

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2007年4月 4日 (水)

「こちら」側も、早く論点を出すべき「次期戦闘機」の機種選定

米軍が沖縄にF22という最新鋭の戦闘機を暫定配備し、また本国へ引き揚げるといったニュースを目にし「アメリカ軍部の売り込みじゃないの?」「いやいや、米議会はF22の輸出を認めていないよ」といった声を聞くにつけ、来夏までに防衛省が機種選定するという「FX」について、いろいろ議論し、論点を出しておく必要があると思う。

アメリカは軍事行動の連携の面からアメリカ機の採用を望んでいるというが、政治的な深慮によってヨーロッパの新鋭機を採用するという選択肢もあり得るはずだ。防衛省のブリーフィングによって書かれる報道原稿には出てこないが、目的とのかねあいで、またうんと安上がりにすることが良いと判断するならロシア機の輸入だって必ずしも初めから選択肢から排除すべきでない。

F22なら、1機200億円程度。F15の改良型なら100億円より安いことはないけれども、F22よりかなり安い。当初は7機だそうだが、やがて100機以上買い揃える可能性があるということを考えると、「兆」単位の買い物だ。

自民党の政治家や防衛省の役人がポケットマネーで払ってくれるならよいけれども、いうまでもなく、このお金は「国民健康保険の保険料が払えなくて、医者にかかれない人がたくさんいる」ような財政状態の中で、国民の税金を振り分けることになる。

このことばかりでないが、まず「役人たちと自民党の族議員」が国民の目に触れないところで意思決定の既成事実を積み重ね、マスメディアや野党の問題提起は「わざと時間切れになってからのアリバイ作りか」という手遅れのタイミングになって国民合意は形成されず、八百長のような国会の「混乱」が演出されたり、ロジックがしっかりしていないことでいざとなると「アメリカ議会」との大きな摩擦を引き起こし、日米関係にも悪影響を与える-といったパターンは早く脱却したいものだ。

政府与党の進めつつある計画が、日本の進路とのかねあいで、また軍事的に、さらに財政的にどのような意味合いを持つか。大正期のジーメンス事件以来繰り返されてきた軍需産業・政商と政治家・官僚・軍人の癒着という点からは何に気をつけるべきなのか。早く具体的な論点を出し、対案も含めたプログラムを示すべきだろう。

安倍総理の訪米が近いが、慰安婦問題で「証拠の文書がない」などという世界の常識とズレた愚かな発言のリカバリーにばかり気をとられて、チェイニー氏あたりの軍産複合体と癒着した勢力の圧力に負けて、あるいはこちらから歓心を買うようなつもりで、FX選定について、つまらない口約束をするなどといったことは許されない。ちなみにF22の代理店は三菱商事で、そこにはたしか安倍総理の親族が勤めていたと思うけれど。

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2007年3月 6日 (火)

アメリカ議会の「従軍慰安婦謝罪要求決議案」に関連して

すでに各紙社説などに必要な論点はみな出ていると思いますが、一点だけ補足的に申し上げたいことがあります。それは、この問題も国際法上は韓国との国交正常化の時に「解決済み」というのがわが国の政府の立場だったにもかかわらず、なぜあの時、一歩踏み込んで官房長官談話が出されたのかという点にかかわってのことです。

日本と韓国の侵略と植民地支配にかかわる問題は、国交正常化の時に決着しているというのが、日本政府と韓国政府のお互いの了解事項です。日本はおわびの気持ちを込めて経済協力を約束する。一方、韓国国民個人の被害については、韓国政府が補償するというのが日韓関係正常化の根本であることは、両国がお互いに了解しているわけです。

日韓正常化の時には「慰安婦問題」がクローズアップされることはありませんでした。クローズアップはされなかったけれども、これも大きくは日韓基本条約のワク組みの中に含まれているというのが国際法上の事実なのだろうと思います。

しかし、宮沢内閣の頃、被害に遭われた女性たちが次々に名乗り出られてわが国の政府に謝罪と補償を求められて大問題になる。日本側の一部には「それならどうして日韓正常化の時に名乗り出て主張しなかったのか。もう決着していることを後出しのように言われても」という反応があったのも事実です。法律論だけで言えば、そういう理屈も一概には否定できない。

しかし、一方で韓国は日本以上に儒教倫理の極めて厳しいお国柄ですから、若い頃にはそんな酷い目に遭ったという話しをすることは、恥ずかしいし、差別される恐れもあるし言い出せなかったというのは真実だと思います。しかし、もう高齢になり、この世を去る前に、やっぱり人間として、真実を告白し、あんな酷い目に遭わせた人々に謝罪のひと言も言わせなければ死んでも死にきれないという気持ちを表されたに違いない。これは、ちょっと想像力を働かせればわかることです。

こどもが遊びの中で言う言葉に「ゴメンで済めば警察いらない」というのがありますが、この場合は「国際法だけの話しですませるなら政治家はいらない」という場面だったと思います。法律的には決着済みでも、目の前に血の叫び、魂の叫びがある。そして、冷戦終焉後の日本にとって、隣国である韓国との関係はこれからたいへん重要になってくることは目に見えている。日本国民と韓国国民が、これから良い関係を築いていこうと言うときに、この問題についても韓国の人々がどういう気持ちでいるか、日本政府に対してどういう態度をとってほしいと思っているのかを無視して前に進めるわけがない。

法律論だけでは割り切れない真理をすくいあげようとする努力も時には必要であるわけです。「政府の文書による証拠が無い」などと言いますが、その当時の政府の文書管理規定が整った法制度だったのかという問題があり、これは現在の問題でもあります。仮に制度が整っていたとしてもそれが守られていたという保障ができるのか。むしろ、軍をはじめ政府機関は戦争に負けると文書を大量に焼却し、一時は空が黒くなるほどだったというのをみんな知っているわけです。

ただし、官房長官談話が表明したことが、日韓正常化当時の法的な決着と矛盾しない範囲でのことだっただけに、慰安婦の方々に「日本の誠意」を伝える役割を担われた「女性のためのアジア平和基金」に関わられた方々などには、二重の意味で負担をかけた=つまり、韓国の方々には「日本政府の公式の補償でないなら受け入れられない」と批判され、日本の一部からは「国際法上決着していることにカネを出すなど土下座外交だ」と批判された=わけです。

しかし、日本人の誠意を伝えようと骨を折られた活動の積み重ねは、今日の日韓関係、また将来の日韓両国民の心と心の触れあいにとっては決して無駄ではなかった。誠意に基づく行動に無駄なことなどあるはずがないわけです。

「官房長官談話を見直すべきだ」云々と言っている人々が今もいるわけですが、そういう人々の動きが、アメリカ議会や韓国のマスメディアにどういう反応を引き起こしているか。20世紀前半に日本が韓国国民に対して、また中国や東南アジアの戦場で行ったことについて、何か正当化したり、「本当は日本は悪くなかったんだ」といった、世界の中で日本人にしか通用しないことを言い募って、何かわが国の国益の観点から、得になることがあるのでしょうか。

「夜郎自大」ということばがありますが、われわれは本当の意味での未来志向であるべきで、過去に焦点を当てて「日本は悪くなかった」といった話しに熱中するのはいい加減にした方がいいと思います。米下院の決議案といったものに対しても、事実と違うことについて冷静に指摘するのはいいですが、基本的には「20世紀前半のわが国の振る舞いについては、ご指摘にごもっともなこと多く、わが国の国民はみな反省しています」と言うべきなのです。世耕補佐官が火消しに躍起ですが、安倍総理が「強制性の定義云々」で河野談話を否定したい本音を記者団に漏らしたことは、国際社会の日本不信を増幅する愚かな失言でした。

アジア系アメリカ人の中で、地盤沈下している日系が居場所を探すといった小さな話しに付き合わされて、日本の評判を落とすなどは馬鹿馬鹿しいことだと思います。

                                                                          以上 

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2007年2月19日 (月)

北の核放棄へ「日米韓」「日米韓中ロ」の結束が重要-聖学院大総研のシンポジウム

先週末の16日(土)午後、池袋で開かれた聖学院大学総合研究所主催のシンポジウム「東アジアの平和と民主主義」を聴講しました。「六者協議」妥結以前に計画されたものだけに、発言者はあらかじめ印刷配布された冊子に書いたことと離れて、合意をめぐっての評価などについて発言しました。

17日(日)のNHK「日曜討論」にも出た伊豆見元静岡県立大教授は、「アメリカでも保守派は『核の完全廃棄ではないのに与えるものが多すぎる』と批判しているが、彼らが強硬論を唱えて取引を拒否している間に、北朝鮮が持つプルトニウムは生産が続いて5倍に増えた。これからが大変だが、『初期段階』でプルトニゥム増産を止めるだけでも、これまでの何の歯止めもない状態よりよほど良い」と評価し、「重油5万トンプラス95万トンというのも、北朝鮮が94年の枠組み合意で目論んでいた重油総量の5分の一以下で、金額の面から見てもアメリカにとって安い合意だ。それでも合意したのは、北朝鮮にとってアメリカとの関係が前進する可能性に魅力があるということだ」と指摘しました。

さらに伊豆見氏は、合意が成立した原因は、アメリカ政府が北朝鮮の核実験後、国連決議の草稿に「六者協議復帰を」と書き込んだことでわかるように、北の核の脅威を本物と考えるようになって「取引をしよう」と政策を変えたことが大きいと述べました。この点でパネラーの朝日新聞記者の渡辺勉氏はイラク戦争の現状により軍の人員配置が厳しくなっていること、さらに中間選挙の敗北が政策転換の背景であると強調しました。

日曜午前の各局テレビ出演者の顔ぶれがアメリカ、日本の視点にほとんど限られていたのに対し、このシンポジウムは韓国、中国からのパネラーの発言が興味深かったです。

韓国からの康仁徳・韓国極東問題研究所長(中央情報部出身、金大中政権の初代統一相)は、合意を一応評価しつつも「金正日氏の言うことは『十分の一くらい信じられる』という実感を持っているが、大事なことはアメリカ、韓国、日本の3国が結束を固め、その結束に基づいて中国に共同歩調を求めていくこと。現在の韓国の政権はアメリカや日本と歩調を合わせることよりも、単独で北支援にのめり込んでおり、これは良くない」と強調しました。

中国の金熙徳・中国社会科学院日本研究所副所長(延辺生まれ)は、中国の見方は幅広いが「北が核を持つことは認めない」ということは一致している。中国は本音では認めるつもりだという見方は間違っていると強調しました。

金副所長は関連した背景説明として「中国社会科学院などの中国の研究機関では、部内の議論における発言は全く自由。しかし、刊行物などでは一定の範囲に収まるよう編集部が執筆者に協力を求める。北朝鮮についても、以前から厳しい意見はあったが、核実験前は外に出さなかった。実験後、そう言う意見も外に出すことになり、見かけ上中国の北に対する厳しい意見が急に出てきているように見えるかもしれない」と述べました。

さらに、興味深い話しとして「(第三国の)外交官などには『北を崩壊させても、中国が後を支配下に収めれば問題ないではないか』といった粗雑な話しを持ちかけてくる人がいるが、中国は自らの現実的な利害に基づいた戦略に従って行動するので、そのようには動かない」「中国人に北朝鮮と韓国のどちらが好きかと言えば、10人中10人が『韓国』と言うだろう。しかし、北を崩壊させるか、守るかと言えば、全員が『守る』と言う。それは戦略上の判断だ」。

さらにパネルディスカッションで北の将来像について意見交換がありましたが、金熙徳副所長は「北朝鮮以外の社会主義国は、全て改革開放に踏み切るか、崩壊した。私たちは崩壊を望んでおらず、改革開放に導きたい」とし、次期指導者についての質問に「個人的には、次も世襲することは難しいと思う」と発言。その点は韓国の康仁徳氏も「世襲は難しい。集団指導体制で安定するのが良い。韓国の大多数も一挙の統一を望んでいない」と展望を示しました。

さらに、金熙徳副所長が「私は北の非核化には6カ国協議の他の5カ国が結束を維持することが肝要だと思う」と述べたのに対し、渡辺記者は「中国、韓国が戦略観を持ってこの問題に対処しているのに対し、日本政府の戦略がなかなか見えないのは残念」という趣旨のコメントをしました。

安倍政権は『拉致問題』という、自国のというよりも、自らの政権の利害に汲汲としてしているように見え、大きな戦略を打ち出すということがありません。これは無いものねだりというものですが。

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2007年2月15日 (木)

6者協議合意-日本も行動すべきと言う河野太郎代議士に賛成

北朝鮮の核をめぐる6者協議の合意について、河野太郎代議士はメールマガジン「ごまめの歯ぎしり」2月15日付でウラン濃縮や既存核兵器について曖昧など不十分な点もあるが、北がミサイル搭載可能な核弾頭開発に進めば、わが国にとって本当の脅威になるので、そういった国益の観点から日本政府も合意の実現に向けて、出来ることをすべきだという趣旨の発言をしている。

このブログで何度も言ってきた通り、森田も全く同意見だ。河野太郎代議士といつも意見が一致するわけではないが、この問題については森田とアメリカのまともな人々との意見が一致しているということかもしれない。

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2007年2月13日 (火)

危険な発言-イラク戦争への評価基準に「自衛隊員のプライド」

今年に入っての政治家の発言で、今のところ最悪の発言は大野功統元防衛庁長官の「(イラク開戦を)間違っていたとすると、(イラクに派遣された)自衛隊員のプライドはどこへ行くのか」という自民党国防関係合同会議での発言だ(2007年2月2日付『朝日新聞』による)。

「対イラク開戦」「日本政府の開戦支持」といった政策に対する評価は、その政策そのものについて冷静に下すべきで、そこに「派遣された自衛官のプライド」といった感情論を持ち込むのは倒錯であり、判断を誤らせるものだ。

1945年の8月15日に終わった戦争が、なぜあのような巨大な犠牲を生んだのかを考えた場合、「しかし、日露戦争以来、日本の将兵が満州の地に流した血を無駄にしてはならない」という軍部内部、またマスメディアや一般国民の大きな声に流されたということが大きなウェートを占めていることは否めない。

自民党では、国家安全保障を論じる政調の合同会議で、元防衛庁長官がこのような愚かな発言をして一切とがめられないらしい。このようなことを放置するのは歴史に目を閉ざした危険なことだ。

今日の衆院予算委の総括質疑では、民主党の前原前党首が「対イラク開戦」を批判した久間防衛相発言を批判しているが、閣内不統一を批判するなら、正しいことを言っている久間氏ではなく、誤った政策判断を見直さず、ブッシュ政権の過ちを助長している安倍総理の方を責めるべきだ。これも倒錯である。

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2007年2月11日 (日)

六本木東宝シネマズの『不都合な真実』チケット売り切れ

明日、家族を連れて六本木東宝シネマズにゴア元副大統領の『不都合な真実』を見に行こうと思ったけれども、前売り券は夕方までの4回までは全て売り切れ。来週以降にすることに。

12月30日の午後に『硫黄島からの手紙』を見に行った時には(たまたま安倍総理の前日だった)、ずいぶん入っていたけれども前夜の予約でいちばんいい席だったので、なかなかの人気のようだ。これは嬉しいニュース。

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2007年1月10日 (水)

インド核保有容認へ(読売)

読売新聞朝刊1面トップに「インドの核保有容認へ」という記事が出ている。ブッシュ大統領が主導したアメリカとインドの原子力協定は、NPT体制を根底から揺るがすものであり、昨年の共和党主導の議会で承認されたが、アメリカ国内にも強い反対意見がある。

核軍縮を求めるわが国としてはこれを安易に容認すべきではない。

北朝鮮の核実験については騒ぎ、このことは見過ごすというのであれば日本の原則、意思はどこにあるのかを問われることになる。

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2006年12月19日 (火)

ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』

5年ほど前に出て、たいへん評判になった本だが、ある程度既知のことが書いてある本だろうという先入観から読まずにいた。かまぼこメーカー、鈴廣の鈴木博晶社長に勧められてページを繰った。

世田谷区の図書館でも貸し出し中のものが多く、広く読まれているようだが、広告や雑誌、新聞の投書欄などに広く着目した時代の描写は実に興味深く、面白い。

終戦までもたいへんだったけれども、それからの4年ほどが政府の無能と占領当局の無関心で、多くの人にとって飢えとの戦いだったことがいろいろな実例、証言、データなどから知られるとともに、終戦の瞬間から、軍幹部や政治家たちが、女性たちがお国のためと供出した貴金属を含め、国家予算と匹敵するほどの規模の物資を横領・隠匿し、巨万の富を築いたという、今にも尾を引いているであろう戦後日本の影の部分にも目を向けさせる。

いろいろ猥雑な話題も面白いが、戦後キャッチコピーにちりばめられた「新しい」「明るい」「建設」といったことばは、実は戦前、戦中も叫ばれたスローガンから換骨奪胎されたものであるという指摘は興味深い。戦前の日本は保守的で、変化のない世界ととらえる向きがあるかもしれないが、実は明治維新以来、庶民にとっても「新しく」「変わる」ことが、強迫観念のようになっていて、だからこそ「既成秩序の打破」を叫んでダッーッ戦争に走ることになったのではないかというわけだ。

そういえば、かつての新党ブームの際も、昨今の非常に保守的な政権がアナクロな政策を推進する時も、「改革」だの「新しい」だのという言葉を振り回すことが多いなあ。

大江健三郎さんの、旧「教育基本法」を冊子にして、教育者を含め心ある人は懐にしのばせようという提案に賛成!。また、「いま」を「これまで通ってきた道」に照らしてゆっくり考えようという方に、20世紀初頭のことどもを考えることと同時に、『敗北を抱きしめて』を読んでごらんになることをお薦めしたい。

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2006年12月 7日 (木)

「7日間」と「7年間」ーふたつの文書の起草にかけられた時間

クイズです。ある文書は7日間で起草されました。それと対比されるある文書は起草に7年間がかけられました。さて、この二つの文書は何でしょうか。

ここのところ、わが家の二人の高校生のために、「そのとき歴史が動いた」をはじめとする歴史関係のテレビ番組録画VTRテープをハードディスクに移して、取りあげている時代順に並べ替えてDVDに収め直すという作業をしてきたが、なかなか勉強になった。

7日で起草されたのは「日本国憲法」の草案であり、7年がかけられたのは「大日本帝国憲法」だ。今年は日本国憲法公布60周年だったが、10年前の50周年に大阪の朝日放送が、五十旗頭真・神戸大教授(当時、現防大校長)をキャスターに起用した番組は今でも見応えがある。

女性の権利を憲法に書き込むべく努力したベアテ・シロタ・ゴードンさんの当時の仕事ぶりが広く知られるきっかけになった番組だが、存命だったケーディース大佐らへの長時間インタビューは、GHQによる草案の起草過程を鮮やかに描いており興味が尽きない。

占領政策にオーストラリアやソ連に一定の発言権が与えられる「対日理事会」が設けられる直前、日本が提示した「松本案」は大日本帝国憲法のマイナーチェンジで話しにならなかった。マッカーサー最高司令官が天皇制を温存した民主憲法をアメリカのコントロール下で制定するチャンスが限られたがある日、GHQの一室にスタッフが集められ「憲法草稿を、分担し一週間で起草するように」と指示された時には、最初は悪い冗談のように受け止められたようだ。

しかし、ここで言いたいことは「軍人による、7日間のいい加減なやっつけ仕事だ」ということではない。むしろ、7年間がかけられた「大日本帝国憲法」が、天皇が神であるとし、統帥権が内閣や行政から独立して天皇に直属するとしていたために、愚かな戦争の巨大な惨禍を引き起こしたのと対照的に、7日間でアメリカ人の軍服を着た弁護士や元大学教授らによって起草された「日本国憲法」が、「先進国で最古の憲法だ」と悪口(?)を言われるほどの長きにわたって生命を保ち、わが国に平和と民主主義、繁栄をもたらしたという皮肉だ。

起草時間が限られたからこそ、欧米の進歩的な憲法のエッセンスを取り入れ、また日本の民間の「憲法研究会」の成果=それは明治以来の民権運動の中で主張された種々の「憲法案」を反映したものだった=を部分的にはそのまま取り入れなければ間に合わなかった。その結果として「世界の潮流」と、「日本の草の根」の二つを源流に取り込んだ、シンプルでよい憲法草案が書かれたのだ。

よく知られるように、マッカーサーの最初のメモは「自衛権も放棄することを明記」としていたのを、リベラル派の弁護士であるケーディース大佐が「それはあり得ない」と「国際紛争解決の手段としての戦争放棄」に草稿ではトーンダウンして、自衛力整備のための改憲も不要になっている。

「アメリカ大統領が国内で持つ権力に、立法権も加えたもの」と後にマッカーサー自身が語った「絶対的な権力」が推進した、という条件があったとはいえ、コンセプトが明快で、当事者が可能な範囲で客観的・歴史的な評価に耐える仕事をしようと決意すれば、一週間でかなりのことが成し遂げられるという例だろう。

公務員と会社員の年金制を一本化すると言った話しに、いったい何年かけているのだろうか。逆に、野党は、もし政権をとれば「7日間で」「7週間で」何をやるのか。コンセプトを明確にし、いざとなれば電光石火で仕事をしてもらわなければならない。ちゃんと準備してほしい。

税収が好調のようだが、政財官界の中枢は「格差是正」も「財政再建」も無視するかのように、「法人税の負担軽減」を突出させ、自民党に至っては株取引で得た利益にかかる税金を半減するという「金持ち優遇」を政治の腕力で続けるらしい。財界は「諮問会議の民間委員」という、国民のコントロールを受けないバイパスのような機関を使って「残業を青天井にしよう」などと言っているらしい。

テーマはハッキリしている。行動のプログラムを早く整理しよう。

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2006年11月18日 (土)

アメリカでプレーステーション3発売騒動

朝、CNNがアメリカでもプレーステーション3が発売になり、けが人が出たり強盗が出たりと騒動になっていると報じていた。ウォルマートを批判していた前副大統領候補のエドワード前上院議員も子息のために「ウォルマートで」購入申し込みをしていたとかで「妻が‥らしい」と釈明というのもご愛敬だ。

冷泉彰彦さんがメールマガジンで、ユーチューブで秋葉原での発売の様子などを見たアメリカの若者たちが「すごい」と思ったという説を述べられていて興味深い。先の中間選の上院バージニアで当落と多数派逆転を決めたのも、「大統領候補」とさえ言われていた共和党保守派現職のアレン議院が、遊説のうまくない発言を撮影してはユーチューブにアップしていた民主党ウェッブ候補陣営のボランテイアのビデオカメラに向かって「また君か」と不快感を表明するために「歓迎するよ、マカカ」とインド系への差別用語で呼びかけたのがきっかけだったことを思い起こさせる。

アメリカで日本関係のニュースが大きく扱われるのは、松坂大輔などプロ野球とこの辺の話題ということなのだろう。どうしても「日本、日本」と騒ぎたい右翼の政治家たちは、ソニーに頼んで、電源を入れたらまず日の丸が出るようにお願いしたらいいんじゃないか。郵政解散のマジックでマスコミを操作し、国民を騙して得た大議席で「教育基本法」を変えて、個人の内心の自由を力で侵すことに熱中するよりは、よっぽど副作用が小さくてPR効果がある。

まさか「企業の自由は神聖にして侵すべからずだからできません」などとはいわないでょうね。

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2006年11月 9日 (木)

米中間選-世界政治の分水嶺となり得る上下両院「民主過半数」

以前にも書いたが、上院選で民主党が過半数を制することができれば、アメリカ政治がようやく『9・11の呪縛』から目覚め、正常化するプロセスに入ったことが確かなこととなり、世界の政治情勢も良い方向に反転する-と祈るように開票を見守った。接戦のバージニアで最後の1事前にABCのステファノプロス氏が「上院の民主党議席増は3から6」と予測した上限の「6」、共和党との多数派交代に必要な最小限の数「6」にどうやら達したらしい。

ニュージャージーを取りこぼさなかったので、テネシーのフォード候補は届かなかったけれども、アメリカ国内のみならず、「同盟国」はじめ世界の国際協調派にとって「及第点」という結果が出た。外交委員長がバイデン氏に交代することをはじめ、全ての上院の委員長が民主党に交代することになる。選挙前にラムズフェルド国防長官を交代させなかったことで自ら敗北を確かなものにしたブッシュ大統領に感謝したい。

もちろん、民主党は第1期クリントン政権の時に、なぜか「軍隊内の同性愛を認める」といったマイナーな話題にはまり込んで1994年のギングリッチ革命で上下両院の多数派の地位を失った失敗を繰り返してはいけない。選挙中はブッシュ大統領から「サンフランシスコのリベラル」と叩かれ続けたペロシ次期下院議長が、引き続き「バラバラ」な党内を穏健寄りにまとめていけるか、上院民主党指導部ともどもガバナンスを示すことができるかが重要だが、それもこれも、今回必要だった「勝利」を得たからこそ、大きな課題になっているのだ。

産経新聞や「企業の利益」しか見ない各紙の経済部の記事は「民主党多数となれば保護主義が強まる」と早くも近視眼的で紋切り型の記事を書いているが、まず大事なことは、日本外交が「ブッシュ大統領のホワイトハウス」一辺倒ではやっていけないことがはっきりしたことをちゃんと認識することだ。

安倍政権は「官邸とホワイトハウスの結びつきを強める」と張り切っているが、これは現在の状況とはかみあっていない。外務省の一部にも、もともと日米安保協力の枠組み強化という発想があるが、今の段階で「ブッシュ=チェイニーライン」との一体化を進めることに何のメリットがあるのだろうか。

安倍内閣や外務省ばかりでなく、自公与党指導部、小沢民主党など野党、あるいはアメリカの政権と議会多数派が一致している場合はあまり出番がない衆参両院の議院指導部などもそれぞれ、潮目が変わったことをちゃんと自覚して「日米関係を新しい状況に適合して機能させ、それが日本国民、ひいては世界の市民に貢献できるよう」、ボーッとしていないでしっかり目を覚まして取り組んでもらわなければならない。

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2006年10月31日 (火)

「6カ国協議再開」の報に

中国政府が「6カ国協議再開で合意と発表」という報道を聞いて、よくも悪くも「やれやれ」という感じだ。

うちの高校生の娘なども「また北朝鮮が振り回そうとしてんじゃないの?」とクールな反応だが、しかし、「戦争を選択肢にすべきでない」「しない」のだから、とにかくテーブルに就くことが大事だ。

アメリカ政府には、核兵器開発を進めさせないためには何が効果的なのかをよく考えて政策を進めてほしい。「偽ドル札を刷るから金融制裁」というのは法律論としては正しいのだろう。しかし、正しい政策でも時と場合を考えて、特に国家としての総合的な政策遂行の中にちゃんと位置づけて判断してもらわなければ困る。

「北の核実験は、アメリカがいいところで金融制裁を発動したのが原因だ」と言うのはいいすぎかもしれないが、法律論として正しいということと、起こっていることに責任があるのかないのかということは別問題だというのも事実だ。

北朝鮮の政権も、実現したいことが何なのかをそろそろちゃんと判断し、明確に示さないと、国民を悲劇に引きずり込むことになるのではないかと心配だ。1930年代の日本とアメリカの交渉をよく研究してほしい。あの時もそうだし、対イラク戦争開戦を考えてもわかるとおり、アメリカにはあとからよく考えると「本当は、そんなに戦争したくなかったのに戦争を回避する努力を怠った」ということがある。あなたたちほどではないが、とてもユニークな国なのだ。

では、わが国の安部政権。藤原帰一教授が言っているので、北の核実験後のわが国の対応はパーフェクトなのだろう。しかし、そんなことは秀才を集めた外交官たちなら出来て当然のこと。そうではなくて、核実験などさせないために日本政府は何が出来たのか、しなかったのか。あるいは再度の核実験や核兵器開発の継続をさせないために日本政府は何をするのか、が問われている。

みんなで前向きの知恵を出していこう。

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2006年10月20日 (金)

アジア・アフリカについて思い浮かぶことのノート

1. 安倍訪中、訪韓については、前の政権でどうにもならなかった、またアメリカも心配したり不都合だと思っていた日本と両国との関係を、ようやく本来の軌道に戻す上で役に立った。
 何か素晴らしいことのような錯覚にとらわれるが、前の政権で作り出されていた状況があまりにひどいものであったこと、また政権に就く前の安倍氏の発言があまりにひどいものだったことの反動である。
 しかし、よい方向に軌道修正が行われたという結果については評価せざるを得ない。

2. 北朝鮮の核実験については、最初の段階で「重大な脅威」と表明するのはあまりに過剰反応だったが、わが国の安全保障にとって、これがやがて実験を重ねることでミサイルに搭載できるような小型化につながっていくということであれば、ほんとうに「脅威」となり得る。
 そのような事態をどうプラグマチックに回避していくかが政治の仕事であり、ただただ「制裁、制裁」と騒いでいればいいという問題ではない。
 ましてや、わが国は「国際紛争解決の手段としての武力行使」を放棄し、その中には広く捉えれば「臨検」という名の海上封鎖も含まれるのが本来なのに、国連の非難決議追求の場などで「7章」を強調する姿勢を示したのは先走りだ。
 外務省や官邸が突出して、わが国外交の根幹をゆがめるのは遺憾である。
 北が「核実験継続」など、国際秩序に対決姿勢で歩みを進めようとするならば「出てきた分だけは押し戻」さなければならない。一方で、こちらから体制崩壊といったことを仕掛けるべきではない。それが正しい「封じ込め」だ。
 「対話と圧力」のうち「圧力」一辺倒の状況であり、あくまでも「対話」による北朝鮮の国際秩序への軟着陸を目指すという筋論で状況に対処すべきである。

3. 中国については、胡錦濤政権が内外共に「均衡」ということをテーマに政策を推進しようとしている。北朝鮮の「核実験」に対する対応などにもそれは見受けられる。
 中国がそのような「均衡のとれた」路線を内外で追求しようとしていることは、中国自身に安定感をもたらすことを通じ、わが国にとっても良い状況につながることと思う。
 中国は内政面で、これから貧富の差、地域格差、地方政府などで権力を持つ人々と貧しく権利を認められていない農民といった問題に取り組んでいかなければならない。これは大きな摩擦も生じるだろう。
 環境、エネルギーといった面での協力に加え、「均衡ある発展」という面でも、わが国が隣人として、あるいはある程度の成功を経験した先達として、対話を通じて協力できればいいと思う。
 また、昨年の「反日デモ」のような摩擦を想起すれば、「政治」「経済」の関係も大事だけれども、「文化交流」を含めた人と人との出会いといったものが、実に重要であることがわかってくる。
 お互いに反感を持つ人が、相手国について得ている情報はテレビなど大手メディアを経由したものに限られることが多い。タテマエの「友好」ではなく、また「東京-北京」だけではない交流を深めるべきだ、例えば「南京虐殺」で日中関係の負のシンボルになっている「南京」は、もともと気候風土や人情、文化の面で北方よりもより日本にとって近しい江南地方に属している。こことの交流に力を入れて正負を一挙に逆転するといった取り組みも必要ではないか。 

4.韓国については、あまり大きな声では言えないが「振幅」が日本以上に激しいことが特徴だ。盧武鉉大統領の対日批判、あるいはアメリカや日本との調整を度外視したかのような韓国単独での「太陽政策」推進など、これまでのあり方がすでに軌道修正されたり、あるいは次期大統領選挙でそのことが、ますますはっきりすることが予想される。
 むしろ、心配なのは「軌道修正」のいきすぎだ。北東アジアの平和と安定のためにはアメリカ、日本、中国などと調整し、協力してもらうことが重要であり、「北」との対話、北が誠意を見せれば「協力」にも力を入れるという韓国のこれまでの「基本線」については「これからも重要」というメッセージをはっきり出すべきだ。

5.中東については、イラクの現状にせよ、パレスチナ問題にせよ、イスラエルのレバノン侵攻、それにイランの核開発問題など「大混乱」と言える。
 これについては、より根本的で緊急度の高い問題は「パレスチナ問題」だ。日本も、引き続き知恵も出し、汗もかくべきである。P5ブラスドイツといった形で取り組まれることが多いが、日本政府は外されているのか、引っ込んでいるのか。
 なお、「歴史問題でベタ折れ」などともいわれる安倍内閣の国会答弁でいちばん問題なのは「イラクに対する開戦の支持」について検証も反省もしないことだ。こういうことでは誤った政策判断を繰り返す恐れが大きい。国会に9・11から今日までの内閣、行政府の活動を総括する調査会を設けて検討すべきではないか。

6.アフリカについて、ひと言だけ言えば、エイズ問題、あるいはマラリアといった伝染病についても、わが国から見ればわずかな支出で、多くの人々を苦しみから救うことができるということだ。
 世界の現実から目をそらしてはいけないということについて言えば、いちばん悲惨な人々を直接助ける。そういうわが国や先進国の市民的な取り組みをサポートすると言うことが大事だ。
 国連安保理の選挙も、一般の選挙と同じで「そういう時期になってから」というのはダメで、日頃から陰徳を積まなければならない。

7. インドの躍進は間違いなく、またインドの多元的な深い文化は魅力的だ。日本文化の基底は、ひとつには中国の古典文明ということがあるが、いまの文化に強い影響のある「禅」の属する仏教はインドがルーツだ。
 インドとの本当の交流を深めるべきだが、「中国牽制の手段」などと見るのは不毛だ。インドは中国と急速に関係が改善し、貿易相手国としても中国がトップになる勢いである。インド接近が中国牽制になるというのは現実離れしているし、そういう気持ちでは相手にとっても迷惑だろう。
 それよりも、日本で仕事をしようというインドの人々に敬意を払って接し、彼らの文化や歴史に関心を持つことから始めるべきだと思う。
 そういう意味では私はインドとの交流の強化論者である。

8.アメリカとの関係では、安倍政権がホワイトハウスと官邸の直接の結びつきを強めると言っている。一般的には悪いことではないかもしれないが、実際の国際政治情勢の中で考えた場合、現在のホワイトハウスはアメリカ国内においても、国際的にも偏った人々だという見方もあるだろう。
 「外務省-国務省」「ホワイトハウス-官邸」という関係の強化と平行して「日本の国会-米国議会」の関係強化も必要である。野党や与党内のハト派はアメリカ議会内の国際協調派といった人々との関係を強化する必要がある。中間選挙の帰趨はまだ予断を許さないが、官邸がホワイトハウスとの連携を強めるならば、われわれは米民主党の要路と連絡と意見交換を密にして、役割分担することが国益にかなうだろう。
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2006年10月12日 (木)

「重大な脅威」というのは、煽りだ。

北朝鮮の「核実験」について書いたところ、sa-lalaさんという方から、

「北朝鮮(の核実験)を『重大な脅威』とした談話がありましたが、この語彙選択はどう思われますか?個人的には、意図的に国民をあおるような、大変不快な語彙選択だと思ったのですが。。」

というコメントをいただいた。安倍首相の最初のひと声が「重大な脅威」だったわけだが、sa-lalaさんのコメントには目を覚まされる思いがした。冷静に対処すべき状況に、政府が、政治家が情緒的な言葉をインフレさせていくことは、極めて危険なことだ。やはり「安倍政権成立」といった状況で、麻痺させられてしまっているところがある。

久間防衛庁長官は会見で「核兵器を小型化し、弾道ミサイルに載せられるようになれば、重大な脅威となる」と発言したそうだが、「重大な脅威となる」を、「重大な脅威を構成する『能力』を得ることになる」と言い換えれば、7月のミサイル発射の時に書いたように、これはほぼ正しい認識であると思う(脅威という評価が成り立つには、「能力」だけではなく、「意図」が認められることが必要)。

一方、久間氏は「小型化し、弾道ミサイルに載せられるようになれば」と、脅威となるのに必要な条件を述べている。論理的には、久間氏も「まだ脅威ではない」と言っているわけだ。

われわれにとって具体的な課題は、北が実験を重ねて「弾頭小型化」「ミサイルに載せられるようにすること」を阻止することだ。この点については米国務省の元担当官プリチャード氏、あるいは伊豆見元氏らも同様の見解を示している。

それは、安倍政権や自民党が推進している、ただ制裁を強化するといった方法では実現できまい。日本政府は「対話と圧力」と言ってきたが、やはり対話に引きだし、ギブアンドテークで誘導した方が目的に近づける現実的な可能性が大きい。核実験を継続しないほうが得だという条件を作り出して惹きつける必要がある。

「6者協議に復帰すべきだ」と決めつけてるばかりでなく、「どうやったら6者協議に引っ張り出せるか」をプラグマチックに考えることが政治家や外交官の仕事だ。アメリカに直接「対話」を促すことも当然必要だ。

非難の言葉をエスカレートさせて世論を煽ることではなく、できることをやること。「政治は結果責任」という安倍総理が、その言葉の意味をしっかりと理解して行動できるかが厳しく問われている。

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2006年10月10日 (火)

辻元清美代議士(社民)のブログ発言「パトリオット・ミサイル搬入できず!――沖縄の闘いが示すもの」に注目

社民党の辻元清美代議士のブログ発言にご注目あれ。

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2006年10月 5日 (木)

「逆転」に期待がかかるアメリカ中間選挙情勢

11月7日投票の米中間選挙の投票まで、あとひと月ほどとなった。今年前半からイラク情勢の悪化、ガソリン価格の上昇などによるブッシュ大統領の支持率低下により、ひょっとすると民主党が上下両院で1994年以来の過半数奪回に迫るのではと言われてきたが「両院とも接戦、予断を許さない」というのが現状のようだ。

上院について言えば、共和党が現有議席で民主党を10議席リードしているため、民主党が過半数をとるためには「ネットで6議席増」が必要だ(民主党議席が増えた分、共和党議席は減る)。

例えば、NHK・BS1が2006年10月2日に放送した米ABCの『ジスウィーク』は、共和党が「危ない」と見られているのはロードアイランド、ペンシルバニア、オハイオ、ミズーリ、モンタナ、バージニア、テネシーの7州、民主党が「危ない」と見られているのはニュージャージー、メリーランドの2州であるとしている。

民主党ピンチの2州のうち、ニュージャージーの現職メネンデス議員(民主)は共和党新人に金銭スキャンダルを突きつけられていて、情勢は「民主党にいちばん有利な数字でも五分五分」らしい。民主党側は「共和党の情報ソースは犯罪集団」と反撃しているものの、先週までに放送されたインタビューの映像を見てもメネンデス議員にあまり勢いは感じられなかった。

メリーランドが健闘している共和党のマイケル・スティール候補の追い上げを振り切ったとしても、ニュージャージーを失うと、民主党は先に挙げた共和党から議席を奪う可能性のある7つの選挙区全部で、勝利を収めなければならない。

リベラル色の強いロードアイランドの共和党予備選では、しばしばブッシュ大統領の法案などに反対票を投じてきた穏健派のチェーフィー司法委員長が、新人保守派市長の挑戦を退けた。共和党指導部やアメリカの飯島前秘書官のローブ氏は、イラク戦争への反対にも目をつぶり、民主党に勝つ可能性のある現職を守った。

もっとも、民主党がここまで漕ぎ着けたのはかなり上出来なようである。例えば、昨年の段階では100パーセント再選確実で、2008年の大統領候補の呼び声もあったバージニアの共和党人気上院議員ジョージ・アレン氏(1期、前知事)は、ある民主党陣営のインド系ボランティアの髪型について、猿を意味する「マカカ」という差別用語を用いたのがケチのつき始めで、母親がユダヤ系ということが明らかになった際にも、民族の誇りについて語るのではなく、民族習慣の薄い家庭であることを強調して支持を減らしている。

バージニアの民主党候補は、レーガン政権の海軍長官を務めた元共和党員のジム・ウェッブ候補で、有名な劇作家ではあるけれども政治家としては全くの新人だったため、この僅差の追い上げは予想外だったそうだ。

さらに、夏前までは「もしここがとれれば民主党が上院多数を制するだろう」と高望みのように言われていたテネシー州、ここでは1992年にアル・ゴア氏が副大統領に転じて以来民主党が上院の議席に手が届かなかったわけだが、共和党のフリスト上院院内総務の引退を受けての選挙戦で民主党の黒人穏健派下院議員、ハロルド・フォード・ジュニア氏がチャタヌーガ市長の共和党候補ボブ・コーカー氏と完全に肩を並べている。

建設業出身で圧倒的な資金力を誇るコーカー氏に対し、フォード下院議員はカリスマ性、政治家としての幅の広さを示して善戦しているそうで、民主党の全国指導部も全力を挙げているようだ。

以前、このブログで小泉首相のプレスリー邸訪問は、上院共和党の天下分け目の選挙区テコ入れの片棒担ぎと指摘したが、現在のところ情勢分析は的中していたことになる。

もし、上院で民主党が過半数を奪還すれば、クリントン政権の北朝鮮とのKEDO推進による関係正常化路線、全面核実験禁止条約批准、京都議定書批准などをことごとく阻んできた「共和党多数の上院」という、アメリカの国際協調路線の障害が取り除かれることになる。

それは表現が少し強いかもしれないが、アメリカの政策、ひいては国際政治潮流に大きな変化をもたらす可能性があるので、大いに注目する必要がある。

安倍政権も、ブッシュ大統領のホワイトハウス、あるいはネオコンとの結びつきの強さを誇っているようなところがあるが、情勢判断に誤りがないようにしてもらわなければならない。

なお、今日付の『朝日新聞』も書いているが、今週にかけての大きな話題はボブ・ウッドワード氏の新著と、辞任したマイケル・フォーリー下院議員が議会アルバイト少年にわいせつなメールを送っていた問題、さらにその問題に下院共和党指導部が適切に対処していなかったことに対してハスタート下院議長に辞任要求が出ていることだ。

ウッドワード氏の新著は、テロとの戦いやイラク戦争についてのブッシュ政権の対応が正しかったかという点に再び焦点を当てるものだが、選挙への影響については「スミス都へ行く」よりずっと以前からの伝統ある議会アルバイト少年に関わるスキャンダルの方がずっと大きい。

なぜなら「倫理問題」こそ、ここのところ大統領選、議会選で連勝を重ねてきた共和党を支持する草の根保守派を動員する最大のテーマであるにもかかわらず、ただてさえ移民問題などで「ブッシュ政権は十分に保守的ではない」と不満を募らせてきた保守派が、共和党下院議員が議会アルバイトの少年に対しセックススキャンダルを起こし、議会指導部もしっかりと対応してこなかった現実を見れば、投票所に足を運ぶ意欲が起こらなかったとしても不思議ではないからだ。

多くの共和党候補が「ブッシュ離れ」「ハスタート離れ」を演出しているようだが、この問題が波紋を広げれば、一時期「上院より難しいかも」と言われた下院の逆転が有望になってくる。

「予断を許さない」。このことは変わらない。注視するとともに、潮流変化を見落とさないようにしたい。

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2006年1月 2日 (月)

河野洋平衆院議長の広島スピーチ(2005年8月)

 昨年末でニフティのニューズ・クリップスのサービスが終了したため、グーグルのニュースページを眺めることにしていますが、元旦には広島の地方紙『中国新聞』に河野洋平衆院議長の年頭の辞についてのニュースが出ていました。きっと紙が配られたのでしょうが、ほとんど全てのメディアが小泉総理の「焦点」をわざと外した年頭所感ばかりを報じているのに対して目を引きました。

 広島といえば、昨年の衆院解散直前の8月6日に河野衆院議長が当地の式典で行ったスピーチについては、産経新聞の社説が批判していたのが目立っていた一方、現地で聞いた人々のブログに高く評価するものが目立ち、探すとロイターやAFP、新華社などの配信で世界中のメディアに引用されているのに、国内の主要メディアではほとんど報じられていませんでした。

 この時、報道関係に配られた紙をその後入手しましたが、まあ目新しいことは何も言っていないものの、森田としても「このくらいが日本政界の認識のスタンダードであってほしい」という線のことが出ていたのを思い出しました。

 どうもどのページにも出ていないようなので、ここにコピーを掲示してご参考に供したいと思います。

※※※   ※※※

 広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式における議長挨拶(案)

(平成17年8月6日(土)午前8時)(於 広島市平和祈念公園)

 昭和20年8月6日、ここ広島は原爆の投下を受け、人類史上最初の核戦争の現場となりました。

 その巨大な破壊力により、一瞬にして生命を奪われた多くの方々、あるいは原爆による放射線の影響に長く苦しみ、亡くなっていった方々、また今もその影響に苦しむ方々をはじめ、関係者の皆様にあらためて心からのお悔やみと、お見舞いを申し上げます。

 あれから60年。ひとつの区切りとなる時を迎え、私はいま二つのことを肝に銘じなければならないと考えております。 ここ、広島平和公園の慰霊碑には「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」と刻まれています。この「過ち」とは何でしょうか。

 一つは、わが国、日本が明治維新以後、60年前の原爆投下の日まで、アジアの中で針路を誤り戦争への道を歩んだことであると思います。 欧米列強から独立を守るため、明治維新で近代化を成し遂げたわが国には、「アジア諸国が独立と民主主義を求める戦いに連帯する」という「もう一つの選択肢」があったにもかかわらず、実際に歩んだのは「日清・日露戦争後に韓国の独立を奪い、中国に軍事介入し、自らの支配を押しつけ」ようとする、欧米列強と同じ帝国主義の道でした。

 わが国にもアジア諸国の独立運動に連帯し、支援を惜しまない人々がいたことも事実ですが、日本が国家として選んだのは別の道であり、その道を国際社会を敵に回して歩んだ帰結の一つが、原爆の投下だったのです。

  私たちが繰り返してはいけない、もう一つの「過ち」は、人類が、いかなる理由があるにせよ、核兵器という巨大な破壊力を持つ非人道的な兵器を、同じ人類に対して使用したという事実です。 「人類と核兵器は共存できない」。広島で起こったあまりに悲惨な現実を知るとき、私たち日本人には、このことを世界に訴える使命があることがわかります。

 アメリカをはじめとする核保有国は、核拡散防止の枠組みを強化するためにも、包括的核実験禁止条約の批准など核軍縮に取り組む国際的な約束を政権が替わったからといって反故にすることなく、真摯に守らなければなりません。

 核兵器を持たない国々は、自国の平和利用の権利ばかり言い立てるのではなく、IAEAの査察強化など、拡散防止に役立つ措置の導入にもっと前向きにならなければなりません。

 わが国はまず、そのような核不拡散体制の強化に尽力し、将来の核兵器廃絶に向けての足場をしっかり固める努力に全力を傾注していかなければならないと考えます。

 衆議院は去る2日、終戦・被爆60周年にあたり、核兵器廃絶とあらゆる戦争の回避を求める決議を行いました。

 今日ここに原爆投下60周年を迎え、犠牲者の方々のご冥福をあらためてお祈りしますとともに、戦後広島をこのように復興した市民の皆様に敬意を表します。

 最後に戦後、「民主主義」「非核・平和」の道を歩み、国際社会に誇れる民主的で豊かな国家の再建を成し遂げたわが国が、これからも民主主義、独立、平和を求める世界の人々と連帯し、核兵器の脅威のない、平和な世界の実現に向けて努力して参りますことを戦没者の御霊の前にお誓いし、私のご挨拶とさせていただきます。

平成17年8月6日

衆議院議長 河 野 洋 平

(河野洋平衆院議長の広島スピーチ(2005年8月))

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