米ロ首脳、はじめて「核兵器の最終的な除去」に合意
世界金融・経済問題に対処するためロンドンG20首脳会合を契機に、各国の首脳会談が開かれているが、ブッシュ・プーチン時代に本質的な前進がなかった米ロの核兵器削減問題で、「期限を迎えるSTARTⅠについて今年中に後継条約を締結する。夏までにだいたいの成案を得て、首脳会談を行う」という具体的な進展が見られた。
米ロのあらゆる対立点に触れた会談だったようで、米ロ関係の世界政治に占める相対的な位置はかつてのように巨大なものではないけれども、こと核不拡散問題と表裏一体の核軍縮問題については、米ロ関係に左右される要素は大きい。
メドベージェフ大統領は、昨年の南オセチア・グルジア問題などに際しては強硬姿勢に終始し、やはりプーチン前大統領(現首相)の傀儡かと見られていたものの、最近は司法問題などでリベラル色を覗かせているので注目したい。
朝、NHK-BS1でやっていた米ABCの「ワールドニュース」では、ホワイトハウス担当のジェイク・タッパー記者に続いて、ジム・シュートー記者が軍縮交渉のエキスパートとしてコメントしていたが「はじめて両国首脳が核兵器を究極的に廃絶する(eventual eliminate)ことに触れた」と興奮気味に話していたのが印象に残った。
メディアによっては、ロシアが新たな軍縮条約締結の条件と主張しているアメリカのミサイル防衛(MD)システムの東欧配備の中止について、具体的な成果がなかったのではないかと言われているが、アメリカはこれを「イランの核の脅威に対抗するため」と主張してきたいきさつがあり、おそらく今後、イランの非核化ということとこれをリンクさせた、米ロのせめぎあいが展開するのだろう。
米政権がイランの核開発の問題を決して容認できないのは、実はイスラエルとの抜き差しならない関係ということが背景にある。余計なことだが、近々予定されている北朝鮮の「人工衛星打ち上げ」など、順調に成功する方が良いとも言える。
一部に北朝鮮の核保有は容認するのではないかと言われている米政権が「やっぱり、北が核を持つことは認めてはならない。イスラエルどころか米本土が危険だ」と真剣に考えるようになるからだ。
気象情報の提供とか、協力してやったらいいんじゃないか。落下物がそんなに大騒ぎするほど危ないというのなら、日本を飛び越えずに発射できる種子島の発射場を提供してやったらいいんじゃないかといった発言は、やはり不謹慎だろうか。
米露首脳会談:新核軍縮交渉、開始で合意 北朝鮮に自制求める
【ロンドン草野和彦】欧州歴訪中のオバマ米大統領は1日、ロンドンでロシアのメドベージェフ大統領と会談した。両大統領は、今年12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継となる新たな核軍縮条約の交渉を直ちに開始することで合意。新条約は、12年までに双方の配備核弾頭を1700~2200発まで削減するとしたモスクワ条約(02年)を下回るレベルを目指すとしている。北朝鮮のミサイル発射については「地域の平和と安定を損なう」と憂慮を表明、北朝鮮に発射自制と国連安保理決議順守を求めることで一致した。(7面に関連記事と共同声明要旨)
両首脳は共同声明で「我々は冷戦思考を乗り越え、新たな米露関係を開始する」とし、ブッシュ前政権時代に悪化した関係の「リセット」を宣言。大量破壊兵器拡散防止やテロ対策などでの協力を打ち出した。オバマ大統領が7月にモスクワを訪問することも合意した。
新たな核軍縮条約に関する共同声明では、「記録的な削減を目指す」とし、効果的な検証方法の導入や、年内の交渉妥結に向け進展状況を7月までに報告させることを盛り込んでいる。現在の核弾頭の実戦配備数は米国が約4100発、ロシアが約5200発といわれ、新条約が実現すれば画期的な核削減に道が開ける。
首脳会談では、米露関係を悪化させる要因となった米国の東欧ミサイル防衛(MD)計画や、昨年8月のグルジア紛争についても協議されたが、双方の見解の相違は解消されなかった。ただ、ミサイル脅威に対処するためMD分野での相互協力の可能性を協議した。
このほか両大統領は、アフガニスタン復興やイランの核開発問題などで協調する方針を確認した。
毎日新聞 2009年4月2日 東京朝刊
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