漁業

2007年11月20日 (火)

調査捕鯨に欧米の批判=ロジカルな発信が必要=

わが国の調査捕鯨について、欧米の批判が強い。CNNの日系人元アンカー、サチ・コト氏が日本のイメージを最も損なったニュースとして安倍晋三氏の政権投げだしと、迷い込んだクジラを助けられず、肉を売るために解体している映像を挙げたことを書いたが、アメリカ国務省のスポークスマンが記者会見で「自制」を促し、オーストラリアは労働党が政権をとったら、海軍の艦艇を派遣して捕鯨を阻止するという話も出ているという。

捕鯨継続が日本の死活問題だとは思わないが、例えば幕末にアメリカが日本に開国を迫った口実が捕鯨船への薪水の供給であり、かつてアメリカをはじめとする国々が、照明用の油をとるためにクジラを乱獲し、資源の枯渇を招いたといった歴史的ないきさつを考えるにつけても、そのアメリカに「捕鯨などとんでもない」と言われると、やれやれ、と思わざるを得ない。

動物虐待は良いことではない。しかし、牛を殺すのは良くて、クジラを殺すのは聖書に書いてあるからダメで、日本人は野蛮だというのでは、一種の人種偏見と言わざるを得ない。

もっとも、ここで感情的な反発を内向させて黙り込んでしまっては、誤解を増幅させるばかりだ。ロジカルに説得する努力を放棄して、既成事実だけを積み上げていこうとする発想は、満州事変後のやり方と同じになってしまう。

ここは、一部クジラの生息数回復が漁業資源の脅威になっているなどの科学的データを、日本政府として国民や海外メディアにいちだんと分かりやすい形で示していく、冷静な作業が必要になるだろう。相手が無茶を言っているにしても、「問答無用」スタイルではなく、親切な説明と対話の路線をとるべきだ。

それにしても、日本と同様に「死刑」を廃止せずに処刑を続け、イラクで何十万人もの人間がテロで殺されるような状況を作っておいて「日本の捕鯨は野蛮だ」などと、本当に暢気なことだ。

そうそう、オーストラリアとは非常に良い関係を構築したらしい安倍晋三前首相には、できるだけ早くオーストラリアに特使で出てもらって、この件で日豪摩擦を火種のうちにしっかり消してきてもらいたい。安倍氏でもひょっとしたらその程度なら日本国民の役に立てるのではないか。

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2007年11月 8日 (木)

漁業資源枯渇?-ノルウェーの資源保護に学ぶべき

店先にはたくさん並ぶサカナたち。しかし、サバなどの資源量は激減しており、漁業者は早い者勝ちの「総量規制」のルールの下で、本来は将来の「親」になってもらうために獲り残すべき、また値段の安い小型のサバでも、いまの収入を確保するために根こそぎとってしまっている。

現行の「総量規制」というのは、漁船ごとの漁獲量を規制するのではなく、例えばサバについて、ある水域で今年獲っていい「総量」を決めるもので、各漁船がどれだけ獲るかは決めていない。早い者勝ちだから、大きいものが獲れる水域を選んだり、目の大きい網を使っていては、他の漁船が先にシェアーを奪ってしまい取り分がなくなってしまう。

7月に放送されたNHKの「クローズアップ現代」、9月放送の「サイエンスゼロ」などで紹介されたが、ノルウェーは「総量規制」ではなく、厳格な漁船ごとの漁獲量の割り当てを行い、網目も大きめなものに規制している。行政当局の監視も厳格で、抜き打ち検査で漁獲量の申告に虚偽が発見された場合は、警察に告発している。

その結果、漁業者はあわてなくてもシーズン中に自分が漁獲できる量が決まっているので、あわてて小さなものを獲る必要がない。じっくり大型のものがいる漁場を探し、網目の大きな網で狙えば、大きく育った、高値で売れるものが手に入る。

その結果、日本のスーパーでも脂の乗った大きなサバはノルウェー産だったりする。一方で、ノルウェーの漁業資源は、この規制を導入してから劇的に回復している。

政治や、行政はこういった外国の成功例については謙虚に学び、スピード感をもって導入すべきだ。「アメリカやイギリス並みの金融市場の規制緩和を」などという、金持ちをますます金持ちにして政治献金をいっぱいもらおうといういった話しばかりに熱心で、国民生活や環境にかかわるようなこういった問題にしっかり取り組んでもらわなければ困る。

今年、新しい「水産基本計画」を作ると聞いたが、農水省は補助金付きの外郭団体に天下り先を確保することや、ウィキペディアにガンダムに関する書き込みばかりやっている場合ではないのだ。

さらに、海はつながっているので、この話しには韓国や中国、ロシアとしっかり話しをすることが大事だ。小泉氏のように「靖国参拝」などで対話の基盤を破壊し、ロシアをことさら無視したり、安倍氏のように「米豪印と結んで中国を牽制しよう」などとトンチンカンなことをやっていては、現実的な国益も、地球環境も守れない。

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